4922.2020年11月2日(月) 大阪の住民投票とアメリカ大統領選挙

 昨日行われた「大阪都構想」を決める2度目の住民投票の結果、僅か1万票強の差で再び大阪都構想案は敗れ大阪市の存続が決まった。僅差とは言え、5年前に続きこれで2回連続で都構想案は否決されたので、もう3度目の提案はないだろう。今度の住民投票では、こんな意見も出ていた。住民の意見や考えを聞く観点から、住民投票に委ねれば問題ないというのは必ずしも正しくない。今回は大阪市民から出た声を受け入れて住民投票を実施したのではなく、yes or noの住民の声を知るために上から政治主導で住民投票を押し付けたようなものだった。あるべき真の住民投票の形ではないと言っていたが、確かに自分たちの主義・主張に対する支持を取り付けるために行ったような気もした。

 案の定、今夕の朝日「素粒子」には、こう書かれていた。「政治主導の統治改革が再び挫折。住民要望が起点ではなかった大阪都構想が終わる。論争10年。投票2度。巨額の税金も投入。で、喧喧囂囂の果てに『維新の夢の跡』」。それでも住民投票は、無事に何の混乱もなく公正に行われた。

 それに引き換え、アメリカの大統領選の混乱ぶりはどうだ。今世界中が注目しているアメリカ大統領選はいよいよ明日が投票日である。当日混乱することはないだろうか。相変わらず、ここ数日最後の運動と称しながらお互いになりふり構わず、相手を罵倒している。今日のエンタメ番組でも有識者が、アメリカの血迷った泥仕合を見下げ果てたと非難していた。民主主義のお手本とも言われてきたアメリカ社会を、南北戦争当時と変わらないと厳しく批判していた。アメリカも今度の大統領選で随分評価を下げたものである。アメリカ国民も世界に対して恥ずかしいと思わないのだろうか。

 明日投票が開票されたとしてもまだ結果は分からない。期日前投票と郵便投票の結果を合わせてトータルで決まる。ところが、トランプ陣営ではいずれに対しても無効として異議を申し立てる意向のようだ。そうなると裁判沙汰になり、新大統領が決定するまでにかなり時間がかかる。期日前投票の映像を観てみると、自警団が銃を持って瞠っていて一触即発の物々しい雰囲気である。選挙が近づくにつれて銃器の販売が増急したが、これとて真面な国の選挙とはとても思えない。悲しいことにアメリカは、今や国として大統領選挙さえ満足に実施出来ない国に成り下がってまったのだ。

 さて、スキャンダラスな話題で憚られるが、日中のテレビのエンタメ番組中に「ハンドボール元日本代表宮崎大輔、女性暴行で逮捕」とのテロップが流れた。男女4人で飲んでいて女性の髪の毛を引っ張って殴ったようだ。見たような顔だなと思っていたが、月刊「ハンドボール」2017年8月号の表紙の人物である。実は、3年前奈良県生駒市に住む中三の孫娘が、ハンドボール中学生大会に奈良県代表選手として出場し同誌に写真入りで紹介された。宮崎某とは関係はないが、孫娘はその後高校でもハンドボールを続けて、最上級生になった今年国体、インターハイへの出場を狙っていた。だが、不運にも新型コロナウィルスの影響により今年はいずれも中止となり彼女もがっかりしていた。国体に出場すれば、今年は茨城県で開催されるので、妻と応援に行こうと約束していたところだった。北海道への修学旅行も中止になり、最後の高校生活は散々となってしまった。しかし、幸いにして今年度の奈良県高校優秀選手として奈良県ハンドボール連盟から表彰されたというのだ。嫌なことばかりではなかった。大学入試も中々見通しが立たないようだが、何とか志望大学に入学出来ることを願っている。

2020年11月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4921.2020年11月1日(日) 「大阪都構想」反対が多数、大阪市存続

 国内外で注目されている事象は、アメリカの大統領選と新型コロナウィルス感染拡大であり、他に国内では日本学術会議の会員任命拒否問題と今日行われた大阪都構想の住民投票がある。

 アメリカ大統領選は、このところ注目される票田としてペンシルベニア州におけるトランプ大統領とバイデン前副大統領候補が益々ヒートアップして、残念ながらアメリカ民主主義の質まで問われるような低次元の争いになっている。今朝もテレビを観ていて評論家諸氏がアメリカという国の化けの皮が剥がれたような落胆したコメントを語っていたが、実際その通りで劣化した大統領選と国内社会の分断は惨めである。偶々昨日友人からハガキをもらったが、アメリカ国民の教養の低さに呆れ、二流国だと断じていた。同時に、プーチンのロシアと習近平の中国を批判して「共産主義は民主主義ではない」との持論が証明されたと書かれていた。相手を罵るディベートと銃所持の規制も出来ないアメリカ人の「自由放任」の不始末と、ロシア、中国は共産主義でも社会主義でもなく、帝国主義だと書いて返事を送ったところである。

 最近のコロナは、相変わらず勢いは衰えず、先進国ほど感染者が増え、途上国は若干そのスピードが落ちている。1日当たりの感染者が3万5千人を超えるようになったフランスを筆頭に、1日当たりイギリスは2万1千人、イタリア1万5千人、スペイン1万5千人、ドイツは9千8百人を超えるようになった。一方、アメリカに次いで感染者数が多かったインドとブラジルはともに減速傾向にある。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は「北半球で我々は流行の重大局面にある」として警鐘を鳴らしている。コロナはちょっと油断すると一気に拡大する。フランスで夜間外出禁止を宣言したマクロン大統領に国民が不満を露わにしているが、大統領もフランス国民の気の緩みを気にしたからではないか。まだまだコロナ旋風は収まる気配を見せていない。

 学術会議の任命拒否については、国会の首相所信演説に関して志位和夫・日本共産党委員長が厳しく追及していたが、首相は正面から応えるようなことはなく、首相が語った矛盾点は残ったままである。いつになったら問題に終止符を打つことが出来るのだろうか。

 そして大阪都構想問題である。これは大阪府・市の問題であるが、政令指定都市にして130年以上の歴史を誇る大阪市が消滅するかどうか、という点では他の政令指定都市にとっても対岸の火災視するわけには行かない。何事も強引に押し通そうとする大阪維新の会代表の松井一郎市長は、5年ぶりに巡って来たチャンスをこの際何とか実現させるべく、市長権限を活かして圧力をかけているようだ。大阪都構想が実現すれば、特別区の設置により府と市の二重行政が解消されるとの説明の一方で、大阪市がこれにより218億円の経費がかかると算出したことに対して財政局長を恫喝して都合の悪いデータを封じ込めようとしたと伝えられている。結果はどうなるだろうか。外部から見た限りでははっきりとは分からないが、諸々の費用がかかり、行政の停滞も予想されるので、現状の方が良いのではないかと思考する。

 しかし、夜遅くなって結果が出た。都構想反対票が僅かに上回ったのである。これで政令都市・大阪市は存続することになった。選挙の開票経過を注視していたところ、僅かながら終始賛成票が上回っていた。それが、夜10時43分開票86%の時点で、賛成59万2千票、反対58万9千票と表示された時、突然「反対多数確実」のテロップが出た。その後も賛成票が上回り、開票93%の時点でまだ賛成が反対をリードしていたが、11時5分に開票94%になった時、賛成64万1千に対して反対が64万3千と初めて反対票が上回った。いつ確実になったのか外からはまったく分からなかったが、意外などんでん返しだった。

 この結果を受け、記者会見した松井一郎・大阪維新の会代表は、政治家としての責任を取り令和5年4月の任期満了を以て市長を辞め、政界を引退することを表明した。これで国内におけるひとつの話題も消え去ることだろう。

2020年11月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4920.2020年10月31日(土) 21年前を思い出したギリシャ・トルコ地震

 昨日ギリシャとトルコ沖のエーゲ海でマグニチュード7という大きな地震が起きた。私も偶々21年前にトルコのチャナッカレで大地震に遭ったことがある。間もなく上梓する拙著に1999年8月トルコ滞在中にマグニチュード7.6のイズミット大地震に遭遇したと書いた。真夜中熟睡していた時に、ホテルの室内が突然ガタガタと大きく揺れ、慌てて荷物を持ってロビーへ駆け下りたことがある。20世紀最大の大地震と呼ばれ、4万5千人もの死者、行方不明者を出した大地震から私自身思いがけず多くのことを学んだ。あの時、トルコ人の物の見方を教えられたような気がした。現代建築より古代、中世の建造物の方が耐震構造はしっかりしていることや、トルコの名産品たる絨毯の取り扱い方を実地で見て教えられ、伝統工芸品の神髄というものを学んだような気がした。日本人の考えでは伝統品のような高級な絨毯は後生大事に取扱い、極力汚さないよう使っているが、現地トルコの人たちは、実用を優先し、例えそれば泥水で汚れようとも丁寧に洗えば汚れは落ちると承知して実用的に使用している。日本人の考え方とはまるで異質だと思った。

 さて、今日はケルト人のお祭り、ハロウィーンである。ケルト人にとって1年の終わりが今日で、今晩は秋の終わりを意味し、冬の始まりでもある。昨年まで渋谷の交差点などでは羽目を外した若者が群がって騒ぎ度々トラブルを起こしていたが、今年はコロナ禍で渋谷区が自粛を促したせいもあり、テレビで夜の街かどを観ると昨年のように人が群れるということはないようだった。それでも普段よりはやはり人出は多いようだ。どうして渋谷スクランブル交差点だけこんなバカ騒ぎを起こすようなことになってしまったのだろうか。アメリカでは子どもたちが魔女やお化けに仮装して近くの家々を訪れてお菓子をもらったりする習慣なんだがなぁと考えてしまう。

 私がこのハロウィーンというお祭りについて知ったのは、1976年秋文部省教育視察団で全国の先生方にお供してアメリカの小中学校を見学に訪れた時、初めて訪問校で知った。学校内には仮装衣服が置いてあり、学校から帰ってから子どもたちがそれを身に着けて各家々を訪れては、お菓子をもらっていた。日本の先生方もこんな行事は初めて知ったと驚いていた。あれから半世紀近くの間に日本国中にあっという間に広まった。はっきり言ってキリスト教とも絆はなく、大人たちの街の行事やお祭りとも無関係である。それが日本国内にはいつ頃輸入されたのか、最近では毎年のように好い若者が主旨を間違えて酒気を帯び派手に騒ぎまわって周囲の人たちに迷惑をかけている。

 日本テレビ夕方の天気予報で、担当者が今日は満月に近いが、ハロウィーンと満月が重なるのは46年ぶりと言っていたが、それでは私が日本の教育視察団とともにアメリカでハロウィーンを初めて知った年の2年前である。ハロウィーンなんてほとんどの日本人が知らなった年より以前に満月との関係をメモった記録なんてあったのだろうか。どうも腑に落ちない。

2020年10月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4919.2020年10月30日(金) 企業年金受給額、減額か?

 ちょうど半年前の6月30日に亡くなられた会社の山岳部の先輩、小林経雄さんのお墓へ山岳部の仲間10人とお参りした。大山阿夫利神社の麓・日向薬師の曹洞宗迦葉山盛徳寺の墓地へお参りした。交通の便があまり良くなく、小田急・伊勢原駅から路線バスで向かいお寺の近くから山道を歩いたが、こういう田舎道を歩くのも久しぶりだ。このような山里で永遠の眠りに就いているのも故人らしいと思った。しばらく気にかかっていたので、岡幹事の準備と気配りで滞りなく参拝を済ませてホッとしているところである。幹事さんは、明日も山仲間2人とお参りするそうだが、重ね重ねお世話をしてもらい感謝に堪えない。

 さて、昨日テレビで急に飛び込んできたニュースに本当か?と一瞬信じられなかったが、今日の朝刊で詳しく報じられている。

 第一生命保険が、企業年金の利率を下げるとの一報である。関係者にとっては嫌なことだが、そもそもこの原因も新型コロナウィルスの影響などで世界的に金利が下がり、年金運用にも影響が及んでいることが原因のようだ。第一生命は、企業年金契約を約3千社と結んでいるというから影響は計り知れないほど大きいと思う。実は、私が定期的に戴いている企業年金も第一生命から振り込まれる。実際に今受け取っている企業年金が減額されるのかどうかは現状でははっきりしないが、生保の企業年金運用が厳しいことは理解出来ないことはない。だが、受給者にとっては、高齢になって予定していた所得であり、得べかりし所得が得られなくなるのは、緊急事態で一大事である。今後の老後の生活にも大きく響いてくる。

 新聞報道によれば、第一生命は、確定給付型年金の運用利回りについて、来年10月に年1.25%から一気に0.25%に下げるようだ。しかし、受給者に対して金利が下がったからといって一方的に受給額を減額するのは、約束違反であり受給者としてはとても容認出来ない。日本生命など他社も同じ対応をするようだが、国内で約1万3千社が導入し、940万人が受給している現実がある。これほど多くの高齢者の受給額を、生命保険会社の一存で減額するのは横暴だと思う。仮に年金受給額が減額されるようなら大きな社会問題になるのではないかと懸念している。今後の成り行きから目を離せない。

 生命保険会社が苦しくなったツケを受給者に回すとしたら、この年金という事業を民間会社が行ったこと自体に根本的な欠陥があったということになるのではないか。厳しく言えば、生命保険会社が国と結託した詐欺行為である。企業年金の約款では、金利水準が下がった際に金融庁へ届け出て予定利率を認められているから、問題ないようだが、この点も含めて国民に負担を強いたり、騙すような反社会的行為をこのまま目をつぶっていて好いものだろうか。

 案の定、今日の朝日夕刊「素粒子」にこう書かれている。「サラリーマンの老後の暮らしにもコロナ禍の影。企業年金の利率、1%幅引き下げ」。

 一昨日プロ野球パ・リーグの優勝が福岡ソフトバンク・ホークスに決まったのに続いて、今日セ・リーグも巨人軍の2年連続、47度目の優勝が決まった。5連敗の後引き分けでやっと決まったという苦しい戦いぶりだった。これで巨人は日本シリーズに出場するが、クライマックス・シリーズを残しているパ・リーグはまだ出場チームは分からない。

2020年10月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4918.2020年10月29日(木) 戦場カメラマンの死から半世紀

 昨日は、カンボジアで取材中34歳の若さで亡くなった戦場カメラマン澤田教一の50年目の命日に当たる。

 1965年戦時下のベトナム・ロクチュアン村の名もない川で撮った「安全への逃避」という1枚の写真が、世界中に強烈なインパクトを与えた。母親が乳飲み子を左手に抱え、他に3人の子どもとともに川の中を必死に泳いで逃れようとする臨場感たっぷりの写真は、あまりにもショッキングで大きな反響を呼んだ。当時ベトナム反戦運動に参加していた人たちの中でも話題になった。翌年報道写真部門で最高の「ピュリッツアー賞」をはじめ、数々の名誉ある賞を受賞している。

 我々ベトナム反戦運動に参加していた者にとっては、岡村昭彦、本多勝一、開高健、小田実、小中陽太郎、石川文洋らと並んで印象に残っている人物のひとりである。3年前の8月、日本橋高島屋で開催された写真展「澤田教一展~その視線の先に」を見学した。その時買い求めた戦場の写真集「戦場カメラマン沢田教一の目」は豊富な写真に溢れ、今もベトナム戦争に想いを馳せるメモリーとして手元にある。ベトナム戦争は澤田が亡くなった5年後の1970年に終結した。

 1968年テト攻勢によりベトナム戦争は益々激しくなったが、その1年前に厳しいベトナム戦争中にサイゴン(現ホーチミン)を訪れ、戦争の恐ろしさを実感し、5年前には終戦40周年企画でベトナム国営テレビから取材を受けたこともある。やはりベトナム戦争との縁は切れない。それだけに何とも忘れられない戦争であり、澤田カメラマンは忘れられない人である。

 さて、新型コロナウィルスの影響があらゆる分野に及んでいる。一昨日全日空が今年度の予想決算を発表した。コロナの影響を受けて旅客が激減したことが想像を超える減収をもたらし、会社創立以来最大・最悪の赤字5,100億円を計上する見込みである。4月時点では、270億円程度の赤字と見込まれていたが、それ以上に予想を遥かに超える大幅な赤字決算となりそうである。

 観光業、交通業がとりわけ大きなコロナの波をかぶっているが、鉄道業も他人事ではなく、これまで安定基盤にあったJR各社、私鉄各社ともに厳しい経営を迫られているようだ。

 昨日発表されたJR各社の成績もぱっとしない。今年度JR東日本の最終予想営業損益は2,952億円の赤字、JT東海は同じく1,920億円の赤字であり、いずれも初めての赤字決算となる見通しである。その他西日本、九州、四国、北海道などのJR各社も赤字決算が予想されている。

 私鉄各社はどうかというと、まだ今年度の決算予想は公表されていないが、大手私鉄14社の第1四半期(6~9月)の実績を見てみると軒並み大きな赤字で、各私鉄の鉄道減収率は44~68%である。

 こんな時、全日空の年収3割減をはじめとして、各社が赤字補填のための秘策を検討している中で官公庁職員の所得には減給などの処置は取られないし、自治体などの公用車は相変わらず経費のかかる高級車を使用している。いくら襟を正すとか、時勢に鑑み、などときれいごとを言っても公務員にはお金を稼ぐことがどんなに厳しいものであるかということがまったく分かっていない証拠である。

2020年10月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4917.2020年10月28日(水) 首相所信表明演説で推薦会員拒否の説明なし

 先日来日本学術会議の推薦会員候補者を菅首相が任命しなかった件が、ずっともめている。今日も首相は国会の代表質問で任命拒否の違法性を否定し、出身地や大学に偏りがあると述べていたが、一昨日NHK「ニュースウォッチ9」に出席した首相はキャスターの質問に同じように応えていた。その時、会員が偏っていると述べて、出身地や大学、年齢などを挙げていたが、こういう学問の組織ではある程度偏るのはやむを得ないのではないか。

  例えば、科学分野では研究のうえに実績を上げるとするなら、当然年数がかかる。すると研究に関わっている人は年齢を重ねることになり、相対的に高齢者が多くなるのはむしろ当然のように思う。これから地方を活性化させるとのお声は佳しとして、研究機関や工場、大学がともすれば都会、大都市に集中している現状では、大都市で活動する会員が増えるのも致し方ないと思う。更に大学による格差があると言う点では、どうしても大都市の国立大学の方が設備、財政的バックアップなどが地方の大学より優れているので、やむを得ない点がある。ただ、これらはある程度是正していくことは可能だと思う。それにしてもそんなことは当然のことであり、首相が国会の場や、全国ネットのテレビで語るまでもないことである。川勝静岡県知事は、「菅義偉という人物の教養レベルが露見した。学問立国に泥を塗るようなこと」などと痛烈に批判している。

 それより問題は、政治が科学分野の人選にまでちょっかいを出すことである。国費をもらっていることもあり、きちんと国へ報告すべきは報告し、その代わりに余計な口出しはさせない毅然とした対応が必要であると思う。屁理屈をこねて学術会議の組織、運営、人選などに干渉すべきではない。この問題は、政府がきちんと任命拒否の理由を語らなければ、いつまで経っても解決しないと思う。

 さて、昨日プロ野球パ・リーグの優勝チームが決まった。ソフトバンク・ホークスが3年ぶりのリーグ・チャンピォンに輝いた。いつもながら少々首を傾げたくなるのは、2018年と19年にホークスはパ・リーグの優勝を逸していながら、昨年まで日本シリーズ3連覇という素晴らしい実績を上げていることである。パ・リーグ覇者と日本シリース・チャンピォンの間に整合性がなく、不思議なからくりがあるからだ。

 ホークスは、2018年と19年はリーグ2位だった。その後上位3チームが日本シリーズ出場権を賭けて戦うクライマックス・シリーズという、リーグ優勝の価値を貶めるようなトーナメントを行っている。ホークスは、そこで偶々優勝チームを破り日本シリーズへ出場してセ・リーグの覇者と戦って勝った。つまり敗者復活戦で勝ち上がったチームと言える。今年は新型コロナウィルスの影響のせいもあるが、パでは例年なら上位3チームで争われる筈だが今年は2位ロッテとの日本シリーズ進出決定戦となる一方で、セでは開催しない中途半端なクライマックス・シリーズなんてプロ野球界の魅力を失わせるばかりだ。リーグの本当の覇者はどこか疑問を与えるようなポスト・シーズン試合は、好い加減に中止したらどうか。

 現状だと今年優勝を早めに決めたソフトバンク・ホークスだが、日本シリーズに進出出来ない可能性もある。奇妙なシステムである。

 

2020年10月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4916.2020年10月27日(火) タイのデモと国王のスキャンダル

 初めて訪れた外国であり、好きな国のひとつでもあるタイ国内の反政府デモが激しさを加えている。官憲によりデモ隊が抑圧、排除されては、再びデモが活発化して一向にその勢いは止む気配がない。日ごろ温厚なタイ人がこれほど騒ぐのも珍しい。去る8月には、抗議デモは過去最大級のものになり、プラユット現政権を追認しているとして、タブーである国王批判と王政改革まで要求するまでになった。

 タイには世界でも珍しい王室に対する不敬罪なるものがあり、国王や王室を批判することは重大な犯罪として取り締まりの対象となっているとは、つい最近まで知らなかった。実際タイの憲法には、「国王は崇拝される地位につき、それは侵害されてはならない。何人たりとも国王に対していかなる非難も行動もしてはならない」と規定されているから驚くではないか。刑法でも「国王や王妃、後継者や摂政を中傷したり、侮辱したり、脅迫する」ことは犯罪で、禁固刑に処せられることもあるとされている。これは外国人メディアに対しても同様で、仮に反王室と見られる記事が報道されると処罰の対象になるとしてメディアが委縮する傾向があるという。それが公に反王室の報道が見られなかった一因でもあったのだ。

 ところが、国王、及び王室関係の人たちの言動は、憲法が保障するほど胸を張れるような模範的なものかというとまるで真逆なのだ。これまでにもスキャンダラスな話はしばしばあったが情報として伝えられなかっただけなのだ。ラマ9世を名乗ったプミポン前国王は70年間在位して国民から広く敬愛されていたようだったが、子息の今年68歳になるワチラロンコン現国王は、王室で国事を執務しているかと思いきや、プレーボーイとして浮名を流しタイを留守にしがちでほとんどドイツのホテルに20人の愛人と生活しているという。前国王が亡くなって3年後の昨年漸く戴冠式が行われ正式にラマ10世となったが、戴冠式に約35億円を費やしたとして派手な話題にもなった。これまでに3度も離婚を繰り返し、現在1世紀ぶりの国王側室から格上げされた王妃と4度目の結婚生活を送っている。

 しかし、国王ともあろう国民から敬愛されるべき方が、外国で多くの人びとから注視される中で上半身を女性用タンクトップでGパンにサンダル、加えて上半身をペイントで塗って、入れ墨風に装った裸姿は、あまりにも非常識で良識ある人々の顰蹙を買ったことと思う。普通のタイ人の言うに言われぬ気持ちがよく分かる。周囲からは諫めるお側役がいないせいか、国王には襟を正すという気持ちが見られないようだ。

 8月に起きたデモの中で、国王の行為に呆れた弁護士が中心となったものがあった。弁護士は不敬罪により身柄を拘束されたが、後に解放された。しかし、恐らくこのままではどちらも済まないだろう。国辱ものの国王と国王の行為は、タイ国民にとってもいかに憲法で保証されていようとも、いつまでも見過ごすことは出来ないだろう。政治的な反政府デモと王室批判デモが一緒くたになっているが、どちらかのカタがついたとしても、例え違憲であっても王室批判、王室体制変換への動きは芽を吹き出し拡大していくのではないだろうか。

 初めてタイを訪れ、そこで短いながらも古都アユタヤで軍人のスナイさん家族に温かいおもてなしを受けて楽しい旅を送って、新婚旅行でも再訪した大好きなタイが、こんな国王のスキャンダラスな話で国内外の評判を落すのは何とも悲しく残念なことである。

 日本のメディアには、王室関係のニュースが駐日タイ大使館に監視されていることにおびえることなく、正々堂々とせめて真実を伝えて欲しいものである。それはそれとしてこのブログを仮にタイ大使館が知ったら不敬罪に当たるのだろうか。

2020年10月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4915.2020年10月26日(月) これから菅首相の力の見せどころ

 東京医療センター眼科で白内障手術をしてもらってから3度目の健診を受けた。医師からは順調な経過と伺い、この次は2か月後の年末にもう一度診てもらうことになった。確かに左眼が良く見えるようになった。点眼薬の処方について種々アドバイスをいただき、まずまずと一安心したところである。これからは毎月1度通い付けの土坂眼科で診てもらうよう勧められた。

 今日臨時国会が開かれ、菅首相は初めて所信表明演説を行った。「グリーン社会の実現」を成長戦略の柱に位置づけて、温室効果ガスの排出量を2050年までに実質ゼロにする目標を新たに掲げた。これまで目標は「50年までに80%削減」だったので、一層厳しい取り組みが求められる。実現に向けては、次世代型太陽電池や、二酸化炭素を再利用する「カーボンリサイクル」などの研究開発を促進させる方針を示した。脱炭素社会に向けた国と地方の検討の場を創設することも打ち出した。原子力政策を進め、温室効果ガスを多量に排出する石炭火力発電については「政策を抜本的に転換する」と述べた。自民党総裁選で打ち出した「デジタル庁」創設や、携帯電話料金の引き下げにも触れた。

 更に「ポストコロナ」を見据え、デジタル化などの「大胆な規制改革」を掲げた。司令塔と位置付けるデジタル庁は「来年の始動に向け、早急に準備を進める」とした。あらゆる行政手続きをオンライン化するため、国と各自治体のシステムを今後5年で統一し標準化する目標を打ち出した。

 明日から国会で野党との論戦が展開されるが、手ぐすね引いて待ち構えている野党の日本学術会議会員の任命拒否問題をどう切り抜けるだろうか。ネットの世論調査を見てみると、「納得できない」が68.4%で、「納得できる」の29.2%を遥かに凌駕している。首相が「総合的かつ俯瞰的に判断した」と言っているが、学術会議には国から毎年10億円が投資されているとの言葉が、「だから国(政府)の言う通りにせよ」と言わせているように思えて仕方がない。語るに落ちたの感がある。加えてなぜ否定した説明がないのかとの問いに対しては応えず、学術会議のあるべき姿を検討すると的はずれの対応をしている。やはり、政治が学問、科学の自由を侵しているとの指摘にまともに応えていない。モリ、カケ、桜の証拠隠滅3部作をやった安倍前首相路線を継承していくと語った菅首相らしいパフォーマンスではないだろうか。しばらくしたら菅首相の周辺も怪しい雲行きとなり、得意の忍術ドロンが見られるのではないかと思うとぞっとする。

 さて、そろそろ今年のプロ野球も終盤に近付いて、セ・パ両リーグとも優勝マジックが1桁になった。今日そのプロ野球界恒例のドラフト会議が初めてリモート式で開かれた。ひとり興味を惹かれた高校生がいる。地元球団中日ドラゴンズに1位指名された中京大中京高のエース、高橋宏斗投手は、入学以来負けなしで昨秋の明治神宮大会でも優勝したプロ注目の剛球投手だ。残念ながら志望大学のAO入試に通らず、気持ちを切り替えプロ入りすることを決断した。かつて、甲子園で大活躍した坂東英二、江川卓投手も同じ経験を経てプロ球界で活躍したように、プロ球団が喉から手が出るほど欲しがっている逸材でもあり、敢えて進学に拘らず、伸び盛りの時にプロ入りする方が本人の野球人としての成長のためにはプラスに作用するのではないかと思う。

2020年10月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4914.2020年10月25日(日) 核兵器禁止条約50カ国が批准・発効、日本批准せず。

 昨日に続いて朝日朝刊に連載中の池澤夏樹の「また会う日まで」について雑感を手短に書いてみる。ここ数日の海軍高官の言動描写に興味を抱いた。時は日ロ戦争前後である。主人公の海軍士官が海軍艦隊演習航海でアメリカやヨーロッパを巡った当時の航海記録に興味を抱いた。特にロシア軍艦が地中海で日本軍艦にちょっかいを出し一触即発のときに、日本に好意的だったイギリス軍艦の先導でスエズ運河へ入り、スエズから紅海を通りアデンを経てアラビア海に出るルートを航海するシーンを描いていた。偶々近日上梓するドキュメント「八十冒険爺の言いたい放題」で、第3次中東戦争直後に戒厳令下のスエズ運河へ行き、その後アフリカを回ってビザを持っていながらアデンで入国を拒否され、何とかして滞在ビザを取得して日本人として初めて独立したばかりの南イエメン(アデン)へ入国した旅行について頁を割いている。そんなことを思い出し頷きながら読んでいた。今では運河も拡張されたが、砂漠の中を波ひとつない公海上をすべるように進むイメージが頭の中に浮かんでくる。

 さて、昨日核兵器の保有や使用などを禁止する核兵器禁止条約をホンジュラスが批准して批准国が50カ国になり、国際条約として来年1月に発効することになった。しかし、これに参加していないアメリカ、ロシア、中国などの核保有国には条約の効力が及ばず、実効性には課題が残る。また、アメリカの「核の傘」に依存する日本も条約に参加していない。世界で唯一の被爆国であり率先して批准すべき日本が条約を批准しないことに関しては、条約批准国から不審な目で見られている。

 安倍政権時代から日本は、核保有国と非保有国の間の橋渡しをするという極めて曖昧で無責任な立場に固執し続けている。今回条約批准国が50カ国に達したことにより非核化の動きが加速することを期待したい。

 しかし、最近アメリカが批准国に圧力を強めて批准を取り消すよう求めていた。核戦争を望んでいるのかのようなアメリカは、これにより非核運動が世界的に大きく拡大することにブレーキをかけたようだ。日本はアメリカの核の傘の下に入ることによって、アメリカ側に就いている。これが被爆国の行き方だろうか。これにより自らの手を汚すこともなく核兵器使用を許容していることになり、極めて中途半端な立場にいる。これは倫理的にも問題で、無責任過ぎやしないだろうか。

 実際2017年のノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)のベアトリス・フィン事務局長が、「(原爆を投下された)日本の経験を考えると、日本が核兵器を合法のままにしようとしていることに失望している。日本は核兵器がどういうものかをよく知っている。条約を支持しないことで、政府は同じことが再び起きるのを許そうとしている。日本の人々が参加を強く支持していることは知っている。しかし、条約に加入しないならば選挙で選ばないと声を上げるなど、政府に要求する必要があると思う」と日本人の行動にも問題があると語った。今後実施される締約国会議に日本がせめてオブザーバーとして参加することが出来るのだろうか。

 アメリカ大統領選が終了してから、アメリカ外交は本格的に動き出すだろう。日本は相変わらずアメリカの腰巾着となってその指図によって右往左往しながら核保有国と非保有国の間を行ったり来たりするのであろうが、あまりにも主体性がなさ過ぎる。

2020年10月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

4913.2020年10月24日(土) アメリカ大統領選2度目のテレビ討論会

 昨日アメリカ大統領選候補者による2度目のテレビ討論会が行われた。第1回の討論会は政策論争どころではなく、共和党のトランプ大統領と民主党バイデン前副大統領両候補者の相手への罵り合いとなって見苦しく、論戦も噛み合わず史上最悪の討論会と言われた。それを反省して今回は、各テーマの冒頭でひとりの候補者が話す2分間は、他の候補者のマイクのスィッチを切って割込みをシャットアウトする異例の措置を決めた。アメリカと言えば、世界の舞台で最高のディベートとなるべき討論会が、まるで子どもの学芸会のようになってしまった。今回は、相手の話している間に割り込んで邪魔することがなくなったことにより、視聴者には聞きやすく、分かり易かったようで想像以上に好評だった。

 最初のテーマであるコロナ感染拡大が再び加速していることに関しては、トランプ大統領が中国より襲来したウィルスで感染が拡大したと言って、まもなく終わるだろうと楽観的な見通しを語った。一方、バイデン氏はトランプ氏がその影響力を軽視したために22万人もの死者が生まれたことを指摘し、トランプ大統領が未だに包括的なプランを持っていないと批判し、初期対応の遅れも非難した。

 また、地球温暖化対策の国際ルール「パリ協定」については、トランプ氏の科学的根拠がない二酸化炭素ガス(CO2)削減取り決めのせいでビジネスを破壊するとの言い分に対して、バイデン氏は地球温暖化は人類の存続にとって脅威となるとしてパリ協定復帰を主張した。

 4年前は、投票日直前までクリントン候補有利との下馬評だったにも拘わらず、それが覆ったことにより、今年もバイデン氏が有利であるが、予断は許せないとの声がある。その点で昨日の討論会でトランプ大統領が決定的に不利な情勢を逆転させるほどの効果はなかったとの講評である。CNNは54対39でバイデン氏に軍配が上がったとコメントしていた。今日の朝日「天声人語」は、即断は禁物だが、バイデン氏が王手をかけた印象と書いている。残りあと10日である。どうなることやら日本にとってもアメリカ大統領は大きな影響があるだけに気になるところである。

 さて、ジョナサン・スウィフトの「ガリバー旅行記」には、微笑ましく愉快な話が随所に溢れている。朝日夕刊に毎週金曜連載中の「ガリバー旅行記・第1部リリパット渡航記」が昨日19回で終了した。著者のスウィフトについては、1992年にアイルランドのダン・レアラで学校訪問した時に教育関係者からもその名を再三聞かされた。アイルランドが誇るべき偉大な作家なのである。

 新聞は大きな挿絵と解説付きであるが、毎号全一面を使っていた。子どものころにダイジェストで読んであらすじは知ってはいたが、改めて18世紀当時のイギリスの時代背景や、イングランドとアイルランドの端からは分からない関係などが風刺的に描かれていて興味をそそられる内容だった。漂着した小人の国が「リリパット」という王国であることを初めて知ったことや、リリパットを出国して母国へ帰る途中で乗せてもらった船が、何と日本からやって来たイングランドの商船だったことなどである。今まで単にリリパットを小人の国と思っていただけだったが、小人の身長が15㎝だったことや、火災に遭った皇后の宮殿に小便をかけて消し止めたが皇后の怒りを買ったことなど、初めて具体的に知る珍しいエピソードがいっぱい溢れていた。次週から第2部に進むのだろう。楽しみにしている。

2020年10月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com