4486.2019年8月24日(土) 酷暑の2020年東京オリンピックが心配

 庭でセミの声がうるさいと感じるほど聞かれるようになった。今朝はつがいのシジュウガラが2組やって来た。夏休みも残り1週間となった。

 まだ残暑が厳しいとは言え、漸く秋の気配が感じられるようになった。ただ、今夏の暑さは異常でいずれどんな暑さだったか総括して発表されるだろう。心配なのは、来年の東京オリンピック開会式が7月24日に予定されており暑さの真っ只中に開催されることである。IOCが開催期間を7月15日から8月31日に収めるよう招致都市に求めているのだから、現状ではこれは致し方ないことなのかも知れない。主催者のIOCがアメリカのテレビ局から全収入の7割を支払ってもらっていて、テレビ局から中継上不利を被らないようサッカー、フットボール、バスケットボールなどの人気スポーツのシーズン開催とダブらないことを求められたからである。しかし、これは出場選手や観客の健康面、不都合をまったく考えることもせず、テレビ局の言いなりになったことであり、これほど選手、観客を舐めた話はないのではないだろうか。

 因みにJOCが東京オリンピックに立候補した時、東京の夏の気候は「晴れることが多く、かつ温暖であるため、アスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候」とPRしたというから、これはJOCがIOCのみならず日本国民をも欺いていることではないか。尤も正直に書けば、東京オリンピックは日本には来なかっただろう。しかし、IOCはこんな猛暑の時期に世界的な屋外スポーツ大会を開催することをどう考えているのだろうか。選手への健康上の問題などをどう思うのか。オリンピック閉会後によくよく検討すべきであろう。東京大会の後の4年後にはパリで開催される予定であるが、今夏のパリも猛暑に襲われ、42℃を超えた日があった。早く手を打たないと間に合わなくなるのではないかと心配になる。

 さて、国内ではさほど大きな事件は見られないが、国外には米中貿易摩擦の影響でアメリカが中国に対して制裁関税を課していることが、世界の経済に影響を与えつつある。昨日ダウ平均株価が対前日比623㌦も下がった。週明けの日経平均株価でも響いてくるだろう。

 アメリカの中国に対する制裁は、昨年7月に第1弾として対中輸入額340億㌦に25%を課したのをきっかけに、中国が報復関税で応えた。それを皮切りに2国間の醜い貿易戦争へと発展した。アメリカは来月1日には第4弾として3243品目1100億㌦に10%、12月15日に555品目1600億㌦に同じく10%を課すと公表していたが、昨日になっていずれも15%へ課税基準を引き上げた。

 世界経済2大国がけんかしている貿易戦争状態に巻き込まれた他国が、思いがけない迷惑を被っている。米中両国は相手国を非難するばかりでなく、どうして率直に話し合って解決の道を探ろうとしないのか理解出来ない。当分の間米中対決解決の道は見通せない。

2019年8月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4485.2019年8月23日(金) 日韓関係に新たな問題

 昨日までは「あおり運転」で傷害容疑罪などにより逮捕された男と、男を匿った隠避容疑で逮捕された女の話題が、エンタメ番組に取り上げられ朝から晩まで放映されていた。随分低劣な男女がいたものだと思っていた。あおり運転は幸い被害者がドライブ・レコーダーで撮影していたことから、それが証拠となって御用となったが、仮にドライブ・レコーダーがなかったら今も各地で他のドライバーに迷惑をかけていただろう。最近急にあおり運転が目立ち始めたが、これは今に始まったことではなく、これまでは証拠もなく見過ごされていたのではないかと思う。幸い私自身車の運転は止めたので、そんな被害を被る心配はもうないのでホッとしている。世の中には変質者が結構いるものだと感じた次第である。

 さて、あおり運転に代わって今日大きな話題になったのは、日韓対立の中で日韓同盟のひとつの象徴でもある「日韓軍事情報包括保護協定(General Security of Military Information Agreement)」(GSOMIA)の韓国側の破棄である。昨日韓国政府は日本とのGSOMIAの破棄を発表した。これは2国間、或いは複数国間で秘密軍事情報を提供しあう際第3国への漏洩を防ぐために結ぶ協定で、日韓の間では2016年に結ばれた。今東アジアではロシア、中国、北朝鮮に対する安全保障上日米韓の連携韓国を批判し、ポンペオ国務長官も懸念を表明している。

 韓国の言い分は、GSOMIAは安全保障上国益を損なうということだが、むしろその逆ではないかというのが識者のコメントである。文在寅大統領は、国民から背を向けられるのを恐れて日本に対して強気に出ているとの声がある。国同士の関係がこじれてそれが民間の文化交流にまで影響が表れ、少年少女の友好都市相互訪問まで中止される有様である。すべて韓国側の申し出によるもので、せっかく準備を進めていた日本の自治体も遺憾に思っている。両国間の民間航空機も減便され、観光業界にも少しずつその影響が表れている。

 今更ながら、そもそもどうしてこんな両国間の対立が生まれてしまったのだろうかと疑問に思う。1965年締結された日韓基本条約で韓国に対する経済協力、両国間の請求権の完全かつ最終的な解決、それらに基づく日韓関係正常化などが取り決められた。韓国は、当時日本から韓国の年間国家予算額の2倍に匹敵する援助を得て経済復興を遂げることが出来た。韓国は日本に恩義を感じてもおかしくない。

 更に2015年12月には、慰安婦問題日韓合意で慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決した」と日韓両国首脳が確認した。しかし、これも反故にした。

 なんと韓国は国同士の約束を守らず、協定を実行していないのである。その間約束を履行した日本からは多額の資金が韓国へ渡った。自殺した廬武鉉元大統領の側近だった当時の文在寅現大統領は、慰安婦問題解決の協定調印に立ち会ってその主旨と内容を十分理解していたにも拘わらず、その後約束を守らず、問題を一層複雑化している。

 韓国のマスコミなどでも意見が2つに分れ、必ずしも大統領の行動を全面的に肯定しているわけではない。

 ただ、日本も留意しなければならないことがある。河野太郎外相が駐日韓国大使を外務省に呼びつけ、一見不遜とも受け取られかねない「無礼だ!」との発言は、気をつけなければいけない。今日のネットに前川喜平・元文科省事務次官や、小沢一郎氏らから外務大臣としては不適格とか、辞めさせるべきだとのツィッターが載っていた。細部で韓国から後ろ指を指されないよう大臣たるもの十分その発言に注意すべきである。

2019年8月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4484.2019年8月22日(木) 横浜市長、約束を裏切りカジノ誘致

 法律で認められたカジノを誘致する動きが少しずつ進んでいるようだ。すでに大阪市は2025年万博開催に合わせて人工島にカジノ施設を建設する計画を着々と進めているが、政府としては国内に3か所を整備する方針を示しており、大阪以外にも和歌山、愛知、長崎、北海道などが誘致に名乗りを上げている。それでも地元住民の間にはギャンブル依存症や治安悪化などを心配する反対の声が強い。

 そんな中で港湾事業者の強い反対の声を受け、カジノ誘致に消極的姿勢を示していた横浜市がここへ来て微妙にスタンスを変化させていたが、今日林文子市長がカジノを含むIRの誘致を進める方針を表明した。市長は「私どもの子どもたちの世代においても、将来にわたり成長・発展を続けていくため、横浜においてIRを実現する必要があるという結論に達した」と説明した。これでは後世代には、ギャンブル依存症や治安悪化も負の遺産として残したいと言っているようなものではないか。なぜ市民の強い反対を押し切ってまで悪名高いカジノへ手を伸ばそうとするのだろうか。

 私自身もちろん賭博であるカジノには大反対であり、僭越であるが、近々上梓される共著「新世代の観光立国」(交通新聞社刊)の中で簡単であるが、皮肉っぽく反対意見を書いた。林市長は、一昨年の市長選を前にそれまでのカジノ積極論から白紙として慎重な姿勢に変わった。それが市民を裏切り今日に至って再び態度を変えたのである。

 実は、横浜市によると、2018年に横浜を訪れた観光客は3420万人。17年に比べ5.8%減った。過去5年を振り返っても、3500万人前後で推移し、大幅な増加傾向は見られない。横浜市は日本全体で増加している訪日外国人の取り込みにも後れをとっている。15年から17年の外国人宿泊者数は日本全体で6561万人から7969万人と1.2倍に増えたのに対し、横浜市の外国人宿泊者数は72万人から73万人と微増にとどまっている。更に外国人観光客を取り込み切れていないのは、クルーズ船の寄港回数からもうかがえるという。かつては首都・東京の外港として日本の海の玄関口を担った横浜だが、クルーズ船の寄港回数では15年から博多港に国内首位の座を明け渡している。18年の実績は博多、那覇、長崎に次ぎ、国内で4位にまで落ちた。日本で3カ所しか容認されないカジノを含む統合型リゾート施設(IR)が横浜にあるとなれば、国内外の観光客を引き寄せる格好の材料になるとの言い分である。IRはカジノだけでなく、ホテルや商業施設、数千人規模の国際会議場などを併せ持つ複合施設であり、横浜市はIR開業後の観光客数が年間4400万~7800万人に増えるとし、経済効果(全体)は年間約7700億~1兆6500億円に達するとの試算で、IR誘致のメリットがあると言われている。そう黙阿弥通り上手くいくだろうか。これらの点から林市長は一旦は捨てたIR構想を、市民の反対を無視してでも再度やってみようと再挑戦の考えが浮上したのではないだろうか。

 しかし、横浜市内をうろつく博打師やヤクザの光景は、見たくもないものだ。ここは林市長がひたすら「白紙」と言葉を濁していたが、結局のところ金の誘惑に勝てなかったということだ。やはり一度政治家になるとウソをつくことに平然としていられるようになるものか。林市長には、前回の市長選の時の気持ちを思い出してもらい、是々非々を謙虚に検討して市民に丁寧に説明し、納得のいく結論を出して欲しいと思う。

2019年8月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4483.2019年8月21日(水) トランプ大統領の身勝手な思惑と対外的迷惑

 ほら吹きおやじのトランプ大統領が、またまた無責任なツィッターを流した。本職とも言える不動産屋の地が表れたのか、北極海に近いデンマークの自治領グリーンランドを購入することが出来れば戦略的に興味深いと語った。更にデンマークの財政負担を軽減出来る可能性についても余計なおしゃべりもした。当然この無責任なトランプ発言に対して、デンマークのフレデリクセン首相は即座に反応し、自国領土をアメリカに売却する可能性はないと突っぱねた。他の北欧諸国からも呆れられている。ところが、これに直ぐトランプ氏も意地悪な反応をした。近々予定していたデンマーク訪問と首脳会談を延期するとツィッターに書いた。この子供じみた無責任大統領には、いつもながら困惑させられる。

 一昨日アメリカが中距離ミサイル発射実験を行ったのも、アメリカが一方的に脱退を宣言した中距離核戦力全廃条約(INF)の失効から一歩踏み出したものである。更に地球温暖化防止のためのパリ協定から勝手に離脱したのもアメリカ、否トランプ大統領の他国の事情を配慮しない「アメリカ・ファースト」の我が儘である。

 近年北極海の氷が溶けだしているのも地球温暖化のせいである。少しでもそれを防止するために今CO₂ガス排出を抑えなければならない。CO₂ガスを排出する飛行機から鉄道利用を推進する動きが表れているらしい。その動きに逆行するトランプイズムの鼻を明かすような計画が実行された。民間人が大西洋をヨットで横断する企画がアピールされている。僅か16歳にして環境活動家のトゥンベリさんというスウェーデン人少女が、父親らとともにイギリスのプリマス港から大西洋を横断してニューヨークへ向かった。国連本部で開かれる気候サミットへ出席するという。この計画では飛行機に乗らないことが大きなアピールである。実は、昨年国際線航空機が排出したCO₂ガスは、世界のエネルギー関連CO₂排出量の約2%を占めた。こういうアンチCO₂情報が広く啓蒙されるようになれば、これからCO₂ガスを排出しない長距離列車や夜行列車の利用者が増えるかも知れない。

 さて、香港のデモについて現時点では中国の武力的介入はないが、介入が懸念されていることは間違いない。中国政府にとってこの問題に対する対応は微妙で、下手に行動すれば世界中から非難の矛先を向けられるのは避けられない。そこでどんな手を打つか注目されているが、現在どうも普通ではない方法が考えられているようだ。

  例えば、香港テレビ局記者に変装した中国人がデモ現場に出没したり、デモ隊のイメージダウンを狙ったフェイク・ニュースがツィッターやフェイスブックで大量に流れている。それらはデモ隊の暴力行為を強調する内容で香港在住の人が発信したように装っているが、短い文章中に英語の文法上の間違いがいくつも含まれているなど香港人らしからぬ、真っ当な情報に思えないものが多いようだ。これらの情報は事実を正確に把握しておらず、その背後には中国当局の関与があると見られている。

 日本の香港情勢対応については、昨日訪中している河野太郎外相が、北京で王毅外相と会談の折、抗議デモが拡大し中国が武力介入を示唆していることに憂慮を伝え、早期の対話を通じて問題が沈静化するよう期待感を示した。果たして河野外相、及び日本政府の期待を中国はどう受け止め対応するだろうか。

2019年8月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4482.2019年8月20日(火) 香港デモと中国政府の出方

 香港の大規模なデモが11週目に入った。一昨日には170万人もの市民がデモに参加した。この動きに対して中国政府は神経質になり、市民のデモをテロ呼ばわりして事あらば直接介入の動きを見せ、九龍隣の深圳に武装警察隊を待機させて威嚇している。

 1997年香港返還の際、1国2制度を中国が国際社会に向かって約束した。その決め事をないがしろにするような行動を取るなら、当然国際社会は中国を許さないだろう。今日の中国はとても民主主義国とは思えない。国際的に受け入れられない自己主張も強く、中国共産党が強いる利己的な思想や政策を押し付ける傾向が強い。元々民主主義とはかけ離れた中国式社会主義思想を唯一絶対の存在と決め、強引なまでに悪しき論理と体勢に固執するのは、毛沢東国家主席を神の如く信じて、毛思想が間違いないとの妄信の下に国がひとつにまとまって新生中国が創建されたからである。

 しかし、一人の独裁者・毛沢東の国造りの過程でどれほど多くの庶民が犠牲を払わされたかということについて、中国の人々はあまり知らされていないのではないだろうか。近代になって世界最大の虐殺者、殺人鬼とされるのは、実に6千万人もの国民を殺害した毛沢東である。そして、永世独裁者として権力の座に君臨しほしいままに振舞ってきた。国家全体は言うに及ばず地方自治体においても民主的で公平な普通選挙は一切行われず、共産党がすべてを取り仕切って今日に至っている。こんなことは現代社会においてとても受け入れられるものではない。毛沢東を盲目的に信奉し、第2の毛沢東を目指す習近平・国家主席が永世国家主席を目標にしているのも、現在の似非社会主義国家の横暴な国造りの礎となっている。こういう国が民主主義を声高に叫ぶ権利があるだろうか。

 香港デモの先行きは、中国政府の出方如何にかかっていると言っても好い。今はただ世界が中国の次の行動にどう出るか息を潜めて見守っている。

 その中国が、北朝鮮への国連経済制裁に賛同しているにも拘らず、北朝鮮に対して違法に食料支援を本格的に行っている。北朝鮮はミサイルを一方的に飛ばして周辺諸国を脅かせていながら、まともな国連への制裁解除への話し合いを行おうとせず、こっそり中国から食料を分けてもらい、中国政府はルール違反を犯しながら、北朝鮮を甘やかし世界中を不安に陥れている。

 こういう中国の考え方と体質からすると香港デモの解決はそう簡単には片付きそうもない。

2019年8月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4481.2019年8月19日(月) 「拝謁記」の内容の妥当性は?

 去る16日の本ブログに田島道治・初代宮内庁長官が、在任中600余回、300時間を超える昭和天皇との対話について書かれた「拝謁記」を取り上げたが、その後NHKのスペシャル番組としても放映された。初めて「拝謁記」が公表されたこともあり、話題としても興味深く多面的に内容を分析して、天皇及び天皇と接触した当時の首相との考え方や人柄を分析していて、それなりに興味をそそられるものだった。ただ、有りがちなことだが、その一方で今更大きく取り上げることについて、またその内容について批判的な意見も大分寄せられているようだ。かつて元レバノン大使のまま解職させられ話題となった天木直人氏の今日のブログにこう書いている。NHKが執拗に今後も報道を続けていると公表しているが、他のいかなるメディアもまったく取り上げていないことに首を傾げている。天木氏が特に問題としているのは、天皇が軍隊は必要だと告白したことである。更に芦田均首相は理論派だが、吉田茂首相は勘で動く人だと述べたことを取り上げている。

 更に歴史作家で徳島文理大学教授の八幡和郎氏は、一層厳しく批判している。八幡教授は、この資料自体は新発見とも呼べるが、「田島日記」はすでに公開されており、「『田島道治日記』を読む昭和天皇と美智子妃 その危機に」という解説書が2010年に出版されたと疑問を呈している。NHK番組では、この「田島日記」について触れていなかった。また、こうも述べている。天皇退位論は1948年で終わっていたと考えられていたのに、講和条約発効時にまだ議論が残っていたのが意外と強調していたが、河西秀弥氏の「講和条約期における天皇退位問題」という論文もあり、特に木戸幸一・元内大臣が1951年に意見具申して退けられていることもよく知られている史実であって、どこが意外なのかさっぱり分からないと疑問を抱いている。

 いずれにせよ我々国民が知らないトップレベルの機密事項が大分時間が経過したとは言え、公開されること自体は評価すべきであり、今後事実と噂の整合性をきちってやってもらいたい。そのうえで猛進気味のNHKが改めて疑問を抱かれないような内容で再放送してくれることを期待したいと思う。

2019年8月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4480.2019年8月18日(日) エチオピアのダム建設がトラブルにならないか。

 今エチオピアがナイル川の支流のひとつである自国領内の青ナイルに巨大なダムを建設中という。エチオピアと言えば、経済的に大分立ち遅れてアフリカ上位12か国の中でも、11位に位置してエジプトに比べても国民総生産額(GDP)で約1/5程度である。エジプトを古代から潤してきたナイル川の上流のうち、エチオピアのタナ湖に源流を持つ青ナイルとケニア・ウガンダ国境のビクトリア湖を源流とする白ナイルがスーダンで合流して大河ナイルとなってエジプトに恵みをもたらしてきた。その青ナイルに建設中のダムは、総貯水容量は世界7位となる巨大なもので、日本最大の岐阜県徳山ダムの貯水容量の100倍以上のスケールだというから驚く。エチオピア国内にはこれほど大量の電力需要はとてもなく、現在も不足気味の電力をバイオ燃料で何とか賄っている状態で、仮にダムが完成した後は自国需要分の他は、近隣諸国へ売電するようだ。

 現在ナイルのダム開発の利権がエジプトとスーダンの間で4:1の割合に両国間で協定されている。この現状に対してエチオピアが不満を述べてきたが、両国はこれを受け入れず、エチオピアは上流という優位を活かして借金をしてでもダム建設に踏み切ったものと思われる。2022年には発電設備が稼働すると思われるが、その後にナイル川沿岸諸国間で今後の開発、並びに利用権問題でトラブルが生じることが懸念される。

 以前にルクソールでナイル川を渡ったことと、スーダンで白ナイルと青ナイルが合流する地点で囂々と交じり合うナイルを目の当たりにしたことがあるが、ナイルが双方の国に与える天与の贈り物の価値と効果には計り知れないものがある。エチオピアの新しいダム建設ではこれまで苦難を舐めさせられてきたエチオピアとしては、ダム完成後はそう簡単に折り合いをつけられる話ではないと思う。一方、エジプトにとっては新ダムの稼働によってナイル川の水量が変わり、ナイルの水量が仮に2%減っただけで、エジプト農民ら100万人が収入を失うと言われていて新ダム建設はエジプトなどナイル沿岸国にとっては頭の痛い問題である。

 ヨーロッパ各国の間を縫って流れるドナウやライン川は沿岸国の大人の知恵により大きな争いにはなっていない。また、瑞穂の国・日本も水を必要としながらも自給出来ていることから水問題で対外的にもめることは避けられている。

 しかし、このアフリカのダム建設と水の問題は、ヨーロッパ諸国の相互互譲精神と話し合いで潜り抜けた先例のように上手にクリアすることが出来るか、些か気になるところである。

2019年8月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4479.2019年8月17日(土) 本のタイトルが長くなった。

 今日も朝から暑い。台風は西日本を通過して日本海へ抜け北海道方面へ向かっていった。幸い交通機関も動き出し、お盆休みを終えて帰る人々で交通機関や高速道路は混雑しているようだ。今日は甲子園でも高校野球4試合が行われ、ベスト8校が決まった。ただ、テレビのニュースでは熱中症の防止対策など、暑さ対策についてかなり細かく伝えている。

 さて、最近長い書名の書籍が大分出回って話題になっているという。山下泰平さんというブロガーが初めて出版された著書「『舞姫』の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に依存したので、20万字くらいかけて紹介する本」という長ったらしい名前の本がキッカケのようだ。最近では、同じような傾向がテレビ番組でも使われ、バラエティでも「そんなコト考えた事なかったクイズ!トリニクって何の肉!?」なんて番組がテレビ朝日系列で放映されたという。この傾向には諸説あるようだが、出版不況で検索されやすいワードを盛り込み、題の差別化を図る傾向が強まってきたからだとある専門家が解説していた。

 今から3、4年前神保町のレストランで隣り合わせた作家の加賀乙彦氏と話し合った時、加賀氏から書名は短ければ短いほど良いと聞いたことがある。その時加賀氏はご自分の著書の中のベストセラーは刑務所内の様子を描いた「宣告」だと仰っていた。確かにこれならたった2文字だから短い。その折拙著のタイトル「南太平洋の剛腕投手」をどう思うかと尋ねたところ、まぁこのくらいなら良いでしょうとのお話だった。爾来本のタイトルを些か気に掛けるようになった。今取り掛かって年内、遅くも来春には上梓したいと考えている拙著も仮題は決まっているが、決定ではない。確かに最近全般的に本のタイトルはあまり短くないように感じている。前記のように時代の流れの中で変化が表れてきているのも事実である。決定的なことは言えないにせよ、書籍まで時代に左右されるようになってきたのかと感慨深く思っている。

2019年8月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4478.2019年8月16日(金) 2.26事件最高機密文書と天皇「拝謁記」の公表

 太平洋戦争関係のニュースは、昨日の終戦記念日とともに一応帳を下ろしたようだ。昨日NHKがスペシャル番組として放映し、ごく最近発見されたという海軍の最高機密文書について報道した「全貌『2.26事件』」を録画しておいたので、終戦とは直接関係はないが、戦争の遠因ともなった事件なので、今日じっくり鑑賞してみた。

 2.26事件については、どういうわけか近年メディアであまり取り上げられることがない。天皇が在位中に最も気にされた2つの事象とは、終戦とこの2.26事件だったという。それだけに日本史上最大のクーデターと言われ、その後軍部が天皇を神格化し軍国主義体制を堅固にして、ついには太平洋戦争に突っ走っていった経緯を考えても、反戦的な立場と反省からすれば、最もタイムリーな日時である事件勃発の2月26日前後に、メディアは平和志向の意味を込めて事件を取り上げるべきである。しかしながら、最近では事件が起きた2月26日前後にほとんど報道されることがない。その点について私自身不満に思い近年は2月26日になると毎年このブログ上に指摘している。メディアの不感症ぶりに失望し、このままでジャーナリズムは大丈夫だろうかと心配もし、少々呆れていたところでもある。終戦記念日にこのようなドキュメンタリーを放映するなら、どうして時宜を得た当日の2月26日前後に放映しないのだろうか。

 この最高機密文書は、比較的最近になって見つかった事件の重要な書類で、事件に当たって海軍内の動静や内幕について詳しく紹介している。天皇、陸軍、海軍がそれぞれの難しい立場でこのクーデターを鎮圧するに至った経緯を各方面の視点から明らかにしたものである。何しろ海軍内の6冊からなる部厚な詳細な記録文書だけに、よくぞこれまで機密が保たれ83年間も表に出なかったものである。

 2.26事件については、松本清張著「昭和史の発掘」に詳しいが、新たに見つかった文書との関連性についてはもちろん触れられていない。この文書で一番不可解なのは、事件前に海軍軍艦が東京湾に集結して内戦一歩手前まで追い詰められた状況にあったこと、戒厳司令部士官と親しかった青年将校との面会の事実、そして事件の1週間前に海軍では、岡田啓介首相、斎藤実内相、高橋是清大蔵相、鈴木貫太郎侍従長が標的にされていたことを承知していたこと、反乱軍の中核青年将校・安藤輝三大尉、栗原安秀中尉ほかの名前が把握されていたにも拘らず、それに対して海軍は何ら手を打たなかった等の疑問である。

 これほど貴重な資料はそうざらにあるものではない。これだけの重要な事実を知らないまま今日まで至ったということは、似たような革命的なことを企んでも世間には分からないままになることが今後も有り得るということになる。恐ろしいことであると同時に、メディアは伝えるべき情報を入手して、それが国家の平和と安全、国民の安心と安全に結びつくなら、即刻前向きに伝えるべきであると思っている。

 ところで、今夕7時のNHKニュースでは、NHKが昭和天皇との対話を書き写した田島道治・初代宮内庁長官の「拝謁記」を入手したと発表した。昭和24年から5年分もある。その中で天皇は太平洋戦争について悔恨の念と悲痛を述べられていた。軍部の勢いは誰も止められなかったと、また東条英樹なら軍を抑えられると信じて首相就任を認めたが、結局駄目だったと仰ったという。また、昭和27年サンフランシスコ平和条約が締結された際、お言葉の中に天皇は「反省」という言葉を加えたかったが、吉田茂首相が反対して入れることが出来なかったと述べたそうである。

 戦後74年になって新たに貴重な資料が見つかったり、プライベートな記録が公表されたり、今までこれほど長い間どうして表に出てこなかったのだろうか。他にもまだ真実が公になることが有るかもしれない。それだけに今公表された情報だけでもせめて確実に知っておかなければならないと思っている。それにしても情報というのは無限にあるものだろうか。

2019年8月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4477.2019年8月15日(木) 74回目を迎えた終戦記念日

 今日は74回目の太平洋戦争終戦記念日に当たる。今では戦争を知らない世代が増えて、戦争の本当の怖さや厳しさを知らない人たちが多くなった。それだから反戦とは言ってもどこまで本気なのか分からないことがかなりある。

 午前中に武道館で政府主催の令和最初の全国戦没者追悼式が行われ、今上天皇が初めてお言葉を述べられた。今対立している韓国では今日は日本から解放された記念日として「光復節」と呼んでいる。

 今日は西日本方面を襲っている台風10号とお盆の交通関係のニュースが大分多い。しかし、この1週間を見てみると終戦記念日があるせいか、やはりテレビでも戦争に関するドキュメンタリー番組が比較的多い。その中で12日にNHKで放映された「かくて自由は死せり~ある新聞と戦争への道~」を観ていてハッとなった。主役として紹介されたのが元司法大臣であり、鉄道大臣も務めた小川平吉で、1925年から35年まで「日本新聞」を発行して天皇制度の絶対護持を主張していた右翼政治家である。その平吉の次男・小川平二は自民党員ながらリベラルで学生時代に父親からアカは家の敷居をまたぐなと脅かされたという。その平二の娘がわが妹の亭主の弟と結婚したので、妹にとっては平二の娘は義妹に当たる。小川平吉はかなり個性の強い人物だったが、信念を曲げなかったのは、政治家として1本筋が通っていたと言えよう。意外な縁から改めて小川平吉を観察することになったが、昭和の初めには保守から右翼への風が強くなり、日本は中国へ進出することになった。それが、今日終戦74年を迎えた太平洋戦争に突っ込んで行った原因となった。日本新聞で浜口雄幸首相のロンドン海軍軍縮条約調印を天皇の統帥権干犯として厳しく追及し、その結果として浜口首相が暗殺される事態を招いたのにも、平吉には一端の責任があると思う。

 夜になってNHKスペシャル「全貌『2.26事件』」の他に、フジテレビ「アンビリバボー」で「実録不死身の陸軍特攻兵・・・9回出撃生還した男」というドキュメンタリー番組が放映された。後者については陸軍航空慰霊団のお供でビルマへ何度か訪れている時に、主人公・佐々木友次伍長の話はしばしば聞かされていた。その後本でも読んだ。その当時海軍の神風特攻隊の他に陸軍航空隊にも万朶隊という特別攻撃隊があると初めて知ったものである。佐々木伍長名誉の戦死と新聞に報道され、家族も外に出られなかったという当時としては屈辱的な生活を送ることになった佐々木伍長の家族は、周囲を気にしながら忍従の生活を送っていたという。佐々木伍長は第4飛行師団のパイロットとして終戦までフィリピンに留まり捕虜となった。戦後も生き延びつつ数年前に92歳で亡くなられたという。この種の話はあまり知られていないが、これからも華やかな一面ばかりでなく、隠れた真実もどんどん掘り起こして戦争を知らない世代にもっとアピールして欲しいと思う。

2019年8月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com