昨日特別国会で自民党の石破茂総裁が、総理大臣に決まり、これから石破内閣は本腰を入れて国内政治に集中してくれるものと期待半分、不安半分の気持ちである。一方、アメリカでも大統領選が終わり、次期大統領に再びトランプ前大統領が返り咲くことになった。しかし、我欲が強烈で周囲を煙に巻くことばかりやっているトランプ氏が大統領に復活したことにより、アメリカは一層自国第一主義を貫き、世界中に不安と疑念の気持ちを抱かせるのではないかと懸念される。選挙資金として200憶円近い資金を提供してくれたイーロン・マスク氏を政府の要人として起用するのではないかとも疑問視されている。トランプ氏はバイデン政権が各国の経済支援に比較的協力的だったアメリカの外交政策を、変更しようと考えているようだ。ウクライナへの支援を減らすことや、台湾の有事に備えて台湾の防衛にかなり力を入れていたが、意外にも米軍の台中政策の一環として台湾を守っているのに、台湾側から何の資金の提供もないと不満の声が漏れ伝わって来る。日本に対しても、アメリカからの武器を購入する防衛費の増額を迫るようだし、すべて自国の利のために声を上げているのだ。
世界的にも益々厳しくなる地球温暖化に歯止めをかけるべく温室効果ガスの削減に取り組むため2015年に結ばれたパリ協定(COP21)から、トランプ・アメリカが一方的に離脱をした。その後バイデン大統領になって再び協定に復帰したが、早くも来年以降トランプ大統領になれば、またもや離脱しかねないと懸念されている。アメリカは二酸化炭素ガス放出量では、中国に次いで第2位であるが、一向に減らす方向に顔を向けていない。その結果、今年のアメリカ国内の森林火災の発生は飛びぬけて増えたし、異常に大規模なハリケーンが襲来した。これも地球温暖化の影響によるものである。トランプ氏は現在アゼルバイジャンで開催中のCOP29のタイミングに非常識にも「石油ガスを掘って、掘って、掘りまくれ!」と不埒なシュプレヒコールを上げている有様である。
そのトランプ氏が大統領に選出される前に、石破首相は日本に不利な米軍沖縄基地の日米地位協定の改定を考え、更にアメリカ国内に沖縄米軍基地と同じように、自衛隊基地の設置を申し入れるようなことを語っていたが、トランプ氏が相手ではとても難しいだろう。沖縄など各地の米軍基地には、日本のアメリカに対する思いやり予算を充当させて年間超1兆円の資金を供出している。これらは、トランプ氏が大統領に就任したら、更に増額され、いかに石破首相がねばって交渉しても日本の希望を受け入れようとはしないだろう。日米関係は難しい局面に立たされることになる。
日本の政治も裏金疑惑により総選挙で与党が議席を大きく減らし、立憲民主党と国民民主党が伸ばした。これまで選挙の度ごとに議席を増やしていた日本維新の会は議席数を減らし、馬場共同代表は責任を取らされ、代表選には立候補しないことになった。与党の公明党は、代表就任間もない石井啓一前代表が落選する事態となって、各党にとっても大なり小なり荒波が押し寄せている中で、新たに創立され初めて総選挙に臨んだ日本保守党が、比例代表票の2%を獲得し、小選挙区1名、比例代表区で2名の計3名の当選者を生んだ。
しかしながら、この日本保守党という党は、何が目標で創立されたのかとんと分からない。作家であり、極右の百田尚樹代表の言動が非常識にも本音を曝け出している。代表自身のYou Tubeの国民を舐めたような過激な発言が物議を醸している。曰く「女性は18歳から大学に行かさない」、「25歳を超えて独身の場合は、生涯結婚出来ない法律にする」、「30過ぎたら子宮を摘出する」など、常識を疑うようなメチャメチャな発言が多い。こんな出まかせ放言を繰り返す人物が国政政党の代表に収まっているのも異常ではないか。世の中は国内外とも支離滅裂な危険状態に近づいている。