5674.2023年3月4日(土) 高市早苗氏のような3流人物が大臣とは?

 今朝の朝日新聞社説は以下のような文言から始まっている。「首相補佐官の立場で、ひとりの政治家が法律の解釈を実質的に変えるよう行政に迫る。官僚たちは抵抗するが、首相も追認する—真実であれば、見過ごせない疑惑が浮上した。一部否定している関係者もいる。事実の解明が急務だ」

 今国会で放送法に関する質疑がもめている。それは元々安倍政権下において放送法の政治的公平性を巡って新たな解釈が加えられたことに端を発している。新解釈は、首相官邸側と総務相との話し合いで追加されたとされている。政治的公平性を問題視したのは、官邸側で新解釈についてそれなりの意向があったことは認めた。その点については、立憲民主党の小西洋行・参議院議員が公表した80枚のA4版政府内部文書資料に記載されている。当時の礒崎陽輔・首相秘書官が自身総務省に働きかけて新解釈は追加されたと証言している。

 政府は政治的公平性について「1つの番組ではなく、放送事業者の番組全体をみて判断する」と解釈していた。それがずれ始めたのは、2015年に当時の高市早苗総務相が国会答弁で「1つの番組でも、極端な場合は政治的公平を確保しているとは認められない」と政府の解釈に異を唱えたからである。その1年後高市大臣は、放送局が政治的公平性を欠く放送を繰り返した場合の放映停止の可能性に言及し、言論への介入、放送事業者の萎縮を招くと批判が相次いだ。

 本件の新解釈が文書に追加されたとする件について、直接関わった礒崎元首相秘書官は総務相に自ら働きかけたことを認めた。松本剛明総務相は、小西議員が公表した文書は内容が事実かどうか確認出来ておらず、現在精査中と明確な説明を避けている。これに対して現経済安保担当相の高市元総務相は、文書の信憑性が疑問だとか、悪意を持って捏造されたものだなどと言い出し、文書上の自身の発言も否定する始末である。この発言に対して小西議員が、捏造でなければ議員を辞職するかと問われ、結構だと受けて立った。

 これに対して質問した小西議員は、今朝早々にツィッターで次のように発信した。

 「本日の高市大臣の『捏造でなければ議員辞職』は私も驚いた自爆答弁だった。実は昨日の通告レクチャーで高市大臣の秘書官は文書の内容を全く知らなかった。要するに官僚からも見放され、圧倒的な真実の文書に立ち向かう術もなく、苦し紛れの自滅だった。必ず辞職させます」。

 放送法にせよ、学術会議にせよ、独立した組織に対する政府の介入が強すぎて、いずれも言論の自由、学問の自由に介入し過ぎである。特に高石大臣の権力を背に押し付ける介入は、自身の政治活動においても露骨に窺える。高石大臣は現在政治資金規制法違反の疑いでも刑事告訴されている。公設秘書が別団体の政治資金収支報告書の訂正や、領収書の差し替えを行っていた疑いがある。大臣たるもの、もう少し身を正して自身の身辺整理をきちんとやってから発言するなり、正論を述べてもらいたいものだ。大臣どころか、1議員としても資質を欠いていることは明白である。こんな身勝手な作為を施すような高石大臣には最早議員を辞めてもらうしかない。

2023年3月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5673.2023年3月3日(金) 国会議員に大甘の厚遇

 今日は弥生の節句、雛祭りである。昨日までは日に日に暖かくなり昨日は都内で20.3℃になり、4月の陽気とほぼ同じである。漸く鶯も満開の白梅の下へ飛んできてくれた。だが、まだ美声を聞かせてくれないので、気長に待つより仕方あるまい。そこへ今日は急激に寒さがぶり返してきた。

 いま国会では、ウクライナ戦争、物価高騰、少子化など早晩解決しそうもない多くの課題に実りのない議論が展開されている。外交では、日本は今年5月広島で開催される先進7か国首脳会議(G7)議長国であるにも拘らず、インドで昨日まで開催されたG20外相会議に国会優先を理由に林外相が欠席したことがインド国内をはじめ、各方面でいろいろ詮索されている。そして、国会日程が終了するや昨晩、外相は専用機でクアッド外相会議出席のためインドへ向けて日本を発った。

 昨日国会では「れいわ新選組」の山本太郎代表が、かなり厳しい質問を岸田首相にぶつけていた。「軍備の増強を煽って誰が得をするのか? アメリカがぼろ儲けするだけだ。コロナが来ても物価高でも生活者も事業者も酪農家も守らない。資本家の犬、アメリカの犬、統一教会の犬でもある自民党政権は退陣以外ない」とかなり強烈に自民党を非難していた。

 更に山本代表は、日米地位協定をどう運用するかを協議する場である日米合同委員会についても批判した。「日本の空は米軍の支配下にある。日本国土は全て米軍の治外法権下にある。日本と米軍の間に国境はない。国のトップは『米軍+官僚』である」など厳しいコメントを述べた。国民の知らない日米合同委員会の場で秘密裏に会合が繰り返されていることを皮肉も加えて批判したのである。また、こんな政治不信が蔓延している中を、昨日TV朝日のモーニングショーで昨年10月軽率な「電通」発言から謹慎処分を受けた玉川徹氏が、復帰して参議院議員宿舎の家賃の値下げについて詳細な取材内容を報告した。

 全般的に国会議員に対して日本ではかなり甘く、特別の厚遇をしている。玉川氏の取材に依れば、参議院では千代田区内にある2LDK、75㎡の宿舎の家賃を月額92,210円から89,642円に値下げするという。普通の相場なら月額50万円を下らないと不動産関係者も認める一等地で、しかも駐車場代も無料という厚遇ぶりである。現状国会議員の歳費は、月額129万4千円、年額で1,552万8千円、これに期末手当として年額635万円が追加され、総額2,187万8千円が基本である。そこへ「調査研究広報滞在費」と称して月額100万円と、1人当たり会派に支払われる「立法事務費」月額65万円が支払われる。宿舎の破格の家賃支払いを別にしても合計41,67万8千円となる。普通の国民はすべての所得に所得税を課税されるが、議員には税を課せられない「調査研究広報滞在費」、及び「立法事務費」が仮に課税されるとするなら収入に課税分を加算し、感覚的には「5,183万8千円」になる。2年国会議員を務めただけで億万長者になれるという夢のような話である。これでは誰しも国会議員になりたがるわけである。これが、すべてということでもないが、国民のために働かなくても、また悪あがきをしても国会議員になろうとする政治家の魂胆ではないだろうか。真っ当な国会議員が少ないわけである。

2023年3月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5672.2023年3月2日(木) OECD内で最低の韓国の出生率

 昨日の本ブログで日本では新生児の出生率が低く、今後少子高齢化に拍車がかかり、それが社会保障制度に警鐘を鳴らしていることにふれたが、日本以上に深刻なのがお隣韓国である。この国の2021年の出生率は、0.81で過去最低である。これは経済開発協力機構(OECD)加盟38カ国国平均の1.59を大きく下回り、1を下回るのは韓国だけというから国として心配なのも想像がつく。韓国も過去50年間で当初は4.54だった出生率がほぼ毎年下がり出し、ついに2018年に1を下回ってしまった。2021年に生まれた子どもの数は、26万人強であるが、現在の大学入学定員が47万人強であることを考えると、あまりのアンバランスに愕然とするくらいである。韓国の文科省に当たる教育部は、今後大学に助成金を供与して大学自らが構造調整を行うよう指導するという。各大学の学生数を減らし、大学の数も減らすことになるのではないだろうか。

 OECDの人口は下降気味である反面、意外にも世界の人口は、増え続けており、22年11月に80億人に達し、30年には85億人、50年には97億人にまで増加する見通しである。多くなる原因はほとんどがアフリカ諸国の人口増加である。貧しい国が多いアフリカの人口が増えるということであり、人口増加は世界の傾向としては歓迎されるところだが、現状のままだと世界的には貧しい人々が増えることでもあり、難しい問題を抱えることになる。人口が減り続けるOECD加盟国の中では、イスラエル出生率が断トツに高く、2.9である。次いでメキシコが2を上回っている。韓国は最下位であるが、下から4番目が日本である。

 その韓国は現在経済が芳しくなく、中でも不動産バブルが崩壊しつつあり、先行きの見通しが不鮮明である。将来の生活不安により、70代・80代の国民の自殺者は世界で韓国人が圧倒的に多いというからこれも悲しい現象である。

 さて、旧統一教会の好ましからざる問題がいくつも明らかになっているが、教会が主宰する韓国国内のイベントに日本の首相を招待しようとの試みが度々あったと報道された。ほとんどの首相は、招待を断るか、返事をしなかったようだが、2021年には安倍首相がビデオ・メッセージを送ったという。国民を裏切り続けた不真面目な鳩山由紀夫首相は祝電を送ったとの話がある。この点を考えても自民党と旧統一教会はズブズブの関係であることが分かる。

 そんな折に、また別の宗教団体である「エホバの証人」が、信者の家族への輸血を拒否するよう指導しているとして家族らを支援する弁護士らが厚生労働省に「エホバの証人」が児童虐待の恐れがあるとして訴えた。どうも得体の知れない新興宗教団体には、騙される人が多いようだが、彼らの悪知恵もしたたかなものなのだろう。明らかな証拠がはっきりしたら、政府は毅然として排除すべきだろう。まったくうっかり出来ない世の中になったものである。

 ところで、偶々であるが、今日別の新興宗教団体「幸福の科学」総裁大川隆法氏が亡くなったと夜のニュースで伝えていた。「幸福の科学」創始者で政治政党「幸福実現党」創立者でもあった。「幸福の科学」の信者は、世界168か国以上に広がっているという。まだ後継者も決まっておらず、あまりにも突然の死に「幸福の科学」内でも慌てふためいているようだ。享年66歳だそうだからまだお若かった。

 

2023年3月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5671.2023年3月1日(水) NPO公開講座で講師を務める。

 弥生3月を迎えた今日NPO「シニア大楽」の公開講座で講師を務めた。長いこと講師として登録はしているが、講師を務めるのは、コロナ渦の影響もあり他のNPOで講演した2019年1月以来で、実に久しぶりである。陽気も朝から暖かく都内では最高20℃を超えたそうだ。外套をまとわず会場の飯田橋へ出かけた。受講者はNPO会員で70名ほどだった。講演は3人の講師が順番に務めたが、私は最後に壇上に上がった。私の後でアトラクションとして落語家が一席語った。2人の講師は、「笑いと健康」とか、「夫と妻のコミュニケーション」と言った身近ではあるが、ソフトなテーマについて述べられた。それに引き換え、私のテーマはパワー・ポイントを映しながら「臨場感で知る世界の動き」と題し、副題として「どうして9.11テロを予知できたのか?」を挙げた。やや世界的な現象を取り上げて話す話題も幅広いものになり、受講者にとってはややスケールが大き過ぎるかもしれない。しかし、壇上から見ていると珍しい話題を取り上げたので、皆さん終始興味深そうに耳を傾けてくれた。熱心に聴いてもらえたと思う。出来栄えとしてもまずまずだったのではないかと思っている。割合身勝手に言いたいことは言うことが出来た。当分次の予定がないので、これからは気ままに文章を綴ることに励みたいと考えている。

 講演を終えた後で随分気分的にすっきりしたことがあった。飯田橋のビルを出て地下鉄南北線飯田橋駅へ向かったのだが、どうも標識が分かりづらく方向が分からなくなってしまった。ビルの外でベンチに座っていた学生風の若者に道を尋ねたところ、分かり難いと思いますので、ご案内しましょうと入口が分かる場所まで連れて行ってくれた。時間的にゆとりがあったのかもしれないが、久しぶりに親切な好青年に出逢うことが出来た。こんなナイスガイはあまり見られなくなったが、今でもいるのだなぁとお礼の言葉を言い、すっかり気分を良くして帰宅することになった。

 さて、少子高齢化が言われ出してからかなり時間が経つが、その傾向は収まる気配がない。昨年日本国内で生まれた子どもの数は、79万9千人となり、統計のある1899年以降で初めて80万人を割ったと新聞では大騒ぎである。100万人を割ったのは2015年であるが、それから僅か7年しか経っていないのに2割も減少した。少子化で懸念されるのは、特に社会保障制度である。加藤勝信・厚生労働相は「経済と社会の基盤が大きく揺らいでくる危機」と述べた。特に、将来の年金と介護の不足が心配されている。

 翻って我々が中高生のころは、我々昭和13年寅年生まれは、前後の学年に比べて比較的数が少ないので、将来に亘って彼らに比べて競争は楽だと言われたことがある。実際にはそんなことはあり得ようがない。特に私なんて大学入学に2年も浪人生活を送ったので、そういう有利性はなかったと思う。昭和13年生まれは、全国で193万人だったというから昨今の誕生数に比べてかなり多かった。今になって、特にコロナ渦のせいもあり、出生数の減少が気遣われているが、国ももう少し早く、長いスパンで少子化問題を察知し備えることが出来なかったのだろうか。いつも目の前の問題を見過ごして、後になって慌てるというのが日本の政治家の大きな欠点である。今日講師として強調した「臨場感」ということを別の意味で知らず、また感じ取っていない。今の政治家の行動原理で、これからの日本は大丈夫だろうか、気がかりである。

2023年3月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5670.2023年2月28日(火) 政治家も千差万別、いろいろ

 今日もやや風はあったが、暖かい4月の陽気だという。都内の気温が午後3時時点で19.4℃もあったそうだから外套も要らないだろう。我が家の白梅も満開の花を咲き誇っている。残念なことに未だに鶯が来ない。早くホーホケキョと春を告げてもらいたいものだ。

 さて、一般的に政治家志向が強い人が多く、彼らの最終目的は国会議員だろうが、今年4月行われる統一地方選挙では地方議会で議員志望者が不足の地域がかなり増えているようだ。地方議会で無投票の市町村が目立って多くなってきた。直近の選挙が無投票だった地方議会は、全国で271もあり全体の15.2%になる。結局なり手が不足し選挙の都度その割合が増している。そのほとんどは小さな町村であるが、岐阜県飛騨市のように多少名の通った市でも立候補者が足りない。その最大の理由は、議員報酬が少ないということである。他には仕事との両立が難しいことと有権者の関心が低いことが挙げられている。

 翻って、国会議員に限れば、機会さえ得られれば立候補したい、議員になりたいとの声が上がる。知名度も上がって名士となり、報酬も実績に関わらず相当な額をいただける。副収入もバカにならない。一旦国会議員になったら味を占め何としても噛り付いていたいという議員が多い。勇退とか、引退はよほどの場合でない限り国会議員は辞めようとはしない。中には昨年の参議院選比例代表制で当選はしたが、海外に滞在して1日たりとも国会に出席しない変てこりんな名の参議院議員・ガーシーのような怠け者もいる。ついに参議院懲罰委員会が「議場での陳謝」という処分を申し付けたところ、当初はこれでも出席する気持ちはなかったようだが、このまま放任すれば「除名」処分を受けそうだと察知したのか、いつとは言わないが参議院本会議に出席して陳謝すると回答してきた。しかし、ガーシー議員の場合は、国会に出席しなくても一般国民に比べて大幅に上回る給与は支給される。所属する「NHKから国民を守る党」(略称:NHK党)も党首以下の足並みが揃わず、毅然とした対応が行われていない。

 国会議員の地位もメンツもあったものではない。度々指摘しているように世襲議員という特殊な議員が存在することが国会議員のイメージダウンになっている。世襲議員は概して評判が悪いが、ある調査によると最も評判の悪い世襲議員は、麻生太郎元首相である。これは充分納得がいく。次いで2位が岸田現首相である。3位が小沢氏、4位世耕氏、5位小泉進次郎氏だそうだか、この辺りは他にもっと評判の悪い茂木幹事長や、高石早苗氏、河野太郎氏など候補者はいくらでもる。

 国会議員のレベルが上がらないと国家自体が沈んでいくことになる。もう少し毅然とした政治家としての存在感を見せて欲しいものである。

2023年2月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5669.2023年2月27日(月) カナリア諸島先住民のミイラに対する思い

 今日は随分暖かい。都内の気温は14℃であるが、ウォーキングに出かけたら汗をかくほどだった。明日以降もしばらく暖かい日が続きそうで、久しぶりに講演をする明後日は、19℃だというから4月の気候である。どんな衣服を着ていったら良いのか考えてしまう。

 ついては、「NATIONAL GEOGRAPHIC」2月号に「知られざる千のミイラの洞窟」という特集が組まれていて、昔の死者の遺体がこれほどまでにきれいに保存されているのかと写真とイラストを見て驚いている。スペイン領カナリア諸島のテネリフェ島の洞窟内に保存されていた先住民のミイラである。1772年の文献に「素晴らしい神殿が発見された。1,000体ものミイラで埋め尽くされている」と紹介されている。写真を見ても18世紀に発見された多くのミイラが、これほど完全な形で発見されるとは極めて珍しいと思う。ロシア・モスクワ市内の「赤の広場」にあるレーニン廟には、ロシア革命を主導したレーニン本人の防腐保存された遺体が大切に保存され、連日多くの参拝者が訪れている。20余年ばかり前に私自身レーニン廟を訪れ、レーニンの遺体と対面したことがあるが、まるでレーニンが眠っているように見てとれた。但し、この保存方法は、かなりの費用がかかるようで、今ロシア国内ではこのまま将来に亘って保存すべきか、或いは遠からず埋葬すべきか、議論が分かれていると聞いている。

 そのレーニンの遺体とは比べようがないが、数百年も昔の多くの遺体がテネリフェ島山中の洞窟内に手つかずで保存されていたとは信じがたいことである。中でもひとつの遺体は、肉が乾燥したまま骨に固まっていて骸骨という感じではない。その人のものかどうかまでは分かっていないが、頭蓋骨には髪の毛まで付いている。手足の指先には爪も残っている。時代的には12~13世紀のものと考えられている。古い時代のものであるが、遥か古代のエジプトのミイラとは保存の仕方が異なるようで、死後の世界へ送るに当たり、4段階を踏んで保存された。第1段階では、遺体を水と薬草で汚れを落とし、遺体を清めた。そして天日干しの効果を高めるため、全身に動物の脂を塗った。第2ステップでは、腐敗を防ぐために鉱物、薬草、樹皮を混ぜ合わせたものを身体の表面の隅々まで塗布した。第3ステップの脱水工程では、15日間を要して日中は十分日差しのあたる砂地の上に遺体を置いて寝かせ、夜間は焚火の煙で燻した。最後は乾燥の工程が終わると遺体をヤギの皮で包み、永遠の地である洞窟へ運んだそうである。ここまで故人への思慕と愛情を死後の世界にまで届けようというのは、世知辛い今の世では考えられないことである。昔この島では人が亡くなると親類縁者の人々は丁重に故人を来世に向けて送ったのだ。

 翻って昨今のウクライナ戦争の現場では、ロシア軍によって殺害された人々の遺体がそのまま戦場に放置されたり、無造作に掘られた穴の中へ埋められている。そこには故人への哀悼の気持ちなんかまるでない。昔のカナリア諸島では、亡くなられた先住民へ周囲の人々が恋しく慕う気持ちがよく現れたミイラだと思うと、何とも言えない気持ちに捉われる。

2023年2月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5668.2023年2月26日(日) 2.26事件発生の日に改憲スピーチ?

 2月26日と言えば、昭和11(1936)年に言わずと知れた「2.26事件」が起きた日である。あれからもう87年が経つ。次第に軍国色が強まってきた準戦時体制下において、陸軍参謀部に不満を持った青年将校らが起こした一種のクーデターである。事件後いくつかの反省点が出され同じような事件の発生を防止するため法整備も行われたが、時とともに次第に忘れられていく。それは現代においても数年前からこの事件についてメディアの報道が一切行われていないことからも明らかである。ということは、あの時代に戻りつつあるということをも暗示していると言える。

 今日都内で開かれた自民党大会で岸田首相は、「時代は憲法の早期改正を求めている」と述べ、憲法改正へ強い意欲を示したという。すでに違憲的行為が多い自民党政権下では、改憲へどういう道筋をつけるかが当面の課題であり、極力改憲への動きを強めたいとの気持ちが溢れている。自民党内には、改憲への動きはかなり前から強まっていた。2019年当時の自民党二階幹事長が、地元和歌山市内のホテルで行った憲法集会には、雨の降る夜にもかかわらず、1,000人もの県民が集まり「自衛隊の明記 憲法改正」とアピールしたという。そこへ今は亡き当時の安倍晋三首相の改憲に向け行動するとのビデオ・メッセージが映し出された。超保守派の安倍氏が改憲を打ち出すのは、いつものことであるが、このころ政調会長を務めていた岸田現首相も憲法をテーマとする政調会を全国各地で開いていた。岸田首相の今日の発言は、今に始まったことではない。

 ロシアのウクライナ侵略戦争の悲惨さが報じられる度に、早く停戦にならないかとの願いが強くなるばかりである。戦争体験がなく、戦争の真の恐ろしさを知らない岸田首相は、国防予算を増額し、アメリカの要望に沿って軍事態勢を固め、敵基地への攻撃も辞さないと戦争へ前向き姿勢である。こんな気持ちを憲法改正に入れ込まれては、憲法は戦争のための法律になりかねない。恐ろしいことである。

 そんな時に一昨日元毎日新聞記者だった西山太吉氏が、北九州市内で亡くなられたと報道された。西山記者と言えば、忘れもしない沖縄返還に関わる日米密約文書を入手して公開した事件である。西山氏の論旨は実物を入手しているので、説得力があったが、入手のルートが外務省女性事務官からの機密文書遺漏というスキャンダルと見做され、焦点は密約自体より女性へのそそのかしと受け取られて報道され、論点がずらされてしまった。今から20年近く前に、有楽町で西山氏の講演を受講したことがあるが、右手のこぶしで左の手のひらを叩きながら悲憤慷慨して話していた熱っぽい姿を想い出す。今ではあのような真っ当な正義派ジャーナリストは少なくなった。西山氏は今の岸田内閣の改憲や、対米追従をどう思っていただろうか。きっとこぶしを振り回していたかもしれない。享年91歳だった。心よりご冥福をお祈りしたい。合掌

2023年2月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5667.2023年2月25日(土) 江戸時代と変わらない五公五民

 昨日の朝日夕刊「素粒子」欄に興味深い数字合わせが紹介されていた。第1次世界大戦の開戦日は1914年7月28日、第2次世界大戦は1939年9月1日、そしてウクライナ侵攻が始まったのは、2022年2月24日である。それぞれ年月日を1桁、或いは2桁数字にしてそれらを足してみると、第1次世界大戦は、19+14+7+28=68である。そして第2次世界大戦とウクライナ侵攻の数字も同じ「68」となるから不思議なものである。これらエポック・メークな1日は偶々一致したのだろうが、歴史を画する重大な事件勃発日の数字が同じとは奇縁だと言えないだろうか。因みに私自身の誕生日は71だった。一致しなくて良かった。

 さて、「国民負担率」という言葉がある。日本の数値は諸外国とは取り入れる綱目が異なるので、単純に比較は出来ないが、財務省のHPによれば「(日本の国民負担率は)租税負担率と社会保障負担率の合計」だそうである。それが、2022年度は47.5%になる見込みだそうである。国民の負担額が多く、世間には江戸時代の五公五民と変わらないと嘆きの声も聞こえるようだ。

 早速いつも突き刺さるような刺激的な発言で、しばしばメディアで話題になる泉房穂・兵庫県明石市長が、昨日のツィッターでこんなふうに嘆いていた。「『国民負担率‘47.5%’』って、相当に高い。子ども時代(1960年代、1970年代)は、‘20%’台で、今の半分程度。平成に入ってからも‘30%’台だったのに、いつのまにか‘50%’近くにまでなってしまった。まともな政治家を選んでこなかったツケが、今になって回ってきたということだろうか・・・」

 実際1965年代は23%だった。それが80年代に入ってから30%台となって、今では50%近くになっている。泉市長は、「~国民は諸外国並みにすでに十分過ぎるほど負担をしている。にも拘わらず、子育て支援も介護負担の軽減も一向に進まない。私たちのお金は、一体どこに消えているのだろう。江戸時代よりひどい時代に、私たちは生きているのかもしれない」と大分ご不満である。岸田政権が防衛費を倍増したら、五公五民どころか、六公四民、将来的には七公三民にまで国民の手元には、稼いだお金が残らないのではないかとの声も聞こえる。

 すべてが国会議員のせいであるとは言えないが、彼らに相当の責任があることは疑いようがない。国会議員になれる人がごく一部の階層の人たちに限られるようになったことが、国会議員の劣化を招いている。その最たるものは、世襲議員である。国会議員たる資質がなくても、知能が足りなくても、或いは勉強しなくても国会議員の子息や親族にとっては、他の立候補者よりも当選し易い選挙制度と環境になっていることである。彼らに言わせれば、誰でも自由に立候補できる権利が保証されている筈だと言うだろうが、票に結び付くコネなるものは、長年の世襲によって培われたものである。従って、この悪循環を排除するためには、厳しいかもしれないが、現職議員を辞めた次の選挙では、その子息や親族に一定期間立候補出来ない制約を設けることも一つの方法だと思う。平成に首相になった世襲議員は、16人中10人もいて、更に広義に捉えれば、12人にもなる。政界のトップである首相の75%以上が世襲首相ということだ。こんな組織は他にはないと思う。これはどう見てもおかしい。

2023年2月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5666.2023年2月24日(金) ロシアのウクライナ侵攻から1年

 5日前に我が家の白梅がちらほら開花し始めたが、今日起きて外を見ると大分花が開いている様子を見て、漸く春がやってきたのだと実感させられる。

 今日の朝日朝刊都内版に自由が丘にバンクシーが出現?と出ていた。あのどこからともなく忽然と現れ壁に特異な絵を描いて立ち去る謎の覆面芸術家が描いたと思わせる絵が、自由が丘駅前の創業100年の書店の横壁に描かれているというのである。ちょうど銀行に所用があったので、書店へ寄ってみると壁の前に三々五々人が集まり写真を撮っていた。雲に乗った子どもが持つ釣りざおの先にハートが結ばれている図柄であるが、これはバンクシーではなく、日本人グラフィティ・アーチストに明日、明後日と開かれる自由が丘猫祭りのPRに書店店主が依頼して描いてもらったものだという。

 こうしたユーモラスな試みは、心を和ませるので、コロナ渦や、物価高騰、防衛費倍増、ウクライナ戦争などの嫌なニュースが溢れる中でホッと一息つくことが出来る。このバンクシー的画像はいつまでこのままにしておくのだろうか。

 さて、思い出すだけでも憂鬱になるロシア軍のウクライナ侵略が始まってから、今日でちょうどまる1年である。ウクライナ、ロシア双方にはそれぞれ言い分と強いこだわりがあるだろう。今日の新聞には、侵略が始まった原因や経緯、ロシアの狙い、欧米各国の支援態勢、避難民の行方、等々について多くのスペースが割かれている。

 昨日国連総会では、ロシア軍に無条件撤退を要求し、ウクライナの永続的な平和の必要性を強調する決議案を141か国の賛成で採択した。決議案は日本、アメリカなど50か国以上が共同提案国となったものだ。反対票を投じたのは、当事国のロシア、ベラルーシ、北朝鮮、エリトリア、マリ、ニカラグア、シリアの7か国だった。中国は、インドなど32か国は棄権票を投じた。残念なことにこの決議には、法的拘束力はないが、それでもロシアが国際社会の中で孤立している印象をアピールするには効果的だと思う。

 しかし、どう見てもロシアの殺人者的傍若無人ぶりの侵略に、これほどロシアへの支持国があるのが理解出来ない。それはロシア国内におけるプーチン大統領の支持率にも似たように首を傾げるところがある。昨年の侵攻開始以来多少下がったようだが、プーチン大統領支持率は、今ではほぼ80%前後を維持している。とても素直には受け取れない。プーチンの身勝手で自己本位の言動が正確に国民に伝えられていないからでもあると思う。偶々今朝の「天声人語」に「自由のない社会では、為政者の言動に沈黙で応じるばかりか、称賛の拍手を送らねば身の危うい時もある」と書かれていたが、今のロシアとロシア国民を象徴している。

 両国の死者も増え続けているが、ウクライナの発表したロシア軍の死者数は14万4千人、イギリスが発表した数は4~6万人で、ロシアが公表した死者は6千人である。ロシアが過少に公表していることは明らかである。

 日本にもこんな話もある。ウクライナ避難民を日本も受け入れていて、スポーツ選手に合宿の機会を提供している。1例として、新体操のウクライナ選手に対して群馬県高崎市がその機会を供与している。そこへ敢えて渡辺守成・国際体操連盟会長が訪れ、ウクライナ新体操選手と話をした時、彼女らからロシア選手とは同じカーペットの上では試合をしたくないと言うことを聞かされた。これに対して、心の痛みは理解出来るし共有すると話した後に、スポーツは友情と連帯、そして平和を求め続けるべきで、憎しみは新たな憎しみを生むだけだと話したところ、自分に向けるまなざしが希望から落胆、そして憎悪に変わっていくのが分かり辛かったと渡辺会長が語っていたそうである。それほど戦争の傷跡は若い選手の心の中にまで突き刺さっていると感じたようだ。

 戦争はやってはいけないし、絶対阻止すべきである。この単純なことが分からなくなるのが、戦争に向かっていく人たちの心の混乱なのだ。岸田首相も戦争を知らない世代で、防衛費を増額して、敵基地攻撃能力を備えるなど戯けたことを実行しようとしているが、いつの間にか戦争にのめり込んでいるのではないかととても気がかりである。

2023年2月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5665.2023年2月23日(木) ユダヤ人「命のビザ」に隠れた協力者

 今日は天皇陛下63歳の誕生日である。一般参賀は、新型コロナウィルスの影響から天皇即位後初めて行われた。昨年の今日のブログにも書き込んだが、大学2学年当時大学の山仲間とスキー・ツアーで新鹿沢温泉へ向かっていた時、仲間のひとりがラジオから当時の皇太子誕生のニュースを聞いた。あれから63年が経過したということになる。今や世界には皇室、王室が存在する国は少なくなった。その中でも最近はイギリスの王室内のトラブルが話題になって国民から広く敬愛される王室は減りつつある。その点では、日本の皇室は大きな問題もなく、国民からの信頼は強いものと思われる。宮内庁では今後広報活動を充実させ、皇室のありのままを国民にアピールし、更に信頼を勝ち得るよう努める意向のようである。

 さて、意外なことを知った。戦時中「命のビザ」を発行して大勢のユダヤ人を救ったリトアニア・カウナスの日本領事代理だった杉原千畝の行動は、ユダヤ人の母国イスラエルばかりでなく、世界中で人間愛の気持ちを抱く多くの人々に称賛されている。私も6年前に当地を訪れて杉原が勤務した領事館をはじめ、いくつかの関連施設を見学した。意外だったのは、杉原はユダヤ人に日本の通過ビザを発行したが、彼らの身分証明書上に同時に目的地のビザも並んで押印されていたことだった。これは杉原と同様に当時リトアニアに駐在していたズワルデンダイク・オランダ領事に依って発行されたものである。確かに目的地のビザがなければ、杉原が発給した通過ビザの効力も疑問である。そしてその目的地とは、カリブ海に浮かぶオランダ領のキュラソー島だった。ベネズエラまで60㎞ほどの小さな島である。

 ユダヤ人にとって幸運だったのは、ユダヤ人にとってはナチに侵略されて反ユダヤの空気が漲り厳しかったであろうヨーロッパにあってオランダはやや友好的だった。このような人間愛に溢れた外交官がリトアニアに2人もいて、ともに彼らの旅行に便宜を図ってくれた。オランダ領事による目的地ビザ発給の協力がなければ、杉原のビザ発給も意味を持たない可能性もあった。実際ユダヤ人たちは、必ずしもキュラソー島を最終目的としたわけではなく、途中でアメリカやその他の国へ入国した人が多かったと見られている。その意味で2人の外交官の連携があったからこそ、数千人と言われるユダヤ人の命も救われたと言えよう。キュラソー島は、今もオランダ王国の構成国で、当時はオランダ人総督の許可さえあれば、容易に入国出来たという。

 それにしても、これまで日本国内では杉原による緊急ビザ発給ばかりが伝えられ、隠れた協力者だったオランダ領事についてはほとんど知らされなかったが、事実は、2人の緊密な連携プレイにより多くのユダヤ人の命が救われたということに、新たな感動を覚えた。

2023年2月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com