5665.2023年2月23日(木) ユダヤ人「命のビザ」に隠れた協力者

 今日は天皇陛下63歳の誕生日である。一般参賀は、新型コロナウィルスの影響から天皇即位後初めて行われた。昨年の今日のブログにも書き込んだが、大学2学年当時大学の山仲間とスキー・ツアーで新鹿沢温泉へ向かっていた時、仲間のひとりがラジオから当時の皇太子誕生のニュースを聞いた。あれから63年が経過したということになる。今や世界には皇室、王室が存在する国は少なくなった。その中でも最近はイギリスの王室内のトラブルが話題になって国民から広く敬愛される王室は減りつつある。その点では、日本の皇室は大きな問題もなく、国民からの信頼は強いものと思われる。宮内庁では今後広報活動を充実させ、皇室のありのままを国民にアピールし、更に信頼を勝ち得るよう努める意向のようである。

 さて、意外なことを知った。戦時中「命のビザ」を発行して大勢のユダヤ人を救ったリトアニア・カウナスの日本領事代理だった杉原千畝の行動は、ユダヤ人の母国イスラエルばかりでなく、世界中で人間愛の気持ちを抱く多くの人々に称賛されている。私も6年前に当地を訪れて杉原が勤務した領事館をはじめ、いくつかの関連施設を見学した。意外だったのは、杉原はユダヤ人に日本の通過ビザを発行したが、彼らの身分証明書上に同時に目的地のビザも並んで押印されていたことだった。これは杉原と同様に当時リトアニアに駐在していたズワルデンダイク・オランダ領事に依って発行されたものである。確かに目的地のビザがなければ、杉原が発給した通過ビザの効力も疑問である。そしてその目的地とは、カリブ海に浮かぶオランダ領のキュラソー島だった。ベネズエラまで60㎞ほどの小さな島である。

 ユダヤ人にとって幸運だったのは、ユダヤ人にとってはナチに侵略されて反ユダヤの空気が漲り厳しかったであろうヨーロッパにあってオランダはやや友好的だった。このような人間愛に溢れた外交官がリトアニアに2人もいて、ともに彼らの旅行に便宜を図ってくれた。オランダ領事による目的地ビザ発給の協力がなければ、杉原のビザ発給も意味を持たない可能性もあった。実際ユダヤ人たちは、必ずしもキュラソー島を最終目的としたわけではなく、途中でアメリカやその他の国へ入国した人が多かったと見られている。その意味で2人の外交官の連携があったからこそ、数千人と言われるユダヤ人の命も救われたと言えよう。キュラソー島は、今もオランダ王国の構成国で、当時はオランダ人総督の許可さえあれば、容易に入国出来たという。

 それにしても、これまで日本国内では杉原による緊急ビザ発給ばかりが伝えられ、隠れた協力者だったオランダ領事についてはほとんど知らされなかったが、事実は、2人の緊密な連携プレイにより多くのユダヤ人の命が救われたということに、新たな感動を覚えた。

2023年2月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5664.2023年2月22日(水) ロシア、一方的に米ロ核軍縮条約を停止

 昨日ロシアのプーチン大統領が年次教書演説を行い、ロシアの安全を確保するためと称して米ロ間の「新戦略兵器削減条約」(新START)の履行停止を表明した。同時に明後日が侵攻以来ちょうど1年になるウクライナ侵略は、2014年にウクライナに誕生したネオナチ政権に東部ドンパス地方の住民が攻撃されてロシアに助けを求めていたため、ロシア軍はウクライナに介入したので、戦争を仕掛けたのは、ウクライナ側でありロシアは終わらせるために武力行使しているとの身勝手な主張を述べた。西側諸国では、ロシアはいずれ敗れるとの見方をしているが、プーチン大統領はあくまで強気に、アメリカを主とする西側陣営を非難している。ウクライナを舞台にしたロシアと米欧との対立、さや当ては、今後も続けられることだろう。それにしても我々の目から見るとロシアの主張は、身勝手過ぎてもう少し本当のことを言えと言ってやりたい。

 さて、一昨日日本が北朝鮮の弾道ミサイル発射について、国連安保理事会に緊急会合を要請し、直ちに開かれたが、アメリカが北朝鮮を非難する議長声明案は、常任理事国の中で、案の定北朝鮮の後ろ盾である中国とロシアが、北朝鮮が挑発行為を繰り返す原因はアメリカにあると反対し、一致した声明を出すことは出来なかった。この動きを見ると今後も北朝鮮がいくら派手にミサイルを日本近海に発射しても、中ロは北朝鮮を擁護し続けることであろう。

 ついては、国内問題であるが、岸田政権になって以来、原発に対する見方や規制・措置が随分緩やかになったと受け止めていたが、その影響だろうか、朝日新聞が最近行った世論調査では、ついに原発再稼働について賛成意見が51%となり、東電福島第1原発の事故後、初めて過半数になった。反対は42%だった。あれほど甚大な被害を与えた福島原発に対しては圧倒的に反対が多かった。その後賛成者は概ね3割前後、反対が5~6割だった。だが、次第にその差は縮まり、今回ついに賛成者が反対者を上回ってしまった。もう2度と事故は起こさないという名の下に念には念を入れて備えを充実させたところで、日本は地震大国である。万が一にも、東日本大震災時を上回る大地震が襲来したらどうやって原発事故を防ぐのだろうか。

 原発賛成が上回った根拠の背景には、電力料金の大幅な値上げがあり、そこに隠されている「原発設備の充実、稼働が値上げを抑止することができる」との甘い囁きが、消費者に強く訴えているのではないだろうか。電力会社のなりふり構わぬ料金値上げ作戦が功を奏しているようである。そのしわ寄せは、いつの日にか原発施設近くに住む人々を襲うことになるのではないかと懸念される。

 嫌な話題ばかりが目立つが、微笑ましいのもある。パンダ大好き人間にとっては悲しいニュースであったようだが、昨日上野動物園で生まれ育った5歳のパンダ「シャンシャン」が、中国に返還され、別れを惜しむパンダ愛好家の間では大騒ぎだった。その後無事中国に到着したようだが、今日も和歌山県白浜町の「アドベンチャーワールド」のパンダ親子3頭が中国へ返された。テレビでも放映され、まるで大物人物が日本を去るかのような画像だった。カナダでも2年前に借りたパンダを中国に返還した。日本もすんなり中国に借りたパンダを返したが、フィンランドでは2年後に返還期限がやってくるのだが、その前に返還しようかと悩んでいるようだ。それは賃借料があまりにも高額であることから、とても収支上採算が合わないとの理由のようである。フィンランドの賃借料金は年間2億円というから巨額である。近日関係者が結論を出すようだ。パンダも甘い話ばかりではないということである。

2023年2月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5663.2023年2月21日(火) 日本遺族会長の旭日大綬章受賞祝賀会に出席

 いま岸田政権は、防衛費をアメリカの要望を聞いてアメリカ製兵器を購入しつつ、GDPの2%という大軍拡を実施しようとしている。5年間で43兆円を防衛費に投入する腹積もりのようだ。年々人口が減少し、今では岸田政権にとって少子化対策が重点政策の最大の課題となった。ところが、子どもを育てている家庭にとって一番の負担である教育費への公的支出2.8%は、対GDP比で経済開発協力機構(OECD)37か国中36位と言う過少ぶりである。あまりにも低次元な少子化対策であり、こんな施策を重点政策と見ているようだが、防衛費拡大、教育費削減で人口を増やし将来の課題を解決していけるのだろうか。

 地味ではあるが、もうひとつ国内には大きな問題がある。酪農の危機と言われ酪農家を苦しめている問題である。ご多聞に漏れず、酪農家にとっても肥料、飼料が2年前に比べて5割も値上がりしているという厳しい現実がある。酪農振興のために政府は機会あるごとにこれまで乳牛を増やすことを奨励してきた。1980年ごろは、農林水産関係予算は3.7兆円、防衛費は2.5兆円だった。それが2023年度予算では、農業予算は2.3兆円に減少している一方で、防衛予算は6.8兆円と逆転している。欧米では、生産コストが上昇した場合、コストと乳価の差額を国が補填しており、アメリカではほぼ9割を補填しているという。それが、日本では苦しいなら乳牛を処分すれば、補助金を支給するという農業の振興とは逆の施策を持ち出している。政府は数年前に乳牛を増やせと要求したにも拘らず、今では生乳の需給調整を口実に乳牛1頭処分に対して20万円を支給して、全国で4万頭を処分するよう要請している。これでは年間四季昼夜を問わず乳牛の世話を焼いて一朝一夕にできる仕事ではない酪農は堪ったものではない。現岸田政権には、農業、特に酪農業に精通している政治家がいない。酪農がいかに長い期間に亘って努力を続けなければならないのかが分かっていない。私自身亡父がずっと乳業会社に勤めていて、常に牛乳が健康に良いかということを散々聞かされていた。それだけに酪農業の発展について強い関心を抱いてきた。物価の高低によって簡単に乳牛の需給を調整するなんて安易な発想が生まれてくるようでは、日本の酪農の将来も危ういものである。

 現状では、政府は酪農に発展的、かつ安定的な保障を行うことに後ろ向きである。酪農家の苦労が分かるような気がする。酪農こそ国が景気に左右されない堅実な百年の計を立てるべきである。

 さて、旅行会社に在籍していた当時、旧厚生省太平洋戦没者遺骨収集事業に約20年間に亘って深く関わっていたが、その時日本遺族会担当者だった水落敏栄さんとは毎年一緒にサイパン島に渡っていた。その水落さんが、元参議院議員、現日本遺族会会長として昨秋最高の栄誉である旭日大綬章を受賞された祝賀会が、今夕九段会館で開かれた。元同僚とともにお祝いに駆け付けた。水落会長とは懐かしい昔話もして再会できたことを大変喜んでいただいたが、とにかく出席された参加者の顔ぶれにはびっくり仰天だった。発起人が、橋本聖子元東京オリンピック組織委員会会長で、冒頭の祝賀挨拶が林芳正外相、その後に大物大臣が延々と小1時間も続いた。加藤厚労相、西村経産相、谷国家公安委員長、高市国務相、参議院議長、古賀元自民党幹事長、らが続いた。そして、途中で岸田首相まで駆けつけてくれた。首相のご挨拶を耳にするのは、今月3日にミクロネシア大使館新築移転披露レセプション以来2度目である。これだけ大物が集まるパーティなんて滅多にあるものではない。

 他に出席された衆参議員の紹介があったが、会長の人脈には流石と驚いた次第である。衆参国会議員だけでも50人近くもおられたのではないかと思う。水落会長もご満悦の様子だったが、高校卒業後就職され、その後日本遺族会に奉職され、長年戦没者ご遺族のために誠心誠意尽くされておられた。ここまで上り詰められたのは、会長の努力であり、実力だったと思う。こういう人の知遇を得られたというのは、望外の幸せである。政治家が多いレセプションではあったが、心楽しくなるパーティだった。これも水落会長のお人柄であろう。

2023年2月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5662.2023年2月20日(月) ロシアは経済制裁に苦しんでいない。

 一昨日に次いで今朝もまた北朝鮮がミサイルを連続して3発も打ち上げたとNHKが発表した。ところが、韓国軍合同本部では2発の短距離弾道ミサイルが発射されたと発表した。それはともかく昨日米韓空軍が合同訓練を行ったことと、日米合同訓練に対する反抗的仕打ちのようだ。どうも北朝鮮の行動は子どもじみている。傲慢な金与正・朝鮮労働党副部長は、「太平洋を我々の射撃場として活用する頻度は、米軍の行動の性格にかかっている」と述べ、今後もミサイルを太平洋に向けて撃つ可能性を示唆した。このように太平洋が自分たちの庭であるかのような発言をしたが、目の前の日本の領土や領海を無視し、国際海域を自国領海と考えているような考えでは、当分発射は止めないだろう。国内に貧しい人々が数多くいるのに、国費の無駄遣いであるミサイルをいつまで打ち上げようというのだろうか。愚かな人たちである。

 日本政府は国連安保理事会に対して、直ちに緊急会合の招集を要請し、早々に会議が開かれるようだ。

 さて、ロシア軍のウクライナ侵略が激しさを加えて、支援するNATO加盟国の中でもそのやり方に温度差が生まれているようだ。今後戦いが長引けば、NATO内部での対立にも発展しかねない。一方当事国のロシア国内では、多くの世界各国から経済制裁を受け、いずれロシアも経済的に立ち行かないことになり、音を上げると見られていた。実際欧米企業はロシアから事業を撤収し、彼らの製品はロシアでは見られなくなった。ところが、実態はそうでもないようだ。国際通貨基金(IMF)は、ロシア経済の見通しの上方修正を重ねている。昨年12月時点のロシアの失業率は3.7%で、フランスの半分だという。モスクワ市内では、戦争の暗い空気はまったく感じられず、商店街は賑わっており、販売を禁止した筈のドイツ製ポルシェや、iPhoneのような外国製ブランド商品も店頭に並んでいるという。

 「脱ロシア」を模索した欧米は、ロシア産原油に制裁を課して対ロ貿易を大幅に減らすことが出来た。だが、実際には制裁に加わらない国が多い。中国やインドはむしろこの隙を突いて貿易を大幅に伸ばした。この他に立ち回りの上手いトルコのように、21年と22年の11月分だけを比較しただけでも、ロシアからの輸入を55%も伸ばし、輸出も86%増やした。こういう火事場ドロボーのような国が存在する限りは、話し合いだけで取り決めても思惑通りには行かないものだ。

 鈴木一人・東大教授が、「太平洋戦争で日本は経済制裁を科されながらも、1941年から43年まではそれほど窮乏感がなかった。資源があるロシアはもっと対応力があり、1,2年の制裁で影響は出ない」と語ったようだが、制裁を科した当時はこのような発言をすることはなかった。そう考えるなら、その時に言えよと言ってやりたい。これは学者のご都合主義感覚ではないだろうか。

2023年2月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5661.2023年2月19日(日) ミサイル乱射の北朝鮮を擁護する中国

 今朝起きて庭を見ると待ち焦がれていた白梅がいくつか花を咲かせていた。今年の開花は遅いなぁと思っていたところでもあり一安心である。近所の世田谷緑地園の白梅は大分前から花を咲かせていたし、昨日のテレビ放映で観た小田原近郊の曽我梅園では、紅白の梅が満開で今が見ごろだったので、我が家の梅は大分遅れていると感じていたところである。これから一気に満開となって欲しいものである。さすれば、鶯のホーホケキョも聞かれることだろう。芭蕉の弟子、服部嵐雪の一句「梅一輪  一輪ほどの  暖かさ」が身近に感じられる。まさに春近しである。

 さて、昨夕北朝鮮がまたもミサイルを発射し、日本の排他的経済水域の内側に落下したというからその傲慢で身勝手なやりようには腹が立つ。打ち上げたのは大陸間弾道(ICBM)「火星15」で、すでに今月8日の軍事パレードで披露済みのものであるが、能力的にはアメリカ大陸を射程距離内に収めているという。毎度強気な北朝鮮当局は、金与正朝鮮労働党副部長が「アメリカは北朝鮮に対して敵対的ではなく対話への扉は開かれているとして世界を欺くのは止めた方がよい。わが国の安全を脅かすすべての行動を止めるべきだ」と一方的なコメントを発表したが、仕返しをしたのはアメリカに対してではなく、日本に対してである。何故日本に向けてミサイルを放つのか。このことをよく考えて欲しい。アメリカの行動がお気に召さないと言っては、日本に向けミサイルを発射されたのでは溜まったものではない。こういう無法国家がのさばっているようでは世界の平和への障害になる。その平和破壊国家を中国とロシアが援護しているからこそ北朝鮮は思いのままに行動しているのだ。特に中国は近年世界の大国と言われて思い上がり、その度合いは限度を超えている。その中国が、ウクライナ戦線で相当な被害を出し、兵器の消耗も激しいロシアに対して武器の供与を検討しているとの情報があり、ミュンヘン安全保障会議の場で、ブリンケン国務長官が中国の王毅政治局員に対して、米中関係に深刻な影響を与えるとして懸念を示した。

 ところが、王毅氏は話を逸らして中国の気球がアメリカ国内でアメリカ軍が撃墜したことについて、気球がアメリカの領空に入ったのはあくまで事故だと主張し、むしろ気球を撃墜したアメリカの行動に対して武力の乱用だと厳しく批判した。この王毅氏の発言と対応を見ていると今の中国人には礼儀とか、常識がまったく身に備わっていないのではないかと思わざるを得ない。仮に事はどうあろうとも、最初に間違って他国へ侵入しようがしまいが、他国へ越境行為を犯したことは事実であり、まず謝罪し、説明するのが普通の常識である。それを相手国であるアメリカが、中国の気球を撃墜したことだけを非難するのはおかしい。しかも侵入する前にその越境する予感があるのであれば、その時点でアメリカに通知するべきではないだろうか。それを気球がのんびりアメリカ大陸を横断するのを伏せておいて、アメリカに領土侵略ということで撃墜されたからとて、アメリカが黙って黙認するわけがないではないか。毎度のことではあるが、今回も中国の常識外れが騒がれただけである。その非常識な中国が、世間知らずの北朝鮮や、侵略国家ロシアのお助けマンになっている。いずれ世界中の笑いものになるのではないか。

2023年2月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5660.2023年2月18日(土) 論客・寺島実郎氏の説得力ある論旨

 あと1週間足らずでロシア軍によるウクライナ侵略から1年が経つ。そんな折某紙に日本総合研究所・寺島実郎会長の大変興味深い提言を紹介した記事が載っていた。あまり他のメディアでは拝見しない論旨である。それは、「いま世界は『全員参加型秩序』に向かっている」と言い切り、アジア諸国から期待されている日本は、その中で「アジアで戦争を起こさせない戦略構想力を求められている」そうである。歴史を振り返ってみると第2次世界大戦前まであった4つの帝国はすべて消滅した。ドイツ帝国、オーストリア・ハンガリー帝国、オスマン帝国、そしてロシア帝国である。それまでは力による正義だったが、第2次大戦後は、国連構想による世界平和の理念によりアメリカが主導する世界となった。しかし、そのアメリカも今や超大国ではなくなった。世界のリーダー役の力を失いつつある。一方、中国は国外に住んで今まで中国の経済発展を支えてきた華僑らが、強権化する習近平体制に距離を置きつつあり、いずれ中国は成長軌道を見失い、ピークアウトするであろう。アメリカ、ロシア、そして中国も世界のリーダーたる構想力や理念がない。世界は、二極ではなく、多極を通り越して「全員参加型秩序」に向かっていくというのが、寺島会長の論旨である。

 そのような世界情勢の中で、注目されるのは、これからのキーワードは「グローバルサウス」と言う言葉で表されるアフリカ、中南米、アジア、中東などの国々が台頭し、存在感が高まってくると考えられる。懸念されるのは、日本政府やメディアは米中2極の対立という見方から、ウクライナの次は台湾と決めつけ、その視点から防衛力強化に走っていることである。寺島会長が心配しているのは、台湾には米軍基地が一つもないことであり、台湾をめぐる衝突が起きれば、米軍は沖縄から出撃する。政府は「敵基地攻撃能力を持つ」と言っているが、それは取りも直さず、相手にとっての「敵地」は、当然米軍が出撃する沖縄も含まれることになり、戦争を自ら沖縄に招き込むことになる。

 そこで寺島会長の提言は、日本としては軍縮を軸とする「国連アジア太平洋本部」を設立し、それを沖縄に誘致して沖縄を戦争に巻き込んではいけないという空気を醸成すべきであると主張されている。これは、アメリカには快く思われないことであるが、アジア諸国が日本に期待しているのは、対米過剰依存から脱皮し、アジアをどうしたいのか、その構想を示し国際社会における役割を日本が果たすことではないかと主張されている。

 寺島会長のお考えは至言であり、なるほどと頷けるものである。かつて私自身「知的生産の技術研究会」(知研)で活動していたころ、度々寺島会長にお会いして、会長と知研の仲間と共著も出したことがある。当時よりその発想、構想力、行動力、啓発力などには、敬服していたが、今もこのように政府にとってはややうるさ型とも思える活動をメディアから啓発していることに脱帽するばかりである。及ばずながらも、少しでも寺島会長の卓見と言動を見習いと思っている。

2023年2月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5659.2023年2月17日(金) 友人夫人の和織展示会を見学

 グラフィック・デザイナーであり織物と染色専門の芸術家である、市川学園中の同級生Kさんの奥さんが銀座で開いた和織展示会の案内をKさんからいただき、今日会場でKさんと落ち合い他の関係者らともいろいろ話をして、この分野の奥深い文化を知ったところである。銀座の一等地の会場で、このように地味な展示会、販売促進会を開いてペイできるのだろうかとお節介な心配をしていたが、結構商売になるようだ。

 夫婦はそれぞれ別の美大出身ではあるが、2人はそこで知識と技術を磨いた。一品が158万円もするような作品をはじめ高級織物ばかりで、普通には折角作った製品を販売するのは難しいのではないかと考えるのだが、これが結構さばけるというから、日本では和服への愛着が根強いのだろうと推察する。その後Kさんにご馳走になったレストランで、いろいろ美大の一般大学との相違を聞いた。とにかく学生数が少ないこともあるが、卒業後美大では同窓会とか、クラス会のような同じ釜の飯を食った仲間と会う機会がないということは意外だった。数少ない仲間と卒業後会うこともないというのは、学生生活の楽しい思い出を消し去ってしまうのではないかと懸念するが、それが美大の実態だと言っていた。

 夫婦揃って芸術方面で活躍していることは羨ましいことであり、今後一層の活躍を祈っている。

 さて、プロ野球もキャンプに入り1か月後にはシーズン開幕となるが、今年はその前に世界野球選手権(WBC)が開催され、日本代表チーム(侍ジャパン)は過去最強チームを編成して優勝を狙っている。昨年ワールドカップで盛り上がったサッカーも今年30周年を迎えるJリーグが開幕した。春到来とともにスポーツ・シーズンも花盛りである。

 日本ではバスケットボールは、世界のレベルからやや取り残されて、割合地味なスポーツではあるが、一昨年女子代表チームが東京オリンピックで銀メダルを獲得したこともあり、少しずつ人気も上がってきた。日曜日には天皇杯全日本バスケットボール選手権決勝戦が行われる。その本場アメリカのNBAで日本人の八村塁選手が活躍しているが、今シーズン途中にウィザースから名門ロサンゼルス・レーカーズに移籍した。バスケにはあまり関心はないが、レーカーズというチームと、そこに所属していたNBA歴代最多得点記録を持っていたジャバ―選手にはかなり以前から興味を持っていた。それは、1977年10月に文部省教員海外使節団にお供してオクラホマ・シティに滞在した折に、ジャバ―選手が活躍したレーカーズの試合を観て、同じホテルに宿泊していたジャバ―選手に廊下で出会い声をかけ、その数年後にレーカーズが来日した際には、地下鉄新宿駅で電車に乗ろうとしたところ、長身のジャバ―選手が頭を下げて降りてきてばったり出会った奇遇に少々縁を感じていた。そのジャバ―選手が活躍していたレーカーズに、八村選手が移籍して活躍しているとは嬉しい限りである。近年日本選手が海外の本場で活躍する姿が少しずつ増えているが、絶対的にアメリカ選手の独壇場だったバスケの世界で日本選手が活躍するとは、誇らしいことだと思うとともに、随分世界のスポーツ界も変わったものだと思う。

2023年2月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5658.2023年2月16日(木) トルコ地震大被害は政治家と建築業者の責任

 トルコ南部とシリア北西部に跨るこの度の大地震は、今世紀でも最大と言える被害を出しており、今なお救援、支援活動が続けられ、親子3人が228時間ぶりに救出されたというニュースまで聞かれる。エルドアン大統領も災害復興を唱えているが、今の違法建築による脆弱な建造物が倒壊したことに、これらの建物の内約90%は、建築基準法が施行された1999年のイズミット大地震前に建設されたもので、法令違反ではないというようなニュアンスの説明をしたために責任逃れと非難されている。私は偶々1999年イズミット大地震(M7.4、死者17,262人)にチャナッカレで遭遇してしまった。大きな揺れはもちろんであるが、翌日チャナッカレの町で見聞した被災地の姿は生々しく瞼に鮮烈に残っている。その時今回の地震と同じように、高層建築物はパンケーキ・クラッシュ崩壊した。バス車内から外の被災状況を見て昔のイスラム・モスクが揺るぎない中で、新しいビルが軒並み倒れていたことが、強く印象に残っている。イスラム建築物は頑丈に建築され、今日にまでその形を残した。あの時、降雨によりテント内に敷かれた立派な絨毯の端が外に出て雨の中で汚れていたが、トルコ人は製品に自信を持っていて気にはしていなかったことも頭に焼き付いている。

 大統領は、違法建築により甚大な被害を出したことに違法とは言えないと主張して、自らへの批判を避けようとしている節がある。そして、建物の崩壊について、責任の所在を調査するとして、すでに100人以上を逮捕している。しかし、そんなことを今更やっている場合ではないと思う。国が違法建築を見逃す環境の中で、建築業者が甘い汁を吸っていただけのことである。「大勢の命を奪ったのは地震ではない。『都市変容』という名のもとに街を共同墓地に替えてしまった人々、そしてあらゆる建築許可証に署名した人々だ」と厳しい声がある。

 わが身を振り返ってトルコと同じ地震国である日本には、このような違法建築はないと思いたいが、真面目と見られている日本人にも、政治家などの言動を見ているととても安心できない。常に襟を正す気持ちが必要ではないかと思う。

 さて、円安とウクライナ戦争による原料費の値上げにより、日本経済も苦しい立場に追い込まれているが、今日財務省が公表した先月の貿易収支は、実に3兆5千億円の大赤字で18か月連続の赤字である。何と単月の赤字としては、1979年以降で最大だという。これは何といってもエネルギー関連の輸入が大幅に伸びたことが大きい。輸入額の増加は、量的にはさほど伸びていないが、金額ベースでは円安が影響して石炭が93%増、液化天然ガスが57%増、原油が35%増だったことが効いている。ウクライナ戦争が続く限りいばらの道はまだ続くことだろう。

2023年2月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5657.2023年2月15日(水) トルコ地震犠牲者4万1千人、日本の島嶼数14,125

 トルコ大地震は、その後も犠牲者の数が増え続けてついに4万人を超え、イラク国内の犠牲者と合わせ4万1千人となった。相変わらずテレビ・ニュースでは現場の救出場面を放映しているが、今後どの程度まで犠牲者が出るのだろうか。気になって仕方がない。ほぼ半年後の今年9月には関東大震災発生80年を迎えるが、この時の犠牲者は約10万5千人と言われている。当時の建物はほとんど木造建築だったので、崩壊し易かったことと火災の発生もあり、被害が増大したが、今回のトルコ地震は違反建築によりその犠牲になった人々が多かっただけに残念な気がしている。一段落したら真剣に建築基準を守る対策を練るべきであろう。

 さて、今朝の新聞にこんな記事が載っていた。島国といわれる日本だが、4つの本土に加えて多くの島々から構成されている。その島々の数を国が35年ぶりに数え直したところ、合計で14,125島だということが分かった。35年前の調査では、6,852島だったというから倍増である。

 技術が発達した中でこれほど数字が変わるというのは、数え方の基準が変わったとしか言いようがない。島というものについて国連海洋法条約では「自然にできた陸地で、水に囲まれ、満潮時でも水面上にあるもの」と規定されている。中国が国際法を無視して公海上に埋め立て工事により作った人工島なんて、島と呼べるものではないことは明瞭である。35年前の日本では、外周が100m以上の島を海図など紙の地図を使用して手作業で数えたという。それが今では、電子化した地図を基にコンピューターで計算したので、大分精度が高まった。尤もこれらの島々すべてに島民が生活しているわけではなく、無人島も数多くある。今や無人島が中国人に買い取られ、政治問題化しかねない有様である。国は国の領土であることを確認したなら、例え島民が住んでいまいが、きちんと管理する責任があると思う。

 それにつけても、2013年10月に世界最大の島嶼国のインドネシアが、同国の島数は13,466と公表し、すべての島々に島名をつけたと発表したことがある。今回の日本の島嶼数は、これを抑えて一応世界一になったと言える。2位だったフィリピンの島数は、7,109だった。3位だった日本が、コンピューター化しただけで、1位になったと思っていた。

 ところが、出典を今年1月の「雑学サークル」に拾ってみると、別の国別島嶼数ランキングが掲載され、トップ3はすべて北欧で、アジア各国の数とは桁違いに多い。因みに1位スウェーデの島嶼数は221,800、2位フィンランド188,000、3位ノルウェー55,000、4位カナダ52,455、5位インドネシア13,466、6位オーストラリア8,222、7位フィリピン7,641、8位日本6,853、9位イギリス6,289、10位ギリシャ6.000だそうである。アジアの3か国は5位以下に落ちてしまった。日本は新しい島数が公表されたが、これによれば、8位ではなく、5位にランクされる。また基準が変われば順位の移動は考えられる。それにしても地球上には、随分多くの島々があるものだと思う。

2023年2月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5656.2023年2月14日(火) 「チャットGPT」の怖さ

 今日2月14日は、ヴァレンタイン・デーである。近くのケーキ店さんには、数日前から店の前にケーキを購入しようというお客さんが並んでいた。ところが、我々が小中学校生のころは、そんな日があるなんてまるで知らなかったし、むしろ父親から旧日本軍がイギリス軍を攻略し、シンガポールを陥落させた戦勝記念日だと散々教えられた。末弟などはこの日に生まれて新嘉坡(シンガポール)の「嘉」の文字を組み込んで「嘉正」と命名されたくらいである。ところが、シンガポールは「嘉」の外にも「加」など数文字が使用されているし、一番驚いたのは、実際に陥落したのはその翌日の15日であると、その当時シンガポールの現場にいた陸軍航空隊の元機長さんから聞いた時である。その後、よく調べてみると確かに15日であると分かった。弟にその話はしていないが、聞いたらどう思うだろうか。

 さて、つい最近になって「チャットGPT」という流行語のようなAI言葉を知った。昨年11月マイクロソフト社がチャットGPTのAI機能を搭載した検索エンジンを披露したのである。チャットGPTの技術は、膨大な情報をもとに訓練した言語モデルを人間が評価を加えて修正し、更に精度を高めた。このAIの性能向上の背景には、言語モデルとデータ量の巨大化と、その計算処理を担う半導体の高性能化があるという。分かり易く言えば、文章作成などで、言葉を単語としてすべて書き込むことによって、単語の集団が1つの文章に仕上がるようだ。アメリカでは昨年11月末から僅か2か月で利用者が1億人に達したと言われている。とにかく質問を入力すれば、恰も人間同士の会話のように自然な回答が返ってくるという。アメリカでは学生が、チャットGPTに宿題をさせるということが問題になっているようだ。ニューヨークの市立学校や、フランスの名門大学でも利用を禁止するところまで制限を広げている。卒業論文もすべてこのチャットGPTが代行したら、学生たちの本分はなくなってしまうのではないか。

 機械や、AIは人間の手を省くことがその基本であるが、考えることまで代行するようになっては、学ぶことにはならないと思う。学問の分野で学ばなければいけない学生らが、「手抜き」をして考えることを止めるということは、本来の目的とは乖離しているのではないだろうか。これでは、学生は皆考えなくなってしまう。手抜きを助長するようなAIは、文化の発展のためには、むしろマイナスではないだろうか。

 それにしても人間の開発する技術はどこまで発展し続けるのだろうか。そして開発が進めば進むほど手を抜き、結論ありきの学問を育てることになる。その過程で、質問されても答えられなくなるのではないだろうか。こうして見かけとは別に人間の知識は、少しずつ退化していくことにならなければ好いがと思う。

2023年2月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com