5179.2021年7月17日(土) 佐藤優氏の立花隆論(「文藝春秋」8月号)

 「文藝春秋」8月号に、4月に亡くなられたジャーナリスト立花隆の追悼特集が掲載されている。立花については、すでに他の雑誌やテレビでも特集が組まれたが、これを読んで改めて立花の人物像と仕事ぶりに敬服した次第である。

 追悼特集は、「立花隆『知の巨人』の素顔」と題して、柳田邦男、山極寿一氏ら9人の著名なジャーナリストがその仕事ぶりと人となりについて書いている。9人はそれぞれに個人的な思い出と感想を記しているが、皆立花の単なるジャーナリストとは思えない並外れた想像力、行動力、読書量、情熱などについてベタ褒めである。その中でただひとり立花を評価しながらも「私とは波長が合わなかった」と書いたのが、佐藤優・元外務省主任分析官である。2人で対談を書籍化していながら、形而上学論において意見の一致を見ることはなかった。また、佐藤氏は立花がすべての事象に精一杯学習し、真剣に取り組んだことに関して評価しながらも「脳死体験」だけは理解出来ないと否定的である。

 佐藤氏は数々の著書を物にされ、ベストセラー書も多いが、少々自己顕示欲が強く、これまでも時に人物批評が物議を醸すこともあった。私も彼の作品を何冊か読了したが、河上を誤解して自己主張を押し付けていると思うのは、講談社現代新書「貧乏物語 現代語訳」で社会主義経済学者の河上肇博士について間違った見方をしていることである。佐藤氏は河上が戦前特高に追い詰められ、転向したと批判しているが、それは間違っている。河上は「転向」ではなく、自ら「没落宣言」をしたのである。その後社会主義論について書くことを止めると宣言したのである。河上は著書の中で苦しい胸中を披歴している。当局に赤旗を掲げるのではなく、その場から姿を隠し活動から遠ざかるという主旨のことを書いている。佐藤氏に言わせれば、現実から逃避して姿を隠すようでは、転向と変わらないと言いたいのだろうが、河上の心境は右翼からの弾圧にひとりでは抗しきれないので、しばらく身を潜めるという主旨である。それでも河上が絶対転向するのは嫌だと、敢えて「没落」という言葉を使って身を潜めている気持ちを述べている。その点を配慮することなく、一方的に「転向」と片付けるのは大学教授、キリスト教徒としてインテリらしからぬ狭量な決めつけである。

 佐藤氏には、自らの考え方とこれまで仕事でやってきたことに過度な自信があるのかも知れないが、少々不遜な点が見られる。佐藤氏には、鈴木宗男議員とつるんで刑事訴追された過去もあり、全面的にその言動を素直には受け取れない点がある。その点では立花の人間性やら実績に軍配を上げたい。

 昨日梅雨明けとなったが、やはり今日は全国的に気温が高い。全国で真夏日となったところが、575地点、猛暑日となったところが41地点もあった。昨日と同様に今日もそれらの地点は、北海道から東北地方に点在していることである。世田谷区では最高気温は猛暑日の33℃を記録した。今日外出したらやはり暑かった。この先を考えるとゾッとする。

2021年7月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5178.2021年7月16日(金) オリンピック開催の課題と未来像

 東京オリンピック開会式まで残りあと1週間となった。これまでこれほど開会前に問題が露わになったオリンピックは、そうはないと思う。昨日も酒類販売に関して理不尽な発言をしたからとして自ら謝罪した麻生太郎・副総理が、日本は1940年開催の東京オリンピックが太平洋戦争で中止になったことを例に上げ、再びオリンピックが呪われていると不見識な発言をしたように、今回も当初の開催予定がすでに1年延期され、今年こそはスムーズにと頑張っていたのに、次々と難題が降りかかって来ている。愚かな副総理が悪ふざけで発言したように、案外東京オリンピックは呪われているのかも知れない。

 23日の開会式に先立ち、オリンピックでは21日から宮城スタジアムでサッカーが10試合行われるが、それぞれ上限観客1万人を入れる。これに対して郡和子・仙台市長や県・市医師会が無観客にする要望書を宮城県に提出しているが、村井嘉浩・宮城県知事は予定通り有観客で実行すると反対を押し切る構えだ。ところが、村井知事が有観客に拘るのは、このところ仙台周辺では有観客のスポーツ・イベントが目白押しだからという理由もある。10、11日のプロ野球、楽天対西武2連戦に2万5千人が観戦した。17日にはセ・パオールスター戦が収容人員の50%の1万5600人を上限に開催される。更に24,25日にはオリンピック・サッカー日本代表チームが最大50%の観客を入れて強化試合を行う。ややオリンピックとプロ・スポーツは異なった対応をしているが、これでコロナ対策に万全を期していると言えるだろうか。

 ここへ来て郡和子・仙台市長が有観客に反対を唱えたのは、来る8月1日に再選を目指す市長選挙のパフォーマンスではないかとの声がある。プロ野球は好いが、オリンピックでは駄目なのは、IOCや組織委員会への不信感が、その根底にあるからではないかと穿った見方もある。

 いずれにせよ、1週間後にはオリンピックは開催され、毎日テレビで観ることになるが、今大会は別にしていずれテレビでは見難くなる心配があるようだ。商業化が年々進み、アメリカNBC系列メディアがオリンピックの放映についてIOCと独占契約を締結したことにより、テレビ放映権料が大きく値上げされることになる。これにより協定を結んだ日本の民放テレビ・グループでは高額な放映権料を支払いきれないと危惧されている。サッカー・ワールドカップ然り、オリンピック然りで茶の間から、世界的なスポーツ・イベントがテレビ放映される機会が少しずつ消えていく可能性がある。これが商業主義化の行き着く果てだろうが、単純にCMなんて気にせず観られたテレビが懐かしい。今度の東京大会で競技をじっくり観て、テレビとスポーツ中継の未来像を考えてみたい。

 さて、今日関東でも漸く梅雨が明けた。その洗礼であろうか、東京都内の最高気温は33.2℃だった。最も驚いたのは、全国で最高気温を記録したのは、選りによってあの北海道常呂郡置戸町境野で35.3℃だったことである。いずれにせよ、これから炎暑に悩まされそうだ。

2021年7月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5177.2021年7月15日(木) コロナ禍の中でオリンピックは大丈夫か?

 12日に新型コロナウィルス感染拡大防止のため4回目の緊急事態宣言が発出されてから皮肉なもので、連日新規感染者の数は増えるばかりである。今日東京都内の感染者は2日連続で千人を超え、1,308人だった。全国的にも昨日3,192人、今日は3,418人で連続して3千人を超えてしまった。こういう時にオリンピック開催まであと8日となり、各国から代表選手団が次々に来日している。しかし、選手たちのオリンピック村入村式は、いつもなら派手に行われるところだが、今回は歓迎ムードの入村式も行われない。彼らの入国に際しては、空港の水際作戦でコロナ防止を心掛けているが、やはり懸念されているようにコロナ陽性者が入国して来ている。

 ほとんどの競技会場で無観客のまま競技が行われるが、宮城県で行われるサッカーの試合に無観客を要望している仙台市長他の反対に対して、宮城県知事はあくまで上限1万人の有観客で実施の考えを強調している。オリンピック開催に対して中止の声が多かったが、ここでは有観客か、無観客かでまだもめている。昨日バッハIOC会長が菅首相と会談した折に、バッハ会長は首相に改めて有観客を要望したそうである。バッハ会長としては、少しでも平常通りの開催に近い形で実施したいようだ。国内には考え方においてオリンピックがらみの対立があちこちで生れている。本来の世界平和と友好をモットーとするオリンピックの精神が歪んでしまっているようだ。

 ついては、オリンピック憲章により開会式における開会宣言は、東京大会では天皇が行う。今回も過去の大会に倣い天皇が宣言する予定であるが、皇后雅子妃殿下や他の皇族方は同席しないことになった。

 昨日アメリカで行われ、マスクを着用しない6万人もの観客で大いに沸いたMLBオールスター・ゲームに引き比べて、何とも盛り上がらない静かな東京大会開会式になりそうである。

 さて、6月号?であったか、「NATIONAL GEOGRAPHIC」誌が付録として11年前に日経BP出版センターが発行した片手に収まる「CULTIVATION PROGRAM」なる小さな手帳を送ってくれた。32頁程度の記帳式のものだが、52もの課題は中々ハードである。「1年間で52の課題に挑む」としてビジネスマンが恥ずかしくない教養を身に着けるための努力目標手帳のようなものである。読むべき本、観るべき映画、見学すべき文化施設等々はともかくとして、「懐石料理を食べてみる」「日本庭園を訪ねる」「ワインショップでワインを買う」「風呂敷で物を包む」「専門店で食器を買う」「着物を着て街に出る」「裁判を傍聴する」「毛筆で手紙を書く」「土鍋でご飯を炊く」「中国人の知人を作る」「絵画を買う」「祭りを見に行く」等々、普段あまりやらないことを実行するよう求められている。その他に、「落語を聴きに行く」「歌舞伎・文楽を観に行く」「オーケストラの演奏会に行く」「オペラを鑑賞する」「ジャズの生演奏を聴く」「地元の歴史資料館に行く」など知恵熱で唸らされそうなくらいすごい要望が52項目もある。

 これらの課題のうち、これまでほんの4分の1程度しか実行出来ていないことが少々情けなくもある。「土鍋でご飯を炊く」なんてビジネスマンにとって必須とは思えないが、説明を読むと「スイッチ一つでできることも、あえて手間をかけると新しい発見がある。オコゲを楽しみながら、便利さの裏で失ったものを考える」と中々考えさせる言葉ではあるが、「黒澤明やチャップリンの映画を観る」のように単純ではない。特に指定された書物では、「カラマーゾフの兄弟」と「坂の上の雲」、「徒然草」ぐらいしか読んでいない。不読書は哲学書ばかりで普通のサラリーマンにとってはちょっと壁が厚いのではないか。それにしてもこんなすごい課題を52もクリア出来るビジネスマンなんて実際にいるだろうか。

2021年7月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5176.2021年7月14日(水) 西村大臣、上から目線発言を謝罪、撤回

 緊急事態宣言が発出されることが決まってから、対象となる飲食店の中には取り決めを守らず、禁止されているアルコール類を供給する店があり、約束を守っている店とは不公平、不平等が取り沙汰されてきた。それを止めさせるため西村康稔・経済再生相が金融機関に対して、要請、命令に応じない飲食店がルールを遵守するよう働きかけを行うことを求め、更に酒類販売事業者に対して応じない飲食店との取引を停止するよう依頼すると公表した。これが行政、或いは行政の長が権限外の介入をしているとして世論の批判を浴び、更に業界団体からも抗議の声が殺到して撤回要求を突き付けられ、大臣は謝罪のうえ撤回することになった。その後菅首相も謝罪した。

 このような金融機関への働きかけや取引停止依頼は、営業の自由を制限しかねず、法的根拠を軽視する政府の姿勢が問われるところである。いくら不公平との声があるにせよ、どうしてこのような一方的な言動にまで及んだのか。気持ちは分からないでもないが、あまりにも世間の風を知らなさ過ぎる。大臣は頭脳明晰なのだろうが、世間常識とか、現場を知らな過ぎる。気になるのは、同じような考えを持っている国会議員が他にも多くいることである。その中のひとりが、麻生太郎・副首相である。麻生氏は本件について法的根拠は基本的にはないと思うと述べている。麻生氏はさほど頭脳は優秀ではないのに西村大臣と同様世間知らずだから西村氏より面倒である。こういう軽薄な発言を戒める意味でも、自民党は党内のモラルと規律の徹底を行って欲しいものである。

 現在来日中のバッハIOC会長が、今日菅首相、丸川五輪担当相と会談し、明後日広島へ行き、原爆慰霊碑に参拝する。原爆被爆地をIOCの首脳が手分けしてコーツ副会長は長崎へ向かう。そのバッハ会長が昨日組織委員会を訪れ、橋本会長に対して日本人の安全というべきところを中国人の安全と語り、すぐ訂正はしたが、これがSNSで拡大し、会長の本心や真意をあれこれ詮索する声がSNS上に殺到している。訪問国滞在中にその国名を選りによって、間違え、しかも最も呼ばれたくない国名をテレビで流されるとは本人も反省しているだろうが、日本人にとってはあまり気持ちの良いものではない。IOC会長たるもの、もう少し慎重に発言すべきである。

 ついては、このところIOCの強引な言動が一部で顰蹙を買っている。バッハ会長の国名間違いへの批判もその裏返しではないだろうか。開催国がコロナで苦悩している実態をどこまで考慮しているのか、オリンピック開催一辺倒に対しては、反オリンピック、反IOC感情が根強くある。結果的に直近の菅内閣支持率が、昨年9月発足以来最低の水準33%に落ち込んだのも、コロナ対策の不十分さとオリンピック開催に拘り過ぎたせいではないだろうか。

 さて、今日広島高裁は、俗にいう「黒い雨」を被ったという原告団に対して全員「被爆者」と認める判断を下した。国が定めた保護区域の外に居住していた原告に戦後76年で漸く所謂被爆者と同じ待遇となる。但し、政府が最高裁へ上告の可能性は残されている。湯崎広島県知事は、厚労省が上告をしないよう望んでいる。ほとんどが高齢者であるこれらの人たちにこれ以上精神的負担をかけないようにしてあげるのが、「被爆者」への配慮ではないだろうか。

2021年7月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5175.2021年7月13日(火) コロラド州デンバーの桜の想い出

 アメリカMLBで大活躍中のロスアンゼルス・エンジェルスの大谷翔平選手が出場することで、コロラド州デンバーで開催される今年のオールスター・ゲームが日米ファンの間で異常に注目されている。デンバーなら6月に咲く桜を想い出すと言えば、些か首を傾げる向きもいると思うが、そのデンバーで見た桜とそれに付随する想い出について書いてみたい。

 アメリカ大陸の中西部にあるデンバーは、東海岸のニューヨーク、首都ワシントンDCや、西海岸のロスアンゼルスやサンフランシスコに比較して日本では馴染みがやや薄く、知名度が低い。ホーム・チームのコロラド・ロッキーズが誕生したのは、今からちょうど30年前である。その名の通りロッキー山脈観光の拠点である。そして別名マイル・ハイ・シティ(MILE HIGH CITY)と呼ばれるように海抜1マイル(約1600m)で、日本では上高地とほぼ同じである。2度ほど出かけたことがあるが、偶々6月に訪れた時に市内に桜がきれいに咲いていて驚いたことがある。桜は4月に咲くものだとばかり思い込んでいた常識を、1月にビルマの中部高原都市メイミョーで見た時に覆されたのと同じような衝撃だった。

 半世紀前のことだったが、ビルマでその時こんなことを思った。旧日本陸軍第15軍が無謀で悲惨なインパール作戦を決行した時、その総司令官だった牟田口廉也・第15軍司令官は、この気候穏やかな司令部のあったメイミョー高原で桜を鑑賞しながら花見をして司令部から過酷な軍令を出すだけで、結果的にインパールでは非業にも多数の犠牲者を生んだだけだった。多くの日本兵を犠牲にしながら、牟田口は戦犯にはなったが、戦後保釈された。
 デンバーも高地に位置するだけに空気は乾燥している。この近辺にはアメリカの大手ビール会社「クアーズ・ビール」工場があり、ロッキーズのホーム・グランドも「クアーズ・フィールド」と呼称されている。空気の澄んだ爽やかな街だったという印象が強い。大谷選手は今日のホームラン競争では、活躍出来なかったが、明日本番のオールスター・ゲームでは、1番指名打者で登板というオールスター史上初めての二刀流ケースとなるようだ。改めて活躍を期待した。

 さて、来年1月に新制度の下にスタートするラグビーのトップ・リーグが、どうもすっきりしないまま発足するようで、少々気になっている。2019年ラグビー・ワールド・カップ開催成功と同時に、日本は実力的にも世界で堂々ベストエイト入りが成って、それが日本のラグビー人気の底上げに繋がった。今後の日本ラグビー界の発展は、このトップ・リーグの結果次第だと思う。

 疑問は2つある。ひとつはリーグのチーム振り分けである。参加24チームを3部に分けるが、1部が12チームで、2,3部がそれぞれ6チームから構成される。ところが、今年のトップ・リーグの所属チームは16チームだった。2部へ落とすチームが4チームもあり、その中で審査委員会で正式に順位が決まったにも拘わらず、不明瞭にもいつの間にか1部と2部チームが入れ替わっていたという不可解な事実がある。その説明が行われていない。

 2つ目の疑問は、順位決定の過程で決められた審査基準が理不尽にもいつのまにか変更されていたという点である。しかも、審査基準を決めた審査委員会に対して、森重隆・日本ラグビー協会会長が諮問委員会を立ち上げ、採点の要素を変えたようだ。会長の一存でこんなに安易で、無責任なやり方が許されるだろうか。まだ大きな問題にはなっていないが、シーズンに入ったら問題になるのではないかと気になっている。

 森重隆会長と言えば、かつては明治の俊足ウィングとして秩父宮で快速を飛ばして、ファンを唸らせた九州男児である。今は問題がこじれるのを憂慮しているだけだが、問題を抱えたまま来年トップ・リーグが順調にスタートすることが出来るだろうか、半年先の開幕が心配である。

2021年7月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5174.2021年7月12日(月) 緊急事態宣言下、アメリカで大谷翔平選手活躍

 新型コロナウィルスの影響は想像以上に大きい。東京オリンピックのほとんどの会場が無観客となったのも、コロナのせいである。東京都の新規感染者数は、今日連続23日間前週の同じ曜日を上回った。今日から4度目の緊急事態宣言が発出され、来月22日まで自粛要請が求められる。飲食店ではまた営業自粛を要請され、商売にならないと政府に不満をぶちまけている。

 一方、ヨーロッパではコロナどこ吹く風と言う感じで、ヨーロッパ・サッカー選手権決勝、イングランド対イタリア戦が昨日6万人の観客を迎えてロンドンで行われた。ほとんどのサポーターはマスクを着けずに試合に熱狂し、それはテレビ応援するイタリアでも同じだった。イギリスではやや収まりかけているとして19日から規制が緩和されるそうだが、それにしてもその熱狂と興奮ぶりはコロナが収まっていない中で、少々違和感を覚えるフィーバーぶりだった。結局試合は延長戦でも決着がつかず、PK戦の末イタリアが1968年以来53年ぶりの優勝を飾った。

 しかし、こんな熱狂ぶりを見せられると東京オリンピックの抑圧的な無観客スタンドが異質なものに見えて来る。

 このような鬱積する空気を破ったのは、アメリカから伝えられたメジャーリーガー・大谷翔平選手の投打に亘る二刀流の活躍である。ロスアンゼルス・エンジェルスの大谷選手は、今日4打数2安打を放って前半戦を終えた。活躍ぶりはアメリカでも大きな話題になっているという。打撃部門では、打率0.279、本塁打33本。70打点、12盗塁である。投手としての実績は、4勝1敗、防御率3.49である。加えて、大谷選手はプレイばかりでなく、思いやりや謙虚な性格などもメディアで称賛され、アメリカのスポーツ専門メディア「ESPN」による目覚ましい活躍を見せたスポーツ界選手を表彰する賞を、テニスの大坂なおみ選手とともに日本人として初めて受賞することになった。アメリカのメディアがその活躍を評価したのである。大したものである。

 二刀流の活躍が注目されるようになってから不世出のスター、ベーブ・ルースに比較されるようになった。ルースは投手として生涯94勝を挙げた。大谷投手はこれまで日米で46勝だから、まだ道半ばである。ぜひとも頑張ってもらいたい。

 大谷選手は明日ア・リーグを代表してホームラン競争に出場し、明後日はオールスター戦に初出場する。またびっくりするような活躍を期待したいと思う。

2021年7月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5173.2021年7月11日(日) 八木哲郎・知的生産の技術研究会会長を惜別する。

 5月21日に「知的生産の技術研究会」(略称:知研)創設者である八木哲郎会長が逝去された。長きに亘ってご交誼をいただき、数々の教えをいただいた。大変寂しくもあり残念で堪らない。

 ついては、知研の今後などについて若干気になることもあり、昨日知研の福島哲史氏にメールで、久恒啓一理事長にはCCで照会したところ、早々に福島氏よりメールを受け、理事長からは電話で直接お話しいただいた。

 知研に入会してかれこれ半世紀近くになるが、そもそも知研を創立したのは、八木会長の個人的に強い希望と熱意に依るものだった。当初八木会長が、梅棹忠夫のベストセラー書「知的生産の技術」に触発され、梅棹先生に直接ご了解を得て知研は創立され、発足することになった。爾来NPO法人としてアカデミックな分野で広範に、かつ深く勉強する機会を作り、多くの学識経験者、著名人らのご理解とご協力を賜り多くの知的好奇心に渇望した社会人、学生らにあらゆる勉強の機会を提供してきた。手元にある「知的生産の技術研究会のご案内」冊子の冒頭に会長が「~人生の前段では受験勉強、サラリーマンになって出世のために自己中心的なキャリアを積む。45歳を過ぎたら世のため、人のために知識を役立てねばならない。知研はそのための交流の場になるのが理想」と書いておられる。

 ただ、あまりにも知研への期待と希望が会長ご自身の中で強く、すべての業務をおひとりで抱えられた結果、いざ亡くなられてみると誰にも引き継ぎ業務がなされておらず、残された知研会員が戸惑うことになったことは事実である。いかに愛情が深く思い込みが強いとしても、これほど多くの人びとや組織団体とつながりを持つようになったら、補助、或いは業務引き継ぎ者が傍にいて、フォロー出来る体制を常に備えていないと、周囲が途方に暮れることになる。遅まきながらつくづく思い知らされた次第である。NPOとしての報告義務もあり、これから理事長も福島氏にとっても想定外の事務作業があるのではないかと思う。理事長もひとつずつ整理して、いずれ早い機会に全会員に現況と今後の方針を伝えたいと話しておられた。

 思い返すとこれまで知研では、拙い文章を会長に唆されて度々会報「知研フォーラム」誌に寄稿してきた。講演でもシベリア鉄道と今日のロシアや、社会主義国キューバ他についても話す機会を与えてもらった。他にも2008年韓国で行われた高齢者の福祉交流に関する国際シンポジウムに日本からただひとりのパネリストとして派遣していただき、多くのことを学ぶ機会を与えていただいた。普段のお酒を飲む機会を含めて、随分長いお付き合いになる。会長はご自分の後継者は特に望んでおられなかったようだが、これまでと同じように知研が再び活動出来るようになるまでは、私自身このままやや消極的ではあるが、知研を支えていければと願っている。

2021年7月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5172.2021年7月10日(土) どうして政治家は知性と常識に欠けるのか。

 新型コロナウィルス防止対策として、明後日緊急事態宣言が東京都内と沖縄県に発出されるが、西村康稔・経済再生担当大臣が休業要請に応じない飲食店などに対し、宣言のルールに従うよう金融機関を通して働きかけるような強圧的な考えを述べた。これまで経緯だと、ルールを守る店と守らない店があり、その不公平が問題視されていた。だからと言ってこれを行政が立場を利用して強引な手段を取るとはあまりにも強引であり、野党などから傲慢だとの批判が寄せられている。あまりの批判に西村大臣も直ちに釈明して撤回したが、しばらく火種は鎮火しそうもない。菅首相も融資を制限するなどと言うような発言の趣旨はないと火消しに懸命である。

 森山裕・自民党国対委員長が国民の誤解を招かないようにと加藤官房長官に注文をつけたくらいだが、安住立憲民主党幹事長は、直ちに辞任すべきであると厳しく非難し、玉木国民民主党代表が、金融機関の優越的地位を行政が悪用するとは質が悪いと批判している。権力のある地位に就くと、政治家はつい上から目線でその特権を行使しがちであるが、それがどれほど社会に大きな影響を与えるかということを慎重に考えて行動して欲しいものである。

 菅内閣閣僚の中には、この西村大臣や、河野太郎・行政改革担当相、平井卓也・デジタル改革担当相のように上から目線の不遜な閣僚が多過ぎる。平井大臣の如きはデジタル改革に関して一家言持ち、自信過剰にも自分の考え通りに行うとの意気込みが強いせいか、強い傲慢さが気になっていた。4月のオリパラ・アプリの事業費削減を巡ってNECに対して「完全に干す」とか、「社長を脅せ」のように脅し発言が波紋を呼んでいる。更に平井氏は、昨日過去の資産報告書に株式の記入漏れがあり、売却益にかかる所得税を申告していなかったことが判明した。善と悪の区別がつかないのだろうか。一体何を考えているのだろうか。

 また、梶山弘志・経済産業相が7日に都内のホテルで政治資金パーティを開いたことが分った。過日同じようにパーティを開いた議員が非難を浴びたにも拘わらず、よくも懲りずに同じ愚行を繰り返すものだ。梶山氏の言い訳がふるっている。650人収容可能な会場に200人が参加しただけだとか、テーブルにひとりずつ座り感覚をとった、食事は出さず、参加者の検温を実施したとか、「開催制限に照らして充分余裕をもたせた」などと屁理屈を述べている。パーティをやったことが問題だということが分っていないらしい。彼らの行為には、一般常識や知性がまるで感じられない。所詮政治家の知性というのは、こんな程度だとは思っているが、それを選挙の際頭ばかり下げず、そのまま洗いざらい思うところを選挙民にぶちまけて訴えてみてはどうかと言いたい。

 さて、今日は妻の76回目の誕生日である。息子たちからもお祝いのメールとお花を贈ってもらった。夕食にお祝い気分で正月以来のワインで乾杯した。アルコールを喉に通すのは、実に半年ぶりのことである。私も今年11月には83歳となる。今日も糖尿病クリニックで検査を受け、数値的にはやや上がってしまったが、医師は問題ないと言ってくれている。夫婦ともどもお互いに健康に気を付けて、支え合ってコロナを切り抜け、終息後の余生をエンジョイしたいと願っている。

2021年7月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5171.2021年7月9日(金) オリンピックを指図するメディア

 いつものことながら、またメディアの無責任と思い上がりを知らされた。昨夜5者協議の結果、東京オリンピックの競技会場は東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県では無観客ということに決まった。昨日の本ブログにも書いたことだが、昨晩のテレビ朝日「報道ステーション」が終了間際になって急遽コメンテーターが「1都3県ではなく、東京だけが無観客」と追加訂正したままで、3県も東京同様無観客であるとは言わなかった。このように杜撰だからメディア報道の信憑性にはいつも?が付いて回るのである。

 無観客のニュースは直ちに全世界へ伝えられ、来年2月に北京冬季オリンピックを控えている中国では関心が高く、SNSでは開催すべきではない、とかオリンピック精神を失った大会だとあまり好意的とは受け取れない感触だった。中でもアメリカのメディアは、自国が世界最多の感染者3千3百万余人を出し、60万人もの犠牲者を生んだことを棚に上げ、日本の感染状況の悪化を報じる中でワクチン接種の遅れを指摘している。偶々昨日世界のコロナ犠牲者の数は、4百万人を超えた。感染者は1億8508万人にもなった。無観客と決めた以上、一部の有観客の例外をなくして無観客のまま開催し安全な大会にした方が良いと思う。

 まだ始まってもいないオリンピックであるが、2013年招致が決定した時は日本中が歓喜したものだ。だが、オリンピックはこれまで大会を重ねるごとに競技種目が増え大会は肥大化し、開催費用も増え続けている。とても観客の入場券だけでは賄いきれなくなった。そこへ全世界へのテレビ放映権料としてアメリカのNBCが、IOCと2032年までの夏冬6大会におけるアメリカ国内への放映権料として日本円7,780億円を支払う契約を結んだ。これなら無観客でも問題はない。IOCは全収入の約7割をこのテレビ放映権料から得ている。大会が開催されることによりIOCの台所も潤う反面、アメリカ・メディアのお節介な横車により、大会開催時期も彼らの都合に合わさざるを得なくなった。それが東京大会のように1年で最も暑い時期の開催である。

 ところが、アメリカのメディアは前記のようにIOCに還元することによって大会開催に大きな力を持つことになった。メディアの目に見えないパワーについて、アメリカの「ハリウッド・リポーター」誌は、「オリンピックの利益の多くは、海外のIOCとその放送パートナーに集中する可能性があるが、発生するかも知れないモラル・ハザード(倫理観の欠如)は、日本人に最も大きな打撃を与える可能性がある」と指摘している。

 すでにアメリカの有力ジャーナリストが連名で傲慢にも組織委員会の日本国内における行動要望に対してイチャモンをつけている。このコロナ禍の中で開催される大会期間中に自分たちの取材以外の行動制限に不満を漏らしているのだ。わがまま言い放題のアメリカ・メディアの思い上がりが、結局オリンピックを手に負えないほど巨大化させてしまったのではないかと気になっている。

2021年7月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5170.2021年7月8日(木) 東京都に緊急事態宣言⇒五輪無観客

 昨日来山陰地方に襲来した線状降水帯が、同地方を過去にないほどの豪雨に晒している。線状降水帯は東日本にも雨をもたらし、すでに先日の熱海市内で土石流が起きている。こんな中で相変わらず収束の見通しが立たない新型コロナウィルスの新規感染者の数が、東京都では際立って増加傾向にある。昨日は920人の感染者が出たが、900人を超えたのは5月13日以来で、これにより18日連続で前週の数を上回ったことになる。全国的にも感染者が増加し4週間ぶりに2千人を超えた。

 オリンピックを控えて開催、及び有観客に拘っていた政府だったが、11日までまん延防止等重点措置が出ていた東京都に対して、翌12日から8月22日まで4回目の緊急事態宣言の発出を決定した。これで有観客をきっぱり諦めたのだろう。自宅近くでは明日駒澤公園から公道を聖火ランナーが走る予定だったが、これも中止となった。同じく11日まで緊急事態宣言が出ている沖縄県でも宣言が延長される。その他に埼玉、千葉、神奈川、大阪のまん延防止重点措置も延長される。

 そして、今日オリンピックに関して極めて大事な決定がなされた。このコロナ禍騒ぎの中で今日バッハ国際オリンピック委員会(IOC)会長が来日した。到着早々今晩リモートによる5者協議が行われ、23日開会のオリンピックは緊急事態宣言発出により、5者協議は東京都内の競技会場をすべて無観客とすることに決定したのだ。この決断も最後の最後までもめたようで、一時は東京以外の埼玉、千葉、神奈川県で行われる競技会場も無観客にするということだったが、これが夜になって何とか東京だけが無観客ということになった。この結果国立競技場で行われる開会式と閉会式も無観客と決まったが、そう決まってみれば何か味気ない感じがするものだ。

 オリンピック観戦と言えば、以前から子どもたちが学校連携で観戦する計画があったが、コロナ禍が拡大したことにより参加自治体によってはキャンセルするところが増えてきた。保護者からも不安の声が聞かれて、神奈川、埼玉、千葉の3県では参加予定者の6割、約17万人がキャンセルを申し出た。しかし、東京都では参加予定者、約90万人が現在申し込んだままとなっている。開催間近になってこの様子ではトラブルが懸念されていた。自治体の中には、14区市町村のように独自に中止を決めた自治体があるようだが、子どもたちに期待ばかり抱かせて直前になって取り止めというのでは、子どもたちが可哀そうだと思っていたところ、無観客となれば中止ということになり、自治体と保護者らもホッとするのではないだろうか。

 さて、今日は医者通いのハシゴをしてしまった。午前中雨の中を東京医療センター膠原病内科で精密検査と定例の診断を受けた。多めのステロイド錠服用が数値上効果を示してきて、先月より更に回復に向かっていることで医師のアドバイスでステロイドを減らすことになった。その結果を持ってかかりつけの松本整形外科と森内科でも医師に報告し説明して、日常生活の注意点などをお話しいただき現在の状態をご理解していただいた。幸い先月には私自身2回目のワクチンを接種した。ワクチン接種の割合は、一昨日現在2回目のワクチン接種を終えた人が全国民の11%、高齢者の中では37.9%だそうである。

2021年7月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com