日本ペンクラブ理事会、そしてその後例会が神田・如水会館で開かれた。例会では多くの知人とペンクラブの将来について話し合った。だが、どうしてだか分からないが、あまり明るい話にならない。沸々として明るい希望を抱かせるような前向きな気持ちにはなれない。組織の在り方に解決すべき問題が多いからだと思う。ペンクラブを本来の言論・表現の自由を守り抜く砦としてどう機能させて行くのか、難しいところだ。一理事として、また一財務委員として何とかペンの将来にとってプラスになるよう力を尽くしたいと思っている。
さて、朝から晩まで各テレビ局は昨日のオリンピック・メダリストを現地スタジオに呼んで、インタビューしながら、苦労話を聞いたり夢を語らせたり、同じような趣向でエンタメ番組は花盛りである。新聞も第一面がメダリストの記事で埋め尽くされている。天下泰平といったらこんな現象を言うのだろうか。
これでうっかりしていると世界の情報や動静から置いてきぼりになる。一番驚いたのは、アメリカが好景気を背景にトランプ人気の下げ止まりと思いきや、18年10月から19年9月までの2019年度会計年度の予算教書によると、財政赤字が想定の倍近くに膨らむ見通しとなったことである。最大の支出はインフラ投資であり、加えて国防費の増大、更にメキシコとの国境に壁を建設する費用が大きい。その一方で、減税、そしてオバマケアと言われた高齢者向けの医療費など社会保障費の削減を行う。これでは財源がとても足りず、国債を発行して賄う。世界の経済は良くも悪くもアメリカの影響を受ける。国債のだぶつきから金利上昇につながり、株安につながり市場が動揺する懸念がある。いずれ世界経済に影響が表れないか些か気になる。
そのアメリカ・フロリダ州の高校でまた銃乱射事件が起き、在校生17人が死亡した。今年だけですでに学校内の発砲事件は18件目だという。事件発生は昨年10月ラスベガスで58人が殺害された史上最悪の銃乱射事件以来で、アメリカ社会の深刻さを浮き彫りにしている。こういう残酷な事件を防ぐための唯一で確実な対策は、銃規制しかない。自由に銃を保持することを法律で禁止すれば間違いなく問題は解決する。だが、それが出来ないのがアメリカ社会の弱いところであり、アメリカ人の良識のないところである。いつになったら銃のない社会が出来るのだろうか。
この報に接してトランプ大統領は、学校で危険を感じるような事態があってはならないと他人事のように話して、銃規制についてはまったく語らなかった。大統領自身銃規制に反対だからである。大統領がこんな考えでいるようでは、アメリカ社会ではこれからも残虐な銃乱射事件が止むことはないだろう。