5784.2023年6月22日(木) 世界的に男女格差が大きい日本

 男女平等の度合いを指数化した今年度版「ジェンダーギャップ報告書」の数値が、昨日世界経済フォーラムから発表された。調査対象となったのは146か国であるが、その中で日本は何と前年を下回る125位となり、過去最低であると同時に、主要先進国の中でも最下位である。男女同権が強く叫ばれる今日、国際社会から日本の男女間にこれほど差があると見られているのは、聊か恥ずかしいことである。日本の125位というのは、4つのカテゴリーの総合順位であり、教育と健康の分野はいずれも中位内に入っており、格別見劣りするものではない。懸念されるのは、予想通り政治と経済の分野である。政治分野では何と138位というから、下から数えても9番目で世界でとても大きな顔は出来ない。特に政治の世界では、ヨーロッパ諸国で女性首相が度々選出される今日、日本には過去にはひとりもおらず、今後も現状から推察すればその可能性は極めて薄いと言わざるを得ない。

 現在女性の衆議院議員も全体の10%の48人に留まり、女性閣僚に至っては僅か2人である。政界において女性があまり評価されないのは、徳川時代から伝統的に引き継がれた「女は家庭内に留まる」の意識が、長く続いたことから、外で働く女性を無視する風習があった。もうひとつ女性が政界で活躍出来ないのは、長年続いている特有の派閥組織に妨害されているからでもある。派閥の長が自分のやりやすいように人選する現状制度では、まず女性を高く評価するようなことはない。

 それは政界ばかりでなく経済界にも引き継がれている。経済分野でも、政治と同じようなムードがあり、女性が企業などで男性に伍して地位を上げていくのは至難である。私自身が勤務した会社を考えても、女性の採用は庶務係、体裁の好いお茶くみ係をその対象としていたと言っても言い過ぎではない。従って当時は全女性が高校卒で、短大、大学卒はいなかった。

 近年IT産業などでは優秀な人材の枯渇もあり、採用の門戸を広げ、大学卒、高卒を問わず優秀な人材を採用しているようだ。その点では経済分野ではいずれ男女の格差は狭まってくるだろう。問題は政界における男女格差が修正されない限り総合的に日本のジェンダーギャップが好転することはないだろう。

 ただ、この報告書を見て少々首を傾げたのは、中国が日本より上位の107位にいることだ。中国の全国人民代表大会の広大な会場における数千人の全国代表者の内、テレビで女性の姿をほとんど見ることが出来ず、とてもジェンダーギャップが大きい国と見ていた中国が、日本より上位にいるのが解せない。それにしてもこのような調査の都度、北欧諸国が上位を独占していることに敬服している。5位以内に1位アイスランド、2位ノルウェー、3位フィンランド、5位スウェーデンが入り、4位のニュージーランドを含めて、近年いずれも女性首相を輩出している。日本の政治家はこれらの例を真摯に参考にするべきではないだろうか。

2023年6月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5783.2023年6月21日(水) 政治改革と身勝手な公費の抑制を

 今日は夏至である。昨日は自民党内で揺れ動いていた今国会での衆議院解散が、岸田首相の意向で行われないことに決まり通常国会は閉会となった。衆議院選に小選挙区を導入してから早いもので30年の月日が経った。一昨日現行制度について与野党の協議会が開かれたが、30年前に政治改革に合意した河野洋平元自民党総裁にとっては、当時と今の制度を比較して率直にギャップを感じているようだ。小選挙区制の最大の問題点は、一旦当選すればずっと当選し続ける可能性が高く政権交代は起きにくいとの意見が多い。現実に、「政権交代が可能な2大政党制」を理想としたが、現実は「自民1強=野党分裂」、また「お金のかからない政治」を理想としたが、「政治とカネは絶えない」となっている。

 当初目指した政治改革だったが、小選挙区制の導入は新旧交代が進まなくなってしまった。それは自民党が、現職議員を優先しており、当選すればいつまでも同じ状態が続くということになり、それが議員の年齢をそのまま高める結果になった。また、世襲政治が蔓延る一因でもある。

 結果的に中選挙区制最後の1993年の総選挙に比べて、一昨年の小選挙区制総選挙では、新顔議員の割合が、26%から14%へ大分低下している。当選者の平均年齢も53.9歳から56.4歳に上昇し、中でも70歳以上の当選者は、14%から16%へ若干ではあるが増えている。また、投票率、特に若者のそれがかなり低い。それらを総合的に判断して、30年前に導入された現在の選挙制度を改めて見直し、現実に政治改革が出来る制度を検討する時期ではないだろうか。

 さて、昨日、今日とテレビで大きく報道されている話題がある。何と今から111年前に大西洋のカナダ南東部沖合で処女航海中に沈没し多数の犠牲者を出した、イギリスの豪華客船タイタニック号を水底で見学するツアーの観光用潜水艇の消息が不明となったのだ。何せ海底3,800mに沈没したまま残骸となっているタイタニック号を間近で見てみようというのだから、関係者の言い分はともかくとても単なる好奇心だけではない。これだけ深い海中では、電波が届かないそうで、水中音波で通信するしかない。その通信が切れてしまって、5人が搭乗する潜水艇にはまだ酸素はあるようだが、いずれそれもなくなってしまう。一刻も早く救助をとアメリカと、フランスやカナダの海軍が支援に向かっているようだが、音波が戻らない点を考えると悲観的にならざるを得ない。7日間のツアーで参加費用がひとり約3,500万円というから、相当の資産家でないととても参加は出来ないだろう。著名なフランス人探検家や、パキスタン人の資産家父子、イギリス人富豪など4人に搭乗員を含めて5人が艇内にいた。

 冒険好きが嵩じて危険なパフォーマンスに挑戦する人たちが昨今目立っているが、ある面では危険な目に遭遇してもそれは自業自得だからやむを得ないとも言える。だが、物好きが嵩じて特殊な冒険にチャレンジした結果、周囲に大きな迷惑と心配をかけた挙句に自分では支払えないほど多額の費用の負担を公的に負わせることがある。

 一昨日沖縄県糸満市沖合にあるルカン礁付近で、潮の流れに乗り海中を移動する「ドリフトダイビング」という海中スポーツ中に、一時ダイバー7人が行方不明になったとSOSが発せられ、海上保安庁のヘリが無事全員を海中から掬い上げ救助した。その時の主催者の言葉が「事故は起こってしまうんで」と述べ、一部で顰蹙を買っている。危ない橋を渡り、公的に救助してもらって相当の公費も支出されたことになるが、主催者にはお詫びの気持ちはまったくないようだ。好き勝手なことをやった挙句に世間に迷惑と無駄な費用を負担させたことについて、もっと良識的な行動を取るよう反省と自粛をすべきではないだろうか。

2023年6月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5782.2023年6月20日(火) 天皇・皇后両陛下、旧日本兵の子孫と面会 

 インドネシアご訪問中の天皇・皇后両陛下が昨日ジャカルタ郊外60㎞のボゴール宮殿と、隣接するボゴール植物園を訪れたと知り大変懐かしく想った。ボゴール宮殿は、オランダ統治時代は東インド総督官邸だった。私が訪れたのは1967年のお正月で、その当時ここにはスカルノ大統領とデヴィ夫人が官邸として、また私邸として住んでいた。警戒が厳重だったが、私の目的は東洋一の蓮の花が見られる隣の植物園だった。タクシーを雇っていたので、植物園の外で待ってもらい、ひとりで園内を見学したが、ガイドもいなかったので立派な蓮を見るだけで見学を終えてしまった。天皇・皇后は植物園をジョコ大統領が運転するゴルフカートに乗って見学されていたが、蓮の花についてのメディアの報道は一切なかった。あの蓮は今どうなっているだろうか。治安面でも荒れた様子がなかったボゴールは今も強く印象に残っている。

 ジャカルタ市内のホテルに戻られた両陛下は、昨夜オランダとの独立戦争に加わった残留日本兵の子孫らと面会され、彼らの厳しかった戦後の生活を思い労わられた。彼らの父親は、日本からは脱走兵と見放されて、インドネシアが国籍を認めるまでは無国籍者だった。現地では長い間占領者の子どもと後ろ指をさされ、肩身の狭い思いをしてきた。それだけに、天皇・皇后両陛下が父親たちのことを覚えていてくれたことに感謝の気持ちを表していた。今日両陛下はその独立戦争に加わって命を落とされた彼らの父親ら、旧日本兵が埋葬されているカリバタ英雄墓地で供花された。

 一昨日は父の日だった。偶々2日後の今日は亡父の誕生日である。父は明治41年生まれだったから、今存命なら115歳になる。父も戦時中赤紙招集により、一度は現在の北朝鮮・平壌に駐屯していたこともあったが、幸か不幸か、病に罹り終戦前に除隊となり帰宅することが出来た。21年前に93歳で亡くなるまで母が亡くなった湘南鵠沼の地でひとり静かに生活していた。

 さて、先日も本ブログで取り上げた話だが、大阪府が小中高生に加えて私立高校生にも完全無償化の方針を打ち出したことに対して、大阪府内の私立高校ばかりでなく、近畿2府4県の私学団体で作る近畿私立中学高等学校連合会が、大阪府の素案に対して賛成出来ないとの意見を表明した。この素案に対してほとんどの高校が反対しているようだ。元々これには学校側の負担が大きすぎるとの声があったが、私立校独自の教育がし難くなるという点で難色を示している。大阪府内の私立高校の標準的授業料は、年間60万円だそうだが、現状はそれをオーバーする場合は超えた分を府が負担している。それを今後全額負担しようと計画しているところである。どうして他府県の高校が賛同出来ないのかは、大阪の高校生が他府県の高校に通う例が多いことから、それら他府県の高校に負担がかかって来るということのようだ。実際名門神戸の灘中高校にも大阪府内から多くの生徒が通学しており、同校校長は在学する生徒のうち、大阪の生徒だけに授業料を補助するというのは不公平だと批判している。吉村洋文・大阪府知事は、1校1校の意見を聞き、理解を得られるようにしたいとのん気なことを言っているが、難題を解決することが出来るだろうか。

2023年6月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5781.2023年6月19日(月) 失態続きの大手建設会社

 先日世田谷区役所本庁舎建て替え工事が、当初今年7月に第1期工事が終了の予定だったが、何と最長で8か月先延ばしになると公表され、問題視されている。工期完成予定は充分検討されたうえで、施工会社から知らされ、区役所は受け入れて完成後の予定を組んでいたと思う。この不本意な工期遅れの情報を聞いて区役所では唖然としている。ゼネコンと言われる大手建設会社の大成建設が、他社との見積もりを抑えて受注を勝ち取ったものである。工事の遅れによって役所としては業務が遅れるうえに、仮庁舎の賃貸料など想定外の支出が予想される。4月の統一地方選で再選されたばかりの保坂展人区長は、「施工者の説明は信じがたい。損害倍賞についても協議する」とお怒りの様子である。

 そんな困惑の真っ只中に、またもや大成建設の欠陥工事が明らかになった。それは、札幌市内に建設中のプロジェクト・ビルの工事が23%ほど進んで、鉄骨の構造が人目につくようになった。NTT都市開発が手掛ける地下1階、地上26階建て、高さ約116mの超高層ビルで、北海道放送(HBC)が入居し、17階から26階まではハイアット系ホテルが入る予定という。欠陥箇所を見つけたのも自社社員ではなく、NTT都市開発の社員だというから好い加減なチェック体制だったのだろう。このまま工事が進めば、次第にビルは傾斜することになり、皮肉にも札幌市内にピサの斜塔にあやかったビルが建つとの噂があったそうだ。

 どうしてゼネコンとして技術力を高く評価された大手企業の大成建設が、こういう初歩的で悪質なミスを犯すのだろうか。社内では若い課長代理が測定数値を改ざんして虚偽の報告を行っていたことが原因と判明したようだが、会社は他に問題はないと言って1若手社員にすべての責任と罪をかぶせて逃げ切ろうとしている。担当役員は辞任し、社長は減給処分を自らに課して、今期の決算は減益計上しているが、来年度の決算では好決算を想定している。しかし、対外的に会社として責任を取った形にはなっていない。とにかくこれでは建設関係業者としての信用を失うばかりである。外部からは、組織ぐるみの匂いがするだの、怖くて大成建設には発注出来ないとの声が聞こえる。さあ、大成!どうする?

 さて、ミヤンマーで昨年2月の軍部によるクーデターで、身柄を拘束されたまま民主化指導者アウンサンスーチー氏が78歳の誕生日を迎えるが、イギリスに住む息子キム・エアリス氏が、母親をはじめ、すべての政治犯を釈放し、民主的に選ばれた政府に権力を返すよう国軍に求めた。更に、日本で生活した経験のある息子は、民主主義国の日本が国軍を支援しているのは残念だと名指しで日本を非難した。日本はいま国軍政府とは手を切って支援を中止しており、子息の理解には若干誤解があるが、国軍兵士を自衛隊が受け入れ教育を行っていたことや、麻生太郎元首相がミンアウンフライン国軍総司令官から名誉称号と勲章を贈られたことがあり、それらの行為が誤解を生んだ要因かも知れない。

 いまでは世界の目がウクライナに向けられ、暴力的、かつ非民主的に民主派政権を追放したミヤンマーに対する世界の世論は冷めている。現状のままだと国際社会の不信感と不満は募るばかりで、ミヤンマーにはもう安心して生活出来る基盤がなくなってしまう。もう少し世界のメディアもミヤンマー情勢を伝えて欲しいものだ。

2023年6月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5780.2023年6月18日(日) 天皇・皇后両陛下、インドネシアを親善訪問

 去る9日にご成婚30周年を迎えられた天皇・皇后両陛下が、昨日親善訪問先としてインドネシアを7日間の予定で訪問された。皇太子時代には、ご夫妻で13回も外国親善訪問をされておられるが、コロナ渦の影響もあり令和に入って即位されてからお揃いで外国親善訪問をされるのは初めてである。

 天皇として最初に親善訪問されるのがインドネシアとは何か象徴的である。戦時中日本軍が3年間も占領、統治し、この間過酷な労働作業によって多くのインドネシア人が亡くなったと言われている。しかし、300年に亘ってインドネシアを植民地化していたオランダに対して、終戦直前から独立運動を支援したのも旧日本兵である。戦後も現地人を支援して旧日本兵は現地に残り、独立戦争で現地人とともに戦い、その過程でその半数が戦死したと伝えられ、インドネシアの独立に貢献した。現地ではそのことは忘れられておらず、首都ジャカルタ郊外のカリバタ英雄墓地には、独立戦争の過程で亡くなったインドネシア人政治家や軍人と並んで、彼ら日本人も埋葬されている。

 上皇ご夫妻は、過去に皇太子時代と天皇即位後の2度インドネシアを訪問され、15年前には秋篠宮ご夫妻も訪問されておられるが、天皇・皇后には初めてのインドネシアご訪問である。

 現在ドキュメント作品を執筆中であるが、その中にもいかにインドネシアの人々が親日的であり、現地では日本の旧軍歌が愛され、唄われているかということを書いている。実際インドネシア独立の父として往時には国民から敬愛されていたスカルノ元大統領が、来日されてテレビに出演され、偶々その番組を観ていた時、元大統領が唐突に♪愛国の花♪を唄った時には、驚いたものである。1967年インドネシアへ初めて出かけ、地元の警察署長さんからボゴール近郊の自宅へ案内された時には、近くの集落の人たちが集まり日本の♪愛国行進曲♪などの戦時歌謡を唄ってくれたのには、びっくりした。駐屯していた旧日本兵と現地の人々の「支配者と被支配者」とは異なる親しい交流関係があったことを想い、一言では片づけられない両国の絆のようなものを感じたものである。

 天皇、皇后両陛下の親善訪問は、日本とインドネシア両国の親善にとって必ずや効果を上げることだろう。

2023年6月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5779.2023年6月17日(土) 「週刊朝日」最終号発行、無期限休刊

 「サンデー毎日」と並んで、101年もの長い間発行され日本で一番古い週刊誌である「週刊朝日」が、「6月9日休刊特別増大号」を最後に休刊となった。1世紀以上に亘って発行されていた同誌の休刊を惜しむ声はあちこちから聞こえる。その最終号を手に取って、まずその表紙に驚く。折り畳み3頁の編集部内部の写真である。編集長以下33名の正規・非正規編集部員の思い思いの自由な編集部内の写真に「101年間ご愛読ありがとうございました」と書かれている。編集部内の雰囲気は自由奔放な感じが表れているようだが、これも写真家の演出によるものだ。室内にはとても雑誌を編集するような空気がなく、仕事をしながら遊んでいるイメージが強い。服装もマチマチで、居眠りをしたり、タバコを吸っている人もいる。ボクシングの真似事をしたり、ラーメンを食べたり、お茶くみをしたり、そこへ出前のオッサンが入ったり、実に様々で、朝日らしからぬ面白い企画ではあると思う。

 同誌は、最盛期の1958年新年号には154万部を発行したが、以降年々販売数が下落して最近号では、最盛期の20分の1以下の7万4千部しか販売されなくなった。広告収入も減り、朝日は他に週刊誌「AERA」も発行していたが、時代性や印刷方法などを考え、「週刊朝日」を泣いて馬謖を斬ったようだ。これについては、最終号誌上に林真理子氏が疑問を投げている。

 内容的には、国公立大学高校別合格者リストは少々薄っぺらな感じがするが、グラビアで宮崎美子をはじめ過去に女子大生のポートレートを表紙に載せたことや、ありきたりだが、「週刊朝日とわたし」と題して著名人のインタビューをそつなくまとめている。田原総一朗氏の「首相への進言 今こそ対米従属脱却する好機だ」が同誌らしい最後っ屁だ。

 かつてはあれほど売れた同誌がこれほどまでに販売実績を下げたのは、時代性もあると思う。その最たるものは、現代人が本、新聞など紙上の文字を読まなくなり、紙文化の購買者が減ったことだが、同時に「週刊文春」「週刊新潮」など他の週刊誌が、興味本位のプライバシー暴露や、スキャンダル報道などで一般の関心を呼び、購読者が流失したことが大きいと思う。ともあれ我々の就職期には、憧れを持っていたほどの新聞社が、その大きな売り物のひとつが姿を消していくのは何とも言えず寂しいものである。

 さて、昨夕のニュースでプロ野球界で活躍した2人の元有名選手の訃報を知った。ひとりは、私がまだ小中学生のころフォークボールを武器に活躍されていた杉下茂投手である。彼の最も印象的だったことは、1951年のシーズン開幕前にサンフランシスコ・シールズのオドゥール監督に招かれて、当時強打者として力を存分に発揮していた藤村富美男(阪神)、川上哲治(巨人)、小鶴誠(松竹)とともに渡米して、実力を磨き、そのシーズンに最多勝、沢村賞を獲得したことである。通算215勝の実績を上げた。享年97歳だった。

 もうひとりは、広島カープのエースとして活躍した北別府学である。長年広島の大黒柱として活躍し、86年にはリーグ優勝に貢献し、最多勝、最優秀防御率、最高勝率、沢村賞の他にリーグのMVPに輝く5冠を獲得した。生涯に杉下投手に2勝足りない213勝を挙げた。白血病症状があったとはいえ、まだ65歳は早過ぎる永眠である。

2023年6月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5778.2023年6月16日(金) 中西準子さんの連載もの最終回

 昨日の山崎洋さんの出版記念イベントは格調が高かった。岩田昌征氏とトークで交わされた内容は、セルビア国民の世論と欧米の考えが対立していることを窺わせるものだった。彼の大著の読み切っていない部分をこれからじっくり楽しもうと思う。

  昨日こんなこともあった。品川駅改札口周辺で友人を待っている間に唐突にラジオの街頭インタビュー班に掴まり、「一番最初に買ったレコードは何でしたか?」と問われ、急には思い出せなかったが、唐突に小学生のころ毎夕NHKのラジオ・ドラマで放送していた「菊田一夫作詞、古関裕而作曲『さくらんぼ大将』のテーマ・ソングです」と応えた。ところが若い女子アナには70年以上も昔のテーマ・ソングなんてピンと来なくて説明することになってしまい、挙句に完全に覚えてはいなかったが、唄ったところ随分喜んでもらえた。どこの放送局か聞き漏らしてしまったが、少しはお役に立てたのかなと思っている。

 昨日6月15日は、60年安保闘争が激しかった1960年に東大生の樺美智子さんがデモの中で亡くなった日である。その7年前の昨日には今絶頂期の習近平・中国国家主席が生まれた。習主席は70歳、古希を迎えたのだ。今年全人代で前人未踏の国家総主席、及び共産党総書記3期目に入り、権力を欲しいままにして権力基盤を一層固めつつある。今月中国では大学生の入学シーズンに当たり、一斉テストである「高考」が終わったばかりであるが、提起された問題に習主席の言葉が出されたという。それについて受験生が彼らなりにコメントを書くわけであるが、習語録に対して褒めたり、高評価を与える文章を書くに決まり切っている。そうやって思想操作、コントロールを行っているのではないかとの声が聞かれる。今の権力欲から考えると現在の第3期習政権が終わっても、後継者が見当たらない現状から75歳になる習主席は、更に第4期政権へ踏み出していくのではないだろうか。

 さて、朝日新聞朝刊「文化」欄に「語る~人生の贈りもの」と題して連載中だった高校同級生の中西準子さんのインタビュー記事が今日14回目で最終回となってしまった。予告の段階では大分期待して、同窓生や関係者にメールで知らせた。ところがその内容は、初代リケジョと自称するだけに工場排水に関する専門的、技術的なことが多く、大分難かった。母校に入学したことはほんの1~2行にしか書かれなかった。旧満州に生まれ苦しい生活の中で育ったようだが、戦後引き上げるまで上海生活を送ったことや、高校時代の記述がほとんどなかったのが、それこそ興味深く期待していたので、やや残念に思っている。文化功労者として、相変わらず在野で活躍されておられるが、今後も益々活躍されるよう期待している。今では高級福祉施設に入居され自由に生活されているようだが、まだまだ元気な様子なので今年辺りはコロナ後初めて開催されるであろう同期生会には出席されるだろうから、その折話が出来ることを楽しみにしたいと思っている。

2023年6月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5777.2023年6月15日(木) セルビア大使館で友人の出版記念会

 セルビアの友人・山崎洋さんが一時帰国し、今夕セルビア大使館で「山崎洋仕事集・丘を越えて海を越えて」の出版記念イベントが開催された。昨年も同大使館で夫人との共著の出版記念会を開いたが、相変わらず執筆への意欲は旺盛である。本書は600頁を超える大書で価格も税別で4,500円なので手軽に入手出来るものではない。友人から前もって1冊出版社を通して贈っていただいていたが、まだ半分も読んでいない。話を聞いていてやはり読んでおくべきだったとの悔いが残る。これまでに雑誌や新聞などに公表した論文や論説、エッセイなどを整理し1冊にまとめられただけに、主にセルビアの社会的、外交的な優れた文章が揃っていて中々読みごたえがある。同書には、恥ずかしながら私を紹介する記述が、2か所もあり恐縮している。特に1文は、「三田評論」2022年6月号に掲載された文章の転載で、初めて彼と出会った経緯と今日までの交流について書かれている。表紙のレイアウトも画家であるご子息が描いたもので、中々洒落たデザインである。

 いつも通り大学ゼミの友人にも声をかけたが、中には出席したい気持ちはあれども予定が重なって参加出来ないことを悔やんでいた友人もいた。そこで今日はゼミの友人1人と高校時代の友人の3人で出席した。

 イベントでは、山崎さんの執筆に際しての苦労話もあり、続いて彼をよく知るジャーナリスト・岩田昌征氏が書いたユーゴスラヴィアの自主管理社会主義について持論を語っていた。山崎さんと中々格調の高い議論だった。

 午後から雨が降り出したので、イベントが終わってから軽くワインをいただいて大使館を辞した。一緒に参加した友人も山崎さんの著書を買うつもりだったが、大使館内では販売は出来ないということで後日アマゾンから購入するとのことだった。

 さて、今日午後国会では参議院財政金融委員会が開かれ、今国会でも重要法案である防衛費増額に向けた財源確保法案が可決された。もうひとつの重要法案である少子化対策への財源がなく苦慮している時に、再軍備費用はいとも簡単に捻りだせるのには違和感を覚える。立憲民主党のある議員は、「どういう歳出改革を行って財源を確保するのか見通しが立っておらず、財源論としてあまりに無責任。財源確保のための増税についても復興特別所得税のスキームを流用していて悪質である」とまで批判している。

 政府の防衛費増額は単なる増額ではなく、そこにはアメリカへの気配りが見え見えなのだ。1発3億円のトマホークを400発、各種戦闘機6千億円など高額な支出はすべてアメリカから購入し、5年間に43.5兆円を注ぎ込む。これとは別に気になるのは、これだけ大事な防衛費支出が、どうしてもっと与野党間で是非を徹底的に議論しないのか。それはメディアにも言えることだ。「喉元過ぎれば熱さを忘れる」が、相変わらずまかり通っている。今以て防衛費の膨張予算について鋭い論調を言い続けているのは「赤旗」だけである。日本は益々軍事国家化しつつある。

2023年6月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5776.2023年6月14日(水) 元外務省分析官・佐藤優氏の日本外交分析

 ウクライナに対するロシア軍の攻撃は相変わらず問答無用である。報道ではウクライナが部分的に反撃したとも伝えられるが、大勢ではロシア軍の攻撃が激しい。先日ウクライナのヘルソン州でダムが破壊されてからヘルソン州では周辺に大規模な洪水が押し寄せ、多くの避難民が飲料水にも困っている状況にある。

 こういう戦況についてウクライナ、ロシア双方の言い分は、ダムが破壊されたのは相手によるものであるとお互いが相手国を非難し合っている。実際の戦況について本当のところはどうだろうか気になっていた折に、昨日発売された「週刊現代」6月17日号に、ロシアに詳しい元外務省主任分析官の佐藤優氏が、全情勢分析として「ロシア・ウクライナ戦争 正しい理解の仕方」と題して自身の考え方を述べている。ロシアは形勢不利になれば核を使用するので、アメリカはこの戦争に参戦する気はまったくない。特にアメリカはロシアが、「サルマト」というICBMを開発したが、これは南極経由でアメリカを攻撃出来る代物であり、アメリカは今日まで北極経由のミサイル以外まったく想定していなかった。そのためこれに対する防備体制が出来ておらず、使用されることにアメリカは警戒心を強めている。当初はウクライナとロシアの2国間戦争だったが、途中からは日本を含む西側諸国とロシアとの戦争に変容しているとも語っている。

 また、台湾有事を例えに、現在のウクライナを日本と考え、日本が中国と戦うか、或いは、台湾がウクライナの立場で、日本がポーランドの役を務めるかも知れないと言っている。こんな物騒な論理を展開しているのだ。他にもいくつも卓見を主張しているが、ロシア人の性格と国民性を知り抜いているからこそこの佐藤氏の分析は説得力がある。佐藤氏の結論は、「日本人は何も分かっていない。世界が笑っている日本の『ゼレンスキー礼賛』」というから、まるで今の日本の外交政策を憂いながらもせせら笑っているように思える。

 それにしても日本国憲法は戦争を禁止しているが、今や泥縄式に自衛隊という疑似軍隊を抱え、装備も充実させ、日に日に臨戦態勢を備えている。少子化対策が岸田内閣の1つの金看板でありながら、肝心なその予算措置が講じられていないのに対して、軍事費は使用目的が明確化されていないにも関わらず、多額の支出を決めている。佐藤氏の指摘を待つまでもなく、日本は今戦争にまっしぐらである。

 話は全く別物であるが、驚いたことに今日陸上自衛隊の岐阜市内の射撃場で今年入隊したばかりの18歳の自衛官候補生が、3人の先輩自衛官に対して小銃を発砲し、内2人を死亡させたとの衝撃的なニュースが今朝慌ただしく伝えられた。この新米自衛官の採用も当然大幅に増額した本年度防衛費予算に組み込まれていたものだ。この不祥事は偶々起きた事件であるが、無駄に使われた予算であることは間違いない。しかし、国費を無駄にしたことは間違いない。本件以外にも自民党並びに防衛省は、極力国費の無駄遣いをしないようくれぐれも注意して欲しいものである。

2023年6月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5775.2023年6月13日(火) 国内外著名人の栄枯盛衰

 一昨日元官房長官だった青木幹雄氏が亡くなった。自民党の参議員議員会長を務め自民党のドンと言われた大物議員である。小渕恵三首相の下で官房長官を務め、首相が体調を崩して休まれた間首相代理を務めたこともある。自民党内では古賀誠元幹事長、野中弘務元幹事長と並ぶ陰の実力者だった。享年89歳だった。

 そして昨日海外でも大物政治家が死去された。日本人でもかなりの人がその名を知っていると思われるイタリアのシルヴィオ・ベルルスコーニ元首相である。86歳だった。長い政治家活動の間に4度も首相を務めて政界はもとより、サッカー界、プライバシー面でもその名は轟いていた。建設業者として財を成し、同時に放送会社を経営して政界に進出した。政治家としては名を上げたが、複雑な政界事情により波乱万丈な政治家生活を送った。軽口で物議を醸すことも多々あった。特にオバマ元大統領夫妻に対しては、人種的な差別感を与えるような発言が度々あり、夫人を怒らせたこともある。人格的には一国のリーダーとしては首を傾げる点もあった。イタリアを訪れると絶頂期だった時もあるが、その次に訪れた時には名は知られていたが在野の1議員だったり、浮き沈みの激しい政治家生活を送っていた。晩年になってイタリアを訪れると出迎えてくれたガイドさんに、「ベルルスコーニは元気ですか?」というのが挨拶となったほどである。良きにつけ悪しきにつけ、印象に残っているイタリア人である。これからは彼の噂も聞かれないと思うとちょっと寂しい気もする。

 もう1組、著名なグループについて取り上げてみたい。それはあの「ビートルズ」である。ビートルズについては昨晩NHK「世紀の映像」で、「ビートルズの革命~音楽と言葉で世界を変えた4人の若者の冒険」前編と題するドキュメンタリーとして放映された。10年足らずの活動期間にレコードの総売り上げ数が10億枚という世界最大のヒットメーカーだった彼らの活動を、ビートルズ生誕前後から解散までを追っていた。彼らが異色だったのは、4人が揃ってリヴァプールの労働者階級の家庭に生まれ育ったために、下層階級の気持ちに同情し寄り添っていたことで、それが階級制や人種差別に反対する立場を取らせたことである。ちょうどアメリカでキング牧師が非暴力差別抵抗を指導する公民権運動がピークに達し、ビートルズは彼らに寄り添った。それが世界の保守派の一部にはビートルズに対する反感を買ったようで、アメリカ国内でのコンサートや、日本では右翼団体の激しい反対により宿泊先のホテルから一歩も外へ出られない不条理な対応を余儀なくされた原因ともなった。

 最初のプロデューサーの良き指導もあり、ショーの前後には揃って観衆にお辞儀をし、また背広とネクタイを身に着けるエチケットなど、他のロック・シンガーとは一線を画していた。このようなことは知らなかったが、やはりビートルズには聞く者に感銘を与える実力と所作があったことに私もテレビを通して感銘を受けた。1970年にはグループは解散してしまったが、短い間に大きな花を咲かせた惜しいロック・グループの解散だった。

 偶々ジョン・レノンが銃撃されて亡くなった1980年12月8日には、私自身南仏マルセイユでそのニュースを号外で知り、その驚愕的な記憶は今でも頭の中に残っている。来週もこの後編が放映されるようだ。楽しみに待ちたい。

2023年6月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com