4307.2019年2月26日(火) 二・二六事件をなぜ回顧、報道しないのか。

 今から83年前の昭和11年の今日、雪の降る中で日本中を騒がせた歴史的大事件が発生した。言わずと知れた二・二六事件である。私にとっては誕生2年前のことであり知る由もないが、その後軍部に支えられてこの危機的な日を乗り越えた日本政府は、対中戦争を加速させその勢いで太平洋戦争に突入し、戦争にのめり込んで行った。このクーデター未遂事件を承知のうえかどうか分からないが、奇しくも今日皇居では天皇在位30周年に際し天皇が国民に感謝する催しとして、昨日に続き、午前と午後の2回に亘り各界の著名人を招いて茶会が開催された。

 気になるのは、近年この大事件に関する報道をメディアがまったく行わなくなったことである。二・二六事件は、満州事変以来軍部の影響力が強まっていたその当時、雪の降る中を陸軍青年将校らが下士官兵約1,500名を率いて起こした日本史上例を見ない空前のクーデター未遂事件であり、政府高官の高橋是清大蔵大臣、斎藤実内務大臣、渡辺錠太郎教育総監、総理大臣私設秘書官ら4名が殺害され、当時数日間に亘り首都東京が機能不全に陥った大事件だった。

 松本清張著「昭和史の発掘」に事件の詳細が細かく描写されていて極めて興味深いが、その中で事件の関係者のひとりが、私がまだ若かったころ10年近く住んでいた横浜市内のマンションの同じフロアにひっそり住まわれていると知って驚いたことを思い出す。

 いずれにせよ二・二六事件は、日本史上現実にあった衝撃的な歴史の一コマである。いつのころからか、まったくメディアで伝えなくなったのは何故だろうか。昭和は遠くなりにけりということだろうか。軍部が力を持出すと国を亡ぼすとの格言を思い出すことから、近年の自衛隊強化が先行き国家を危険に晒すという懸念が生まれることを憂慮した政府を忖度してメディアが「報道の自由」の権利を放棄したのでなければ幸いである。

 今日の朝日朝刊に、一昨日永眠された日本文学研究者ドナルド・キーンさんを悼む社説が掲載されている。その中にキーンさんはバブル崩壊後の日本社会のありように辛口だったとある。内向き志向、他人への配慮を欠いた振る舞い、本に親しんできた日本人がテレビやゲームに興じて古典と向き合う時間をなくしたことを心配していた。ファストフードから得る喜びは限りがあると指摘して、人間性の探求に駆り立てる文学が必要とされる可能性も述べていた。私には昔の大事な歴史的事実である二・二六事件を、しっかり見つめる必要性をアピールしているように受け取れた。二・二六事件を排除しようという今のメディアの在り方は、キーンさんからあまり好意的に受け取ってもらえないのではないかと思う。

 結局83年前に二・二六事件が起きた今日の新聞、テレビには二・二六事件に関するコメントはまったく見られなかった。

2019年2月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4306.2019年2月25日(月) 沖縄県民投票の結果はどう反映されるのか。

 気になっていた昨日実施された沖縄県民選挙の結果が判明した。民意を問う県民選挙が実施されるのは、1996年以来実に23年ぶりのことである。結果は米軍基地辺野古移設工事に対する「反対」の声が圧倒的に多かった。72.15%の有権者が工事に反対票を投じたのである。工事反対派が強く工事の中止を求めていた結果が、県民の民意としてはっきり票に表れた。この結果をデニー玉城知事は、安倍首相とトランプ大統領に報告する。投票前から安倍首相ら官邸は、そっけない態度で結果に関係なく工事は粛々と継続するとして、政府としての見解を表示することはしなかった。前以て反対派が多数を占めることは、昨年9月に行われた県知事選挙で玉城知事が圧勝した結果から見て予測していたことであろう。

 1996年の県民選挙の際には、米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の見直しを求められた結果、当時の橋本龍太郎首相は、沖縄県民の過去の苦しみと負担について政府の努力が足りなかったことを反省するとして、対米交渉に真剣に向き合い、沖縄とも謙虚に話し合った。それが、安倍首相はどうだろう。沖縄とは話し合いすらしようという気持ちがない。民意を無視する民主主義の根幹を揺るがすような対応ではないだろうか。周囲から甘やかされて育ったお坊ちゃん総理の安倍首相には、庶民の気持ちがまるで分からない。また、天皇・皇后のような沖縄への深い思いや愛情が見られない。沖縄では最初の内抵抗感が強かった天皇に対する沖縄県民の気持ちが、天皇が誠実に県民と触れ合い、昨日ニュースでも紹介されたように県民から敬愛され慕われるまでになったのは、天皇・皇后の沖縄県への思いと県民への愛情であろう。安倍首相夫妻には、両陛下のように同じ目線で触れ合うという考えは毛頭ないことを表している。

 玉城知事がトランプ大統領に投票の結果、つまり米軍基地の移転計画は7割以上の県民が反対していると報告しても軽く受け流すだけだろう。安倍首相とトランプ大統領は、ともに自国民を軽視し、国民の気持ちを汲み取ろうとしない性格を有している。だが、これだけ明白な結果が示されていながら、まったく県民の意向を無視するというのは、政治家としては厳に慎むべき行動である。

 安倍首相は何のために、誰のために政治家になったのだろうか。首相在位期間が長くなったことから思い上がりが益々エスカレートしている。政治家としての能力がなくとも、世襲という自分の力ではない見えない力によって頂点を極めたことは、ツキに恵まれたに過ぎない。われわれ現代の日本人が、このような傲慢な人物を首相にいただいたことはツキがなかったと諦めるしかないのだろうか。それにしてもこれまで苦しみに苦しみを重ねてきた沖縄県民が、まだ呪縛から抜け出せないとはあまりにも気の毒である。

 今回の県民投票は実質的には何の意味も効果ももたらさなかったということになりかねない。「言論の抑圧」と同じことにならないだろうか。安倍首相を始め、自民党は胸に手を当てて謙虚に反省し、沖縄県民の気持ちを斟酌して玉城知事、及び沖縄県と真摯に解決に向けた話し合いを行うべきであろう。

2019年2月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4305.2019年2月24日(日) 天皇在位30年、ドナルド・キーン氏他界

 今日国立劇場で天皇陛下即位30周年記念式典が行われた。その席で天皇作詞、皇后作曲の「歌声の響」という曲を沖縄出身歌手の三浦大知さんがソロで唄った。沖縄を唄った曲であるが、天皇陛下が書かれた詩を沖縄の方言に変え、メロディーは沖縄の民謡の感じを皇后陛下がうまく表現した曲だと感じた。1975年皇太子時代に両陛下は初めて沖縄を訪問された。その最初の訪問でハンセン病患者の療養所「沖縄愛楽園」を訪ねられた当時は、まだハンセン病への差別や誤解が残っていた時代で、収容されていた人々が両陛下が帰り際に一斉に唄った沖縄民謡♪だんじゅかりゆし♪は感動的だった。「歌声の響」はそれに相通じるようなメロディーだった。

 慰霊碑にお祈りしていた時に爆発物を投げつけられたり、沖縄では最初の内は皇太子ご夫妻の訪問に歓迎ムードはあまり感じられなかったようだ。しかし、それもお2人の優しい心遣いに沖縄の人たちの気持ちも和んで次第に歓迎ムードが高まって行った。お2人での沖縄訪問は実に11回に上ると言う。

 天皇在位30年というのは、ご苦労と気遣いの歳月だったと思う。口の悪い韓国国会議長が戦争犯罪人の息子呼ばわりしたり、時には何かと悪く言われるような空気の中で、ひたすら国家の平和と安寧、そして国民の幸せを願って全国を訪れては国民と触れ合っておられた。今日の挨拶でも、平成という時代に戦争がなかったことは平和を願う国民の気持ちが功を奏したと国民に感謝のお気持ちを謙虚に述べておられた。そういう意味では、とかく怖く冷たいようなイメージがあった昭和天皇の暗いイメージを極力払拭されるよう努められておられたように思う。天皇84歳、皇后83歳となられ、4月30日には公務の天皇という激職を去られ、それぞれ上皇、上皇后となられる。これからはのんびりと生活をされ、両陛下お揃いでいつまでもお元気にお過ごしになられるよう願って止まない。

 両陛下にとって思い出と、思い込みのある沖縄では、今日米軍基地辺野古移設への賛否を問う県民投票が行われた。午後11時現在ではまだ最終結果は出ていないが、影響を与える勝敗の分岐点は、投票数の1/4を超えられるかどうかであるが、ほぼ反対が1/4を超えそうだと予測されている。明日詳細な数値が明らかになるが、残念なのは、結果はどう表れようとも政府によって沖縄県民の気持ちと相反する判断がなされるような気がしている。

 さて、日本文化の研究者で日本ペンクラブ名誉会員でもあったドナルド・キーン博士が今日心不全で亡くなられた。享年96歳だった。言わずと知れた日本通で日本が大好きなアメリカ人で、最近まで現役で活躍しておられた。文化勲章他国内外で数々の名誉ある賞を受賞され、日本国籍を取得されてからは名前も英語名からドナルド・キーンと片仮名に替えられ、通称は「鬼怒鳴門」を使うこともあった。年齢的には人生を全うされた方であるが、つい最近までお元気だったので少々寂しい感じがする。何度かお話を伺ったことがあるが、日本ペンクラブが島崎藤村初代会長の下に発足した11月26日を記念した2012年「ペンの日」に講演され聴講したことが懐かしい思い出である。心よりご冥福をお祈り致したい。

2019年2月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4304.2019年2月23日(土) 皇太子殿下59歳の誕生日

 ♪梅の小枝で鴬が 春が来たよと唄います ホッホッ ホケキョ ホーホケキョ♪と鴬の美声を楽しみにしていたところ、待ち望んでいた2羽の鴬が梅の開花とともに、今日午後梅木のある我が家を訪れてくれた。残念ながらホーホケキョとは鳴いてはくれなかった。いずれ囀ってくれるだろう。

 さて、昨晩から身体が熱っぽく寒気を感じていた。体温も38℃を超えてこれはただ事ではないと思った。風呂に入り早々と寝床に就いた。夜中にも何度か目が覚めた。気になったので、今朝かかりつけの森内科で診察してもらった。ジャジャジャジャーン!悪魔の宣告があった。インフルエンザA型に感染したそうである。こんなことは初めてである。血圧も脈拍数も上がっている。確か昨年10月に予防接種を受けたが、効果を表さなかったということになる。当然誰かから感染させられたわけだが、妻は風邪気味ではあるが、インフルエンザではない。誰かからうつされたことは間違いないと思うが、思い当たる人はいない。とにかくタミフルに替えて1度の服用で済む薬・ゾフルーザをいただき、うがい・手洗いを欠かさず、家の中でもマスクを手放せなくなってしまった。

 縁起でもない話の後に恐縮であるが、今日は皇太子殿下59歳の誕生日である。天皇即位まであと2ヶ月余となった。新天皇即位後最初の誕生日である来年の今日は、還暦を迎えることになる。59年前に皇太子が誕生した時は、大学のアルペンクラブの仲間たちと新鹿沢温泉へスキーで向かっていた。その途中でトランジスター・ラジオから皇太子誕生のニュースを聞いて山仲間ともども何となく明るい空気になったことが思い出される。

 あの時代1960年は、日本中が60年安保反対闘争で持ちきりだった。安保反対のデモ行進をしながら、その一方でそんな大事な時期にのんびりスキーなんかで滑っていたわけである。妙な考えに固まらず、全体的に柔軟な考えで、学生生活を送っていた。その4か月後安保条約改定案は国会を通過して、それが今もなお協定の縛りから抜け出せない結果になっている。当時の沖縄はまだアメリカの治世下にあった。日本へ復帰したのはそれから12年後の1972年である。明日その沖縄で米軍基地辺野古移設の是非を問う県民投票が行われるが、こういう深刻な問題が沖縄だけに残されているのは、日本が沖縄を見捨ててしまったひとつの証左ではないだろうか。

2019年2月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4302.2019年2月22日(金) 「はやぶさ2」、世界で初めて小惑星「りゅうぐう」へ到着

 今日は2月22日で、「にゃんにゃんにゃん」との語呂合わせから「猫の日」というのだそうである。冬も終わりに近づき春の装いが感じられるが、遅れていた我が家の梅の開花も漸く蕾から花が開きつつある。去年に比べて遅咲きである。今年は鴬が訪れてくれるだろうか。

 昨夜9時22分ごろ北海道胆振地方で震度6弱の地震があった。昨年9月に同地方でもっと大きな地震があったが、今年は生活への影響はそれほどなかったようだ。それでも半年足らずの間に大きな地震が続けて起きるというのは、以前の地震の余震の余波ではないだろうか。

 その影響はこんなところにも表れた。昨晩NHK・BSでこの時間に放映された「スパイ・ゾルゲの真実」を録画して今日ゆっくり観ていたところ、ちょうど地震発生の時間に「ニュース速報」の字幕とともに、画面は地震のニュースに変わってしまい、肝心なゾルゲのドキュメントは途中で観られなくなってしまった。

 さて、小惑星探査機「はやぶさ2」が、今朝8時過ぎに地球と火星の間にある小惑星「リュウグウ」へ着陸したと宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発表した。日本の科学技術の高いレベルを示した快挙である。

 世界で初めて小惑星「りゅうぐう」から土石を採取して持ち帰った。2014年12月に打ち上げられ、18年6月に小惑星に到着し、今後あと2回土石を行採取した後20年末に地球に帰還する予定である。その距離は何と3億4千万㎞という途方もない距離で、実に地球一周4万㎞の3万4千倍である。理系の専門的な内容は、素人には中々分かり難いが、何事につけ世界で先陣を切るというのは、容易なことではない。

 今度の「はやぶさ2」は高度20㎞から降下を開始したようだが、上空20㎞から甲子園のマウンドへ降りるようなものだそうである。このような目論見通り標的に向かって的を射るのはかなり高いテクニックが必要で、「ピンポイント・タッチダウン」と呼ばれる誘導法は、同じく小惑星探査に取り組んでいるアメリカ航空宇宙局(NASA)からも「直径6mに降りる方法を教えて欲しい」と、JAXAのその高い技術力を買われているという。

 まだ前途には難題があると思うが、誇らしい気持ちでこのプロジェクトの成功に喝采を送りたいと思う。

2019年2月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4301.2019年2月21日(木) 安倍内閣在任期間が桂太郎内閣に次ぎ2位に

 長ければ良いというものでもあるまい。国民のために功績を残さなくても、またいくら政治活動の中でウソをついたり、世間を騙しても長い間総理大臣の職を務めることが出来ることを、世襲政治家・安倍晋三首相が証明してくれた。僅か11カ月に終わった第1次組閣に続いて、2012年12月発足した第2次安倍内閣は連続在任日数を重ねて実に2248日となり、1位の大叔父・佐藤栄作の2798日に次ぎ、吉田茂と並ぶ歴代2位となった。先人の佐藤、吉田首相に比べて、これという輝かしい実績がなくとも長らく総理の座に居座り続けることが出来たのは、野党勢力がだらしなかったことが最大の原因であろう。それと自民党内のどんぐりの背比べのような世襲政治家が蔓延っていたせいもあるだろう。

 首相としての在任期間が第1次内閣を加えると今年11月20日には歴代最長になるというから驚くではないか。1位桂太郎、2位佐藤栄作、3位伊藤博文だそうだ。ノーベル平和賞を受賞した佐藤栄作に、桂太郎、伊藤博文のような日本史上にも特筆されるべき明治初期の偉大な政治家である。それらの政治家を、モリカケ事件のようないかがわしい行動で政治不信を招いたり、トランプ大統領に過大な忖度をしたような安倍首相が、何故長期間日本のトップに収まっていられるのか不思議でならない。結局日本人全体が社会性において成熟度に欠け、政治レベルが低いということになるのだろうか。

 さて、今月に入って大阪府東大阪市内のコンビニ「セブン・イレブン」が、24時間営業に対応出来ず、フランチャイズ契約をしているセブン・イレブン本部と話し合いがつかないまま、1日24時間営業から5時間短縮して19時間営業に変更した。本部は24時間営業が原則としてこれを認めず両者は対立している。本部はもしこのまま時短営業を続けるようなら契約を解除して違約金1,700万円を支払わせるという。昨今の労働市場の悪化でアルバイト従業員が集まらず、また人件費負担が厳しく労働環境もタフで経営が苦しい中で、深夜営業は顧客の数が少なく反って営業的にマイナスであることから、本部の了解がないままオーナーは時短に踏み切った。

 今から40年以上も前にアメリカで初めてセブン・イレブンの店舗を見た時、朝7時から夜11時まで営業している便利なショップだと現地の人から教えてもらったことがある。それがいつの間にやら24時間営業に変わった。深夜の客は少ないだろうし、昨今は雇用状況が厳しい実態から、経営はなかなか難しいとは思っていたが、各コンビニもその点ではそれぞれ四苦八苦しているらしい。深夜営業は利用客には便利だろうが、24時間サービスは絶対やらなければならないほどの営業とも思えない。従業員の健康面も考えてコンビニ各社は深夜営業を含む時短を真剣に考えてみてはどうかと思う。

 思い返すと鉄道会社へ入社後1年半の間駅員として、24時間交代制の隔勤勤務の下に働いた経験から言えば、その勤務時間内は何も考えることなく、身体だけを提供していたとの印象が強い。それでも最終列車や始発列車の運行による乗客への利便から、否応なく職務に努力することが求められたので、時間短縮などは考えられなかった。

 労働環境改善については、それぞれ職種によっても異なるが、経営面や従業員の酷使・健康問題が表面化した以上お互いが話し合い暫時解決の方向へ持っていくことが大切だと思う。

2019年2月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4300.2019年2月20日(水) ホンダ工場、イギリスから撤退

 ホンダが2021年にイギリスのスウィンドン工場を閉鎖して、ヨーロッパから撤退するという唐突なニュースが内外に大きな波紋を呼んでいる。日本国内よりむしろイギリス国内で衝撃を持って伝えられている。特にイギリスでは来月にEUから離脱することが差し迫っていることもあり、それが影響しているのではないかとメディアが伝え、イギリス政界でも、EU賛成派、離脱派がそれぞれ大きな論争になっている。離脱すれば、イギリスで生産された車をEUへ輸出すると10%の関税が課せられるうえに、アイルランドへ輸出すれば、イギリス国内用とアイルランド国内用として輸送トラックのドライバーが2人必要になり、その分経費が余計かかる。

 更に中部都市スウィンドン工場は3,500人の従業員を抱えているだけに、工場閉鎖は深刻な失業・雇用問題を派生させる。ホンダ社長は、撤退はEUからの離脱、俗にいうブレグジットとは関係なく、電気自動車(EV)への需要のシフトに伴い日本でEVへの投資に集中することと、ヨーロッパ市場の販売の伸びが見込めないことを理由として挙げている。イギリスからの撤退と同時にトルコのコジャエリ工場の生産も21年中に終了させると発表した。ここにも従業員が1,100人いる。

 今やメーカーの海外工場は、日本国内の需要のためでもあるが、イギリス・ホンダで生産された車は、EU内のみならず、北米と日本にまで輸出されている。それほど国際的な産業となっているのである。これからイギリス国内ではスウィンドンを始めとして、同じような事例がブレグジットにより生まれる可能性がある。それだけにこの問題で揺れるイギリス国内は平静を保ってもいられないようだ。メイ首相も直々にホンダの現地責任者に厳しいコメントをぶつけたと言われている。

 かつていかに外国の地で雇用を促進し、地域経済を潤す大メーカーの進出が待ち望まれているかという事実に直面したことがある。

 1985年9月のことだった。旧文部省教員海外視察団の添乗員兼通訳として西ドイツ・リューネン市、アメリカ・ペンシルヴァニア州アルツーナとともに、イギリスのスコットランドに近い東海岸の中部都市サウスシールズで教育施設を訪問した時のことである。サウスシールズでは近くに日産の工場が建設される予定だと市民の間に歓迎ムードが満ち溢れていた。3日間の学校訪問が終わった夕べ、女性市長が市庁舎で歓迎パーティを開いてくれ、市長は近々開設される日産工場を待ち望んでいると挨拶された。それほど現地の人々は日本の日産自動車工場がやってくるのを楽しみにしてくれた。今ホンダの撤退を知るにつけ、彼らの失望感を想像すると堪らなく心が痛む。

 その土地に現存する施設が不意に無くなるということは、それを利用していた人々、恩恵を受けていた人々、愛していた人々にとっては例えようもないくらい、寂しく辛いものだということを感じる。ホンダ社長のコメントでは触れていなかったが、経営者はその地域の人々に対して大きな経営責任があるということを充分認識すべきだと思う。

2019年2月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4299.2019年2月19日(火) 安倍首相とトランプ大統領の間に裏取引?

 昨年11月以来久しぶりに補聴器の具合をチェックしてもらいに、「ブルーム」自由が丘店へ出かけた。現在3段階のチャンネル調整により、音の高低と強弱を変えながら適合具合を見てもらっているが、毎回補聴器自体の音声は少しずつ良くはなっているものの中々完全とは行かない。特にごく近い、会話相手の声を充分聞き取れないのが困ったところである。今日は補聴器のひとつのチャンネルを取り消して、新しいチャンネルを開いてもらった。これでまたしばらく様子を見るということになった。6月にまた見てもらうことにした。

 さて、3日前にアメリカのトランプ大統領が、ノーベル平和賞候補として安倍首相がノーベル賞選考委員会へ推薦書を送ってくれたと嬉しそうに話していたことについて本ブログにも取り上げたところ、昨日辺りからその事実関係について国会でも質疑応答がなされている。アメリカのテレビ局NBCでは、目の玉が飛び出るニュースとして取り上げられたり、ワシントン・ポスト紙には、安倍首相ではなく、韓国の文在寅大統領ではないかと取り沙汰されている。国会では真偽について質問された首相は、YES とも、NOとも答えず、ノーベル賞委員会は50年間推薦者、被推薦者名を公表しないので、それを順守したと逃げた。それにしては、トランプ大統領はシークレットな約束を軽々に世界へ向けて喋るというのは、あまりにも軽率ではないか。こんな人物にはいかなる賞も釣り合わない。

 そのような手続き上のことより、大統領本人が果たしてノーベル平和賞に相応しい人物であるかどうかが問題である。はっきり言って、今や世界中でいつもトラブルの真ん中にいるトランプ大統領がノーベル平和賞に相応しいとはとても思えない。アメリカ第一主義を強弁し、TPPから脱退し、地球温暖化防止のためのパリ協定から離脱し、核軍拡にも踏み出そうとしている。安倍首相のおべんちゃらも度が過ぎると思う。昨年米朝首脳会談の後に米政府から密かに推薦するよう頼まれたようだが、オバマ大統領とは違い、常にけんか腰で交渉を決裂させるトランプ大統領が平和賞を受賞することなどとても考えられない。まぁノーベル賞選考委員会もトランプ大統領が賞に相応しくない人物であることくらい百も承知だろうから、その点ではあまり気にする必要はないかも知れない。

 気になるのは、安倍首相が何故にトランプ大統領にこれほど忖度して不適正な推薦書を書いたかという点である。その裏には特別な取引があったのではないかと勘繰らざるを得ない。しかも、文書には日本人が挙ってトランプ大統領を平和賞候補者に推薦するなどと好い加減なウソを言っていることは、日本国民に対して失礼ではないかと思う。

 一強他弱に胡坐を掻いて、昨年来森友学園、加計学園、そして勤労統計不正問題などウソも出まかせも、隠蔽も口裏合わせもやりたい放題で、好き勝手な言動が多いが、総理大臣としてはもちろん、国会議員としても最低だと思う。また、これを阻止出来ない野党、メディアも情けないと思う。

2019年2月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4298.2019年2月18日(月) 馬鹿げた「賭博推奨」統合型リゾート(IR)実施法

 昨日東京競馬場で行われた中央競馬の最高峰G1レースのひとつ、フェブラリー・ステークスに女性騎手として初めて21歳の藤田菜七子さんが挑んだことが大きな話題となり、売上は前年比17.2%、入場者は21.8%も増えたという。藤田さんは健闘して5位に入った。

 私自身競馬はもちろん、麻雀、パチンコを含めて賭け事は時間の無駄と思い、一切興味はない。賭け事には依存症が伴い、青少年に悪影響を与え、反社会的勢力の進出など問題が山積しているうえに、家庭崩壊、自殺者増加などの不幸な出来事も多い。とても歓迎されるような趣味とはならない。

 実は、昨年の国会でカジノを含む統合型リゾート(IR)実施法なる悪法が成立した。法案を成立させた政府は、カジノのメリットばかり強調するが、デメリットの方が圧倒的に多いことははっきりしている。今以てなぜこんな悪法を成立させたのか、国会議員たちの思考回路が理解出来ない。これまでラスベガス、モンテカルロ、ゲンティング・ハイランド、マカオ、ソウルなどのカジノを参考までに見学したことがある。全体的に明るく華やかで、見た目には暗い影は感じられないが、その舞台裏に落とし穴があり、普通の社交場とは雰囲気が異なるような印象を抱いた。カジノ実施推進者は厳しい条件を付けて、依存症に陥らないように手を尽くすと言っているが、現時点では一向に手を打った様子も見えない。

 なぜ社会的に悪影響があるカジノ実施の悪法などを国が音頭を取って承認するのか、まったく理解出来ない。「地域活性化の起爆剤に」とばかり政府と二人三脚で他の活性化案を考えることもなく賭博を誘致しようとする自治体はあまりにも安易で無責任過ぎる。そこには巨大な利権が絡んでいるものと思う。外国では、カジノ誘致後に自殺、家庭崩壊、犯罪の増加に苦しんでいる都市が現実にあるという。

 自治体全体でカジノ誘致について、代案がなくとも極力弊害が及ばないやり方を考えることを住民にも加わってもらい充分検討したのかどうか。それさえやらないようでは、カジノの街では、いずれ賭博依存症の住民たちがうろうろ彷徨い歩くことを想定しておいた方が良いと思う。まったく馬鹿げた法案であり、欲得に駆られた困った自治体のカジノ推進関係者たちである。

2019年2月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4297.2019年2月17日(日) 最近の若者の文章力について

 最近文部科学省の何人かの担当官が、高校国語教育の「学習指導要領」の変更について説明するために、日本ペンクラブ事務局を訪れて2時間ばかりペン執行部と話し合いを持ったことが、一昨日の理事会で報告された。阿刀田高元会長が「文芸春秋」1月号に「高校国語から文学の灯が消える」と題した寄稿文を寄せ、文科省が2022年度から施行する「学習指導要領」の中身を懸念して書かれた文について、ペン理事会で話題にしたことを聞き及んだからかも知れない。阿刀田論文は高校の教科から文学が消えるのではないかと悲観的に捉えた論文である。その文科省との話し合いの中身について詳しくは説明されなかったので、充分理解出来たわけではないが、国語授業の中で文学を選択科目にするような話の内容だった。授業では文学作品を教材として取り扱わず、入試問題に対応出来る授業を志向しているようである。その後理事会でこの点、つまり文学が国語の授業から遠ざけられる点について若干意見が交わされた。やはり、文学者の集まりであるペンクラブとしては、高校時代に文学について正面から向き合うことをしないで高校国語の授業を終えることに抵抗感があると思った。

 また、それとは別の話だが、私は兼ねがね一般的に言われている若者の国語力の低下、文章力の劣化は、スマホなど機器類の過度な使用による弊害だけではなく、日常的に文章を書く機会と訓練が不足していることが原因ではないかと思っている。我々の小学生時代に国語教科の中に「綴り方」という授業があったように、出来るなら今日の国語教育の中にも「綴り方」を復活させることが文章力を培うためにも大事なことだと思っている。

 一昨日のペン例会の場で、朝日記者だった轡田隆史さんと話をしたが、文章力の低下は一般の若者に限らず、新聞社の若い記者も同じだと言っておられた。文学作品を読むことが少なくなり、文章を書く機会が減り、また実用的な文章を書くことのみが優先されて、本来の力強く説得力があり、読者に感銘を与える文章を書くのには、日常生活で若いころから文を書く習慣を身につけることが大切だと思っている。

 拙いながらも文章を書くことが今では毎日の習慣になっているので、その点は自分自身佳しとしているが、果たして他人が読んで心に響く良い文章だと思ってくれるかどうかは何とも言えない。僭越であるが、今取りかかっているノン・フィクションもそういう意味では、何度も目を通して恥ずかしくない作品にしたいと考えている。

2019年2月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com