5764.2023年6月2日(金) 藤井聡太新名人、最年少で7冠獲得

 昨夕のニュースで将棋の藤井聡太竜王が、名人戦で渡辺明名人を4勝1敗で破り名人位に就いた。と同時に、史上2人目の7冠を制覇したと伝えられ、藤井竜王のあまりの強さに日本国民が皆驚いている。何といっても藤井新名人は、まだ20歳10か月で名人史上最年少である。名人になって早速書いた揮毫が「温故知新」だった。その揮毫が納められた額が小学校校長室内に掲げてあり、担任教師がその意味を丁寧に教えてくれたことが強く印象に残っている。我が家から徒歩5分程度のところに住んでいる羽生善治九段が、かつての7冠から現在無冠の帝王となったが、勝負の世界とはそれほど厳しいものなのだろう。残る冠は、羽生7冠時代にはなかった「王座」で永瀬拓矢王座から今秋にもタイトルを奪取することが出来れば、まさに史上初の8冠となる。

 それにしても将棋界には、どうして8つもタイトルがあるのだろうか。これでは7冠になった藤井名人は、8つ目のタイトルを狙うより、7冠をひとつずつ防衛するだけでほとんど時間を取られてしまいそうだ。

 藤井人気で将棋界もホクホクだが、かつては棋士が対局中にソフトを使ったと非難が集中し低迷した時期がある。そこへ藤井聡太名人が中学生棋士としてデビュー29連勝をして3年前に棋聖の初タイトルを獲得するや、挑戦したタイトル戦ですべて勝ちタイトル獲得数は15期になり、人気は一気に火が点いた。

 しかし、それでもこれだけ国民の目を引き付けるほど活躍しても、獲得賞金になると他のビッグ・スポーツ選手や芸能人に比べて大分後塵を拝している。昨年の稼ぎ高ベスト3は、藤井聡太1億1,800万円、2位渡辺明7,450万円、3位豊島將之5,450万円で、羽生九段に至っては11位の1,600万円でサラリーマン役員ならこの程度は皆稼いでいる。それに比べると年棒約40億円の他に、スポンサー料を合わせた総収入が約85億円と言われている人気絶頂の大谷翔平選手は別格にしても、あまりにも格差が大きく少し気の毒な気がする。ともあれ将棋界が益々発展することを祈念するとともに、藤井新名人が、今後も研鑽を積まれ益々活躍されることを期待している。

 ついては、今ウクライナ戦争が国際的な注目を集めているが、2年前の2月に軍事クーデターで国軍により民主派政権がその座から追われたミヤンマーは、国際的に厳しい非難を浴び、経済制裁を課せられ社会的、経済的に苦境に陥っている。とりわけ友好的な関係を保ってきた日本としても欧米諸国同様に、苦渋の選択をせざるを得なくなった。その選択とは日本が途上国援助(ODA)で10年ほど前から支援してきたミヤンマー国内の基幹鉄道の改修事業を大幅に縮小せざるを得なくなったことである。それは最大都市ヤンゴンと中部都市マンダレーを結ぶ620㎞の鉄道改修工事の支援である。ヤンゴンと戦時中日本陸軍の航空基地があったトングー間約270㎞は、すでにその60%の工事を終えていた。ミヤンマーの交通機関、特に鉄道は全ての面で遅れており、航空隊戦友会の人たちが憧れていたトングーに行くことは、宿と足の手配が出来ず難しかった。トングーには軍に話を持ち掛けチャーター機で空軍基地へ臨時に離着陸させてもらって訪れたことや、バスで訪れ近くの女子師範学校の寄宿舎に泊めさせてもらったことがある。ミヤンマーでも最大の幹線と言える鉄道が整備されず、今また工事を停止するというのは、いかに国軍政権に責任があろうともミヤンマー国民にとっては厳しく辛いことである。

 綺麗ごとは言うが、結局戦争や軍事的圧力によって国民を苦しめているのは、為政者である大統領や、軍の総指揮官である。ミヤンマーも例外ではない。

2023年6月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5763.2023年6月1日(木) 議員世襲制度の総点検を

 早いもので梅雨の季節到来である。沖縄近海に強烈な台風2号が襲来して沖縄、宮古島は暴風域に襲われ、この後沖縄本島に接近するようだ。この影響で全国的に天候は思わしくない。東京も今日は晴れたが、明日、明後日はかなり雨が降るらしい。

 さて、一昨日岸田首相が政務秘書官だった長男を本日付で更迭すると述べてから、世襲議員に対する批判的なコメントが急増している。印象的なコメントもいくつかネットに公開されていた。そのひとつを見てみると、中世の政治思想家マキャベリが「君主論」の中で「君主にとって、秘書官を選定することは決して軽々しいことではない。君主の思慮ひとつで良い人材を得られることがあり、また、そうでない人物が用いられることもある。そのため、ある君主の頭脳の良し悪しを推測するには、まず最初に君主の側近を見ればいい」と明快なコメントを述べていることが紹介されている。昨今の世襲ブームにマキャベリまで登場してきたのである。岸田首相の長男を皮肉っていることは明らかである。

 黙っていても、つまり仕事をしなくても一度世襲議員として日の目を見れば、その後は黙っていても父親の代からシンパである後援会が親身になって当選のためのお膳立てをしてくれる。日本の国会議員は海外に比べて世襲議員が圧倒的に多い。現在の自民党議員の内3割以上、閣僚の半分以上が世襲議員である。イギリスでは貴族院議員ですら世襲議員は1割しかいないと言われている。1970年代から80年代に首相になった三角大福(三木武夫、田中角栄、大平正芳、福田赳夫)は皆世襲ではなかった。それが、平成以降の首相は、ほとんどが世襲議員である。その世襲が有利になったのは、1996年衆院選で小選挙区制が導入されて以降で、世襲候補の勝率は比例復活も含めて8割に上る。選挙で当選に有利な「地盤」「看板」「カバン」を世襲候補は継承出来るからだと言われている。

 台湾の総統だった李登輝氏は、日本の世襲制について著書の中で次のような批判的な趣旨のことを書いている。「日本が自分を見失ってしまった最大の原因は、アメリカや台湾と異なり、あまりにも世襲制がひどくなったことにある。無名の若者が国会議員になろうと思っても、ほとんど不可能であり、戦後日本の上昇は、無名の新人によって達成されたが、現在は国会議員のかなりの部分が、二世と三世で占められている」。

 これは幕末に遣欧米使節団の一員として欧米を訪れた福沢諭吉が、民主主義とは何かを考えた時、ワシントン初代大統領の子孫が大統領なわけではないし、国民は今その子孫が何をしているかさえ知らないことに驚いたという。家柄で役職が決まる門閥制度ではなく、それこそが民主主義の肝だと言い、それがあの「学問のすすめ」初編の「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと言えり」という思想につながっているという。

 世襲制は違法ではなく慣習の中から定着したものだ。それだけにセルフコントロールで誰もが納得出来るものにしなければならない。さもないといつか法的な手段を講ずることになりかねない。首相長男の政務秘書官更迭について、メディアではここぞとばかり世襲制度について批判的なコメントを発していたが、これとて「のど元過ぎれば熱さを忘れる」になって世襲制度見直し論などの世論喚起には至らないだろう。これが日本の政界とメディアの「相見互い」ということだろうか。

2023年6月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5762.2023年5月31日(水) 北朝鮮偵察衛星ロケット打ち上げ失敗

 朝起きてテレビのスィッチを入れたら、北朝鮮が弾道ミサイルの技術を用いた衛星ロケットを発射したニュースで持ち切りである。いつもなら日本海へ向けて発射するのが、今回は南方へ打ち上げ、途中日本の領海上空を通過するとの事前情報により、沖縄ではJアラート警報が発せられ大騒ぎとなった。日本の領海上を通過の場合は、自衛隊がミサイル迎撃を命じる「破壊措置命令」が出ていた。そのニュースは、中国、韓国、ワシントン方面をはじめ世界各地からも実況を交えて流され、NHK朝ドラ「らんまん」もニュースが長引き放送されなかった。北朝鮮は昨日、明日から11日までの間に打ち上げると前宣伝していたが、約束破りの常習犯である北朝鮮は、その予定を繰り上げて今朝突然打ち上げたのだ。

 ところが、6時27分北朝鮮北西部から発射された軍事偵察衛星は、2段目のエンジンが異常を生じて朝鮮半島西の黄海に墜落した。北朝鮮国家宇宙局は、出来るだけ早い時期に再度打ち上げを実施すると公表した。日本政府はもちろん、アメリカも弾道ミサイル技術を用いた発射を行ったことを強く非難した。

 このミサイル発射に失敗した北朝鮮では、米韓が合同軍事演習を行ったことに対抗して打ち上げただけに、金正恩総書記にとっては心理的、政治的なショックも大きい。6月上旬に開催が予定されている朝鮮労働党中央委員会総会で、打ち上げ成功を偉大な成果として誇示する狙いだっただけに、失敗でどういう総括をするのだろうか。現在北朝鮮は、1990年代の大飢饉以来の飢餓に襲われているとされており、国内状況も只ならぬ苦しい経済下に追い込まれている。

 毎度のことながら北朝鮮のミサイル発射には迷惑を被るばかりである。沖縄諸島では戸惑う市民の姿が映されていた。再度打ち上げすると言っていることから、またしばらくはこの厄介者の身勝手な仕打ちに悩まされそうだ。

 さて、今世田谷区役所が本庁舎の建て替え工事を行っているが、それが何と工期期間を8か月も先に伸ばすと施工業者の大成建設が明らかにした。私は要件がある時は本庁舎ではなく、その都度玉川総合支所で済ましているが、そこも3年余の改築工事が2021年1月に終わり、今では新装なった庁舎で業務が行われている。工事中は、近くの狭く窮屈な木造建物で要件を済ませていたので、明るく清潔感のある新庁舎になってホッとしたものだ。

 それが、本庁舎の改築工事では2度も延長工事をするというのだから、区役所が遺憾に思い素直に納得出来ないのも無理はない。実際今年7月に一期工事終了の予定が最大で8か月も延期されるのでは溜まったものではない。仮庁舎の賃借料なども新たに発生する。大手ゼネコンがどうしてこうも甘い工事計画を提案するのだろうか。一期工事を終えて新区長室へ入る予定だった保坂展人区長もお怒りの様子で、損害賠償についても検討すると語った。

 それにしてもどうして日本が誇る大企業がこのような杜撰な計画を冒すのだろうか。他にも日本の大手メーカーが自社製品に不都合を見つけても黙って隠蔽したり、営業数字をごまかして報告し不正利益を得ていたなどの不祥事が、しばしば見られる。意図的であろうとそうでなかろうと、近年企業モラルも地に堕ちた感じである。

2023年5月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5761.2023年5月30日(火) 岸田首相、長男の政務秘書官を更迭

 政治家に有りがちな後ろ向きの行動にはうんざりさせられる。昨日岸田首相は、長男の政務秘書官を6月1日付で交代させると発表した。野党からはもちろん、自民党内でもかなり批判的な声が強く、政権運営上首相自身が更迭を決断したようだ。長男が仕出かした不祥事とは、昨年末に首相官邸内の公的な場で、首相の長男をはじめ甥や姪ら親族が集まって忘年会を行い、長男の行動が、公的立場にある政務秘書官として不適切であったというものである。確かに公に公開された写真を見ると首を傾げるシーンが多い。こんな幼稚な行為ぐらい非常識だと息子は気がつかなかったのだろうか。

 今回の事件は、初めてではない。今年1月外遊する首相に同行してロンドンを訪れた際、大使館の公用車で市内観光を楽しんだり、ショッピングをしたと追及された。買い物は世話になった人へのお土産として購入したもので公的な業務だったと弁解していたが、今回ばかりは許されなかった。首相も前回は厳しく注意したということで乗り切ったが、今度ばかりは2度目のドジで前回の事件からまだそれほど時間も経過していない。結局岸田家三代に亘る世襲の挙句に、膿が出たということではないだろうか。

 つまり岸田世襲家の体質が行動に現れたと言っても好いのではないか。若いころから周囲が皆お膳立てをしてくれ、あまり考えることもなく行動出来る。今日本の政治家に世襲の割合が高くなった。そう簡単に政治家になれない中で、生まれつきの家系のお陰で苦労なく政治家になれる世襲政治家というのは、政治家としての努力や勉強もせず、ただ運が良いというだけだ。

 それにしても10年ほど以前のことであろうか、自民党が率先して選挙で世襲議員を認めないルールを作ったことがある。あれは親と同じ選挙区からはある一定の期間を置かなければ、立候補出来ないと決めたものだ。世襲議員にとっては不利益が多すぎて苦情が出たのだろう、あっという間に消えてしまった。しかし、いずれにせよこの世襲問題は国民にとってマイナス面が強すぎるので、遠からず世襲議員廃止の動きが現れることだろう。

 さて、今日はNPO法人「JAPAN NOW観光情報協会」定期総会が開催され、何年ぶりかで出席した。同NPOはコロナ渦で十分な活動は抑えられていたが、地道に活動を続けている。理事長が一身上の理由から急遽辞任されたので、今年度は暫定的に理事長を選出し、来年度改めて新理事長の選任を行う。総会後にJR東海顧問の須田寛氏が、「『産業観光』の位置と役割」のテーマで講演された。須田氏は今年92歳になられるが、相変わらずお元気で矍鑠としておられる。僭越だが、私的な質問と感想を述べさせていただいた。日本国内だけで活動する国鉄、JRに長年勤めておられた須田氏が、海外とも連携しなければならない「産業観光」にご執心で哲学を持っておられるのに敬服している。「産業観光」が「見る」「学ぶ」「体験する」であるということは、「触れる」「コミュニケートする」ことでもある。現在インバウンド需要は盛況であるが、海外旅行初期には、公的に国民が海外とコミュニケートすることを妨害されていたような印象を受けている。幸運にも役所の努力もなしにインバウンドが繁栄するや、観光業の発展に何もしなかった役所が、観光業繁栄を得意げに語っている。散々役所に痛めつけられた初期の海外旅行に携わっていた我々観光業者にとっては、頭を切り替えるべきだと役所を批判する話をした。須田氏も納得してくれたようだし、出席者からも理解してもらえたと考えている。

2023年5月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5760.2023年5月29日(月) エルドアン大統領、25年の長期政権へ

 昨日朝日新聞に掲載されなかった高校の同級生・中西準子さんに関する記事が今日掲載されていた。ホッとしてメールを送った友人らに改めて今日から14回に亘って連載されると連絡したところである。

 さて、今世界で注目されている事項を2つばかり取り上げてみたい。

 ひとつは、昨日行われたトルコ大統領選決選投票の結果である。エルドアン大統領が過去20年間政権を率いて積極的な外資導入などにより国民1人当たりのGDPは伸びたが、金利の引き上げなどで大幅なインフレを招き、通貨リラも2年間に半分の価値に下がり国民生活を追い詰めた結果となった。今年2月には大きな地震被害があり、その崩壊した建物の杜撰な建築基準を巡って国民から厳しい非難を浴びていた。

 だが、結果は、現職のエルドアン大統領が対抗馬の野党連合のクルチダルオール氏を52対47で破った。そのエルドアン大統領が、また5年間国のリーダーとなる。外交では、ロシアとウクライナの両国に平和交渉を訴え、両国に対して等間隔を保ちつつ仲介者たらんとする姿勢には、自らの名を売り込み国際的にも自らの立場を強めようとする意欲が垣間見える。それをどう受け取ったのか、早速ロシアのプーチン大統領から祝電が届けられたが、一方のゼレンスキー大統領からも祝電が届けられた。更にアメリカのバイデン大統領からも祝電が寄せられたというからトルコを取り巻くロシア・ウクライナ情勢とは良く分からないものだ。ロシア、ウクライナとバランス良く付き合い、それなりに評価を得ているようだが、ロシアの攻撃が一層強まった場合、どうバランス外交の舵取りをやっていくのだろうか。長年に亘って独裁政権を担っているプーチン、習近平、金正恩らは国民に圧制を強いているが、彼らと同じように長期政権に就くエルドアン氏は、果たして今後5年間国民にどう向き合っていくのだろうか。

 もうひとつ注目されているのは、アメリカの米債務上限問題である。昨日になってバイデン大統領は漸く共和党のマッカーシー下院議長と合意した。歳出に制限を加えるとの条件で2025年1月まで上限の効力を停止することでまとまり、反対する議員を説得することになったようだ。全面的に問題解決というわけではないが、嵐は通り過ぎたと言えよう。これを好感したのか、米ドルは上がり円は下がって1㌦=140円35銭まで下落した。その一方で輸出業が繁栄すると予想されたのか、日経平均株価は先週末比317円高となり、31,233円を記録してバブル景気だった1990年以来33年ぶりの最高値を記録した。ただ、これで輸入関連製品は益々値上げされるだろう。

 ところで、昨日の朝日「天声人語」に「シジュウガラは言葉を話す」と言ったシジュウガラを追い続けている人に、それを証明した論文があるという話が紹介されていた。我が家の庭にも時々シジュウガラの姿を見るが、どんな鳴き声かはっきりとは分からなかった。その鳴き声は「スキスキスキ~」というのだそうだ。それなら年中家で聞いている。今も庭で「スキスキスキ」とやっている。これがシジュウガラの鳴き声と初めて知った。急に鳴き声が変わった場合は敵が来たとの注意喚起だそうである。これからはこの鳴き声に耳を傾けてみようと思う。

2023年5月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5759.2023年5月28日(日) 同級生の文化功労者、環境学者・中西準子さん

 朝日新聞朝刊「文化」欄に著名人への連続インタビュー記事が定期的に掲載されていた。前回はドリフターズの高木ブーについて14回に亘って掲載された。その最終版に次回は中西準子さんと紹介された。中西さんは環境学者として広く知られ文化功労者でもあるが、彼女とは高校の同級生である。昭和29年に湘南高校へ入学した時、同じクラスになった。そんなこともあり、その情報をクラスの仲間や親しい卒業生らにその旨をメールで知らせた。連載は日曜日から始まると思い早速今日の朝刊に目を通したが、どこにもそれらしいインタビュー記事なんて載っていない。迂闊にもどうやら早トチリをやってしまったようだ。次回と書かれていたのを次週と早飲み込みしてしまったに違いない。期待をしていたであろう友人らには申し訳なく思ったので、慌ててお詫びと訂正のメールを送ったところである。

 中西さんと言えば、クラスの中でも優秀でひと際目立った存在だった。当時クラスには女生徒は僅か3人しかいなかった。他の2人の女性も優秀だった。中西さんは横浜国立大学工学部へ進み、東大大学院を卒業したと思う。その後学会で活躍され、長らく東京工業大学教授を務めていた。2011年に文化功労者に推薦されたが、前年にノーベル賞を受賞された根岸英一博士と世界的な交響楽団指揮者・大野和士氏と併せて母校から3人も選ばれた。全国から選ばれた17人の文化功労者のうち、偶々母校から3人選ばれたとは少々誇らしいことである。
 高校卒業後は彼女との接点はなくなったが、時折メディアに登場するので、その都度関心を持って気にしていた。近年はクラス会でしばしば会うようになり、再び言葉を交わすようになった。

 彼女の最初の印象は私には強烈なショックだった。高校入学直後の「生物」の授業で新人教師が時間を持て余したのか、誰か何でも好いから歌を唄うよう呼び掛けた。それに応えて中西さんと私が立って唄った。最初に私が当時流行していた俗っぽい流行歌、津村謙の♪上海帰りのリル♪を唄った。そして中西さんが唄った。ところが、彼女が唄ったのが♪第一インターナショナルの唄♪だった。当時私はまだこの曲を知らなかったが、そのころ彼女の父親は日本共産党選出の参議院議員だった影響もあるのだろうか、あの左翼的な労働歌を教室で堂々と唄ったのには驚いたものである。その後知ったことだが、彼女は戦前上海市内に住んでいた。偶々私が唄った♪上海帰りのリル♪は、正に♪上海帰りの中西さん♪だったのである。彼女が住んでいた上海の一角には、今病の床に伏している小中陽太郎さんも戦前住んでおられた。

 果たして朝日「文化」欄にどんな話題が掲載されるのか今から大変楽しみである。

 さて、今日大相撲夏場所千秋楽を迎えた。すでに昨日横綱照ノ富士が6場所ぶり8度目の優勝を決めていたが、先場所まで3場所連続で全休し、4度目の膝の手術の後で体調も万全ではなかった横綱が横綱の実力を発揮して優勝したのには敬服する。こんな例は明治以来3人しかいないという。今場所中にはかつて優勝をしたこともある外国人力士の元大関栃の心や逸ノ城が引退を決めた。相撲も国際的になり外国人力士も増えた。今ではモンゴルを中心に実力のある外国人力士が揃っているが、幕下上位で勝ち越した獅司というウクライナ出身の力士まで現れ、国際色が益々華やかになる。それはそれで楽しみでもある。

2023年5月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5758.2023年5月27日(土) 「異次元の」少子化対策案

 政府の予算案の大きな目玉である少子化対策が、今年の骨太の方針で正式に示された。少子化対策は「異次元の」と形容詞が付く。その事業費は年3兆円規模と想定されている。自民党内でも異論が出ているのは、その財源の内約1兆円を社会保障費の歳出削減で捻出しようとしているからである。当然ながら多くの反対意見が出ている。昨年10月以降歳出削減のあおりを食って高齢者医療割引率が10%も下げられた。再び減額される可能性が高い。引き続き65歳以上の高額所得者の介護保険料引き上げについても議論が行われるようだ。どうも財源はまずは高齢者への補助削減が狙われているようだ。

 「異次元の」少子化対策の原案を見ると、大きな改革のひとつに児童手当の支給対象をこれまでの中学生から高校生にまで拡大することである。そして高額所得の保護者の場合は対象外とされていたが、骨太では高校生までのすべてのこどもを対象に毎月1万円を支給する。加えて3番目以降の子どもにはこれまで毎月1万5千円だった支給額が、倍増の3万円になる。ざっと目を通して見ると仮に高校生を含む3人の子どもがいる家庭では、毎月5万円の補助をいただけるという非常に恵まれた恩恵を受けられる。羨ましい限りである。

 先の統一地方選で「日本維新の会」が派手な公約を掲げた大阪府では、私立校を含むすべての高校の完全無償化案の検討に入ったようである。但し、この案は私立学校側から経営上の圧迫になると反対の声が寄せられている。更に教育専門家らからも私立校の自由を奪う恐れがあると指摘されている。そもそもこんな苦情が湧くのも、中学生までは国・自治体から支給された授業料及び教育費を生徒が学校に収めているが、私立高校生については一律に大阪府が授業料として年60万円分を直接学校へ支給するため、もっと高い授業料の場合はその差額を学校が負うことになる。学校としてはその経費分が不足する。

 いずれにせよ大阪府は検討段階に入ったようだが、大阪私立中学校高等学校連合会は今後、府とどうやって解決の糸口を見つけることが出来るだろうか。吉村知事の腕の見せ所でもある。

 さて、G7もまずまずの評価を得て、ホッとしていた岸田首相に思いも寄らぬプライベート上の低次元の問題が引っかかっている。それは、とかくの批判があった政務秘書官の長男が、また軽率な行動によって自民党内ばかりでなく、世論の批判も浴びている。普通の大人の立場から考えれば、分かりそうなものだが、この世襲の息子には常識と非常識の境界が分からないようだ。昨年12月に岸田家の従弟同士が首相公邸内で忘年会を開いて、中には赤じゅうたんの階段上に横になっている若者がいた。昨年10月に首相の訪英に随行した際には、公用車で観光、買い物をしたと非難されたばかりである。流石に今度は言い訳も出来ない首相は、謝罪し息子に厳重に注意したというが、野党、自民党内からも秘書官を更迭すべしとの声も上がっている。その背景には、世襲政治があると厳しく指摘されている。こうした声が出ないよう政治家は、そろそろ世襲政治と縁を切るべき時期に来ているのではないだろうか。

2023年5月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5757.2023年5月26日(金) 凶悪事件頻発と自民・公明東京支部対立

 最近都市、地方を問わず罪もない人が殺害される残虐な事件が頻発している。海外まで出かけて高額な特殊詐欺事件を起こしたり、若い女性を殺害して不動産業を経営する叔母まで殺害しようとその資産を狙ったり、タワーマンションの駐車場に連続放火のような不審な事件も相次いでいる。1週間前には、現代の歌舞伎界で実力、人気ともに断然横綱の座にあった市川猿之助が、両親とともに無理心中を図って猿之助だけが命を取り留めるような、原因が分からない事件も起きている。そこへ昨日午後長野県中野市で若い男が猟銃とサバイバルナイフを振り回す事件が起きて夜通しテレビで報道していたが、今朝4時過ぎ12時間ぶりに犯人が身柄を拘束された。結局2人の女性と警官2人が殺害された。捕らえてみれば、市議会議長の31歳の息子だと判明した。これから事件の全体像が解明されるだろうが、かつてはあまり目にしなかったような事件の頻発は、世の中が不安定で国民に落ち着きのない証拠であろう。

 そういえば、政界でも何だか妙な動きが伝えられている。ひとつは、10増10減に伴う次の衆議院選で新たに設けられる東京28区で、自民党が公明党の立候補を認めず、これを止むを得ず受け入れた公明党が立候補しない代わりに、他の東京選挙区における自民党立候補者の推薦を見送ると言い出したのだ。公明党は、①東京29区で自民の推薦を求めない、②他の東京選挙区で自民候補者を推薦しない、③都内の各種選挙で協力しない、④都議会での協力関係解消、などを自民党に伝えたのである。公明党は与党として自民党と組んですでに24年が経つが、石井公明党幹事長は、東京における自公の信頼関係は地に落ちたとまで述べた。両党内の陰の声では、これ以上の争いは止めようとの声がある一方で、自民党はこれまで公明党に配慮してきたが、今後は遠慮をせず、自民党の姿勢を貫くとの声も強いようだ。

 今関西を中心に日本維新の会の伸張が著しく、自民、公明ともにこれに危機感を抱いている。特に公明党は、近年比例区の集票力が落ち参議院では、2004年の862万票から、昨年は618万票にまで減り、対応策として新たな選挙区への進出が考えられている。

 一方自民党サイドとしては、今回の10増10減では有利だった地方区が減る。10減はほとんど自民党が被るが、10増は課題が多い。自民・公明の話し合いがこじれれば、連立与党も危うくなる。実際に両党共存でウィンウィンの関係だったが、東京新聞の予測では、仮に今衆院選が行われれば、前回25選挙区の内自民候補が勝ち、次点が立憲民主党候補の7選挙区は、公明党の票を得られなければ自民は立憲民主党に議席を奪われるだろうと予想している。

 G7の好評価で岸田政権の支持率も若干上がり、来る選挙では順当な勝利を得られるのではないかと皮算用をしていたが、現状ではむしろ当選者は減ると予想されている。東京支部だけの争いが、全国の自民党支部と公明党支部の対立にまで発展しないとも限らない。天下泰平なる出来事と割り切ればそれまでであるが、両党にとっては正念場と言えるかもしれない。

2023年5月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5756.2023年5月25日(木) コロナ渦は再び拡大しないか?

 新型コロナウィルス新規感染者が減ったと厚生労働省が判断し、今月8日コロナ対策を緩和し始めた。ところが、以後新規感染者が公表されなくなった中で、実は新規感染者は密かに増えているとの危なっかしい情報が流れている。ゼロ・コロナ対策を解除した中国でも大分再拡大しているようだ。しかし、戸外でもマスクを着ける人の数が大分少なくなってきた。現在大相撲夏場所が開催されているが、観客を見るとマスク姿が随分減ったように思える。再びぶり返されないことを切に願っている。
 コロナの話題に合わせて、14世紀ヨーロッパで人口の3分の1が亡くなって黒死病と呼ばれたペストの流行が取り上げられた。ペストについては、2013年に世界で783人の患者が報告され、その内126人が亡くなったとの報告があるが、今では一部の国を除いてほとんどペストは消滅しつつあると言っても好い。

 一方、かつて難病と言われたマラリアが、依然として今も世界では途上国を主に発病が見られるとの情報は些かショックである。驚いたのは、1945年終戦の年に沖縄の八重山諸島でそのマラリアが流行ったことである。旧日本軍の命令により山間部に強制疎開させられた多くの住民がマラリアに感染して命を落とした。今では日本国内ではマラリアの感染はないが、終戦時には八重山諸島全体で3,600人超の島民が亡くなった。

 そこで思い出すのは、1967年に初めてアフリカへ旅した時のことである。伝染病感染防止の衛生的観点から現在と異なり予防接種が厳しく、特に医療施設や治療薬不足など感染対策が遅れているアフリカ方面への旅行ではいくつかの予防接種を義務付けられた。種痘、コレラの他に黄熱病の予防接種まで必要だった。特に黄熱病は海外旅行専門の医療所でも接種出来ず、羽田空港内の医療所だけしか接種出来なかった。それも1週間後に決められた日時に2度目の接種を受けなければならなくて、随分不便だと感じたものである。今では、アフリカへ出かけるのでも余程の不衛生な地域ならともかく、普通ではこんな面倒な予防接種を受ける必要もなくなった。蚊が多かったアジアの戦地で罹ったことがある戦友会の方々からは、度々蚊から感染するマラリアの怖さについて伺ったことがある。

 そのマラリアも衛生観念が普及した今日ではほとんど発症は消えかかっているかと思いきや、今でもアフリカやアジア、中南米の一部で流行しているという。世界保健機関(WHO)によると、2021年に世界でマラリアにより亡くなった人の数は61万9千人もいたというから、まだ地球上からウィルスは消えていないのだ。コロナ感染についても流行は去ったと油断していると「一難去ってまた一難」ということになりかねないと思う。
 さて、今日夕刻になって宅急便で一冊の書籍が発行した出版社から送られて来た。セルビアの友人・山崎ブケリッチ洋著「山崎洋仕事集―丘を越えて海を越えて」で、著者が贈ってくれたものである。来月15日にセルビア大使館で著者による出版記念イベントが開かれるが、大使館から招待状をいただいているので当日彼と話し合えることが楽しみである。これまで彼が雑誌や新聞に書いた幾多の文をまとめたものである。その中に私について書いてくれた一文を見つけた。「ベオグラードに響く塾歌」というテーマで、私との出会いについて母校の「三田評論」に掲載された玉稿である。これまでに読んだ文章もかなり載っているようだが、600頁を超え、価格も4,500円という大書である。読みやすそうに編集されているので、これから楽しみに読もうと思っている。

2023年5月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5755.2023年5月24日(水) 終戦前米爆撃機による再三の都内空襲

 終戦の年1945年の明日夜、東京渋谷地区は400機ものB‐29 による無差別の「山の手大空襲」により3,600余人が亡くなり、罹災者は約56万人、焼失家屋16万6千戸の多大な犠牲と被害を被った。3月10日に下町を襲った東京大空襲は広く知られているが、その他の空襲はあまり伝えられていない。4月にも米軍機による大空襲もあり、5月には前日の24日にも品川区周辺の城南大空襲により520機のB‐29が襲来し762人が命を失った。これら5月の2度に亘る大空襲は、残念ながらほとんど知られていない。私自身もこれまで寡聞にして知らなかった。実はもっと知られていない事実は、それらの大空襲により多くのアメリカ軍兵士が犠牲になったことである。彼らは日本の捕虜収容所に収監されていた兵士たちだったので、結果的に米軍機による身内への攻撃となってしまった。原爆を含む日本空襲の犠牲になった米軍捕虜は179人に上がるとされている。

 しかし、間もなく78年目の終戦記念日がやって来るが、日本政府は外国人捕虜について軍事裁判に備えて多くの資料が焼却されたと言っている。アメリカ政府は徹底して調べ捕虜に関する記録をまとめたが、公表はしていない。

 終戦の年と言えば、国民学校初等科に入学した年で、房州の自宅の2階の窓越しに夜になると東京方面にピカッと夜空が真っ赤に染まったことをぼんやり思い出す。あの明かりの下で日米たくさんの人々が亡くなったのである。あの終戦直前の米軍の空襲は激しく、疎開先でサイレンの音とともに急いで近くの防空壕に逃げ込んだものである。

 国民の間ではもう戦争はこりごりという一般的な声が聞こえる。原爆被爆地の広島、長崎ではもう2度と過ちは繰り返しませんとの言葉が慰霊碑に書き込まれている。それでも日本は年々戦争に前のめりになっている気がしてならない。今年度の防衛費予算額は、過去最大の6兆8千億円に決め、防衛力整備計画とやらで今年度から5年間で現在の計画の1.6倍にあたる43兆円と考えている。戦争の怖さを知らず、戦争をゲーム感覚で眺めているような政治家たちが、アメリカの望むままにいとも容易に机上で多額の防衛予算を決めるからである。

 ひとつ明るい話題を取り上げてみよう。IQ判定のサイト‘Worldwide IQ Test’によると日本がそのトップに選ばれたのである。そのひとつの課題に「早くから読書」という一項がある。当然という気もするが、今読書離れの進んだ若者たちが大人になった頃にはIQ順位も相当低下するのではないだろうか。

 ベスト15を拾ってみると、1位日本の次は、2位台湾、3位韓国、4位ハンガリー、5位イタリア、6位イラン、7位香港、8位セルビア、9位フィンランド、10位ベトナム、11位スロベニア、12位モンテネグロ、13位トルコ、14位チェコ、15位クロアチアである。ベスト3を含めアジアから5か国も入っている一方で、G7からはイタリアだけしかランクインしていない。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどがランクインしていない点でやや首を傾げたくなる点もある。まあそれでも日本のトップを素直に自慢しても良いのではないだろうか。

2023年5月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com