5377.2022年5月11日(水) 坊ちゃん育ちの二世大統領と苦労人の首相

 一昨日行われたフィリピンの大統領選挙で、戦前の予想通りかつて独裁体制を敷き、ハワイへ亡命した元大統領の長男、フェルディナンド・マルコス氏が現職副大統領のレニ・ロブレド氏に2倍以上の得票差をつけ圧勝した。副大統領選も行われ、ドゥテルテ大統領の長女サラ氏が当選した。父親の権威をバックに幼いころから、ボンボンと言われた、所詮父親の七光りによって大統領の地位まで上り詰めた人である。選挙に際しても、一般的な主張はするが、国民が求める具体的な公約はまったく語ることはなかった。記者の質問にも真面に応えることなく、すり抜けていくような人物だという。俄か人気のようなムードの中で大統領になったとしても、果たして信頼され、長く職務を果たし、実績を残すことが出来るのか、疑問である。

 父親の独裁者時代を知らない若者が、マルコス二世の発信するSNSに引き込まれて彼へ投票したようだ。64歳とそれほど若いわけではない新大統領に懸念されるのは、近年国際法を冒してフィリピン近海へ海洋進出している中国と旨くやって行こうとの腹があることと、強権派で中国寄りだったドウテルテ現大統領の路線を継いでいこうとしていることである。

 アメリカにとってもフィリピンは重要な軍事同盟国であり、南シナ海の軍事拠点化を進めようという中国と対抗するうえでも協力が不可欠と考えている。しかし、ドゥテルテ政権同様に、マルコス政権も中国のインフラ開発への支援の見返りに親中路線を歩む考えのようである。新政権誕生は目出度いことではあるが、アメリカ同様日本にとっても、どうも気になるマルコス二世の大統領当選である。日本にとっても中国の海上進出もあり、マルコス大統領の言動が気がかりである。

 マルコス次期大統領に比べると、昨日訪日したフィンランドの女性首相サンナ・マリン氏はずっと堅実で頼りがいがあるように思える。2019年首相に就任した時、僅か34歳の若さだった。両親が早く離婚したため15歳の時からアルバイトをしていた苦労人である。

 フィンランドは、ロシアと1,300㎞に亘って国境を接しているため、ロシアに侵略される危機感からロシアを刺激しないようロシアと軍事中立態勢を取り、西側のEUには加盟したが、軍事同盟であるNATOに加盟しなかった。だが、今回のロシアのウクライナ侵攻により、フィンランド国民の気持ちは大きく変わり、安全保障上隣国のスウェーデンとともに、NATOへ加盟を申請する意向である。今日マリン首相は東大で講演し、自分たちの安全環境が脅かされる事態になったので、NATOへ加盟する意思を明確に語った。

 他国の大統領たるべき人物を、揶揄することは本意ではないが、坊ちゃん育ちの二世大統領と、家庭的に不遇で生活するためにバイトに精出さざるを得なかった苦労人の大統領とは、自ずから哲学、信念、リーダーシップ、周囲への気遣い、国民からの信頼感等において差が生れるのは当然だと思う。

2022年5月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5376.2022年5月10日(火) 53回目の💛結婚記念日を迎える。

 今日は我々夫婦にとって53回目の結婚記念日である。1969年の今日、最近しばしば話題に上がるホテル・ニューオータニで結婚披露宴を挙げた。見合い結婚ではあったが、今日までの53年間何とか人並みに、2人の息子と5人の孫を得て和気藹々の家庭を築いて来れたと信じている。コロナ禍と私の体調があまり勝れないので、豪華なお祝いディナーは後日に持ち越すことにした。

 結婚式翌日、当時としてはまだ珍しかった東南アジアへの新婚旅行に旅立った。現地の手配はすべて現地へ行ってからということで、ホテルやガイド、航空機以外の交通機関の予約は一切せず、相変わらずの武者修行型ハネムーンだった。生憎マレーシアでマレー人と中国人の間で対立が激化して暴動が起き、マレーシア国内に戒厳令が発令されたため予約した航空機が飛ばなくなった。そのために予定していたペナンやシンガポールへ行けなくなってしまった。暴動が日本でも大きく報道され、新婚夫婦の行方が分からなくなり、帰国日には妻の父が心配して羽田へ出迎えに来て、そのまま妻の実家へ連れていかれた。

 思えば随分波瀾万丈の新婚旅行だったが、予定を変えた現地では予想外に楽しく、以前に知り合っていた現地の人のお宅を訪ね、新妻を紹介して歓迎されたハッピー・ハネムーンだった。披露宴にご出席された我々夫婦の両親や、会社の上司・先輩、大学や高校の恩師、親しい友人たちもすでに冥界へ旅立ってしまった。

 振り返ってまずまずの結婚生活だったが、すでに金婚式を終え、この次は60年目のダイヤモンド婚である。最近体調があまり芳しくないが、7年後には90歳になる。何とかこれを目指して前向きに生きようと思う。

 さて、今日韓国では、尹錫悦・前検事総長が第13代大統領に就任した。日本からは、林外相が出席し、就任式後に新大統領と会談して過去最悪と言われている日韓関係を改善するための方策を話し合った。同時にこの日これまで大統領執務室があったソウル山裾の青瓦台を今日から一般開放した。大勢の市民が解放された庭園内に入って喜びの声を上げていた。これは尹大統領の青瓦台の執務室が帝王的大統領のイメージの象徴であるとして、大統領執務室を市内の国防省が入っている庁舎へ移転することになった。李承晩・初代大統領以来70年以上に亘って大統領府として使用された青瓦台が幕を降ろすことになった。

 今後いかに日韓両国が友好関係を復活させ、協調路線を歩んで行けるか、難しい課題を抱えている。現在最大の問題となっているのは、①従軍慰安婦問題、②戦時中の徴用工問題、の2点である。難しいのは、この2つの問題は、賠償金まで支払って一度両国外相の間で解決したが、その後韓国が次の政権になって未解決として問題が再燃したものである。この点について、日本政府は両国間で両国外相が協約したうえで、署名までしており、協約廃止は国際法に悖ると突っぱねた経緯がある。

 今や国際環境は大きく変わって来た。中国の海外進出などにより隣国同士で争っている状況ではなくなり、アメリカも日韓関係の悪化を懸念して、近日バイデン大統領が大統領就任後初めて日韓両国を訪れる。それは東アジアの安全保障の面からも、何とか日韓関係が改善されることを願ってのものである。

 幸い尹大統領は大統領選以前から、日韓関係の改善に力を尽くしたいと語っていたので、両国の関係改善に期待をしても良いのではないかと考えている。

2022年5月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5375.2022年5月9日(月) ロシア、対独戦勝記念軍事パレードを挙行

 昨日まで5月にしてはやや暖かく、あの北海道ですら真夏日が記録されたほどだったが、今日は昨日に比べて最高気温が5℃も下回り、大分寒いと感じて自室内では暖房をつけていたほどである。加えて小雨が降って一層寒さを感じた。まぁ庭の樹木には良いお湿りである。いつまでこのような気温の変化が激しい陽気が続くのだろうか。

 さて、今日はロシアが1945年第2次大戦で対独戦の勝利を祝う戦勝記念日として、ロシア各地28か所で軍事パレードが行われた。時差の関係もあり、午前中には極東のサハリン州都ユジノサハリンスクで勇ましいパレードが行われた。日本時間午後4時過ぎになって主会場であるモスクワの赤の広場では、プーチン大統領が演説を行った様子が生中継された。

 演説の要点として、①ナチスが復活しないように祖国の未来のために先手を打った。②ウクライナに最新の兵器を提供していると欧米を非難した。③避けられない唯一の正しい選択肢として特別軍事作戦を始めざるを得なかった。④欧米に互いに歩み寄れる安全保障体制を提案したが、無駄だったと述べたが、アメリカやNATOに対してウクライナを含む旧ソ連圏へのNATO不拡大を盛り込んだ条約案を送ったが、拒否されたとの不満を指しているようだった。欧米のメディアがその可能性を漏らしていた、ウクライナに対する戦争宣言、勝利宣言、或いは核使用については触れなかった。いくつか首を傾げる事態があった。前宣伝が派手だったにも拘わらず、パレード参加の兵士の数と軍事車両が少なかったことと、パレード直前になって恒例の編成飛行が突然中止されたことで、過去にはないことだった。天候が勝れないためとの理由だが、映像で観る限り上空は雲こそあったが、青空が見えていた。2日前には予行飛行を行っていたのに、隠された事情があったのだろう。

 1995年戦勝50周年記念式典には、江沢民・中国国家主席、ミッテラン・フランス大統領、メージャー・イギリス首相ら55カ国もの首脳クラスが、ずらり軍事パレードに出席していたが、今年ばかりはさすがに外国首脳はどこの国からも出席しなかった。日本からはかつて2005年に小泉首相が、ブッシュ(ジュニア)大統領、アナン国連事務総長らとともに出席したことがあった。

 ところで、昨日韓国で反骨の詩人と言われた金芝河氏が亡くなったとのニュースが入って来た。1970年前後に韓国民主化運動に関わり、朴正熙政権特権層の振る舞いを批判した風刺詩「五賊」を発表し、大きな話題となった。だが、これが政権を怒らせ投獄される羽目に陥った。一時は他の罪状と合せて死刑の判決を受けたが、後に減刑され7年間獄中にいた。「五賊」を発表したことにより、民主派のみならず、韓国当局にも金芝河という名を知らしめることになった。

 そもそも「五賊」とは、「首都ソウルのど真ん中に住む五人の盗人」との意味でやや刺激が強過ぎた。金芝河はこれら盗人に朴政権の腐敗を代表させ、架空の化け物として象徴化した。五賊とは具体的に、①財閥、②国会議員、③高級公務員、④将軍、⑤長・次官である。これが大きな話題になり、反政府活動を活気づけた。軍事独裁政権下にあって中々このような勇気のある人物にはお目にかかれない。特に平和ボケした日本では、先ず見当たらない。印象に残る韓国人のひとりだった。

 その後韓国では朴正熙大統領は、民主化運動を取り締まったが、思っても見なかった身内の大統領府警備担当部長によって射殺された。この不祥事以降韓国では、大統領の晩年は不幸に見舞われるケースが多発している。果たして明日就任する尹錫悦次期大統領は、大過なく職務を全うすることができるだろうか。

2022年5月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5374.2022年5月8日(日) GWが終わり、コロナが再び拡大

 今日で先月29日以来、10日間のゴールデン・ウィークが幕を閉じた。この期間は、3年ぶりに行動に制約がなく外出出来ることで、多くの人びとが溜まっていた自粛の鬱憤を晴らすかのように海外、国内各地へ旅行に出かけた。ひとつ心配されたのは、自由に動けることになって個人的には気を付けるにしても空気感染等により、コロナ禍の影響を完全にシャットアウトすることは難しいのではないかと思っていた。事実東京都では、昨日の新規感染者数は1週間前に比べて増えた。1日の感染者数が、前の週の同じ曜日を上回るのは、4月11日以来である。全国的にも同じ傾向である。それが、今日も東京都では新規感染者数は、先週の日曜日を1,509人も上回った。

 この調子だと再びリバウンド傾向を示して感染者数は今後増えていくのではないかと懸念される。今後余程絶対大丈夫だと医学会からお墨付きでももらわないと、行動に制約なしということは出来なくなるのではないか。一度は、明るい兆しが見えていたのに実に残念である。
 ウクライナ情勢に目が向いている間にアフガニスタンでは、昨年8月にアメリカ軍が撤退して以来、イスラム主義勢力タリバンによるイスラム教の教義に基づいた政治が行われていたが、欧米の目が行き届かない今頃になって、タリバン暫定政権はイスラム化体制を一層強めている。

 そのひとつに、アフガニスタンでは昨日暫定政権が、女性が外出する際は伝統衣装ブルカで全身を覆うことを義務付けることを発表したのである。何と強引で前近代的な強制措置であろうか。1996年から2001年までタリバン旧政権時代に、女性にブルカ着用を義務付け、女性の社会進出や通学を禁止し、国際社会から人権侵害として厳しい批判を浴びた。そして前政権時代に少しは民主化路線へ歩み出していた。しかし、それをタリバンの再登場に乗じて再び義務付けようというのだ。これには、尾ひれがついて、もしこれに違反すると女性の父親や夫が処罰される恐れがあるという。

 イスラム教の国々を旅行していると女性が、ブルカ等で身体を覆っている姿をよく目にするが、アフガンほど徹底して身体全体を覆っている女性の姿はないのではないだろうか。イランやトルコでも多くの女性は、ブルカと同じような土地特有の伝統衣装で身体を覆っているが、それでもほとんどは両目だけは覆うことはない。それがアフガンでは両目まで隠してしまう。ウクライナ情勢が一段落すれば、国際社会は再びアフガニスタンの非人道的な処遇を厳しく非難することだろう。

 さて、今日、5月の第2日曜日は母の日であり、奈良に住む長男の誕生日でもある。その長男から母親へカーネーションの花束を贈ってくれた。私も長男に誕生祝いのメールを送ったところである。長男も3人の大学生の子どもたちを抱えて教育費なども大変だろうが、もう少しの我慢なので頑張って欲しいと願っている。

2022年5月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5373.2022年5月7日(土) 軒並み赤字の交通産業、赤字路線廃止か?

 コロナ禍の影響を受けて一部の産業を除いて、どの企業も経営に四苦八苦している。中でも人の移動が減少したこともあり、観光・交通業の落ち込みが最も激しい。その中で旅行には欠かせない交通業の経営不振が著しい。特に、航空業、鉄道業が大きな打撃を受けている。

 昨日航空大手2社とJR主要3社の2022年度3月期決算が発表された。日本航空が1,775億円の赤字を計上し、全日空も1,436億円の赤字だった。両社は特に国際線がコロナ前に比べて収益が約9割も落ち込んだ影響が大きい。コロナの勢いも少し下火になってきたので、このGWでも国際線はハワイを主にかなり回復したようだ。幸い政府の自粛要請が終わり、入国制限も緩和に向かっており、今年度は過去2年間のような惨めな決算にはならないと考えられる。

 一方、JR3社では、JR西日本の1,131億円、次いでJR東日本949億円、JR東海519億円の赤字が計上されている。航空会社は、コロナ禍以前の状態に客足が戻れば、再び順調な経営を続けられると思われるが、JR各社の場合は、他に難しい問題を孕んでいる。その最たるものは、特にJR西日本が抱えている不採算赤字路線による年々重なる赤字額である。鉄道会社の場合は、赤字路線だから直ぐ廃線というわけには行かない。地元自治体や地域住民の生活が脅かされると強い反発があるからである。しかし、あまりにも採算路線への回復が難しい路線については、国土交通省が仲介して検討会を始めようとしている。

 例えば、JR西日本の赤字ローカル線の中でも、木次線の出雲横田~備後落合間29.6㎞は、1日に1㎞当たり僅か18人しか乗客がおらず、100円稼ぐために26,906円も支出することになるという。この赤字路線をJR西日本一社だけが負担するのは、あまりにも厳しく、地元の苦悩は理解出来るが、多少の不便を我慢して、赤字を大幅に削減出来るバスへ切り替えることを考える必要があるのではないか。これらの赤字路線は、何度か乗車したことがあり、車窓から北アルプスの山々を眺められるJR東海の大糸線を除いて、殆どがJR西日本加古川線、姫新線、芸備線などのローカル線であるが、大都市圏でも同じような問題を抱えている地域がある。普段は経営安泰で気づかなくても、一旦ことが生じると経営が逆転することもあり得ることを普段から肝に銘じておくべきだと思う。

 さて、一向に戦闘が収まりそうもないウクライナ情勢でマリウポリの製鉄所地下のシェルターに避難している民間人を何とか人道回廊で避難させようとの試みが中々予定通り進まない。ロシア、ウクライナ両軍も互いにミサイル弾を発射させるようになり、戦線はエスカレートの傾向が見える。そんな時に、ロシアの黒海艦隊のフリゲート艦「アドミラル・マカロフ」が、ウクライナ軍の対艦ミサイルによって攻撃を受け、爆発したと報道された。圧倒的な軍事力でウクライナをすぐにも降伏させると自他ともに見られていたロシアが一進一退でウクライナの善戦が目立っている。これも欧米諸国らの兵器などの支援物資の援助があるからである。それにしても何とか1日も早く、停戦、或いは休戦へ持ち込むことは出来ないものだろうか。

2022年5月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5372.2022年5月6日(金) プーチン大統領、イスラエル首相に謝罪

 一昨日本ブログに取り上げた、ロシアのラブロフ外相が「ヒトラーにユダヤ人の血が入っている」との発言について、昨日プーチン大統領がイスラエルのベネット首相と電話会談をして謝罪した。イスラエルについてプーチンはどう考えたのか分からないが、本音はイスラエルを敵に回したくなかったと思う。今度のウクライナ侵攻についても国連で、その是非を採択した時、意外にもイスラエルはロシアを非難するのではなく棄権を選択した。これはロシアにとっては有難いことである。特に、ロシアは旧ソ連崩壊前に社会主義路線を歩んでいた当時、パレスチナ地区でアラブ諸国とともに反イスラエル的行動を取っていた。しかし、ロシアが覇権主義に近づくにつれパレスチナ解放機構(PLO)への支援から遠ざかって行った。これはイスラエル側に少し歩み寄ったパフォーマンスである。今世界中からロシアへの非難の声が上がっている中で、イスラエルを遠ざけるようなことになってはロシアにとって一大事となる。そんな打算から敢えてイスラエル首相に謝罪をしたのではないだろうか。その陰で張本人のラブロフ外相はどんな気持ちでいるだろうか。小学生が先生に叱られて、親が謝罪しているような童画を見ているようだ。

 さて、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が、4日ITバブル期以来22年ぶりとなる大幅な金利の引き上げを決定した。昨今のアメリカ国内のインフレが高水準のまま続いて、市場に出回る資金を減らす量的引き締めが始まる。現在の政策金利水準が、0.25%~0.5%から0.75%~1.0%へ引き上げられる。アメリカの消費者物価指数は、約40年ぶりと言われるほどの高水準で市民の生活を直撃している。2年前に始まったコロナ禍の経済を支えるために始まったゼロ金利政策と量的緩和策からインフレ抑制へ向けた金融引き締めで、今後アメリカ経済はどう変化するだろうか。

 なお、アメリカの金利引き上げに呼応するかのように、イギリス中央銀行のイングランド銀行も5日政策金利を0.25%引き上げ、年1%にすることを発表した。アメリカと同様に物価上昇率は前年同月比7.0%で30年ぶりの高水準となった。

 これらの金利引き上げによって、日本国内では現在進行中の円安傾向が一層加速することが、懸念されている。建設的な手を打たないと今も上昇し続けている消費者物価が、一段と上がることになる。岸田政権で脱インフレを担当する鈴木俊一財務・金融担当大臣は、経済状況を把握してきちんと即応的対策を講じて欲しいものである。

2022年5月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5371.2022年5月5日(木) 自己本位のロシアによる入国禁止処分

 昨日ロシア外務省は、岸田首相ら政治家、学者、メディア関係者など日本人63人のロシア入国を無制限に禁止すると発表した。言うまでもなく日本がロシア軍のウクライナ侵攻に対して、欧米と足並みを揃えて対ロ制裁を行ったことへの報復措置の一環である。岸田首相は、現在イタリアを訪問中であるが、訪問先で「軍事的手段に訴えて今回の事態を招いたのはロシア側だ。日ロ関係をこのような状況に追いやった責任は、全面的にロシアにあるにも拘わらず、このような発表を行ったことは断じて受け入れることは出来ない」と強く批判した。

 63人の顔ぶれを見てみると、何となくロシアから疎外されそうだなと思える人物が含まれている反面、意外な人物の名前も挙がっている。政治家では自民党閣僚らのリストアップは止むを得ないとしても、日本共産党の志位和夫委員長や、スポーツ評論家の二宮清純氏、月刊誌「選択」発行人の湯浅次郎氏のリスト入りはどうにも不可解である。とりわけ志位委員長がロシアに嫌われたのは、理解に苦しむ。ソ連崩壊前は、共産党の本山であるソ連共産党の手足となって社会主義、共産主義の啓発のために地道に活動していた日本共産党の働きぶりをまったく評価していない。例え、それが「ソビエト社会主義共和国連邦」から「ロシア連邦国家」に衣替えしたにしても、ソ連邦時代に社会主義発展のためにスケールは小さいながらも精一杯努力し、ソ連に協力してきたのが日本共産党である。例え日本共産党が、共産主義をまったく実践していないとして交流を中止した中国共産党と同様、ロシアに対しても愛想尽かしをしたとしても、ロシアは志位委員長を締め出すのは理解に苦しむ。それを日本の保守政治家とともに一蓮托生扱いにするとは、何と恩知らずの国家だろうか。

 読売新聞、産経新聞、日本経済新聞の社長ら首脳陣合わせて9名も名指しされたのは、日ごろの反ロシア論からして読売及び産経は理解出来るが、純然たる経済紙である日経幹部の入国禁止は理解出来ない。それにしてもメディアに関しては、ロシア政府には鷹揚に清濁併せ呑む考えが見られない。これはすでにロシア国内でも反政府系メディアが言論統制に晒されている実情から、プーチン大統領がお気に召さなければすべて排除しようとの考えだろう。

 ひとつ興味深いのは、湯浅「選択」発行人の指名である。もう20年余に亘って興味深く購読している「選択」は、幅広い分野に鋭い視点と追及、及びその分析力は他の雑誌には見られないものだ。そのため槍玉に挙げられた個人や、企業が名誉棄損で司法に訴え、彼らとの間で年中裁判騒ぎが続いていると聞いている。

 因みに「選択」5月号にも、ロシア関係の記事がかなり掲載されている。例えば、「プーチンの寝首を掻くのは誰か」「中央アジアでプーチンに『反旗』」「人民解放軍に走る『ロシア・ショック』」「習近平専制で進む『ロシア化』」「北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター 期待に応えぬ『ロシア専門家集団』」等である。同誌4月号にも「邪悪さ増す『中露の枢軸』」「プーチンはどう幕を引くのか」「ロシア情報機関に『反乱』の兆候」「国際法廷はプーチンを裁けるか」「在日ロシア大使館」「欲望渦巻くサハリン『ガス権益』」「ロシアに沈黙の『安倍と森』」等である。これではロシア政府が怒るのも無理はないか。だが、一読者として「選択」に目を通す限り、読み応えがあり、どこからも得られない情報が詰め込まれていて、いつも目を覚まされるような気になる。それにしても先ず自ら反省してから、相手に持論を述べるという考えが、プーチン帝国には、まったくないようだ。

2022年5月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5370.2022年5月4日(水) 常識人たるべき人物に見識がない。

 昨日の朝日新聞に紹介された、特異な考えを講演会で語った元外交官の思い込みの強い主張には、少々疑問を感じた。これには取材した記者も些か呆れ気味だった。その記者は講演会後に元外交官に取材を申し入れたが、短い時間では説明しきれないと拒絶されている。元外交官とは、かつてウクライナの特命全権大使を務めた馬渕睦夫氏である。このように外交官として立派な経歴があるのなら、普通はウクライナに幾分ひいき目のコメントを述べるところだろうが、氏はこともあろうに「毎日プーチンの悪口ばかりで最近ではブチャの虐殺と書かれているが、あれはウクライナの軍、警察、治安当局だ」とメディアの論調とは逆に、ウクライナ当局はウソを言っているとロシアを弁護している。いろいろ客観的な証言や証拠写真から、ブチャの虐殺はロシア軍によって行われたことは明白と言っても好い。このような外交官が任地でその国と日本とのためになる建設的業績を残すことが出来るのだろうか、極めて疑問である。実際外務省内でも同期のOBが、馬渕氏の言動に異を唱えて突き放しているという。

 もうひとりその言動に疑念を感じざるを得ない人物がいる。発言は若干対象が異なるが、ロシアのラブロフ外相がイタリア・メディアとのインタビューで、「ヒトラーにもユダヤ人の地が流れていた」と発言したことが波紋を広げている。国家間の友好関係を常に心がけるべきである一国の外交責任者が、第二次大戦参戦国の間で唾棄すべき発言をいとも気安く行ったのである。もともとラブロフ外相は、外相としての資質、性格よりは、プーチン大統領への忖度によって今の地位に居座り続けている人物で、とかくその言動は眉を顰めることが多い。この発言には、流石にイスラエルのベネット首相が「発言は事実ではない。ホロコーストを政治の道具にしてはならない」と直ちに非難している。こんな発言をすれば、世界中から非難されるのが分りそうなものなのに、敢えて喋ってしまう軽薄さが外相とも言える人物にもあることが分った。だが、こんな人物が外交交渉の最前線に立つようでは、交渉がスムーズに行く筈がない。

 さて、毎月定例のブログ・アクセス状況が今日‘Google Search Console’から送られてきた。それによると、私のブログの中で2番目にアクセスが多かったのが、4月23日に書いた「幻と消えた第二山手線」だった。これは同日23日夜NHK/BSで放映された「パラレルニッポン、幻の第二山手線プロジェクト」を観たうえで書いたものである。このドキュメンタリーを放映前に友人らにも知らせて観るよう勧めたところ彼らも面白い番組だったと言ってくれた。小田急関係者からは、噂では聞いていたが、これほどまでに第二山手線の計画が具体化されていたとは知らなかったと聞いた。時代の大惨事に見舞われて、残念ながら折角実施段階まで手を付けていながら実現しなかった。もし、仮に第二山手線が実現されていたら東京都内の交通事情も随分、現在とは異なっていただろう。とにかく観るに充分値する番組だった。

2022年5月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5369.2022年5月3日(火) 日本国憲法施行から75年

 今日は憲法記念日である。公布されたのは1946年11月3日であるが、施行されたのは、翌1947年の今日である。いくつもある国民の祭日が、とかくお祭り気分になりがちな中で、その意味を真剣に考える1日である。近年憲法改正論議が喧しい。その主たる問題となっているのは、自衛隊の存在を憲法上に明記すべきとの論調である。更に自衛隊を軍隊として認めるべきであるとの主張も根強くなってきた。それには、最近のロシア軍によるウクライナ侵攻も幾分与って力となっている。

 最近朝日新聞社が行った世論調査によると、驚くことに現行憲法を変える必要があると応えた割合は、56%にまで急上昇している。昨年の調査では、45%でしかなかったが、今では過半数が憲法改正を是としていることが分る。その反対に当然のことながら、変える必要がないと応えた人は37%で、昨年の44%から大分減少した。NHKの調査でも改憲は必要が35%、不必要は19%である。そもそも改憲必要派が、不必要派を上回る傾向は、1990年代から始まっていた。結局世代交代が進み、辛い戦争を実感として知っている人たちが、段々少なくなり、戦争の恐ろしさを実感として知らない世代が増えて来たことが、その背景にある。

 個人的には、憲法を改正する必要はないと考えている。確かに現実に自衛隊が存在し、災害の折には国民にとって誰よりも大きな力となって頼りになる。これを軍隊にまで格上げする必要はないと思う。現状のままで自衛隊は災害時の活躍しているからである。

 一旦軍隊と認めれば、その軍事力と拡大は瞬く間である。戦前の軍部の行状を見れば分ることである。恐らく軍隊の強大化と拡大のために軍事予算も止め処がなくなると思う。憲法改正の焦点は、第9条に掲げられている軍備を持たず、永久に戦争を放棄することである。今日の自衛隊の存在ですら、軍備に当たるのではないかとの憲法違反容疑が出ている。確かに軍隊という名ではないが、自衛隊という隠れ蓑によって軍隊まがいの自衛力を具えている。現実問題として、今日まで自民党政府は、自衛隊は軍隊ではないと言いながら自衛隊を軍隊のように育成してきた。しかし、国民の表面的な声としては、災害発生時に最も頼りがいのある組織となっている。これを今更廃止することは難しいと思う。そこで憲法には触れず、このまま「自衛隊」として存在を認めることにしてはどうかと考えている。かつて湾岸戦争の折に、欧米から求められた「軍隊としての」自衛隊の派遣を、憲法上派遣出来ないと言い逃れたこともある。

 しかし、何といっても怖いのは、戦争を知らない世代が増えて戦争を史実として、また現実感のないものとしか考えなくなり、本当の戦争に拒絶感を感じなくなることである。そういう意味でも、今日の憲法記念日を「憲法」というもの、「戦争」というものについて真剣に考える1日であって欲しいと思っている。

2022年5月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5368.2022年5月2日(月) ウクライナ戦争にトランプ氏が関わる?

 東京医療センターのリウマチ膠原病内科でこれまで変形性関節症と見られていた左手は、改めて診てもらった先月26日の診察では「偽痛風」の診断が示された。その時左手は大分腫れ上がっていて腕時計も着けていられなかった。幸いその後服用薬の効果が表れたせいか腫れは退いた。今日も採血をしてもらって、先日はそれまで1以下だったCRP数値が5.82にまで上がって医師も驚いていた。それが、今日は1.65にまで下がって医師ともどもホッとしたところだ。まだ数値は高いが、余程のことでもない限り、次第に下がるだろうと期待している。ただ、偽痛風とは別に左膝の痛みは一向に退かず、椅子から立ち上がる時や、階段の上り下りに苦労している。困ったものである。
 さて、相変わらずロシア軍による侵攻が続いているウクライナでは、昨日ゼレンスキー大統領が、東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所内の地下シェルターにいた1千名近い避難民の内、百名を避難させたと明らかにした。避難民の中には、最近2か月間太陽を見ることがなかったと厳しい避難生活を語っている人がいた。ところが、それがロシア国防省によると「プーチン大統領の主導によって、ウクライナの民族主義者によって拘束されていた女性や子どもを含む市民80人が製鉄所の敷地内から解放された」とロシア流の都合の良い発表になる。この後残されたままの市民をどうやって解放するかが問題で、その点についてはどこからも何の発表もなかった。

 今日からちょうど1週間後の9日には、ロシアにとって恒例の第2次大戦戦勝記念日に当たり、華やかな軍事パレードがロシア各地で行われる。とりわけ世界が注目するのは、モスクワ市内の「赤の広場」で挙行される大軍事パレードで、毎年大統領以下閣僚や、軍幹部が見守る中で行われる。

 実は、この戦勝記念日にプーチン大統領は、これまでの侵攻を戦争ではなく特別軍事作戦であると内外に語っていたが、今後は戦争として堂々攻撃を行うと宣言するのではないかと見られている。

 ウクライナに対する各国の軍事支援が滞ることなく続けられている。恐らくこの国際的支援がなければ、ウクライナはとっくに白旗を掲げていただろう。しかし、いずれも軍事支援としては、資金と兵器、物資の供給であり、人、つまり兵士の派遣は差し控えている。他国の戦争で自国兵士を失いたくないとのそれぞれ当然の思惑があるが、中でも一度ことあればすぐにでも戦地へ自国兵を派遣していたアメリカが、今度の戦争に限ってはその素振りを全く見せない。下手に介入すると狂ったプーチンが核のボタンを押しかねないとの懸念と、バイデン大統領の慎重さがある。もし、攻撃的なトランプ前大統領が大統領職に留まっていたら、事態はどうなっていたか分からない。

 アメリカでは今年11月に中間選挙が実施されるが、トランプ氏は退任後もアメリカ国内で自らの政治団体と派手に演説会を行い、大統領職への未練を覗かせている。その一部に沸騰した人気ぶりは前大統領選で敗退した人とは思えないほど観衆を集め、次期大統領選挙戦に意欲満々の様子である。仮にトランプ派が11月の中間選挙で勝利を収め、その勢いでトランプ氏が2024年の大統領選挙に再選されるようなドラマが演じられるようだと、ウクライナ戦争へ米軍が介入して、第3次大戦に発展しかねない事態に追い込まれる可能性も考えられる。執念深いトランプ氏の言動からも目を離せなくなった。

2022年5月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com