5516.2022年9月27日(火) 反対過半数でも安倍元首相国葬実施

 日本中を賛成・反対の対立に追い込んだ安倍晋三元首相の国葬が、今日日本武道館で4千3百人の参列者の下に午後2時から行われた。元首相が想像もしなかった銃弾によって倒れただけに、数日前から式場周辺には厳重な警戒網が敷かれていた。今日も、その警戒は厳しく蟻の入り込む隙間もないくらいだったが、国会議事堂周辺では国葬に反対するデモが行われ、日比谷公園では反対の集会が開かれていた。

 国葬は、去る19日に行われたエリザベス英女王のケースとどうしても比較してしまう。世界中の人びとが国葬で女王の死を悼んだのに対して、安倍元首相の国葬は国民の過半数が反対という有様である。女王が別れを惜しむ大勢の国民に見送られたのに比べ、式場も重厚なウェストミンスター寺院に比べると、そのスケールや厳かさは比べようもない。それでも武道館の周囲には、献花をする人たちの長い列が続いていたが、これほど多くの人が元首相へ弔意を示したい気持ちがあるとは意外だった。特に九段坂公園の一般の献花台には、当初の時間を繰り上げ9時半から受付、終了時間も当初の4時から5時まで延長され打ち切られたほど、安倍氏の遺影に花を手向け手を合わせる人が多かったようだ。

 遺骨を抱いた昭恵夫人が乗った車が、安倍邸を出て武道館の前に向かったのが、つい先日まで実弟の岸信夫氏が大臣を務めていた防衛省だったのは、何やら意味深だった。元首相が第1次政権で、従来の防衛庁から防衛省に格上げしたことや、第2次政権では安全保障関連法の制定に取り組んだことがあった。更に防衛費予算の拡充の道筋をつけた元首相と防衛省との闇の関係があったからだろう。確かに今日の国葬では、全体的に防衛省が手を貸している場面が多かった。国民の半数以上が反対する中で強行された国葬は、今後課題を残すことになるだろう。

 ところで、先日ほぼ半世紀前にカンボジアのポル・ポト政権が冒した大虐殺事件の裁判に終止符が打たれた。ベトナム戦争末期に起きた異常な事件だけに、当時はそれほど過大に報道されなかった。しかし、その後当時の人口の約1/4に当る170万人が殺戮されたことが判明した。しかし、ポル・ポト政権が倒れた後も内戦が続き、法廷が設置されたのは、四半世紀以上が経ってからだった。裁かれたポル・ポト派の最高幹部5人の内、4人は高齢のため裁判の過程で死亡し、生存者も老齢で裁判の進展は望めず、中途半端な幕引きのような形を取らざるを得なかった。

 この負の置き土産として些か気になるのは、元ポル・ポト派のフン・セン現首相である。すでに首相在位が35年を超え、今も異論を排したり、NGOを弾圧したり、その独裁色は異常である。そのフン・セン首相が、今日安倍元首相の国葬に参列されたのだ。かつてスターリン、毛沢東らの偽共産主義者が、独裁的に権力を握った時期に、対立者を世界史上に残るほど多数虐殺したが、ポル・ポトも同じ道を歩んだ。今その生き残りであるフン・セン首相が揺るぎない独裁者となり、同じ轍を踏まないという保証はない。安倍元首相は、どういう経緯か、このフン・セン首相と馬が合ったようだ。そのフン・セン首相と岸田首相が明日弔問外交ということで会談するようだが、少々気になることである。

2022年9月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5515.2022年9月26日(月) イタリア新首相に極右のメローニ氏

 今日も先日受けた右目白内障手術の術後検査のため、東京医療センターへ出かけた。執刀医師から経過は問題ないとお墨付きをいただいたが、目薬について細かいアドバイスを受けた。術後3か月は毎日3度注すことを忘れないよう言われた。実際手術後、視界が開けすっきりしている。期待はしていたが、これほど効果が上がるとは考えてもいなかった。毎日眼鏡をかけることは必要なくなったし、両耳に補聴器、マスクが負担をかけていたが、眼鏡がなくなったことで鬱陶しさが消えた。視力は高校時代に戻ったので、新たな青春時代の甦りとして、これからもう少し前向きに生活していけるのではないかと考えている。

 さて、ロシアのウクライナ東部の住民投票とロシア国内予備役徴兵のニュースが、ロシアの厳しい現状を炙り出している。やや焦り気味のプーチン大統領が、またもや核戦争を匂わせる発言をして、欧米諸国をけん制している。

 そんな折昨日イタリアで行われた議会選挙で右派政党を中心とする勢力が、上下両院で過半数の議席を獲得する見通しとなった。現状では右派勢力が44%余りを得ているが、中でもジョルジャ・メローニ党首の「イタリアの同盟」が26.45%を獲得し、すでに左派の最大政党「民主党」党首が、事実上の敗北宣言をしており、メローニ党首への首班指名の可能性が高まっている。今日の夕刊では、早くも「イタリア『極右』首相就任へ 初の女性」との見出しが掲載されている。メローニ党首が、次期首相に就任すれば、彼女がかつて「ムッソリーニはよい政治家」と話したり、性的少数者への社会的配慮や権利擁護を否定する主張をしたり、また若いころにはネオナチスト政党に所属していたことなどが右翼的と警戒されている。同時に、極右的な発言から推して第2次大戦後で最右翼の政権を率いる可能性が高いと噂されている。

 そもそもヨーロッパの政情は、近年極端に右寄りになってきた。フランス大統領選では、2度続けてマクロン大統領が、極右のマリーヌ・ルペン氏と接戦を演じている。そして先日行われたスウェーデンの総選挙では、反移民を掲げるスウェーデン民主党が、第2党に躍進している。この流れの中で、メローニ氏も反移民を声高に叫んでいる。心配されるのは、イギリスのEU離脱に続き、イタリアのEU内での主張が軋轢を生む可能性が高まることであり、一枚岩と言われていたEUも早晩壁にぶつかることが懸念される。

 さて、朝日新聞朝刊の連載小説は、現在今年の直木賞作家の今村翔吾氏の「人よ.花よ.」が連載されているが、前作の多和田葉子氏の作品が退屈だっただけに、鎌倉時代の楠木正成・正行父子を描いていて動きが大きくずっと興味深く、今後のストーリーの展開に期待している。その今村は直木賞を受賞したばかりなのに、その行動が何かと話題になっている。最近では、「今村祥吾のまつり『旅』」と称して、滋賀県に住む今村が、全国47都道府県の書店を車で巡っていたが、一昨日24日に118泊119日の旅を終了したとHPに写真入りで報告している。こういう破天荒なことをやるくらいの行動力があるので、小説も面白いわけだ。今村執筆の楠木父子の活躍をこれから楽しみにしている。

2022年9月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5514.2022年9月25日(日) 37歳の平幕玉鷲、昭和以降最年長優勝

 台風15号が昨日東海地方に大きな爪痕を遺して東北へ去って行った。特に静岡県内の被害が大きく、県内11市町で床上浸水があった。当初の予想を上回り、各地で大雨をもたらし、静岡県では僅か半日で平年の9月1か月分を大幅に上回る雨量を観測したという。台風15号は去ったが、また新たな熱帯性低気圧が発生したと伝えられている。

 昨夕仙台で行われたプロ野球・オリックス対楽天戦が雨の中で行われ、楽天のエース田中将大投手が初回打ち込まれて負け投手になり、今季11敗という不名誉な記録となったが、3回ごろには雨も上がり、田中投手は降雨のため試合を遅らせてもらえば、このように打たれることはなかったと大投手らしからぬ恨み節を述べたそうである。明後日27日には、反対の世論の中で安倍晋三元首相の国葬が行われる予定であるが、天候は大丈夫だろうか。

 さて、今日は大相撲秋場所が千秋楽を迎え、平幕の玉鷲が同じ平幕の高安を破り、13勝2敗で21場所ぶり2度目の優勝を遂げて幕を閉じた。37歳10か月で幕内力士最年長の玉鷲は、昭和以降最年長優勝力士となった。それを上回るのは、過去において大正5年に優勝した横綱太刀山の38歳9か月があるくらいである。今場所の優勝争いは、平幕ばかりで、上位陣、特に横綱と大関がまったくだらしがなかった。ひとり横綱の照ノ富士が途中休場し、3人の大関は、ひとり貴景勝を除き、2人が負け越し、その内御嶽海は来場所関脇へ陥落するていたらくだった。流石に相撲協会も恐縮したのか、表彰式の協会挨拶で八角理事長が「横綱の休場、上位陣の成績不振は大変遺憾・・・」と述べていた。話題はあったが、少々物足りない秋場所だった。

 ところで、相撲界特有の表現「金星」という勝星が、いつのまにやら値打ちが下がってしまった。かつては、平幕力士が横綱と初めて対戦して勝利した時に「金星」を獲得したと言われていた。従って2度目の対戦で勝ってもそれは「金星」とは呼ばなかった。ところが、今ではNHKはいつの間にか平幕が横綱に勝てば、すべて金星と称し、結果的に同じ横綱からいくつもの金星を稼いだ平幕力士が現れる始末である。何と「金星」の大安売りである。特に、この秋場所には、次のように首を傾げる場面があった。それは9日目に横綱照ノ富士を平幕高安が破った時のことである。実況アナが「高安!金星!」とまるで高安が鬼の首でも取ったかのような大げさな表現をしていた。しかし、考えてみるに、高安は今でこそ平幕力士の地位に甘んじているが、かつては大関として活躍し、大関高安に平幕照ノ富士という今とは逆の立場にいた時期もあった。両力士の対戦成績も、高安が13勝12敗で上回っている。これで平幕高安が横綱照ノ富士を破ったとしても白星を「金星!」「金星!」と大騒ぎすることが、果たして意に適っていることかどうかは極めて疑問だと思う。かつてのように「金星」とは、平幕力士が初対面で横綱を破るようなまさに大番狂わせ?が起きた時にこそ使われるに適した言葉だと思う。その方がよほど似つかわしいと思う。NHKはどう思っているのか分からないが、元の解釈へ戻すべきだろう。

 今日はプロ野球セ・リーグでヤクルト・スワローズが昨年に続き、連覇を達成したというおめでたいニュースを知った。ヤクルト・ファンではないが、まずは祝意を表したいと思う。

2022年9月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5513.2022年9月24日(土) ロシアの2つの退勢の現れ

 ウクライナへ侵攻したロシア軍の旗色が最近パッとしない。東部ドンパス地方で奪った地域をウクライナ軍に奪回され、死傷者も増えているようだ。そこで、プーチン大統領は2つの荒っぽい決断をした。

 ひとつは、ロシア軍の予備役の動員である。21日プーチン大統領は国内向けのビデオ演説で部分的な動員令の発動を宣言し、軍務経験のある予備役約30万人を段階的に軍に招集するという。ロシアとウクライナの軍事力の比較では、ロシアが圧倒している。ロシア軍は290万人の兵士を抱えており、その内90万人が現役である。その現役兵がやや不足気味になり、予備役200万人のうち30万人を現役に組み入れるというから、いかに劣勢に陥っているか想像がつく。これには市民から悲嘆の声が上がっている。この宣言が発令されてから、ブルガリアやセルビアなどロシアへの制裁に同調しない国へ、ロシアから逃げ出すロシア国民が目立っている。このまま戦争が長引けば、早晩第2の予備役招集もあり得る。唐突に入隊と聞いて逃げ出す予備役が出るのも止むを得まい。一方のウクライナ軍は、兵士110万人で、現役兵は20万人弱である。その数少ないウクライナ軍に圧倒されているのは、ウクライナが不足している兵力を補う兵器類の支援を欧米から受けているからに他ならない。

 もうひとつのプーチンの荒業は、ロシアが23日占領地で住民投票を開始したことである。ウクライナ東部、南部の親ロシア派勢力は「ロシアへの編入」を問う住民投票を始めた。23日からは投票者が兵士の監視付で投票所へ行くことであり、実際に住民が自分の意思で投票所へ足を向けられるのは27日だけである。これによってロシアは賛成多数の結果を得て、一方的にウクライナ領土の併合を宣言しようとしている。茶番である。ただ、どの地域でも戦闘が続いており、ロシア軍の占領下に不透明な形で進められる投票には非難が集中している。そもそもロシアが主導的に投票を行うというのではなく、形式的には親ロシア派住民が住民投票を実施する形を取っている。それをプーチン大統領は住民の決定を支持すると言い、形だけの選挙を繕っているだけである。まぁロシア併合にどれだけの賛同が得られるのか、興味はあるが・・・。

 数はまだ少ないが、当然のようにロシア国内でもプーチン政権の乱暴な政策に対して抗議のデモが頻発している。これを治安当局は鎮圧している。この2つの事案の実施は、ウクライナにとっても厳しいことであるが、それ以上にロシアにとっては退勢を露骨に曝け出すことになるのではないだろうか。

 このような緊迫した中で国連安保理事会は、22日閣僚級会議を開いたが、予想通りロシアとウクライナの非難合戦となった。ロシアのラブロフ外相は、ロシアへの編入住民投票については、ウクライナ政府による親ロシア市民への弾圧が原因だと主張した。これに対してウクライナのクレバ外相は、ロシアは犯罪を隠蔽しており、ロシアの犯罪は侵略がなければ起きておらず、ロシアは犯罪行為の代償を払うべきだと反論した。

 現状は、両軍の戦闘が進むばかりで、一向に明るい兆しは見えてこない。ただ、冬が厳しい両国にとって、これから更に辛い現実を迎えることになる。実際ウクライナでは、このところ夜は10℃を下回り、家屋が破壊され、ガスもなくなったところでは、とても生活を営んでいくことは難しい。厳冬期を前に両国はいかなる手段を講じるのだろうか。

2022年9月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5512.2022年9月23日(金) 政府・日銀、円安相場へ為替介入

 今日は秋分の日に当たり祭日であるが、またもや南方に発生した台風15号の影響で、東海地方には線状降水帯が発生したという。今日からの3連休は、前週の3連休と同様に天候が優れないようだ。

 昨日長男の長男である初孫が、夜遅くなってからやって来て泊まり、今日妻と3人で自由が丘で昼食をともにした。大学4年生の孫は、つい先日第1希望の会社へ入社が内定し、昨日は千葉市内にある会社の工場見学会があり奈良の自宅へ帰る途中に立ち寄ったものである。

 やや性格的に大人しいが、真面目な性格で、希望していた物流の大手企業でもあり、張り合いがあるだろうから頑張れと力づけてやった。同じ経済学を専攻した先輩として、経済学部生である孫に卒論など多少アドバイスをしてあげた。入社後は遠隔地に勤務する可能性が高いようだが、本人がその点は気にもしていなかったので、頼もしく思っている。

 さて、懸案の円安相場について、アメリカの連邦準備制度理事会(FRB)が、一昨日アメリカ国内での物価高騰への対策として0.75%の追加利上げを決定した動きに対して、政府・日銀もついに腰を上げ、円安ドル高に歯止めをかけるべく為替介入を実施した。為替介入としては、2011年11月以来10年10か月ぶりであり、ドル売り円買い介入に限れば、実に24年3か月ぶりである。この為替介入により、一時145円台後半にまで進んだ円安が、140円台前半まで円高になった。

 為替介入は、今日まで円安相場に対して日銀が何らの具体的な手も打たなかった結果、円安が加速され、ついに金融当局は追い込まれて苦し紛れに打った決定的な手段だったと思う。

 しかし、理解し難いのは、何故に昨日までこの数か月に亙る円安市場を「事態を注意深く見守りたい」の一点張りで、具体的な一手を打たなかったのかということである。その間に円安が進み、諸物価値上がりの結果をもたらした。FRBは、アメリカ国内の物価高を抑えるため、異例にも通常の利上げ幅である0.25%の3倍という大幅な利上げを3回連続で決めたほどである。また、日銀と同様に金融緩和策である「マイナス金利」を導入していたスイス中央銀行も昨日利上げを決め、マイナス金利から脱した。イギリス中央銀行のイングランド銀行でも、昨日日銀にとっては恨めしいような7回連続の利上げを決めた。結果的に主要国でマイナス金利政策を取っているのは、日本だけになってしまった。

 あまりの円安による輸入価格の高騰に、国内市場は軒並み値上げブームである。この円安を見て見ぬふりをしていた、日銀当局と財務省は事ここに至った事態をどう考えているのだろうか。最大の責任は、事態の推移を注視していると言いながら打つ手を探しあぐねていた財務省当局にあると思う。経済のカラクリが理解出来ず、いつも傍観者的言葉しか発しなかった鈴木俊一財務相には、いかに父親が鈴木善幸元首相で政治家の家系とは言え、国民の懐具合の舵取りを任せるには、少々荷が重いような気がする。こういう閣僚人事を行った岸田首相だからこそ、支持率も低下したのではないかとつい勘繰ってしまう。

2022年9月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5511.2022年9月22日(木) 国連安保理事会の機能不全と日本の政治

 昨日岸田首相が国連総会で一般討論演説を行った。スピーチでは、ロシアのウクライナ侵攻を強く非難し、安保理事会など国連機構の改革の必要性を訴えた。日本は来年1月から安保理の非常任理事国を務める。国連機構改革のひとつは、5大理事国の拒否権行使に対する制度改革を求めたものである。「国際平和への脅威・平和の破壊及び侵略行為」を多くの国々が避難しながら、安保理が常任理事国の5大国の拒否権の行使によって機能しなくなるのが現実である。

 それは今年3月の国連総会緊急特別会合でロシアのウクライナ侵攻に対して、ロシアは直ちに占領地域から撤退するよう求めた日本を含む96か国の共同提案による非難決議を、常任理事国であるロシアが拒否権を発動したことにより、機能しなかったことから不満と疑問を呈せられた。この共同提案は、193か国中、賛成国は141か国で反対票を投じたのは、ベラルーシ、ロシア、北朝鮮、エリトリア、シリアのたった5か国だった。中国及びインドは、他の33か国とともに棄権した。

 5大理事国の賛意を得られなければ、いかに多数国から賛同を得ても提案は実現しないという多数決制度に逆らう前近代的なシステムを制度として生かしている国連事態の機能不全と非民主性を象徴しているようなものだ。

 岸田首相の提案が一歩でも前進し、最終的に5大国優位制度を排除することが出来るなら首相の努力が報われることになる。ところが、その岸田内閣の支持率が国内では思わしくない。数日前毎日新聞が行った世論調査によると、内閣支持率は「危険水域」とされる20%台まで落ち込んだ。7月には、支持率52%だったものが、8月には36%、9月には何と29%へ急降下してしまった。岸田内閣不支持率が高い大きな原因は、ひとつに7月に安倍元首相が殺害され、閣議決定だけで元首相の国葬を実施することを決めたことであり、もうひとつは旧統一教会との関係が曝け出され今以て闇の中という実態がある。他にも物価の高騰に対する政府の対応の拙さや、コロナ禍に国の対応の遅れなどの理由があるが、旧統一教会の関係と元首相国葬実施が大きく影響したものと思われる。

 ところが、この時期に立憲民主党と日本維新の会が、合意内容は限定的であるが、来る臨時国会で共闘に合意したというニュースには些か首を傾げた。いかに自民党がふらついているにせよ、日ごろ非難の応酬合戦を繰り返しているやや左寄りの立憲民主党が、右翼の日本維新の会と仮に条件付きとは言え、手を結ぶとは馬鹿げている。

 とにかく一番真面目に仕事をしない「人種」は政治家で、高いお手当をもらいながら、怪しげな宗教団体の言いなりになって世間を騒がせている。しかも怪しい行動歴が後から後へと暗闇から明るみに出され、闇は限りなく深い。内閣不信や国家の機能不全は、明らかに彼ら政治家の責任である。国会は休会が多いが、衆議院議員は465人、参議院議員は248人もいる。いっそのこと議員数を現在の半分程度に削減出来ないだろうか。

2022年9月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5510.2022年9月21日(水) 日本とミヤンマーの絆が切れるか?

 昨日防衛省がミヤンマー国軍から幹部や幹部候補生の留学生を受け入れることを来年度から停止すると発表した。しかし、ミヤンマーとの交流は過去の歴史的背景から考えてそう簡単に断ち切れるものではないと思いつつ、残念ながら現状ではこの決断を受け入れざるを得ないと思っている。

 昨年2月にミヤンマー国軍が、アウンサンスーチー国家顧問が支配していた民主的な政権を軍事クーデターで倒し、ミンアウンフライン国軍最高司令官が国の全権を奪った。スーチー氏ら民主派政権幹部を拘束し、民主派議員や知識層を追放し、国内に戒厳令を敷いて、市民と軍事政権との対立を煽り多くの犠牲者を生んだ。国際世論は反民主的で暴力的な国軍にスーチー氏らの身柄を解放するよう要求しているが、国軍はスーチー氏への強い国民の支持を警戒して応じないばかりか、次から次へとスーチー氏に対して国家反逆罪などの罪を被せて、身柄を拘束したまま重刑処分を課している。

 日本をはじめ国際世論の非難が厳しい中で、ミヤンマーは外国から多くの制裁を課せられている。防衛省がミヤンマーから毎年留学生を受け入れていることに関しても、これまでも国際人権団体などから批判が出ていた。ここへきて、7月に国軍は民主派活動家ら4人を処刑したり、昨日は空軍機がサガイン地区の小学校を空爆して11人の小学生を死亡させた残虐行為に、遂に防衛省もこのまま留学生を受け入れることに構っていられなくなったのだ。

 1971年初めて当時のビルマを訪れて以来、公私ともにミヤンマーを度々訪問し、ミヤンマーの人びとと個人的に深く交流を重ね、他の国との付き合いとはまったく異なる、彼らの優しさに触れ親しい間柄となった。戦没者慰霊団で何度も訪緬する度にビルマ軍高官や、政治家にもお世話になった。彼らの中には戦前日本の航空士官学校へ留学していた軍人が多くいた。スーチー氏の父親で「ビルマ独立の父」として国内で尊敬されているアウンサン将軍も、日本の陸軍士官学校へ留学した時期があった。72年に加藤隼戦闘隊ビルマ慰霊団には、片足を失いながら「隻脚のエース」として戦闘に加わり、後に航空士官学校講師として多くのビルマ人留学生を教えていた檜与平氏が同行された。その折元教え子のウチッキン情報局長がこれを伝え聞き、唐突に迎賓館で豪華なレセプションを催して歓迎してくれた。現地のメディアにも大きく取り上げられ、当時の鈴木孝ビルマ駐在大使を驚かせたことが懐かしく思い出される。

 戦後自衛隊が発足して間もなく日本は外国人留学生を受け入れるようになった。現在ミヤンマーをはじめ、17か国からの留学生を受け入れているが、現在のミヤンマー政府の非民主的軍事国家情勢から、遂に来年度以降受け入れを停止することになった。

 現在のミヤンマー軍事政権は、ロシア、中国を除いてほとんどの国々から非難、制裁を課せられているほど独裁的で非民主的であり、現状では防衛省の判断は当然と受け取られるのもやむを得ない。しかし、本来ミヤンマーの人びとは、他の国民とは一味異なる人間的な思いやりや優しさ、親切心を有しており、一部の軍人の行動によって全体として厳しい目で見られることは忍び難い。昔ながらの日本人とビルマ人との温かいつながりが、当面これで途絶えてしまうのかと思うと堪らなく寂しい気がしている。

2022年9月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5509.2022年9月20日(火) 英女王逝って英連邦国の未来

 エリザベス女王の国葬が終わり、国民の女王への敬愛の念の強さが、改めて認識され、イギリス、及び英王室はホッとしていることだろう。その一方で、かつては大英帝国として多くの海外植民地を掌中に収め、植民地支配を強化することによって多くの資産を搾り取り、住人を弾圧してきた悪しき歴史がある。

 56か国ある英連邦諸国に惨い歴史を繰り返さないためにも、イギリス国王を君主とする立憲君主制を反省する動きが急速に炙り出されている。懸念されているのは英連邦から離脱の動きがあることである。英連邦の主要国であるカナダ、オーストラリア、ニュージーランドは女王逝去からまもなく、チャールズ3世国王を正式な君主とする声明を発表している。しかし、カリブ海の小さな島国であるアンティグアバーブーダは、国民投票を行う方針を明らかにした。女王が亡くなってまだ日が浅いので、もう少し時が経過すれば、現実的な問題点なども浮かび上がってくるだろう。

 例えば、オーストラリアの通貨のように、現時点では紙幣にも、貨幣にもエリザベス女王の肖像が描かれている。女王の肖像をそのままにしておくわけには行くまい。アメリカの紙幣で1㌦=ワシントン、2㌦=ジェファーソン、3㌦=リンカーンなどが描かれているのとは事情が異なる。いずれにせよ、そのような現実的な問題を抱えている英連邦国は、自ら解決しなければならない。

 さて、アメリカのバイデン大統領は英女王国葬儀に列席する前日のCBCテレビ会見で、台湾海峡問題が緊迫化している中で、台湾に中国軍が侵攻した場合は、軍事介入し台湾を守ると明言した。実は、1978年米中共同声明では、「中国は1つで、台湾は中国の一部であるという中国の立場をアメリカは認識する」としている。しかし、アメリカは中国が台湾に侵攻した時、台湾防衛のため軍事的に関与するとはっきり応えている。アメリカは、矛盾というか、曖昧な言い回しを使って自国の論理を主張している。この発言に、「国家分裂を目的とした如何なる活動も容認しない」と中国側は直ちに反論した。この主張の背景には、近年の公海上の海洋進出など中国の反国際的な行動や、香港の中国化、台湾周辺での威嚇的戦力誇示に対してアメリカが支援の動きを示すことがなかったことから、中国がアメリカを甘く見て図に乗った構図を示したものとイメージさせる。そこへロシアのウクライナ侵攻に対して、中国がロシア寄りの姿勢を見せたことから、これまで黙っていたアメリカがこのまま中国の理不尽な言動を放置出来ず中国にお灸をすえたのではないかと思える。台湾問題に火が点けば、日本への影響も計り知れない。米中とも冷静になって、一触即発の空気を抑えた言動をしてもらいたいものである。

 今日も台風14号の影響を受け朝から断続的に雨が激しく降り、先日手術した白内障の検査のために訪れた東京医療センターの帰りに、それまで降っていなかった雨が不意に激しく降り出した。夕方まで陽が差したり、急に雨が降ったり落ち着かない天候の1日だった。この台風のせいで、昨日までの連休で観光地は大分目算が狂ってしまったようだ。不運にもコロナ禍の隙間の期待も裏切られてしまった。そして、今週秋分の日からの3連休も観光業者に期待を抱かせているが、気象庁によると再び3日間はずっと大雨の予報が出ているそうだ。お気の毒なことに観光業者にとっては泣くに泣けない。

2022年9月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5508.2022年9月19日(月) エリザベス英女王の国葬

 今日は敬老の日であるが、その敬老の日にイギリスでは去る8日96歳の天寿を全うされたエリザベス女王の国葬が行われた。日本より8時間遅れの時差のため、夜テレビで生中継された国葬をゆっくり観ることが出来た。世界各国から多くの国家元首や王室関係者が参列されていたが、イギリスとの外交関係がなかったり、友好的でない国へは招待状が送られていない。英王室と長い交流がある日本の皇室から天皇・皇后両陛下が列席されたが、テレビはイギリスのBBC独占放送によるものだったため、両陛下のお姿が特別に画面に現れることはなかった。

 ところで、招待されていない国は、ウクライナ侵攻の主役であるロシアとそれを支持するベラルーシ、クーデターで軍人が政権を奪取したミヤンマー、シリア、ベネズエラ、アフガニスタンである。国葬が行われたウェストミンスター寺院には、列席者が入り切れず、1国からは招待者と連れ合いの1組しか参列出来ない。珍しいことに国を代表する元首や首脳が国葬の場まで移動する手段として、英王室はシャトルバスを利用するよう勧めている。天皇・皇后もこれを利用したようだ。専用車で移動するのは、バイデン米大統領夫妻とイスラエルのヘルツォーク大統領の他に数人と言われている。トルコのエルドアン大統領なぞは、専用車での移動を申し入れたが、断られて出席を断念し、代わりに外相が出席するという。

 国民から敬愛された女王に最後のお別れをしたいと沿道には、多くの人が群れを成していた。国葬の場では、やはり厳かな空気が流れていた。ただ、イギリスの宗教はイギリス国教であり、カンタベリー大僧院の大主教が司祭を務めた。そのせいか欧米の葬儀で普遍的に見聞される讃美歌合唱や、胸元で十字を切るジェスチャーは見られなかった。

 エリザベス女王に対するイギリス国民、及び世界中の人びとからの敬愛の念は想像以上に強く、亡くなられてから弔意を示すために棺をお参りする人々の長い列は、ロンドン市内で延々16㎞に及んだという。ただ、王室にとっては、一時国王チャールス3世が皇太子時代にとかくの好ましからざる言動によって国民の反発が強まった時があった。今日曲がりなりにもチャールス3世を新国王として受け入れるようになったのは、女王のチャールズ皇太子を後継者にとの強い気持ちと、周囲に彼が国王として相応しいとの根回しを行った温かい思いやりがあったからだと思う。

 日本国内ではこの数日巨大台風14号の襲来に天候が脅かされていたが、普段は天候があまりすっきりしないロンドンの空に太陽が現れたのは、女王の御威光ではないだろうか。

 国葬が終わってホットしているイギリス王室にとって、この後オーストラリアのように英連邦の立憲君主制をこのまま維持すべきかとの議論の観察と、恒例通りチャールス国王の戴冠式を行わなければならない。前例からして、恐らく戴冠式は来年実施されることだろうが、どんな戴冠式になるだろうか。1953年に行われた女王戴冠式は、その映画も観てよく覚えている。とかくの噂のあるチャールス国王であるが、最近国民の人気と評価も少し上がってきたという。誰もが唸るようなチャールス国王ならではの戴冠式をやって、国民を納得させて欲しいものである。

2022年9月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5507.2022年9月18日(日) 過去最大級台風14号の影響で朝から雨

 朝から断続的に激しく雨が降って台風14号の影響が遥か関東地方にも及んでいる。今月初めには九州地方を襲った大きな台風11号がのろのろと停滞していた。今日九州地方を襲った台風14号は、11号の後にやや遅れて12号、13号と同じころに発生しながら、この14号だけが生き残りじわじわと沖縄から九州を窺っていた。

 正午のNHKニュースは、鹿児島、宮崎からの現地中継を交え台風関連のニュースだけしか放送せず、そのまま「素人のど自慢」の放映時間にまで食い込み、1時まで台風だけのニュースしか伝えなかったほど台風一辺倒番組になってしまった。

 大げさとも言えるほど強力な台風を思わせる14号は、気象庁によると過去最大級のもので、沖縄を襲ったころは気圧が910ヘクトパスカル(hPa)という超弩級だったのには些か驚いた。午後7時になって九州に上陸して930hPaとなりほんの僅か衰えたが、かつて2大台風と言われた1961年の第2室戸台風が925hPa、その前年59年に襲来した伊勢湾台風が930hPaだったことを考えると気象庁の「過去最大級」とか、「数十年に1度しかないような災害を与える危険」のような過大な表現を見過ごすわけにいかない。実際これまで経験したことがない暴風や高波、高潮が予想されるとして奄美大島を除く鹿児島県全域に特別警報を出した。宮崎県には線状降水帯が発生した。JR九州では明日の九州新幹線の運行を始発から中止する。

 今後14号は北北西に向きを変えて明後日には関東地方にやって来るようだ。今日1日中断続的に激しく雨は降り続いている。そこへ午后まで発令される有様である。それにしてもNHKの台風報道はやや過剰過ぎる。大相撲中継を普段観たことのない他のチャンネルへ押し出すようなやり方で、30分間相撲を観られなかったし、夜のサンデー・スポーツも台風情報が放送され、大幅に遅れて放映されたくらいである。

 さて、今月29日に日中国交正常化50周年を迎える。国家同士の友好を祝う記念すべき年を迎え、本来なら両国の間で今後も友好国としてともに発展すべく祝典行事を行うところである。しかしながら、現在日中間の外交関係は必ずしも友好的なものとは言えない。その最たる理由は、中国側にある。近年経済力を背景に途上国へインフラ投資で資金を貸し付け、債務国を縛り付ける「一帯一路」政策や、海洋強国を目指して公海への領海進出などで、南シナ海沿岸諸国や欧米から警戒され、日本との間でも東シナ海の領海侵犯など、中国との前向きな話し合いは中々進まないからである。

 中国は、元々国連重視を唱え、すべての国の主権と領土を尊重すべきであると主張していながらこれまでの中国の行為は、意に反してとても信用出来るものではない。特にロシアのウクライナ侵攻に際して、多くの国々の期待と要望を裏切ってロシアに秋波を送って来た。当然ロシアに対する制裁には参加せず、行き場を失ったロシアの資源輸出の主要な受け皿になっている有様である。日欧米がロシアに厳しく対峙している中で、中国はそのロシアを精神的にも物理的にもバックアップしているのだ。

 こういう中国政府と国交50年を迎えることになったが、今後覇権国家となった中国政府とどう向き合って国交正常化を深めていったら良いのか。一向に先が見えないが、国民の関心も高いこと故、政府にはこの機会に是非ともこれからの「対中国政策」について国民に分かり易く説明してもらいたいものである。

2022年9月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com