5842.2023年8月20日(日) 日米韓首脳会談、日本に利はあったか?

 一昨日ワシントンのキャンプ・デービッドで行われた日米韓首脳会談は対中国を想定した話し合いとなり、3か国の安全保障協力のレベルを引き上げ、共通の脅威が生じた場合は3か国で迅速な協議を行うこと、また台湾海峡の平和と安定の重要性を再確認したこと、更に今後毎年3か国首脳の会談を行うことを取り決めた。これに対して直ちに中国政府は、首脳会談に反発した。共同声明に名指しで中国を批判したことに対して「中国脅威論というデマを拡散させた」と厳しく批判した。3か国の安保連携は、あからさまに反中国的行動だと強弁している。一方で、中国周辺国の間には、対中警戒姿勢が強まっているのも実態である。

 例えば、「クアッド」と呼ばれる日米豪印4か国協定、米英豪の「AUKUS(オーカス)」に準ずる3か国の新たな連携枠組みが出来れば、中国に対する包囲網が一層狭まる。日米韓首脳会談が、いずれこれらと同じような協定になるとすれば、3か国の結束が一層強まり、中国としては穏やかではいられない。

 だが、日本人としてよく考えてみる必要がある。これは日本近海の緊急事態発生に対してアメリカが日本、或いは韓国に対して直ちに緊急支援を行ってくれるものと思いがちであるが、アメリカの真意がよく分からないことである。日本がアメリカに対して、基地を提供し、米軍駐在費を日本が負担するなど便宜を与えている割には、あまりアメリカから日本に対して供与を受けるケースが少ないことである。その他にも、例えば、今朝TBSの「サンデーモーニング」で寺島実郎氏が指摘していたが、現在日中間の懸案のひとつである尖閣諸島の領有権に関して、アメリカ政府は尖閣諸島における日本の領有権を認めていないことである。日本政府がこれについてアメリカに強く要求していないからだろ思えるが、対米日本外交の弱点だろうか。日米韓会談後の日本人のアンケードの結果では、まったく評価していない人が6割弱もいることからも日本国民には見抜かれているにも関わらず、日本政府の弱い対応が見え見えである。日本はアメリカの言いなりになるだけでなく、対等の立場で協定を締結する以上日本の言い分もはっきり主張して受け入れてもらうよう話を進めるべきではないか。いつまでもお人好しでいるわけにはいかない。

 果たして3か国の連携が、クアッドのような効力のある協定になるかどうか、岸田首相は鼎の軽重を問われているとも言える。岸田首相は3か国首脳会談の後に、バイデン大統領と日米首脳会談を行い、「極超音速ミサイル」などを探知しにいく兵器を迎撃出来る新型ミサイルの共同開発を始めることまで合意したそうだが、これは憲法に抵触しないのか、また国会内で議論され承認されたのか、はっきりしない。近年自民党政権には、やみくもに国民には黙って話を進める思い上がった言動が多過ぎるように感じている。国会でもチェックすべきであるし、メディアでももっと厳しく追及して欲しいところである。

 さて、昨日甲子園で高校野球の準々決勝4試合が行われ出場した8校の中に、強豪校が揃った関西と四国地方から1校も進出していなかったのが、意外だった。そして、勝ち残ったベスト4のうち、関東から2校、東北から1校とは、これまでの高校球史を考えると想像も出来ないことである。昨年夏は仙台育英高、今春の選抜は山梨学院高が優勝して高校野球勢力図も大分塗り替えられたようだ。明日の準決勝は、どこが勝ち残るか、そして慶応高校は106年ぶりの優勝旗を手にすることが出来るだろうか、興味津々である。

2023年8月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5841.2023年8月19日(土) 中国不動産業界が苦境に

 これまで中国の経済を引っ張ってきた不動産業界の経営不振が話題になっている。17日には、最大の不動産グループである恒大集団がニューヨークの裁判所にアメリカ連邦破産法の適用を申請した。これにより恒大がアメリカ国内に保有する資産の保全は可能になったが、1千件を超える訴訟を抱え、債権者との交渉は難航しているとみられ、再建への道筋は見通せない。いずれにせよ恒大集団が抱える負債は、何と約48兆円というから、日本の一般会計年度予算の約40%にも上る巨額である。その影響が中国国内はもとより日本にも及んでくると警戒されている。北京市内には、建設中に工事中止となった高層ビルが数多く放置されている状態である。販売されたものの未完成の住宅が72万戸もあるというから購入者としては生涯財産として入手しただけに諦めきれず、未完成住宅の周囲で「早く入居させて欲しい」とアピールしているようだ。この不動産不況は、恒大集団だけに限ったものではなく、上海の「碧桂園」などでも経営不振は明確に見られ、今年前半の最終損益は、1兆円前後の赤字に転落する見通しである。中国では不動産業界が占める国内総生産(GDP)の割合は3割を占め、これまで中国の成長をけん引してきた。どうしてこれほど悪くなるまで、業界はもとより中国政府は対応に手を拱いていたのだろうか。
 そもそも中国の不動産業がこのような危機に陥った大きな要因として考えられるのは、日本とは異なる「プレセール(事前販売制)」と言われる、住宅の完成前に代金の一部を支払う形態である。開発業者が回収した資金をすぐ次のプロジェクトの開発にまわしていった結果、実際の需要を投資が大きく上回るような結果になった。更に不動産が売れ続けることで地価も高騰し、値上がりを見込んで投資も更に加速する、という相乗効果の中で長らく中国の住宅市場は好調を維持してきた。しかし、これでは自転車操業と変わらない。いつ倒れるか分からない。

 これに対して中国政府も危ういと感じたのか、2020年8月に「三道紅線」という規制強化の方針を打ち出した。これは当初恒大集団のような巨大企業を対象にしていたのではなく、財政状況に不安のある不動産開発企業に対して銀行融資を規制するもので、これまでの過剰な不動産投機を抑制し、格差を是正することを目的にしたものだった。

 この結果、総負債比率等の基準に抵触した企業への融資に制限がかかり、かなりの不動産開発企業が債務不履行(デフォルト)に陥った。不動産業の不況は増大し、それはついに大手の恒大集団にも影響が及んできた。恒大集団もデフォルトに陥った。巨大企業のデフォルトはインパクトも大きく、不動産業全体を不景気に追い詰め、それは住宅産業以外の業種にも波及する中国経済にとって極めて重大な問題となった。

 今庶民を心配させているのは、未完成住宅問題である。建設工事は中止され、購入者は代金は支払ったが、住宅は手になく、加えてローンの支払いだけは要求され続けるというジレンマに捉われている。新築住宅の落ち込みで住宅販売額は前年同期に比べて30%近くも減少した。

 中国不動産業界の現状は、日本のバブル崩壊と同じような道を辿りそうだが、習近平独裁政権は、果たして不動産業界をこの窮地から脱出させることが出来るだろうか。

2023年8月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5840.2023年8月18日(金) アフガニスタンとイランの厳しいイスラム原理

 アフガニスタンでイスラム主義勢力タリバンが復権して、早くも2年が経った。それ以来同国では、国家の隅々まで徹底したイスラム化を進め、民主主義は国からその姿を消した。2001年のNY同時多発テロをきっかけにタリバンは、当時国際テロ組織アルガイダのビン・ラディンらを匿ったとしてアメリカ軍の攻撃を受け、政権を追われた。だが、徐々に勢力を取り戻したタリバンは、21年8月首都カブールを制圧し、アメリカ軍はアフガンからあっさり撤退してしまった。何故アメリカ軍はこのように無抵抗に撤退してしまったのだろうか。

 今政権を握ったタリバンは、国内でイスラム主義の原点に返るとしてイスラム化を徹底しているが、今日世界情勢から考えるとあまりにも他国の普遍的考えや体制とはかけ離れているように思える。とりわけ女性に対する差別や抑圧は、社会的理念や常識から考えて、今日の世界ではとても受け入れられるものではない。タリバンは独自のイスラム法の解釈に沿った国造りを進めているが、その典型として女性の教育や活動を制限することにある。最大の制約は、女性の学校教育を小学校までと規定したことであり、その他に女性は外出する際にはイスラム女性の衣装であるヒジャブを身に着けることである。化粧することも許されず、開業していた美容院はほとんど閉店させられた。

 女性に教育の機会を充分に与えず、小学校でしか学べないということは、文字の読み書きは何とか出来るが、考える力という人間にとって一番大切な思考力を養う機会を与えないということであり、社会から女性を遠ざけることである。これは国民の力を半減することになる。幼いころから女の子なりに将来の希望として、医師や看護師になりたいとか、学校の先生になりたいと考えていた彼らの希望を否応なく奪ってしまうことである。中にはこの苦悩から脱しようと国外へ逃げ出し、国外で生活している人もいる。だが、これとて誰でも出来ることではない。

 ある面では、01年からアフガンに駐留したアメリカ軍が監視した前政権が自堕落なためにタリバンに追い落された結果が、巡り巡ってこの有様となったが、それを見ていながら何ら有効な手を打たず、タリバンが再蜂起するや、アフガンの今後の発展とか、アフガンの問題点などに頓着することなくさっさと部隊を撤収したアメリカ軍の無責任ぶりも糾弾されなければなるまい。実際去る8日のアメリカ連邦議会下院の外交委員会で現地において負傷した兵士が、米軍の撤退は惨劇だったと証言しているくらいである。

 同じイスラム国の隣国イランでも同じような社会的問題が起きている。イランでは昨年9月ヒジャブの着け方が不適切だとして22歳の女性が逮捕された。ところが、逮捕後に収容所内でその女性が急死した。それが厳しい拷問と体罰によるものではないかとの噂が広がり、全国で抗議デモが起きた。こうした事件などを背景に、今イラン政府は女性が着るヒジャブを巡り新たな規制法案が審議されている。イラン政府は、新法案について「純潔とヒジャブの文化の促進を通じた家族の保護」というような都合の良い理屈を言っているようだが、アフガン同様に女性を家庭内へ閉じ込めようとしているだけだ。ヒジャブの色も黒一色系統でおよそ若い女性の好みには合いそうもない。女性を家の中に閉じ込め、外へ出る時には黒衣装を身につけさせ、国によってはほとんど顔も隠し人格まで覆い隠すような文化が、果たしてその国にとってどれほど有益なものだろうか。とてもイスラム国が、頑ななイスラム原理に拘る気持ちは理解出来ない。

2023年8月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5839.2023年8月17日(木) お盆休みに猛威を振るった台風7号

 昨日お盆は終わったが、今年は台風による天候異変で航空、鉄道など交通機関を主に大きな影響を受けた。特に、JR東海道新幹線は区間計画運休などで対応していたが、突然静岡県に豪雨が襲来し、東京発着の新幹線もかなり影響を受け、東京、名古屋、新大阪の各駅では、多くの乗客が乗車出来ず混みあっていた。今日も混乱は続いていた。

 今甲子園では夏の高校野球が真っ最中である。昨日の3回戦では千葉県代表校・専修大松戸高が茨城県代表校・土浦日大高とベスト8入りを賭けて戦ったが、専大松戸高は6点をリードしていながら6―10で逆転負けしてしまった。その一因というわけではないが、応援団が新幹線の遅れにより、甲子園の試合開始に間に合わなかったことがある。甲子園アルプス・スタンドの同校応援団席にぽっかりと大きな穴が開き、プレイボールに先立って新幹線の遅れで応援団が間に合わないとの場内アナウンスまであり、観客の同情と拍手を受けていた。こればかりは誰の責任でもなく、気の毒としか言いようがない。事程左様に今年のお盆シーズンは日本中台風に翻弄されたと言って好い。

 一方で、お盆は恒例的に夏祭りや花火のシーズンでもあり、各地で伝統的な行事が行われているが、これもご多分に漏れず、台風にかなり影響を受けたようだ。今夏は徳島の「阿波おどり」が、台風の襲来とその最中に線状降水帯が発生する警告に際し、安全上の配慮から徳島市長が主催者の実行委員会に対して中止を勧告した。だが、実行委員会は開催を強行した。動画を観てみると雨が降る中で観客も少なく踊り手は衣装もびしょ濡れになって踊っていた。流石に強行したことについては、かなりの批判が寄せられたようで4日間の最後の1日は中止となった。主催者側の催行したい気持ちもよく理解出来る。ここ数年開催したくともコロナ渦の影響で実施出来ず、漸くコロナも下火になり手ぐすね引いてその日を待っていた主催者にとっては、この程度なら大丈夫と判断した苦渋の選択だったと思う。来年こそはうっぷん晴らしにも青天下に思いっきり踊ってもらいたいものだと思う。

 さて、ハワイのマウイ島で1週間前に発生した山火事が、島のリゾートである中心都市ラハイナを中心に西部の街を焼き尽くし、多くの被災者を生んだ。現在までに死者は110人、行方不明者は1千3百人に上がっており、人的被害はさらに拡大すると見られている。消失家屋も2千7百棟に達している。バイデン大統領も過去100年以上の間の最大の災難事故であると言い、被災地に緊急支援を行い近日見舞に訪れると発表した。写真で見る限り一面焼け野原になっており、島で突風に煽られた時の火災には、恐ろしいものを感じる。住民は住むところを失い、食料は支援物資に頼りこれからどう生活を再建していくのか、多くの住民が困っている。

 マウイ島の人口は、2022年に16万5千人である中で約290万人の観光客を受け入れてきた。観光業によって生活の基盤を築いていた島の経済は、当分立ち行かないだろう。ハワイは日本との関係も深く、この火災により日本からの移住者によって1912(大正元)年に建立された「ラハイナ浄土院」も一部を残して消失した。今年7月にコロナ渦を乗り越えて4年ぶりに開催されたラハイナ浄土院の盆踊りが、目新しく記憶に残っていると原源照住職は寂し気に語った。仮に東京がこのような火災に遭ったらどうなってしまうだろう。広島と長崎の長い再興期間を経て復興したことも合わせ考えると他人事とは思えない。

2023年8月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5838.2023年8月16日(水) フランクリン北極探検隊失踪の謎

 去る11日は祭日「山の日」だった。今年の「山の日」は天候が山登りには適さなかったようだが、それでも多くの人々が各地で登山を楽しんだようだ。3日間の連休中に富士山へ登った人は約1万人と推定され、年々外国人登山者の数も増えているという。最近話題になるのは、富士山で「弾丸登山」と呼ばれる荒っぽい登山をする人たちで、他の登山者への迷惑にはお構いなく、ただ富士山へ登ろうとの一心で登山道で仮眠したり、休息を取る人たちである。彼らの間では山小屋に宿泊せず、一気に頂上を目指す登山者が多いという。また、他にもテレビを観てみると随分簡単な身なりで登山している登山者の姿も目に付く。彼らの服装はとても登山者とは思えず、まるで夕涼みの散歩スタイルである。こういう安易な登山スタイルは低体温症になる危険が多く、地元のガイド組合や観光協会でも一歩間違えると遭難の危険があると警告している。
 そういうやや安易な登山者に比べて、「NATIONAL GEOGRAPHIC」8月号特集記事に取り上げられたロマン溢れる「北極探検隊 失踪の謎を追う」は、真面目にテーマに取り組み写真と地図も併せて目新しい冒険ストーリーである。そもそもそのきっかけは、19世紀半ばにイギリス人ジョン・フランクリン隊長率いる探検隊が北極海で消息を絶った北西航路を、昨年「NATIONAL GEOGRAPHIC」チームが、その足跡をたどる航海に出たことにある。

 8月号は、その経緯を記録したものである。フランクリン隊長は、まだ誰も成し遂げていない北米大陸の北の氷に閉ざされた海域を抜けて太平洋に出る北西航路を切り開こうとした。これはアメリカから極東への新しい交易路として期待もされた。ところが、彼が率いた2隻の船、エレバス号とテラー号、そして乗組員128人が忽然と姿を消し、その後長い間記録等全体の詳細は分かっていない。「フランクリンの謎」と呼ばれているほどである。普通の海洋を航海するのとは異なり、北極海では氷山や氷柱が障碍となり、危険ですらある。船が氷山に囲まれその氷山が大きくなったら船はたちまち押しつぶされ破壊させられてしまう。そういう危険な北極海では夏の短い期間だけしか航行出来ない。2隻の船は1845年にイギリスを出港したが、2年目はほとんど氷に閉ざされていたという。4年目になって遂に船を放棄した。2隻の内エレバス号の残骸が2014年に放棄した島の反対側の海底で発見された。

 「NATIONAL GEOGRAPHIC」チームは、北西航路を辿って110日後にゴールであるアラスカ州ノームに着いた。彼らがどの程度当初の目的を果たせたのかは定かではないが、フランクリン隊長らと現地のイヌイットらとの交流などは想像することが出来る。とにかくスケールの大きい冒険旅行である。

 一見「弾丸登山」と変わらないと言えないこともないが、計画性や装備品、準備、アカデミック性などを考えると自ずから無謀な「弾丸登山」とはまったく異なることは歴然である。

 中々面白い特集読み物で、ロマンを感じた。

2023年8月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5837.2023年8月15日(火) 78回目の終戦記念日を迎える。

 今日78回目の終戦記念日を迎えた。例年通り東京九段の日本武道館では政府主催の全国戦没者追悼式が、天皇、皇后両陛下ご臨席の下に開かれた。生憎台風7号の影響もあり、10府県の遺族が参列を見合わせた。年々参列者の高齢化が進み、出席した遺族の内75%以上が70歳以上だった。戦争を知る世代が年々少なくなっていく。どうやって戦争の恐ろしさと惨めさを後世へ伝えていくことが出来るのか、大きな関心事であり、これからも引き継がれるべき課題である。

 私自身振り返って、1945年3月に父の転勤と疎開を兼ねて千葉県勝山町(現鋸南町)へ引っ越し、4月に大量の牛乳缶を馬車で運んでいた父の会社の人に勝山国民学校へ連れて行ってもらい初等科へ入学した。晴れて国民学校1年生になった。両親ともに息子の入学式になぞ出席している余裕がなかった。まだ友だちは誰もいない。父は千葉市内へ毎日片道2時間半もかけて列車で通っていたが、最初のころは母も近所には親しい人は誰もおらず、それでも勤労奉仕には強制的に狩り出されていた。近くの館山市内に旧日本軍の施設があるせいで、わが田舎町まで米軍機の空襲が激しくなり、毎晩のように敵機を探知しようと鋸山頂上の軍の探照灯が闇夜を照らしていたのを2階の窓からじっと見ていたのをよく覚えている。昼夜を問わず空襲警報のサイレンが聞こえると同時に、母や兄弟と近くの岩山の横穴式防空壕へ逃げ込んだ。一方学校ではこんな際どいこともあった。お母さん先生に連れられて校外のお花畑へ同級生と揃って出かける途中で、米戦闘機編隊が低空飛行して接近し銃撃直前になって急遽機首を上空へ向け飛び去って行ったが、先頭の機長の目に我々のような幼い子どもたちが逃げ惑う姿が映り、哀れと思って見逃してくれたのではないかと後になって考えたことがある。

 その後社会人になって旅行業に関わることになってからも戦争に関する業務に携わることが多かった。1970年当時ビルマ(現ミヤンマー)は国の特殊な事情によりほとんど日本から戦没者慰霊団を受け入れていなかったが、ビルマ戦友会から慰霊団計画の相談を受け、直に交渉するより方法はないと思い、単身ビルマへ飛んだ。慣れないながらも現地でビルマ航空とぶっつけ本番で交渉して陸軍航空隊として初めて「加藤隼戦闘隊ビルマ慰霊団」を計画、実行した。思いがけずビルマ政府から晩餐会に招待され、それが新聞やラジオで広く報道され大いなる反響があった。それが転機となり、以後毎年ビルマをはじめとする東南アジアへ慰霊団を計画した。更にそれがきっかけとなり、当時の厚生省からも太平洋戦争戦没者遺骨収集事業を仰せつかり、十数年に亘り毎年中部太平洋諸島への遺骨収集団で、1か月間も「玉砕の島」サイパン島を中心に滞在することになった。

 偶々一昨日の朝日新聞朝刊に遺骨収集に関する記事が載っていた。それによると「海外戦没者240万人、収集された遺骨128万柱、過去に身元判明1232人」だそうである。加えて「進まぬ国の遺骨収集 遺族『それだけ高齢化進む』」とある。これに付け加えるなら、日本人の犠牲者は310万人、東京大空襲死者8万3千人、広島・長崎原爆犠牲者死没者名簿に51万人、等々戦争がもたらした惨禍は限りがない。

 私たちが毎年お世話して順調に続けられていた遺骨収集が、今では当時より遺骨収集団の規模は小さくなり、収骨数は遥かに減ったようだ。これでは、戦争の整理はいつまで経っても片が付かない。何とか以前のように遺骨収集に厚生労働省も本腰を入れて欲しいものである。

 「戦争は怖い!」「戦争は2度と冒してはならない!」とは誰しも思うことである。日本国憲法でも戦争の放棄は第9条に明確に記載されている。だが、実際には現状は、日本政府が憲法違反を冒しながら、戦争への道をひた走りなのだ。

 昨年末には「安保3文書」を閣議決定し、自衛隊に敵基地攻撃能力をもたせるように今後5年間に巨額の防衛費43兆円を決定した。再び戦火に巻き込まれるのは耐えられないので、これは好戦的な国会議員には嫌みに聞こえるかも知れないが、この先戦争ムードが高まり、そのうえ体調が最悪になった時には、今生からお別れしたいと思っている。

2023年8月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5836.2023年8月14日(月) 気骨ある外交官だった佐藤尚武元参議院議長

 このところ終戦記念日が近づいたせいか、太平洋戦争関連のドキュメント・ストーリーの放映が目につく。去る9日、NHK「昭和の選択」が「平和を手放した日~幣原喜重郎国際協調外交の誤算」と題して歴史家らのトークと映像を映していた。幣原と言えば、戦前から外交官、そして外務大臣として国内外の難局に取り組んでいた。旧日本軍の満州、中国進駐につき、欧米から批判を受けながら懐柔策を政府に提案したが、国内では彼の意向は軍部に抑えられ提案は伝えられることなく外相を辞めざるを得なかった。戦後は総理大臣として、また衆議院議長として活躍された。

 実は、幣原喜重郎衆議院議長については、佐藤尚武参議院議長の名前と一緒に小学5年生の時、初めてその名を知った。偶々昨日の朝日朝刊「日曜に想う」で曽我豪・編集委員が、「78年前の夏の異議申し立て」と題した論説の中て、その佐藤参議院議長の筋を通す誠実さ、及び気骨ある性格と戦前、戦後の良識ある言動を高く評価している。佐藤も幣原同様に外交官出身で、終戦の年にソ連駐在大使を務めていた時、ソ連が終戦直前、特にドイツの降伏後には原爆投下で疲弊していた日本へ侵略し、日本領の一部を手にいれるべく動いていたことを察知していた。その最中の1945年8月8日、佐藤はソ連外相から対日宣戦布告を受けたという。

 曽我氏が特に佐藤を評価しているのは、毅然として自らの考えを貫き、職業、立場などによこしまな気持ちを抱かなかったことである。例えば、終戦の1か月前東郷茂徳外相からソ連に和平の仲介を頼めとの指示を受けたことに対して、異議を申し立てた。和平の条件として「皇室の維持」があったからである。佐藤は、「すでに抗戦力を失いたる将兵およびわが国民が全部戦死を遂げたりとも、ために国家は救わるべくもあらず。七千万の民草枯れて上ご一人ご安泰なるをうべきや」と皇室維持の一点だけを主張する上司東郷外相に異議を唱える長文の電報を打った。政府の所信に反するのを知りつつ、敢えて反論する罪の深さを自認していながら、言わずにはいられなかったのだろう。佐藤の正義感がそれを許さなかった。

 同時期にそれぞれ衆参議長を務めた幣原、佐藤に比べると、今日の節操のない議員、私利私欲で国会に議席を置いているだけの政治家は、政治家として、また人間的にあまりにもレベルが低い。その点で今日の国会議員は気楽である。競馬の馬主として必要経費として風力発電会社社長から6千万円を収賄したり、女性議員研修旅行と称しつつパリで観光気分に浸ったり、住民の反対を無視して賭博場建設に熱中したり、こういう議員はモラル以前に議員失格、人間失格である。

 小学生の時、初めて知った衆参両院議長の名前だったが、その後もその名も覚えている2人の素晴らしい高潔な性格の政治家を改めて知り、爽快な気分である。因みに佐藤尚武の墓地は、都立谷中霊園内にあり、この夏の暑さの中で大樹の陰はないという。「洋服を着た武士」佐藤尚武は昭和46年12月18日この世を去った。享年89歳だった。

2023年8月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5835.2023年8月13日(日) 昨日日航機事故から38年、今日からお盆入り

 昨日日本航空機が群馬県の御巣鷹山に墜落して520名が死亡する大事故が発生してから38年が経った。単独機の航空事故としては過去最多の犠牲者を生んだ。事件後、日本航空は事故現場周辺における遺族らに対する対応や、事故機の残骸処理のために時間を割けるゆとりのある社員や、OB社員に声をかけて人集めに大わらわだったという。当時日航機機長を退職されたばかりの知り合いも日航から助っ人を要請され、現場でご遺族への対応に当たられていたが、随分遺族らから恨みつらみや厳しい言葉を浴びせられ、とても耐えがたい経験だったと話されていた。ビルマ戦線で第5飛行師団・飛行第50戦隊のパイロットとしてビルマ、中国、東南アジア方面で戦い生き抜いて苦労されたその旧軍人が、生前つくづく語っていたことが、毎年この時期になると思い出される。こんなことも仰っておられた。いかに騙されたり、言葉で傷つけられてもじっと我慢していれば、最後には許してもらうことは出来るが、人を殺してしまったら取り返しようもなく逃れようがないという話だった。この方は務めていた日本航空から人手が足りない事故現場で元の勤務先のために手助けすることを求められ、現役時代に世話になったからと厳しく辛い業務であることを承知のうえでお手伝いされた。そういう地道で隠れた一助などによって今日の日航の繁栄は保たれている。幸いにしてその後日本国内では大きな航空事故は起きていない。

 今日から16日までの4日間恒例のお盆である。お盆休みと称して多くの人々が国内外へ旅を楽しんでいるようだ。完全にコロナが明けたわけではないが、コロナ明けと称して交通機関の混雑が、一気にヒートアップしている。ところが、一昨日には小笠原諸島周辺を襲っていた台風7号はそのまま北上し関東、東海地方に襲来すると予報されていたが、台風の速度が遅くなり、それに従い進む方向が徐々に西方へ傾き、今日の予報では15、16日ごろに近畿地方を襲う公算が強くなった。そのため各交通機関はスケジュールを組み替えて対応しているようだ。現時点では、東海道新幹線と山陽新幹線が15日の全線運転中止や区間運転中止を検討している。今年のお盆はその他にも花火大会や各種のフェスティバルの開催に難しい判断を求められて。東京でも午後になって一時的に激しい降雨があり、2階から外を見ても霞んで見えるくらいだった。幸いしばらく散水していなかった庭の樹木もたっぷり水分をいただいたようで、ホッとしている。

 その観光が回復しつつある中で日本にとっての朗報は、去る10日中国が日本への団体旅行を約3年半ぶりに解禁すると発表し、日本の旅行会社も受け入れ準備に入ったことである。コロナ前の2019年に中国人の訪日客は約960万人で、訪日外国人全体のほぼ3割を占めていた。それがほとんどゼロの状態だったので、中国人団体旅行が復活するなら少しずつ元のインバウンド客は戻ってくるだろうと期待される。

2023年8月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5834.2023年8月12日(土) 食欲不振が原因か? 急激な体重減少

 4週間に1度近くの山内糖尿病クリニックに通院しているが、今日も相談に乗っていただいた。幸い基準値であるHbA1cは5.9で、数日前慶応病院で計測した5.7ともども安定した数値である。ほぼ回復といってもいい最近の状態である。実は、糖尿病以外に最近体重が急に減り出したのが気になっている。その原因として考えられるのは、当然この猛暑の故に熱中症のせいもあり、やや食欲不振になり食事の回数は1日3度こそ守っているが、食べる量が大分落ちていることだと思っている。特に夕食は以前に比べて大分減食状態となっている。ご飯をお茶碗に半分やっとの状態でこれを何とかしなくては回復の見込みはないと思っている。山内クリニックは主に糖尿病を専門にしているが、内科全般を診てくれるので、今日は妻ともども相談に伺った。医師は拙作の体重変化表を一目見て、少し体重減少の速度が速いのは、食欲が進まないのが一因であるが、胃に問題はないかと胃を気にされていた。肝臓、大腸、十二指腸の内視鏡検査は人間ドックの際済ませたので、今思えばオプションで胃も内視鏡検査を受けるべきだったと思っている。医師からは食事療法から日中の生活の仕方についてもアドバイスをいただいた。

 体重の減少は、具体的には以下の通りである。20年前会社を退職した当時は、体重は70㎏近くあった。そのころはやや太り過ぎだと言われたりもした。近年になり自分自身の健康に留意するようになってから、毎日血圧、脈拍、体温、体重を測るようになり、その結果を記帳、グラフ化し、各医院で受診する際には、いつもそれらの数値をグラフ化した一覧表を作成して医師に提示し、医師の先生方からも重宝がられている。

 過去の数値を拾ってみても、2019年12月には70.3㎏もあった体重が、この3年余りの間に減り始めが、それでも20年2月までは毎日67㎏以上を保持していた。それが2年後の22年1月には64~65.1㎏となり、今年1月には60~61㎏台となり、8月に入って59㎏台となり、昨日の59.0㎏から今朝は58.4㎏にまで落ちてしまった。医師も4週間ぶりに会った私の顔を見るなり、随分お痩せになりましたねと仰ったくらいである。

 今後各専門の医師ともご相談するが、当面どうやって食欲を落とさないで体重減少を食い止めるかが課題である。年齢を重ねるごとに高齢者として抱える問題が多くなる。医師のアドバイスには従いながら、普段の生活をどう健康的なものにし続けることが出来るかを問われているように感じている。朝食は以前と同じ分量をいただいているので、夕食のボリュームを以前と同じようにどうやって摂ることが出来るかである。しかし、余命が長くはないこの年齢になって、人生における基本的で大切な課題に直面しようとは世の中は甘いものではないのだということを痛感している。

 さて、ニュースでハワイの山火事を知りびっくりしている。マウイ島で8日に発生した山火事は、ハリケーンに伴う強風に煽られ市街地まで被害が及んでいる。死者は今日現在80人にまでなった。通常山火事と言えば、都市部から離れた山中で起き、そのまま消火活動か、自然消火で都市部にまで影響することは稀である。今回は1度訪れたことがあるマウイ島の首都ラハイナのかなりの地域が火災化したので、観光客も宿泊ホテルがなくなり、避難所で過ごす有様だったという。これも地球温暖化、否グテーレス国連事務局長の言葉を借りれば、地球沸騰化の時代が来たと言えよう。ウクライナでいつまでも戦争などしていないで、気候温暖化に対する世界の声を結集して早く手を打たないと地球沸騰どころか、地球破壊となってしまう。

2023年8月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5833.2023年8月11日(金) 日大の甘い体質、アメフト部処分5日で解除

 沖縄、九州地方周辺をほぼ10日間に亘り襲来していた台風6号が漸く九州方面から朝鮮半島へ向けて去って行った。すると今度は小笠原諸島周辺から台風7号が北上し、来るお盆には関東、東海・近畿地方にやってくる勢いである。それでもお盆休みを旅行で楽しもうとする人々が日本各地を移動したり、海外へ向けて飛び立っている。今日も高速道路はどこも車で渋滞している。

 この暑い盛りに甲子園では6日から全国高校野球大会が開かれているが、今日は神奈川県代表校・慶応高校と福井県代表校・北陸高校の2回戦が行われた。最近WBCの試合を以外ほとんど野球をテレビ観戦することはなくなったが、慶応高校は母校ではないものの慶大の付属校でもあり、甲子園で慶応義塾塾歌が場内に流れるシーンを観てみたくなり、試合開始からゲームセットになるまで見続けた。思えば、高校3年時は母校湘南高校も県大会優勝候補に挙げられ、7年ぶりに全国制覇も期待していた。だが、準決勝で慶応に敗れてしまった。慶応はそのまま県大会を勝ち抜き甲子園に出場した。そんな生酸っぱい思い出があるが、今や母校と同じような高校と言っても好い。

 試合は1回から5回まで毎回得点を重ねた慶応が9-4で勝ち、3回戦へ駒を進めた。試合を観ているとこの炎天下に選手と観客の熱中症を避けるため、昨年まではなかった5回終了後にクーリングタイムという10分間の休憩を取ったことが、この夏の猛暑を表している。高校野球は爽やかな印象をイメージさせ、暑い最中ではあるが、現場のファンの気持ちは分からないまでも一服の清涼剤になる。今月22日の決勝戦まで高校球児はグランドで全力を尽くして悔いのないプレイをして欲しいものである。

 さて、そんな爽やかな高校野球のイメージとは異なり、先日来世間を騒がせている日大アメフト部の大麻・覚醒剤事件が、すっきりとした解決への道を歩んでいない。

 実は、アメフト部員が5日に逮捕され、日大は直ちにアメフト部の無期限活動停止処分を決めた。ところが、昨日日大はその活動停止処分を解除すると発表したというから驚くではないか。処分が出してから僅か5日後の解除である。同時に9月2日に開幕する関東学生アメフト連盟のリーグ戦へ参加の申し入れを行った。だが、関係者の処分を含めて事件の全容の解明がなされておらず、再発防止策も示されていないとして連盟は、日大の要請を却下した。

 このような日大の甘い体質は、発表したプレスリリース上によく現れている。日大は、本件は部員1名の薬物所持という個人犯罪であり、個人の問題を部全体に負わせることは教育機関の判断としては最善の措置ではないと言っている。そうだろうか。そんな個人犯罪を起こさせたのが、日大アメフト部の連帯責任であり、それを監督出来なかったのは大学当局の責任であると思う。

 林真理子理事長をはじめ、日大の首脳陣は考え違いをしていないだろうか。今回の処分解除の背景には、保護者から激しい突き上げがあったことが影響しているようだ。昨年の前理事長による背任事件以後、林新体制により出直した筈の大学が、人は変われど中身は変わらずである。まったく旧態依然であることに失望感を覚える。これではマンモス大学・日大の再生は、まだまだ遠いと言わざるを得ない。

2023年8月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com