5427.2022年6月30日(木) 世界的猛暑、東京36.4℃、テヘラン42℃、南極▲53℃

 いくら自宅内で静かにしていても、連日うだるような外の暑さは感覚的に分る。玄関から一歩出て郵便を受け取りに出ただけでも暑さは身に感じる。東京都心では6月最終日の今日、6月としては過去最高の36.4℃を記録し、6日連続で猛暑日となった。偶々上海が同じ気温だった。東京都には今日も「熱中症警戒アラート」が発令された。

 ただ、この全国的な高温は日本ばかりでなく、現在冬に当たる南極アムンゼン・スコット基地の気温でさえ、最高▲53℃、最低▲64℃である。南極の例は別にして世界的に高温傾向が窺え、アラブ・アジアでは特に高温に悩まされているようだ。実際、真冬に訪れて雪の中で立ち往生したことのあるイラン・テヘランでは、この時期としては今日最高の42℃だったし、イラクのリヤド43℃、バグダッド41.1℃、インドのニューデリーは41.5℃だった。ヨーロッパでもローマで38℃を記録した他に、北欧でもストックホルムで30.4℃、ヘルシンキでも30.2℃を記録したほどである。アメリカではシカゴで30℃を記録した以外、今日のところ格別に高温都市は目立っていないが、これから7月、8月の高温の季節に入ると1913年7月10日にこれまでの世界最高気温56.7℃を記録した「死の谷」を意味するデス・バレー(DEATH VALLEY)を抱える国だけに、今後の炎暑が懸念される。

 年々夏の暑さは度を高めているが、つまるところこれは地球温暖化が進んでいるせいでもある。その原因である二酸化炭素排出量を削減する各国の取り決めが、身勝手にもアメリカのトランプ前大統領の理不尽な行動、つまりパリ協定から一方的に離脱をしたために国際的な排出ガス削減の歩みは遅々としている。

 2019年時点で世界の二酸化炭素総排出量は、335億㌧で、その内約1/3に当たる29.5%を中国1国だけで排出している。次いで、アメリカの14.1%、インド6.9%、ロシア4.9%、日本3.2%が占め、上位3か国で全排出量の半分になる。日本でも全体の3.2%に当たる10.7億㌧を排出しており、あまり大きな顔は出来ない。気候温暖化と同時に、意図的に核の使用によって地球を絶滅させようとの言動もとても許すことは出来ない。ロシアが今ウクライナ侵攻で第3次世界大戦に発展する危険性が憂慮されているが、それと同時に中国とアメリカにも地球を死滅させる武器・核兵器を威嚇的に所有していることは許せない。結局大国の考え次第で地球は滅び、人類は死滅させられるのだ。

 こうした空気の中で、このほど閉幕した主要7か国首脳会議(G7)で、気候変動対策の国際ルールづくりのため「気候クラブ」の設立を目指す方針が示されたという。設立の狙いとして、この問題はG7だけではなく、広く途上国や新興国を巻き込む必要があると考えられた。確かに、一部の国だけが積極的に気候変動対策に取り組んでも地球規模では脱炭素が進まないとの懸念がある。しかし、いつまでも待っている時間がない。ここは大口の排出国が自ら責任を感じて、せめて上位排出15か国が自国で排出した全排出量の3/4分を削減するよう努めることが先決である。そうすれば、暑さは大分弱まる可能性がある。そのためにも戦争好きな殺人者プーチンのロシアと、絶対君主の習近平が君臨する中国、そして自国内の大量殺人事件を解決出来ないバイデン大統領のアメリカの責任は重いと言わなければならない。

2022年6月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5426.2022年6月29日(水) 国政政党「NHK党」の選挙公約は無責任では?

 今日の暑さも異常である。特に今年は関東地方、それも北関東の高温が目立っている。最高気温の上位10都市は、今日もすべて関東地方の都市だった。中でも群馬県は1位伊勢崎市の40.0℃を筆頭に、3位桐生市39.5℃、4位前橋市39.4℃の2都市が上位を占めているのをはじめ、舘林市が9位、高崎市が10位に入っていた。この暑さに電力も逼迫気味で、政府は東電管内に「電力需給逼迫注意報」を出して広く節電を呼びかけている。今週末はまだ暑くなる傾向のようで、とても外へ出かける気がしないが、そんな時に一時的にも減少気味だったコロナ感染者がまたリバウンド化している。どうしてそうなるのかよく理解出来ない。

 その暑い最中に参議院選の候補者宣伝カーが町内を回っているが、案外高齢者は自宅へ引きこもっているので効果的であるかも知れない。

 ついては、その参議院選に関して、今朝新聞と一緒に、比例代表制と東京都地区選出用の選挙公報が配布された。地区選出用のそれに各立候補者の公約が載っているが、国政政党ではない政党の見慣れない党名に目を瞠っている。「新党くにもり」、「バレエ大好き党」、「参政党」、「維新政党・新風公認」、「メタバース党」、「自由共和党」、「共和党」、「日本改革党」、「核融合党」、「天命党」、「スマイル党」、「平和党」、「議席を減らします党」、「日本第一党」等々、これだけで14党もある。どうも党名にもおふざけ感覚が強く、選挙民を些か舐めているような気がしてならない。

 この他に国政政党となった「NHK党」などは、たったひとりの参議院議員しかいないのにも拘わらず、立花孝志党首が選挙戦の党首討論などで岸田首相らとテレビ番組に出演し顔を売っている。当初「NHK党」が名乗りを上げた時は、「NHK受信料不払い党」として首を傾げるような党名でデビューし、最近では7度目の党名変更をして「NHK受信料を支払わない国民を守る党」から、分かり易い「NHK党」に変更したと総務省が公表した。NHKのスクランブル放送の実現に向けて突き進むとコメントを公表した。この党名にあまり良いイメージを持てないNHKは、異議を唱えることが出来ないものだろうか。「NHK」というのは、「日本放送協会」の英語訳の頭文字で出来ているので、NHK以外では使用出来ない筈だと思う。党名は、主たる党創立のひとりで元NHK職員だった現在の立花孝志党首だった事実か、或いは何か弱みを握られていることが、NHKが使用を黙認している理由だろうか。

 それぞれの政党はそれなりに良かれ悪しかれ選挙公報上に公約を訴えているが、中でも「NHK党」のそれは、党のコールセンター番号を大きく書き出して気軽に電話して欲しいと型破りなアピールをして、選挙公約自体も「全ての国民はNHK受信料を支払わなくても大丈夫」と訴え、NHK受信料を不払いする方法を教え、支払わないと集金人が来たり、請求書が届き、裁判になることがあるが、すべてNHK党が解決すると堂々と安請け合いをしているのだ。他にはほとんど公約はないと言っても好い。

 それでいて、「我々の多くは当選できません」と戦う前にいとも簡単に兜を脱いでいる。「しかし、1票につき約250円、あなたの投票で政党助成金が公布されます」と国家の懐を充てにしている。「このお金を使い、NHK党は、NHKから国民を全力でお守りしています」と都合の好い持論をのたまわっているのだ。東京都選挙区の立候補者の公約には、「1票が約250円、つまり、選挙区と比例区の2票で約500円の政党助成金が公布されます」と書かれている。日本共産党がその主旨がおかしいとして今も受取を辞退している政党助成金だけを、NHK党は当てにして選挙戦に臨んでいて、何か納得出来ないような気がしている。

 まぁ、それはそれとして有権者は、よくよく公約の内容を吟味して迂闊な売り言葉に騙されてはいけない。

2022年6月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5425.2022年6月28日(火) 「キューバ『危機」一発』を考える。

 ロシアのプーチン大統領の軽はずみな核の使用発言によって、核戦争が懸念される中で、昨晩NHK「映像の世紀」シリーズでドキュメンタリー「キューバ危機 世界が最も核戦争に近づいた日」が放映された。1962年10月、大学4年在学時に突然起きた世界的な事件について、この番組が伝えた核戦争勃発の危機に瀕した裏舞台の細かいところまでは知る由もなかったが、改めてその凡その舞台裏を知って驚いた。下手をすると核戦争に世界中が巻き込まれる危険性があったのだ。

 ことの発端は、アメリカ空軍の偵察機がキューバに建設中のソ連のミサイル基地を発見したことからである。これが完成すれば、アメリカの主要都市がソ連の核ミサイル射程距離内に入る。その時からJ.F.ケネディ大統領、マクナマラ国防長官、ロバート・ケネディ司法長官、ルメイ空軍参謀総長ら、ホワイトハウスと国防総省高官との間で魔の13日間と言われる連日の極秘会談が行われた。ルメイ参謀総長が積極的に先制攻撃を主張するのに対して、第3次世界大戦勃発を危惧するケネディ大統領は、何とか開戦を避けるべく情報収集にあたり、対策を練った。当時は公にされなかった会議の音声録音が記録されていたことで裏付けが出来ることが素晴らしかったと思う。

 2016年8月キューバを訪れた時、この事件が当然のように頭を過り、航空機上からソ連艦の位置を想像したりしていた。この事件の背景にはそれより以前にキューバ革命を成し遂げたカストロ革命評議会議長が、アメリカを訪問して、アメリカで歓迎され、アメリカ議会でも演説を行った。しかしながら、当時のアイゼンハウワー大統領は冷淡な対応で、カストロと会談しようとの気がないばかりでなく、会おうともしなかった。当初の会談予定日にゴルフに出かける有様だった。この絶好の機会を逃さなかったのが、ソ連のフルシチョフ首相だった。ソ連が甘言でカストロ将軍を抱き込み、キューバ国内に対アメリカ攻撃用施設の建設したのだ。

 アメリカには当時のソ連政府の社会主義政策に反対していたソ連人スパイのペンコフスキーが、機密情報をもたらしてくれた。気の毒にも、その後彼はソ連当局によって逮捕され、気の毒にも自分の考えを貫き納得したうえで処刑された。その彼が得た資料を利用して軍部は先制攻撃をしきりに説き、ケネディ大統領を困惑させた。最終的には、ケネディとフルシチョフの良識が、軍部の好戦的な積極論を抑えた。ソ連がキューバ国内のミサイル基地の撤去に同意することによって、核戦争は未然に防ぐことが出来た。

 民主主義国家アメリカのあのケネディ大統領にして、戦争防止のため軍人たちを説得することは至難の業だった。振り返って日本の戦前の軍部の横暴を誰も止めることが出来なかったことは残念だが、ある点でその局面は理解出来ないこともない。

 これほどの情報を、関係者はよくぞ今日まで保管してくれたものだと敬服し、感嘆するばかりである。それにしても、このドキュメンタリー・シリーズは、世界的事件の貴重な情報を随分思い切って解析して放映してくれる。前回もアラブ人とユダヤ人との相克の中で、活動したアラビアのロレンスについて紹介された。これからも月曜日の夜を楽しみにしたいと思っている。

2022年6月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5424.2022年6月27日(月) 第1次大戦前保津峡を下った話題の皇太子

 今朝の朝日新聞「天声人語」を読んで、不思議な興味を覚えた。明日は1914 年に第1次世界大戦勃発の発端となったオーストリアの皇太子が、セルビアの1青年の凶弾に倒れた衝撃的な1日である。実際の第1次大戦の戦闘は、1か月後の7月28日に始まった。爾来108年になる。興味深く思ったのは、皇太子が死の21年前に日本を訪れ、京都で保津峡下りを楽しんだとのくだりである。中学時代を嵐山に近い京都市内桂で過ごしたが、偶々通学していた京都市立上桂中学校(現桂中学校)の外側の公道を嵐山まで下った舟が、南隻もトラックに積まれて再び出発地点まで運ばれる光景が2階の教室からしばしば見られた。父親が舟の船頭をしていた同級生もいた。

 その運命の皇太子は、「オーストリア皇太子の日本日記」にこんなことを書き残していた。「か弱き舟は木っ端みじんかと覚悟したとき、なんと舵がきられ・・・すんでのところで舟はかすめ過ぎた」。これほど保津峡下りの舟の扱いをうまく捉えて描写したのは、感受性が豊かな人だと分る。実際遊船組合の理事長さんも「川の流れの理(ことわり)に合わせ、勢いに乗りつつ、あるところまで来たら人間の力と判断で岩をかわす」と語っている。この後は天声人語氏の言葉であるが、「まるで国の舵取りではないか。ここぞという局面で打つ手をあやまてば、国民を乗せた舟は巨岩を避けられない」と至極当然のことを述べている。

 私自身実際に保津峡下りを楽しんだことはないが、動画で観る限り船頭の責任は重大である。全ての組織のトップは、この船頭のように責任を充分承知のうえで能力を発揮して事に当たっていることと思う。その責任を放り出して好き勝手に動いている政治家はいないだろうか。最近では、知床半島遊覧船沈没事故の経営者は間違いなく、無責任な会社経営を行って岩にぶち当たっていた。
 さて、ロシアでルーブル建てロシア国債の支払いを西欧の金融機関に拒絶されてからロシア国債のデフォルト(債務不履行)が懸念されていたが、昨日支払い猶予期間が終わり、ロシアはデフォルト状態に陥った。元々ドル建て債とユーロ建て債の利息計約1億㌦(約135億円)は、5月27日に期日を迎えて昨日までは支払い猶予期間に入っていた。ロシア側はベルギーの国際決済機関に送金したと述べていたが、制裁により期日までに利息が国外の国債保有者に届かず、債務不履行と見なされた。

 これまでロシアはデフォルトを物ともせずと強気だったが、現実にデフォルトが現実になるとこれまでの強気を装うことも難しくなり、ウクライナ戦線にも影響が現れるのではないだろうか。

 そこへ今日からドイツのエルマウで日本も出席して開催された主要7か国首脳会議(G7サミット)で、ロシアからの新たなる金の輸入禁止を取り決める予定である。金はロシアにとって主要な輸出品で、販売額は昨年約2兆円に上った。金の輸入禁止は、ロシアの資金調整能力に影響を与え、ロシアの金取引を市場から締め出すことで、イギリスのジョンソン首相の「プーチン大統領の戦争マシンの心臓部を攻撃する」という狙いである。さて、プーチンはどう動くだろうか。

2022年6月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5423.2022年6月26日(日) ロシア侵攻の蔭でアフガンとミヤンマーの災難

 ウクライナに対するロシア軍の攻撃は相変わらず熾烈を極めていて、ロシア軍によるウクライナ東部の制圧が懸念されていたが、昨日東部ルハンスク州の主要都市であるセベロドネツク市長が、同市がついにロシア軍により制圧されたと発表した。ウクライナ、ロシア両国国防省からもそう公表された。ウクライナにとっては先月マリウポリ市が制圧されて以来の衝撃的事態である。

 ところで国連をはじめ、多くの国々の関心がこの地域だけに集中している間に、以前は同じように世界の注目を集めていたアフガニスタンとミヤンマーでは、今一体何が起きているだろうか。

 アフガニスタンでは去る22日東部で、マグニチュード5.9の大きな地震が発生し、千人以上の死者が出た。アフガン東部については、かつてペシャワールからカイバル峠を訪れているので、周辺の環境と雰囲気は大体想像がつくが、1本の舗装された公道から脇道へ入ると車も思うように進むことが出来ないような地域が多いので、救援車両が現場にたどり着けないのではないかと気になる。また、その脇道も地震の影響を受けたとなると、その後の犠牲者も増える一方ではないかと心配である。加えてこの周辺の家屋には、強固な鉄筋が使用されず、ただ日干し煉瓦を積み上げただけのところが多く、簡単に崩壊するので、倒壊家屋の下敷きになった住民が多いのではないかと彼らの安否が懸念される。

 日干し煉瓦の家屋については、1999年8月にトルコでトルコ最大のイズミット地震(M7.9 )に遭遇した際、ものの見事にビルや住居が崩壊した様子をあちこちで見ている。死者・不明者1万4千余名が犠牲になったイズミット地震では、被災地の倒産した家屋はほとんどが日干し煉瓦を積み上げた建物だったのを見て、家屋が簡単に崩壊したのは無理もないと思ったものだ。

 問題は、タリバン政府の非民主的な圧政に対して各国が正当な外交関係を維持しなくなったことから、被災地の住民が困窮すれば、普通なら直ちに外国から救援隊が駆け付け、当座の対応とその後の支援を提供するのだが、ウクライナ戦線の厳しい現状から考えてもアフガン国民に温かい援助の手が差し伸べるようなゆとりがないことではないか。

 一方、ミヤンマーでは、国家顧問のアウンサンスーチー氏が21年2月発生のクーデター以後身柄を拘束、収監され、一向に解放されるとのニュースが伝えられない。そして、当時の一部政権幹部が死刑を求刑され、近日執行されるとの情報が流れてから、いずれについても軍政からその後の詳細が伝えられていないことが不安である。これもウクライナ情勢に世界の目が集まっている間隙をついて、目立たないように非民主的な措置が実行されることが気がかりである。

 国連では、昨年来アフガニスタンとミヤンマーの現政権が、新しい国連代表の承認を求めているが、いずれの決定も先延ばしされている。このように両国は、国際社会において正当な評価を得られていない。ウクライナ情勢の混迷が、間隙を突いた両国の理不尽な言動に現れなければ幸いである。

 さて、今日も一昨日、昨日に引き続き暑かった。最高気温は群馬県伊勢崎市の36.8℃だったが、全国最高気温ランキング10位以内にはすべて関東地区の都市が入り、東京からも練馬区(36.4℃)と千代田区(36.2℃)の両区が入っていた。これでは、しばらく自宅に逼塞しているより手立てがない。

2022年6月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5422.2022年6月25日(土) 朝鮮動乱勃発から72年

 このところ忌まわしい戦争に関係のある記念日が続いているが、72年前の今日は、戦後の戦争記念日のひとつである朝鮮戦争が勃発した日である。1950年、当時のスターリン・ソ連首相の了解と支援の下に金日成率いる北朝鮮軍が事実上の国境線となっていた38度線を越えて韓国へ侵攻し、戦争は3年間続いた。当初朝鮮動乱と呼ばれた朝鮮戦争は、実は終結したわけではなく現在も休戦状態なのだ。韓国を支援した国連軍と中国・北朝鮮連合軍との間で朝鮮戦争休戦協定に署名し、休戦になったのである。

 朝鮮戦争については、あの当時はまだ幼かったが、随分想い出がある。開戦当時は小学校6年生で、生徒思いだった担任の湯浅和先生が開戦時からほとんど毎日のように戦況を話してくれた。当時はまだテレビもなかったが、先生は朝鮮半島の地図を黒板に描いて北朝鮮の南下、侵略ぶりを分かり易く説明してくれた。昨年創立150周年を迎えたその母校・千葉市立幕張小学校では今春になって記念誌を発行したが、私のその寄稿文には湯浅先生が朝鮮戦争についてしばしば話されたことを記したくらい、印象深い事件のひとつだった。

 韓国軍を支援する各国が軍隊を派遣して22か国から成る国連軍を名乗り、韓国軍は国民防衛軍を合わせて約100万人に国連軍約40万人が38度線を境に激戦を交わした。その韓国軍が押されっ放しになり、北朝鮮軍が南下して来た。窮余の一策で、同年9月全軍の司令官だったマッカーサー元帥の発案により、首都ソウルの西20㎞の仁川港に電撃作戦により海上から上陸し、敗勢を一気に挽回した。その後マッカーサー司令官の強気な強硬作戦が第3次世界大戦に発展しかねないと憂慮したアメリカのトルーマン大統領が、唐突にマッカーサー司令官を解任したことも当時大きな話題を浚った。

 その当時韓国では李承晩・初代大統領時代だったが、大統領は戦時中日本に冷遇されたことから極端な反日政策を取り、1952年には独断により日本海に「李承晩ライン」を設定して、李ラインを侵犯した日本の漁船を悉く拿捕して大きな政治的社会問題となり、それが今日に至る悪化した日韓関係のつまずきの原因となった。李大統領は、韓国内でも政敵を追放し、20万人以上の政治犯を虐殺したと言われている。それでも53年7月27日に戦争を休戦に収める成果をもたらした。60年3月には大統領選に絡む不正選挙が問題となり、それを糾弾するデモ隊と警官隊の間で衝突があり、多数の市民が亡くなった。その直後に大統領職を放り出しハワイに亡命し、その5年後ハワイで亡くなった。

 韓国の歴代大統領には、自殺や逮捕など不祥事で芳しくない晩年を迎える人物が多いが、新生大韓民国生みの親である初代大統領にして、この体たらくだった。

 韓国には5度ほど訪れているが、その中で2008年12月、韓国の東海岸・束草市で「高齢者の社会保障制度」に関する国際シンポジウムが開催され、日本からただひとりコメンテーターとして招かれた。その折何とこの束草市は、通称国境線と呼ばれる北緯38度の更に北に位置していることに気付かされた。雪岳山を西に、日本海を東に臨む韓国の人気の観光地であることも知った。懐かしく印象的な事象が多い。

 あの朝鮮動乱が始まったのが、72年前の今日とだと想うとつい感傷的になる。

2022年6月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5421.2022年6月24日(金) 武力に頼るアメリカと中国に危惧

 昨日沖縄で戦闘が終わってから77年を悼む「慰霊の日」式典があったばかりだが、今日は今最も世界中を騒がせているロシア軍のウクライナ侵攻が始まってからちょうど4か月になる。

 ウクライナ戦争勃発により各国ともにエネルギー価格を主に消費者物価が高騰している。日本でも円安がもたらす物価の値上げは、エネルギー価格の上昇によるものと言われている。

 今では来月の参議院選の大きな争点になった物価の高騰であるが、総務省が公表した今年4月の各国の対前年同月比の物価上昇率の比較では、日本はさほど高くなく2.5%であり、アメリカの8.3%、イギリス9.0%、EU7.4%に比べれば、まだ低い方である。アメリカは異常なペースで金利を上げているが、それでも物価高を抑え込めない。さらに近日金利を上げることをパウエルFRB議長がほのめかしている。

 いずれにせよ、今のウクライナ情勢が終息しない限り、エネルギー価格の上昇は収まらず、世界の人びとは物価の上昇に悩まされるだけである。

 さて、アメリカ南部テキサス州の小学校で、先月児童19人と教師2人が犠牲になった銃乱射事件を踏まえて、「殺人王国」のアメリカでも、漸く旧式社会に銃規制へ向けて前向きな声が高まったように思えた。これを受けて昨日アメリカ上院では、銃規制強化法を賛成多数で可決した。だが、その法案の内容をよく調べてみるとまるで骨抜きである。21歳未満の銃購入者について、犯罪歴や精神疾患の記録を調査する期間を設けると規定し、脅威と見なされた人物に銃を持たせない制度を作る州には財政支援を行うと規定されただけである。バイデン政権は、殺傷力の高い銃の販売禁止や、銃購入年齢の21歳への引き上げを目指していたが、結局それすら夢物語に終わり、実務的には銃規制強化法は成らず、相変わらず銃所持については野放しに等しい。やはりアメリカでは永遠に銃規制は出来ないのではないだろうか。

 時代遅れのアメリカ旧社会には、西部開拓時代の古臭い常識に倣い、近代の常識的な身の守り方に逆らうようなやり方が今以て大手を振って跋扈しているのだ。生命の大切さがまったく理解されていないのである。結局アメリカでは、他の良識的な国々とは異なり、1791年に成立した唯我独尊の憲法に規定された「規律ある民兵団は、自由な国家の安全にとって必要であるから、国民が武器を保有し、携行する権利は侵してはならない」を善悪の別なく金科玉条のように守り抜き、「武力王国」、「殺人王国」として国内で殺し合いをし、いずれ世界でも残虐な殺し合いを行うリーダー国になるのではないかと危惧している。

 一方で、今日アメリカとともに世界の2大国と呼ばれる中国が、自国の利益のみを追求し、国際社会のルールを守らず、自国内の少数民族の自由と民主化を抑圧し、それらを剥奪している。国際ルールを無視して公海や他国領土内へ進出し、国際裁判所により違反とされてもまったく止める気持ちがなく、ただ自己の権益を拡大することに邁進し、国内で反発があれば、それを抑圧する危険思想を実行している。実に世界平和にとっては「癌」である。

 アメリカと中国の2つの大国が、直ちに武力でお互いに対決することはないにせよ、お互いの同盟国を利用して自己主張を貫き、お互いを非難、中傷している姿を見ていると、ウクライナ情勢がはらむ第3次世界大戦の勃発を、アメリカと中国間の亀裂、衝突から読み取ることが出来るような気がする。

 ところで、今日は暑かった。全国45地点で猛暑日だった。最高気温は新潟県十日町の37.1℃で今年国内最高を記録した。東京都内でもご多聞に漏れず32.6℃で今年最高だった。熱中症が心配なので、極力外出を控えることが大事だ。

2022年6月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5420.2022年6月23日(木) 沖縄「慰霊の日」に思い出すベトナム反戦歌

 今日は沖縄戦の戦没者を悼む沖縄「慰霊の日」である。昭和20年の今日アメリカ軍による実践的な戦闘は終わった。激しい戦いにアメリカ軍の戦死者も多く、彼らの名も糸満市の「平和の礎」に刻まれている。ここの石碑には、戦没者約24万人の名が刻まれ、特に今年は終戦77年と日本本土復帰50周年を記念して、24万人余の犠牲者の名前を一人ひとり読み上げた。実に12日間かかったという。

 沖縄全戦没者追悼式には、沖縄県玉城デニー知事や沖縄県関係者の他に、岸田首相ら政府関係者も出席され、首相は「基地負担軽減に全力で取り組む」と話したが、普天間飛行場の辺野古への移転については一切語ろうとしなかった。恐らく今後とも沖縄については、政府として経済支援だけは続けるが、このまま基地問題については何の解決策も語ることなく、口だけは沖縄のためのやる気を訴えることだろう。追悼式会場周辺では、首相に向かって「帰れ!」とのヤジがいくつも飛ばされたという。

 就任以来比較的支持率は高かった岸田首相だが、現在ウィーンで開催中の核兵器禁止条約の批准国会議に日本政府はオブザーバーとしても出席せず、関係国からは厳しい見方をされている。このまま核使用をほのめかすロシアに対しても何の行動も起こせていない。現実は、国内外で核に対する日本の姿勢に対して批判が強まるばかりではないか。更に国内では、安倍元首相を筆頭に防衛費予算の拡大を求める声が強まっている。岸田首相は、アメリカのバイデン大統領に防衛費の増額を約束した。安倍元首相とは違うとは言え、岸田首相もやはり自民党員である。ロシア軍の侵攻とプーチン大統領の核発言は許せないと口先だけは反核的なことを言っているが、憲法改正、再軍備こそは本音ではないか。

 さて、一昨日放映されたNHKの「クローズアップ現代」の「独占 桑田 いま音楽にできること」について、意外や 意外! 小池晃・日本共産党書記長がツイッターでミュージシャン桑田佳祐と桑子真帆アナの♪風に吹かれて♪が最高だったと褒めていた。実は私自身も久しぶりに「クロ現」を観て魅入られていた。特に今年66歳になった桑田が、同年齢の野口五郎、佐野元春、世良公則、Charらと、同時代人として平和について話し合って作曲し、その曲を披露した。桑田はこれまでで一番印象的だった曲は、ボブ・ディランの反戦歌、♪風に吹かれて♪だったと言い、原曲に歌詞だけ桑田が平和に因んで作詞し桑子アナとともに披露した。

 ボブ・ディランの♪風に吹かれて♪の原詩である♪Blowin’in the Wind♪は、ベトナム反戦歌として世界中で流行し、反戦デモに参加する度に声を張り上げて唄ったものである。2007年小田実さんの葬儀に参列した後、青山葬儀場から青山1丁目まで警官隊に誘導されながらも静かに車道をデモ行進した時、久しぶりにこの歌を唄ったことを懐かしく思い出した。私も写ったその写真は翌日の朝日朝刊に掲載された。

  ♪The answer,my friend,is blowin’in the world.The answer is blowin’in the wind.♪

2022年6月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5419.2022年6月22日(水) オリンピック、無駄遣いによる負の遺産

 昨日昨夏開催された東京オリンピック・パラリンピックの最終収支書と公式報告書が公表された。コロナ禍で開催が1年延期され、ほとんどの競技が無観客試合となり、大きな収入源として見込んでいた入場料収入が計算出来なくなった。それを支援した関係者やボランティアの努力もご苦労であったと思う。やはり懸念されたのは、大会の無事開催と開催に伴う収支勘定であったが、五輪・パラともに開催は成功だったし、赤字ながらも表面上は何とか当初の予定通りの帳尻合わせは出来たようだ。近年は開催ごとにオリンピックは派手さが増し華美となり、2014年にロシアで開催された冬季ソチ大会では、俗に5兆円の大会経費を要したとされ、招致熱が冷え込みつつあった。そこへ東京大会ではコロナ禍が拡大し、大会自体も中止、或いは延期など論議されたが、結局1年延期ということで昨夏規模をやや控え目にして開催された。

 東京大会開催が決定したのは、2013年だったが、経費の削減を図る一方で、すでに競技施設が存在しているにも拘わらず、敢えて新規に近代的な競技施設を建設する無駄がかなりあった。どうしてこういう無駄な出費をするのだろうか。1964年東京大会開催の折に建設された競技施設が、まだ充分使用出来るのに、敢えて新施設を建設し、挙句にそれが今後負の遺産になるというのだから、話にならない。自宅近くの駒澤オリンピック記念公園内には、鬼の大松監督が金メダルを獲ったバレーボール会場をはじめ、オリンピックに使用出来る施設がいくつかあるのに、どの施設も今大会では使用されなかった。恐らく新競技施設建設は、一部関係者の利権?が絡んだ私利私欲によるものなのだろう。

 その典型として最も首を傾げざるを得ないのは、水泳会場として晴海に新たに建設された東京アクアティクスセンターである。この目と鼻の先に、これまで日本選手権などメインイベントが開催されていた東京辰巳国際水泳場がある。1993年に完成したばかりで、つい最近までは東京大会の会場と考えられていた。報告書によると、今後いずれの施設も厳しい決算が予想され、東京アクアティクスセンターは今後とも日本選手権や、国際的イベントのために使用されるが、同じ水泳施設の東京辰巳国際水泳場は、今後アイススケート場に転用して使用されるという。

 大会運営自体は、すべての面で流石日本ならではと世界中から高く評価され、メンツを保つことは出来たが、少なからずトラブルもあった。開催前に大会組織委員長だった森喜朗氏の女性軽視発言や、ロゴの偽商品など、多くの障害を乗り越え、やや窮屈な大会の中で、日本国内は言うに及ばず、世界中から大会の成功と受け止めてもらえたのは、日本国民のオリンピック精神の信頼と、人類愛の賜物だと誇りにしたい。

 気になるのは、東京大会のために建設された各競技施設が、今後負の遺産となり兼ねないことである。各種の競技施設を維持するために、毎年相当額の補助金を補填しなければ、施設が立ち行かなくなる。少なくとも既存の競技施設を極力使用することに、熱心であって欲しかった。オリンピックは自分たちのもので、自分たちがオペレートするのだとの気概はあったが、自分の財布から金を出さず、他人の財布だけを当てにしていたのが、今大会関係者の腹の内だろう。

2022年6月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5418.2022年6月21日(火) 日本の「核廃絶橋渡し役」は無理と批判

 4月に大統領選が行われ、再選されたフランスのマクロン大統領は、ホッとして外交問題に注力しているように思っていたところ、一昨日総選挙が行われ、何とマクロン氏率いる「共和国前進」を主とする与党連合は過半数を大きく割る大敗を喫してしまったのだ。驚くのは、与党連合が前回5年前には過半数(289)を遥かに上回る350議席を獲得したにも関わらず、今回は100議席以上も失い、過半数より遥かに少数の246議席しか獲得出来なかったことと、対照的に野党が大きく躍進したことである。

 野党の中でも、2か月前大統領選でマクロン氏と決戦投票で争ったルペン氏の右翼「国民連合」は、前回は僅かに8議席だったが、今回は前回の10倍を超える89議席を得て、野党第1党となった。極右とやや警戒され気味だった前身の「国民戦線」から党名を変えて、国民の気持ちに寄り添う、物価高に苦しむ庶民を照準に、ガソリンなどの消費税を20%から6.5%に引き下げることや、定年の引き下げも提唱する政策を掲げたことが支持を得られた要因であろうか。ルペン氏は物価高対策に重点を置いており、対ロシア経済制裁にもフランス国民の生活優先として、対ロシア対策には慎重である。他にもルペン氏は、北大西洋条約機構(NATO)の指揮系統から脱退を主張して自衛と関係のないフランス軍の派遣に消極的で、今後こうした防衛戦略をめぐりマクロン政権と議論が活発化することが考えられる。いずれにせよ大統領に再選されたばかりで、外交に力を入れているマクロン大統領にとっては、思わず厳しい政局運営を迫られることになるだろう。

 さて、核兵器禁止条約の第1回締約国会議が今日から、ウィーンで始まった。昨日開催された「核兵器の人道的影響に関する会議」には、外務省の担当課長らが出席した。だが、日本は62か国が批准した同条約には未だ批准していない。それでもオブザーバーとして参加することは出来る。ロシア軍のウクライナ侵攻で、プーチン大統領が度々核の使用を示唆するような発言をして、過去にこれほど核使用の危機が叫ばれたことはない。この機にNATO加盟のドイツやノルウェー、ベルギー、オーストラリアら33か国がオブザーバーとして参加した。

 しかし、日本の岸田首相はオブザーバーとして出席しない。その言い分が奮っている。「核兵器国は1国も条約に参加していない。日本は核廃絶のための橋渡し役を務める」と言っていたが、その橋渡し役がオブザーバーとして、意見を聞けるチャンスをみすみす逃していることに、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のフィン事務局長は呆れて、唯一の被爆国日本は「橋渡し役」にはなれないと厳しく批判した。一方で、ICANは会議に先立ち「市民社会フォーラム」を開き、日本原水爆被害者団体協議会の木戸季市事務局長が、5歳の時長崎市内における被爆体験を生々しく話し会場で大きな拍手を浴びていた。

 さて、この核廃絶の動きを、ただ日本はアメリカの核の傘の下にいるからと安閑としているようだが、幾分真剣味が足りないようだ。今の世界の危機的な情勢から考えて岸田首相はもっと深刻に受け止めるべきではないだろうか。

2022年6月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com