4912.2020年10月23日(金) イスラム教国トルコと反イスラム国中国

 創建されて千五百年になるイスタンブールの歴史的な建造物アヤソフィアは、キリスト教会からイスラム教モスクへと替わり、その後無宗教の博物館として存在してきた。ブルーモスクともいわれるこのイスラム殿堂は世界遺産でもあり、イスラム教徒に関係なく多くの外国人観光客が見学に訪れる。私自身何度か訪れたことがあるが、内部のギリスト教とイスラムを象徴するステンドガラスと壁画が素晴らしい。ところが、去る5月にその博物館を再びモスクへ戻す動きが出て波紋を呼んでいる。トルコの前身、イスラム勢力のオスマン帝国が、カトリックのビザンツ(東ローマ)帝国の首都だったイスタンブールを征服してから567周年を記念するイスラム式典を、トルコ政府がこのアヤソフィアで開催したのである。

 もともと何かとトルコ政府と対立していたギリシャが、黙っているわけがない。イスラム教のコーランは世界中のキリスト教徒の心情に対する侮辱だとして、無宗教の博物館のイスラム化に強い異議と反対を唱えた。しかし、キリスト教国の反対があろうとも、イスラム化を強めるトルコのエルドアン大統領は些かもたじろぐこともなく、その剛腕ぶりは益々エスカレートしている。

 一方で、中国の新疆ウィグル地区では、かねてより中国政府がイスラム教徒であるウィグル族に対して厳しい人権抑圧を加えている。中国はイスラム教への監視、管理を強め、宗教の中国化を唱えると同時に、公の場においてウィグル語の使用についても制約し、教育現場では基本的に中国語で教育して教科書も中国語で書かれている。現在新疆ウィグル自治区には1270万人のウィグル族が居住している。漢民族とウィグル族の対立もしばしば起きていて、中国政府はウィグル独立を目指す過激派勢力を抑えるため、弾圧を強化しウィグル族住民への統制も強めている。

 近年になってイスラム教の象徴であるモスクが少しずつ姿を消しつつあると最近報告された。オーストラリア戦略政策研究所(ASPI)が衛星写真などで確認したところでは、モスクの60%以上が破壊されていると指摘し、ウィグル族住民の信仰や文化を危機に追いやるものだと批判的な意見を公にした。新疆西端の街カシュガルでは、旧市街のモスクがこの2~3年の間にかなり閉鎖されたという。中にはカフェに替えられ、漢人がオーナーになっている。イスラム教のモスクにとっても最も象徴的なドームの上のイスラム教シンボルだった新月が取り外され、中国国旗が掲げられているというからイスラム教徒にはとても近づく気持ちにはなれないだろう。

 破壊されたモスクは、中国共産党に依れば耐震性が不十分で危険な建物として閉鎖したという。習近平指導部は、2015年共産党会議で「宗教が社会主義社会に適応するよう宗教の中国化の方向を堅持する」との方針を決定した。今や社会主義国家ではない中国が、社会主義化というのも奇妙であるが、社会主義では宗教を敵対視していたのも忘れて「宗教の中国化」というのも意味をなさない。ASPIの分析では、新疆では外国人観光客があまり訪れないウルムチで35%、カシュガルで40%、農村部では80%以上のモスクが破壊されたり改造されていたという。

 この指摘に対して中国外務省副報道局長は、予想していた通り「ASPIは反中国のでっち上げ報告をしている」と無視、否定していた。どうして中国という国は外部から具体的な指摘をされると根拠も示さず、否定ばかりするのか。もう少し素直、かつ謙虚になれないもののだろうか。

2020年10月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4911.2020年10月22日(木) アメリカ軍駐留経費増額のゴリ押し

 先日来日したアメリカのエスパー国防長官が、昨日アメリカのシンクタンクで講演した。だが、その講演内容は同盟国に対する身勝手な要望を語って、同盟国というより支配国に対するアメリカの一方的な押し付け希望だった。

 まず、すべての同盟国に対して防衛費を国内総生産(GDP)の2%以上にするよう求めたというから余計なお世話と言いたい。その理由として極東地域で中国やロシアからの攻撃に対してアメリカが防衛する安全保障へのアジア諸国のただ乗りは認められないというものだ。極東地域の防衛は、間違いなくアメリカが主導している。だが、それは中国やロシアが攻撃してきた時にアメリカが防御、かつ攻撃をしかけないと他のアジア諸国では太刀打ち出来ないからアメリカが国策によって防衛体制供与の防衛計画の下に防備体制を固めているのである。当然アメリカにとっては相当の費用が掛かる。そのアメリカの主体的な費用を分担して人件費も含めて当事国も負担すべきであるとのアメリカの言い分である。そしてアメリカでは国防費が厳しくなってきたので、アメリカが対中、対ロをにらんで極東地域に展開している防衛体制をこれまで通り維持、管理する費用を当事国にも負担せよというものである。そのためには、GDPの2%を防衛費に注ぎ込めと主張しているのだ。

 アメリカは北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対してもGDP比2%以上の防衛費を求めてきた。エスパー長官は、現在同盟国の中で2%以上の防衛費を計上している国は9カ国に増えたという。アメリカは、自国の防衛費を軽減するために駐留国に対しても経費の負担増額を次々要求している。韓国に対しては駐留米軍経費の現在の5倍近い負担増額を求めて、話し合いが中々まとまらない。日本に対してもかなりの増額を求めているが、防衛費がGNP比0.9%の日本の財布からはそんなに駐日アメリカ軍への思いやり予算なんて出せるわけがない。

 問題は、アメリカは一方的に日本に米軍駐在日負担増額を要求しているが、日本政府こそアメリカ政府に対してヨーロッパの駐留米軍に比べて負担の多い日本の立場と事情を率直に伝えるべきである。アメリカの押しつけがましいやり方は、他の分野でも露骨に見られる。日米不平等条約と揶揄される日米地位協定によって認められた在日米軍人の有利なアメリカの言い分だけが、認められたような条約や、集団的自衛権を前提とした双務的体裁の採用が罷り通っている。

 高額な防衛機材の購入を押し付けたり、日本の民間航空機の空域を狭めたり、アメリカ軍人の治外法権を認めたり、我々が学生時代だった1960年に反対した日米安保条約は、当時懸念したように今や日本にとって迷惑千万なことが多過ぎて、大きな重荷になっている。安保条約は、日本とアメリカ双方が日本および極東の平和と安定に協力することを表面的に規定したものであるが、「極東の平和と安定」に資するということは、それが軍事面であるとするなら明らかに憲法に抵触している。

  日本政府は、日本憲法の精神、趣旨、目的を説得してアメリカ政府にそれを無視するが如き言動を慎むよう明確に説明すべきである。

2020年10月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4910.2020年10月21日(木) コロナ感染者4千万人を超える。

 新型コロナウィルスの感染者が世界でついに4千万人を超えた。死者は111万人である。一向に収束の傾向が見えない。ヨーロッパでは、第2波のコロナ旋風がやってきた。アメリカでは大統領選たけなわであるが、トランプ、バイデン両候補ともにコロナ対応を論争の対象にしている。トランプ大統領の如きは、ウィルスを当初から「中国ウイルス」と呼んで、コロナは国内問題ではなく、外交問題であるとの印象をアメリカ国民に植え付けることによって、初期対応の失敗を取り繕っているように見える。

 今日イギリスでコロナ・ワクチン開発のために敢えて健康な人にウィルスを人為的に感染させる治験を行うとのニュースが伝えられた。まだ決まったわけではないが、倫理委員会他のOKが出れば実験を開始するようだ。すでに治権者の応募を始めているが、イギリスばかりでなく海外からも応募者がいる。敢えて健康な人たちに犠牲を強いてまでしても実験が必要なのか、悩むところである。日本の専門家は倫理的な問題があるとして必ずしも全面的な賛意を得るのは難しいと論じている。

 さて、こんなことをやるのかと呆れた暴挙があった。ロシアの参謀本部情報総局(GRU)が東京オリンピック関係者にサイバー攻撃をしてオリンピック開催を妨害しようとしたという馬鹿げた話である。ふざけ半分なニュースならともかく、真面目な情報だったようで、どうしてこのように他国の国際的業務を妨害するようなことを大国ロシアがやろうとしたのか、とても理解出来ない。ロシアは2018年冬の平昌オリンピックでも実際にサイバー攻撃を仕掛けて入場券などの販売などを妨害した。このニュースはイギリス外務省が発表したものであるが、アメリカ司法当局も平昌オリンピックなどを標的にしたサイバー攻撃を行ったとしてGRUの関係者を起訴したと発表した。

 なぜロシアから恨みを買うようなこともやっていない日本が、このような仕打ちを受けるのかと不審に思っていたところ、子どものような考えではあるが、ロシア人特有の恨み辛みを偶々オリンピック開催の日本に向けたようだ。そもそもねちっこいロシア人が、日本に八つ当たりしたのは、国家ぐるみのドーピング問題で世界反ドーピング機関(WADA)が、ロシア選手団や政府関係者らがオリンピック東京大会を含む主要な大会から4年間除外すると決められたことにある。自ら撒いた種であり、制裁を受けるのは当然であるが、それに納得せず、他へ憤懣をぶつけているのである。それにしても国としての品位、プライド、モラルなどまったく感じられない恥ずべき行為である。こんな不道徳なことをやっておいて、恥ずかしいとか、申し訳ないとの気持ちはないのだろうか。ロシア大統領府補佐官は、ハッキング行為などは1度もやったことはないと頭から関与を否定しているが、盗人猛々しいとはこのことであろう。ロシアに対しては、4年間の出場禁止であるが、仮に来年の東京オリンピックが再び中止にでもなれば、次のパリ大会にも出場停止の処分を科すべきであろう。

2020年10月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4909.2020年10月20日(火) 新聞販売数減少下の新聞広告拡大対策

 今日朝日朝刊を開いて首を傾げた。5頁いっぱいに「♯広告しようぜ」という全面広告が載っていた。「広告はつまらない」「広告は嫌いだ」「広告なんて」と自虐的な言葉の下に「それでも広告は、時に企業のメッセージを超えて、人の心を揺さぶり、時代を象徴し、社会を動かす(こともある)~」との文言が続いている。朝日新聞メディアビジネス局が企画・制作したものである。新聞広告を呼び掛ける広告である。それだけではない。その他に全面広告4頁を使って「♯広告しようぜ」とPRしているのだ。近年簡便な携帯の普及により各新聞とも発行部数が漸減している。ネットで情報を得られるようになって手軽にスマホ等からニュースや情報を仕入れているのだ。しかし、ネットから得られる情報だけでは、しっかりした記事や解説などは得られるとは思えない。根本的には、スマホの急激な普及が新聞の購読者数を減らし、更に読書をする人まで減らしてしまったように思っている。新聞購読者が減少したことにより、企業の販促活動で新聞広告に依頼する度合いが減ってしまったことが、この「♯広告しようぜ」につながったのだと思う。

 新聞広告の対費用効果が下落したということではないか。それはテレビ広告でも感じることがある。最近の民放テレビの放映時間内の広告割合の多さには呆れることがある。それは、広告スポンサーが減ったために広告料金を値下げして、その代わりに広告時間を増やして多くの企業の広告で分担するからだと思う。それによってテレビの広告では、今まで社名も知らなかった企業が増え、かつての重厚長大企業の広告掲載が減ったように思っている。これも経済の成り行きや、広告宣伝費を支出し易い企業にも栄枯盛衰があるのだろう。それにしても大朝日新聞に全面5頁も使って商品広告ではない広告を掲出するとは、日本経済も大分変化してきたということだろうか。

 さて、首相へ就任して菅義偉首相は夫人を伴い初めて外遊に出かけた。ベトナムとインドネシアを最初の訪問国に選んだのは、南シナ海における海洋進出で影響力を強めている中国に対して、価値観を共有する両国とインド太平洋構想で理解を求める考えである。今日ベトナムからインドネシアへ飛んだが、それなりに実績を残した安倍前首相のルートを辿った訪問でどれほどの成果を上げることが出来るだろうか。

 その菅首相の今日発売された文春新書「政治家の覚悟」なる著書が、今朝の朝日紙広告に大きく載っている。ところが、その著書について朝日にはこんな記事が書かれている。これは民主党政権時代に発行された著書「政治家の覚悟 官僚を動かせ」を改定したものだというのである。それ自体は問題視することはない。しかし、大事な箇所を削除しているというのだ。民主党政権の政権運営などを批判した文章だという。民主党政権の議事録の保存状態を問題視し、「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への配信行為」とまで言って公文書管理の重要性を訴えていた。そう述べたご当人が、疑念だらけの公文書取扱いをやっているのだ。モリカケ問題で公文書を改ざんしたり、廃棄したのを承知していたのは当時の菅官房長官だった。首相に地位に就いて菅首相はこの点についてどう整合性を説明するのか。

2020年10月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4908.2020年10月19日(月) 下肢静脈瘤、レーザー光線で治療

 今日も近くの東京医療センターへ出かけて血管外科で目立ちだした右足脹脛の静脈瘤らしき膨らみを診てもらった。この10年近くの間に少しずつ瘤が大きくなり、先日森内科で紹介状を書いていただき、今日専門の関本医師に診察していただいた。エコー検査をしてもらったところ病名は「下肢静脈瘤」と診断され、痛みや異常を感じなければ、特別心配するほどのこともないとの話だった。だが、さりとてこのまま放置するわけにも行かない。治療法としてはいくつかあるようで、その中でレーザー光線によるものが良いとのことから来月通いでレーザーを当ててもらうことにした。この方法だと大分回復するという。これまで動脈とか、静脈については深刻に考えたことはなかったが、静脈は動脈とは逆の働きをするようで、身体の下部から上部へ血液を送り込むのだが、それが弁の故障で下部へ逆流しているということだ。それにストップをかける治療を来月以降にやってみようということになったわけである。

 さて、昨日の本ブログにアメリカが新型コロナウィルス感染の影響を受けた結果、経済不況により今季は過去最多の約330兆円の赤字決算になったと書いた。各国もコロナの影響により経済は大きな影響を受けているが、コロナの発祥地中国ではどうなったのかと気になっていたところ、今日国家統計局が今年度7~9月期の実質国内総生産の速報値を発表した。驚いたことに前年同期比で4.9%増えていた。4~6月期も3.2%増となり2期連続でプラス成長となった。3月は初めてマイナスとなったが、これで中国の今年1~9月期は、前年同期比0.9%増となった。中国経済の底力に脱帽である。トランプ大統領も中国の悪口を言うばかりでなく、少しは謙虚に中国の力を見直してみてはどうだろうか。今アメリカ中で大統領選が活況に入っているが、どこへ遊説に行ってもコロナによる影響があったことを言う時、決まってトランプ大統領は「中国ウィルス」によってもたらされたコロナという表現をする。もう少し前向きな対応が出来ないものだろうか。

 それにしてもアメリカ経済というのは分かり難い。昨日過去最大の国家財政の赤字が公表されたので、当然株式市場は下落すると見られていたところ、ニューヨーク証券取引場では久しぶりの賑わいを見せていた。その空気を受けた東京株式市場でも日経平均株価が上がり、対先週末で260円も上がった。何が株価を動かしているのかよく分からない。

2020年10月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4907.2020年10月18日(日) 日米のびっくりニュース

 今日はアメリカと日本でカテゴリーは異なるが、あまりに度はずれたニュースに唖然とした。

 アメリカのニュースとは、2019年10月~20年9月の会計年度で過去に例がないほど財政赤字が膨らんだことである。その額たるや日本円で330兆円というから日本の3年分の国家予算に匹敵するほどである。そもそも経済が好況だったにも拘わらず、トランプ流の大規模な減税を実施して財政赤字は110兆円ほどに膨らむと予測されていた。そこへ新型コロナウィルスが追い打ちをかけた。波乱の大統領選がこのまま続けば経済建て直しの具体策も講じられないのではないだろうか。このままだと世界経済への影響が避けられないだろう。

 一方、国内のニュースで驚いたのは、コロナの観光業界へ与える大きな影響である。コロナの影響をもろに受けた旅行業界のトップ、JTBが、国内店舗の改革に乗り出すという。具体的には現在全国にある480店舗を5年かけて2割も減らすという思ってもみなかった計画である。国内旅行客の減少は、ある程度「GO TOトラベル」などで恩恵はあったが、海外旅行客の大幅な減少は致命傷に近いようだ。今年4~8月の同社の取扱額は、前年同期と比較して88%の落ち込みだという。冬のボーナスは支給されない。

 海外旅行の取扱いがほとんどなくなった現在、これまで海外旅行の取扱いが8割だったHISでは、JTBと同様国内店舗260店の内1/3を来年夏までに閉鎖するという。長らく旅行業界に勤めていたので、両者の存在はよく承知してそれなりに評価していたが、世界的なコロナ旋風にはひとたまりもないことをつくづく思い知らされた。

 だが、いつまで続くか分からないコロナではあるが、会社の規模は多少ミニサイズになったとしても。何とかしてこの苦境を乗り切って再び活性化した旅行業界に立て直さなければならないと思う。特にこの数年飛躍的に伸びていたインバウンドは、世の中が落ち着き、経済不況から脱出出来れば、再び繁栄する機会が訪れることは信じたいと思う。世界中から多くの外国人観光客を迎え入れることは、経済面ばかりではなく文化的にも教育的にも必要なことである。インバウンドに歩調を合わせてアウトバウンドでも多くの日本人が海外へ出かけて、内弁慶の日本人が世界を知ることは必須なことである。これに合わせて国内旅行でも全国津々浦々の観光地を訪れ、旅を楽しみ、観光地を潤すことが世間に活況を与えることに繋がる。

 とにかく現在のコロナを1日も早く終息させることが求められる。国内ではコロナ第2波は現在やって来ていないが、世界でもトップの感染者と死者を生んだアメリカでも収束の見通しが立っていない。加えてこのところヨーロッパ、特にフランスとイギリス、スペイン、イタリアに第2波が襲来し、フランスでは4週間に亘り夜間9時以降の外出禁止令が出された。話題にはよく上がるが、まだはっきりしたワクチン製造の計画はない。1日も早いワクチンの開発が急がれる。

2020年10月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4906.2020年10月17日(土) 中曽根元首相葬儀に国費投入と黙祷強制

 昨年11月に亡くなられた故中曽根康弘元首相の内閣・自民党合同葬が、喧しい話題を提供しつつ今日厳かならず仰々しく新高輪プリンスホテルで行われた。秋篠宮ご夫妻、真子様、佳子様ら皇族、菅首相以下森喜朗、小泉純一郎歴代首相らが列席された。ユーチューブで画面が流れていたので一部観てみたが、これが1億円の国費を投じた葬儀かと思った程度の感想しか湧いてこなかった。あまりにも費用をかけ過ぎている。更に行き過ぎではないかと思えるように、文部科学省が国立大学や各都道府県教育委員会などに弔旗を掲揚し黙祷すること要望し、また総務省が都道府県知事と市区町村長に対して葬儀中に哀悼の意を表明することを文書で求めた。これが各界に複雑な問題を提起した。

 公務員のほとんどが出勤していない休みの土曜日にどうして彼らに黙祷を捧げさせようとまでいうのだろうか。日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)は、この点について政府が国民への奉仕者である公務員の政治的中立性を損ない、公務員個人の内心の自由を侵害することにつながるとの談話を発表した。

 確かに中曽根首相が国のために総理大臣として奉仕したことは認めるが、亡くなってから1年も経ち、中曽根家としての葬儀もすでに終え、今でも新型コロナウィルス禍が収束していない中で多額の国費を費やしてまでも、多くの国民に黙祷を強いるような葬儀を行う必然性があるのか疑問である。

 安倍政権を継承すると言った菅首相は、この件でも安倍前首相の決めたことを踏襲している。多額の税金が注ぎ込まれるひとりの政治家の葬儀にかくものめり込んでいるが、こんな調子で今後別の面でも影響が表れないか。もう少し慎重に対応すべきではないか。

 さて、一昨日西武ホールディングが日本政策投資銀行とみずほ銀行から800億円の融資を受け入れると発表した。このニュースを聞いて驚いた。融資を受け入れるのは西武HDの2社、西武鉄道とプリンスホテルでいずれも西武HDを代表する押しも押されぬ大企業で経営状態が悪いとの噂や風評はこれまで聞かれなかった。因みに西武鉄道は、大手私鉄16社の中でも営業利益率ランキングでは、2018年第1位、2019年は第2位と常に私鉄各社の模範的存在だった。売上高に対する営業収益率も23.5%と堂々たるものだった。それが如何にコロナ禍の下で交通機関が苦戦しているとは言え、それは他の私鉄各社も同じ条件下にあり、なぜ西武だけが急激に坂道を下るようになったのか原因が見つからない。故中曽根元首相の葬儀会場も、西武系のプリンスホテルであり、西武グループの2枚看板である西武鉄道とプリンスホテルが下降線をたどるようになったのかよく分からない。

 西武とは関係ないが、同じ鉄道会社の南海について今日こんな記事を目にした。今から百年以上も昔(1918年10月21日付)の読者の投稿が朝日朝刊に掲載されていた。「電車発着時刻は、社会に対する一の約束なり、厳守する事は管理者の義務なり。然るに和歌山直行電車の如きは浜寺以南に於いて殆ど常に四五分、甚だしきは十分間も早発す。半時間の間隔を有する和歌山行に、乗り遅れたるものの迷惑又は損害の少なからざるを思へ。~~」。時間前に駅に着いていながら電車に乗れなかった投稿者の憤懣たる気持ちはさもありなむと思う。今ではとても考えられない。

2020年10月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4905.2020年10月16日(金) レストランでAIロボットのサービスにびっくり

 このところ遺産相続について被相続人である2人の息子へ申し送りのような書状を認めている。それほど相続遺産があるわけではないが、一般的に相続人の死に直面して遺族は実態が分からずどう行動してよいか当惑するものだ。実際父の死亡の際にも、兄弟で一時当惑したものだ。息子たちにはその二の舞を演じさせたくなく、極力分かりやすいように資産はもとより、すべての金融機関の取引内容、投資、支払い物件、貸金庫の暗唱番号等々について極力まとめてみた。

 去る6月に妻と私の死亡後の遺産相続について、取引銀行の所定の相続パック商品とでも言ったら好いだろうか、相続遺産の手続き、申し込みを済ませ、銀行支店長と担当者とともに公証役場へ出かけて公証人立ち合いの下で遺言公正証書を作成してもらった。相続遺産の処理方は一応済ませたことになる。

 書状は初めて読めばやや分かり難い内容でA4版11頁にもなったので、読んで初めて実情を知る息子たちにとっては理解するのは中々大変だと思うが、いずれその時が来れば当然やらなければならないことを事前にレクチャーしてやるようなものだ。相続人である親としての責任のようなものでもあるので、終われば一先ずホッとすることだろう。近日息子たちに直接手渡すか、郵送することにする。

 しばらく新型コロナウィルスの影響で外でのランチを遠慮していたが、息抜きもあって今日二子玉川の玉川高島屋内のレストランへ出かけた。暫く来ない間に、目指した「三笠会館」は‘GALLEY’と店名が変わっていた。古代ギリシャ時代の奴隷船に因んだ名前だ。店内の様子も様変わりだったが、天井に実物大のボート・レース‘エイト’使用艇が変わらず吊り下げられ、船をテーマにしたレストランだということがイメージできる。中々良いものだ。コロナの影響で経営者が変わったのかどうかは分からないが、比較的大きなレストランで利用し易かったので、ちょっと寂しい気もしている。

 この‘GALLEY’で驚いたのは、AIロボットによるサービスだった。テーブルに案内されてウェートレスに説明を受けたその後は、タブレットで注文して出前はほとんどロボットがやってくれる。飲み物とデザートだけは、セルフサービスでカウンターから取って来るが、その他は全てロボットが世話してくれ、注文品を運んで来てテーブルに移して手で光線に合図すると「ありがとうございます」と言って戻っていく。こういうIT時代になったのかなと少々キツネにつままれたような気になった。偶々1人のおばあさんが誕生日だったようで、拍手とミュージック‘A happy birthday to you!’の中をロボットがお祝い品をそのおばあさんに届けていた。妙な気分ではあるが、これからロボットが更に細かい言動を出来るようになると、ウェイターやウェートレスもほとんど必要なくなるのではないかと思うと感慨に堪えない。ところで、チェックアウトしてからレシートを見ると店名は‘GALLEY by MIKASA KAIKAN’と書かれていた。

 こうして科学の進歩は、実生活で役に立つようになるが、世の中には相変わらず現状のままで進歩しないことや、むしろ退化したり劣化することも案外多い。その最たるものは、政治だろう。今日で菅内閣発足後ちょうど1か月が経った。就任時スピード感を持って政策を進めると菅首相は語っていたが、日本学術会議委員任命拒否問題など首を傾げる問題が起きている。案の定今日NHKが発表した世論調査では、内閣発足時に62%だった支持率が、早くも55%まで落ちている。この先どうなるだろうか。

 さて、NHK今夕7時のニュースで、中核派・革共同議長の清水丈夫さんが、警視庁による前進社への突然の家宅捜索に立ち会ったと伝えた。去る9月6日に中核派の政治集会に半世紀ぶりに姿を見せて話題を提供して以来、相変わらず公安当局は清水さんの行方を執拗に追い続けているようだ。今日の家宅捜索は、別人の逮捕が目的だったが、何とかして清水さんが尻尾を出すのを狙っているようだ。NHKは先日の清水さんのスピーチ映像を流していた。懐かしくもあるが、清水さんにはどうか信念を曲げられることなく、いつまでも元気で活躍されることを願っている。

2020年10月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4904.2020年10月15日(木) アブ・シンベル神殿とスエズ運河

 一昨日の深夜NHK・BSテレビで2つの興味深いドキュメンタリー番組が放映されたが、今日その録画を観た。ひとつは「アナザーストーリーズ『ダムに挑む神殿を救え!』」で、副題を「巨大遺跡‘引っ越し’大作戦」と題していた。もうひとつは「世界のドキュメンタリー『スエズ運河 メガ建築の大拡張』」というものだった。

 前者は、世界遺産「アブ・シンベル」がアスワン・ハイダム建設によって水没するのをユネスコの協力を得ながら、1エジプト人文化科学者が費用面と技術面で奔走して移築に成功したドキュメントである。印象深かったのは、私自身初めて訪問して洞窟の内部に入った時、ガイドが移築のずれで1年に春分と秋分の2度、太陽の光が正面奥のラムセス二世像の顔面に当たるところが、僅かにずれてしまったと説明していた。だが、番組ではお彼岸とは言わず、日時が本来の日時より1日遅れて2月22日と10月22日になってしまったと、さも残念そうに言っていたことである。いずれにせよ古代エジプトの世界遺産には、格別な文化的意義と価値があるように感じている。

 後者は2016年フランスのドキュメント作品である。地中海沿岸のポートサイドから紅海のスエズまで190㎞の運河を拡張する工事を2014年に始め、1年後に開通させた時の大プロジェクトである。運河の河幅を広げ、掘削して底面を深くし、更に一部上下線に複線化して交通量を大幅に増加させた。今では1年に1万8千隻もが航行しているという。スエズ運河を航行する船上から見る景色が頗る気に入った。

 1967年末にスエズ運河を訪れた時は、第3次中東戦争直後で空爆により運河は爆破されて、再び開通した1975年まで運河は閉鎖されていた。今では運河は大幅に拡張され、交通量も飛躍的に伸びて、スエズ運河の交通量は世界海上交通量の8%を占め、その航行料収入がエジプト国家財政の内3番目の収入源となっている。思い返すと私が訪れた時は、スエズは戒厳令下で街はひっそりとして外国人は滞在許可証がなければ、訪れることが出来なかった。そんな時に無許可でカイロから列車でやってきて警察仮施設に身柄を拘留されてしまった。こっそり警察仮施設から抜け出し街を歩いて波止場まで行き、クレーン船が沈んだ現場を茫然と眺めていたことが懐かしく想い出される。この警察仮施設から脱走した事件については、近々「はるかぜ書房」から上梓する拙著「八十冒険爺の言いたい放題」に、カイロを列車で出てからスエズに1泊して再びカイロへ戻って来るまでの鼠小僧治郎吉的体験記を書いている。

 2つのドキュメント番組は、特に現地で斬新な体験をしただけにとりわけ興味深かった。

 さて、47都道府県の中で最も魅力のない県として、過去7年間茨城県は最下位の常連だった。この汚名から何とか抜け出さんと茨城県は、官民一体となり脱出作戦「いばらきビリ県脱出連携会議」に取り組み、その甲斐あってか今年は42位に躍進?した。独自に涙ぐましい努力を重ねてきた成果が発揮されたわけである。県知事は、茨城県にはまだまだ魅力がいっぱいあると更なる上位進出を期待しているようだ。替わって最下位県に落ちたのは同じ関東で日光という観光地を抱える栃木県だった。ビリから上位に栃木県、徳島県、佐賀県、福井県、茨城県となっている。その一方で魅力度ランキング1位は北海道、以下京都府、沖縄県、東京都、神奈川県となっている。誰だって魅力ある自治体に住みたいだろう。私自身これまで居住したのは、東京都(4位)、兵庫県(12位)、神奈川県(5位)、千葉県(21位)、京都府(2位)だったから、まずまず魅力的な住環境にいたことになろうか。

2020年10月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4903.2020年10月14日(水) 計画性のない「GO TO トラベル」

 国土交通省は、新型コロナウィルス感染拡大により深刻な打撃を受けた観光業界を支援するため、観光庁の主導により「GO TOトラベル」キャンペーン(1人当たり1泊2万円、日帰り1万円が支援額上限)を7月から来年1月末までの予定で始めた。観光地で観光客の姿が見られなくなり落ち込んだ旅行需要を喚起するべく、旅行代金を最大50%補助しようというものである。50%の内35%は旅行商品の割引を行い、15%は旅行先の登録加盟店で利用出来る「地域共通クーポン」を発行し、観光地全体の消費を促す主旨である。コロナの影響もやや薄れてきたことと、当初は東京発着の旅行、都内の観光施設、東京都民を対象としない形で始まったが、1兆3千億円もの税金を使うキャンペーンが公平ではないとの声に10月からそれらの例外を取り除き、更に支援の効果が表れる対策を取った。

 確かに最近は閑古鳥が鳴いていた観光地にも観光客が戻って来て、その効果が少しずつ表れてきたと見て良いようだ。

 ところが、このキャンペーンには分かり難い点がいくつもあり、昨日時点では旅行客の内利用した割合が17%内外だった。そこへ国が事業者に対して配分している給付金が事業者によっては少なくなってしまった。急に旅行条件が拡大されたことを受けて申し込みが簡単に出来る予約サイトへ殺到したために、それら予約サイトでは不足してしまったのだ。そのため各予約サイトでは旅行代金の割引額を独自に縮小する動きが広がった。メディアを通じて事業者による一方的な変更には理解出来ないとか、分かりずらいとの声が上がった。慌てた観光庁は官庁らしからぬ考えで追加の給付金を配分し、割引額を元へ戻すよう求めるという。大金を投入した国の事業としては、些か一貫性に欠ける政策となってしまった。

 ネットの投稿には、「国会議員のやつらはロクに現場を見ず、机上の空論で見切り発車する考えが、無駄なことに繋がっているんだょ」と手厳しい意見が載っていた。長らく旅行会社に勤めていた私自身の経験から考えても、観光庁の企画と運営が、やや「総合的で俯瞰的な」計画性に欠け、杜撰だったと思う。投稿者の言うように、政官界に観光業界の実態がよく理解出来ていないからだと思う。

 これについて、赤羽国交相は、予算が足りないという情報を事務局や国交省が把握して適切に対処していれば、今回の問題は防止出来たと他人事のようなことを言っている。更に機動的に予算枠の追加配分を行う仕組みに改めるとして予算が直ちに枯渇することはないと呑気に応えていたが、ちょっと軽々な対応ではないかと思う。計画から実施、その方法などについて拙速に行った結果が表れたのではないだろうか。

 ある経済アナリストは「国の政策による割引額が突然変わることは、普通あってはならない」と言い、「いずれ全体の予算が尽きる時が来る。その時にどう対応するのか、国が事前に方針を示すべきだ」と厳しく指摘している。

2020年10月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com