5961.2023年12月17日(日) 広島市長、失効した「教育勅語」を教育研修に

 松井一実・広島市長が新規採用の職員研修の際、あるまいことか「教育勅語」を資料に使っていたと知り、原爆被災地の市長のイメージとはあまりにもかけ離れたものではないかと疑問に思っている。今朝の「天声人語」でも次のように指摘している。「教育勅語は天皇のために命を捧げよと求めている。部分的に共感できる表現があったにしても、わざわざ勅語を引用する必要はあるまい。本質を無視するのは何か別の意図があってのことか。そもそもあの戦争で私たちは何を学んだのか。どんな思惑にせよ、右向け右と、国民が同じ方向を向かわされることの怖さではなかったのか。その象徴の一つが教育勅語であった歴史を、忘れるわけにはいかない」。

 そもそも「教育勅語」とは、明治憲法発布の翌年、明治23(1890)年に天皇が直接国民に発する言葉として制定され、教育の基本として戦前、戦中の学校教育の場で生徒たちに教えられたものである。「朕惟うに我が皇祖皇宗國を肇むること宏遠に徳を樹つること深厚なり~」で始まる315文字の冒頭の言葉は、意味は分からないなりにテンポがよく、今以て結構覚えている。天皇を国父とする家族国家観による愛国主義と、儒教的道徳を基本とすることが基本にあった。それが、軍国主義が発展するにつれ、私が誕生した昭和13年に国家総動員法が生まれ、本来の主旨から離れて軍国主義を正当化する教典として利用されるようになった。

 しかし、敗戦によりGHQが教育面でも、監視、指導するようになり、軍国主義が流れている教育勅語がやり玉に上がり、衆参両議院の文教委員長を呼び出し、干渉の形跡が残らないよう口頭で教育勅語の廃止を命じた。昭和23年6月に衆参両院では全会一致で教育勅語の排除失効決議を行い、明治23年に制定された教育勅語が、戦後昭和23年に廃止されることになった。

 松井現市長は、任期3期目ですでに12年目になるが、官僚上がりだが、被爆二世の被爆地市長として「脱原発」を唱えている。その市長が、軍国調の教育勅語を研修に採用していることに疑念を抱かざるを得ない。確か父母に孝行を尽くし、兄弟は仲良く、夫婦は助け合い、友だちは信じあい、学問を修め、等々は教育面では今日においてもあるべき姿ではある。しかし、戦後これらの教育的指導方法は軍国主義を助長するとして失効したものである。それを敢えてこの原爆投下地において指導要領として採用しているのが理解出来ない。松井市長! これからも「教育勅語研修」続けていくのか? さあどうする?

 さて、今日もパレスチナ・ガザ地区ではイスラエル軍によるハマス掃討作戦が続けられ、ハマス側に捉われた3人の人質がイスラエル軍によって殺害されたことが国際社会から厳しく非難されている。3人は白い旗を掲げていたと言われ、交戦規定に違反するとされ、それをイスラエル側は認めた。イスラエルに対しては、最近になって同盟国のアメリカや国際社会から停戦を求める圧力が高まっているが、ハマスを殲滅させることが停戦の要件と主張しているネタニヤフ・イスラエル首相は、「嘆きや国際的圧力はある。それでも我々は最後まで作戦を続ける。我々を止められるものは何もない」と相変わらず強気の姿勢である。

2023年12月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5960.2023年12月16日(土) 大谷選手の記者会見と日大アメフト部の対応

 昨日行われたMLBドジャース入りが決まった大谷翔平選手の入団記者会見が、ドジャースの地元ロサンゼルスを中心にアメリカ国内ばかりでなく、日本でも1日中メディアで取り上げられている。昨晩のテレビ朝日「報道ステーション」では、冒頭から約45分間大谷トピックを集中的に取り上げていた。このため現在話題の自民党安倍派の裏金問題も影が薄れた感じだった。それにしても大谷翔平というプロ野球選手の存在感は、国際的にも群を抜いている。これは、もちろんプロの選手としての優れた実績の結果であるが、爽やかなイメージに真面目な性格、他人への思いやり等々、誰からも好かれる魅力を備えている。これほど人格の備わった選手は、スポーツ界にはあまりいないと思う。今日の朝刊にもかなりのスペースが割かれて、契約、及び今季のファンからの期待について大谷選手自身が語っている。

 大谷選手がドジャースと交わした契約の内容であるが、初めて知る内容だった。その特徴として、総額7億ドル(約1,015億円)という史上最高額の契約の他に、いくつかの付帯条件が付いていたことである。ひとつは、支払い方法である。契約金の内、200万ドル(約2億9千万円)を2024年から33年までに受け取り、残りの6,800万ドルは10年契約が終わった34年から43年までに後払いされる。それは、チームへの入団交渉中の他選手への契約金の制約問題が絡むようなのだが、幾分不利に思える契約も大谷選手がチーム強化のために敢えて申し出て行われたという。もう一点目立った条件は、オプトアウト(契約破棄)という条件を盛り込んだことで、その内容は、契約締結上世話になったドジャースのウォルター・オーナーとフリーマン編成本部長のいずれかが退団した場合、契約解除が出来るというものである。

 大谷は選手として来シーズン以降選手生活が終わるまで、ドジャースで優勝を目指してプレーしたいと語ったことが、ファンの心を掴んでいる。

 こういうプロの超一流選手のすっきりした記者会見に比べて、アマチュア、それも大学の体育会運動部の釈然としない決定には、失望している。それは、8月以来文部科学省までも巻き込んだスキャンダラスな日本大学アメリカン・フットボール部の今後の扱いである。とりわけ廃部か、存続か、が注目されていたが、昨日の理事会で「廃部」と決定した。その決定も理事11対9の僅差だったというから、存続させたい要望も強かったのだろう。日大アメフト部現役部員の存続希望の署名や、ライバル関西学院大学アメフト部の強い存続要望も通じなかった。ただ、まったく道が途絶えたわけではなく、来年度に現在の部とは関係なく、新しい部を立ち上げ、それを今後再起への道を図れるようルートは残されているようだ。これまでにも日大アメフト部には、トラブルがあった。今回の違法薬物事件は、20人の部員が共同生活を営む合宿所に、大学、或いはアメフト部の然るべき管理者が誰もおらず、部員だけに自主管理させていたことに最大の原因があると思う。これからの日大アメフト部の不祥事とその立ち直りは大学のみならず、他大学の運動部や、集団活動をする組織にとっても他山の石となることだろう。一人前の大人だからと管理を任せるのは結構だが、それを好いことに身勝手に行動させるということがあってはならないと思う。

2023年12月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5959.2023年12月15日(金) 0.415票差で当選の魔訶不思議

 選挙では誰しも自身が投票用紙に立候補者の名前を書いて投じた清き1票が、確実に1票と数えられると信じていると思う。それが、昨日東京高裁で4月に行われた東京都中野区議選では0.415票差で当選者が確定したとの判決が出た。この中途半端な数字がどうやって出てきたのか分からない。有権者が1票の投票権を与えられて投票したつもりが、半人前にもならない0.415票としか評価されなかったのである。1人前の権利を認めてもらえなかったことになる。この摩訶不思議な中野区議選は、定数42名の中で最下位で当選した伊佐哲郎(共産党)議員が、都選挙管理委員会による票の再点検の結果当選無効とされた。本人が都議管の採決取り消しを求めた訴訟を起こし、高裁から採決取り消しと認められたものである。

 そもそもことの発端は、伊佐議員が次点候補者を0.415票上回って最下位当選したが、次点候補者が異議を申し立てたことにある。区選管は異議を棄却したが、都選管は1票を無効票と判断し、伊佐議員の当選は0.585票差で無効とされたのだ。結果的に元のさやに納まったが、この意味不明の票差が問題である。誰にも分からないし、その記事にも書かれていない。

 しかし、それ以上に首を傾げたくなるのは、投票用紙に記入された当選者「伊佐哲郎」の名に関する解釈の相違である。名前はカタカナで書かれ、しかも正確ではなかった。「いさてつろう」ではなく、「いさしんいち」と記入されていた。普通なら、間違った時点で、無効となると思う。それが、このケースでは高裁が拡大解釈をした。他の立候補者の中に「いさ」姓も、「しんいち」名に類する候補者がいなかった。高裁の判断は、「姓は明確に記憶していたが、名は不確かで、誤記したと考えられる。この票は伊佐氏への票で、当選は維持される」と結論付けた。この結論の導き方もどうにも納得し難い。

 中野区と言えば、生誕地で本籍地でもあるが、こういうすっきりしない結果を中野区民は納得しているのだろうか。今以て1票が0.415票とされた理由が分からない。

 さて、選挙は結論が出ると、通常市民はそれにどうにか納得させられるが、どう考えても理解出来ない考えや結論がある。それは今世界中から注視されているウクライナへのロシアの侵攻と、パレスチナ・ガザ地区へのイスラエルの執拗な攻撃である。そこには、為政者、或いは独裁者の個人的な偏屈さがあまりにも露骨に表れている。まず、ロシアのプーチン大統領の戦争論である。ロシア人とウクライナ人は一つの民族であり、ウクライナ政権は「非ナチ化」と「非武装化」を追求しなければならないと主張し、ウクライナを併合するつもりである。プーチンの覇権主義が顔をもたげている。スターリンを尊敬し、独裁者スターリンの後継者になるつもりのようだが、スターリンは74歳でこの世を去った。いまプーチン首相は71歳である。余命は残り3年である。そろそろ腹を括った方が良いのではないか。

 また、イスラエルのネタニヤフ首相が、イスラム過激派組織ハマスを徹底的に攻撃し壊滅させると執拗に言い続けていることである。「国際的な圧力に直面しても、我々を止めるものではない」。例え、世界中から休戦の要請があろうと、犠牲者が出ようとハマスを駆逐するまで戦いを続けるとの強い意思により、同盟国アメリカの要望も無視しようとする強硬な姿勢である。利己的な独裁者が現れることによって、世界中が振り回されている。棲みにくい世界になったものである。

2023年12月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5958.2023年12月14日(木) 岸田内閣、人事大改造で立ち直れるか。

 心臓に若干不整脈が見られると診断されて以来、今日は3か月ぶりに慶応病院で心電図検査を受けた。現状では不整脈も感じられず、その他の数値なども問題なく順調との診断で、次回はまた3か月後に診てもらうことになった。

 さて、昨日臨時国会が閉会し、本来なら国会議員はホッとしている時期であろうが、数日前から政治資金パーティの裏金問題が表面化して、メディアで厳しく批判される事態となり、昨日辺りから人事交代についていろいろ報道されている。今日は、朝から岸田首相官邸周辺は慌ただしいようだ。刷新人事が後から後から出てくる。 

 各メディアの内閣支持率もバラバラではあるが、このところ急降下している岸田政権支持率は、過去最低と言われている。今日公表された時事通信が行った最近の世論調査によると、遂に20%を下回り17.1%を記録したという。保守的な産経・FNNの合同世論調査でも、内閣支持率は22.5%だったというから、20%を切ったというのは、最早末期的な数字と言って良いだろう。しかし、対抗馬である筈の野党、それも野党第1党の立憲民主党の支持率が、この数年期待するように伸びて来ない。かつて2009年に自民党に代わって民主党が政権を握った当時は、民主党が24.5%、自民党は28.4%でかなり接近していた。そのうえ投票日直前になって、民主党が26.4%、自民党24.9%と立場が逆転し、そのまま民主党が総選挙に勝ち、政権の座に就いた。残念ながら現在の自民党は腐っても鯛と言ったら良いだろうか、この低支持率のまま政権を維持し続けることだろう。

 これは、何も日本だけに限ったことではないようで、イギリスでは最近スナク首相の支持率が急激に下がり、現在の支持率が21%と岸田政権とほぼ同じだ。ただ、岸田政権の支持率は徐々に下がってきたが、スナク政権は、先月60%の支持率だったというからあまりの凋落ぶりには驚くばかりである。
 まだ内閣の後任人事は流動的であるが、現時点で安倍派の閣僚、松野博一官房長官、西村康稔経産相、鈴木淳司総務相、宮下一郎農水相の更迭が決定し、それぞれ後釜に林芳正氏、斎藤健氏、松本剛明氏、坂本哲志氏が決まった。他に自民党内の萩生田政調会長、高木国会対策委員長、世耕参議院幹事長らから辞表を取り付けているようで、党務のために辞任は22日ごろになりそうだ。他に副大臣5名が辞表を提出したが、政務官については安倍派の反発もあり、6人中ひとりだけしか辞任しないようだ。しかし、いずれにせよ、内閣大改造となる。これは、安倍派が派閥ぐるみで脱税して裏金作りに励んだことが、大事件の発端であるが、知るや知らずや、これまでこれを放置してきた自民党総裁でもある岸田首相の責任はあまりにも大きい。今月は、来年度の予算編成も大きな山場となり、何かと多忙な時期であるが、果たして改めて褌を締め直す岸田首相に、それだけの覚悟と実行力があるだろうか。

 偶々元禄15(1703)年の今日、赤穂浪士47士が吉良上野介邸に討ち入りした、日本史上画期的な1日だった。岸田政権にも自民党浪士が討ち入りするやも知れない。

2023年12月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5957.2023年12月13日(水) 旧日本軍兵士の「戦争トラウマ」

 今月8日は太平洋戦争(開戦時:大東亜戦争)開戦記念日だった。今ウクライナへのロシア軍の侵攻、そして2か月前からイスラム過激組織ハマスの砲撃に始まるパレスチナ・ガザ地区に対する、イスラエル軍の仕返しによる容赦ない攻撃で多くの犠牲者や被災者が出ている。連日メディアが細かく伝えているが、小さな子どもや赤ん坊が傷ついて泣き叫ぶシーンはとても観ていられない。戦争は悪魔のようなもので、多くの犠牲者を生み悲惨な跡形しか残さない。その跡形について、朝日朝刊で一昨日から今日まで3回に亙り、「戦争トラウマ」とのテーマで戦闘に参加したことにより、戦後トラウマに捉われた旧日本軍人と日常生活をともに送った家族が父親の心荒れた家庭内生活をドキュメンタリー風に取り上げている。私自身30年近くに亘り旧厚生省の戦没者遺骨収集事業に携わり、また、各戦友会の戦跡慰霊団で旧戦地を幾度となく訪れ、戦争に直に関わった人々や、遺族の方々から話を伺っているのでとても他人事とは思えない。

 3回連続の「戦争トラウマ」では、第1回目で、歌手の武田鉄矢の父親が中国戦線で多くの中国人を日本刀により殺害し、復員後酒に気を紛らわせては家の中で暴れ回ったという。武田鉄矢の名は、は父親から武器の「鉄」と「矢」を取って名付けられたそうだ。2回目に、中国や朝鮮で戦い戦後は家庭で酒浸りに陥り最後に自殺してしまった長野県の女性の父が紹介されている。そして今日紹介された3回目のケースは、首都圏に住む男性のケースで、父が開業医だったが、旧日本軍の細菌戦部隊「731部隊」の医師として従軍し、戦後は酒や薬物に溺れるようになり診療所は休業状態となり、生活も困窮した。大学へ進学したが、父への反発などもあり、うつ病になって大学を中退した。そして終戦35年後に父親は自殺した。いずれもお気の毒としか言いようがないが、戦争とは力の優劣などには関係なく、最前線で死闘する兵士の誰の心をも残酷に蝕んでいくもので、中々正常な心を保つのは難しい。

 私の父親も赤紙徴兵され、朝鮮半島へ出兵したが、幸か不幸か病に罹り除隊して復員したので、肉親にそのような悲劇はない。だが、随分同じような悲劇を聞いている。戦争では、従軍兵士はもとより、残された家族にとってもいつまでも心の傷となって家族にも同じ苦しみを与えるものだ。

 大分前から気になっていたのは、最近防衛力強化策として防衛省の一般会計予算が雪だるま式に膨らんでいる。自衛隊が重装備をし、敵基地攻撃能力などを備えて、誕生したころの警察予備隊とは名ばかりで、国際的にも軍隊として引けを取らない軍事力を備える実質軍隊となったことである。昨今は、憲法改正論議も盛んであるが、憲法第9条第1項に「戦争の永久放棄」を、第2項には「陸海空の戦力と交戦権の不保持」と「交戦権の否認」をはっきり表示しているが、今ではこの9条はあまり守られていない。日本の防衛政策は、明らかに憲法違反である。この息苦しさから逃れるために、80年余世界に自負していた平和憲法を、戦時憲法に変えて堂々と戦争準備を始めようとしている。

 このまま行くと遠からぬ将来、日本が再び戦争に首を突っ込むことは容易に想像出来る。特に、現在の政治家たちは、戦争を知らず、特に実戦を全く知らない。そのため戦争を怖いものだとの認識が身体全体で分かっていない。戦争の臨場感がなく戦争を机上でやっているようなものである。

 実は、いま日本ペンクラブが、会員に「明日の言葉」というテーマで寄稿を呼び掛けている。「臨場感で戦争の怖さを知る」ことをアピールするために、「臨場感」について寄稿文を考えているところである。

2023年12月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5956.2023年12月12日(火) 身勝手な行動で世界の孤児と化すアメリカ

 イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区への激しい攻撃により、ガザは今や地獄と化している。子ども2千3百人を含む1万8千人もの死者を出す悲惨さである。住民は電気、水、食料、医薬品がなく飢餓状態で、衛生状況も悪化して人道的なピンチに追い詰められている。グテーレス国連事務総長がイスラエルの空爆と封鎖が続くガザ地区には国際人道法違反が見られると発言した。人道危機は一層深刻化している。

 先月末の一時的休戦も長くは続かず、今もガザ地区の人びとは避難先で毎日イスラエル軍の攻撃に怯えている。そして、このような状況下に、今月8日国連安保理事会緊急会合が開かれ、人道的停戦を求める国連加盟国の半数を上回る約100か国によって国際法に基づく民間人の保護や、人質の即時解放を求めた決議案が提案された。しかし、安保理事国15か国の内、日本、フランス、ロシア、中国など13か国は賛成したが、イギリスは棄権をし、常任理事国アメリカが唯一反対したために、提案は否決されてしまった。この安保理事会緊急会合は、国連憲章99条に基づく事務総長の要請で開かれたもので、過去にあまり開かれた例がない。最も新しい例では、1989年のレバノン内戦にまで遡るほどである。その伝家の宝刀の国連憲章99条を踏みにじるような判断を下したアメリカには、先制攻撃を仕掛けたハマスへの制裁が含まれていないことに賛同出来ないとの考えがあるようだ。しかし、イスラエルの同盟国であるアメリカが、好戦的なイスラエル政府に配慮しているだけに過ぎない。翌9日には、国際人道法の順守を繰り返し訴えていながら思考力混乱のバイデン大統領は、国際人権団体が戦争犯罪に加担していると批判して、ガザ北部で「ハマス崩壊寸前」の最中に、イスラエル政府に武器を1億650万㌦で売却すると発表するノーテンキぶりである。

 今アメリカの存在は、その自己本位な行動と不誠実な言動で心ある国々から不信感を買っている。先月末に屋久島沖で米軍ヘリコプター・CV22オスプレイが墜落した事故にしても、海上自衛隊が墜落と発表したのに、それを認めずに米軍内の意向で不時着水と発表したり、日本が事故原因が解明されるまで一時飛行停止を求めたことに対して、墜落した機種と同じオスプレイを救助捜索に当たらせるなど理不尽な言動が多い。結局アメリカ軍は事故原因には機材の不具合の可能性があると認め、全世界でオスプレイを一時飛行停止すると発表する始末である。とにかく相手国の懸念や不安に配慮せず、すべてマイペースで関係国に迷惑をかけている有様である。

 他にも日本でアメリカ軍横田基地から発がん性の疑いのあるPFASが漏れ出していたことが発覚した。これも漏出のあったのは、2010~12年で、米軍から防衛省と東京都には伝えられていた。これを防衛省と都が米軍に忖度してそのまま伏せられてきた。これが公になったのは、何とイギリス人ジャーナリストがアメリカ政府への情報開示請求で得た文書によって、初めて日本側に知らされたというからのん気なものである。

 アメリカが絡むとロクなものにならない。イスラエルによるガザへの攻撃に反対するのではなく、逆にイスラエルに武器を供与しようというのである。世界の国々とは逆の行動に出るのが、世界第一の民主主義国と自慢するアメリカの世界一の錯覚だろうか。

 さて、日本国内では自民党安倍派所属議員による政治資金パーティのキックバックが大きな問題となり、明日の通常国会終了後に岸田首相は、政府閣僚、副大臣、政務官らの更迭を実行し、新人事を発表すると観測されている。「瓢箪から駒」と言っては語弊があるが、安倍派で1千万円の裏金を受け取りながら、収支報告書に記載しなかった点で名前の挙がった参議院自民党幹事長で、近畿大学理事長でもある世耕弘成議員が、近畿大学教職員組合から理事長辞任の要求が出され、来る21日の団体交渉で回答を求められている。他にも理事長や理事らが決めた人事や経営方針に疑念があるとして、半数以上の理事の入れ替えや、創立100周年募金活動の一時停止を求めたという。長く近畿大学で権力を揮っていた世耕理事長自身に政治的裏金疑惑があり、募金を呼び掛けるのは不誠実として、世耕理事長に厳しい対応を求めている。政治資金パーティの裏金問題が、思いがけない方向に発展してしまった。

 明後日以降に公表される政府の閣僚人事はどういう構成になるのだろうか。強い関心を抱いて発表を待ちたいと思っている。

2023年12月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5955.2023年12月11日(月) また出た裏金疑惑と片手落ちの少子化対策

 このところ連日のように自民党国会議員の政治資金パーティをめぐり還流された資金が、裏金だとしてメディアで大きく取り上げられている。現在まで明らかになったのは自民党の安倍派の幹部連6名であるが、その後衆参両院議員3名の裏金が公表された。その3人の内、大野泰正参院議員が5千万円、池田佳隆、谷川弥一両衆院議員が4千万円の高額のキックバックで、いずれも政治資金収支報告書に記載していなかった。安倍派全体の裏金の総額は、5年間で実に数億円に膨らむ見通しで、東京地検特捜部は不記載について慎重に捜査中である。議員も揃って、詳しい説明をしようとしないが、中でも悪質で傲慢な態度を示したのが、谷川議員である。再三の応答の後、質問がしつこいとでも思ったのか、「あんた頭悪いね。これ以上、言いませんと言っているじゃない」と記者を侮蔑するような言葉を吐いた。

 そして更に今日新たな裏金が明らかになった。橋本聖子・前五輪担当相が2千万円以上のキックバックを受け、収支報告書に記載しなかった疑いが持たれている。橋本議員も反省していると述べたが、他の脱税議員と同様しかるべき時に説明責任を果たしたいと語っていた。だが、それはいつのことになることやら・・・。

 さて、最近少子高齢化に伴い、子どもの数が少なくなったことから、政府は今日「異次元の少子化対策」と銘打ち、あれっと思うような方針を打ち出した。それは、2025年度から3人以上の子どもがいる多子世帯について、子ども3人の大学授業料などを無償化する案を固めた。これに所得制限は設けない。政府は6月に児童手当の拡充などを盛り込んだ少子化対策の戦略を決定し、事業費として約3兆円を考えていたが、更に6千億円を上乗せするようだ。

 この3人の子どもに対して大学の授業料を全額無償化するという案は、不意に表面化してきたような感じである。確かに子どもが3人もいれば、家計は苦しいと思うが、2人の子持ち家庭には補助金を支給せずに、1人子どもが増えたことによりすべての子どもの授業料を国が負担するというのは、公平性から考えて妥当とは言えないのではないだろうか。況してや大学の年間授業料は平均でひとり81.5万円だそうだから、4年間で326万円となり、これが子ども3人の家庭では3人が大学を卒業するまでに978万円が補助されることになる。約1千万円の学費補助を大した議論もせず決めるとは少し乱暴ではないかと思う。多子家庭を支援するのは結構である。しかし、これはあまりにも一方に偏ってはいないだろうか。もっと少額でも助けを求めている国民は、子どもを持つ家庭ばかりではなく、全国に大勢いると思う。

 少子化対策という反対し難い政策を打ち出すことによって、多額の国家支出を生み、国民の間に不公平感を生むのは、聊か考えものではないかと思い、すんなり受け入れることは出来ない。

 一番気になるのは、これほどの政策を打ち出すに当たり、これまでどの程度国会や、専門委員会などで議論し検討されたのか、分からない。メディアを通して充分伝えられていない。政府に対する批判が高まるにつれて、政府はこのようなお年玉プレゼントを多子家庭に提供しているのだ。いくら落ち目とは申せ、岸田内閣ももう少し筋の通った、不公平感のないやり方が出来ないものだろうか。

2023年12月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5954.2023年12月10日(日) 大谷翔平選手、ドジャースと史上最高額で契約

 MLBナショナル・リーグのエンジェルスからフリーエージェントとなっていた、大谷翔平選手の来年度の所属チームが漸く決まった。今シーズンの大谷選手の活躍は目覚ましく、44本のホームランを打って日本人選手として初のホームラン王に、更に指名打者最優秀選手にも選出されたうえに、二刀流の投手としても10勝をあげてMLB史上初の2年連続での2桁勝利、2桁本塁打を達成し、シーズンMVPを史上初となる2度目の満票で受賞した。連日のようにメディアが来年度はどのチームでプレーするのか、興味深く報道していたが、ウィンターミーティングが終わって大谷選手自身から移籍先が公表された。いくつか移籍の可能性のあるチームの名前が伝えられていたが、一番可能性があると見られ優勝の可能性もある、エンジェルスと同じロサンゼルスを本拠地とするドジャースに決まった。何といっても一番驚かされたのは、その膨大な契約金である。実に、10年契約で総額7億㌦(日本円で約1,015億円)とこれまでの全スポーツ選手の契約金の中でも最高額だそうである。

 北米の4大プロスポーツの中で、フットボールのNFLではチーフスと2020年に契約したマホームズ選手の10年総額4億5千万㌦が史上最高額だった。サッカー界ではアルゼンチンのメッシ選手の契約金4年で6億74百万㌦が、1年単位で比較すると大谷選手を上回るが、契約の総額では大谷選手の契約が上回り、プロスポーツ史上最大の契約になったと伝えられている。

 それにしても、日本選手が本場のアメリカで数多くのアメリカ人選手を追い越して史上最高額の契約を射止めるとは、大谷選手の実力もさることながら時代も随分変わったものである。来シーズンは、ドジャースの一員としてプレーすることになるが、「現役生活最後の日まで、ドジャースのためだけではなく、野球界全体のためにまい進したいと思う」と前向きの気持ちをSNSで発信した。

 来シーズンは、残念ながら右肘手術のために投手としては出場の可能性はなく、二刀流の活躍は望めないが、打者として今年以上の活躍をしてくれるのではないかと期待している。開幕戦は、ロサンゼルスではなく、韓国ソウルでサンディエゴ・パドレスを相手に戦うそうである。大谷選手の更なる飛躍を期待したいと思う。

 話は大分逸れるが、今高校教育の分野で密かに調査が進められている問題がある。埼玉県教育委員会が男女別学の公立高校を共学にすべきか検討を進めているという。浦和高、浦和女子高、等男女別学の名門公立校が広く知られる埼玉県は、全県で139高校の内、12校が男女別学で、その割合は8.6%であるが、全国でも3番目に多い。全国47都道府県の中で、公立の男女別学校があるのは、僅か8県にしか過ぎないという。その中で1番多いのが群馬県で、2番目が栃木県というように関東地区に男女別学の伝統校が多い。そもそも公立高校の男女別学は、戦後GHQが認めなかった筈なのに、なぜ男女別学校がこんなにあるのだろうか首を傾げたくなる。

 埼玉県でこの問題が取り上げられたのは、昨年4月に埼玉県民から「国連の女子差別撤廃条約に違反している事態は是正されるべきだ」といった苦情が県へ寄せられたことが発端である。弁護士を含む苦情処理委員会が調査を実施したが、男女別学校にはいくつかの問題点が指摘された。ひとつは、管理職や教職員の性別が、偏り過ぎていることであり、もう一点は学習科目で、男子校のみに理数系の学科が設置され、女子校だけに「家政」と「外国語」分野の学科が設置されていることが問題視された。

 実は、埼玉県では20年前にも男女別学解消を求める苦情が寄せられたことがある。苦情処理委員会はその時にも県立高校の共学化早期実現を勧告したが、一律共学化に反対する署名約27万人分が知事に提出されたそうである。検討した県教委はその時共学化の実現という結論には至らなかったと語ったが、今回教育長は社会状況の推移を踏まえ充分検討すると応えている。浦和高は伝統校であり、母校湘南高とも長年交流を重ねてきた経緯もあり、この先どうなるのか興味を持って見守りたいと思っている。

2023年12月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5953.2023年12月9日(土) 政治家たちが脱税行為「裏金」に執心

 このところ連日国会議員の政治資金パーティがメディアで大きな話題となっている。違法なキックバックが派閥への裏金となり、更に政治家個人の裏金に使われたと報道がエスカレートしている。特にずる賢いのは、裏金を受け取っていながら、はっきりと受領したことを詳しく説明しないことである。ついに今朝の朝日では一面トップ記事として、見出しも「安倍派6幹部 裏金か」、「塩谷・松野・高木・世耕・萩生田・西村の各氏」、「1千万円超~100万円」、「松野氏の交代不可避 官房長官 疑惑説明拒む」と掲出され、記事を加えて1面がすべて裏金のスペースで埋まっている。氏名の挙がった議員は、それぞれ安倍派事務総長を歴任した大物や、自民党内の要職にある人物である。

 彼らが裏金を自らの政治資金収支報告書に記載しないのは、明らかに脱税行為であり、政治資金規正法にも違反している。それを党の要職にある議員が、堂々と法を冒して何らの罪の意識もないということが理解出来ない。

 そして、国会議員たるものは率先して国家が決めた法律を順守する決意がなくては、国民を欺いていることになる。明らかに国会議員の資格に欠ける行為である。ところが、自らの犯した脱税行為の裏金受領に関して、上記に名を挙げた議員の内、誰ひとりとして納得出来る説明がなされないことである。政府の広報官である松野博一・官房長官に至っては、衆参予算委員会や記者会見でも、決まり文句の「答えは差し控えたい」と述べるに留まっている。こんな言いぐさがいつまで通ると思っているのだろうか。野党の追及に対して「語らぬ松野氏」は、「差し控える」と「適切に対応」と実に27回も同じように応えたというから、逃げ切ろうとの強い気持ちと地位への未練で頭上を台風が過ぎ去るのをひたすら待っているのだろう。流石にしびれを切らした野党から官房長官更迭論が突き付けられたが、岸田首相は否定した。だが、あまりにも問題が大きくなり、自民党内でも辞任論が広がっている。この様子では、見出しのように官房長官も辞任せざるを得ないと思う。

 さて、昨日は太平洋戦争開戦日として、つい思うままをブログに書いた。12月8日と言えば、他にも1980年の同日にあの「ビートルズ」のジョン・レノンが暴漢に銃で撃たれて亡くなった日でもあった。昨晩NHKが特集として放映した「アナザー・ストーリー~イマジン・名曲の秘密」で、レノンのヒット曲♪IMAGINE♪に関する特集を観て、私自身にとっても忘れられない記憶を呼び覚まされた。旧文部省教員海外派遣の茨城県研修団にお供して、ちょうどあの日にパリから列車で南仏のマルセイユに到着し、駅構内から外へ出た時、いくつかの人だかりがあった。号外を配っていたのだ。その号外こそがレノンが暗殺されたことを伝えたニュースだった。その時は、本当にびっくりした。街の人も心なしか驚いているような印象を受けた。♪IMAGINE♪は名曲であり、その後各国の平和に関する集まりや、反核集会などでよく唄われた。レノンとオノ・ヨーコが作詞した歌詞には、国、宗教、天国、地獄なんてない、ただ、空があり、今を生きている、みんなが平和に生き、世界はひとつになる、というような主旨で、よくぞこんな素晴らしい平和を訴える詩が生まれたものだと思う。改めて今日You tubeのプロモーション・ビデオで、♪IMAGINE♪を久しぶりに聴いた。心に沁みる。名曲である。

2023年12月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5952.2023年12月8日(金) ハワイとマレー半島で太平洋戦争始まる。

 82年前の今日、日本海軍がハワイの真珠湾を急襲し、陸軍はマレーのコタバルとタイのシンゴラに上陸して悪夢の太平洋戦争の火ぶたが切られた。当時まだ3歳だったので、当然開戦は記憶にはないが、その後父の転勤により兵庫県芦屋市へ転居した後からは、朧げに戦争の記憶がある。空襲警報のサイレンで防空壕に逃げ込んだことや、家の電灯の明かりが外へ漏れていると警戒警報の知らせをして回っていた消防団のおじさんから、母が小言を言われたことを覚えている。

 小学校(当時国民学校)へ入学した昭和20年の夏休み中に戦争は終わった。終戦直前に怖い体験もあった。入学直後に担任のお母さん先生に連れられてクラスの友だちと校外にあるお花畑へ行く途中で、アメリカの空軍機編隊に襲われそうになった。後方遥か遠くから戦闘機集団がわれわれの方へ向かって飛んできた。それが段々低く飛行し爆音も大きくなった。先生が大声で「危ない!皆さん、伏せなさい!」と両手を上下に振って地面に伏せるよう叫んだ。「危ない!」と思った瞬間、先頭の隊長機が急に機首を上げて編隊とともに飛び去って行った。多分先頭の隊長はわれわれ子どもの逃げる姿が目に入り、自分の子どもでも思い出して銃撃を止めたのではないかと思った。この怖い体験をどうしてだか家族の誰にも話さなかった。そしてまもなく終戦を迎えることになった。成人してからも戦争の怖い体験は、海外で何度か味わった。その臨場感は今でも私の身体にこびりついている。その点では、今の国会議員たちより遥かに戦争の怖さというものを知っていると自負している。

 実際今の戦後世代の国会議員が戦争や、原爆の怖さを知らないことは、いくつもの事例でも分かる。戦後日本政府は戦争の残酷さに懲りて、永久に戦争を放棄すると憲法に決めていながら、泥縄式に自己解釈と拡大解釈で憲法の精神を否定し、警察予備隊を編成し、保安隊から自衛隊へと改組して軍事力の拡大に努めた。今ではアメリカの言いなりになって、仮装敵国をイメージさせられアメリカ製武器を買わされ、敵基地攻撃能力とやらで多額の防衛費を捻出している。同時に、広島と長崎の原爆投下に懲りて核兵器使用に絶対反対の筈の日本が、核兵器禁止条約を批准せず、同条約締結国会議にオブザーバーとしても参加せずに、条約批准国から不信感を買っている。ウクライナ戦争でロシアのプーチン首相が核兵器使用を仄めかしたことに対しても強い反応を示している。戦争を恐れない国会議員らの「戦争」のイメージは、あくまで机上のゲームのようなものであり、絶対にケガをしない。だから戦争は怖くない。悲惨な目に遭わされた原爆を、先ず反対すべき立場の日本が、国家として強い反対の意思表示を避けている。すべて戦争を実体験、或いは臨場感で知らない国会議員が、防衛計画に国民の平和のためにという大前提を忘れているからである。

 さて、今朝新聞で知人の死を写真入りの訃報を見て知った。直木賞受賞者の西木正明氏が敗血症性ショックのため亡くなったという。西木氏とは、日本ペンクラブの会合で知り合ったのだが、偶々高校ラグビー部の2年後輩で、一緒にプレーした故竹内謙・元鎌倉市長が西木氏と早大探検部で一緒に活動した縁から親しくなった。そしてともに竹内氏の市長選を応援したことから、市長の死後鎌倉の東慶寺にある墓地へ彼を案内する話になったまま実現しなかった。手元の抽斗から偶然西木氏からもらった竹内氏の墓参りが出来ないことを詫びるハガキが出てきた。竹内氏は早大理工学部を出ていながらも朝日新聞の政治部三木武夫番記者として活躍していた。2人は随分気が合ったようで、今頃はあの世で10年ぶりに会い、思い切り話に花を咲かせているのではないだろうか。それにしても同年配の友人がまた逝ってしまった。実に、悲しく寂しいことである。

2023年12月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com