5189.2021年7月27日(火) 「黒い雨」裁判、上告見送りに関して一言

 今日も柔道81㎏級で永瀬貴規選手が金メダルを獲得し、団体では初めて日本ソフトボール・チームがアメリカを破り、北京大会以来13年ぶりの優勝を飾った。これで日本の金メダルは10個となった。

 しかし、オリンピック開催でお祭り騒ぎをやっている間にも、懸念されていた新型コロナウィルスは毎日拡大しているが、流石に今日の新規感染者数はギョッとさせるものだった。昨日千葉県で過去最多を記録したが、今日は東京の2,848人、埼玉県593人、沖縄県354人のいずれもが過去最多となった。全国でも7,626人となり、これは先週の約2倍だった。オリンピック関係者の感染も連日伝えられ、コロナはオリンピックの懐に入り込んできた模様である。菅首相は人流は減少しているので、オリンピックの中止は考えていないと語ったが、医療専門家らはその拡大のスピードを懸念していた。第5波もすでにやってきたのではないかと心配される。

 さて、国を被告とする裁判について一応の目安が立ったので、気づいた点を率直に記したい。先日広島への原爆投下後、放射能物質を含む「黒い雨」を浴びた住民らが、被爆者にあたるとして、被爆者同様に被爆者健康手帳の交付を国に求めていた裁判で、広島高裁は国にその公布を認める判断を下したことに、国は上告すべきか否か考慮中であった。昨日菅首相はこの判決への上告を断念する方針を表明した。広島県と広島市は、手帳の交付を国から委任されているため、裁判では被告として住民から訴えられる立場にあったが、高裁の判決後に上告の見送りを認めるよう国に求めていた。昨年7月の広島地裁の一審判決では、がんなどになった場合、不合理性がなければ原告を被爆者と認めた。今年7月の広島高裁判決では、疾病に関わらず、住民らが「黒い雨」に遭ったことを否定できなければ被爆者と認める判断を示した。

 「黒い雨」が降ったとされる地域も、おかしなことに大雨が降るか、小雨が降るかによって対応が分れる。今回の原告ら84人が居住していた地域も、それぞれ分かれている。しかし、このように地域によって被爆者、或いは非被爆者という区分けには疑問が残る。医学的には原爆症であることは調べれば当然分ることであり、地域性よりも症状によって判別すべきことではないだろうか。

 しかし、厚生労働省内部では、高裁の判断に否定的な声が強かったという。内部被ばくしたとしても放射線量は低く、健康被害は認められないとして、まかり間違えれば、話は広島だけに留まらず、同じ原爆の地・長崎や、福島原発事故の周辺住民への対応にも影響が出る恐れがあると考えたようだ。いつもはあまり明快な判断をしない首相としては、珍しく政府内でも「上告」すべしの声が高まる中を、敢えて上告を見送ったのは勇断と言えるかもしれない。

 今後被爆者の手当のためにも経費が膨らむことと思うが、今以て釈然としない点がある。それについて私見を述べたい。それは、経費の幾分かをアメリカに負担してもらうことである。原爆投下して76年が経過しようとしている。その間被爆者がどれほど苦しんだことか。どれほどの費用負担があったのか。その原因を作ったのは、いかに早く戦争を終わらせるためにはやむに得なかったとの理由があるにせよ、放射能による人体への影響があることを承知のうえで、敢えて放射能性爆弾を投下したのである。その惨状はアメリカ国民も理解している筈である。さすれば、この原因を作ったアメリカが少なくとも応分の経費を負担しても当然ではないかと考える。上告に同意した国会議員たちは、むしろその気持ちをアメリカ政府にアピールすべきではないだろうか。

2021年7月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5188.2021年7月26日(月) 世襲選挙に一定の規制を出来ないのか。

 今日のオリンピックも金メダル・ラッシュが続いた。女子スケート・ボードで何と13歳11か月の西矢糀選手が史上最年少で優勝し、3位に16歳の中山楓奈選手が入って銅メダルを獲得した。夜になって連日金メダルを獲っている柔道で、男子73㎏級の大野将平選手が金メダルを獲得して2連覇を成し遂げ、女子57㎏級で芳田司選手が銅メダルを獲得して3日間に3つの金メダルを獲った。更に卓球混合ダブルスで水谷隼、伊藤美誠組が決勝で中国ペアに逆転勝ちで金メダルを、男子体操団体で銀メダルを、アーチェリー男子団体で銅メダルを獲得した。これで日本が獲得した金メダルは8個となった。出だしは素晴らしい。

 さて、国会が休会中で何をして良いのか分からない国会議員の存在感がまったく見えない。当然ながら菅首相の支持率がどうもぱっとしない。首相就任直後は幾分高かった支持率も急坂を転げ落ちるように落ちる一方である。メディア各社独自の直近の世論調査によると、凡そ支持率は30%前後で、昨年9月就任以来最低ラインにまで落ち込んだ。これで新型コロナウィルス対策と東京オリンピックが順当に行かなければ、支持率は一層下がることだろう。

 ついては、最近外国の首脳の動向が話題になることが多いが、2つほど真偽の実態が分かり難い例がある。

 ひとつは、6月6日に行われたペルー大統領選挙で、1か月半が経過して漸く左派急進派のペドロ・カスティジョ氏の当選が決まったことである。かつてリマの日本大使館が襲撃され長い間人質の身柄が拘束されていたが、大統領令による警察の強行踏み込みで犯人全員を殺害して解決させ評価を高めた日系人アルベルト・フジモリ大統領は、その後社会的に大量虐殺を命じたとして刑を受け収監中に恩赦により解放された。今回娘ケイコ氏が対抗馬として3度目の立候補をしたが、投票日からカスティジョ氏側に不正があったと追及していたが、漸く選挙結果を受け入れた。1か月半に亘って国家のトップが不在の状態では、国を前へ進めることは難しい。この5年間でペルーの大統領は4人も交代した。これでは国は益々世界の動きから置いて行かれてしまう。1日も早く新体制を再スタートさせることが急務である。

 そして2つ目の不審は、来年5月に実施されるフィリピン大統領選挙の事前の動きである。フィリピンの大統領は1期6年と決められている。現在のドゥテルテ大統領の任期も来年6月に期限が来る。強気で何かとトラブルの多い現大統領ではあるが、庶民的でもあり国民の人気はそこそこある。大統領としてはもう少し権力を保持していたいが、憲法の制約上それが許されない。そこでいろいろ画策しているらしい。そのひとつが、現在ダバオ市長である娘のサラ・ドゥテルテ氏を後継者に仕立てて、自らは副大統領として立候補するという奇想天外な話である。この国では大統領と副大統領がセットで戦い選出されるのではなく、それぞれ別々に選挙を実施する。娘が大統領候補として、父が副大統領候補として別々の選挙を行えば、当選後には親子で政権を維持出来ると考えられる。副大統領が主導権を握る可能性もなしとしない。ただ、一族による「王朝支配」には批判が出る危険も考えられる。

 まぁあまり日本では考えられないことであるが、これほどとは考えられないまでも日本でも国会議員の選挙では、今や世襲議員立候補者が目白押しで似たようなものではないだろうか。一旦握った権力を他人に渡さず、一家で引き継いでいく。明らかに途上国に多く見られる現象である。その点では残念ながら日本も途上国と言えるのではないだろうか。偶々今朝の朝日社説に「政治家の世襲 政党は制限の検討を」と題して、最近ベテラン議員の引退が相次いでいるが、皆親族に地盤を引き継ぐ世襲が目立つが故に世襲の慣習に制約を行うべきだと批判している。かつては、世襲批判の旗振り役だったたたき上げの菅首相が、今では閣僚に麻生副総理、河野行革相、小泉環境相ら世襲議員が名を連ねて世襲制限に一言も発しなくなった。2017年の総選挙で自民党当選者のうち世襲は83人で全体の29%だった。これでは国民目線のまともな政治を行える筈がない。

2021年7月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5187.2021年7月25日(日) 日本、1日で金メダル4個を獲得

 オリンピックはまだ始まったばかりだが、今日もオリンピック・フィーバーが日本列島を駆け抜けていく。日本選手が、昨日の柔道・高藤選手に続いて今日4つの金メダルを獲得した。まず午前中水泳の女子400m個人メドレーで大橋悠依選手が優勝した。昼には、この暑い屋外で、初めて競技種目に加えられたスケート・ボードで若き日本の堀米雄斗選手が暑さをものともせずに金メダルを獲得した。そして夜になって柔道で男女種目に兄妹2人が揃って金メダルを獲得するという歴史的な偉業を成し遂げた。最初に女子52㎏級で妹の阿部詩選手が、次いで男子66㎏級で兄の阿部一二三選手が優勝した。戦前から兄妹で優勝すると騒がれた中で、期待通りトーナメントを勝ち抜き優勝することが出来たのはもちろん実力もさることながら、兄妹の助け合い、チーム環境とチームワークも大いに与って力となったことだろう。それにしても1日に4個もの金メダルを獲得したなんてことは、日本オリンピック史上初めてのことだろう。

 戦後初めて日本がヘルシンキ・オリンピックに参加した時は、レスリング・バンタム級で石井庄八選手が、やっとひとつ金メダルを獲得しただけだった。この70年間に日本は実力的にも存在感も向上させた。変われば変わるものだと感慨深く思う。

 今日の最高気温は福井県小浜市の36.4℃で、東京は34.4℃だった。これだけ暑いと屋外で行われる競技は、選手にとっては厳しいだろう。案の定テニスの世界ランキング1位のジョコビッチ選手(セルビア)らが、日中の試合を夜間に変更して欲しいと組織委員会に申し入れた。

 それでも午前中に女子ソフトボール・チームは、カナダを破り予選リーグで4戦全勝となり、明日のアメリカ戦を残して銀メダル以上が確定した。また、サッカーでも男子チームは、ロンドン大会金メダルのメキシコを破った。これで2戦2勝として決勝トーナメント進出へ大きく前進した。個人種目ばかりでなく、これまで体力差と歴史などから欧米型団体スポーツで日本が勝つのは難しいと思われていたが、そろそろその意識も改めなければいけないと思う。このまま調子を上げて行けば、これからも想定以上の成果を残しそうな気がする。これからも大いに期待したいと思う。がんばれ! ニッポン!

2021年7月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5186.2021年7月24日(土) 五輪開会式で見直される日本人の意識変化

 昨晩行われたオリンピックの開会式から1夜明けるや、今日は朝からずっと競技のテレビ中継が行われていた。NHKの定番ニュース番組「ニュース7」も本旨であるニュース自体をそっちのけで、柔道決勝戦を放映している有様である。朝日朝刊の見出しを見ても「東京 五輪コロナ下の開幕」「1年延期し無観客1万1千人出場」「迷走8年 五輪突入」「第5波 渦中の開幕」「東京 歓声なき採点」のような語呂が並ぶ。コロナ禍と無観客の開催をやや揶揄しているように思えるが、昨晩の開会式の演出などについては、むしろ好意的に書かれて批判的、或いはつまらないとは捉えていないようだ。ただ、簡素化されて華やかさは影を潜めたとコメントされている。

 大坂なおみ選手の最終聖火ランナーについても、人種差別に抗議する「BLACK LIVES MATTER」の意を表し社会へ向けて発する強いメッセージが世界の注目を集めると捉えていた。本大会のモットーは「多様性と調和(DIVERSITY & INCLUSION)」である。コロナ禍で差別や格差が顕在化し、分断が叫ばれる時代にあって国境の垣根を飛び越えられるスポーツが、多様性と調和の実現に最も近い位置にいると見ている。大坂選手の聖火ランナーや、NBAバスケットの八村塁選手が旗手を務めたのもそのひとつの証だったのだろう。

 しかし、海外のメディアの中には、昨日までの組織委員会の拙い動きと対応を見て、フランス・ルモンド紙のように日本人が望まないオリンピックは「日本はIOCの囚人になっている」として、日本だけで決定出来ない主体性のなさを皮肉交じりに伝えていた。他方、イギリスのガーディアン紙は、「昨年の苦闘から目をそらして笑って踊るだけのショーではなく、喪失と悲しみのテーマを導く他に類のない3時間となった」と比較的好意的に伝えている。ワシントン・ポスト紙は、ハーフ選手の大坂、八村らが存在感を示したことに「現在の日本の多様性を感じさせた。移民について、人種やアイデンティティーの異なる人々が1つの国をつくるという考えについて、まさに取り組み始めたばかりの国であるとうなずかせるものだった」と日本人の認識が変わったと評価していた。知らない間に海外からは日本は意識面で旧来の考えが少しずつ変わってきていると見られているようだ。昨日の本項で大坂なおみ選手の聖火ランナーに異を唱えたことが、恥ずかしいくらいである。

  これから8月8日まで17日間に亘って大会は続けられるが、コロナ禍により新規感染者が増え、大会が途中で中止にならないことを強く願っている。

 一方、コロナ自体は日々益々感染者が増え、コロナ禍は第5波に入ろうとしている。例えば、昨年中止になった全国高校野球では、今春の選抜大会で東海大相模高が3度目の優勝を飾ったが、何とその東海大相模高が、昨日メンバー17人が陽性であることが判明し、今日の神奈川県予選の準々決勝戦を急遽辞退して不戦敗となった。同高にとっては史上8度目の春夏連覇を目指し、しかも門馬監督が今夏を最後に監督を退任することになっていただけに諦めきれない思いであろう。

2021年7月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5185.2021年7月23日(金) 1964年オリンピック開会式の方が良かった。

 待ちに待ったと言いたいところだが、新型コロナウィルスの感染拡大により、開催か中止か、賛否両論の声があった中で今晩国立競技場において、過去に前例のない無観客状態で東京オリンピック開会式が行われた。その様子を終始テレビで見ていたが、日本人らしい細かい演出は洒落たところもあったが、全体的にはあまり良いとは思えなかった。最終聖火ランナーに純日本人ではなく、日本に居住せず日本語も達者でないプロ・テニスの大坂なおみ選手を選出した点にも疑問を感じる。これまでオリンピックで活躍した柔道の野村忠弘と吉田沙保里、体操の内村、水泳の北島、マラソンの高橋尚子、野口みずきら多士済々ではないか。北京大会やリオ大会の方が興味深かった。最も変わったと感じたのは、各国選手団の入場行進がトラックを半周するのではなく、中央フィールドをまとまってまっすぐ行進する点だった。1964年大会のような古関裕而作曲によるリズミカルな東京オリンピック行進曲に乗って揃って入場行進するのではなく、少々盛り上がらないように感じた。率直に言って前回東京大会の方が感銘を受けた。

 1964年東京大会は爽やかな秋空の下で前日の雨もカラッと明け、式典は明るく華やかに行われたが、今回は猛暑の最中ということから夜間に開かれた。開会直前になって開会式楽曲製作者が辞任させられたり、昨日はショー・ディレクターが解任されたり波乱含みとなった。

 今回のオリンピックでは、事前に計画されていた事前合宿地と海外選手団の友好的行事が取り止めとなったところが多く、受け入れ先の自治体にとっては住民との交流計画が途絶えたことに失望しているところが多い。事前合宿のために来日した外国選手団もホテルに缶詰めにされて外出も思うように出来ず、残念だったと思う。平和と友好をモットーにしているオリンピック精神を損なうようなコロナ禍にはただ黙っているしか方法がない。

 そんな折も折、遺憾な行為があった。韓国選手団の選手村に国旗と同時に垂れ幕が懸垂された。そこには抗日の英雄とされる李舜臣将軍の言葉が書かれ、政治的な宣伝を禁じるオリンピック憲章に違反するとしてIOCが撤去を命じた。すると韓国側は、今度は朝鮮半島を虎であしらった垂れ幕を掲げた。どうしてオリンピックで反日アピールをしなければならないのだろうか。スポーツの祭典、オリンピックの場においてまでも反日的な行動に出ていた韓国は、選手村の食事でも各国選手団と同一の食事をすることなく、専任のコックを帯同して独自の食事を振舞っている。その理由とは、選手村の食事には、東電福島原発放射能洩れによって汚染された食物が混入されている可能性が高く食の安全性からとの言い分と判断である。これまで日本は韓国に対してその点を散々説明し、安全との国際機関のお墨付きまでいただき、福島産食物へ放射能混入の強い不安と不信感を拭い取ろうと努めたが、韓国側は理解してはくれなかった。今回のオリンピック開催に際して、日本は東日本大震災で甚大な被害を受けたことを克服し、新たに発展する姿を世界へ示したいとの願いがある。残念だが、それが韓国によって受け入れてもらえなかったことで福島県民はひどく落胆している。

 日韓関係が険悪になってから大分時間が経つが、従軍慰安婦や徴用工、攻撃し追及しようとする。その根底には、戦前日本によって植民地として占領された被害者意識と戦後の反日教育がある。今日の開会式にも当初文在寅大統領は出席すると広言していたが、3日ほど前に急遽訪日を中止すると予定をキャンセルした。明確な理由があるなら、最初から欠席と伝えるべきだろう。韓国政府の対応を見ていると嫌がらせを行っているとしか思えない節がある。日韓関係が是正されるのは、まだ遥か遠い先のように思える。悲しいことである。

2021年7月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5184.2021年7月22日(木) 「千年に1度の豪雨」は「白髪三千丈」では?

 昨日朝2つのパソコンがハッカーに襲われ、ホームページ(HP)が見られなくなった。他の外部アクセスに支障はなかったが、HPだけ機能不全となってしまった。急いでITコンサルタントに連絡を取っていると、しばらくして彼から電話があり、他にも彼の顧客がハッカーに襲われて見られなくなったが、解決したと言うので、スイッチをONにしてみると確かに回復していた。これまでにも同じような騒ぎがあったが、今中国のハッカーが世界中を荒らしまわっているとの情報があり、アメリカでは国防省やFBIが神経を尖らせている。我々も気をつけなければいけないが、残念ながらハッカーの侵入を防ぐ手立てがない。

 中国と言えば、昨日河南省鄭州市で記録的な豪雨に襲われ河川が氾濫して洪水が市内に流れ込み市街は水浸しとなった。地下鉄の駅構内にまで浸水し電車が駅で水没する有様である。確かに映像で観ると道路は水没して洪水が流れている。その豪雨は中国観測史上最大を記録し、「千年に1度」というそうだから驚くが、少々大げさではないだろうか。元々中国には古来言葉を大げさに誇張する名残りがある。その典型は高校の漢文で習ったことがある、李白の詩「秋浦歌」に書かれた「白髪三千丈」であろう。憂いが重なって毛髪が白くなり三千丈(約9千m)にまで伸びたという誇張表現の代表例である。

 最近のコロナ禍に際して、連日アメリカのジョンズ・ホプキンズ大学が公表する中国の新規感染者数と死者数が、実態とはかけ離れているように思える。誇張の真逆で少な過ぎてその数値をそのまま信用して良いものかどうか躊躇するところである。

 実際一昨日20日までの1か月間における中国全土のコロナ新規感染者数は、全世界で1日当たり52万余人が新規感染し、2万2千人が命を落としている時にほんの812人である。死者に至っては僅か2人である。これがコロナ発生の地とされる中国の実態だろうかと首を傾げざるを得ない。昨日1日で日本ですら感染者が5千人弱、死者は20人だった。況してや1か月ほど以前に深圳空港でデルタ株感染が判明して、空港内全店舗を閉店し、空港への立ち入りを禁止して空港をすべて消毒した騒ぎがあったばかりの中国で、この数字は信じがたい。どうも中国政府の公表する公的数字や資料の信憑性への疑念が拭えず、俄かには信じることが出来ない。真実を公開することはコロナ収束には必須であり、世界の保健医学への責任でもある筈である。

 新疆ウィグル族への人権侵害、香港における自由と民主化弾圧、公海上への強引な海洋進出など国際法に触れる行為等々、中国政府は世界各国からの批判に対して、決まったように内政干渉と反論するが、公平に見てそれ以前に中国自体が国際社会のルールを守る責任があり、批判にも素直に耳を傾けることを求められている。

 さて、今日は暦の上では、「大暑」だそうであるが、とにかく暑い。福知山市、京都市、桐生市の最高気温が36.3℃だったが、都内でも34℃を記録した。最近は午後5時を過ぎてから日陰をウォーキングしているので、少しは救われるが、これから暑さは益々上がる。オリンピックの参加選手たちの気持ちが思いやられる。精々テレビで彼らを声援しようと思う。

2021年7月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5183.2021年7月21日(水) 開会式前に東京オリンピック開催

 明後日のオリンピック開会式に先立ち、今日日本代表チームの女子ソフトボールと女子サッカーの初戦が行われた。これから8月8日まで東京を中心に各地で熱戦が繰り広げられる。今回のオリンピックは異例づくしで、明後日の開会式は無観客で行われる。大会関係者の出席は約950人で、当初の予定であった約1万人から大幅に減った。開会宣言は昭和天皇と上皇に倣い予定通り名誉総裁である天皇が行う。当初予定していた皇后、その他の皇族方はひとりも出席されず、他の競技場でも皇族方が観戦に訪れる予定はすべてキャンセルされることになった。出場する選手にとっては些か張り合いがないであろうが、これも新型コロナウィルスの想像もし得なかった、世界的な感染拡大という不運によるものだけに諦めざるを得ない。

 ケチが付いたと言われているが、そのせいか開会式に参加を予定していた経済人の欠席も目立つ。経団連をはじめ、経済同友会、日本商工会議所など経済3団体のトップが欠席するのは、無観客開催やコロナの感染予防が表向きの理由だが、開催反対の世論や消費者の反発への警戒感があるようだ。

 しかし、開催すると決めた以上是が非でも事故なく、ありきたりだが平穏な大会であって欲しい。決して五輪期間中にコロナが感染拡大するような事態になることだけは避けるよう、組織委員会をはじめ関係者は充分注意して欲しいと思う。

 さて、デジタル化、IT化が進む時代になったが、一昨日成田及び羽田空港で国際線の搭乗手続きの際、一部の航空機搭乗に限って「顔認証システム」、いわゆる「顔パス」が使用可能になった。まだ、ほんの一部に限られるようだが、成田空港の運営会社は、これを開発した日本の技術や導入の度合いは先進的だとアピールしている。だが、世界の空港では、日本に先駆けてすでに「顔パス」が使用されている。その点で日本での導入はかなり遅れているのではないかと思う。

 実際私自身2017年にバルト3国へ出かけた時の出入国はフィンランドだったが、ヘルシンキ空港では出国の際「顔パス」だった。この顔認証をNECが70カ国に展開している。NECは2001年度に約3千億円の大赤字を出し、稼げる分野へ研究者を回すようにした。それが顔認証だったという。ただ、初期には顔写真の誤認率が30%もあった。その後研究を重ねて今日のように認証率が高くなった。問題は、使い方によっては人権を侵害する恐れがあることである。アメリカでは黒人が顔認証の誤認で逮捕されたケースもあり、顔認証を使った警察捜査を禁じる地域が相次ぎ、EUでも今年4月原則禁止の規制案を示した。

 確かに認証の精度が高まれば、空港での出国、搭乗手続きはかなりスムーズになると思う。個人的な経験から言えば、ヘルシンキ空港では顔認証器の前で私の顔に器械が反応せずスムーズには行かなかった。後ろに出国者がつかえて渋滞したほどである。係官が来るまで時間がかかった。もう少し精度が向上するようになれば、もっと普及するだろう。

2021年7月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5182.2021年7月20日(火) 高齢者医療治療費に加え、医療保険料も値上げ

 昨日「後期高齢者医療保険料額決定」の通知書が、世田谷区国保・年金課から郵送されてきた。厚生労働省が3年がかりで後期高齢者医療制度の特例的な軽減を見直すと公表していたが、開封してみると保険料の値上げ額があまりにも大きいのにびっくりした。昨年までの年額118,500円が60%も値上げされ、今年度から188,300円になる。来年度秋以降に後期高齢者の医療費も現在の1割負担から3割負担になることもあり、高齢者にとっては極めて厳しい見直しである。すでに決定は既定路線で、今回の値上げ分を含めて医療保険料は、厚生年金から天引きされるので、お手上げである。

 かねがね医療に限らず社会福祉関係費用というのは、国家が徴収する医療費合計の範疇で処理されるのではなく、すべての収入の中で総合的に捉えられ考えられるべきだと考えている。防衛費には殊更甘く検討もせず、アメリカの言いなりでイージス艦2隻に5千億円超の無駄な防衛費を支出するなら、少しでも防衛予算を医療分野へ回せば、高齢者が医療費で厳しい局面に立たされるケースは少しは低減する筈である。さすれば、高齢者への医療費負担が増えると次の世代の若者に大きな負担となるという苦しい言い逃れを言わずとも済む。私自身後期高齢者で当事者であるので、この点をいくら力説しようとも説得力に欠けるが、不思議なのは共産党をはじめ、どの野党も何ら反対しないことである。「老兵は消え去るのみ」か。

 さて、オリンピック開催を3日後に控えて、益々難題が降りかかりつつある。五輪組織委員会で開会式に流される楽曲の制作に関わっていた小山田圭吾氏が辞任したことで4人のチームで作られた曲のうち、小山田氏の曲は採用されないという。過去に障害のある同級生へのいじめがネットで公開され、それがあまりにも酷いとして追放されたのだ。

 オリンピック出場のため来日した選手団の内、また新たに何人かが陽性と判明し、しばらく隔離され選手村へ入村出来ない。中でも南アフリカ代表のサッカー・チームの内3人が陽性とされ、明後日の初戦・日本戦では試合前のPCR検査次第では、試合が出来ないことも考えられる。新型コロナウィルス感染は、日を追って増え続け、東京をはじめ首都圏でもその勢いは衰えない。

 オリンピック会場がほとんど無観客と決まったが、ヨーロッパでコロナが再拡大する中で、同じように新規感染者が増えているイギリスで、昨日イングランド地方で規制を撤廃して、マスクの着用を義務化しないことにし、パブやバー、ナイトクラブなどの営業も認められることになった。「自由の日」だと歓迎する市民がいる一方で、規制撤廃には慎重な意見も多い。ロンドン市内では警戒は緩められず、地下鉄ではマスクの着用を義務付けている。コロナに関する欧米人の無防備な感覚には、日本人とは異なる伝統、文化、風習などがあると思うが、大観衆を集めたサッカー場でファンがほとんどマスクを着用せずに肩を組みあったり、狭いパブ内で肩が触れ合うほど密集して騒いでいるのはどうも理解出来ない。イギリスは人口でも日本の半分程度でありながら、このところ日本の連日3千人の新規感染者に対して、イギリスではこれを遥かに上回る連日5万人前後の新規感染者を出している。これで規制撤廃というのだから少々甘いのではないかと思う。スナク財務相とともに濃厚接触者になったジョンソン首相も昨年陽性になったことがあるし、最近ではコロナ担当の保健相まで感染している。コロナ観も含めて国家の首脳周辺の脇が少々甘いからではないだろうか。イギリス人の感覚にはとても付いて行けない。

2021年7月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5181.2021年7月19日(月) トランプ前大統領から皮肉られたグレタさん

 昨晩BS・テレビ朝日で地味ではあるが、筋の通った社会派のドキュメントを放映していた。スウェーデンの環境保護活動家のグレタ・トゥーンベリさんの活動ぶりを取り上げた、2時間の報道番組「緊急提言!グレタ気候変動最前線をゆく」である。今年18歳であるが、地球温暖化防止のための防止策を提言するだけではなく、自ら山林火災など温暖化現象を体感出来る地点を訪れ、現地の人びとから最近の温暖化の傾向を聞いて、広く世界へ発信している。彼女がこの問題でメディアに姿を見せるようになったのは、彼女がまだ16歳の一昨年だった。彼女の突然の登場は関係者ばかりではなく、主要国の首脳らの目を惹いた。当時のトランプ大統領は、2019年「TIME」に最年少で「今年の人」に選ばれた彼女を評して「馬鹿げている。グレタは自分が抱えている怒りのコントロールの問題に取り組んで、友人と一緒に古きよき映画を観に行くべきだ」と、年甲斐もなく若い女性に苛立ったようなコメントを述べた。

 彼女は一昨年9月国連の気候サミットに出席するため、大量の二酸化炭素ガスを排出する航空機ではなく、2週間かけて全長18mのボートで大西洋を渡り大きな話題を呼んだ。国連では、地球が大量絶滅の時代に直面する今、大人たちが積極的な対策を取らずに失敗すれば、自分たちの世代は絶対に許さない、と激しい口調で各国代表に訴えた。その後チリで開催される国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP25)に出席するため、同国へ渡ったが、リマ市内で暴動が発生して予定されたCOP25の会場が急遽マドリードに変更され、再び14mのヨットをチャーターして大西洋を横断しリスボン経由でスペイン入りした。画像ではその辺りの場面が撮影され、荒れる洋上で船酔いした彼女を映し出していた。

 現実にアメリカ・カリフォルニア州や、オーストラリアの山火事の現場で近隣の人たちにインタビューしている前向きな姿勢には感動した。世界中どこへでも出かけていき、あまり気負うことがない。僅か16歳の高校生がこれだけはっきり自ら信じた環境破壊への反対意見を堂々述べるのには感心した。自分自身振り返って、ラグビーに夢中だった高校生時代には、彼女のような高邁な考えも行動力もなかったし、世界へ訴えるような行動なんてとても出来なかった。今や彼女のネームバリューは世界的になったが、今後怪しげな組織に利用されないことを願っている。

 折も折この数日ドイツ西部からベルギー、オランダ方面に至る広い地域で河川が氾濫し、洪水が市街地へ流れ込み多くの家屋を水没させ、ドイツ国内だけで157名の死者が確認されている。この現実にかねてより地球温暖化現象を危惧していたドイツのメルケル首相は、現場を視察し気候変動に断固として取り組む必要があると呼びかけた。グレタさんが恐れていた地球温暖化がもたらす災害が、現実にヨーロッパのさほど大きくない川で発生したのである。

2021年7月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5180.2021年7月18日(日) 横綱白鵬45回目の優勝とレバノンの現状

 大相撲名古屋場所が今日千秋楽を迎えた。2場所連続優勝の大関照ノ富士が3連覇を飾り、そのまま横綱に昇格するか場所前から期待されていた。6場所ぶりに、しかも相撲協会から休場続きで進退の決断を迫られていた横綱白鵬がこれをどう迎え撃つか、興味深い場所だった。しかし、期待に違わず、千秋楽を迎えて白鵬と照ノ富士の全勝対決となった。千秋楽の全勝対決は、実に9年ぶり6度目のことである。勢いの良かった照ノ富士も44回の最多優勝を誇る横綱に熱戦の末敗れ準優勝となった。

 実は、白鵬はこれまでしばしば眉を潜めさせるような言動をして不謹慎と非難されたことがあったが、昨日も時間いっぱいになってから土俵際まで下がって仕切り、協会理事長から横綱らしくないと苦言を呈せられていた。実力はどの力士よりも秀でているが、横綱らしいパフォーマンスではないと身勝手な行動を批判された。今日の照ノ富士に対しても張り手と肘打ちを何度もやっていた。強い横綱として右ひざの手術を済ませて6場所ぶりに出場しながらも他を圧倒して優勝を掴み取っていく。その強い横綱らしい実力には頭が下がるが、もう少し横綱らしい品位を具えてくれれば、不世出の横綱と呼びたいところだ。すべてに満点とは中々行かないものだ。それでも最多優勝45回目を成し遂げた横綱白鵬にはおめでとうと言ってあげたい。来場所は準優勝の照ノ富士も横綱に昇格するようだ。東西横綱が揃い踏みして今後大相撲界が一層発展することを期待したい。

 さて、中東のレバノンがこれほど追い詰められているとは、想像していなかった。経済状況が悪化の一途を辿り、昨年3月には国の借金が返済出来ず、デフォルトに陥っていた。そこには経済以前に政治的不安定が大きく作用している。1967年末同国を訪れた時は、第3次中東戦争の敗戦国の支援国でありながら、戦後の市街からは明るい空気が感じられ街は賑わい港には海水浴が大勢集まっていた。拙著「八十冒険爺の言いたい放題」に紹介した高校生カィールくんに巡り合ったのも、このレバノンの首都ベイルートだった。

 そのレバノンは地中海に面した立地上の優位性から多くの国々と経済・外交関係を結んで繁栄し、市内には多くの外国人の姿が見られ、ベイルートは別名アラブのパリとも呼ばれていたほどである。アラブの国々は、それぞれに難しい立ち位置にあったが、レバノンでは、宗教や宗派によって国会の議席や閣僚ポストを分け合う、特異な「宗派主義」という政治体制を保ちながら微妙な国家の舵取りをしている。

 私自身早くから興味を惹かれたのが、政治に宗教が色濃く反映され、大統領をキリスト教マロン派、国会議長をイスラム派シーア派、首相をイスラム派スンニ派から選ぶ3つの宗派と信者に配慮した政治運営のルールである。このベイルートに昨年8月大爆発が起き、当時の内閣が総辞職に追い込まれた。爾来首相不在のまま1年近くに亘り政治空白が続いていた。

 レバノンは国として債務不履行に陥り国民の多くが月額数十㌦程度の生活を余儀なくされている。かつて宗主国だったフランスが、国際通貨基金(IMF)の支援を受ける条件として、宗派主義からの脱却を要求している。このように難しい立場の国家に果たして諸外国が、救いの手を差し伸べてくれるだろうか。

 訪問してから55年も経った今でも懐かしく思い出すベイルート市内の洒落たストリートと明るい人々が生活し、アラブでも他の周辺国の中でも一頭抜きん出ていたレバノンの厳しい現状を知るにつけ、政治家の責任は重いものだと考えている。首相に指名されていながらハリリ元首相は、アウン大統領が考えていた自派が3分の1を超える閣僚名簿に承服出来なかった。これによりハリリ元首相は組閣を断念せざるを得なかった。結局宗派主義が、かつては豊だったこの浮遊する国・レバノンを今益々苦境と混迷に追い込んでいると言えそうだ。

2021年7月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com