3841.2017年11月18日(土) ゴア元副大統領の行動を見習え!

 アメリカのアル・ゴア元副大統領が現在訪日中だが、ゴア氏は外国の政治家で尊敬する数少ないひとりである。ビル・クリントン大統領の下で副大統領を務め、その後2000年の大統領選で接戦の末惜しくもジョージ・ブッシュ大統領に敗れたことは記憶に新しい。昨年の大統領選でトランプ氏に敗れたヒラリー・クリントン氏は、獲得票数ではトランプ氏を上回っていたにも拘らず、1票でも多くの票を獲得した選挙人団がその州に割り当てられた直接選挙票の全てを獲得する勝者総取り方式により、敗者となった。ゴア氏もこの方式によりブッシュ氏に負けた。

 現在ゴア氏は環境活動家として地球温暖化抑制のため精力的な活動を行い、各国首脳に二酸化炭素ガス(CO₂)削減への協力を要請して世界各国を行脚している。2007年にはその活動に対してノーベル平和賞を授与されている。ゴア氏は安全性というより、コスト面から考えても原発から得られる電力が最も高コストであると主張している。また、日本及び安倍首相に対して、COP21でリーダーシップを発揮し、太陽光発電の導入で温暖化に貢献していると評価する一方で、インドネシアなどの途上国に対して石炭火力発電所建設を支援していることは地球温暖化に寄与すると批判している。中々日本の行動について研究しておられ厳しい指摘である。日本政府がこのごく当たり前のゴア氏の考えをどれほど聞き入れる気があるのかは分からない。私利私欲だけで動く政治家が多い時代に、将来のため、人類のため、地球保存のために懸命に行動するゴア氏のような政治家が日本にもいて欲しいと願う。

 さて、今大相撲九州場所がたけなわだが、またもや相撲界に大きな汚点が表れてしまった。現在休場中の横綱白馬富士が、場所前の鳥取巡業中に同じモンゴル出身の貴ノ岩を懇親会の席上暴行し負傷させたことが、不透明な部分も含めて問題視されている。昨日は両国国技館に遠路鳥取県警がやって来て日馬富士から事情聴取した。疑問がたくさん噴出している。事件のあったのは、先月25日深夜である。だが、26日以後も貴ノ岩は巡業に参加している。しかも今月2日に貴ノ岩サイドから鳥取県警に宛てて被害届が提出されている。貴ノ岩は12日の初日から休場している。相撲協会が事件を知ったのは、鳥取県警から連絡があった時で、協会の巡業部長でもある貴ノ岩の師匠の貴乃花親方は協会にこの件について何の報告もしなかった。関係者にはおかしい点がいくつもあるが、中でも貴乃花親方の事件発生以来の行動には疑問が多く、これが事件を分からなくさせ、協会内の動きをこじらせて一歩遅れた対応の原因になったのではないかと思う。

 相撲界はこれまでも度々不祥事を起こし、その都度反省の言葉が繰り返されるが、「のど元過ぎれば熱さを忘れる」の類で、時が経つと再び繰り返される体たらくである。この事件もいろいろな問題が複雑に絡んでいて、単なる暴行事件だけではなさそうである。それにしてもいつも危なっかしい行動ばかりで、相撲協会内でも人望のない貴乃花がその中心にいるようでは、今後まだまだ一波乱も二波乱もありそうだ。

2017年11月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3840.2017年11月17日(金) あれ?受動喫煙防止を緩和する厚労省案

 受動喫煙による健康被害を防止する喫煙対策を強化する健康増進法の改正に取り組んでいた厚生労働省が、主旨を大幅に後退させ飲食店の喫煙を緩和する案を検討していることが分かった。2020年東京オリンピック開催に当り、IOCからもレストランなどにおける喫煙について注文がつき、それを受けて厚労省は対策を検討していたと思った。それが、自民党内の葉タバコ農家を中心とする農業従事者や、JT(日本たばこ産業)関係者らタバコ販売が減少することを懸念した業者らの支援を受けた自民党議員らが反対して当初案があっさり後退してしまった。

 これまで厳しい受動喫煙対策を考えていた塩崎恭久厚労相が、8月第3次安倍内閣改造により閣外に去ったことが大きく響いた。改正は、床面積30㎡以下のバーやスナックのみ喫煙を認める当初案から、同150㎡以下の飲食店の喫煙を認める案に大きく後退してしまった。新規店舗や大手資本の店は喫煙を認めないというのも言い訳のような気がする。塩崎前大臣のようなこう硬骨漢がいないと、こういう利害関係が絡む事案は政府が意図する方向に引き摺られてしまう。小池都知事は、東京都は30㎡以下のバーなどを除いて飲食店は原則禁止とする独自の条例案を検討するという。全国がん患者団体連合会理事長と日本禁煙学会理事長は、この案では受動喫煙を防げないとがっかりしている。政治家らの利己的な考えからこういう本質的な問題を誤魔化し、喫煙による悪影響を倍加させている。情けないことである。

 さて、今朝の朝日新聞の隅っこに「千畝氏妻の遺言『有効』確定」との記事が掲載されていた。今執筆中の9月のアウシュヴィッツ収容所訪問記に関連して、その中で「命のビザ」を発給した杉原千畝・元リトアニア・カウナス領事代理についても触れている。記事は私が書いた内容にも関連するもので、先ごろ杉原の遺品について妻の遺言が有効かどうかが争われていた件である。週刊新潮16.12.1付では地裁で妻の遺言が無効とされたと書かれていたが、この記事では上告審で有効と判断され、一応の決着がついた。それにしても杉原千畝の功績を考えると家族内で骨肉の争いのようなドロドロした話は杉原のレガシーに傷をつけるように感じて、あまり後味が良くない。これで一件落着にでもしないと、リトアニアで敬愛され、顕彰碑まである杉原千畝の功績を汚すようなことにならないか心配である。

2017年11月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3839.2017年11月16日(木) ジンバブエで軍事クーデターか?

 世界でも最高齢の支配者と言われている93歳のジンバブエのムガベ大統領が、実質的な軍部クーデターにより自宅軟禁の状態にある。年齢から考えても肉体的には大分弱っているように見えるが、長年権力を握っているとおいそれとは他人にその権力を手渡したくないようだ。

 1980年イギリスから独立して以来、首相、大統領と権力を独り占めにして国を支配してきた。良かれと思って実施した農民のための農地改革は、白人農場主から農地を強引に接収したやり方がまずかったようで、これに猛反発した欧米諸国が経済制裁を実施して主産業の農業が一気に崩壊した。テレビを観ていて驚いたのは、天文学的なインフレにより一時200億%の上昇率でインフレが昂進し、国民が大きな札束をいくつも持っている姿を目にしたことである。これからこの貧しい国はどうなるのだろう。立派なジンバブエ国大使館がわが家の目と鼻の先にあるので親しみがある国であるし、25年前に南アフリカのヴィクトリアの滝を訪れた時にも国境の橋を歩いてジンバブエへ渡ったことを想い出す。そんな素朴な国が1人の独裁者の権力欲により、国を惑わせてしまったようだ。当分気になるニュースである。

 さて、10日の本欄に取り上げた新税「出国税」について、政府・与党は2019年1月か4月の導入を本格的に検討しているらしい。その名称も「観光促進税」と呼ぶそうだが、何を以ってこういうふざけた名称にするのか首を傾げたくなる。普通の感覚では、新たに税を課せられれば拒絶反応が表れ、身を引くものだ。つまり促進にはならないと思う。それが、政府役人どもには分からないのだから、どこまで本気になって国民の気持ちを「忖度」したのか疑問である。

 取れるところから取る。こんな安直な考えで課税するのなら旅行者にとっては堪ったものではない。納税者の気持ちがまったく分かっていない。昔から旅行業や観光業は、良いにつけ悪しきにつけ役人に苛められ狙われていた。観光は生活になくてはならないものではないから国家経済にとっては斟酌するには当たらないというのがこれまでの本音である。まだ、国家財政が酷かったころ、海外旅行は財政的に無駄との考えで、引き締めばかり注力し、海外旅行者は国家財政の無駄遣いをしていると公言していた。外貨持ち出しにしても極力多額を持ち出さないようブレーキをかけていた。それがどうだろう。訪日外国人観光客が増え外貨が入るようになるに従い、旅行業並びに観光業は国家にとって重要事業と言い出し、それにも拘わらず、それまで地道にインバウンド業の拡充に努力していた旅行業界の頭上で何事も決めている状態である。自分たちが路線を敷いたから旅行業が軌道に乗ったと言わんばかりの傲慢さである。

 日本人のみならず、すべての日本出国者から1人当たり千円を巻き上げようとの謀略により、年間ほぼ400億円を手に入れる腹積もりのようだが、トランプ大統領の娘イヴァンカさんの活動にポンと50億円を投資するような感覚で新税で得た収入をドブに捨てるような消費はやらないでほしいものである。

 いずれにせよ役人のずる賢いアイディアを簡単に引き受け、法案を成立させる政府には、分かりましたなんて素直に納得出来るわけがない。

2017年11月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3838.2017年11月15日(水) 疑念の加計学園獣医学部、来年4月開学

 やっぱりそうかというのが、国民のほとんどの受け止め方であろう。長々と世間を賑わせていた愛媛県今治市に建設中の加計学園・岡山理科大学獣医学部開学認可の件である。これまでも加計孝太郎理事長と安倍首相との親密な友人関係から、国家戦略特区構想の一環として甘い審査基準の下に開学が認められるだろうと予想はされていた。官邸周辺や文科省役人の首相への忖度によりことは現実となった。疑念はあちこちから噴出している。来年4月に開学のようだが、教えるべき教員は賄えるのか。教育水準は維持出来るのか。全国の大学獣医学部の中でも最も学生数が多くなりそうだが、教えるべき教員は定年を迎えた教員を全国からかき集めているという噂である。最も懸念しているのが、内部の加計学園職員だというから本当に大丈夫だろうかと不安ばかりが先立つ。

 これだけ世間を騒がせていながら、安倍首相は自分は加計学園獣医学部新設にまったく関与していないと白を切るし、本来なら国会の証人喚問に呼ばれても当然と思える加計理事長が、公の場に一切顔を出さないというのもおかしな話である。

 こうして霧と闇の中を加計学園「忖度」獣医学部は来年4月開学される。果たして入学しようという学生はどれほどいるのだろうか。

 さて、今日は本年度駒沢大学公開講座の最終日で、いつも通り2時限の講座を聴講した。先週「体験的ジャーナリズム論」の山田克講師から、ロシア革命の新聞コピーをいただき、随分参考にさせてもらったが、今日もまた盧溝橋事件、日中戦争、南京入城、大東亜戦争開戦、同終戦の他に、終戦の年1945年4月に脳溢血で亡くなったルーズヴェルト大統領の死亡記事が興味深かった。

 敗戦間近の日本が戦局で追い詰められていたこともあり、各新聞の見出しや著名人のコメントには冷静さが欠けているように思える。鈴木貫太郎首相が同盟通信を通して発表した談話は「米国民の損失、深甚なる哀悼の意」と礼を失しないものだったが、朝日は「世界動乱の最大責任者」、毎日は「米帝の権化に天誅」とまるで帝国軍事新聞の書きようである。朝日記事には「国民は何かしら小気味よさを感じる」とあり、野村吉三郎大将の如きは、「ホワイト・ハウスに行ってルーズヴェルトの部屋に入ったら棺桶が据えてあった。副官のいうにはルーズヴェルトがこの中に入っているといった。これは夢が的中したわけだ」と数日前に見た夢が現実になったと子どものように得意になっている。

 戦時中の日本のお偉方がこの程度の知性だったとは情けなくなってくる。ルーズヴェルト大統領は在職中亡くなられたわけだが、1932年から亡くなった45年まで実に4期に亘って大統領の職に就いていたとは初めて知った。

 古紙にいろいろ教えてもらった。

2017年11月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3837.2017年11月14日(火) 小池百合子都知事、「希望の党」代表を辞任

 新党「希望の党」を起ち上げて代表の座に収まっていた小池百合子・東京都知事が代表を辞任した。結党、代表就任からまだ2カ月も経っていない。都知事選、都議会選と圧倒的な勝利を収めて、いずれ日本初の女性首相の座を狙っているのではないかと噂されるほどムードは高まっていた。それについ溺らされたのか、突然の新党創設と新進党との合流に際して、強気な言動を弄したことから一部で顰蹙を買い、先の衆議院議員選挙では、新党は票数を伸ばせず、熱気はすっかり萎んでしまった。昨日行われた都内葛飾区議選でも、小池知事の母体である「都民ファーストの会」から5名立候補したが、僅か1名しか当選しなかった。

 落ち目になった小池知事は、希望の党の代表を辞めて都政に専念すると語った。自ら新党を起ち上げていながら、評価が下がり始めるや簡単に放り出す。無責任も甚だしい。世間を舐めている。これからはあまりあちこち色目を使わず、目の前にある懸案事項、特に豊洲市場移転問題や、3年後の東京オリンピックの準備に本腰を入れてもらいたいと思う。

 さて、昨日午後韓国と北朝鮮の境界である板門店で、ひとりの北朝鮮兵士が突如脱走し韓国側へ亡命した。直後に北側から銃撃され負傷して、ソウル市内の病院で手当てを受けているが意識不明の状態だという。国境線を超えて亡命を求めてきた北朝鮮兵士や、住民はこれまでにもいるが、韓国兵と北朝鮮兵が特別警戒する国境の中央部を正面突破するとは驚いた。いろいろな憶測が囁かれているが、将来に失望した北朝鮮兵がついに逃げ出した経緯から考えて、何か北朝鮮側に悲劇的な事態を予想させることが起きている可能性もある。脱走兵が回復したらはっきりしたことが判明するだろう。それにしても朝鮮半島は穏やかではない。

 今日大相撲九州場所は3日目を迎えたが、昨日まで2連敗だった横綱日馬富士が休場した。先場所逆転優勝した余勢を駆って今場所も行けるかと思っていたところ、とんでもないスキャンダルで休場させられたというのが真相のようだ。

 横綱は場所前の先月鳥取県で巡業中に、同じモンゴル出身の幕内力士・貴ノ岩に暴行して負傷させ貴ノ岩は初日から休んでいる。警察に被害届を出しているというからこのままでは収まらないだろう。かつて現役活躍中だった同じモンゴル出身の横綱朝青龍も暴力事件で相撲界を去ったが、下手をすると日馬富士も同じ運命を辿ることになる。どうも相撲は強くても傷害事件を起こすようなことでは困る。相撲協会のお裁きはどうなるだろうか。

 同じスポーツでも海外でも大きな話題があった。強豪イタリアのサッカー代表チームが、スウェーデン戦に2試合合計で敗れ来年のロシア・ワールドカップに出場出来ないことが分かった。過去に4回優勝、14大会連続出場の強豪国が、日本も出場する最高の大会に出られないとは少々気の毒でもある。イタリアのサッカーは日本でも人気が高く、選手も憧れてイタリア・チームに加入出来ることを楽しみにプレイしている。サッカー界の今年最大の番狂わせだろう。

 こういう番狂わせが起きることがスポーツの楽しみでもある。はてさて次の番狂わせは何だろうか。

2017年11月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3836.2017年11月13日(月) 古代史上の時代区分に「チバニアン」

 今日びっくりするようなニュースがあった。千葉県市原市の養老渓谷を中心に地質調査の結果、その存在を確認したとするラテン語で「千葉時代」を意味する「チバニアン」という世界史の時代区分を組み込む答申を国際地質科学連合へ提出し、うまくすれば来年認められて、歴史上77万年~12.6万年前を「チバニアン」時代と呼ぶことが決定される。そうなると世界中すべての年表、教科書に「チバニアン」の名称が掲載されることになる。「チバ」が評価され名が上がることに森田健作・県知事を始め地元民は大喜びである。

 その他にも地球の南北の地磁気が時を経ると逆転するということにも驚いた。過去360万年で11回も南北が入れ替わっているという。自然にはまだまだ未知で不思議な事象がたくさんあるようだ。

 養老渓谷は高校時代に幕張小学校のクラスメートとともに、訪れたことがある。渓谷の両岸の岩が粘土質のように感じたので珍しいと思ったが、そういう場所がこんな世界的な事象に結びつくとは驚きである。あの時誘われて熟慮の末行って良かったと思っている

 さて、昨日から大相撲九州場所が始まったが、スポーツの秋到来というところだろうか、プロ野球はオフ・シーズン入りしたが、各種の国際大会、国内大会も花盛りである。

 このところ目を見張るような活躍をしているのが、スピード・スケート女子である。オランダのヘーレンフェインで開催されているスピード・スケート世界選手権種目別レースの500m、1000m、1500mの他に団体パシュートに続き、平昌大会から正式種目になるマススタートでも金メダルを獲得した。大したものである。男子があまりパッとしない中でそれを補うように女子がこれほどの活躍をするのは、頼もしい限りである。元来スケートは北欧諸国の独壇場だったが、近年中国や韓国のアジア選手が活躍するようになった。冬のスポーツとしては、女子スキー・ジャンプの高梨沙羅選手が目立っているうえに、男子ジャンプのソチ五輪で銅メダルを獲得した葛西紀明選手が連続8回目のオリンピック出場を目指している。だが、比較的水準の高かったフィギュア・スケートが、少々心配になって来た。ソチ五輪で金メダルに輝いた男子の羽生弓弦選手が、先日練習中に負傷して開催まで残り90日を切った平昌五輪までに立ち直れるか気になるところである。女子は浅田真央選手が引退して、日本人選手は最近の国際大会ではあまり芳しい成績を上げていない。

 その他にもワールドツアー・ドイツオープン女子卓球のダブルスで17歳コンビが初優勝を遂げたり、ブルガリアで行われているトランポリン世界選手権で日本女子選手として史上初めてメダル(銀)を獲得した。

 これから冬のスポーツは来年2月の平昌五輪目指して総仕上げに入ることだろう。国民を勇気づけてくれるスポーツ選手の活躍を期待したいと思う。

2017年11月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3835.2017年11月12日(日) トランプ大統領の自由気ままな経済外交

 今ベトナム・ダナンで開催中のアジア太平洋経済協力会議(APEC)出席のためダナン滞在中のアメリカのトランプ大統領が妙に機嫌が好い。中国訪問前に懸念されていた習近平国家主席との話し合いで一応の成果を挙げられたからであろう。航空機を主に28兆円もの取引をやったというからその笑顔も頷ける。よほど中国との関係を気にしていたと見え、中国と習主席をヨイショすること夥しい。習主席は毛沢東以上と言ってみたり、習主席が太平洋をアメリカと二分するような発言をしても黙認したり、これまでの日本や韓国に対する姿勢を格下げするような態度を示している。

 そこで今朝のTBS「サンデー・モーニング」を観ていると、寺島寿郎氏や他のコメンテーターもトランプ大統領の一連の行動についてそれぞれ発言していた。

 冒頭寺島氏が、強調していたのはどこの国を訪問しているのかということと、政府はアメリカの我儘をそのまま受け入れているということだった。

 例えば、これまでの国賓なら特別専用機で羽田空港に到着して、日本の要人が出迎えるのが慣例だったが、今回は特別機‘Air Force One’は、日本の空港ではなくアメリカが施政権を有している横田米軍基地だったことと、霞が関界隈の官庁や、首相官邸を訪れることなく、迎賓館と霞が関ゴルフ場、それに宿泊ホテルの帝国ホテルと銀座周辺のレストランだけだった。他のコメンテーターは、横田基地は日本ではないし、基地内で米軍兵士と会食したことなど少々アブノーマルではないかということを指摘していた。タイトな日程の中で果たしてゴルフに時間をかけるだけの意味はあったのだろうかということも気になった。

 すべてに型破りの大統領だが、各国が知恵を出し合ってまとめようとしていたTPPにしても大統領就任直後に脱退を発表したり、パリ協定の地球温暖化CO2ガス削減問題では、150カ国が加盟し、長い時間をかけてまとめた約束を、‘America First’とばかり、いとも簡単に脱退するのは、世界のリーダーとしてはいかがなものだろうか。

 APECでは、自由貿易を主張する多くの国々に対し、自由の盟主とされてきたアメリカが今では、保守主義を唱えて2国間貿易を主導しようとしている。そんな大統領の言動は、太平洋経済圏に大きな陰を落としている。各国からのアメリカへの批判が相次いでいるが、安倍首相もせいぜいトランプの軽薄な‘America First’ の口車だけには乗らないよう気をつけてもらいたいものである。

2017年11月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3834.2017年11月11日(土) 波紋を広げる習近平主席の発言

 トランプ旋風が日本から韓国、中国を通り今ベトナムに留まっている。それぞれの国で最恵国待遇を受け、特に中国では皇帝並みの待遇だったと報道されている。その中国では北朝鮮への圧力を主に、米中貿易不均衡問題が話し合われた。しかしながら、トランプ大統領と習近平国家主席の合意には、微妙な温度差が見られた。北朝鮮への圧力では、トランプ大統領は安倍首相と同じく、制裁の強化を力説していたが、習主席は話し合いと対話を重視して相互の手法にはズレがあった。ただ、ことは大袈裟にはせず、貿易問題では中国が航空機を中心にアメリカから28兆円もの大型買い付けを確約してトランプ大統領の意向に沿う対応をしたようだ。これで事前に中国に対してきつい言葉で批判していたが、トランプ大統領は怒りの気持ちを鉾に収めてしまったようだ。

 むしろ共同記者会見の場で、習主席が「太平洋には中国とアメリカを受け入れる充分な空間がある」と本音を話したことに対して、河野太郎外相が「中国は太平洋と接していない」と不快感を示した。同時に「太平洋と接しているのは日本だ。米中で太平洋を云々ということにはならない」と述べた。河野外相が向きになって不快感を露わにしたのは、最近の中国の南シナ海への海洋進出が念頭にあり、これを認めれば、中国は南シナ海、日本海を無視して航行し太平洋に進出すると受け止めていると見られている。

 河野外相の発言には、昨今の中国の傍若無人な行動に手を焼いている周辺各国の声を代弁した節もある。今や経済発展をバックに怖いもの知らずとなった中国の今後の出方が懸念されている。河野外相の発言は子どもっぽいと受け取られる一面があるかも知れないが、相手が相手だけに、お灸をすえる意味でもタイムリーだったと思う。

2017年11月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3833.2017年11月10日(金) 納得し難い「出国税」新設

 役人がまたロクでもないことを考えている。一度話題になったが、いつの間にやら消えて安心していた「出国税」という新税設置を観光庁がまたぞろ持ち出してきた。日本からの出国者は、日本人や外国人に拘わらず一律に千円を課税しようというのである。何の根拠もない単なる思い付きだけで、有識者会議が急増する訪日客をさらに呼び込むための観光振興策に充てるとの言い分である。「日本のプロモーション強化や出入国手続きの円滑化」のためという抽象的な理由をつけ、取りやすいところから取るというずる賢い発想が垣間見える。これまでなかった、いわゆる新税を設置しようというのだから国民に納得の行くように論議を尽くし、国会で充分審議して国民にも分かり易く説明して法律改正によって徴税するというのなら理解も出来るが、あまりにも一方的なやらずぶったくり手法で召し上げるというのは、民主国家にあっていかがなものかと思う。

 しかも、この新税については首相官邸筋から声があったようで、このところ1強の安倍政権の傲慢なやり方は些か常軌を逸している。この他にも教育無償化を柱とした2兆円規模の支出のうち、3千億円を経団連榊原会長に拠出をお願いした件で、意思決定の在り方がおかしいと小泉進次郎自民党筆頭副幹事長が政権批判を行っていた。どうも物事の決定に対する安易な姿勢が心配である。観光庁の特定財源になって民間企業の流動資産のような使い方をされたのでは、国民は堪ったものではない。

 ともかく国税を決めるのに、先に結論ありきのまま非公開の有識者会議で2カ月そこらの短期間に決めてしまうのは、あまりにも拙速である。

 2016年の出国者数が約4千万人で、ひとり当たり千円徴収すれば約4百億円の財源になると観光庁が決めたとするなら不届き千万である。こういう安直な姿勢では、今後も簡単に再値上げや、他の官庁でも新たな課税を真似する動きが出ないとも限らない。どうも役人が勝手に仕切って官邸に忖度しているように思えて仕方がない。

 大体「日本のプロモーション強化や出入国手続きの円滑化」に協力するなんて文言で、千円も払おうという気持ちになる出国者がどれほどいるだろうか。メディアも派手な話題ばかり追わずにこういう「目くらまし」のような事件もどんどん追及して欲しいものである。

2017年11月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3832.2017年11月9日(木) 日本史時代区分の変更提起

 朝日新聞朝刊の「異議あり」欄に、中世史家の保立道久・東大名誉教授が日本史の時代区分についてその問題点を挙げ、新たに持論を提起している。これまで学んできた日本史の時代区分に新たな見方で異論を唱えて大変興味深いが、あまりにも唐突なお説に少々戸惑っている。

 その大きな変更は、ヨーロッパ史や中国史と同様に時代を地名の表示から為政者の名に変えようという主旨で、まず王権により時代を区分するという。これまでの表示でとりわけ象徴的だった飛鳥、奈良、平安、鎌倉、室町、江戸などの懐古的な名前を大和、山城、北条、織豊、徳川に変えるということに驚いている。最も違和感のあるのは、文化的なイメージのある飛鳥、平安、安土桃山など詩的な名称をまったく無くしてしまうことである。数々の格調高い芸術を生んだ安土桃山時代は信長、秀吉が活躍した武闘的な織豊時代に変わる。平安時代については、784年に長岡(現長岡京)へ遷都して、その10年後の794年平安時代が始まったと言われているようだが、当時直ぐに再遷都して左京・右京を持つ平安京を作ろうとした。だが、右京に住む王族・貴族が激しい政争で没落し、右京は荒れ果てて平安京はなくなり、むしろ大津、宇治、大山崎を結んだ「山城京」を拠点として王権がスタートしたとする説を取った。これが山城時代と名付ける根拠だそうである。鎌倉時代についても征夷大将軍となった頼朝より、承久の変でクーデターを起こした後鳥羽上皇を追放し覇権を握った北条の方が実質的なリーダーだったという史実を採用したからであるという。従って北条時代の幕開けは、承久の変が起きた1221年を提起している。

 これだけでは些か抵抗があるが、ひとつの提案として歴史学会辺りで議論して意思統一したうえで、文科省の承認の下で更に分かり易い解説をして欲しい。ともかく「エッ?」となり、目から鱗とでも言えるような新説でもある。

 昨日駒沢大学公開講座で共同通信社の山田克講師が、外国及び国内通信社について何度目かの講義をされたが、いただいた古い朝日と信濃毎日新聞の記事コピー資料の中に世界史的な事件があり貴重なものだった。ひとつは、1914年7月に勃発した第1次世界大戦開戦速報である。「墺塞愈々開戦」と勇ましい見出しがある。2番目は第1次大戦終戦のニュースである。3番目は今年100年目を迎えた17年11月7日発生のロシアの10月革命成功の情報で「冬宮遂に降伏す」とか、「ケ首相姿を晦ます」とある。次いで31年9月18日勃発した柳条湖事件である。

 今年はメディアでもロシア革命に関心があり、ちょうどボルシェビキがケレンスキー政権を倒した100年前の当日に当る一昨日、ロシア各地でロシア革命賛成と反対の集会やデモが行われていた。プーチン大統領は、12年前にロシアの祭日からこの建国記念日を削除したこともあり、革命に対して評価する態度は取らない。だが、厳然たる歴史上の事件として、またそれ以降旧ロシアが革命を下地に社会主義体制を維持してきただけに、その郷愁もあり革命を評価するロシア人は約6割もいるといわれる。18~24歳の若者は7割強が革命派である。プーチン大統領は、次の選挙で再選を狙い、憲法改正によって更に大統領の座に居座ろうと考えているようだ。それが余計に国民を革命派に向かわせている。

 今日講座終了後桜新町の天麩羅店「花むら」で講師を囲み、会食による懇親会を行った。

2017年11月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com