4137.2018年9月10日(月) 大自然災害で考えたこと

 6日起きた北海道大地震の犠牲者が40名と公表された。都会ならともかく、こう言っては失礼かも知れないが、山村のような厚真町で36名もの犠牲者をだしたというのは自治体と地震学会に一部の責任があると思う。というのは、地震の全体像を空から見ると町の近くの山々はほとんど土砂崩壊を起こしている。なぜそうなったのか。地盤が砂、及び軽石から成っていて地下は柔らかく、雨が降れば地下へ浸み込み、徐々に土壌をもろくしてしまう。今度の地震ではそれほど多くない山裾の民家が軒並み直撃を受けた。どうして早くからそんな危険な状態のままにして民家を移転させることを考えなかったのだろうか。

 今になって地震学者もその危険性について述べているが、これまで事故がなかったからと言って、こういう重要なことを放置していたのは行政の怠慢と言えるのではないだろうか。

 これは西日本豪雨で被害を受けた広島市についても同じようなことがいえる。2014年大規模な「広島土砂災害」の折、山岳寄りの広島市内の地域で山上から下ってきた豪雨によって多くの家屋が直撃を受けた。その後ハザードマップも作成され、今回の豪雨はハザードマップの通り、襲ってきた。まったく役立っていないのである。この度の西日本豪雨でも同じ地域で同じような大災害を生んでいる。数年前広島はどうして豪雨被害を防止するための措置を取らなかったのか。明らかに行政と学会との連携が機能していないことと、自治体が住民のことを真剣に考えていないことがその原因である。

 北海道大地震については、今電力供給が大きな問題となり、政府、北海道電力が企業や住民にしきりに節電を訴えている。発電能力が一応充足されていても需給のバランスとか、地域性で万全な電力供給あ出来るとは言えない。こんなことは、東日本大震災の折にも取り上げられなかった。何か全体を捉える視点がずれているように思えてならない。日ごろから関係者が国民のことをあまり考えていない証拠ではないだろうか。

2018年9月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4136.2018年9月9日(日) 大坂なおみ選手、全米オープン初優勝

 久しぶりに日本人選手がどでかいことをやってくれた。テニス世界4大大会、グランドスラムのひとつ、全米オープン・シングルス決勝で20歳の大坂なおみ選手がアメリカのセリーナ・ウイリアムズ選手をストレートで破り、シングルとしては男女を通じて日本人選手として初めて栄冠を手にした。

 相手選手セリーナが4大大会で通算23度の優勝の栄冠に輝く36歳のレジェンドであり、加えて今回は結婚して、昨年出産したばかりという話題も手伝ってそのレジェンドに対する若手の挑戦という意味でも注目されていた。ただ、この決勝戦はセリーナがスタンドからコーチの指導を受けたと主審がセリーナに注意したところ、興奮したセリーナが逆に「ウソツキ」「謝れ」と言ったことに対して主審はペナルティを課した。更にラケットをコート上に叩きつけたりしてまた注意されていた。試合はいらいらしたセリーナの思い通りに行かず、うっぷんが溜まっていたせいもあり、セリーナ・ファンの多いスタンドからブーイングがあって全米大会決勝戦らしからぬ険悪な雰囲気だったらしい。そんなこともあり、極めて後味の悪いゲームとなってしまった。

 しかし、大坂選手の活躍は見事だった。戦った7試合で落としたセットはたった1度だけで、他はすべてストレート勝ちだった。アメリカでも若い大坂が勝ったことに注目と関心が高まっているようで、今後世界テニス界の若手ホープとして脚光を浴びるようになるだろう。彼女が次に参加するトーナメントは、何と今月立川市で行われる東レパン・パシフィック・トーナメントである。

 さて、今日9月9日は、古来中國では「重陽の節句」として知られている。親しくさせていただいている小中陽太郎さんは、昭和9年9月9日生まれで「重陽」にあやかって「陽太郎」と名付けられたと仰っていた。そう言えば、毛沢東が亡くなったのも1976年の今日だった。旧文部省の教員視察団とともにアメリカへ旅立とうとしていた当日羽田空港で唐突にその死を知らされ驚いたことがある。

 今日は北朝鮮が建国70周年を記念する「建国記念日」でもある。毎年のようにこの日に大陸間弾道ミサイルを打ち上げて世界を驚かせていたが、去る6月の米朝首脳会談で非核化が論点となったこともあり、今年は式典に重点を置く「建国記念日」となったようだ。今日の軍事パレードでは、昨年まで見せつけるように運ばれていた核弾道弾運送トラックが今年は見られなかった。しかし、今年の建国記念式典は北朝鮮の期待に反して、各国首脳がほとんど欠席した。常に北朝鮮の背後にいる中国からは無名の党委員会委員長が出席したが、他国からは大物政治家は出席しなかったようだ。大分様子が変わってきた。

2018年9月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4135.2018年9月8日(土) トランプ大統領の言動に要注意

 世界中の嫌われ者、アメリカのトランプ大統領がまた中国に対して対米輸入品に強硬な関税上乗せ措置を発表した。直接的には中国に対する高関税措置だが、今では相手構わずのやり方で中国に対してはこれが第4段階目である。先日来対カナダ貿易でカナダに対して厳しい要求をしていたがまとまらず、脅しの手法で同盟国のカナダを一番手に、次いで日本をやり玉に挙げている。

 日本はこれまで安倍首相とトランプ大統領の親密な関係から、対米関係ではほとんど問題はないとされていたが、わがままなトランプは日本も標的にし始めた。

 一方で、トランプ大統領は国内でもまたまた物議を醸している。政権幹部が匿名で書いた大統領批判記事が先日「ニューヨーク・タイムズ」紙に掲載されたことに対して怒り、筆者を特定するための司法省に指示を出した。大統領は筆者の寄稿を国家安全保障上の問題と指摘しているが、司法省は判断は難しいと考えている。その理由としてアメリカの憲法が、言論の自由がアメリカ国民を守っていると考えているからである。

 いずれにせよ、国内外に対して静かな池へ石を投げて波紋を投じたり、罪もない人を貶めたり、一方的にアメリカの言い分を外国に押し付けようとしたり、あらゆる面で大統領の言動を評価する人は世界にも数少ないと思う。それでもトランプ大統領のわがままを抑えきれないのは、アメリカ国民とアメリカの憲法にも問題があると思う。

 それと同時に、日本政府も従属的な対米関係を対等なものにするため、また不平等な日米安保条約や日米地位協定の改定へ向け、もっと日本の立場と言い分をアメリカに伝えて真の互恵協定を提携するよう努力するべきである。今のままだと、トランプ大統領とアメリカの身勝手な主張を押し付けられ、いずれ煮え湯を飲まされることは火を見るより明らかである。

2018年9月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4134.2018年9月7日(金) 北海道地震の後遺症が心配である。

 昨日の北海道地震は衝撃的だった。道内が停電、断水に加えて交通手段の航空機と鉄道がすべて運休になって、生活者にとってはあまりにも厳しい自然災害だった。今日もテレビで復旧作業の様子を細かく映していたが、山崩れを起こした山並みの様子と震源地近くの液状化現象が少々異常である。

 新聞写真で見ても震源地周辺の連なる山並みの山崩れは信じられないほど同じ光景が山頂近くに見られる。くずれた土砂は谷間を縫って流れ出し、一部は住宅を破壊することになる。どうも土質が柔らかいようで、水分を多く含んだ土壌が住宅地で液状化現象になって表れているようだ。

 航空機は運休が続いているが、JR北海道新幹線は上下線とも復旧した。北海道が孤立状態になって小樽港からフェリーで帰京した旅行者がホッとした顔で地獄図を話していた。停電となっていた電力も半分ほど復旧したようだ。全面復旧にはまだ1週間以上必要なようである。北海道にはこれから雨が降ると予報が出ており、しかも何日か続くそうだから心配である。地盤が大分緩んでいるところへまた雨が降れば、再び液状化現象が起きる可能性が高い。まだまだ気を許せないようだ。

 住民がこの苦難に挫けることなく、再生へ向けて進んで欲しい。

 この地震のせいで、今日告示された自民党総裁選挙も影響を考慮して3日間選挙活動を自粛することを申し合わせた。投開票は20日に行われる。総裁3期目に臨む安倍首相と石破茂元幹事長の一騎打ちになる。国会議員票では圧倒的に首相有利であるが、自民党員票は石破氏が有利とされている。ただ、議員票については主要派閥は安倍首相を支持すると公表したが、政策、実力、人間性よりもポスト安倍を意識した派閥力学によって首相に近寄ったというのが、一般的な見方である。どちらが制しても日本の次の総理大臣になる。だが、6年間首相の座にいる安倍首相には、森友、加計学園問題で見られるように後ろめたさが付いて離れない。その点を突いたのが、石破氏のモットー「正直」「公正」だろう。清潔さという点では石破氏の方がすっきりしているが、所詮同じ穴のムジナである。奇妙な仕掛けだけは慎んでもらいたいものである。

2018年9月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4133.2018年9月6日(木) 北海道で震度7の大地震発生

 今朝起きてテレビニュースを観てびっくりした。夜中の3時過ぎに北海道南西部を中心に道内各地に大きな地震があり、山崩れなどで家屋が倒壊し、一瞬にして北海道295万戸が停電になった。ブラックアウトと言い、電力供給のバランスが崩れたからだそうである。マグニチュード6.7で震源地が北海道内陸というのは初めてだそうだ。札幌の新千歳空港は閉鎖され、道内は一時すべての鉄道が運休になってしまった。昨日関西地方で荒れ狂った台風21号の襲来に引き続く大災害である。

 一昨日の台風21号の影響で、関西地方では海上の関西国際空港が高潮により滑走路が冠水して使用出来なくなり、併せて本土との連絡橋にタンカーが衝突して空港が孤立状態になったばかりである。関西空港の再開もはっきりせず、停電の空港内に閉じ込められた利用客はやっとバスと船で空港から解放されたばかりである。空港自体が閉鎖されたことにより海外への出入国者が利用出来なくなったことと、貨物便が飛べなくなったことにより経済的にも大きな打撃を与えそうだ。

 とにかく今年は自然災害が多かった。西日本集中豪雨の傷跡が癒されないうちに、台風21号の襲来があり、そして今暁の北海道地震である。テレビ画面で観ると札幌市内のアスファルト道路が上下にくねって穴が開き、液状化現象を示しており、これでは当分車が走ることは難しい。震源地では震度7を記録し、樹木が生えた山々がもろく崩れている。町の交差点などでも信号機が点灯しないため警察官が手旗信号で誘導して車はゆっくり走行する状態である。商店のガラスは壊れ、店内の電灯は消え、まるでゴーストタウンである。1999年夏トルコで大地震に遭った時には驚いたが、国内でこういう場面に出会ったことはない。現地で生活している人たちの苦労は並大抵ではないと思う。

 自衛隊を主に消防、警察が復旧作業に当たっている。停電も大規模になったが、ブラックアウトの原因となったのは、全北海道消費電力の約半分を提供していた、震源地に近い北海道電力苫東厚真火力発電所からの電力供給が止まったのが大きいようだ。需給のバランス上電力の復旧には1週間が必要だとされている。一日も早く復旧されるよう願っている。

 さて、中国のアフリカへの経済支援攻勢について昨日の本欄に取り上げたが、今朝の朝日新聞記事によると中国国民がこの6.6兆円もの巨額支援は無駄遣いで、その前に彼らの生活の改善に使われるべきだとか、貧困の子どもたちが飢えに苦しんでいるとか、ネット上に不満が噴出して当局が封じ込めに躍起になっているようだ。政府の上層部は、アフリカのために行動して彼らに貸しを作り自らは大きな顔が出来ると思っているようだが、国内の下層階級の人たちにとっては無視されて、「ふざけるな!」というのが本当の気持ちだろう。

 中国政府の海外支援策が、国の威信とか、国家の体面や存在感の拡大ばかり考えて、自国の国民のことを十分考えていないことが一番問題である。

2018年9月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4132.2018年9月5日(水) 中国によるアフリカ経済支援攻勢

 一昨日から北京で中国とアフリカ諸国が関係強化について話し合う「中国アフリカ協力フォーラム」が開かれ、53か国が参加している。

 中国のアフリカ向き援助というと、ついあれこれ考え込んでしまう。中国は他の先進国に真似出来ないような資金とドラスチックな人材投資のおかげで、アフリカ市場に圧倒的な拠点を築いているからである。問題はこのやり方がアフリカ諸国に本当の意味で貢献しているのかということと、アフリカの人材育成、雇用拡大の面で必ずしも効果的ではないのではないかという点で首を傾げざるを得ない。例えば、建物の建設援助については現地の労働者に中国人指導者が技術指導するのではなく、労働者まで中国から連れて来て現地人を雇用しないケースがあることである。

 加えて資金面では無償援助もあるが、ほぼ4分の3が有償援助でその借款を苦しい財政のアフリカ諸国が期限内に返済出来ないケースがあることである。

 巨額プロジェクトの中には、必ずしも必要なインフラ整備に充当するようなものでなく、支援物件に押しつけがましい名前を書き込んで中国をアピールしているのが多い。特に中国の強い要望「目に見える援助」に拘っている。これまでに中国が行った主要なプロジェクト6つのうち、その4つはスポーツ施設、競技場の建設であるが、これらが貧しいアフリカにとって緊急に必要なものだろうか。残りの2つはいずれも長距離鉄道建設で、ひとつは、ケニアのナイロビ・モンバサ間480㎞の鉄道建設であるが、今からちょうど半世紀前にナイロビから夜行寝台でモンバサまで行ったことがある。その時イギリス製の鉄道施設は悪いものではないと思った。今敢えて同じ鉄道路線を作る意味はあるだろうか。どうも無駄なような気がしている。

 もうひとつのプロジェクトも鉄道建設で、何とエチオピアの首都アジスアベバから隣国ジブチ間全長750㎞の巨大なプロジェクトだった。これには中国人駅員まで配属されて旅客案内を務めている状態である。まるで中国の鉄道である。それだけの利用客がいるなら、これは大きな援助と言えるかも知れない。しかし、これでは中国政府はエチオピアに対して庇も母屋も貸した挙句、すべてを手に入れたという印象である。かつてアジスアベバからジブチまでプロペラ機で飛んだことがあるが、ずっと砂漠上空を飛んでいた。そんな環境下で果たしてこの鉄道敷設がどれほど国民の期待に応えているだろうか。

 とにかく中国の援助攻勢はけた外れの規模で、目くらませを噛ませられていたアフリカ諸国が気が付いたころには、抜き差しならぬ状態になっているのがオチである。これほど派手な支援を真似出来ないアメリカは「中国式支援は各国の主権を弱め、長期的な成長を阻む」と言ってみたり、イギリスBBCは「巨額債務はアフリカ諸国を窒息させる」と指摘しているが、犬の遠吠えにしか聞こえない。

 今のままで行ったら世界の覇権地図はどうなってしまうだろうか。

2018年9月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4131.2018年9月4日(火) 台風21号、各地に甚大な被害を及ぼす。

 1週間ほど前に南方洋上で発生した巨大な台風21号が日本本土に向かっているとずっと予報されていたが、今日現実に襲ってきた。今年発生した最大級の台風で、正午ごろ室戸岬に上陸し毎時60㎞のスピードで関西を襲い、北陸石川県を通り日本海へ抜けて行った。ところが台風の進行につれて強風を周囲に引っ張っていったため、通過ルートの周辺に風を呼び込み、それは関東地方にまで及んでいる。各地に相当な被害を及ぼしている。

 午後3時ごろネットには、「台風21号神戸市付近に再上陸」「台風10府県で68万人に避難勧告」「近畿四国で記録的潮位」「台風徳島市の新町川が逆流」など、珍しく台風関連ニュースが溢れていた。関西国際空港では最大瞬間風速が58.1mを記録した。

 その関西空港の連絡橋に停泊中のタンカーが煽られて衝突し、橋、タンカーともに破壊された。その連絡橋は立体構造になっていて上部を車道、下部を鉄道が走っている。橋が破壊されたためJR、南海電鉄も運行を止めている。そのため関西空港には約3千名の利用者と空港関係職員約2千名が孤立状態になった。一部停電状態にもなっており、冷房が効かず、電話も一部不通になっている。明日以降どうやって閉じ込められた人々を開放するのか、空港自体も一部水没して機能不全を来しており、明日以降どうこの閉塞状況を解消するのか、今度ばかりは台風一過というわけには行かないようだ。

 交通機関は航空機を始め、鉄道もかなり支障を来たし運休となった路線も多い。新幹線は東海道、山陽新幹線はすべてストップした。驚いたのは西日本と京阪神地区の鉄道在来線が午後になってすべて運休となってしまったことである。

 我が家の周辺でも時々雨が降っていたが、それ以上に風が狂ったようにビュービューいいながら吹きまくり、吹いては止み、止んでは吹くという状態で一日中風雨に驚かされていた。書斎の窓から外を見ていると50mほど先の宮前公園内の大きな樹木を始め、隣家、我が家の庭木が左右に大きく揺れている。これほど強い風雨は久しぶりである。

 テレビでは朝から晩まで台風関連ニュースを流している。

 さて、海外ニュースで残念なのは、今年開業200年を迎えたばかりのブラジルのリオ国立博物館が2日夜火災を起こし、全焼してしまったことである。古代人類の歴史的な資料、標本など約2千万点が消失してしまい専門家からはしきりに惜しまれている。一番惜しまれるのは、アメリカ大陸で最も古い人類の骸骨だったという。火災の原因はまだ分からないが、国民は財政的に苦しい政府が前々から消火設備の設置を指摘されていながら、設備を取りつけなかったからだと怒っている。

2018年9月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4130.2018年9月3日(月) 「天声人語」筆者の浅慮と知識不足

 今朝の朝日「天声人語」を読んでその好い加減な内容に呆れるとともに、筆者の無知を情けなく思った。今問題になっている「ロヒンギャ難民」に関する内容である。数日前に国連人権理事会が、ロヒンギャ難民に対する組織的な迫害が行われていたとしてミヤンマー軍を非難した。同時にこの残虐行為を止められなかったとしてアウンサンスーチー国家顧問の無力ぶりも批判した。この行為が事実であるなら、ミヤンマー軍が非難されても止むを得ない。しかし、ロヒンギャ問題の根源はイギリスの支配にあった。戦前バングラディッシュとミヤンマーを植民地として支配していたイギリスが、イスラム系ロヒンギャ族を旧インド領(現バングラディッシュ)から、旧ビルマ領(現ミヤンマー)山中へ強制的に移住させた。これが問題の原点である。今更ミヤンマーを非難しても、当時のビルマはイギリスの言いなりだったので、多くの異民族を自国領内に定住させられたところで、貧しいミヤンマーとしては彼らの生活まではとても手が回らない。その原因を作ったのはイギリスなのである。

 最大の加害者であるイギリスが無責任にも今以て知らん顔をしている。国連にも責任はあると思う。この事実を承知している筈なのに、イギリスの責任を追及することはせず、被害者とも言えるバングラディッシュとミヤンマーを一方的に非難するばかりである。

 国連がまず為すべきことは、今日の問題を引き起こした原因をきちんと整理し明らかにすることである。イギリスが大きく関わってきたことは明確であるので、第一義的にイギリスの責任を厳しく追及し、それなりの責任を取らせることではないか。貧しいバングラディッシュとミヤンマーだけにいつまでも責任を負わせるようなことだけは避けるべきである。地球上の四分の一の土地を植民地として、現地人をこき使いアブク銭を手にして優雅な生活を送って覇権国家として君臨してきたのが、戦前までのイギリスである。まず、国連が中心になってイギリスにかかる費用の全面的な援助を行わせ、同時に国連加盟国に対して国力に応じてそれなりの支援策を講じて、経済的に立ち遅れているバングラディッシュとミヤンマーを支援するべきではないか。

 この「天声人語」氏の意見があまりにも見識を欠いていると思い、すぐに知人の朝日記者にメールでこの点を指摘し、問題点を伝えたところ、1時間も経たない間に返信が届いた。彼も私が指摘したイギリスの関与について何も触れていない点が気になっていたと書いてあった。

 それにしてもどうしてジャーナリストは問題の本質を欠くような視点で原稿を書くのだろうか。同じ朝日30日付5段記事の「ロヒンギャ難民 遠い安住」もバングラディッシュの南東部コックスバザールで取材されたもので、ミヤンマー側の視点はない。イギリスに関する描写はまったくない。調査、研究不足としか言いようがない有様である。これだからメディアを全面的に信用することが出来ない。

2018年9月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4129.2018年9月2日(日) 「プラハの春」小論を脱稿

 台風21号が3日後に東海地方を中心に襲来するせいか、昨晩から雨模様で今日も時々雨が降るので比較的涼しく感じられる。お陰で庭の樹木に放水する必要がない。それにしても今週はほとんど雨の予報である。

 先日来書いていた「プラハの春」について漸く書き終えた。写真を入れて12頁に納めた。この8月であの事件発生以来ちょうど50年・半世紀になる。事件自体と自分自身が関わったことや、プラハへ行った時の事件を思い出させる出来事について書いた。これまで度々外国へ出かけているが、その中でも格別印象に残っているのがこのチェコの首都プラハである。

 ちょうど「プラハの春」が発生した1968年、プラハに留学を、出来れば名門カレル大学へ留学しようと計画していたところ、あのような国家、社会体制を崩壊させるような乱暴なワルシャワ軍戦車部隊の侵入により、先の予測が出来ないような事態になってしまった。すでに課長に辞職願を提出してしまったので、判断が難しかった。家族にも、友人の誰にも話していなかった。ゼミの恩師・飯田鼎教授に相談したところ説得されて辞表の撤回を申し出る一世一代の屈辱的なことをやってしまった。今思えば、人生の岐路となった。

 あれからチェコには、4度訪れているが、そのうち3度もトラブルに遭っている。なぜかチェコと特別な因縁があるように思えて仕方がない。そんなこともあり、思い込みも特別である。プラハの中心街にある、「プラハの春」の舞台となったヴァーツラフ広場と隣接する旧市庁舎前広場の近くにあるカレル橋とそこから眺めるプラハ城の光景は文句のつけようがないほど素晴らしい。拙稿でも触れたが、中世以来の伝統的な街づくりを市民は誇りに思い、傷つけられることを許さなかった。あの街の風景にはチェコの人々同様に心を癒される。それが「プラハの春」、或いは他の事件でも市内で内戦や銃撃戦を避けられた理由である。

 偶然とは言え、今夕NHK「クラシック音楽館」で、1980年代の演奏録画だったが、スメタナの交響詩「わが祖国」を映し出したことに驚いた。好きなクラシック音楽のひとつである。拙稿にも「ビロード革命」直後の音楽祭でハヴェル大統領の呼びかけにより亡命中の指揮者クーベリックが帰国して、ヴァーツラフ広場で「わが祖国」を演奏し、世界中に感動を与えたエピソードを取り上げた。

 世界遺産都市「プラハ」にせよ、名曲「わが祖国」にせよ、「プラハの春」に翻弄された立場から見ても抜きん出た芸術品である。

2018年9月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4128.2018年9月1日(土) 財政再建になぜ真剣に取り組まないのか。

 昨日来年度の各省庁の概算要求額が公表された。当初の概算要求額は過去最大の102兆円後半と想定され、最終的な要求総額は5年連続で100兆円を超える。高齢化により当然福利厚生費は増えることが予想され、社会保障費の伸びにより厚労省の要求額は、今年度当初予算より2.5%も多く、31兆9千億円でトップである。これは性質上中々減額させることは難しいと思われる。

 新聞社説でやり玉に挙がっていたのが、防衛費である。何と対前年2.1%増の5兆3千億円である。北朝鮮のミサイル対策として陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の購入が大きい。ただ、防衛費は一般的に普通の人には見えないし、その是非を判断しにくい。その上アメリカから高い防衛資材や用具を購入する場合、アメリカの言い値で買わされていることで相当な経費が掛かることは間違いない。もう少し専門家を加えた検討会で公正な購入価格を打ち出すべきだ。いずれ財源として消費税値上げによる2%が見込まれているが、これは社会保障費を補うことに使われるとされているので、他省庁に豊かな財源は、支出を削減するより術がない。

 ここ数年自然災害の損傷で、国、自治体ともにその対策に頭を悩ませているところだが、国交省が堤防のかさ上げなど水害対策の強化と、文科省が公立学校のブロック塀や校長整備などに多額の予算要求をしている。前者は5千2百億円、後者には2千4百億円が計上されている。

 支出を抑えて健全財政を進めるには、財政再建をしっかり行うことである。以前橋本龍太郎内閣時代には選挙の都度財政再建が話題になり、各党とも自党案を提案し方策を探ったものである。それが昨今政治家から財政再建策について話が出ることがなくなった。すでに日本の累積財政赤字は、何と1040兆円で世界で最高の借金国である。これを政治家たちは進んで解決に取り組もうとしない。支出が減れば政策を行えず、選挙民から評価されないと考えているからである。

 しかし、このまま毎年予算が膨らんで行ったら、借金財政が行き詰ることははっきりしているし、次の世代がわれわれ世代の負の遺産を負わされ償っていかなければならない。政治家がダメなら、せめてメディアが問題を取り上げ、真実を国民に訴えて改善策を講じないと国家の破算を招きかねない。

 それにしても数字をごまかすことに慣れてしまった官僚を使って、政治家は景気の好い話だけしていれば良いのだろうか。

 数日前今年度の後期高齢者医療制度保険料の通知があったが、後期保険料として常識では考えられないような「ものすごい金額」が今年度分として加算請求されていた。あまりの加算額の説明が分かりにくく、いずれ区役所で説明してもらおうと考えている。こうして高齢者を益々生きにくくしているのも、愚かな政治家たちが財政再建に関心を持たないからである。

2018年9月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com