4783.2020年6月16日(火) 迎撃ミサイル「イージス・アショア」配備計画停止

 昨夕河野太郎・防衛相が唐突に迎撃ミサイル「イージス・アショア」配備計画停止を公表した。アメリカの強引な要求に応えて買わされた高価な防衛機材であるが、防衛省は3年前に購入を決定した。その後、配備地である秋田県と山口県との話し合いでも安全面から地元の理解が得られていない。

 2017年の日米外相・防衛相会談で、日本側がアメリカに導入を伝達し、その後年内にトランプ大統領が安倍首相に購入圧力の発言があり、首相がこれに応じる形となって2025年度には導入の予定だった。しかし、その後部品の価格が上昇し施設としては高額になり、加えてミサイルを打ち上げた時に切り離す装置「ブースター」が、狙った場所に落ちない可能性があると分かった。「イージス・アショア」システム改修には、2千億円と10年というコストと期間がかかるとの見通しである。配備を予定した地域における反発などもあって、「導入ありき」だった「イージス・アショア」の配備計画は急転直下停止されることになった。ただ、防衛省が地元に安全を約束していながら、設備が不安のため計画を停止することについて、その説明が地元に行われないことに地元は怒っている。

 高価な防衛機材はこれまでもアメリカから買わされていたが、2016、17年の北朝鮮による核ミサイル実験に対する警戒、及び防衛上、急遽導入することになった経緯と購入理由は理解できるにしても、無駄遣いとも思える他の防衛機材の巨額の購入は国民としてそう簡単に納得出来るものではない。

 河野防衛相の思い切った武器購入停止措置に対して、安倍首相は了解したとされるが、政府内でも驚きで受け取った自民党議員が多くいる。党内では、防衛相経験者の石破茂氏、小野寺五典氏らがその決定に疑問を投げている。河野防衛相は行政改革相を務めた経験などから就任直後から、アメリカから購入する防衛装備品の見直しを考えていたようだ。現状もアメリカの言いなりになって高価な防衛品を買わされている。先般の第2次補正予算で計上された巨額の予備費10兆円に、アメリカ政府が目を付けなければ幸いである。

 ただ、俺が俺がで自意識過剰な河野防衛相は、過日の航空自衛隊機のブルーインパルスにより、新型コロナウィルスで治療に当たる医療関係者への感謝の気持ちを表したとの報道は賛同しているが、河野防衛相がそれに罹った経費が3百万円とつい喋ったことが医療関係者に知られて、医療関係者が心苦しいと述べた。こんなことは黙っていれば済むことであり、このことで防衛相は口が軽いことを図らずも知らしめることになった。

 防衛大臣に限らず、国費で物品を購入する以上、最初にその物品購入が国民にとってプラスになり、納得出来るものであるのかを、先ず以て考えて欲しいものである。

2020年6月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4782.2020年6月15日(月) 欧米に比べて日本にコロナ感染者が少ない理由

 アメリカの新型コロナウィルスは圧倒的な感染者数となり、すでにその数は2百万人を超えて214万人となり、死者は11万7千人となった。このまま劇的な対策が取られなければ9月には、死者の数は20万人になるとハーバード大研究者が警告した。アメリカはトランプ大統領の認識の甘さから初期対応に後れを取り、あっという間に全米中に感染が拡大してしまった。それにしても常日頃からアメリカは偉大な国であると自惚れていたトランプ大統領にとっては、予想もしなかったカウンターブローを浴びている。傲慢な自国第1主義の結果が、このザマである。他の国にとってアメリカは反面教師とでも言えよう。

 そこへ黒人暴動事件が各地で勃発し、それにトランプ大統領が火に油を注ぐような過激な発言をしたために、激高したデモ隊と大統領の間で激しい言い争いになっている。この数日黒人が連続的に警官によって拳銃で射殺される事件も起きており、警官と市警トップの解職に発展しているところもある。さしもの騒動続きにトランプ人気はみるみる下がり、11月の大統領選は危ないとの観測がある。これまで民主党候補者になると見られているバイデン前副大統領をリードしていたが、今や支持率で追い抜かれ、その差は開く一方である。共和党内でも反トランプの声が上がり始め、ブッシュ元大統領をはじめ、党重鎮が皆トランプ氏を支持しないと言い出す有様である。現在の状況からすると5か月先の大統領選では、トランプ氏の旗色が大分悪い。

 さて、日本国内ではどうか。コロナウィルスについて一応緊急事態宣言は解除されたが、東京都では独自の「東京アラート」を解除してから意外にも連日感染者が増え続けている。それでもアメリカに比べれば、かなり感染者は少ない。欧米のコロナウィルスは日本のそれよりウィルスの毒性が強いということがあるようだ。だが、アメリカは医療先進国と自称する割に、貧困層に配慮しない医療政策、健康保険全員加入ではないなどの理由により低所得層が健康状態を維持することが難しい。そこへ普段から肉体的接触を伴う抱擁、接吻、握手などが日常生活上付きまとっている。家への出入りでも、日本では履物を脱いで室内へ入室するが、アメリカでは靴を履いたまま家に入って外と同じ土足生活となる。この辺りが、今度のコロナでも日本が欧米より感染者が少ない原因として今話題になっている。日本の文化が評価されるひとつの所以でもある。

 ところで、新型コロナウィルスによる各種補助金の内、全国民ひとり当たり10万円の特別定額給付金が話題になっているが、漸くかなりの人たちの手元に送られてきたとのニュースが伝えられた。横浜の知人もすでに受け取ったとのことで、今日銀行通帳で入金をチェックしたが、入金されていなかった。これを当てにしている人びとは大変だなぁと思う。

2020年6月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4781.2020年6月14日(日) 首を傾げる発言と難しい英語表現

 今朝TBSテレビで「サンデーモーニング」を観ていて、あれっと思った。姜尚中・東大名誉教授がレギュラー・メンバーとしてトークをしていたが、この中でアメリカの黒人暴動に絡む問題を話した時、こういうことを言っていた。

 黒人問題はアメリカが抱える問題の中でいつも人種差別はいけないという形で終わる。オバマ大統領が黒人大統領として「10年間」の在任中に問題解決に当たったが、解決することは出来なかったという主旨の発言である。姜教授はなぜ「8年間」の筈なのに「10年間」と言ったのだろう。この「10年間」という言葉を疑問に思った。「10年間」という表現を何度も使ったのだ。うっかりとも思えないくらい度々使ったのは、意図的なのかどうかは別としても少々軽率ではないだろうか。姜教授はこの点について何も語らなかった。この姜教授の発言に対して司会者、同席者、リモート参加3人が誰ひとりとしてサジェスチョンをしなかったし、番組でも何の訂正もしなかった。アメリカ大統領の任期が1期4年であることは、誰しも承知しているし、今ではトランプ大統領2期目の選挙直前ということもあり、常々4年ということが言われている。それが東大名誉教授にして何故気恥ずかしくなるような大統領任期が2期10年という言葉になったのだろうか。

 馬鹿々々しくてその後これを観ていないが、東大教授にしてはお粗末ではないか。それにしても番組ディレクターか、誰かがそっとメモ用紙を手渡すことぐらい出来なかったのだろうか。朝っぱらからすっきりしない気分になってしまった。

 さて、今黒人差別問題で全米にデモが展開されているが、しきりに‘BLACK LIVES MATTER’というセンテンスが使われている。初めてこの言葉を見た時、学校で学んだ英語教育の常識から、主語と自動詞は佳しとして、その後に目的語となる名詞が付随するのはおかしいのではないかと首を傾げた。大学入試問題では絶対に出題されない文章である。同じような疑問を抱く人が多いせいか、メディアでもかなり取り上げられている。それによると直訳では「黒人の命は(も)大切だ」と訳されている。受験生並みの理解力では、そういう直訳は出来ない。しかも日本語訳には‘MATTER’がまったく使用されていない。大体‘LIVES’は、他動詞ではなく、自動詞なので続く単語は補語として形容詞的な単語が必要なのではないかと考えてしまう。海外へ出かけると好い加減な「コンドー語」で誤魔化しているが、受験から一歩も進まない英語力では、こういう時に困惑することになる。

 それにしてもアメリカで問題なく使われている文章であっても、日本で習う英文法と異なるのは少々戸惑うところである。もっともっと現地語に通暁することが大切であると教えられているような気がする。

2020年6月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4780.2020年6月13日(土) 糖尿病は回復に向かっている。

 2月に糖尿病と診断されてから食事療法とウォーキングに努めて回復を心掛けてきたが、今日医師から順調に回復しており、体重などは頑張り過ぎなくらいだとお褒めの言葉をいただいた。食事量を抑え気味にしていたが、健康療法士との夫婦一緒の面談でももう少し食事量を増やして、他の食べ物も食べた方が良いとアドバイスされた。体重も当初69㎏だったが、昨日61.6㎏まで減量することが出来た。

 とにかく2月21日に糖尿病と診断された時は、一瞬前途が暗くなった。多少は改善出来ても元へ戻すのは難しいとやや悲観的に考えていた。6.5未満であるべき基準数値ヘモグロビン(HbA1c)が11.3%もあった。その後今日まで5度診察してもらった結果、10.8、9.6、8.2、6.4.そして今日は6.2まで下がった。来週白内障の手術を行うかも知れないので、医師にその点を尋ねてみると問題ないとのことだった。漸く気分的にすっきりした。健康回復への地道な努力を続けた結果、上杉鷹山の好きな言葉「なせば成る~」が現実となった。今晩の食事は、快気祝いというほどのことではないが、「快気祝い直前祝い」ということで妻ともども正月2日以来5か月ぶりに缶ビールをひとついただいた。これからは、いつ糖尿病が再発するか分からないと普段から用心して食事面と健康面に充分注意したいと考えている。

 さて、皮肉なものだが、新型コロナウィルス感染拡大を警告する「東京アラート」が解除されたが、東京都内の感染者数は先週に比べて増加傾向にあり、この数日は連日20数名を数えている。全国的には、感染者数は伸び率が小さくなっているが、死者もほぼ毎日のように出ている。相変わらずアメリカでは感染者が急増し、世界中の感染者総数750万人の1/4 強の202万人を数え、死者も世界の42万人のうち11万人がアメリカ人で、トランプ大統領は自らの初動対応の失敗を棚に上げて中国が正確な情報を提供しなかったからだと中国の対応を厳しく非難した。

 感染者の傾向を調べていて気が付いたのは、意外なことに昨今コロナウィルスの発生地である中国における感染者数、死者数がともに極端に少なくなったことである。昨日までの2日間に世界全体で27万人が感染し、1万2千人が亡くなっているにも拘わらず、中国では感染者が19人しか増えず、死者がひとりもいないことである。このこと自体は喜ぶべきことではあるが、中国政府が言うようにコロナの感染を封鎖することに成功したとの言をそのまま信用しても良いのだろうか。トランプ大統領に中国は正確な情報をWHOに伝えていないとまた言いがかりを言われるのではないだろうか。あの巨大な人口を誇る中国より、世界的には少ないと見られている東京の方が何倍も感染者も死者も出ているということは俄かには信じがたいのも率直なところである。

2020年6月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4779.2020年6月12日(金) コロナ対策中の小池都知事、再選立候補へ

 旧文部省では「ゆとり教育」が長らく実施されていたが、その後批判が高まり今では中止となり元のゆとりのない教育カリキュラムに戻ってしまった。その「ゆとり教育」の提唱者であり推進者が寺脇研・元文化庁文化部長だった。私が旧文部省に出入りしていたころは、「ゆとり教育」が抵抗なく実施されていたが、今では詰め込み教育に逆戻りである。寺脇氏は今では京都芸術大学教授を務めつつ、若者との私塾を経営し映画評論家、落語評論家としても活動されている。

 その寺脇氏が昨日のツィッターで東京都の新型コロナウィルス「東京アラート」の解除についてこんなことを述べている。「ステップ2になった翌日に『東京アラート』だったんだよね。で、そのアラートが解除されたら即ステップ3だって?全く論理性がない。アラート解除でステップ2やってみて、安心できる数字になったらステップ3というのが筋だろう。知事さんの論理、私には理解不能・・・」

 確かに寺脇氏の言うことの方が筋は通っているように思う。ステップ2となって解除が緩和された一方で、警戒すべき東京アラートが発動されたのはどうもピンと来ないとは思っていた。そう思う日本人は多いのではないだろうか。都民である私も都知事の論理が分からない。

 他にもツィーターが続いている。

 「正に都民の私にも理解不能です。橋を赤くしたりしなかったりなど正直どちらでもよいです。それよりウィルス終息するまでの様々の詳細な対応対策支援!徹底して欲しいです。小池知事支持しません」、「やってる感を出す為にアラートを出し選挙が近くなりアラートを解除しステップを進めただけのノンポリシー知事」、そしてついには「東京アラートはね、タヌキの気分次第なので、あれは選挙活動の一環で、パフォーマンス」とか、「小池都知事は、アラート中に都知事立候補出来ない、だからアラート解除」と中々手厳しい。そして、ツィッターの言うとり、今日小池百合子都知事は、都知事選へ再び立候補することを表明した。

 確かに、政府の緊急事態宣言が解除となった後も、大阪府の「大阪モデル」に次いで、東京都は「ロードマップ」を設定して「ステップ0,1,2,3」と段階的に緩和してきた。そこへ「東京アラート」という警戒警報を発動したから分かり難くなった。そして、今朝0時に東京アラートを解除したところ、昨日、今日と都内の感染者は増加し出した。東京アラートを解除する3つの指標のひとつに、週単位の感染者数の増加率が1倍以上というのがある。昨日解除を決めた時点でそれはぎりぎりの0.98倍だった。そして今日新たな感染者が25名となり、1を上回った。まさに間一髪だった。このアラート解除によって小池知事は立候補決断を一歩踏み込むことが出来た。もう少し都知事のお手並みを拝見したいところだった。

 これで新型コロナウィルス第2波がやって来なければ、好いのだが・・・・。

2020年6月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4778.2020年6月11日(木) 麻生財務相は世渡りがうまいのか、よほど優秀なのか?

 今日関東甲信越地方も梅雨入りとなった。すると午前中は日が照っていたが、午後遅くなって雨が降り出してきた。今週いっぱいは東京も雨にやられそうだ。

 さて、今日東京都は「東京アラート」を解除することを決定した。ロードマップ上の「ステップ3」も解消され、カラオケ店など接触の多いと考えられているビジネスも営業再開となる。ただ、これで新型コロナウィルスが終息したわけではない。油断するとすぐ第2次感染、第3次感染が襲って来る可能性がある。まあ、それでも気持ちの面でホッとしている。

 ついては、放言政治家としてつとに知られている麻生太郎・副総理兼財務大臣が、また軽薄な発言をして注目されている。この御仁は、無知、心的アンバランス、感覚ずれ、不注意、ノーテンキなど精神面の弱さのせいか、普段からつまらない放言が多すぎる。かつて総理大臣を務め、今では安倍首相に次ぐ政治的地位に7年間も留まっているのだから、もう少し言動に慎重であるべきであるが、どうも口にチャックを付けることが出来ないようだ。

 今回は「国民の民度」の点で、物議を醸している。4日参議院の財政金融委員会で日本の新型コロナウィルス感染症による死者数が他の先進諸国に比べて少ないと指摘した後で、それは国民のレベルが違うからだと述べた。こういう不遜な言い方が、周辺の国々に良い印象を与える筈がない。

 この人の放言を挙げたらキリがないが、今年1月にも「2千年の長きにわたって1つの民族が続いている国はここしかない」として、大和民族を誇りとしてそれ以外のアイヌ民族を日本人でないような発言をして後始末に追われたことがある。

 その他にも終末期医療に触れて「さっさと死ねるようにしてもらうことを考えないといけない」とか、少子高齢化については「年を取ったやつが悪いみたいなことを言っている変なのがいっぱいいるが、それは間違い。子どもを産まなかった方が問題」。また、憲法改正を巡りこんなことまで喋った。「ある日気がついたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていた。あの手口を学んだらどうかね。わーわー騒がないで」。拾い上げたら枚挙に暇がない。もうメチャクチャなのである。

 この恥知らずで高慢な大臣は、4日の発言の後9日に野党議員から反省を促されたが、逆に死亡率の低さを挙げて「間違いなく誇るべき数字。韓国と一緒にせんでくださいよ。強制力なく、みんなで自主的にやったところが一番すごい。要請しただけで国民が賛同し頑張った。国民として極めてクオリティーが高い」と日本人を褒め称え、益々意気軒高としていたらしい。この愚かな大臣には最早つける薬がない。

 麻生大臣は、時折漢字を読めない時があるが、それでも長期間大臣の中でも最も厳しい財務大臣を務めて来られたのは、何故だろうか。かつて、麻生氏が読めなかった漢字に「有象無象」があった。この「ウゾームゾー」を「ユーゾ-ムゾー」と呼んでも日本の財務大臣にはなれるということか。

 こういう空気を読めないような人物が日本の金庫番を務めているのだから、日本の借金が減らないのも無理はない。

2020年6月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4777.2020年6月10日(水) 外務省の理解し難い言葉遣い

 今週は医療関係づいている。月曜日に歯科で入れ歯の調整をしてもらい、昨日火曜日は通院している土坂眼科で今日東京医療センターで診てもらうことを伝えた。そして今日紹介されて東京医療センターを訪れたが、そこで野田医師から普段通っている土坂医師の紹介がないと診られないので、紹介状を持って改めて来て欲しいと言われた。随分面倒なことになったが、明日土坂眼科で紹介状をもらって改めて東京医療センターで診てもらうつもりである。

 ところで、今日東京医療センター内の様子は、普段とさほど変わるほどのものではなかった。少し訪問者が少ないとは感じたが、こうした大病院では、それほど新型コロナウィルスによる影響がないのだろうか。それでも病院関係者はもちろん訪問者は全員マスクを着けていたが、この暑い中でマスクを着けるのは少々堪える。今日は昨日に続いて随分気温が上がり、都内でも昨日31℃で今年最高を記録して初の真夏日となったが、今日はそれを更に1℃上回り32℃だった。真上から太陽の暑い日差しを受けて、東京医療センターまで歩いて行くつもりで日傘用に折り畳み雨傘を差したが、暑さに耐えられず僅か2停留所だがバスに乗ってしまった。

 さて、7日の本コラムに中国が香港に対して国家保全法制を押し付けることについて、先月アメリカをはじめ、イギリス、オーストラリア、カナダ外相が中国に対して深い懸念を示す共同声明を出すにつき日本に同調するよう求めたが、加わらなかったと書いた。それと同時に日本は独自に中国に対して憂慮を示していた。この違いはどういうことなのか。昨日安倍首相は、改めて深く憂慮していると述べた。共同声明については、G7外相による共同声明を出す方向でアメリカと交渉しているという。

 この件では実に回りくどい言葉の表現が誤解を呼んだようだ。中国が香港への国家安全法制導入を決定した時点で、菅官房長官が「深く憂慮」と表明し、外務省は孔駐日中国大使を呼んで「深い憂慮」を強く申し入れた。外務省の言い分が奮っている。4カ国外相の共同声明で表現された「深い懸念」より、日本の「深い憂慮」の方が強い表現だと主張している。言葉尻を捉えてグチャグチャ言っているより、言った言葉が発言者の意図通り相手に理解されているかどうかの方が大事だと思う。

 すると昨日の安倍首相の先進G7による共同声明の発表を目指している「深い憂慮」発言に対して、中国の華春瑩外務省報道局長は今日「日本側に重大な懸念を表明した」と語ったが、この「重大な懸念」は、安倍首相の「深い憂慮」とどちらが「重大」なのか、また「深い」のかよく分からない。

 こんな次元の話をしているようでは、外国から本音を言ってもらえなくなるのではないだろうか。

2020年6月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4776.2020年6月9日(火) 横田滋さん永眠。拉致問題はどうなった?

 去る5日、北朝鮮拉致被害者・横田めぐみさんの父滋さんが87歳で他界された。すでに葬儀を済ませて、今日2人の子息とともに妻早紀江さんが記者会見に臨んだ。滋さんはめぐみさんがいなくなった原因が分からない中で懸命に娘を探し回っていたようだが、見つからず、2002年になって金正日総書記が小泉首相に直接謝罪して拉致を認めた。だが、北朝鮮の説明ではめぐみさんはすでに死亡したと言い、遺骨まで届けられたが、DNA鑑定の結果別人のものと分かり、以後横田夫妻は娘の帰国を願い続けて、拉致被害者家族会の代表者として、全国を講演しながら娘の帰国を支援してもらえるよう訴え続けていた。

 その願いも空しく横田滋さんは逝った。滋さんの無念の気持ちはいかばかりであろうか。

 横田滋さん逝去の訃報を受けて、拉致被害者の帰国実現が政権の最重要課題と言い続けてきた安倍首相は、「(妻とともにめぐみさんを抱きしめる日が来るように努力してきたが実現できず)申し訳ない思いでいっぱいだ」と目に涙を浮かべながら述べたとされている。しかし、本当に安倍政権は他の拉致被害者救出に「努力」しただろうか。拉致被害者5人が帰国してから何らの成果もない。内閣官房内に拉致問題対策本部を設置して定期的な会合、セミナーを開き、情報を伝えているが、政治レベルで具体的に北朝鮮の渉外担当者と話し合いを進めている気配もない。

 知人の軍事アナリスト・小川和久氏から定期的にメール・ニュース「NEWSを疑え!」を送ってもらっているが、昨日のメールに拉致被害者救出について次のように具体的なアプローチを考えたコメントが書かれていた。

 「拉致問題に対する日本政府の姿勢は根本から改めなければならないと痛感させられています。まず、韓国にいる3万人以上とも言われる脱北者の一人一人に対して、徹底的に聞き取り調査を行うことが基本です。聞き取り調査は役人に任せず、新聞記者のOBなど取材(イコール情報収集)の実務経験者を「高給優遇」で3チームほど編成し、一人の脱北者に対して最低3回は粘り強く聞き取りを行うのです。新聞記者のOBらが執拗な聞き取りを行うことにより、脱北者がお金目当てで日本人が飛びつきそうな話をするのを、ふるいにかけてより分けることが可能になるでしょう。そこまでやっても、有力な情報が得られることは期待できないでしょう。しかし、拉致被害者の生存についての『期待できる情報』、あるいはまったく否定的な情報の輪郭だけは把握できるはずです。それをもとに、次なる情報収集のステップを計画することも、あるいは北朝鮮側を動かしながらの調査活動も可能になると考えるべきです。このような根気を要する取り組みは、日本人は得意ではないようですが、先進国の情報機関では常識なのです。韓国の情報機関・国家情報院の北朝鮮専門家も、なぜ日本政府は最も基本的な情報収集活動をしないで、『なにか手がかりになるような情報はありませんか』と聞いてくるのでしょうと首をかしげていました。新聞記者の世界では、担当している役所の中を『なにか(ネタは)ありませんか』と聞いて回るだけの記者は『御用聞き』と軽蔑されます。日本政府の姿勢には、それとダブる印象がつきまとうのは否めません。横田滋さんの旅立ちを機に、いま一度、本気で拉致問題解決への取り組みを考え直すべきではないかと思っています」。

 なるほどと納得した次第である。現場で軍事に携わっていたエキスパートには、それなりの具体的なアイディアが考えられるのだ。どうして安倍政権はこうした人たちの意見を素直に聴こうとしないのだろうか。こんな調子では、横田めぐみさんが帰って来る期待は、まず持てないだろう。

2020年6月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4775.2020年6月8日(月) 黒人暴動を大統領はどう切り抜けるか。

 アメリカ国内で黒人中心のデモが吹き荒れている。先月27日にミネアポリスでひとりの黒人男性が警察官に首を押さえつけられ、そのまま死亡したことが黒人蔑視・差別と受け取られ、黒人を中心に警察官の行動に対して抗議が起こり、それが全米に拡大していった。今では前代未聞の「抗議デモ」に発展しているが、一部が暴徒化して商店を壊し商品を略奪する輩まで出ている。

 アメリカ社会では過去において黒人の反体制デモがしばしば起きているが、目に見えないところで白人の黒人蔑視がエスカレートし、白人と黒人の対立が深く潜航しているからである。一旦きっかけがあれば、それがすぐ浮上し対立が表面化する構造になっているのだ。今回のデモには、トランプ大統領の対応の拙さがある。大統領は説得して話し合いをする姿勢は見せる気はなく、公権力によってデモを抑え込もうとの意思が強く、今回は州兵ではなく、連邦陸軍を無秩序にもデモ隊を弾圧するために利用しようとした浅はかさがある。

 アメリカの公民権運動の発端となった差別を解消するための運動は、知る限りでも1963年のワシントン大行進で後に暗殺されたマーチン・ルーサー・キング牧師が、‘I have a Dream’とスピーチしたことが強く印象に残っている。もうひとつ、1992年にロスアンゼルスで起きた黒人暴動は、過去最大級のデモ、暴動と言われているが、現在編集中の拙著「八十冒険爺の言いたい放題」の中で取り上げている。というのもちょうど暴動が発生した時、南アフリカではアパルトヘイト是非議論が終盤に差し掛かっていた。偶々南アフリカに滞在してロスアンゼルスの暴動をテレビ実況で観ていたからである。その時南アフリカの恵まれた黒人サラリーマンから、人種差別について思いがけないことを聞いた。黒人の彼が同じ黒人に対して同情の気持ちを示さず、アメリカでもアパルトヘイトをやっていれば、こんな不祥事は起こらなかったと驚くべきことを私に話したのだ。

 かつてのアメリカ大統領は黒人差別問題が騒ぎとなる度に、苦悶していたが、トランプ大統領は果たしてこの難局をどう乗り切っていけるだろうか。彼の頭の中は、人種差別感が充満しているように思える。黒人に対して端から話し合おうという気持ちがない。きれいごとを言っているが、差別主義者である。こういう人物が大統領として君臨していることが、現代アメリカの悲劇であると思う。幸か不幸か、11月の大統領選へ向けてトランプ大統領の評価はこのところ下がる一方である。出来得れば、それが現実となって、トランプ大統領が大統領選において敗れることを期待したい。

2020年6月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4774.2020年6月7日(日) 香港問題で中国非難に背を向ける政府

 中国政府の香港への国家安全法制の導入を巡っては、ロシアと北朝鮮が理解を示した以外ほとんどの国が中国を非難している。日本政府も全人代で法案が採択された直後に中国に対して批判的なコメントを発した。

 ところが、アメリカ、イギリスなどが中国を厳しく批判する共同声明を発表するに際して、日本も参加を打診されたが、これを日本政府が拒否していたことが明かされた。このことは何を意味しているのだろうか。国家安全法制は香港市民を中国の管理下に追い込む、返還協定「1国2制度」を無視する悪法であることは明確である。それ故日本政府も当初は中国政府を批判した。それにも拘わらず、この度英米からの要請には同意しなかった。これでは日本はロシア、北朝鮮と同じく中国が香港に強いる1国1制度を容認し、香港市民の自由を奪う強権を受け入れることである。どこで君子豹変したのだろうか。ネットのニュース解説を読むと、現在コロナウィルスの感染拡大で見送られている中国の習近平・国家主席の国賓としての訪日実現に向けて、中国政府を刺激しないよう配慮したからだと理解されている。こんなバカなことがあろうか。香港に中国の国家保全法制を導入することと、習近平主席の訪日とどちらが重要であるか、考えなくてもわかる筈である。どうも昨今の安倍政権は脱線が多い。

 対中外交は重要な政治課題であり、中国にとってもそれは同じことである。同時に対中国外交は世界各国にとっても重要課題であり、日本のそれは世界中から注目されている。その中で中国政府の自由への介入、妨害行為を容認することは国際外交上もマイナス面が多過ぎると思う。これは当然日本国民からも理解されないだろう。

 では、なぜこのような二枚舌とも受け取られかねない行動を日本政府は取ったのだろうか。一昨日北朝鮮拉致被害者、横田めぐみさんの父親が87歳で亡くなられた。この訃報に接して安倍首相は苦しい胸の内を語っていたが、首相は内閣の最重要課題は拉致問題解決であると常日頃から広言していた。結果的に拉致問題は2002年に5人が北朝鮮から帰って以来一向に前進していない。ロシアとの北方4島問題にしても、一時は好感触で受け取られていた。しかし、この北方問題も解決から遠ざかるばかりで、安倍首相としては歴代首相の中で最長在任を誇りながらほとんどこれという実績が見られない。政権の黄昏時を迎えている安倍首相はこれに焦りを感じて、習近平・国家主席の訪日を実現したことを手土産にしたかったのではないかと邪推したくなる。

 それにしても外交を一時の都合で変えてしまうとは、何たる無節操であろうか。安倍政権の余命も尽きたと言わざるを得ない。

2020年6月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com