5348.2022年1月2日(日) 正月に考えさせられる友人の言葉

 今日も元旦に引き続き快晴である。恒例の「東京箱根間往復大学駅伝競走」、通称「箱根駅伝」第1日目をテレビ観戦した。午前8時東京読売新聞社前をスタートした。結果は往路1位は青山学院、2位帝京大学、3位駒澤大学だった。もうひとつのテレビ観戦はラグビーだった。伝統校の早慶はすでに準々決勝で敗れたので、やゝ気合が入らなかったが、午後国立競技場では、ラグビー大学選手権準決勝が行われ、第1試合では明治大が東海大を、第2試合では帝京大が京都産業大をそれぞれ破り、9日の決勝戦で相まみえることになった。昨秋の関東大学対抗戦ですでに対戦して帝京大が明大に勝っているが、今日の両チームの戦いぶりを観ていると、どちらが勝つかの予想は難しい。

 テレビ観戦の途中で近くの駒澤公園へウォーキングがてら、第100回全国高校サッカー選手権が開催されている駒澤球技場へ寄ってみた。外からスタンドへの入口を通してスタンドの様子が覗けるが、閑散としている。入場口で係員に尋ねてみると事前に入場券は完売したと言い、これ以上場内へ入ることは出来ないということだった。コロナ対策とのことで、観客で満員にすることは出来ないようなシステムになっているようだった。

 どこもかしこもコロナ、コロナで窮屈になったが、流石に正月休みということもあり、公園広場には大勢の家族連れが三々五々集まって、凧揚げをしたり、ボール遊びをしたり、思い思いに楽しんでいる様子を見ていると心が和んでくる。

 さて、妻が明後日東京医療センターに入院し、翌5日に虫垂炎の手術を受けることになっているが、今日その手術のためのルールとしてPCR検査を受けに行った。病気、入院、手術の話になりがちだが、つい最近2人の友人から入院、手術の連絡を受けた。2人とも退院され安静に努めているようだ。ひとりは、胃がんで、もう一人は大動脈解離で術後慶應病院に3週間入院していたが、食事で栄養管理をするよう言い渡されたようだ。妻のケースは、盲腸なのでそれほど心配はしていないが、年齢的な問題もあり、気にしないわけではない。そんな時に、次弟から7月に白内障の手術を受けると知らせて来た。これまであまり周囲に手術をする者はいなかったが、自分自身も含めて、手術をする人が増えて来た。これも年齢のせいだろう。

 気持ちが暗くなりがちであるが、前者の胃がんの手術をした地方都市に住む高校の友人は、日ごろから徒然草や、江戸期の文学、とりわけ俳人蕪村を学び精通している。夕べに田舎道を散歩していると人生の黄昏時や終焉の時を感じさせられると感受性の強い言葉を伝えてきた。そして、新年に当たり、「私の趣味として多少なりとも古典を読みこみながら、短文を書き認めメールに添付して知己の皆さまへのお便りをしたい」と新年のメールを添付で送って来てくれた。終活というか、身辺整理というべきか、若い時から貯めていた書籍を整理したいとも書いている。少々心寂しい気にさせられる。私が未熟のせいか、まだまだそのような境地には至らない。人それぞれである。私にはまだまだやり残したことがいっぱいある。健康管理が一番の課題であるが、そのうえで、思い描いているドキュメントを何としても仕上げたい。

2022年1月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5347.2022年1月1日(土) 新しい年・令和4年を迎えて

 あけましておめでとうございます。

 一夜明けて新年を迎えることになった。令和4年の幕開けである。令和になってから新型コロナウィルス感染で、新天皇、皇后も国民と接する機会がほとんど失われ、令和の出足は国民にとってのみならず、お気の毒にも皇族にとっても歓迎される年とはならなかったようだ。果たして今年はどんな年になるだろうか。

 昨大晦日の晩は、年越しそばを食べ、4か月ぶりにビールを飲んで、例年通り最後まで「NHK紅白対抗歌合戦」をところどころ民放番組を覗きながら観ていた。大トリだったMISIAの声と声量が素晴らしく強く印象に残った。数日前に本ブログに書いたように、終戦直後にスタートしたこの紅白対抗歌合戦も、そろそろ過渡期に差し掛かっている。ジェンダー平等時代にあって男女の差を殊更意識し、差別化しようというのも今では時代遅れとの声もある。実際昨晩は「紅」「白」と男女の採点はしていたが、番組の内容、司会者の進め方などでは、紅白を意識させないよう「カラフル」として、「男の白組」「女の紅組」専属司会者を置かなかった。これからも議論を重ねてジェンダー時代に沿った番組作りが行われていくのだろう。

 さて、一夜明けて東北、西日本地方の日本海側が猛烈な豪雪に襲われているようだ。航空便がかなり欠航した。その一方で東日本沿岸は空一杯に青空が広がる快晴で、加えて午前中はほとんど無風状態だった。テレビで観る富士山はすっぽり雪を被り、神々しい。北原白秋作詞の母校・湘南高校の校歌は、♪秀麗の富士を高く 西に仰ぐこの丘~♪という切り出しだが、小高い図書館から西方を望むと富士山がよく見える。我が家の2階からもかつては富士を望むことが出来たが、何年か前に視界を遮るように高層マンションが建設され、富士山は見られなくなってしまった。この陽光に誘われたのか、隣家のご主人がベランダのベンチで日向ぼっこをしていたくらい穏やかな元旦である。

 午後届いた年賀状にいろいろ思いを馳せながら目を通して心が温かくなった。だが、残念ながらやはり今年は昨年より枚数が減った。いくつかの賀状にも、高齢の80歳になったから来年以降は辞退したいと書いてある。良し悪しはあるが、個人的には年賀状を書くことは、高齢化対策のひとつでもあると思っているので、惜しい気がしている。

 さて、我が家でも10年ほど以前に次男が結婚して家を出て以来、妻と2人だけの高齢者家庭になった。妻は昨年喜寿を迎えたが、私は今年7度目の年男である。われわれ寅年生まれの人口は、今日現在で全国に男性が499万人、女性が526万人で、計1,025万人いるという。日本の総人口1億2,545万人の8.2%を占める。われわれ昭和13年寅年生まれからその前の昭和元年生まれになると生存者がぐっと減っている。やはり高齢期に入ると12年後の年男を待たずに冥界へ旅立つ人が多いのだ。これから8度目の年男になれるかどうかは、「神のみぞ知る」であるが、それを切り抜けて行くには、健康管理が最も大切である。今年も心したいと思っている。

 今年も前向きに取り組みたいことがある。今執筆中のドキュメントを、出来れば1~2年後には上梓したいと考えている。出来るかどうかは、正確でプライベートな資料を得られるかどうかに掛かっている。上梓出来れば、かなり評判を呼ぶだろうと取らぬ狸の皮算用を目論んでいる。正月の初夢とならぬよう慎重にことを進めたいと考えている。

 今日からの1年間365日を無事に、楽しく生活していくには、何といっても健康が第1である。これだけは今まで通り予防医学を頭に無理をしないで行動したいと思っている。

2022年1月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5346.2021年12月31日(金) いよいよ除夜の鐘が

 いよいよ今年も押し詰まった。過ぎ去って見れば本当に1年は早い。今年も昨年同様、東京オリンピックこそ成功裡に開かれたが、コロナ禍に明け暮れパッとしない1年だったと言えよう。コロナも一時は下火になったかと思い、やれやれと思った矢先に、あのオミクロン株が流行り出し収束に向かいつつあった新型コロナウィルス感染が再びぶり返してしまった。もうそれほど長くもない余生を、この2年分損したような気持ちになって仕方がない。

 世界的に拡大しつつあるコロナは、相変わらず感染者、死者ともにアメリカが断然世界1である。一昨日29日には1日に48万余人の感染者を、過去3日連続で40万人を超したというから驚異である。これでは怖くて外を歩けない。ヨーロッパでもフランスで1日20万人を超えたり、イギリスでは18万人超、イタリアでも10万人の感染者を出している。それが不思議なことにコロナ発症地である中国のコロナ感染者が随分少ないことである。ジョンズ・ホプキンズ大学の資料によれば、中国では、9月14日以来3か月半の間に1人の死者も出ておらず、感染者も7千人程度である。欧米で1日何万人もの感染者が出ているのに、世界最多人口を抱える中国で1日60人程度の感染者しか出ないとはとても信じられない。コロナ封じ込め成功の明るい情報を流すことによってイメージアップを狙っているとしか考えられない。これだから中国への信頼感が年々失われていくのだと思う。

 さて、私にとって今年最大のニュースは、やはりかつて人間的にも、業務的にも関わりのあったミヤンマーにおける国軍の政権奪取クーデター発生である。ミヤンマーの現状は、益々悪化して国際社会から経済制裁を受けているが、それが国民の生活を益々追い詰めると同時に、コロナも感染が拡がっているようだ。ミンアウンフライン国軍司令官は、2023年に民主的な総選挙を行うと公言したが、それすらアウンサンスーチー国家顧問、民主派議員らを排除したうえで行うもので、公正中立に行われるとはとても考えられない。

 その他に、気にかかる世界情勢は、アメリカが放棄したアフガニスタンの混乱した政情と社会情勢、女性の抑圧である。更にロシアと中国の人権抑圧行為である。

 この1年間に冥界へ旅立った知人、友人が今年は例年になく多かった。特に、八木哲郎「知的生産の技術研究会」会長が5月に亡くなられたのは、ショックだった。6歳年長だったから今生きておられれば、89歳になられる。かれこれ半世紀近く親しくご厚誼をいただいた。会長は、会の機関誌「知研フォーラム」の編集、発行を一手にされていただけに会としても失ったものは限りなく大きい。2つの拙稿を同機関誌用に寄稿したまま旅立たれてしまったので、私の原稿は無駄になってしまった。今後持論をレポートするルートをひとつ失ってしまったことになる。八木会長には2008年韓国束草市で開催された国際シンポジウムに日本人唯一のパネリストとして推薦していただき、持論を発表する貴重な機会を与えていただいた。コロナが終息したら小中陽太郎さんを交えて自由が丘で一杯やりましょうと約束したことが、夢物語となり残念でならない。

 大学の山岳クラブの同志も3人が今年前半に立て続けに逝ってしまったのも辛い。近年会うことは少なくなってしまったが、年賀状の交換だけは欠かさなかった。彼らからは一緒に登った北アルプスや、南アルプスの山々とともに懐かしい想い出を沢山残してもらった。

 八木会長と山仲間に心よりご冥福をお祈りしたい。

 印象深いことの多かった今年、2021年もいよいよ最後の時が迫って来た。今年中国は中国共産党創立百周年を祝った。来年は日本共産党が創立百周年となる。

 幸い今年は、われらが母校も創立以来区切りの記念の年を迎え、コロナ禍の中でひっそりとこれまで積み重ねてきた歴史と伝統を祝った。ひとつは、小学校の母校・千葉市立幕張小学校が創立150年を迎えたことである。もうひとつは、高校の母校・神奈川県立湘南高校が創立百周年を迎えることが出来たことである。益々発展して次の時代を創り出す多くの人材を育てて欲しいと願っている。

 ♪蛍の光 窓の雪~♪ さらば2021年!

2021年12月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5345.2021年12月30日(木) コロナ禍で消えたインバウンド業の夢

 もう10年も前の資料であるが、手元に2011年1月4日付日本経済新聞特集版がある。タイトルは「ようこそ 外国人客」と題してこれから成長を期待されるインバウンド業の現状と見通しについて書かれたものである。東日本大震災の2か月前で、海外旅行、とりわけインバウンド業の発展は著しく成長路線を歩み始めたころのわくわく感を盛った記事である。今となっては徒花となってしまったが、当時の頼もしいインバウンド成長戦略が紹介されている。特に近隣国の中国と韓国からの観光客誘致のためのあの手この手で企画されたツアーが中々興味深い。

 「成長へ奥の手」と称して、富裕層に狙いを定めた医療ツアーとして観光と人間ドック受診をセットにした医療ツーリズムとか、韓国ドラマでロケ地となった鳥取県を韓国人にアピールするツアー、中国人オリンピック選手を招き野沢温泉スキー場で中国人にスキーを教えるツアー、大型クルーズ船で博多港に来日して長崎市内やハウステンボスなど九州内を新幹線で巡って観光を楽しむツアーなど、多彩な催しと企画が紹介されている。しかし、観光業の実情はご案内の通りコロナ禍の影響を真面に受け、今では外国人は水際対策のため入国すら出来ない有様である。

 観光庁としては、今年の外国人来日観光客を2千5百万人と見込んでいた。それが完全に思惑外れとなり、取らぬ狸の皮算用となってしまった。今年はあと2日と残り少なくなってしまったが、現在のコロナ感染拡大の状況を考えると、しばらくの間コロナが終息する期待は持てない。これは各国共通の悩みであろうが、日本では漸くインバウンドの有難みが分り、基盤も固まり、その発展の期待があり、その成長の可能性が見えていただけに本当に残念で腹立たしいことでもある。

 ついては、このコロナのせいもあり、明後日元旦に母校湘南高校グランドで行われる湘南ラグビー祭に参加しないことに決めた。OBと現役が一体となって楽しむ恒例のお祭りであり、今まで毎年のように参加していた。それが今年は、コロナの急速な感染拡大、及び車を処分して電車になってコロナ市中感染の恐れと、妻の体調と5日の妻の手術などを考慮して残念ではあるが、今回は不参加と決めた。今年正月はコロナ禍のため中止だったが、2年ぶりのラグビー祭が盛り上がることを期待したい。

 ところで、今年も年賀状を書いて24日に近くの郵便局へ届けた。年々歳々送る数が少なくなっている。今年はじり貧で4百数十枚だったが、最近いただく訃報を考えると恐らくその数は来年以降も減少していくことだろう。今日送った年賀状の内1通が「あて所に尋ねあたりません」として返送されてきた。早速宛先の知人にメールで住所を確認すると正しいことが分った。正月明けに郵便局に再配達するよう言わなければならない。それにしても最近の日本郵政は簡保保険や局長の言動、土曜日の配達中止など顧客サービスの低下が著しい。困ったものだ。

 年賀状に関しては、書くに当たって住所、氏名の確認をし、送る相手の顔を思い浮かべながら万年筆で書く習慣は昔から変わってはいない。小学生から大学生まで5人の孫たちにも、1枚ずつ書いた。彼らにもいつまでも年賀状を書く習慣をつけてもらいたいと思っている。

 私が年賀状に殊更拘るようになったのは、今年創立150周年を迎えた幕張小学校の恩師、湯浅和先生の影響が大きい。今でこそパソコンでイラストを描くようになったが、小学校卒業時から若きサラリーマンだったころまでは、湯浅先生の教え通り、毎年彫刻刀を使って版画の年賀状を仕上げて送っていたものである。明後日には知人から届く年賀状を心待ちにしている。

2021年12月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5344.2021年12月29日(水) 「GO TO トラベル」で旅行会社が不正受給

 昨日斎藤鉄夫・国土交通大臣が、政府の新型コロナウィルスで打撃を受けた観光業者への支援策「GO TO トラベル」事業の不正受給は断固許されないと述べ、観光庁はこれを悪用し給付金の不正受給問題を起こした、HISの子会社などを来年再開する「GO TO トラベル」事業への参加資格を停止すると発表した。

 今月初めには、菊間潤吾・日本旅行業協会会長が会長として務めるワールド航空サービス㈱が、同じく観光庁がコロナ支援策として実施していた雇用調整助成金を不正に受給した疑いで、協会会長職を辞任したばかりである。観光庁によると「GO TO トラベル」事業の不正受給で刑事事件になったのはすでに8件もある。いかに経営が苦しいからとて政府の支援策である助成金を騙し取るとは悪辣で言語道断である。

 実は、HISの子会社2社の内、ミキツーリストがこれに加担していたことに驚いた。ミキがHISの傘下にあることも全く知らなかった。私が旅行会社を退職する17年前までは、同社は国内のどの旅行業者の色も付かない完全独立のヨーロッパにおける宿泊、観光の1.2を争う手配業者だった。在職中に随分お世話になった。実は個人的に親しかった20名前後の顧客でグループを作っては退職直前まで毎夏ヨーロッパか、北米を旅行していたが、その際ヨーロッパの観光手配はすべてミキにお願いしていた。そのミキがいつの間にかHISの軍門に降り子会社化され、ここに至って観光庁による刑事告訴も免れない存亡の事態に追い込まれていたとは余りにも惨めである。新聞紙上に全面広告を打ち、ヨーロッパ方面に多くのツアーを募集し、販売していたHISの子会社になれば、営業活動をせずとも楽に仕事を得ることが出来て、経営的にも楽だと考えたのだろう。今海外観光は暗闇の中にあり、いつまでこの不景気な状態が続くのかは、コロナの終息次第であるが、例え解決しても一度失った信用を取り戻すのは容易なことではないと思う。

 今回の事件でHISの子会社2社と客室提供の契約を結んでいたホテル運営会社JHATも刑事告訴の対象になる模様だ。

 昨日発表されたHISの今年度10月期決算によると純損益が過去最悪の赤字500億円で、売上高は前年期比▲72.4%だという。子会社の不正で受け取った給付金や、不正に関連した取引などの売上高は20億円、純損益が3億95百万円の赤字だったというからいかに全社を挙げて大掛かりにやっていたかということが想像出来る。HISの沢田秀雄・会長兼社長は、自らを含む役員の処分を行うようだが、こういう悪質な経営者は旅行業界全体の秩序を乱す点からも、前記菊間会長ともども業界から永久追放してもおかしくないと思う。

 HIS及び子会社は、地道にこつこつと一から出直すことしか、顧客の信頼を勝ち取る方法はないと思う。

 ミキツーリストの手配でイタリア、スイスの山岳地帯を案内した2003年の最後のツアーの、手元にある手製のガイドブックに目を通しているとそぞろ懐かしさが蘇ってくる。実に惜しいことである。

2021年12月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5343.2021年12月28日(火) 世界遺産都市イスファハンの旱魃

 今朝の朝日1面を見てびっくりした。「イラン干上がる古都」の書き出しである。古都とは、イラン中部の世界遺産都市・イスファハンである。そのイスファハンの世界遺産の象徴は、スィ・オ・セ橋、イマーム広場、そして広場に面して建つジャーメ・モスクである。1999年にこの地を訪れたことがある。干上がったとされたのは、ザーヤンデ川に架かる建物のようなスィ・オ・セ橋で、私もここを渡った。水量が豊富とは言えないが、純然たる河川だった。このザーヤンデ川が干上がって川底がむき出しになり、乾燥してひび割れてしまった。川岸にはもう使用出来なくなった足漕ぎボートがいくつも並んでいるのが哀れみを誘う。ザーヤンデ川がこのような乾燥状態になったのは、2000年代の初めころからだということだから、私が訪れたころからぼつぼつ川の水が減り始めていたのだ。当時は水が少ないなんて考えもしなかったが、今写真でその様子を見るとかつてそこに川があったとは信じられず、寂しい気持ちになる。

 元々イランは降雨量が少なく樹木が市街や郊外にもあまり見られず、砂漠地帯が多くて水不足は深刻な国家的問題だった。代替え策として利用された地下水の汲み上げが進み過ぎたことが水不足の最大の原因らしい。このため地盤沈下も大きな問題となっている。イスファハンの年間降雨量は、僅か150㎜程度でとても当てに出来ず、ザーヤンデ川上流のダムもその貯水率は11%程度というから頼りにならない。最近の気候変動による水不足で、国民が違法な井戸をたくさん掘り、それが地盤沈下にもつながっているともいう。

 イラン政府も水不足に対する対応を求める農民の声に充分応えられず、その解消のため人口降雨を研究したが、効果を表さなかった。今漸く取り組み始めたのは、南部のペルシャ湾の海水を淡水化する計画でこれが実現出来ないとイラン国民にとっては死活問題となる。

 1967年に初めてイランを訪れた時に、首都テヘランからカスピ海沿岸都市・チャールースへ長距離バスで向かったが、その途中で西アジア最高峰・ダマヴァンド(標高5610m)の麓であるアモル道路上で暴風雪に出会った。その数日後雪崩が発生したほどの豪雪地帯である。見上げるダマヴァンドも雪にすっぽり覆われていた。天の恵みであるこの積雪を何とかしてイランの水不足に利用出来ないものだろうか。 

 いずれにせよイランの水不足はイスファハンの素晴らしい世界遺産の存在にも影響を与えかねない。

 国内だけの問題の内はまだしも、水管理は今や国際問題化しつつある。ひとつの川がいくつもの国々を通過する間に、国同士で利水問題が発生する。イランでは他に近隣国との間で水源を共存する河川が多く流れ、利水やダム建設をめぐってトルコ、イラク、アフガニスタンとの間で緊張関係が続いている。

 世界的な水不足の傾向を解決する方法は、やはり今世界的な課題となった地球温暖化を防止する対策を、確実に、かつ迅速に行うことだろう。

2021年12月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5342.2021年12月27日(月) 冬季スポーツとNHK紅白歌合戦

 この数日寒い日が続いている。全国的な寒波襲来で、各地で豪雪により交通障害が起きている。東海道新幹線も徐行により、大分遅れているようだ。高速道路では交通停止めになったところがあちこちにある。近畿、北陸地方は特に大量の降雪があり、滋賀県彦根市で68㎝の積雪で、京都府舞鶴市でも12月としては過去最大の降雪があったが、南国四国の宇和島市でも積雪があったくらいである。東京都内でも練馬区では最低気温が▲3.4℃となり、12月の観測史上最も寒くなった。

 そんな極寒の中で、昨日は多くのスポーツで日本一が決まった。最も目立って報道されたのは、フィギュア・スケートの全日本選手権だった。優勝者以下上位3名は、そのまま来年2月に開催される北京オリンピックの日本代表に内定した。男子はオリンピック3連覇を目指す羽生弓弦が、女子は坂本花織が優勝した。

 また、コロナ禍のため大きく日程が変更された全日本柔道選手権では、柔道日本一を決める男子無差別級で同じ会社・旭化成に勤める同僚同士が決勝戦で戦い、昨年準優勝の太田彪雅が、昨年優勝の羽賀龍之介を破って初優勝を飾った。京都で行われた全国高校駅伝男女大会では、男子が広島県世羅高校、女子は仙台育英高校が優勝した。この他にも興味はないが、競馬の有馬記念G1レースが行われて1番人気のエフフォーリアが優勝した。

 これから北京オリンピックへ向けて冬のスポーツが注目されることだろう。花園名物の全国高校ラグビー大会も今日から始まった。全国大学ラグビー選手権も佳境に入り昨日準々決勝が行われ、正月に日本一が決まる。

 そして、クリスマスが去り、年末へ向けて多くの歌謡曲ファンが注目している「NHK紅白対抗歌合戦」にも、いつもと変わった動きがあるようだ。近年社会的に男女の差別化に対する反対や疑問が強まっている。ジェンダー(gender)という言葉をよく耳にするが、これは生物学的な性別(sex)に対して、社会的・文化的につくられる性別のことを指している。その平等なジェンダー時代に紅白歌合戦のように男女を競わせて勝敗を決めるのは如何なものか、との意見があるようである。今年の「紅白」では司会者は紅組(女性)と白組(男性)という区別をなくして、NHKアナを加えた3人が番組進行をするというジェンダーレスになるようだ。一般の視聴者からも「男女が競い合う設定に疑問」とか、「男女対抗は止めるべき」との声が多いようで、出演歌手の間でも男女を分ける必要はないのではないかとの声があるという。

 NHKとしては戦後間もなくラジオ時代に始まり、長年続いてきた年末恒例の人気番組である「紅白」だけに、今年から中止と軽々に言うわけには行かないようだ。だが、かつては放送開始前からテレビの前に家族が集まって開始を楽しみに待っていたころとは空気や期待感が大分違うようだ。実際、近年は高齢者が知らない歌を唄い、知らない歌手の登場は、高齢者のナツメロ族にとってはあまり興味が湧かなくなったし、歌詞も抒情的ではなく意味不明で、ダンス・踊りを見せるショー的要素が加わってステージも随分若者向けに変わった。これまで「NHK紅白対抗歌合戦」出場回数は、歌手としての実力を証明する履歴書とも言えたが、そういうナツメロはもう時代遅れということだろう。いずれ近い将来には見納めになる可能性があるので、大晦日は最後まで観てみようと思う。
 一世を風靡した歌手東海林太郎、岡晴夫、藤山一郎、村田英雄、三波春夫や、名物アナ宮田輝、鈴木健二の時代は、遥か遠くへ行ってしまったのだ。

2021年12月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5341.2021年12月26日(日) ロシア人の旧ソ連へのノスタルジア

 「光陰流水の如し」と言われるように、あっという間に時は流れていく。私自身戦前の生まれではあるが、まだまだ壮年期と思っている間に来年は早くも7度目の年男となる。父の没年を考えると余命はあと10年しかないということになる。

 こんなことを想うのは、1991年の昨25日旧ソビエト社会主義共和国連邦のゴルバチョフ大統領が辞意を表明し、今日26日にソ連は消滅した。15の連邦はそれぞれ独立国となった。それから早や30年が経過したからである。当時ソ連の崩壊は衝撃的だった。ロシア革命により地上に初めて生まれた社会主義国家であり、万民平等と福祉社会を目指した新しい国家の出現で時の労働者に光明を与えたからである。ロシア革命を主導し、成功させたウラジーミル・レーニンの願いは理想的なものだった筈であったが、革命7年後に53歳でこの世を去った。マルクス・レーニン主義を継承したと思われたスターリンは、その後社会主義者ならぬ独裁者として権力を一手に収め、2500万人もの市民を殺害したとされる恐怖政治を行ったのである。社会主義はこの時点で雲散霧消してしまった。見かけだけを社会主義国家のように装ったところで実態は、むしろ社会主義の対極にある覇権主義、帝国主義に他ならなかった。

 その後マルクスが提唱する社会主義とはかけ離れた旧ソ連流「疑似社会主義」と、西欧の資本主義国家による東西の対立が激化し、国際的な緊張は膨らみ続けて東西対立を煽り一時、それは朝鮮戦争、ベトナム戦争、キューバ危機などに引火して第3次世界大戦の勃発も懸念されるような事態になった。ところが、社会主義経済の発展がままならず、国民誰ひとり失業者はいないことを目指していたのに、街に失業者は溢れ国家と国民は疲弊していった。とても対外戦争を行える力もなくゴルバチョフ大統領は、ついに資本主義との折り合いをつける決断をした。

 実際東西対立時代にソ連の傘下にあった東ヨーロッパ諸国に何度か訪れる機会があった。全般的に市街に明かりがなく薄暗く、街から元気な声も聞こえず、音楽が流れて来るような空気はなかった。ブルガリアでは、デパートの買い物でも品物をその場で買えず、決められた場所でしか品物を受け取れない不自由さや、東ドイツでは行くところ寄るところで、常に秘密警察に付きまとわれ行動を監視されているようで気持ちは落ち着かなかった。今顧みると少々懐かしい気もするが、人々は夢も希望もなく自らの未来に明かりが見えなかったのではないかと、それらの国を出国する時に彼らの夢は何だろうと同情したものである。

 しかし、ソ連から衣を変えた現在のロシアにも、国民は夢を抱いているのか。20年ばかり前にシベリア鉄道でシベリアを横断した時の途中駅でデッキに群がる物売りのおばさんたちの様子や、モスクワ市内の寒い野外で野宿をしている不良者の姿を思い出すと、プーチン大統領こそ権力を握って国民を叱咤しているが、権力欲と私利私欲で国民の気持ちを蔑ろにして、新生ロシアも旧ソ連から一歩も進歩していないように見える。

 つい最近ロシアの調査機関「世論基金」が公表した世論調査によると、国民の62%が「ソ連崩壊を残念に思う」と旧ソ連への郷愁を感じていると発表した。しかも10年前に比べて11%も増えている。あの自由も思想もがんじがらめだった旧ソ連時代がどうして懐かしいのだろう。多分当時の実情を知らないからだろう。懲りないロシア人である。ここにプーチンが独裁者になる下地が窺える。お~怖い!怖い!

2021年12月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5340.2021年12月25日(土) 来年度予算案、閣議決定

 過去最大の2022年度国家予算案が閣議決定された。来年1月の通常国会で正式に決定されるが、近年拡大気味の国家予算は止めどもない勢いで膨張している。一般会計の歳出は、何と107兆5964億円と10年連続で過去最大の総額となった。このままの財政政策が続けば、いずれ破綻することは間違いない。政治家は呑気で無責任過ぎる。どうして黒字財政を目指す財政健全化のための検討、施策が行われないのだろうか。大学生だった1959年度の国家予算は、ほんの1兆4千億円だった。隔世の感がする。

 予算案の内訳でとりわけ目だったのは、以下3点でいずれも過去最大だった。1)社会保障費(36兆2735億円)、2)防衛費(5兆3687億円)、3)国債費(24兆3393億円)で、この3つの歳出だけで全体の2/3弱を占める。

 このバラマキとも言える傾向に、「文藝春秋」本年11月号に財務省のトップ矢野康治財務次官が「財務次官、モノ申す」と題して、近年の日本の財政政策のバラマキについて「このままでは国家財政は破綻する」と強く警告を鳴らし、特に政界であっと言わせた。これまで官僚が所属の官庁の政策について苦言を呈するのは、極めて稀である。痛い所を突かれた政治家は、腹立たしいとは思っただろうが、次官の言う通りでもあり、反論のしようもない。矢野次官は、「私たち国家公務員は、国民の税金から給料をいただいて仕事をしています。決定権は、国民から選ばれた国民の代表者たる国会議員が持っています。決定権のない公務員は、何をすべきかと言えば、公平無私に客観的に事実関係を政治家に説明し、判断を仰ぎ、適正に執行すること」と述べている。

 問題は大局的に見て次官の言う通り、いずれ国家財政が破綻する恐れがあるということが大問題なのである。コロナ対策を前面に出して予算案に加えて、予備費でもコロナ資金を支出させ、バラマキを煽っている空気を感じる。過去最大支出額がコロナ禍の蔭に埋もれているように思えて仕方がない。政治家には、財政赤字が実感として分かっていないようだ。歳出を賄う歳入が伴わなければ、国家財政が破綻するのは当たり前である。新年度は取らぬ狸の皮算用に終わらなければ良いが、一応税収の見通しを過去最大と見込んでいる。これと連動して国債発行額が減るのは結構であるが、基本的には税収を増やし、歳出額を減らすのが健全な財政政策である。

 過去最大の歳出とされ、歳出総額の約1/3に当たる社会保障費の増大は、社会福祉国家建設を目指し、高齢者や小さな子どもたちなどの弱い人たちへの支援を考えるとある程度止むを得ないが、全国民目線から納得出来ないのは、年々増額される防衛費であろう。

 自然災害発生の際に派遣される自衛隊員の協力には、素直に感謝の気持ちが湧いてくる。しかし、これはあくまで本業ではない。国の防衛のための「軍隊」として今では、陸海空を合わせて22万7千人を数える大世帯となった。しかも、自衛隊の存在は、憲法第9条に明らかに違反している。武器を持たないと約束した現行憲法下で、軍事力増強のために防衛費を年々増額することが許されるのだろうか。

2021年12月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5339.2021年12月24日(金) 国際情報を正しく理解するための中立性

 今日はクリスマス・イヴであるが、華やかな雰囲気とは裏腹に新型コロナウィルスの新変種株オミクロンが、日本国内にも少しずつ感染者が見つかっている。1か月前にはコロナ感染者数も徐々に減少し、いずれ終息するだろうと見られていたが、オミクロンが急速に世界各国に広がっている。イギリスは1日10万人単位で発症しているし、フランス、イタリアもそれに近い。アメリカでも相変わらず世界一の感染者数と死者を出している。

 オミクロン株が世界106カ国で確認されるようになったが、日本でも一昨日160人になった。東京都内でも今日4人の感染者が確認された。テレビ・ニュースやエンタメ番組でもコロナ、特にオミクロンに関してかなりの時間を費やしている。

 さて、ウクライナ情勢が北大西洋条約機構(NATO)とロシアの緊張した対立の狭間にあって今世界で注目を集めている。ロシア軍がウクライナ国境周辺に進出したことに対して、アメリカとNATOが撤退を求めて緊張が高まった。しかし、ロシアに言わせれば、ウクライナがNATOに加盟することは、ロシアにとって安全保障上見逃がせないとして緊張緩和のためNATOの拡大停止を求めている。ここで我々は、どうしてもロシアに対して日頃あまり好感を抱いていないせいもあり、先ずロシア軍のウクライナ国境周辺の進出が問題と考えがちだが、そこには一般には分かり難いウクライナならではの特殊な事情が潜んでいる。

 この辺りの事情については、先日セルビアの山崎洋さんが送ってくれたメールに記されていた。西側の報道はプーチン悪玉説で色塗られているという。つまり彼の見方は、ウクライナが旧ソ連から独立して以来、ウクライナ国内でロシア系住民の人権が著しく損なわれたり、ロシア正教に代わってウクライナ正教会を独立した教会にして、ロシアにとっては反ロシア政策に思える面が目立つという。また、クリミヤについては、元々ロシア領だったが、住民の意思に拘らず、ウクライナ出身のフルシチョフ首相の一存でウクライナに帰属させた経緯がある。ソ連崩壊時の大統領だったエリツィンは、ソ連解体を急ぐため現状維持を認めたが、その代償としてウクライナとロシア海軍基地の利用を認める条約を締結した。だが、条約期限が切れる前にウクライナは海軍基地をNATOに引き渡すことを検討しているとされ、これにより黒海を失い南からの攻撃に対する防衛に不安を覚えたロシアが住民投票を行い、ロシア帰属派が圧倒的に勝った。こういう現実問題と背景が、西側ではあまり伝えられていないと彼は言う。確かに日本でもこのような背景はほとんど伝えられず、ロシアの強引さばかりが強調されている節がある。

 これはウクライナ情勢に関するほんの一部の情報であるが、確かに我々の先入観とは大きく異なる。良し悪しはあるが、やはり情報はバランス感覚が必要で、中立の立場に立つことが望ましいと思う。その意味でも、山崎さんが送ってくれた情報は、待てよ!なるほどと踏み止まらせてくれる貴重な情報である。有難いことだと思っている。

2021年12月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com