5754.2023年5月23日(火) 日本維新の会の伸展と裏の顔

 このところ日本維新の会が国選、地方選を問わず選挙の度ごとに勝利を収め、反面自民党がやや精彩を失っている。一昨日投票が行われた東京足立区議選(定数45)では、自民党は17議席から12議席へ議席を減らし、13議席の公明党に第1党の座を譲る結果となった。

 3月に行われた大阪府議選では、大阪を地盤とする日本維新の会が圧倒的な勝利を収めた。全政党が議席数を減らす中で、定数79の内過半数を超える55議席を占め、ここでも自民党を16議席から半減以下の7議席にして2位から3位に突き落とした。今や大阪ばかりではなく、全国各地に維新旋風が吹き荒れている。そのとばっちりを受けた自民党が苦境に喘いでいる。自民大阪府連は、知事選、市長選の自民党候補者が大差で落選し、府議会で9議席、市議会で3議席を失い、府連、府議団、市議団の各幹事長も轡を並べて落選する完敗ぶりだった。だが、懸念していた思い上がったような一面が露出し始めた。梅村みずほ参院議員がスリランカ人の入管施設内での死亡について非常識にもハンストの影響の可能性があると述べ、非難を浴び、維新は処分を課した。また、府議団代表がパワハラの件で代表を辞した。

 こういう中で自民党は何とかして維新のご機嫌を取ろうとあれこれ画策しているが、その最たるものが、4月に政府が大阪の人工島「夢洲」への誘致を目指すカジノの統合型リゾート(IR)の整備計画を認めたことである。これは維新が当初から乗り気で計画、実施に積極的だった。このカジノについてはかねてより住民の間で反対論が強く、住民投票を求める声が上がっていた。昨年6月には市民団体が住民投票条例制定を求める署名21万筆を集め大阪府内の選挙管理委員会に提出した。
 しかし、よく考えてみると大阪府民、及び市民が選んだ議員がカジノに賛成したのである。カジノを作ろうとしているのは、他ならぬ彼ら住民自身ということになる。そのカジノについては不動産鑑定評価についても不正があると取り沙汰されている。その他にも大阪都民構想についても府議会が提案した案について住民投票では1度否決されたにも拘らず、再び提案して府議会は再起を図るべく勝てるタイミングを狙っている。

 どうしてこうも議会の意見、方針と住民の考えの間に選挙では同意、しかし、その政策については反対というギャップが生まれるのだろうか。一時的な熱気とか、雰囲気に吞まれる習性、或いは付和雷同する住民気質というようなことがあるのではないか。厳しく言うなら大阪府民は社会的に大人として独り立ちしていない印象を受ける。ただ、これは大阪だけの問題だろうか。

 さて、G7広島サミットが閉幕となるや直ちに帰国したアメリカのバイデン大統領が、早速共和党のマッカーシー下院議長と債務上限の引き上げを巡って3度目の直接協議を行った。結果的に話はまとまってはいない。大統領の主張としては、国債の発行が上限に達したので引き上げないと債務不履行、つまりデフォルトに陥る恐れがあると主張している。大統領は1兆㌦以上の支出削減を提案した。最悪のケースでは、6月1日にデフォルトに陥るという。今後も引き続き、大統領と下院議長の話し合いは行われるようだが、さあ世界経済にも大きな影響を与えるこの結末は果たしてどうなるだろうか。

2023年5月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5753.2023年5月22日(月) 核廃絶か、核兵器廃絶か。

 鳴り物入りで幕を開けたG7広島サミットには、G7の首脳の他にG20の首脳らも来日した。被爆地広島から発信する核廃絶の声はどこから発するよりも世界へ響いた筈である。昨晩はウクライナから緊急来日したゼレンスキー大統領が国際会議場でスピーチを行った。今ロシアによる核の使用が懸念されている中で、大統領は平和記念資料館で数々の悲惨な資料を見学し、同時に被爆者の代表と会い話を聞いたことで原爆被災地と自国の惨状が重なって胸に迫ったようである。

 ただ、G7として議長の岸田首相はその成果について国際秩序の重要性や、核軍縮に向けた国際社会の機運について語ったが、カナダ在住のICANの被爆者サーロー節子氏は、核抑止が前提になっているとして、これでは広島で開いた意味がないと批判している。また、核拡散防止運動を進めている民間団体の反応も今ひとつのようである。

 今日の朝日朝刊の一面「視点」欄に佐藤武嗣編集委員が、前回イタリアのタオルミーナで開催されたG7におけるG7の亀裂について書いている。アメリカのトランプ大統領が「AMERICA! First!」を振りかざし、自由貿易や気候変動問題でヨーロッパと対立し、その後クリミア併合で除外したロシアを呼び戻し、G8の復活まで主張した。G7内で亀裂を生み、世界で分断を広げた反省を踏まえ、その意味では、岸田首相は、①法の支配の結束、②グルーバルサウスとの連携、③「核なき世界」に道をつける、を主たる課題に掲げた。ウクライナ侵攻を続け、核使用をちらつかせて威嚇するロシアを批判し、ロシア制裁はそれなりの効果を上げつつある。

 広島で開催した目的のひとつである「核なき世界」への足取りが今後本当に進めることが出来るのか、依然として課題として残されたままである。この広島へ世界で最初に原爆を投下したアメリカのバイデン大統領は、平和記念資料館を訪れ「核戦争がもたらした破壊的な現実を力強く思い出させるものだった」「G7が『核兵器のない世界』の実現に向けた取り組みを続けることを確認した」と苦しいアメリカ人の気持ちを代弁したが、そこから一歩踏み出すような発言はなかった。

 今朝の「天声人語」には、こんなエピソードも紹介されていた。原爆の印象について日本人と韓国人被爆者の受け止め方がこうも違うものだったのかという比較論である。日本人は、あの閃光の記憶から自らの体験を語り始める人が少なくないが、朝鮮半島出身の被爆者はそれよりも、「なぜ日本に来たのか?」と話し始めるそうである。彼らはなぜ広島にいたのか。日本の植民地支配なしには語れない。確かに広島には朝鮮半島出身者が少なくない。31年前に樺太(サハリン)を訪れ大泊(現コルサコフ)へ立ち寄った時、そこで知り合った朝鮮人のおばあさんも広島に住んでいたと言っていた。朝鮮の人たちが日本の占領下という過酷な運命に委ねられて想像もつかない放浪の旅を続けた挙句に辿り着いたのが、広島だったということなのだろうか。核がなくならない内は、世界平和は夢でしかないだろうし、旧朝鮮半島出身者にとっては日本人と同じ体験や思い出を持ちたいに違いない。

2023年5月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5752.2023年5月21日(日) G7に盛り上がる広島、経済界は地盤沈下

 今日は早くもG7広島サミットが3日目・最終日を迎えることになった。国内はもとより海外でも被爆地広島は注目され、岸田首相の思惑はある程度効果を上げたのではないかと思える。連日各国首脳が訪れ、正に世界中の要人が広島へやって来たような印象である。警備にエラーはなかったようだ。警察関係者のその労苦には頭が下がる思いである。

 この機会とばかり、広島の名産品として牡蠣、もみじ饅頭などをPRしているが、広島の経済界は今低空飛行を続けていて、下手をすれば墜落しかねないほど広島県内の産業はパッとしないようだ。広島市はほぼ半世紀前には肩を並べていた札幌市と福岡市に今では大きく水を開けられ、仙台市にも追い抜かれかねない。中でも広島の2大看板である中国電力とマツダの営業成績が苦境に喘いでいるようだ。中国電力は、2023年度決算が過去最悪の1,740億円の大赤字になった。そのうえ関西電力、九州電力とのカルテル問題で公正取引委員会から課徴金を命じられ、更に顧客情報への不正アクセスが発覚して自治体から入札排除処分を受けている有様である。更に困ったことには、中国電力が石炭火力発電へ依存し過ぎていることである。それも理由はある。島根原発2号機の再稼働が進まないところへ3号機は完成済みながら10年以上も運転を開始出来ない。電源不足からやむなく石炭火力への依存度を強める形になり火力発電の運転を開始した。今では先進国の脱石炭の動きにただひとり逆行しているのが、中国電力である。広島出身をことさら吹聴する岸田首相としては、批判の集中砲火を浴びても中国電力への配慮を止めるわけにはいかないようだ。

 もうひとつ苦境のマツダも状況は厳しい。23年度の決算では、売上高が25%、営業利益は44%も上昇して一見好調そうに見えるが、それは円安効果のお陰で、過去15年間成長どころではなく縮小でしかない。トヨタはこの間大きく業績を伸ばしている。特に懸念されているのは、マツダは電気自動車(EV)への対応が遅れていることである。

 この他にも日本製鉄㈱が呉市内に持っている製鉄所を閉鎖する。三菱重工業㈱も生産を縮小し、造船業は今治造船のある四国側へ重心が移った。広島経済の地盤沈下は、まったく予想出来ないことでもなかったようだ。私自身はJR広島駅で乗り降りしたことはないが、その根本的な象徴として広島駅周辺の開発が遅れて雰囲気にみすぼらしさが感じられるそうだ。繁華街は広島駅から離れたエリアにあり、広島空港も市中心部からバスで1時間もかかる辺鄙な一角にある。開発が遅れていたことが最大の理由である。大きな商業施設はなくホテルだけが目立って、駅から徒歩圏にマツダスタジアムがある。都市計画のバランスが取れていないのである。どうも発展する都市としては形が良くないようだ。

 カルビーやユニクロは、元々広島が地盤だった。ああいう意気の好い地元企業が出た土地柄だけに、これでクシュンとはしないだろう。かつては弱小球団だった広島カープが、今では強豪にのし上がった。被爆地広島に第2のユニクロが輩出されることを期待している。

2023年5月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5751.2023年5月20日(土) ゼレンスキー大統領来日とワクチン6回目接種

 G7広島サミットは今日2日目を迎えたが、昨日の開催日に合わせて中国も西安で中央アジア5か国首脳会議を開いた。G7広島サミット開催にタイミングを合わせたのは、それなりの狙いがある。G7サミットで国際法違反の海洋進出や、台湾問題について中国はアメリカを中心にG7から厳しく糾弾されるだろう。

 中国が5か国首脳会議に招待した5か国とは、元々旧ソ連の連邦だったカザフスタン、ウズベキスタン、キルギス、タジキスタン、トルクメニスタンである。これらの国々はロシアのウクライナ侵攻以降、ロシアに同調するどころか、むしろ距離を置きつつある。そこへ中国が約5,100億円の経済支援や治安維持・テロ対策の支援などを提供して5か国とロシアの隙間を突いているようだ。中国はロシアに対してもロシアの現状に対して必ずしも全面的に同意、支持ではないと暗黙に伝えている感じである。その巧妙な立ち回りは中々したたかである。

 G7広島サミットでは、7か国の首脳による会議で中国の海洋進出とロシアの侵攻を批判することが主な目的であり、その政治的な影響は世界的にもG7サミットに招待国として広島を訪れているG7以外の首脳の行動にも意外な場面があった。その中で温もりを感じたのは、尹錫悦・韓国大統領が広島市内で在日韓国人の原爆被爆者20人と面会したことである。歴代日本の首相や韓国大統領が、韓国人被爆者にこれまで直接会ったうえで謝罪したという話は聞いたことがなかった。原爆投下の責任は韓国にあるわけではない。しかし、尹錫悦・韓国大統領は偶々広島を訪れたこの機会に被爆者同胞に謝罪し彼らを慰めたのである。尹大統領は、従来の韓国大統領とは言動面、とりわけ日韓関係に取り組む姿勢が大分違う。安直に気持ちに寄り添うという言葉が使われがちだが、尹大統領は真から国民の気持ちに寄り添っているという印象を受ける。この機会に日韓首脳はともに市内の慰霊碑を参拝するという。これまで韓国と戦時中の韓国人というと、どうしても解決のメドが立たない従軍慰安婦問題が思い出されるが、このようにひっそりと被災者に国の代表者が寄り添うようなことが静かに行われることは、地味ながらも基本的に大切なことであると思う。これも広島G7サミット効果と言っても良いのではないだろうか。

 一方で、午後になってウクライナのゼレンスキー大統領が鳴り物入りで広島空港へ到着した。当初はオンラインで参加すると伝えられていたが、発信力の強さを意識して敢えて自ら望んで直接参加することになったようだ。明日のG7サミットに出席する。昨日ウクライナに関するG7首脳による話し合いの内容が発表されたばかりである。それは最初から予想されていたように、ロシアによる侵攻を最も強い言葉で非難すると同時に、完全かつ無条件の撤退を要求し、制裁を強化するためにロシアの輸出を制限するという厳しいものである。更にウクライナには、必要とされる限り財政的、人道的、軍事的及び外交的支援を提供すると表明した。

 さて、今日6回目のコロナ防止用ワクチン接種を受けた。前回と同じ旧二子玉川仮設庁舎で受診したが、かなり空いていた。予定より早く会場へ着いたが、順に接種をしてくれたので、案外早く終えることが出来た。第5類になってコロナ感染者の感染状況の厚労省の公表方法が変わったが、この数日感染者数はやや増えているという。このまま行ったらまた警報が発せられ大変なことになる。第1回の接種はちょうど2年前の今月末だった。これでもう7度目ということはないと思いたい。

2023年5月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5750.2023年5月19日(金) いよいよG7広島サミット開幕

 今日主要7か国首脳会議(G7広島サミット)が3日間の予定で始まった。数日前から会場周辺の警戒が厳重となり、一部の道路が封鎖されたり、一時店舗は閉店せざるを得なくなったり、広島市民にはそれなりの影響が及んでいる。

 今日首脳らは会議前に岸田首相夫妻の出迎えを受けて平和記念資料館を40分間視察訪問した。広島出身の岸田首相の思い入れが強く、資料館見学も首相の気持ちの反映であるが、元々原爆投下国であるアメリカ国民の気持ちに罪の意識があるのかどうか、資料館内部でのメディアの取材は許されず非公開となった。首脳らはどの程度内部の展示資料を真剣に見ることが出来たのか不明である。バイデン大統領はアメリカの歴代大統領として広島を訪れるのは、オバマ大統領以来2人目である。バイデン氏は、広島へ来ること自体にあまり前向きではなかった。債務の上限問題で出発直前までもめていたこともあり、場合によってはG7サミットに出席せず、オンラインで参加するとも伝えられていたほどである。

 資料館視察後G7首脳、そしてパートナーがそれぞれ原爆慰霊碑へ献花した。そして新たなニュースが入った。ウクライナのゼレンスキー首相が明日来日することが決まったのである。

 今回のG7サミットでは、広島市内において開催されるだけに「核なき世界」へどう話を進めることが出来るか、米英仏の核保有国が参加しているだけに即効的な効果はあまり期待出来そうもない。昨日日米首脳会談を行った後、岸田首相は「核兵器のない世界に向けた力強いメッセージを発することについて緊密に連携していくことで一致した」と明らかにしたが、ロシアがウクライナへ侵攻を続け核の使用をちらつかせる中でどれほどの実効性があるのか、かなり疑問である。

 被爆者のひとりとして、ノーベル平和賞を受賞した核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)のメンバーである広島生まれのサーロー節子さんが、縁戚でもある岸田首相の言葉が不可解であると批判している。首相就任時に「『核兵器のない世界』と言っていたが、軍事費を増大し、核抑止論に基づいた核政策を続けている」と指摘している。彼女は「広島、長崎で起きたことを再現するそんなことが人間として出来るのか」と手厳しい。果たしてG7は反核、禁核への姿勢をどれほど打ち出すことが出来るだろうか。

 さて、去る11日「怪童」と言われた元プロ野球西鉄ライオンズの中西太選手が亡くなっていたことが昨日公表された。高松一高時代から甲子園でも活躍し、母校湘南高校が甲子園初出場・初優勝を成し遂げた昭和24年夏の大会準決勝戦で、延長10回湘南のサヨナラ勝ちで決勝進出を阻まれた。その時の湘南には、1年生佐々木信也氏と2年生に脇村春夫・元高野連会長がおられたが、佐々木さんの活躍を記した拙著「南太平洋の剛腕投手」出版記念会で佐々木先輩から中西さんと準決勝で戦ったと伺った。享年90歳だった。合掌。

2023年5月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5749.2023年5月18日(木) 市川猿之助意識不明、父段四郎死亡

 お昼のニュースにはぎょっとした。歌舞伎役者の市川猿之助が自宅で意識のないまま病院へ緊急搬送されたという。そればかりではない。母親はすでに亡くなっていて、意識がない状態だった父親の4代目市川段四郎も病院へ搬送後死亡した。これは自宅内でガス漏れでもあったのではないかと思っていたところ、ガスは出回っておらず猿之助が書いた遺書らしきものが見つかったと伝えられて2度びっくりである。今日も明治座で公演の予定だったが、急遽公演はキャンセルされた。猿之助はこれまでにも歌舞伎役者の他にも映画俳優として名を成し、今や押しも押されもせぬ役者だった。それがどうして一家心中のような事件を引き起こすことになったのか、その原因と詳細はこれから分かることであろうが、猿之助は結構理屈っぽく上から目線で話す傾向があるので、恨みを買うことはあるかもしれないが、自ら自死の道を選ぶとは誰もが予想も出来ない複雑な事情があったのかも知れない。あまりにもドラマチックで度肝を抜くようなスリラー演劇もどきに愕然としている。

 さて、昨日中学時代の同級生が夫人ともどもクィーン・エリザベス号で台湾へクルージングに出かけていた旅先の台北から手紙を送ってくれた。クィーン・エリザベス号とは随分贅沢な船旅だと羨ましく思っていたところである。以前に送ってもらった航海スケジュールによると今月6日に横浜港を出て最初に台湾の基隆、花蓮へ寄った後、宮古島、那覇を経て15日に10日間の予定を終えて横浜港へ帰って来た筈である。9泊はすべて船内泊で、寄港地では観光を楽しんだようだ。今時間と金銭的余裕がある人の間では、船旅に人気があって、クルージングで旅を楽しむ人が増えている。私も今までに妻とエーゲ海のクルージングと神戸・横浜間の1泊2日の船旅を楽しみ、仕事上はストックホルムからヘルシンキまで豪華客船シリア・ラインに乗船したことがある。船上から眺める街々の風景は、車で訪れて眺める景色とは大分違う。心の底からゆったりした気分に浸れるのもクルージングの魅力だろう。

 実は、長らく海外旅行業務に関わっていたせいもあり、半世紀前は随分台湾にも出かけた。1970年前後に箱根湯本温泉組合が台北北投温泉組合との間で姉妹温泉協定が結ばれた時、湯本温泉組合の人たちとともに北投温泉へ同行して両温泉組合の協定に立ち会ったことがある。他にも東西横貫公路上では思いがけず目前で土砂崩壊に遭遇して花蓮へ舞い戻ったこともある。また、台中市郊外では偶々晩年の蒋介石元総統一行が休憩していた丘で出会ったこともある。あの富士山よりも高い新高山が望める阿里山にも列車で何度も訪れたことがある。いずれも台湾における懐かしい思い出である。今度彼と会った時には、話題がいっぱいである。

 コロナ渦が少し収まってインバウンド客が大分戻って来たそうだが、外国人の中で先月訪日客として一番多かったのは韓国人で、次いで台湾人観光客である。台湾の人たちは極めて親日的で、滞在して心温まることが多い。その点では、中国や韓国とは一味異なる。3月には、連れ合いを8年前に亡くした兄を気遣ってかつてエア・ホステスを務めていたことがある姪が、家族とともに兄を台湾へ案内したようだが、きっと台湾の人々の優しい心に触れて兄の心も和んだことだろう。

2023年5月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5748.2023年5月17日(水) 明治神宮外苑地区の再開発計画

 大分前から話題になり、一部でかなり強い反対意見が出ている明治神宮外苑地区の再開発事業が初期計画を若干修正したうえで、走り出している。実態が知られるにつれ反対意見が強まってきた。批判の声は、「景観が破壊される」と「公園が商業ビルに変わる」の反発からである。再開発の対象面積は東京ドームの3個分だというからかなりのスペースである。これは、土地所有者の明治神宮と開発業者三井不動産が進めるプロジェクトで、この計画により地主の明治神宮は賃貸料が手に入る。東京都はエリアを風致地区に指定しているが、実質的には口は挟むが、制限までは出来ないらしい。

 周辺の緑が少なくなることが懸念されているが、開発業者に依れば、高さ3m以上の樹木1904本の内、743本を伐採し837本を植樹するので緑地面積は、25%から30%に増えると説明している。問題は、これまで周辺にはなかった構想建造物が建築され、緑の空間が高層ビルに視界を遮られることだろう。

 学生時代に早慶戦の都度神宮球場に出かけては母校を応援していた。JR信濃町駅から緑の中を潜り抜け辿り着く球場へのアプローチは、一服の清涼剤だった。また、ラグビー観戦のために秩父宮ラグビー場へ通った散歩道も懐かしいものである。2020年オリンピック開催のために改築された国立競技場が完成するまでは、都条例によって建物の高さは15m以内とされていたが、特例的に高さ制限を80mに緩めた。一旦規則を突破すれば、次の手は簡単に出来る。最終的に再開発が出来上がるのは、2036年であるが、すでにいくつかの制限は撤廃されている。再開発エリアには、その隅に190m、185m、80m、60mの高層ビルが建ち、球場とラグビー場は場所を移転する。ラグビー場は高さ46mの屋根付きになる。今まであったスポーツ施設を極力中央部に集め、空いた敷地周辺に高層ビルを建設して、地代を稼ごうとの思惑であることは明白である。

 そもそも明治天皇と昭憲皇后を祀った神宮が、今では明治神宮の逞しい商魂により当時の姿が変わろうとしている。我々ラグビーに関わってきた者としては、雨、風の中でもプレイすることを求められていたが、人工芝のフィールドに屋根付きのグランドで風に左右されない試合は出来るが、肌に風を感じないラグビーなんてラグビーとは言えない。噂によると屋根を付けて近所に騒音被害をもたらすライブ・ショーなどを開催し易くして、極力会場使用料により安定した財政運営をしたいとの腹づもりのようだ。工事期間中の東京六大学野球や、ラグビーは別のグランドで行われるようだが、「仏造って魂入れず」にならなければ好いと願っている。

 今日は今年最高の暑さだった。岐阜県揖斐川市で全国最高の35.1℃を記録し、東京都内の最高気温は、31.6℃だった。この暑さでは、熱中症の恐れもあるので、恒例のウォーキングは大相撲中継が終わってやや涼しくなった時間にトライした。

 暑い最中にこのところ株価の上昇が続いていたが、今日日経平均株価の終値は、前日比250円高の30,093円だった。5日連続で値上がりし1年8か月ぶりに3万円台に乗せた。NYダウをはじめヨーロッパ、上海の市況は軒並み値を下げている中で、日本の証券市場の独り勝ちである。いつまで続くことやら心配でもある。

2023年5月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5747.2023年5月16日(火) HPとブログ、開設以来17年目に突入

 早いもので、このHPを開設してブログを書き始めてから今日で17年目に入った。あのころ生まれた子どもたちはすでに高校生になっている。自分自身でもよくやって来られたと思うのは、中学生時代に毎日日記を書いていたせいもありブログだけは1日も欠かさず書き続けようとの強い気持ちがあったからである。それは海外へ出かけていても同じだった。チベットで書いたブログを読んだ友人が、帰国後にその時チベットを旅している私を思い浮かべたと言ってくれた。臨場感を伝えられたのかなと思っている。昨日までで通算5746回になった。今後の目標としては夢のような1万回であるが、これはその時点で95歳になっているし、まだ11年以上も残っているので無理だろうから、当面は来年初めには達成できそうな6千回である。その後はまた考えたい。幸い書き始めてから新聞、雑誌、テレビの国際、社会面にそれまで以上に深くニュースを読み取るようになった。文章作成の勉強にもなっている。どこまでやれるか分からないが、好奇心を以て書ける内は書き続けていきたいと考えている。

 さて、一昨日行われたトルコ大統領選とタイの下院総選挙の最終結果が判明した。トルコでは戦前は反エルドアン大統領派が優勢と見られていたが、僅差でエルドアン大統領が1位を占め、予想では1位とされていた野党連合のクルチダルオール氏が2位に留まった。この結果、来る28日に両者で決選投票が行われるが、3位候補者の得票がどちらに流れるかによって勝負は決まるものと思われる。

 他方、タイの下院総選挙では、現職プラユット首相の票が伸びず、タクシン元首相の娘・ペートンタン氏がタイ貢献党党首として予想通り善戦したが、意外にもそれ以上に得票したのが42歳の前進党党首ピタ・リムジャラーンフット氏で500議席の内151議席を獲得し、141議席を獲得したペートンタン氏を上回った。2人合わせて292議席である。首相として選任されるには、上院250人の支援を得て、全体の過半数375議席以上を確保しなければならない。首相選出の焦点と条件は、ピタ氏とペートンタン氏が連立に合意できるかどうかという点と、軍の意気がかかっている上院議員の賛意をどの程度得られるかにかかっている。

 ところで、このところ物価の値上げが激しいが、今日政府は大手電力7社が申請している電気料金の値上げを了承し、6月分から電気料金が値上げされる。他の消費者物価は高くても10%前後であるが、この電力料金の値上げは7社まちまちで、一番低い東京電力の15.3%から最も高い北陸電力の39.7%まである。どうしてこれほど一気に値上げするのか、そしてこうも各社の格差があるのだろうか。家庭における電力消費量は馬鹿にならない。それがこれほどの値上げをされたのでは各家庭へしわ寄せされる電力料金はきついと思う。実は、これが決定される前に各社が提出した値上げ率はこれより大分高かった。あまりにも高額の値上げに政府も再検討を求めて再提出された値上げ案である。北陸電力は、43.4%から39.7%に下げた。しかし、東京電力の如きは、当初29.2%の値上げを申請したが、ほぼ半減され15.3%になった。些か真剣味に欠ける値上げ申請ではないかと思う。尤も電力各社はかなり長い間料金値上げを抑えてきた。そこへエネルギー価格の高騰により、とても耐えきれなくなった。例えば東京電力は前回値上げしたのは2012年で、その時の値上げ率は8.46%だった。その点を考えれば、ある程度やむを得ないとも言える。それにしても一般家庭における水道光熱費の負担は、何よりも家計に響くので、今回はやむを得ないにせよ、次回値上げは、せめて10年は我慢してもらいたいと思う。

2023年5月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5746.2023年5月15日(月) 5.15事件は近年なぜ報道されないのか?

 51年前の今日沖縄が日本に復帰した。大きなニュースとして全国的に報じられている。サッカーJリーグがスタートしたのも30年前の今日である。その一方で戦前の今日発生した大事件だった5.15事件については、メディアは例年通り一言の報道もしない。事件は世界恐慌の中で社会に不安が横溢し軍国化が進みつつあった1932年の今日発生したものである。海軍青年将校らが時の首相犬養毅を襲い殺害するという前代未聞の事件を、暴力否定の見地から、また保守政治の一つの転換点を迎えた事件としても当然報道して、国民に反右翼化志向をアピールする良い機会である。さもなくば、右翼的暴力志向が強まり、その挙句に時の首相を暗殺したことが、現在防衛費を増やし、右翼化傾向の自民党政権にとっては、この事件がクローズアップされることは好ましくないとの考えがあるのだろうか。それ故政府が何らかの方法でメディアが事件を取り上げないよう工作しているのではないかとつい勘繰りたくなる。

 事の是非はともかく、あれだけ大きな事件で、歴史の教科書でも教える事件について一言の報道もないというのは、メディアの怠慢ではないかと思う。

 さて、昨日トルコとタイで国のトップを決める選挙が行われた。トルコでは大統領選で20年間国を率いてきたエルドアン大統領と野党の統一候補クルチダルオール氏ほかの争いとなり、今日時点でいずれも全員過半数には届かず、来る28日に両氏の決選投票が行われる見通しである。戦前の支持率予想では、エルドアン大統領が45.4%、クルチダルオール氏50.9%と現職がやや不利だったが、開票の結果途中経過では大統領49.36%、クルチダルオール氏45%と予想を覆しているようだ。トルコは今経済停滞による物価の上昇が激しく、与党がやや不利であるが、そこへ2月の大地震の対応の稚拙さが批判を浴びて20年間の長期政権を維持してきた大統領も鼎の軽重を問われている。

 タイの選挙は、中々複雑で分かり難い。2014年に軍事クーデターにより政権の座に就いた軍出身のプラユット首相に対して、挑むのはタクシン元首相の娘ペートンタン氏である。4つの政党がそれぞれ候補者を擁立し、上下両院の合計750人の過半数を得た候補者が首相に推薦される。複雑なのは、前回2019年の選挙で最も多くの票を獲得したのは、タクシン派だった。過半数に達しなかったので、プラウィット派が他の中小政党と組んで連立政権を作った。

 問題は、下院500名、上院250名の議員が選出されるが、上院は軍が任命する形になり、全般的に元陸軍司令官のプラユット氏が有利である。

 いずれも親日的な国で、タイに至っては進出している日系企業が5800社もあり、19年にタイを訪れた日本人観光客は約180万人で、日本を訪れたタイ人観光客は130万人といわれるほど日本とタイの交流関係は深い。

 両国には、何度か訪れて印象的な思い出が多い。トルコでは20世紀最後のイズミット大地震に遭い、その惨状に次に大地震が襲ったら大惨事になるだろうと懸念していたが、去る2月の大地震でその恐れは現実となった。タイは1966年最初に訪れた外国であり、新婚旅行でも家族旅行でも訪れ、楽しい思い出がたくさんある。

 トルコの選挙では年長とは言え新人のクルチダルオール氏、タイでは同じく新人のペートンタン氏の動向に注目している。

2023年5月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5745.2023年5月14日(日) 沖縄復帰なって自衛隊沖縄基地拡大へ

 半世紀以上も昔何度か沖縄返還闘争デモに参加したことがある。1972年5月15日、念願だった沖縄の日本本土復帰が実現した。1951年サンフランシスコ平和条約が協定され、日本は戦後漸く被占領国から独立国となったが、沖縄はその後もアメリカの施政権下にあり、日本とは切り離されていた。沖縄県民は国籍不詳の無国籍状態だった。51年前の明日漸く日本へ復帰することになり、沖縄県民と日本国民の長年の希望が実現した。沖縄の状況は、道路は日本と同じように車は右側から左側通行に変更され、通貨も米$から円に替わり生活面は日本と変わらなくなり、沖縄県としても日本の三権が認められ、1つの自治体としての行動、機能が容認されるようになった。

 問題は、引き続き駐留しているアメリカ軍の沖縄県民へ与える影響が相変わらず強く残っていることであり、県民の生活は大きな影響を受けていた。本土から観光客も訪れるようになり、沖縄経済も少しずつ成長し県民の生活も豊かになったが、駐留米軍による航空機騒音や環境問題をはじめ、米軍兵士らの犯罪などで県民の生活が脅かされることが目立ってきた。そのうえ、今も生きている日米地位協定のような不平等条約を押し付けられ、沖縄県として米軍及び米軍兵士に従属させられるような事態に追い込まれていた。

 沖縄県における米軍専用施設の総面積は、県面積の約8%、沖縄本島では約15%を占めている。全国の米軍専用施設面積の内、沖縄県のそれが70%余も集中しているほど、今以て沖縄は米軍施政下にあると言える。

 そんな折近年中国へ対抗するためと言い、自衛隊が沖縄諸島に進出し急速にその存在感を高めている。沖縄を含む南西諸島は、長い間防衛面での空白地帯とされてきた。72年の復帰とともに自衛隊は沖縄へ駐屯地を設置して80年代には自衛隊員数は6千人台だったが、2020年代になって8,200人になった。自衛隊基地面積も増え、昨年3月時点で復帰時の4.7倍にまで増えた。

 いかに中国への対抗手段であるにせよ、沖縄県の歴史や県民感情を蔑ろにして自衛隊の増強を図るのは問題であろう。太平洋戦争中に沖縄では県民の4人にひとりが犠牲になっている。数値的な問題ばかりでなく、沖縄には戦時中県民が恐怖に追い込まれた屈辱的なメモリーがいくつもある。終戦直前の米軍上陸、島民への集団自決強制、日本軍による島民虐殺などもあり、約10万人がその犠牲となった。中でも終戦の前年に疎開する子どもたちを含む約1,700人を乗せた対馬丸が那覇港から長崎へ向かう途上で米潜水艦の攻撃を受けて沈没し、約1,500人が犠牲になった生々しい悲劇がある。

 今では、県民の間に少しは自衛隊を受け入れる気持ちもあるようだ。2016年に与那国島、19年に宮古島、そして今年3月には石垣島へミサイル運用部隊などの駐屯地が開設された。だが、決して「自衛隊⇒軍人⇒戦争」のイメージが消えたわけではない。配備が進む島々では複雑な思いの人がかなりいる。「自衛隊は我々を守るためだけのものか。いつの間にかアメリカと中国の対立の最前線に立たされている気がする」とある沖縄県人が語っていた。とにかく防衛予算の大幅増額により、軍事力を強大化させることに拘泥する岸田政権は、もっと国民の声、とりわけ沖縄県民の声に耳を傾ける必要がある。

2023年5月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com