5546.2022年10月27日(木) 「汚い爆弾」と「世界一汚い男」

 一向に停戦の気配が見えないウクライナ戦線で、ロシアはウクライナが「汚い爆弾」を使用する計画があると突然主張した。ウクライナは、これはロシアが「汚い爆弾」を仕返しとして使うために使った口実であると反論している。欧米は偽りの情報としてロシアを批判しているが、ロシアは現状この戦争の成り行きが効果的ではなく、あらゆる裏の手を考えているようだ。

 実際最近ではロシア空軍機の墜落が相次いで、去る17日に南部グラスノダール地方で訓練飛行中の戦闘爆撃機が、アパートに突っ込んで炎上し15人が死亡した。23日にもイルクーツクでテスト飛行中の戦闘機が、住宅に墜落して炎上し乗員2人が死亡した。2月にウクライナ侵攻後、戦闘以外で11機のロシア空軍機が墜落したが、そのほとんどが酸素ボンベに不具合があったり、緊急脱出装置が機能しなかったり、事故は通常あり得ない異常な状態から発生している。これらは、ロシア軍の士気を低下させる原因となっており、ロシアとしては下がった士気を向上させるために、戦闘や戦闘員らとは無関係な理由をつけて別の戦略を考えているのではないか。それが言いがかりのようなウクライナ軍の「汚い爆弾」説であると思う。

 それにしてもこれまで軍需物資に具体的な名称や、科学的根拠に基づいた名前で呼ばれず、漠然とした形容詞「汚い」などを付けた軍製品は耳にしたことがない。これが、放射能を含んだ爆弾であることからあまりにも露骨な恐怖感と被害を与える爆弾であることから、敢えて「放射能爆弾」のような呼び方を避けたのだろう。

 ロシアのプーチン大統領は、ロシアにとって形勢が悪くなれば、世界中の批判も恐れず強引に核爆弾を使用する考えのようだ。ウクライナを始め、欧米諸国はロシアが窮鼠猫を嚙む状況に追い込むことは、避けたいところだ。しかし、核や放射能を使用すれば、世界にとって取り返しのつかない状況を生み出すことは、いかに愚かなプーチンと言えども分かっている筈である。相手を脅しによって怯えさせ、自国を有利に導こうとするロシアの戦略では、ロシアの勝利は絶対あり得ないし、下手をすると世界が共倒れになる。それを世界の良識がどうやって止めることが出来るだろうか。相変わらずロシアの動きから目を離せない。

 さて、話は180度転換するが、「汚い爆弾」が騒がれる一方で、このほどイランで亡くなった「世界で最も汚い男」が話題になっている。アモウ・ハジという94歳の男性で、半世紀以上も風呂やシャワーを浴びなかったというから、その不潔度も想像出来る。彼は風呂に入ると病気になると考えていたが、数か月前に近くの村民が風呂に入れたという。その挙句に死亡した。恐らく風呂に入らなかったら生き延びたかも知れない。彼は、衛生的な生活は好まず、1日に4リットルの水を飲み、腐った動物の死骸を食べ、動物の糞やタバコを喫っていたという。不潔な生活が続き、歳月とともに肌は練炭のように黒ずみ、肌は固まってワニの皮のように固くなった。身体からは悪臭が漂っていたという。確かに生前の写真を見てもそのご面相にはびっくりする。

 彼が幸せだったかどうかは分からない。しかし、医師の世話にもならず、不衛生な生活をして、よくぞ94年も生き抜いたというのは奇跡的である。これほど極端でないにせよ、あまり周りであれこれ世話を焼き過ぎるのも考え直した方が良い、ひとつのヒントになるかも知れない。

2022年10月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5545.2022年10月26日(水) インド系スナク英首相のお手並み拝見

 昨日のブログでイギリスのリシ・スナク新首相について、旧大英帝国の首相に元植民地だったインド出身者が就任して、一部イギリス国民のやっかみから嫌がらせを受けることを懸念していると書いた。今のところ露骨な声ではないが、静かにそんな空気が感じられるようだ。単に首相がインド出身者だからというだけでなく、一族が破格の資産家であるひがみもあるようだ。過去200年で最年少の42歳であり私のまだ半生しか世界の荒波を被っていないことになる。それにしてもヒンドゥー教徒として初めての首相、そのうえ一族の保有資産も歴代首相で最高というのだからすごい。すべて初めてずくめである。マーティ首相夫人はインド生まれで、今もインド国籍を有する。父親の創業した会社の保有資産が大きく、純資産は約1,480億円といわれ、故エリザベス女王の資産(約590億円)を遥かに上回っている。これらがひがみややっかみを生んでいるようだ。

 一方で、母国インドではスナク氏の首相就任を祝い歓迎し、モディ首相は早速両国間の架け橋になってくれることを期待するとツィッターに投稿した。与党インド人民党のプリティ・ガンジー氏も「独立して僅か75年で立場が一変した」と子どものように歓喜している。国民からは24日に行われたヒンドゥー教最大のお祭りで最高のプレゼントと喜びの声が上がっている。

 インドをルーツに持つイギリス国民は現在約140万人といわれ、白人に次いで多い。彼らは教育水準が高く、白人よりも小中高生徒の平均成績では上回り、弁護士や技術者などの専門職に就く割合が、人種別で最も高い。

 しかし、今年4月にインド国籍のマーティ夫人がイギリスで税制上の「非居住者」資格を有していることから、国外の所得についてイギリスでの納税を免れていたことが暴露され、イギリス国民が生活費高騰による苦難の時期だったこともあり反響が大きく、夫人は全世界で得る所得に対してイギリスで納税すると約束させられたという。

 スナク首相は昨日チャールズ国王の任命を受け、正式に首相の座に就いた。当面トラス前首相が財源の裏付けがないのに、大型減税を目指して市場を混乱させたことを承知のうえで、次代に負債を残さないと明言した。外交、特にウクライナ支援にどう対応するのか、また防衛費増額の要求にどう応えるのか、前途には幾多の試練が待ち受けている。そのうえ首相が所属する保守党は、労働党に支持率で30ポイントもリードされている。2025年1月に行われる総選挙にどう保守党を立ち直らせるのかも大きな宿題である。

 これから何事につけ、国の舵取りを任せられたスナク首相には厳しい目が向けられるだろう。まさかトラス前首相のようにいとも簡単に首相職を投げ出すような無様なことはしないと思うが、実績を上げてかつての支配者・大英帝国の子孫であるイギリス人を見返すくらいのことはやって欲しいものである。

2022年10月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5544.2022年10月25日(火) 山際大臣辞任と那覇市長・英首相選出

 今日は今年最も寒気が厳しかった。連日旧統一教会との関係で、国会やメディアから追及され、その都度釈然としない応え方をしていた山際大志郎・経済再生相が、昨日辞任した。あまりにも遅きに失した感がある。自民党としても他に難問を抱えているのに山際大臣と旧統一教会の関係で行動を制約され、身動き出来なかっただけに反ってホッとしていることだろう。高校のちょうど30年後輩にあたる山際氏には、もう少し誠実で明快な説明をし、真摯な対応をして欲しかった。

 メディアの眼が旧統一教会問題、円安、物価高騰、ウクライナなどに集まっている中で、昨日沖縄で那覇市長選が行われた。即日投開票の結果、前副市長の知念覚氏が前県議の翁長雄治氏を破って当選した。沖縄は、本土とは異なり難しい問題をいくつも抱えているが、とりわけアメリカ軍基地が厄介である。その中で今焦点とも障害ともなっているのは、普天間基地の辺野古への移設計画である。これには県民の間で反対の声が強い。沖縄全体の問題となれば、県内の基地問題として「オール沖縄」勢力の下に移設反対を唱える候補者が勝つ。しかし、自治体単位になると宜野湾市の普天間基地と名護市の辺野古は地域が狭く、反対も限られるだけに「オール沖縄」のプラス面を力として思うように利用出来ない。実際これまで参院選や、知事選では「オール沖縄」の力を全県的に盛り上げ勝利することが出来たが、今回の那覇市長選では「オール沖縄」の声を生かすことが出来なかったように思う。

 「オール沖縄」サイドが、県民の間では辺野古埋め立て反対者が7割もいた結果にも拘わらず、その県民投票の結果を生かせず、政府の援助が充分得られない実情から、少しずつ政府寄りになりつつあるように感じている。それを如実に証明しているのは、知事選では勝てなかった「オール沖縄」派に対して、今年行われた県内7市長選では、すべて非「オール沖縄」派候補者が勝っていることである。選りによって敗れた翁長氏の父・翁長雄志元知事の後継だった城間幹子現市長は、翁長氏の子息の対抗馬だった知念氏支持に回った。城間市長は、辺野古移設反対の思いを込めて「オール沖縄」に代わる新たな枠組みを構築することを期待しているとコメントしている。

 さて、少々世界の耳目を集めたイギリスの新首相選出の過程で、9月の党首選でトラス首相に敗れたスナク前財務相が、トラス首相の辞任により無投票で保守党党首に選ばれた。そのまま新首相に任命されることになっている。42歳は史上最年少の首相である。噂に上がっていたジョンソン元首相は、党首選への出馬を見送った。他に出馬を模索していたモーダント下院院内総務も出馬しないことになった。イギリスは今コロナ禍の経済対策で借金がかさみ厳しい状況にある。消費者物価指数が前年比10%を超えている。ロシア産の比重が大きかったガスや原油の市場価格は高騰したままである。新市長は、これまで財政通として鳴らしてきたが、イギリスが現実に厳しい現状からどうやって脱出出来るのか、早速手腕が問われる。

 ちょっと気になるのは、スナク新首相はオックスフォード大学で学び、スタンフォード大学でMBAを取得した英才であるが、若干気がかりなのは、偶々旧イギリス植民地だったインド出身であることから、誇り高いイギリス人のメンツから一部の国民に思いがけない嫌がらせをされることがないだろうかという懸念である。

2022年10月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5543.2022年10月24日(月) 温暖化ガス排出に間違った抗議行動

 とても許せないバカげた抗議行動がヨーロッパで相次いで起きた。世界的な名画に異物を投げつけた事件である。最初に今年5月パリのルーブル美術館で、レオナルド・ダ・ヴィンチの世界的名画「モナリザ」に向かって老婆に扮した男がケーキを投げつけた。幸い名画は器物破壊防止用ガラスのケースに収められていたので、物損はなかった。次いで今月14日にロンドンのナショナル・ギャラリーでゴッホの「ひまわり」に、胸に「JUST STOP OIL」と書いたシャツを着用した2人の若い女性がトマトスープらしき液体を投げつけた。これは額縁が傷ついた程度で済んだ。推定価格は、約125億円と言われている名画である。

 そして昨日ドイツ・ポツダムのバルベリーニ美術館でモネの「積みわら」にマッシュポテトを投げつける事件が起きた。この作品は2019年のオークションでドイツ人富豪が約164億円で落札してバルベリーニ美術館で展示中だった。作品は幸い無傷だった。

 それにしても、どうしてこうも無意味で馬鹿々々しい事件が起きるのだろうか。これらの事件を犯したのは、揃って環境活動団体だったのも意外だった。地球上から汚染物質の排除を願った活動家が、なぜ世界の宝とも思える芸術作品を損傷させようと試みたのだろうか。とても理解し難いし、実に馬鹿げている。

 モネの作品にマッシュポテトを投げつけたドイツ環境活動団体「ラスト・ジェネレーション」の支持者2人は、「人々は飢え、凍え、死んでいる。私たちは気候の破局を迎えている。あなたが恐れているのは、絵に描いたようなトマトスープやポテトだけだ」と筋違いの言い分を述べている。これを所属環境団体は、「社会に対して『芸術と命、どちらがより価値があるか』という問いかけができる」と主張し、同団体スポークスマンは、「モネは自然を愛し、そのユニークで壊れやすい美しさを作品に取り込んだ。モネがその魔力を賞賛したこの世界そのものの破壊よりも、これらの現実のイメージのひとつが損なわれることの方を恐れる人が、これほど多いのはなぜだろうか。キャンパスに描かれた牧歌的な世界に没頭するのではなく、現実を直視しなければならない。食料と水の奪い合いをしていたら、芸術を鑑賞する暇もない!」と、見当はずれのコメントを述べている。

 そんな能書きを言わずに、どうして世界的遺産を傷つけることなく、直接温室効果ガスに反対し、削減する活動へ突き進まないのか。はっきり言って、この抗議のやり方は100%間違っている。実は、ロンドンを拠点とするギャラリーやアート専門家らはアート業界における温室効果ガスを削減するためにNPOギャラリー気候連合を設立した。日本ではほとんど報じられていないが、それほどヨーロッパでは温室効果ガスが地球を破壊しつつあることに真剣に取り組んでいる。

 だが、彼らはやり方を完全に間違えている。この抗議のやり方が、環境団体の間では常態化しつつあるようで、7月にロンドンでダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の複製画に身体を接着させたり、同じ7月にフィレンツェでボッティチェリの「春」に身体を接着させた事件が続いた。今月9日にはメルボルンのビクトリア国立美術館でピカソの「朝鮮の虐殺」に、その名を知られた「エクスティングション・リベリオン」の気候活動家が自分たちを接着させた事件も起きている。

 一連の名画攻撃事件は、世間へのアピールを大きく間違えているように思えて仕方がない。

2022年10月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5542.2022年10月23日(日) 習近平・非社会主義政権3期目発足

 中国で16日から1週間に亙り開かれていた第20回共産党大会が昨日閉会となった。第1日目に習近平・国家主席が1時間45分もの政治報告で、習指導部が目指していた、ゆとりのある「小康社会」を実現し、歴史的な勝利を勝ち取った自画自賛した。5年前に掲げた「社会主義現代化強国」の実現に向け、重要な「中国式現代化」と言う考え方を強調し、欧米とは異なる制度や理念に基づくモデルを追及する考えを示した。この中国式現代化の目標として①共産党の1党指導体制の堅持、②質の高い発展、③「共同富裕(共に豊かになる社会)」の実現、などを訴えた。台湾問題については、外部からの干渉や台湾独立勢力に対しては武力行使の放棄を約束しないと強調した。外交面では、冷戦思考と内政干渉に反対との立場から、ウクライナ侵攻を機に団結する西側の方針に反論している。軍事面では、早期に世界一流の軍隊を築き上げて、国境、領海、領空防衛力の整備を進めると軍事体制の強化に言及した。

 そして昨日の最終日に習近平・国家主席の党の核心としての地位と、政治思想の指導的地位を固める「2つの確立」を盛り込んだ党規約の改正案を承認した。つまり習近平を毛沢東以来の強力な位置づけをしたわけである。その最大のものは、68歳以上の党役員は選ばれず、主席は2期10年との旧規約を改定して、69歳で2期目を終えた習主席が3度目の主席に就いたことである。ライバルだった李克強首相は67歳で旧規約に抵触していないにも関わらず、首相職から追放して習主席への権力を集中のうえ独裁化し、習独裁体制を固めることに成功した。但し、習グループによるポストの独占や収支の権力集中に対する不満は水面下で燻り続けている模様だ。

 そして今日昨日選出された中央委員による総会を開き、最高指導部の政治局常務委員を選出し、彼らによって習近平政権3期目を発足させた。これから向う5年間は、習政権による民主化と人権抑圧の政権運営が行われる。引き続き、国民の声は聞き入れられない。

 また、社会主義現代化強国とアピールしているが、中国の社会体制は、真の社会主義とは大きく乖離し万民平等は無視され、農村部の貧困は未解決のまま国民の底辺の声を汲み取ろうとの気持ちがないことは、中国国内に民主的で平等な選挙が今以て実施されないことにもはっきり見てとれる。習近平主席思想を小学教育で教えて習主席への尊敬を子どものころから無理強いして神格化することなどが、現代中国の目指す将来像であるとは、空恐ろしいことである。今後習近平政権は、益々傲慢になり我が物顔で国際社会において悪しき存在感を高めていくことだろう。国名も「習近平絶対覇権国」とでも変更した方が余程似合っているのではないだろうか。
 ところで、相変わらず戦闘中のウクライナで、ロシア軍がやや劣勢に陥る中で、昨日NHK「週間ワールドニュース」でロシア軍がウクライナにイラン製ドローンによる空爆を仕掛けたことに対して、ウクライナのゼレンスキー大統領が、イランとロシアが「カミカゼ・ドローンにより攻撃した」と非難した。こんなところにも戦時中日本軍の神風特攻隊の名が使われているのかと少々驚いた。そのニュース画像の中に映されていたアメリカのABC画面にもドローン飛行画面テロップで‘Kamikaze drones terrorized KYIV’と表示されていたし、スペインのTVEにも‘Drone Kamikaze Iranies en Ucrania’と伝えていた。いずれもごく自然に「神風」の名を使っているようだが、残念ながらあまり好い意味では使われていないようだ。

2022年10月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5541.2022年10月22日(土) 円相場、慌ただしいアップダウン

 どうも分かりにくい外為市場のカラクリである。円安が急速に進行し、遂にニューヨークでは日本時間の昨日9時半ごろ1㌦=151.94円まで下がった。ところが、今日午前1時50分ごろには、144.50円まで円が回復し、7.34円も円高になった。この過程については今日の朝刊には大きな円安の記事の中の一部に円高と書かれているが、今日のテレビ報道を観ている限り、あまりこの円高については触れていない。日本政府も何らの発表もしていない。日銀が覆面介入したような複雑な事情が秘められているのではないだろうか。ニューヨーク市場の取引参加者は、「金利など他の指標は動かない中で円だけ急騰した。日本政府が為替介入した可能性がある」と話している。どうも気がかりなのは、多くの関係者が、日本が9月に続き再び為替介入を行ったとの予測が流れる中で、日本政府・日銀はこの点について何のコメントも出さないことである。それでいて、アメリカが利上げを加速させる一方で、日本は相変わらず金融緩和策に固執している。夕刊には、朝刊に続いて「政府・日銀、再び為替介入 7円超急騰、一時144円台」との見出しで伝えられたが、政府・日銀から説明はなく、鈴木俊一財務相は「投機による過度な変動は容認できない」と牽制球を投げるだけで公に為替介入をするような円安防止対策を全く打とうとしないことである。どうも責任感がなく国民への説明責任を果たしていない。

 「円高は遠きにありて思うもの」だろうか。思い起こすと、東日本大震災が発生したほぼ半年後の2011年10月には1㌦=75.32円だった。現在の約2倍の円高だった。

 さて、国内の苦しい問題は政治家が直ぐには解決出来ないことばかりだが、今世界中から注目を集めているイギリスのトラス首相の辞任も自らの言動が招いた無思慮、かつ拙速な行動にある。1か月半前に首相就任の折には、存命のエリザベス女王から承認され、国葬にも出席するという光栄な立場にいたが、政治的手腕については、苦しい国内の経済的事情の中で大型減税をぶち上げ、国債増発による金融市場の混乱を招き、あまつさえ財政悪化を懸念させた。政権は金融市場から全面否定という反応で、ポンド急落、金利急騰、株価急落を招来させ、財務相を更迭した。これが責任を部下に押し付けて自らは責任を取らない冷酷な対応として党内外の批判が高まり、更に支持率が7%にまで下がり、首相の地位に留まっていることは難しいと判断し、自ら史上最短首相という芳しくない負の「称号」を手に首相の座を去ることになった。

 その傍ら、トラス首相と同様、イタリアでも史上初の女性首相が誕生しようとしている。先月行われた上下両院選挙で極右政党「イタリアの同胞(FDI)」党首のジョルジャ・メローニ氏が勝利宣言をした。LGBTに反対し、ジェンダー思想に反対、イスラム主義暴力に反対、集団移民に反対などかなり過激な保守思想を堅持しているようであり、前途は必ずしも平穏ではないと予想される。この国の政治も難しいところがあり、大分昔にわがままな政権運営をしてとかくの噂が付きまとっていた鵺(ヌエ)のようなベルルスコーニ氏が、今も蔭で暗躍しているようで、その辺りももう少しすっきりさせないとクリーンな政治は望めない。イタリアでは、大統領が首相指名をするので、まだ若干首相指名には時間がかかるかも知れない。

2022年10月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5540.2022年10月21日(金) 日本が今抱える悩みと未解決問題

 日本には今明るいニュースがほとんどない。経済的にはあまりにも激しい円安のせいで、2022年度の貿易収支も厳しいものとなった。

 財務省が昨日発表した今年度上半期の貿易統計によると、案じていた通り貿易収支は11兆75億円の大赤字だった。年度半期の赤字額としては過去最大で13年度下半期の8兆7千億円を大きく上回った。この原因としては、大きく2つが考えられるが、ひとつはウクライナ危機による資源価格の高騰であり、もうひとつは急速に進む円安が輸入額を押し上げ物価の上昇を招いたことである。昨日1㌦=150円台にまで下がった円は、実に32年ぶりの円安である。今日は1㌦=150.98円となったが、政府・日銀がいつものように「市場の動向を注意深く見守る」を暗示するかのようにのんびり手をこまねいている現状では、早晩円安加速は収まらないだろう。9月の消費者物価指数も前年9月に比べて3%も上昇した。31年ぶりである。

 もうひとつ嫌な情報として連日報道されているのが、旧統一教会問題である。当初安倍元首相が射殺され、しばらくメディアからは話題されなかった旧統一教会が、その後あらゆる場面で取り上げられ、最近では宗教法人としてライセンスを取り消すことや、旧統一教会との結びつきの強い国会議員から潔白である証拠を示させるような動きが注目されている。この数日は、テレビを通して元信者の発言と旧統一教会の激しいやりとりが、関心を呼んでいる。

 偶然にして安倍元首相が殺害されたことで世上に浮上し、再び話題となった旧統一教会であるが、そもそも元首相の祖父・岸信介元首相が早くからこの教会と接触し、強い結びつきが始まり、それが3代目の安倍元首相にまで続いていたことであり、その意味では岸・安倍一族と旧統一教会の懇ろで闇の関係をはっきりさせないといけない。その元首相の国葬を国民の過半数の反対を押し切って実施した、岸田政権の責任も重大である。今国会でも国葬問題について議論が交わされることになっているが、現状はそれどころではなく、後から後から明るみに出される自民党国会議員と統一教会の選挙がらみの協力がすっきりせず、安倍家と旧統一教会の関係まではとても追及出来るような状態ではない。

 それでも今日自民党は党改革実行本部総会で旧統一教会とは関係を持たないとする方針を決定するようだ。これだけ世間を騒がせ、多くの被害者を生んだ組織と不明瞭な関係を維持することが、どれほど長い目で見て党にとってマイナスであるかということにやっと気が付いたようである。ただ、この方針が党の末端まで永続的に守られるかどうか、いつも朝令暮改の自民党にとってそれこそが問題である。

 暗いニュースばかりの中で、今日ホッとする話題がひとつあった。秋篠宮家の長女真子さんと結婚された小室圭さんが、3度目の挑戦でニューヨーク州の司法試験に合格されたとテレビで報道された。これまであまり楽観的な情報がなかっただけに、俄かに和んだ感じであるが、秋篠宮ご夫妻も喜ばれ安堵されたのではないかと思う。偶々23日明後日は真子さんの31歳の誕生日で、26日はご結婚1周年記念日だという。メデタシ メデタシ。

2022年10月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5539.2022年10月20日(木) 仲本工事死去とトラス英首相の辞任表明

 タレントの仲本工事が昨晩亡くなったとのニュースに少々驚いた。一昨日朝横浜市内の横断禁止道路を横切って車にはねられ、病院に搬送されて緊急手術を受け、重症だったと聞いていた。半世紀近く前に「8時だよ!全員集合」の生番組を妻と幼かった長男とともに鑑賞に行ったことがある。何度か自由が丘駅前広場で顔を見たこともあるので、近くに住んでいるのではないかと思ってはいた。それにしても一昨年コロナで同じザ・ドリフターズの仲間だった「ばか殿様」の志村けんが亡くなり、今また仲本が逝って昭和を代表するタレントが、またひとり消え2人消えて寂しい限りである。先月30日には落語家の三遊亭円楽師匠が72歳で、翌今月1日にはプロレスラーのアントニオ猪木が79歳で亡くなったばかりである。

 この交通事故死でちょっと気になったのは、あの事故現場は横断禁止でそれを無視して渡った被害者に責任はあるとは思うが、テレビの映像を観る限り、大勢の人びとが横断禁止標識を無視して道路を横断していた。もう少し毅然とした防止対策が取れなかったものだろうかと疑問に感じている。

 今日ネットを見ていてちょっと気になったことがあった。見出しに「Cロナ早退に批判」とあって「コロナ禍に学校の生徒が早退して批判を浴びている」と早飲み込みしてしまい、どういうことなのだろうと疑問に思い記事をよく読んでみた。他愛ない誤解で、記事はコロナとはまったく無関係で、実はサッカーのイングランド・プレミアリーグの試合でマンチェスター・ユナイテッドに所属するポルトガル代表クリスチアーノ・ロナウド選手が、試合終了2分前にベンチから姿を消したことに対して解説者やファンから批判が集まっているという内容だった。「Cロナ」選手はその試合には出場しなかったが、チームの雰囲気を乱す行為であると厳しい声が上がっているようだ。その早退の件は別にして、クリスチアーノ・ロナウドを「Cロナ」などと書かずに、せめて頭文字「C」の代わりに後ろに「ウド」を加えて「ロナウド」とすれば、すぐ理解出来たし、混乱することもなかったのに随分粗雑で軽率に略するものだなぁというのが実感である。
 いま夜10時前であるが、このブログを書いている時に、外電の速報が入って来た。イギリスのトラス首相が今日辞任を表明したという驚くべきショッキングなニュースである。首相就任後、まだ2か月も経っていない。そこには、複雑な党内外の事情があるようだ。トラス首相が就任1か月強内に、重要閣僚である財務相と内務相が辞めたことも驚きだった。クワーテング財務相は、法人税増税の凍結や国民保険料の再引き上げなどをアピールしたが、首相はいずれも撤回し、財務相に責任を取らせ更迭することに決めたようだった。ブレイバーマン内相は、責任を取ろうとしない首相への批判的行動として辞任したと受け取られている。野党のみならず、与党の一部からも首相として問題視され、辞任を求める声が上がってはいた。それにしても随分簡単に首相という国のリーダー職をこうも簡単に放り出すとは、責任感がなさ過ぎると思う。首相がこんな軽々に行動するので、閣僚も同じように行動するのだろうか。

 一方国内では、高校の後輩である山際大志郎・経済再生担当大臣が、旧統一教会との度重なる接触が明かされる都度言い訳を述べることに対して、メディアからもかなりの批判が出ており、一昨日には衆議院予算委員会で首相に山際大臣を更迭させるよう要求があったくらいである。しかし、山際大臣は辞めない。それが日本の政治家の流儀だからである。

2022年10月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5538.2022年10月19日(水) 政府が傍観する円安進行

 円安が止まらない。ついに昨日の東京外為市場では、1㌦=150円台目前まで下落した。政府、及び日銀は先月22日24年ぶりのドル売り円買いの為替介入に踏み切ってから1か月近く経過するが、それでも介入した当時の水準から4円以上円安が進んだ。振り返ってみると昨2021年冒頭は今から考えると円高基調が維持されていた。実際、2020年は1㌦=103.5円で閉め、翌21年はそのままスタートした。7月に111円となってから年末は113.26円で終わり、明けて22年に入ってから115円台に、4~6月には120円台に、そして7~9月に130円台となり、10月1日に144.81円と円安は大きく進み、昨日は149.22円にまで下がった。この1年間で実に35.02円も円高が進んだ。ここまで円安が進むと物価が上がり一般家庭への経済的影響もかなり厳しいものがある。電気、ガス、水道料金をはじめ、ガソリン代金も大幅に値上げされ、家庭は悲鳴を上げている。この3年ほどコメの新米価格が下がり続けていたが、何と今年は安値が一転してそのコメまで値上がりしたのである。

 ただ、最近の円安動向はアメリカがインフレを抑制するためとの名目で高金利を続け、それは日本円ばかりでなく各国通貨の下落へ導いている「ドル独歩高」に繋がり、各国とも日本ほど極端ではないが、ドル高に悩んでいる背景がある。

 この円安について、衆議院予算委員会では与野党の激しい論戦が繰り広げられた。野党は円安が進むのを放置しながら物価高対策をしても砂漠に水をまくようなものだと追及し、ゼロ金利政策の変更を求めた。また、この円安を招いた黒田日銀総裁がまだ来年3月まで残っている任期完了を待つことなく更迭を求めた。当然黒田総裁は反論し、「金融緩和がまったく失敗したと言うのは事実に反する。金融緩和はデフレを解消することを目指している。辞めるつもりはない」と強く拒絶した。また、岸田首相は原材料などが高騰しても価格転嫁を進められれば賃上げに繋がり、物価高を乗り越えられると安易に考えているようだが、この考えは、給与所得者にはある程度当たっているが、そうでない職種の人たちにとっては空念仏に過ぎない。

 ここで毎度厳しい局面に至ると最高の責任者である財務大臣の発言が注目されるが、いつもながら前向きなコメントは語らない。昨日も鈴木俊一財務相は、「今日もしっかりと市場の動向を注視する」とお決まりの一言を遺しただけで、前向きな対応を呈示しなかった。喜んでいるのは、インバウンド解禁で訪日しショッピングで買い漁っている外国人観光客と、日本の輸出産業だけであろう。

 実は、手元に200㌦ほど持っている。いつも海外へ出かけるための僅かな準備金のようなものである。慌てて両替しなくても直ぐ対応出来るように、常に身近に保有している。ところが、コロナ禍により海外へ出かけるチャンスがほとんどなくなった現状と、例えコロナが終息しても健康面で以前のように自らの健康に太鼓判を押せる状態ではないので、海外旅行の機会が少なくなると考えている。いくらでこれらのドルを購入したのか、記憶にはないが、仮に110円程度だとしたら8千円程度の為替差益を得たということになるが、どうも実感がない。

2022年10月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5537.2022年10月18日(火) 気軽な気分で昭和歌謡コンサート鑑賞

 今日は玉川区民会館内にある「せせらぎホール」で歌手木山裕策と「歌声カルテット」という若い4人組のコンサートが行われ、妻とともに鑑賞に出かけた。大改築された世田谷区玉川総合支所内にあるコンサートホールで気軽に聞くことが出来た。木山は2008年唐突にNHK紅白歌合戦にデビュー曲♪home♪で初出場した時、サラリーマンとして務めながら4人の子どもがいるとの紹介に、普通の歌手から見ればやや異色だと思っていた。一昨年定年を機に歌手に専念したというが、大阪外国語大学(現大阪大学)イスパニア語学科でスペイン語を学んでいたというから、やはり歌謡界では異才である。今日はヒット曲♪home♪の他に、昭和の名曲、童謡などを披露してくれた。会場はほとんど高齢者ばかりで、車いすの人も多かった。この辺りは普通のコンサートとは違う。木山の他に第1部として若い「歌声カルテット」が、やはり昭和の名曲を歌ってくれた。4人の内2人が桐朋学園大出でピアノとヴァイオリンを演奏し、歌ったのはテノールとバリトンの2人で、いずれも東京芸大声楽科出身で流石に歌謡力は素晴らしかった。

 8月末に渋谷オーチャードホールでブロードウェイの♪CHORUS LINE♪を鑑賞したが、その時は本場から来たグループが演技する歌とダンスの迫力に圧倒された。それに比べれば、今日のコンサートはぐっと地味なもので入場料もお手軽だった。世田谷のお年寄りのためのコンサートという感じだったが、それだけに皆それなりに楽しんでいるようだった。デラックスな音楽会はもちろん素晴らしいが、こういう地味でありながら、実力派歌手が歌う地元対象のコンサートも中々肩が凝らない楽しいものである。また、同じような企画があれば、是非とも鑑賞してみたいものである。パンフレットにはこう書いてあった。「音楽は記憶の扉を開けるカギと言われて、懐かしい音楽を聴くことは、脳を活性化します」。

 ところで、ステージで木山氏はコロナ禍で随分企画がポシャッたようなことを述べていたが、コロナの流行も第7波に入って去る8月19日には第7波のピークに達し全国で26万1千人の新規感染者が出たほどだったが、その後徐々に下火になり、10月10日には1万3千人にまで減少した。それが2日後の12日には4万5千人にまで増え、その日を頂点に再び減り出し昨日は1万5千人に落ちた。それが、今日になってまた4万2千人にぶり返している。長いスパンで見れば傾向としては減少しているが、期待を抱かせてくれるような減少傾向には一向にならない。これまで国内の累計感染者数は、実に2,181万5千人になり、これは国民の6人にひとりが感染したことになる。世界でも9番目の多さである。死者も累計で4万6千人である。あと半月で木山氏の父親と同じ84歳の誕生日を迎えるが、最近3年間は人生を無駄遣いしているような気がしてどうも意気が上がらない。先の見通しが立たないというのが一番の悩みである。

 コロナを撲滅出来ず、地球温暖化を止められず、それでも愚かにも核やミサイル開発だけには熱心で、今の世界は人類のために折角開発した科学を、人類の発展のために使用せず、人類を滅ぼすために使っているように思えてならない。

2022年10月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com