6324.2024年9月5日(木) 台風に屋久杉倒壊、風雨に木製美術館腐食

 先日襲来した台風10号が、日本各地に多くの被害をもたらした。その中でも最大の損害は、屋久島の樹齢3千年と言われる屋久杉の幹が強風により破壊され倒れたことで、多くの人々、特に地元・屋久島の人びとを失望させている。

 屋久杉は1993年に白神山地とともに日本で初めて世界自然遺産に登録された。その直後に現地を訪れ、大きく立派な屋久杉に見とれていたことを想い出す。こればかりは元通りに修理、回復させるわけにもいかず、屋久島にとっても最高の観光資源だっただけに、これからどうするのだろうと些か気がかりである。

 自然界の不意打ちの襲撃にはとても太刀打ち出来るものではないが、最近自然の木材の腐食による建築物の劣化が問題になっている。世界的に知られた建築家・隈研吾氏が設計した栃木県の「那賀川町馬頭広重美術館」が老朽化によりかなり痛んでいることが分かった。特に外部と接する屋根と外壁には栃木県特産の八溝杉を使ったが、完成以来24年が経過してその劣化が大分進み惨めなものとなった。改修するためには、約3億円もの費用が掛かると見られ、その資金が頭の痛い問題である。

 「那賀川町馬頭広重美術館」は、1民間人によって歌川広重の肉筆画や、版画、徳富蘇峰の書をはじめとする浮世絵、工芸品、書籍など多数寄贈された作品、そしてそれらを展示するために建てられた木製の建物と庭園が見事に調和した美術館として県内外から多くの見学者が訪れている。

 町立の美術館だけに、財政的にもそれほど楽ではない中で、町としてはシンボル的な建物でもあり、来年開館25周年を迎える機会に、那賀川町としては何とか改修費用を工面して町民が誇りとし、再び観光客を呼べるような施設に回復させたいと考えている。

 隈研吾氏設計の建築物は、自然の素材としてよく日本の木材とか、竹が使われる。ただ、これらの素材は厳しい自然に弱い点もあり、主に自然界の試練から逃れられる建物内部の建築資材として使用される。東京オリンピック招聘を機に改装されることになった東京信濃町の国立競技場も隈研吾氏の設計である。当初デザイナーが隈氏と発表された時には、これまでコンクリート製だった競技場に木材を使用することによって耐久性を懸念したことがあった。幸い国立は屋根の下の部分に木材を使用したので、直接風雨に晒されることがなく、大きく傷つくことはなかった。しかし、これとて間接的には風雨を受け止めているので、いずれ時が来れば寿命が尽きることだろう。

 屋久杉については、自然界の襲来に晒され食い止めることは出来なかったのも止むを得ない。しかし、建物に使用された木材などが直接自然界の脅威を浴びれば、痛むことも分かる。建物の建設については、財政的に余裕のない自治体は、著名なデザイナーの特殊な建築に捉われず、名より実を重視して耐用年数の長い建築物を建設するのが財政的にも助かるし、妥当なところではないだろうか。

 蛇足ながら、「那賀川町馬頭広重美術館」の「馬頭」の意味が分からず調べたら、「栃木県那須郡那賀川町馬頭」という地名から名付けられたそうだが、那賀川町までで充分で地区名まで付ける必要があるのだろうか疑問である。ただ、それほどこの美術館は土地の人びとにとって「おらが町」の自慢できる誇り高い「宝物」なのだろう。

2024年9月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6323.2024年9月4日(水) 車いすラグビーでパラ五輪金メダル獲得

 今パリでパラリンピックが開催されているが、日本は個人、団体ともに活躍している。昨日から今日にかけてスポーツ番組のみならず、意外にもニュースの一環として報じられているのが「車いすラグビー」の金メダル獲得である。今朝の朝日新聞には一面に写真入りで報じられている。

 私自身高校時代はラグビー部で3年間プレーしたが、当時は弱いチームだった。その後母校は徐々に力を付け、今ではレベルの高い神奈川県内でベスト8の常連になり、公立校では最強チームの一校になったと思う。高校では主将を務め、長年OB会長も務めた。その影響だろうか、2人の息子たちも幼いころからラグビーに熱中した。今では孫の一人が中学生ながら、昨年クラブ日本一になった強豪の横浜ラグビースクールでプレイしている。そんなラグビー一家でありながら、この金メダルを獲得した車いすラグビーについては、ほとんど無関心だった。ラグビーとは別のスポーツのように思っていた。テレビ観戦しても随分ルールが異なると感じたが、その激しいプレーぶりは、身障者のスポーツとしては他には見られないもので、ラグビーとの精神的つながりを感じた。

 初めて気が付いたことは、昨日アメリカとの決勝戦でアメリカ・チームに女子選手が出場したので、アレっと首を傾げた。そこで一般社団法人日本車いすラグビー連盟(JWRF)のHPを開いてみた。特殊なルールがいろいろあり、1チーム12人でコートに出場するのは4人というチーム構成も初めて知ったが、一番驚いたのは、この激しいスポーツは、女性選手も所属し男女混成チームであることだった。障害スポーツであるので、1チーム4人の選手にそれぞれ障害の程度によって0.5から3.5までそれぞれ点数があり、試合中選手交代しても1チームの合計点が8点までと決められている。想像外だったのは、女性選手が出場すると0.5が加点され、チーム全体として8.5点まで認められることである。その他に試合のルールについてもいくつか取り決められている。15人制ラグビーと根本的に違うのは、パスを前へ送ってもスローフォワードの反則ではなく、認められていることと、ゴールライン内へタッチダウンしなくともラインを越えれば、トライとなることである。だが、5点ではなく1点であることがラグビーとは違う。

 優勝という栄冠を得て、トーナメント大会は終わってしまったが、これからはもう少し関心を持って車いすラグビーを観てみたいと思っている。車いすラグビー優勝の影響で、15人制ラグビーの日本代表チームにもプレッシャーがかかり、現在の世界14位から2019年大会でベスト8入りした当時の力を常に発揮出来るよう努力が望まれる。
 さて、話題はウクライナ絡みになるが、ウクライナでの戦争犯罪でロシアのプーチン大統領には国際刑事裁判所(ICC)から逮捕状が出ており、ICC加盟国は当然自国へプーチン氏が訪れたら身柄を拘束する義務がある。そのプーチン氏が、昨日モンゴルを訪問したが、石油製品と電力をロシアに大きく頼ってロシアに恩義を感じているモンゴルは、ICCのルールに反してプーチン氏を逮捕することはなく、プーチン氏は今朝未明にロシアに帰国した。ICCのカウコランタ議長は、加盟国が義務を果たすことなく、プーチン大統領を迎えて無事に送り返したことは許されないと強い口調で語った。ロシアとしては、モンゴル訪問をきっかけに他の国々をも訪れ、権威をまき散らしたいのだろう。ただ、この義務不履行によって国際的に大きな組織にヒビが入りかねないことは事実である。モンゴルとしては、本音ではプーチン大統領の訪問を断りたかったのではないだろうか。力あるものには勝てない。

 残念なことだが、自国の力を見せつけるために、国際的組織や、協定を蔑ろにする行為は当たり前だということをプーチンはやってのけたのである。これでは外交も何もあったものではない。困った世界の我が儘リーダーである。

2024年9月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6322.2024年9月3日(火) 自民総裁選で改憲が議論されないのは?

 自民党総裁選(12日告示・27日投開票)が迫っているが、出馬予定者12人の内出馬を宣言したのは、小林鷹之、石破茂、河野太郎3氏だけだったが、今日4人目の林芳正・官房長官が出馬表明した。それぞれ20人の推薦人を集めるのに苦労されているようだが、派閥、旧派閥との話し合いや、他の出馬予定者の戦略を計算しながら、折を見て出馬宣言するつもりだろう。噂では現状小泉進次郎・元環境相が優位な立場にいるようで、6日にも出馬を表明すると見られている。それでもその小泉氏に対しては、案外党内外に批判的な意見が多いようだ。特に政治評論家の間では、小泉氏は空虚な実像の首相候補と言われており、何事にも定見がないと言われている。確かに、父小泉純一郎元首相の人気を引き継いだ世襲政治家であり国内外に名は売れているが、自身の口から国内向けに日本のあるべき姿について思想的、哲学的にぶれない政治家としてのビジョンや、国際社会に向けて日本の立場を語ったのを耳にしたことがない。それは必ずしも小泉氏だけの問題ではないとは思うが、仮にも日本の首相になる人物を選ぶことになるので、この機会に臆せず本音を語ってもらいたい。

 総裁選の各候補者は、首相として日本の政治、外交問題などをどう考えているのか自民党内の内輪の選挙というだけではなく、一堂に会して討論会を行い、国民が日本のビジョンと歩むべき道を知る機会を作るべきである。さすれば、総裁選の意味、本質も分かり易く国民が政治について関心を抱くだろう。特に聞きたいのは、彼らが改憲論議にばかり先走っているが、憲法について自分はどう考えているのかということは、国民にとって一番知りたいことである。

 折も折、昨日岸田首相は、自民党の憲法改正実現本部が取りまとめた憲法へ自衛隊の明記などの論点整理を、新総裁に引き継いでもらいたいと要望した。現在憲法改正実現本部が取りまとめた論点は、現憲法9条の条文はそのままにしつゝ、新たに自衛隊の存在を明記するというものである。憲法改正をアピールすることは、国民の間にかなりの抵抗があると考え、中々至難であると考慮の末に、現存する自衛隊の存在を憲法に明記することによって自分らの考えを押し通そうとの意向である。そこには、石破元幹事長の「自衛隊は違憲だという意見を完全に払拭するために意義がある」という考えがあり、自衛隊を軍隊と名称変更するかどうかは不明だが、戦争放棄と軍隊を認めることに些かも矛盾を感じていないようだ。石破氏が特に拘っているのは、憲法第9条2項の削除であり、1項で「武力の威嚇、及び行使は永久に放棄する」と謳った文言をそのまま残しながら、「陸海空軍その他の戦力は、保持せず、国の交戦権は認めない」の2項を削除しようというのである。第1項の説得力は当然弱くなる。

 ともかく現状では自民党総裁=首相=自衛隊の最高指揮監督者、という点からも、この際憲法第9条について総裁選立候補者は持論を披瀝するべきである。

2024年9月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6321.2024年9月2日(月) ドイツ地方選で右翼勝利、右傾化するヨーロッパ

 昨日ドイツの2つの州で州議会選挙が行われ、そのひとつであるチューリンゲン州では、戦後初めて右派の「ドイツのための選択肢」が1位となった。ショルツ首相の社会民主党など与党3党は一敗地に塗れ、相当なショックを受けている。ナチスが第1次世界大戦中に冒した残虐で非人道的な行為の反省から、寛容とか、多様性を重視してきた戦後ドイツでは考えられないことである。況して同州は東西に分断されていた民主化以前は東ドイツ領にあって、ナチスを徹底的に非難していただけに、あまりの落差にかつての東ドイツを知る人にとっては驚天動地の驚きと言ってもいい。

 私自身1983年に旧文部省海外教育視察団にお供して旧東独のカール・マルクス・シュタット(現ケムニッツ)を訪問した時、行動の際は終始シュタージという秘密警察に監視され、落ち着いた気持ちになれなかったことを想い出す。高校で見学した授業では右翼とは反対の社会主義的な科目が多かった。とても右翼的雰囲気は感じられなかった。東西対立崩壊後でも、ドイツ政府は寛容な政策を取っていた。それが近年アフリカ諸国などから多くの難民がヨーロッパに押し寄せて来て、欧米諸国政府は彼らの入国を不法入国として厳しい政策を取るようになった。それでもドイツ政府は難民や移民を受け入れていた。近年労働市場が厳しくなったせいもあり、徐々に移民の入国を規制すべきとの声が強まってきた。そんな最中に移民を排除すると叫んでいた右派「ドイツのための選択肢」が1位となった。

 同じく昨日選挙を行ったザクセン州の結果は、まだ分かっていないが、ここでもかなり右翼勢力が伸びていると伝えられている。そして、22日にはブランデンブルグ州でも州議会選が行われる。まだドイツのほんの一部にしか過ぎないが、戦時中のナチスの行動を反省した筈のドイツに、ナチス的動きが復活することに只ならぬものを感じる。

 それにはロシアのウクライナ侵攻がそのきっかけになったようだ。プーチン大統領の遠謀によりヨーロッパに昔のハプスブルグ家の影らしきものの復活を仕掛けている。最近のハンガリーのオルバン首相の行動が民族主義をベースに、欧州議会で新会派「ヨーロッパの愛国者」なる組織を立ち上げた。これにオーストリアの極右政党「自由党」キッケル党首とチェコのバビッシュ前首相が顔を揃えた。一部には、「ハプスブルグ家の再来」とも見られている。この他にフランスのルペン国民連合党首をはじめ、イタリアやオランダの極右勢力が合流し、ヨーロッパの右翼勢力が結束しそうな雲行きである。

 世界には、今や民主主義的、社会主義的な空気よりも右翼、極右的、帝国主義的な行動への回帰が表れているような気がする。日本でも政治や社会の動きに無関心でいたら、世間には保守的な空気が流れ、それがやがて右翼的なものとなり、気が付いたら昔の大日本帝国の軍国主義に戻る可能性だってあり得る。一説に依るとプーチンは、親ロのオルバン首相を操り、戦後国土を失った国々に再び旧国土を自国領にするとの甘言でルーマニアや、スロバキア、セルビアに帝国主義的領土侵略の行動を煽っているとの声が聞こえてくる。ロシアが帝国主義の亡霊を呼び覚ます中で、中央及び東ヨーロッパは、ヨーロッパの火薬庫となりつつある。

 プーチンの匙加減でヨーロッパは危険な帝国主義的体制にのめり込む恐れが表れている。明らかにロシアは共産主義国家でなく、社会主義国家でもなく、帝国主義的国家である体質を表しつつある。

 ところで日本はどうだろうか。裏金に目がなく、利己主義的で戦争好きな国会議員たちの間では、右翼化の傾向が表れ始めているのではないだろうか。

2024年9月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6320.2024年9月1日(日) 主たる歳費は社会保障費、借金返済、戦争準備費

 今から101年前の今日あの関東大震災が発生した。今では「防災の日」と定められている。地震もこのところしばしば起きているが、このところ地震より台風情報にハラハラさせられている。

 まったく今襲っている台風10号の気ままな動きには、気持ちが落ち着かない。南方洋上から沖縄、奄美諸島を経て九州へ上陸してからの遅い動き、それに合わせた太平洋岸の高気圧による激しい豪雨に国民は振り回されている。交通機関、とりわけ新幹線の不意の運行休止が乗客を戸惑わせ、皆動きが取れない。交通機関ばかりでなく、停電も長く続き、宅急便も一部集配と宅配を停止し、郵便も地域によっては受付と配達をしばし停止する有様である。更にトラックによる貨物輸送も止まり、食料品などの入荷が出来ずにスーパーの食品棚には商品がなくなる状態である。

 そして、台風は紀伊半島の沖合で停滞していたが、今日午後漸く熱帯性低気圧に変わった。そのため台風は警戒していた関東方面には襲って来ないが、太平洋沿岸には高気圧が張り出し、その影響から南関東では昨日から激しい雨が降っている。特に、神奈川県小田原市や二宮町には、1976年に統計を取って以来最大の降雨量をもたらし、昨日1日だけで2か月分の総雨量を上回る降雨があった。今日も朝から雨が降ったり陽が照ったり、時に激しく雷鳴が鳴り響く慌ただしい気象だった。

 さて、政府の1年の大仕事である年度予算策定の第一ステップである2025年度予算編成を前に、一昨日各省庁の概算予算要求が出揃った。総額では過去最大の117兆円である。実際には、明かされない「事項要求」なるものが各省庁にあるので、更に上積みされる。

 一般会計の歳出額は、毎年一番多い社会保障費34.2兆円が全体の31%を占めている。これは年々少子高齢化の影響が強くなり、高齢者への医療費負担が大きくなるので今後も増え続けるであろう。

 しかし、大きな問題が2点ある。ひとつは、国債の元利返済に充てる国債費として28.9兆円もあり全体の26.2%を占めている。利息の返済に日銀の追加利上げで利払い費用が増えることも考慮されている。しかし、毎年国家の借金が増え続け、今や1,297兆円もの累積債務を抱えている。以前から毎年のように財政健全化が叫ばれながら、一向に問題は解決しない。借金は増えるばかりである。国家の借金が増えることについて、国会議員の関心が薄くなったとしたら、今後も国債費は増え続けるだろう。これは政治家が本気で解決する気持ちがなく、口先だけの斉唱「財政健全化」のせいである。

 もう一点気になるのは、防衛費の異常な増額である。これは昨年岸田首相が2027年度までの5年間に防衛費を43兆円程度に増額すると発言し、防衛省が25年度概算要求に過去最大の8.5兆円を要求したためである。今や日本人なら誰でも知っている憲法第9条に書かれている「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」との言葉にまったく逆らって死語扱いし、政府が堂々と憲法違反を冒している。国が先頭に立って国民を裏切っているわけである。増額された予算は、防衛機材の整備に充てられ、戦争の惨禍に懲りた国民が戦争と縁を切る平和憲法を台無しにして、戦争準備に投資される。

 この問題については本ブログに何度も書いているが、戦争を身体で知らず戦争ゴッコを楽しもうとする戦争好きな国会議員と、アメリカの言いなりになって米軍に奉仕しようとするアメリカ盲目愛者のせいである。わが余生において2度目の大戦が起きるとは絶対信じたくないが、このまま行けば、戦争は間違いなく起きることは確実である。

2024年9月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6319.2024年8月31日(土) 天下り官僚・斎藤兵庫県知事の悪評と愚行

 昨日パワハラで注目を集めている兵庫県斎藤元彦知事に対する百条委員会が開かれ、証人尋問に知事が出頭し抗弁した。

 そもそもパワハラを告発した元局長が、公務員失格の烙印を押され停職処分を受けて自殺したことが大きな話題となったのがことの発端である。知事は告発者である元局長が特定されないよう、パワハラ防止法が定められていることについて理解していないようだった。知事のパワハラが事実か、否かをはっきりさせ、パワハラが事実と分かれば、その責任を追及し責任を取らせるべく、百条委員会は多くの県庁職員らの声を聞いて、対策を立てようという段取りだった。ところが、尋問では斎藤知事は批判されている行為は、県政を円滑に進めるために行ったことで自らの行為は正しく適切だったの一点張りである。一方、県職員に対するアンケート調査では、約4割が知事のパワハラを見聞したと回答している。

 結論的に証人尋問では、知事は元局長の処分が不適切だったとは思っていないと自己主張を曲げなかったが、パワハラ防止法を理解していないということは明確になった。来月6日に改めて百条委員会を開催するようだが、強気の知事は自己主張を押し通すことだろう。この百条委員会は、昨日TBS・TVで生中継されたが、ネット上には「自己保身ばかり」、「被害者を馬鹿にしたような対応」、「言い訳オンパレード」、「告発と誹謗中傷って違うんじゃ」、「勇気を振り絞って告発したのに処分とは?」と様々な厳しいコメントが記載されている。

 そして、知事は別の席で、自分が国家公務員として20年間行ってきた通りに県でも行ったと、胸を張ってエリート意識をぶちまけた。そのうえで、今は県政が前へ進むよう努めるとして知事辞職の気持ちは毛頭ないと語った。厚労省官僚OBの中野雅至・神戸学院大学教授は、「本人はずっと叱責で通すと思います。本人の意識の中でも、この程度(公用車を玄関の手前で止められ20m歩かされたこと)は霞が関なら常識的な範疇の仕事の怒り方だと思っている」と指摘している。

 この傲慢なやり取りを見て思ったのは、エリート意識ふんぷんで、人間性の欠如、利己主義が露骨に感じられたことが、パワハラに繋がった原因だと思えた。特に事あるごとに「俺は知事だ」と言っていたそうだが、鼻持ちならない「俺様」には、直属の部下や、職員はいつも居心地の悪さを感じていたことだろう。

 流石に人間的な欠陥が現れて来るにつれ、兵庫県民からも辞任を求める声が広がっている。3年前の知事選で自民党とともに支援した日本維新の会でも、あまりの知事の悪評に音を上げ、百条委員会の様子を見守るとしていたが、これ以上知事を庇ってもいられないだろう。

 一方、立憲民主党など県議会の会派は、「斎藤知事のもとで県政を前へ進めるのは困難だ」として、9月に開催される県議会で不信任決議案を提出する方針を決めた。

 しかし、どうして県民のために奉仕しなければならない知事に、このような世間知らずの46歳の若造が就任することが出来たのだろうか。地元の名門愛光学園中高から1年浪人の後東大経済学部に入学し、大学では1年留年の末総務省へ入省した。顧客と接する営業活動の経験もなく、相手の気持ちを斟酌するようなこともなかった。この20年間の総務省時代に役人の狡さと威厳、傲慢さ、部下を見下し他人を馬鹿にする習性ばかり身に付けたようだ。

 こうなると他にも役人上がりの知事が、自治体で身勝手な行為をしているのではないだろうか、と些か気がかりである。現在47都道府県知事の内、26人が霞が関の官僚OBであり、中でも総務省上がりは最多の10人もいる。選挙で当選したとは言え、周囲からヨイショされた天下りである。「東大➡高級官僚➡知事」の悪循環をどこかで断ち切らなければ、また、第2の斎藤知事が出現することだろう。このままでは日本、危うし!

2024年8月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6318.2024年8月30日(金) 候補者乱立の自民総裁選と立憲代表選

 来月行われる自民党総裁選と立憲民主党代表選も、それぞれ日を追うごとに動きが活発になって来た。現在までに自民総裁選では噂されている有力議員11~12人の内3名が出馬を表明したが、まだ出馬しない議員らは、すでに出馬表明した議員の発言を吟味熟慮のうえ、選挙戦でアピールする心づもりではないだろうか。

 他方、立憲民主代表選に出馬を宣言した党員にはあまり新鮮味が感じられない。まだ若い泉健太現代表と衆議院当選1回の山田晴美議員は別にして、枝野幸男前代表、野田佳彦元首相の他にも、噂に上がっている江田憲司・元代表代行、馬淵澄夫・元国土交通相らは揃って60代のベテラン議員でありフレッシュさが感じられない。中でも昨日出馬の名乗りを上げた野田佳彦元首相のように、今更という感じがしなくもない。再び首相を目指したいとの意気込みがどこまで党員に受け入れられるだろうか。仮に代表になったところで自民党と対峙して与党になれるかは分からない。特に気になるのは、首相在任時に安倍晋三・自民党総裁と①議員定数の削減、②世襲の禁止、の2大政策を約束していながら、実現出来なかったし、その後もこの2大政策について党としても継続して主張していない。これは野田氏だけの問題ではないが、それにしても無責任であり実行力に疑問符が付く。

 いずれ候補者全員が出揃った時点で論評してみたいが、自民総裁選にせよ、立憲民主党代表選にせよ、選出されれば国の方向を決める立場に立つ地位だけに、政策を強くアピールすべきであると考えている。そのひとつとして、憲法改正について「賛成」、「反対」の立場を明確にし、党の政策を強く主張すべきである。そして、国民にとって気がかりな平和憲法について自らの考えを述べる責任があると思う。

 一方、自民党総裁選候補者は、きちんとけじめをつけなかった派閥の裏金問題について自分なりの考えを披歴すべきであると考える。岸田首相は、6億円近い裏金については党として独自の処分を行ったが、自身責任を取らず、全体として裏金問題にけじめをつけていない。裏金は明らかに脱税に当たり、日本国民として法の裁きを受けなければならない。偶々昨日2,196万円を裏金として受け取った堀井学衆院議員が、政治資金規正法と公職選挙法違反で略式起訴された。併せて堀井議員は、議員を辞職した。しかし、裏金を受け取った自民党議員は85人もいて、堀井議員以外の議員らは法による処分を免れている。しかも半数は党内処分も免れていた。岸田首相、並びに党執行部がこういう甘い対応をしたことは、不公正であり国民からすればとんでもないことだ。

 自民党総裁選候補者の中で、河野太郎・デジタル担当相だけが、不記載金額返還でけじめをつけるべきだと語っているが、他の出馬予定者からは、裏金問題に前向きの声は聞かれない。

 そして、立憲民主党の代表選と同様に、自民党は現在政権を掌握している立場上、議員が個別に憲法改正を口走っているが、現行の平和憲法のどこに問題があるのか、自分なりに憲法改正の主旨をはっきり語るべきであると思う。

 さて、台風10号が昨日九州地方に上陸して、今日も進路を若干東方に変えて大雨を降らせている。今夕には台風は四国を通過中であるが、台風とは別に太平洋上を本土寄りに熱帯性低気圧が豪雨を伴って北上している。このため全国的に大雨が降り交通機関が大幅に乱れ、新幹線をはじめ列車の運休が相次ぎ、テレビ各局の映像には駅構内で戸惑う乗客の姿を写している。これまでにない降雨量には打つ手がないとお手上げの状態である。

 話は少々逸れるが、プロ野球も終盤に入り激しい戦いを強いられているが、台風のせいで選手たちは移動に困惑しているようだ。昨日神宮球場で予定された巨人・ヤクルト戦が降雨のため中止となり、明日から広島戦のため広島へ向かったヤクルト選手らは、新幹線内で9時間も閉じ込められた挙句に東京へ戻ったそうだが、明日までに広島へ到着することが出来るだろうか。

 今回の台風騒動では異例なことが大分あった。台風とはほとんど関係のない世田谷区内では大分冠水したところがあったようだが、国道246線が冠水状態になったとは想像も出来ないことである。明日、明後日には関東にも台風10号が近づくので、この状態が続くだろうから好い加減にうんざりである。

2024年8月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6317.2024年8月29日(木) 今日未明にパリ・パラリンピック開会式

 この数日台風10号の襲来について、テレビ報道が朝から晩まで行われているが、昨日は台風が奄美諸島へ、そして今日は九州南部の鹿児島と宮崎へ上陸した。台風は、そのまま九州を通り抜けてから進路を東方に向け、日本列島を襲う気配である。台風10号がいつもの台風と大分異なるのは、かなり勢力は強いが、スピードが遅いことである。そのため台風に襲われた地域では、降水量が想定外の異常な雨量になっている。最大風速が60mの強風であるが、大体中心の気圧が925hPaなんて考えてもみなかった。低くても精々950hPa程度ぐらいにしか思っていなかった。交通機関への影響も大きく、航空機をはじめ、九州新幹線と山陽新幹線は今日はほぼ運転休止となる。東海道新幹線も明日以降の運行予定に大分変更があるようだ。土砂崩壊も各地で発生している。これから本州を縦断して明後日ごろには関東地方にも押し寄せて来るようだが、災害を与えることなく早く立ち去って欲しい。

 日本中が台風10号に振り回されている今日(現地28日)未明にパリ・パラリンピックが開幕式を迎えた。競技は今日から閉会式の9月8日まで行われる。今回は過去最多の168の国々・地域から約4,400人の選手が出場し、日本からも海外で開催される大会で過去最多の175人の選手が出場する。会場はあのコンコルド広場からシャンゼリゼ通りにかけて使用され、画像を観ると遥か向こう側に凱旋門が見える。聖火ランナーのひとりとしてジャッキー・チェンも走った。各国選手団の入場ではそれぞれその国のミュージックに乗って選手団が入ってきたが、フランス選手団は、シャンソンの♪オー・シャンゼリゼ♪に合わせて入場してきた。開会宣言は、マクロン大統領が行い、12日間の幕が切って落とされた。

 オリンピックで賛否があった開会式の演出については、エスタンゲ組織委員長が、オリンピック開会式を意識して冒頭「安心してください。今日はバスチーユ襲撃もギロチンもありません」と皮肉っぽい挨拶をしたが、また物議を醸すのではないだろうか。その他にいくつものグランドピアノの上を足で蹴ったり、過激な乱暴に鍵盤を叩いたパフォーマンスに、楽器本来の使い方をして欲しいとの苦情も寄せられたという。

 オリンピックで問題になったセーヌ川で行われたトライアスロンで、水質汚染のために競技後に体調を悪化させた選手が出場者の10%もいた。パラでも敢えて競技を実施するようだが、「NATIONAL GEOGRAPHIC」誌8月号の「特集:セーヌ川 輝きを再び」の再建中のシテ島ノートルダム寺院上空から撮った鳥瞰写真を見ると、川の水がはっきり濁って写っているのが分かる。いくらフランス自慢の川であるにせよ、こんな汚れた川で身障者のための世界大会を行う意味はあるのか。主催者の意図が理解出来ない。

 どうもフランス人というのは、自分たちの文化、芸術的センスを自慢しひけらかし、押し付けたいのか、やや奇を衒う傾向があるが、このパラでも世界中の人びとがテレビを通して観ていることを意識して、常識を遥かに超えるフランス流パフォーマンスを披露したようだ。

 自分たちはこれをやりたいんだという、良い意味でクセが強く、世間の批判に対して恐れずやりたいことを示していると理解あるコメントをしたタレントもいる。また、社会学者の古市憲壽氏も「ハンディキャップを負ったキャラクターを使ったり、とがってはいるが、コンセプトがしっかりしている」と好意的な感想を語っている。今日から12日間オリンピックとは、大分見方は異なるだろうが、冷静に楽しく観てみたいと思っている。

2024年8月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6316.2024年8月28日(水) 出版社に書店、読者も減る「2025年問題」

 運送業界では深刻な運転手不足という「2024年問題」を抱えているが、出版業界にも「2025年問題」という猶予ならぬ難題が起きている。出版業界が不況に苦しんでいるのは今に始まったことではないが、出版物卸売市場の8割を寡占状態にしている出版取次会社の大手2社、日販とトーハンとて例外ではない。その日販がコンビニのファミリーマートとローソンへの雑誌配送を来年2月で停止するという。当初日販の扱い分をもう一方の取次会社であるトーハンが引き継ぐ方針だったが、どういうわけか、引き継ぎ予定の店の7割にしか配送しないことになり、計算上ファミリーマートとローソン店への配送は約9千店ほど減ることになった。週刊誌は売上の半分をコンビニが占めていると言われ、今後週刊誌自体の売り上げが大きく減ることが懸念されている。噂では、講談社の写真週刊誌「フライデー」は、今秋以降週1回の発行を止めて、2週間に1度の隔週発行に切り替えるという。

 そもそも出版業界の不況の根源は、本を読む読者層が年々減少していることにある。書籍の販売数が減って書店の経営が苦しくなり、徐々に書店が閉鎖される状況に追い込まれた。実際閉鎖に追い込まれたいくつかの書店や、親しかった出版社も知っている。

 その根本的原因は、これまでも本ブログで何度か取り上げたが、初等教育にあると考えている。幼い小学生の頃に文章を綴る機会に恵まれていたのに今やそれが大幅に減ったことと、最も吸収力、修得力のある高校生時代に受験勉強に明け暮れて、文学、特に大河小説を読まなかったことなどが、後年文章力が向上しないことと、読書する習慣が身に付かなくなった結果に大分影響をもたらしている。

 文章を書く機会が少なくなったことについては、上記のように戦後間もなく教育を受けた少学生時代に、国語は授業では「読み方」と「綴り方」の2種類に分けられ、読むことと書くことを並行して教えられたことである。それが今では「綴り方」がなくなってしまったのである。幼いころより比較的文章を綴ることが好きで文章を書かないと落ち着かない気持ちになったのも、その原因を辿って行けば小学生時代の国語「読み方」と「綴り方」の学習のお陰であると信じている。

 最近の若者が、スマホに熱中して本を読まなくなったという声はしばしば耳にする。書店が経営不振に至った大きな原因として考えられるのは、書店にとってかつて良き顧客層だった若者らが書店に立ち寄らなくなったことが大きい。

 以前に、機会があり元文部事務次官とお話した時、小学校の国語教育で終戦直後のように国語授業に「読み方」と「綴り方」の2教科を採り入れられないかと尋ねてみたところ、残念ながらあまり関心を示してもらえなかった。

 現在の日本人の「本離れ」の傾向がこのまま進めば、街から書店がなくなり、出版社もなくなり、日本の長い歴史と伝統に基づいた独特の日本文化も消え失せてしまうだろう。外国文学なども読まなくなり、外国の文化情報などについても表層的な知識ばかりになり、口先だけの議論展開となって実態を知らない空理空論が蔓延り出すのではないかと懸念している。そうなると「1億国民総じて政治家に」となる。心寂しいことである。

2024年8月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6315.2024年8月27日(火) 秋篠宮悠仁殿下のトンボ研究と大学受験

 皇室関係の話題にしては珍しく秋篠宮家の悠仁殿下の大学受験について、メディアをはじめ世間一般から大分高い関心を持たれている。天皇・皇后のご息女である愛子さまの女性天皇の話題が、まったく消えたわけではないが、現状では悠仁殿下は父の秋篠宮に次ぐ2番目の天皇継承者である。

 元々やや女系の天皇家と同様に秋篠宮家でも真子さま、佳子さまと女性が誕生された後に待望の男子が誕生されたので、将来の天皇像を視野にとかく話題になり注目を集めてきた。

 その悠仁殿下は、皇族の方々が進学される学習院へは進学されず、中学はお茶の水女子大付属中、高校は名門大学受験校として知られる筑波大付属高校へ進学されて、東京大学を含む難関大学への進学を考えたのだろうと推測されている。ただ、東大は日本でも入学最難関の大学であるだけに、将来天皇になられようとしている殿下が、敢えて渦中の栗を拾うような東大受験にトライされようとしている姿勢と動静が関心を呼んでいる。率直に言って、東大を受験してもし不合格になったら、その屈辱は生涯付いてまわり、悠仁殿下のみならず、周囲の関係者、国民をも沈痛な思いにするので、出来れば東大受験は避けて欲しいというのが本音ではないかと想像している。失礼を承知のうえで敢えて言うなら、仮に東大に不合格となって浪人生活を送ったとしても1年後、或いは2年後に東大に合格するという確実な保証はない。特権の推薦で入学できるというのは、やや安易で危険な賭けだと思う。寡聞にして知らなかったが、東大に一般受験生を対象に推薦入学という制度があるとはこの度初めて知った。国立大学の誇り高い東大が、いかに将来の天皇であろうとも、受験の門戸を広げるようなことがあるだろうか。条件は厳しいだろう。噂で聞いた話だが、東大関係者の間には、将来天皇になる殿下が東大を受験するとしたら、合格点に達しなくとも安易に不合格とするわけには行かないとの危惧の声があるそうだ。

 悠仁殿下は、来月6日に18歳の誕生日を迎えられる。現在筑波大付高3年生として数か月後に迫って来た受験に備えなければならない。殿下は幼いころより自然に親しまれ、その中でも特にトンボに関心を抱き、国立科学博物館からトンボに関する研究発表をされた。今月25日から開催される国際昆虫学会議でポスターを発表し、研究発表をされると言われている。東大推薦進学の布石ではないかと考えられている節もなくはない。

 受験という難しい環境に置かれた悠仁殿下には、周囲の一部皇室関係者や東大関係者の間でも戸惑いが見られるという。無責任な国民のひとりとしては、進学先がいつ、どこへ決まるのかという興味と関心がある。

 さて、数日前に南方洋上で発生した台風10号が、大型と言われながらもゆっくりと日本列島へ向け北上している。テレビ各局でもかなりの時間を割いて本土への影響を伝えている。東京では29日、30日、31日ごろにやって来ると予想され、防災に備えることをいろいろアドバイスしている。今日奄美諸島が台風圏内に入り、線状降水帯警報が発せられた。東京でも朝から晴れたり、突然激しい雨が降ったり、空には青空と雲が入り混じっているような不安定な天候で、どうにも落ち着かない。書斎から窓越しに外を眺めてみると近くの宮前公園の桜の大木が大きく揺れている。幸いしばらく外出の予定がないので、自宅に引き籠っている。天気予報からすると、当分降ったり止んだりして外に用件がなければ静かにしているより仕方ないか。

2024年8月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com