6333.2024年9月14日(土) 大学進学の傾向と大学経営

 近年大学への進学率が年々高まり、今春の大学進学率は過去最高の57.7%で、8年連続で過去最高となった。短大や専門学校などを合わせた高等教育機関への進学率を見てみると84%で、大学進学を諦める学生は大分少なくなった。文部科学省によれば、奨学資金など就学支援制度の周知や、経済的に困窮して進学を諦める家庭が減少したことなどが影響しているという。これで真面目なインテリ学生が増えれば、言うことはない。

 しかし、大学の経営面から見ると手放しでは喜べないようだ。大学入学志願者が増えて大学を新設したり、学生数を増やす大学も見られる一方で、定員割れの私立大学が増えていて、今春の入学試験で定員割れの私大が、過去最多の354大学にも及んだ。18歳人口の大幅な減少が影響したようだが、私大全体として入学希望者が増える中で、定員を拡大した意図が経営的には空回りした現実となった。私立大学の経営上深刻な面も考えられる。

 東京・三鷹市内にある国際基督教大学(ICU)が、規模は小さいが、私立大では早慶上智と並ぶ偏差値の高い大学とされ、特に卒業生はほとんど英語をマスターして国際感覚を身に着けた優秀な学生が多い。高校の同級生にもICUへ進学した優秀な女子がいた。そのICUが志願者の減少に頭を悩ませているというから意外な感がする。ICUは、経済界でも名を成した理事長の財務対策から、運用益を増やしたくらいで経営的に苦しいわけではない。今同じ中央沿線の女子大の名門・東京女子大学と提携して、「数理・情報・データサイエンスを含めたリベラルアーツ教育の拡充に、相互にリソースを提供する」との狙いで、企業に例えれば、研究開発や、生産能力を仮想的に統合し、ライバルに対抗する戦略を考えたという。その効果が結実し、ICUの入学希望者が増えれば結果としては成功と言えるのだろうか。

 他にこんな問題もある。経営上の理由から最近話題に上がった千葉県銚子市内の私立千葉科学大学は、大学を経営している学校法人加計学園が、昨年10月銚子市へ公立大学への移行を持ち掛け、現在銚子市で公立大学法人化が検討されている実態がある。

 また、通常の大学運営経費も最近の諸物価高騰の影響もあり、天下の東大が来年度の入学者から年間授業料を現在の535,800円から約11万円も上げ、642,960円に値上げするという。私大に比べてすべてにおいて安いと思われている国立大でも、背に腹は代えられないのか、これだけ大幅な値上げをされては、学生の保護者も一部生活費を切り詰めなければならないだろう。

 私立大の授業料は、当然東大のそれを遥かに上回る筈で、ひとりでも子どもを大学に通わせている家庭の親は大変苦労されておられることだろう。

 大学及び学校経営は一般的な企業の収益向上を主目的とする経営とは、自ずから大きな違いがある。一番の冥利は、卒業生がここで学んだことが大きな楽しみと思い出となって、自分を生かしてくれ、この大学で学んだことが大きな喜びとなったと思ってくれることだろう。それはこの世知辛い世の中で何ごとにも代え難い経験だったと言えるのではないだろうか。さすれば、学校経営者は、利だけを追うのではなく、学校経営の極意を知ることが大事だと改めて自覚することと思う。

2024年9月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6332.2024年9月13日(金) 自民党総裁選告示、過去最多の9人が届出

 昨日自民党総裁選が告示された。過去最多の9人が届け出たが、出馬の意思表示をしていた斎藤健・経済産業相と青山繁晴・参議院議員の名前がない。2人とも20人の推薦人が集まらなかったようだ。

 昨日早速各テレビ局では、9人揃ってTV 討論会を行った。それをずっと観ていて思ったのは、司会者が憲法改正をすでに全員了解済で、その内容は自衛隊について明記するとか、第9条第2項「戦力を保持しない」の条文を削除することも了承済であることを暗に伺わせるような話だった。この討論会を観ていて自民党内では、すでに憲法改正は既定路線で、ほとんどが憲法の条文を検討する段階にあることを察して、驚いている。

 口では平和憲法を守ると言いながら、彼らはこの太平洋戦争の犠牲のうえに生まれた戦争放棄の平和憲法を今では蔑ろにしつつある。それは彼らがまったく戦争を知らない世代で、戦争の惨めさや苦しみ、辛さに気が付かないからだ。恐らく身内に戦死者もおらず家族が悲しみに暮れて涙を流したような姿に接していないせいもあるだろう。高市早苗・経済安全保障相を筆頭に攻撃されたら仕返し、そのために予め準備を整えると安易に述べるが、そこには取り返しのつかない犠牲が伴うことをまったく考えてもいない。

 司会者がどう考えているのかはっきりしないが、憲法の中身は二の次にして、憲法改正自体について各候補者に問い、国民に知らせて欲しいものである。候補者の中には、自然災害の際に自衛隊の救援作業隊の活動がいかに国民に安心感を与えているかを考えると、そのための防衛費の増額も国民が納得していると身勝手なことを語っていたが、都合の好い認識である。むしろこのような国民に知らされていないアイテムについて、憲法問題を取り上げるなら、先ず憲法改正の議論を進め、国民投票を行い、その後に仮に改正することになったら内容をどうするかという順番で議論を進めないと、国民のほとんどが知らない間にすべて自民党の筋書きに従って国民としての意見が出来あがってしまうように思う。

 戦争が起きたら何の抵抗もしないのではなく、ただ日本人として襲われたら仕返しするためには軍備が必要であると述べるだけでは第3次世界大戦開戦も目の前にあると言わざるを得ない。その点から国会議員が「戦争」、「戦争」・・・と単に喚くだけでなく、地道な議論を進めるべきである。何か事があると靖国神社に参拝して太平洋戦争でお国のために尊い命を捧げた戦没者に哀悼の誠を捧げ、尊崇の念を表すとこともなげに言うが、靖国神社には無念にして戦地で亡くなった犠牲者の他に、大日本帝国軍国主義に浸り戦争を主導したA級戦犯も祀られていることを考えるべきである。戦争を否定しない自民党議員らの行動が、保守派、右翼勢力に力をあたえているようだ。

 ともかく自民党総裁選では、現在までに憲法改正について発言した候補者はいない。これほど国民の関心が高いテーマを党内で内々に議論し、決定してから公にするのではなく、この総裁選という良い機会にこれから大きな日本の課題のひとつとして、それぞれが憲法について考えを公表し議論を戦わせて欲しいものである。

 もう1点気がかりなことは、国家財政赤字問題である。今年度末には、普通国債残高は、1,105兆円に達すると見込まれている。これは先進国の中でもずば抜けて多い。しかも年々歳々増え続けている。近代経済学者の中には、これも経済成長の証であり自然体であるような説を唱える学者もいるが、家計で赤字が溜まれば生活が出来なくなるのと同じで、国も早めにその赤字国の泥沼から抜け出す手段を講じて実行しなければ、未来は暗いものとなる。候補者の中には、あまり経済に強い人がいないせいか、財政再建について意見を述べる候補者はいない。

 まだまだ彼らが総裁、首相になって国をどう引っ張っていくのかイメージが湧いてこないが、これから2週間の間に彼らは自らの政策構想を理念と実行性で少しでも肉付けすることが出来るだろうか。

2024年9月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6331.2024年9月12日(木) 米大統領選TV討論とフジモリ元大統領死去

 昨日9月11日は、今から23年前言わずと知れた3千人もの犠牲者を生んだ「ニューヨーク同時多発テロ(9.11テロ)」が発生した日である。このテロについては、拙著「八十冒険爺の言いたい放題」(はるかぜ書房刊)に、2000年にアフガニスタン国境近くのパキスタン領の集落ランディ・コタールを訪れ、トラックに兵器の積み下ろしをやっている現場を見て、近々反米的なテロのような大事件が起きるのではないかと予感し、その辺りのことを書いた。現実にそれから1年半後にテロは発生した。昨日テレビでも9.11テロ関連のドキュメンタリーを放映していた。その呪うべき日の前日に、佳境に入ったアメリカ大統領選の民主党ハリス副大統領と共和党候補者トランプ前大統領のテレビ討論会が行われ、全米中で多くのアメリカ人が注視し見守った。そして開けて11日にテロの跡地で追悼式典が行われ、バイデン大統領、ハリス副大統領、それにトランプ前大統領も出席した。

 これまで3度の大統領選に出馬してテレビ討論参加も7回目というトランプ氏に対して、ハリス氏にとってはバイデン大統領の撤退に伴う身代わり出馬でありTV討論会も初めての経験で、経験上トランプ氏有利と見られていた。午前中NHKで生中継されてしばらく2人のディベートを観ていたが、同時通訳が早口でしゃべるので、中々理解が難しいので新聞とネットに頼ることにした。

 4年前の討論ではバイデン大統領が話している最中に、トランプ氏が強引に割り込んでバイデン氏を戸惑わせていたが、今回は相手が話している際はマイクをオフにして割り込めないようにしたことから、いつも喚き散らすトランプ氏の存在感が薄れたことはハリス氏にとって良かったかも知れない。

 不法移民を制限するためにアメリカへの不法入国者がペットの犬や猫を殺して食べていたというトランプ氏の発言が事実ではないと、司会者が巧妙にトランプ氏のフェイクであると印象付けたのをはじめ、トランプ氏には真実ではない発言が多いと思わせるような表現が多過ぎて国民の信頼を損ねたのではないか。1時間半の討論に関する大方の感想は、ハリス氏がやや有利のようだが、投票日までまだ2か月も残されている。今後の動きは予断を許さないようだ。

 ついては、今日衝撃的な訃報を知った。ペルーのアルベルト・フジモリ元大統領が長年患っていたガンにより亡くなったと娘のケイコ・フジモリ氏がXに投稿した。フジモリ氏は私と同じ1938年生まれだった。何といってもフジモリ氏の名を世界的に有名にしたのは、1996年に起きた日本大使公邸人質事件である。左翼ゲリラ組織によって平成天皇誕生パーティに出席していた日本大使や日本大使館員をはじめ、ペルー政府要人、各国外交官、企業駐在員ら6百余名が人質に取られた。しかし、その4か月後にフジモリ氏は陣頭指揮を執って占拠されていた大使公邸に特殊部隊を突入させ、17名の犠牲者を生みながらも人質は解放され事件は解決した。

 この事件でフジモリ氏は一躍ヒーローとなった。フジモリ氏は破綻寸前のペルー経済を立て直し、左翼ゲリラを掃討して国家発展の基礎を築いた。その反面、強権的な政治手法で人権侵害、腐敗事件などにより厳しい対応をして、事件から4年後には日本へ亡命した。その後帰国途次で身柄を拘束され、市民の殺害事件を指揮していたとして禁固25年の有罪判決を受けた。身柄を長期に亘って拘束され、健康状態の悪化にも悩まされながら寂しい晩年を送ることになった。フジモリ氏の業績については功罪相半ばしており、今も評価は二分している。娘ケイコ・フジモリ氏も1党を率いる政治家として、ペルー大統領選にも出馬したが、落選し、収賄事件などのスキャンダルに巻き込まれ、現在もまだ捜査が続けられている状態である。

 しかし、中にはこういう方もおられた。人質事件の翌年にメキシコを訪れた際、あるメキシコ人が日系人フジモリ大統領の人質救出に際して取った勇気ある行動をべた褒めしていた。いろいろあれども日系二世として苦労の多い環境の中で外国のトップを極めたフジモリ氏の努力と功績は忘れられない。心より哀悼の意を捧げたいと思う。

 最後に昨日書いたブログに関して付け加えたい。VISAカードを発行している三井住友カード㈱から、ゴールドカード会員年会費として、8月11日付で11,000円が引き落とされた通知書が届いた。使えないカードを発行して顧客・会員を欺き、金だけ分捕ろとするこのカード会社は詐欺師のやることとまるで変わらない。

2024年9月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6330.2024年9月11日(水) 役立たず「VISAカード」の傲岸不遜ぶり

 今日も暑い。東京都心の今日の最高気温は34℃だった。こう暑い日が何日も続き自宅に引き籠っているとイライラすることもある。

 今一番イライラさせられているのは、VISAカードを発行している三井住友カード株式会社の、好い加減で会員に対して不誠実極まりない対応である。顧客というか、会員を軽視しているという以上に愚弄する姿勢が露骨である。以前にも本ブログで取り上げたことがあるが、その悪しき習性は反省するどころか一向に修正されず、むしろ一層悪質化している。相も変わらず財閥系の社名を掲げた殿様商売を続けられているのも、悪運が強いからか、顧客を騙し切っているからであろう。

 普段はショッピングなどで現金払いすることが多く、カードは余程高額なケースとか、海外へ出かけた場合を除いてあまり使用しない。それでもVISAカードとの付き合いは、かれこれ40年ほどになる。今では精々1年に1~2回程度しか使用しないので、ゴールドカード会員になってはいるが、会社にとっては歓迎されざる顧客、会員と思われているのではないだろうか。

 それにしても他社のカードでは例がないような、支払いの場で使用出来ない不愉快なケースや、不都合なことがVISAカードには多過ぎる。以前にも何度か20万円以内の支払いだったが、使えなかった事情を問い質したことがある。その都度高額だからとして事前に連絡がない場合は扱えないので、予め連絡して欲しいと傲慢な回答だった。他のカードではそんなことはない。また、カードの有効期限が7月末日であるが、新しいカードが翌日の8月1日に使用出来ないこともあった。今回も20万円以内の支払いのため、前もってその前日に了解をもらっていたが、それでも当日使用出来ず、他社のカードで支払いを済ませた。

 実は、あまりの不親切さと対応の拙さについて、2週間前に同社社長宛にトラブル発生の経緯と説明、反省を求める書状を書留、親展で送ってみた。2年前にも同じ社長宛に資料を添えて、カードが使えなかったクレームの例をこのブログに取り上げたことがある。今回も前回同様今以て社長から回答をもらえていない。

 そのクレームとは、先日慶應病院で毎年恒例の人間ドック検査を受け、やや高額(19万円台)な支払いをVISAカードで済ませようと要望通り、前日に連絡しておいたにも拘わらず、カードはまたも使えなかった。

 カード会社に不信感を抱くのは当然としても、送ったカードのコピー等の資料を調べれば自らの手落ちが分かりそうなものなのに、一向に反省した返事も送って来ない。こういう企業が広く営業を行うことは、多くの顧客に多大の迷惑をかけることにもなるので、即刻現場から撤退すべきだと思う。親会社の三井住友フィナンシアルグループとして、日常的にこんなお粗末な対応を子会社がやっていることに気が付かないものだろうか。

 近日改めて社長に宛てて抗議の書状を送るつもりだが、それでも抗議の手紙を意に介さず、社会常識とモラルに欠ける社長が誠意を見せない場合は、これまで何のメリットもなかった会員を直ちに辞め、SNSに投稿するなり、X(旧ツィッター)へのアップなどで社会一般に訴えることも考えてみたい。三井住友という知られた名前を笠に着て雛壇に鎮座している社長の鼻を明かしてみたいものである。実に不愉快極まりない。

2024年9月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6329.2024年9月10日(火) 世襲政治家と官僚の天下り知事選出に制約を

 7月末にパリで開催されたオリンピックに続いて、パラリンピックが開かれていたが、昨日12日間の日程を終え閉会式が行われた。小雨降る中で閉会式はパリらしく派手なショー的要素を組み込んで華やかに大会の幕を閉じた。

 日本からは過去最多の175人の選手が参加して、各競技で活躍し金メダル14個を含む41個のメダルを獲得した。それでも日本の金獲得は、オリンピックの3位に比べて10位だった。

 いみじくも「近代オリンピックの父」クーベルタン男爵が、「オリンピックは参加することに意義がある」と語ったように、メダルの獲得数が国家の栄誉とか権威を示すわけではないが、ひとつの傾向として国としての勢いを感じることはある。それは、パリ・オリンピック及びパラリンピックにも言えることである。

 例えば、パリ・オリンピックのメダルは、アメリカが1位、中国が2位となり、幸いにも日本は3位だった。そのアメリカと中国の金メダル獲得数はまったく同じ40個で、銀と銅メダルを合わせた全メダル数でアメリカの126個に対して、中国は91個だったので中国は総合で後塵を拝した。

 ところが、パラリンピックのメダル獲得数となると、勢力図が大きく変わった。金メダル獲得数は、1位中国の94個はダントツで、2位イギリス49個、3位アメリカ36個で、3つのメダルの獲得数でもこの順位は変わらない。この結果から中国がいかに障碍者スポーツの育成に努力し、パラリンピックで自国選手の強化、活躍に力を注いでいたかが想像出来る。また、オリンピックでは、イギリスは金14個の7位で、3位の日本の金20個より下位にいた。しかし、パラリンピックでは金メダル及び全メダル獲得数で、アメリカを抜いて中国に次ぎ2位となった。ここにもそれなりの努力があったことと思う。それに比べると、アメリカの金獲得数は随分少なかったように思う。途上国ブラジルの5位25個、戦時下のウクライナの7位22個にもうっかりしていると追い抜かれかねない。

 それにしても中国の圧倒的な金メダル獲得数には感心している。とかく国際法を無視して自国領土の拡大にまい進している力による政治的姿勢から推して、地味なスポーツにこれほど力を入れているとは想像も出来ないことである。日本は過去3番目のメダル獲得を誇ったが、それでも金14個で全体として41個のメダル獲得で10位だった。しかし、テレビなどでもこれまでのパラリンピックに引き比べて、かなり放映時間を割いていたように思う。4年後の次回ロサンゼルス大会では、もっと人々の関心が高まり、メダル獲得模様も変わるだろう。別の意味で興味が尽きない。

 さて、このところ連日のように報じられている斎藤元彦・兵庫県知事のパワハラ問題で3年前の知事選に推薦母体となった日本維新の会が、知事に辞職と出直し選挙の実施を求めた。日本維新の会は、最近各地の補欠選で立て続けて推薦候補が敗れ退潮気味のところへ、4月に地元の大阪府大東市長選でも敗れている。これ以上味噌をつけたくなかった。

 流石に頑なな維新幹部も、斎藤知事の百条委員会や、証人喚問の言い分と対応が、県議会や県民が充分納得出来るものとは言い難いとして、昨日辞職申し入れ書を手渡した。だが、頑固一徹の知事はこれを受け入れる気持ちはなく、引き続き知事職に留まる意向である。

 ところで、天下り知事とも言える斎藤知事のパワハラで隠れているが、元総務省をはじめキャリア官僚OBの知事は、47都道府県の内半数以上の25人もいる。中でも総務省出身知事は、前記斎藤知事、後記の木村知事を含めて11人もいる。学業は優秀だっただろうが、職場ではエリートコースを歩みチヤホヤされて現場を知らず、若く世間知らずの知事が多い。その中でも最近斎藤知事のスキャンダルの影になって目立たないが、顰蹙を買っている県知事がいる。総務省官僚から県副知事に天下りし、今年4月の知事選で自民、公明党の推薦により初当選したばかりの木村敬知事である。木村知事は、今後AIが事務職業務を代行する中で一般事務は要らないし、高校の普通科なんて要らないと県教育長に話したというから、世間知らずも極まれりである。世襲政治家と同じように苦労知らず、世間知らずの高級官僚から天下りする政治家の誕生にも、今後歯止めを掛けることも考えるべきだと思う。

2024年9月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6328.2024年9月9日(月) 増える日本駐留米軍兵士らの刑法犯罪

 今日は「昭和」で言うと昭和99年9月9日になり、中国では重陽の節句である。近くにお住まいのベトナム反戦運動の中心グループ「ベ平連」(ベトナムに平和を! 市民連合)を主導されておられた小中陽太郎氏が、一昨年12月にご自宅内で倒れた際頭部を強打して、爾来意識不明のままご自宅で毎日看護師さんや保健師さんが、介護の面倒を見に来られる。それでも毎日お世話しておられる奥様や娘さんのご苦労は想像を絶するばかりである。今日も奥様にお見舞いの電話をしてお話を伺ったが、依然昏睡状態ということだった。

 実は、今日は重陽の節句に誕生され、お名前もそれに因んで陽太郎と名付けられた、小中氏の卒寿に当たる90歳の誕生日でもある。お元気なら直接お祝いを申し上げたいところだが、残念だが、それは難しい。以前のような健康状態に戻るのは、ほとんど不可能ということであるが、今まで大変お世話になってご指導いただいたことでもあり、何とかもう1度お話をしてみたい。ご回復されるよう心よりお祈りするばかりである。

 さて、米軍基地に囲まれた沖縄の自治が徐々に保守化の方向へ向かっている。昨日行われた米軍普天間基地を抱える宜野湾市の市長選で、2018年知事選出馬のため市長を辞職した佐喜眞淳・元市長が市長へ返り咲くことになった。6年前の知事選では「オール沖縄」の玉城デニー知事に挑んで敗れたが、基地反対のメッカである宜野湾市民は、普天間基地飛行場の名護市辺野古移設を容認する佐喜眞氏を選んだ。同市長は「普天間飛行場の返還期日の明確化と、その間の負担軽減、危険性除去について政府と話し合いたい」と述べているが、どこまで政府は相談に応じるだろうか。

 今年6月に行われた沖縄県議選では玉城知事の「オール沖縄」が完敗し、保守勢力が過半数を奪還して、沖縄県民の支持がこれまでの革新、反基地の動きから保守、現状基地容認へ変わりつつある。果たしてこの変化と動きに目をつぶっていて大丈夫なのかと些か気がかりである。沖縄の基地問題について、基地の存在だけではなく、現実に日常発生する複雑な問題などもあり、日本人は同じ同胞ということからももっと沖縄に関心を持つべきではないかと思う。

 終戦後、1952年日米講和条約が締結される以前から日本国内に駐留していた米軍が、そのまま日本の国土の7%弱を駐留占拠している。日本の総面積の約2/3が森林であることを考えると、日本の平地面積の内米軍基地は、使用できる日本国土の内20%弱が米軍の使用に供されている。そこへ5万3千人の米兵らが駐在し在日米軍駐留経費として、年間2,200億円ほどを日本が負担している。これも表向きの金額であって、実際にはその5倍近い経費を支出していると言われている。

 近年アメリカという国に強い不信感を抱くようになった原因のひとつは、最近のアメリカは、トランプ前大統領以下国民の道徳心が低下していることである。特に軍隊における、それも外国の駐留地におけるアメリカ軍人の行動において由々しきトラブルを度々引き起こし、反省しているのかどうか、一向にトラブルは減らない。日本における米軍基地における不祥事の頻発である。

 先日の朝日新聞社会面にも大きく報道されていたが、米兵士による女性に対する性犯罪の頻発である。不明朗、或いはうやむやな結論を出すその背景には日米地位協定という世にも不思議な日米不平等条約がある。

 駐留米軍兵士らが、日本国内で犯した犯罪、不祥事は過去において数限りなくある。彼らの2022年度までの過去35年間の刑法犯罪は4千7百余件もあり、年間平均件数は130件で3日に1度は日本国内で米軍兵士が不祥事を冒していることになる。その半数は、沖縄県内で起きたものである。沖縄弁護士会元会長の新垣勉氏によれば、基地の米軍兵士は志願制で集まった若者が多く、社会人としての十分な教育を受けないまま、人を殺す教育を徹底して教え込まれ、日本でストレスを抱えたまま精神的な不安定さを表し、事件を起こすケースが多いらしい。こんな馬鹿げた国家同士の協定なんてあってはならない。現在日本に駐留する米軍兵士は最も多く、5万3千人もおり、これは2番目に多いドイツ駐在の3万5千人に比べて遥かに多い。

 そのうえ懸念されるのは、沖縄県民の保守的傾向が進んでいることである。そして米軍兵士らの不祥事は日米地位協定や、米軍、日本政府の意図的な扱いによってあまり公になることはない。彼らには何をやっても逮捕されないとの間違った特権意識もある。これが駐留米軍兵士らがやりたい放題に同盟国日本で行う悪徳と、日本政府のアメリカ言いなり政治の現状なのである。その根源にある日米地位協定をこのままいつまで放置するのか、或いは真に日米平等の地位協定へせめて改定することぐらい出来ないのか、ここら辺りも自民党総裁選で議論を戦わしてほしいところである。

2024年9月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6327.2024年9月8日(日) 「令和の米騒動」、米不足による米価高騰

 いま「令和の米騒動」と言われる米不足と米価高騰が食生活を脅かしている。スーパーなどでも米が品薄となり、在庫がないケースも見られるという。かつては日本人の主食であった米の消費量が、年々減っているとは言え、品薄とは猶予ならぬことである。昨年の猛暑や外国人の増加で米の需給バランスが崩れたこともあるが、このまま品薄の状態が続き、価格が高騰すれば食生活の維持、健康管理上も深刻な問題となる。

 特に、関西地区で品薄が食生活に影響を与えていることから、吉村洋文・大阪府知事が政府に対して「備蓄米の放出」を要望したが、政府は9月には新米が出回るのでその必要はないとして放出を断った。政府が放出に及び腰なのには、2つの理由があるようだ。

 そのひとつは、これまで米は余っていると言ってきたのに備蓄米の放出で米不足を認めることは出来ないというメンツの問題と、もう一つの理由として米の需給調整は市場に委ねるべきであり、政府がタッチすべきことではないとの考えからである。しかし、これでは政府は、米に関しては一切関与しないと言っているように受け取れる。

 戦後日本人の食生活は、米依存からパン食や麺類などを食するように変わってきた。米の消費量がピークだった1962年度は、ひとり年間消費量が118㎏だったが、2022年度には半分以下の51㎏まで減少した。

 ここで思い出すのは、高校生だった1950年代半ば、社会科の授業で当時人口約8千万人だった日本人の米消費量は、年間8千万石(1億2千万㌧)で、日本国内では6千万石しか収穫できず、残り2千万石は外国米の輸入に頼っていると学んだ。1年に1人当たり1石=150㎏を消費していたことになる。今では当時の1/3しか米を消費していない。現在の年間消費量は7百万㌧で当時より人口が増えたにも拘わらず、消費量は大幅に減っている。その米が不足しがちな原因として考えられるのは、政府が行ってきた「減反政策」という農政の失敗に他ならない。

 米の収穫量の減少は、必ずしも不作とか、外国人の増加に帰せられるべき問題ではないと思う。監督官庁の農林水産省には農業、特に米の生産を守るとの確たる信念が欠けているからだと思う。

 大体政府の農業政策は安易で、どことなく肝心な芯が欠けている。米不足と同じようにいま国内では牛乳不足現象が起きている。これも農政の失敗により政府が酪農家に減産を要請し、乳牛を減らしたら一時金を支給して乳牛減らしを始めた。しかし、結果的に酪農家の赤字は増えたが、政府は赤字補填をせず、挙句に酪農家の廃業が進み、牛乳生産が減ることになった。結果として牛乳過剰から牛乳不足をもたらすことになり、酪農家を苦しめている。

 更に驚くのは、政府には農業の発展や農家の保護・育成にまったく真剣みが感じられないことである。実は、今年5月に事実上の国家総動員法とも言える「食料供給困難事態対策法」が成立した。はっきり言っていわゆる「農家いじめ」である。これは、台湾有事など日本に食料危機が発生した場合、農家に米、大豆などの増産計画の届け出を指示し、農家が拒否すれば罰金を科すという法律である。政府が農家だけに対してこういう冷酷な政策を取れば、阿保らしくて農業なんかに従事していられない。農業従事者は減り、増産どころか危機的な国内農業破滅の道を進むばかりである。

 これらの点について、岸田首相、農水大臣はもとより、すべての閣僚や自民党総裁選に名乗りを上げている議員らは、どの程度その深刻さを理解しているだろうか。

2024年9月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6326.2024年9月7日(土) 自民党総裁選、立憲代表選も佳境に

 台風10号が日本各地で暴れまくって大きな被害を被ったが、また南方洋上に新たに熱帯性低気圧が発生し、それが台風に発展し日本へ襲来する可能性がある。どうやら今年は台風の当たり年のようだ。

 気象ばかりでなく、政治の世界でも今秋は話題になることが多い。今月行われる自民党総裁選と立憲民主党代表選が取り沙汰されているが、来月には公明党が16年ぶりに山口那津男代表が退き、石井啓一幹事長が代表になると明らかにされた。これで与野党3党のトップが揃って交代することになる。昨日立憲民主党代表選へ泉健太代表が立候補を表明した。これで同党選の出馬は山田晴美・衆議院議員を合わせて4人となった。

 自民党総裁選では、小泉進次郎・元環境相が出馬を表明し、立候補者は6人となった。本命がいない。小泉氏は、大方の予想では石破茂元幹事長と並び、一番総裁に選出される可能性が高いと見られている。

 その小泉氏が昨日出馬表明と同時に、総裁としての改革プランを披歴した。他の候補者がこれまでに表明した政策の中では、最も自らの信念と改革、及び現状行うべきことを分かり易く説明したものと思う。43歳と若く、前向き思考の小泉氏は国民の信を問うと言い、これまで旧来の自民党幹部連が発言を控えていた点も率直に批判し、自らの政策の論点を語った。

 古手の議員らから陰で非難されそうな、政策活動費の廃止や国会議員に毎月百万円支給されていた調査研究広報滞在費(旧文通費)の残金返納義務などを公約として掲げた。そのうえで、総理総裁になったら直ちに衆議院を解散し、自らの改革プランの信を問うと述べた。話す態度も堂々として、それなりに総裁選に選出されたら、信念と自信を持って政策実行を期待出来るような印象を受けた。とかく厳しい評価を下す政治評論家の中でも、田崎史郎氏がかなり高得点を与えていたくらいである。

 それでも昨日の記者会見の席上であるフリージャーナリストが、次のような至極無礼な質問をした。「首相になってG7に出席されたら、知的レベルの低さで恥をかくのではないかと皆さん心配しています。それこそ日本の国力の低下になりませんか? それでも総理を目指しますか?」

 この侮辱的な質問に対して、恰も知的レベルが低いと見られた小泉氏は冷静に応えていた。「自分に足りないところはあることは知っている。その足りないところを補ってくれるチームを作る」と応えていた。フリージャーナリストが非礼な質問をした真意は不明だが、場面慣れしていて応対に不自然さはなかった小泉氏は、敢えて言えば、知的能力がやや弱いと見られ質問された際、しばしば机上のプロンプターに目を移し気味だった点などからも痛いところを突かれたかも知れない。最初に立候補した小林鷹之・元経済安保担当相が、まったくプロンプターを見ることがなかった点に比べて、インテリジェンスの面でやや遅れていると指摘するコメントもあった。

 他にも、父小泉純一郎元首相から引き継いだ世襲政治家であることについても厳しい質問があったが、それは予測していたのか、そつなく応えていた。

 自民党、立憲民主党の代表者選が、いつになく盛り上がっており、政策論争も聞き応えがある。憚られることだが、今後の経緯と結果を知ることが楽しみでもある。

2024年9月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6325.2024年9月6日(金) 日米の大手企業買収問題の行方

 このところ俄かに注目を集めている経済的、かつ政治的な問題がある。それは日本製鉄㈱によるアメリカの大手鉄鋼会社「USスチール」買収計画である。昨年12月両者間で約2兆円の買収に合意していた。しかし、買収案は全米鉄鋼労働組合(USW)や、労働者らの反発を招いた。そこへ大統領選が近づくにつれて、政治的な干渉により支障が生ずるようになった。外資によるアメリカ企業の買収案を調べる対米外国投資委員会(CFIUS)が、アメリカの鉄鋼生産に打撃を与える安保上のリスクになると日鉄側に伝えていたという。
 それが、アメリカ大統領選の影響により、政治的な動きが目立ち始め、当初トランプ前大統領が絶対買収を阻止すると公言していた。それが最近になって民主党大統領候補者ハリス副大統領も買収計画に反対の声を上げ、更に、バイデン大統領も買収を認めないとの発言をすると外電は伝えている。これには、USスチールがピッツバーグ(ペンシルベニア州)に本拠を置き、ペンシルベニア州で大統領選に民主・共和両党が拮抗の選挙戦を展開し、買収に反対の従業員と、同州の選挙人獲得を意識した行動に出たためと考えられている。

 USスチールと言えば、現在粗鋼生産で世界27位とやや振るわないが、従業員2万人を超えるマンモス企業で、かつては世界最大の企業として知られた老舗の大企業である。

 しかし、この政界とは一歩離れた経済界の民間企業の経営に関して、アメリカ政界のトップを争うボスたちが、異を唱え、その渦中へ飛び込み騒ぎ立てるとは、自由競争を奨励している資本主義国政府のやるべきこととは思えない。自らの大統領選絡みで、経済界に口出しして外国の自由な投資にブレーキをかけさせるなんて行為は、自重すべきであり、自由主義、民主主義を標榜している資本主義国家として情けない。果たしてこの結論はどうなるのだろうか。日鉄は、アメリカ政府が法に則り、適正に審査されるものと信じているとコメントを発したが、アメリカ国内の日本企業約70社で構成する日米経済協議会は、CFIUSが審査プロセスを政治的に利用する試みには多大な懸念があり、審査を厳正に進めるよう求めるとの声明を出した。その一方で、日本政府からは何らの声も聞かれない。

 そんなニュースが話題になる一方で、その逆のケースも発生している。流通大手の「セブン&アイ・ホールディングス」が、カナダのコンビニ大手「クシュタール社」の買い取りの提案について、買収価格が低く受け入れられないと回答するという。買収価格は5兆5千億円で、上記の日鉄のUSスチール買収額に比べれば、かなり高額である。

 「クシュタール社」はコンビニ事業ばかりでなく、北米とヨーロッパを中心にガソリン・スタンドも経営し、30か国に1万6千店を超える店舗を抱えている。昨年度の売上高は、日本円でおよそ10兆円もあり、その内7割はガソリンの売り上げである。

 日本の「セブン&アイ・ホールディングス」も、これまでアメリカで積極的な買収により事業を拡大してきた。国内でコンビニ事業を成長させた「セブン&アイ」は、アメリカの「7-ELEVEN」の株式を取得して完全子会社にし、営業利益11兆円の内およそ7割を北米市場で稼いでいる。だが、「クシュタール社」の買収持ちかけの狙いは、「セブン&アイ」が所有するアジア地域の7万弱の店舗で、アジア戦略で遅れを取っている「クシュタール社」としては、この7万の店舗を得ることによってアジアの市場を抑えることが出来るとの腹がある。

 クシュタール社の申し出通り買収が実現するかどうか、果たしてクシュタール社の思惑通りことが進むかどうかは不明である。

2024年9月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6324.2024年9月5日(木) 台風に屋久杉倒壊、風雨に木製美術館腐食

 先日襲来した台風10号が、日本各地に多くの被害をもたらした。その中でも最大の損害は、屋久島の樹齢3千年と言われる屋久杉の幹が強風により破壊され倒れたことで、多くの人々、特に地元・屋久島の人びとを失望させている。

 屋久杉は1993年に白神山地とともに日本で初めて世界自然遺産に登録された。その直後に現地を訪れ、大きく立派な屋久杉に見とれていたことを想い出す。こればかりは元通りに修理、回復させるわけにもいかず、屋久島にとっても最高の観光資源だっただけに、これからどうするのだろうと些か気がかりである。

 自然界の不意打ちの襲撃にはとても太刀打ち出来るものではないが、最近自然の木材の腐食による建築物の劣化が問題になっている。世界的に知られた建築家・隈研吾氏が設計した栃木県の「那賀川町馬頭広重美術館」が老朽化によりかなり痛んでいることが分かった。特に外部と接する屋根と外壁には栃木県特産の八溝杉を使ったが、完成以来24年が経過してその劣化が大分進み惨めなものとなった。改修するためには、約3億円もの費用が掛かると見られ、その資金が頭の痛い問題である。

 「那賀川町馬頭広重美術館」は、1民間人によって歌川広重の肉筆画や、版画、徳富蘇峰の書をはじめとする浮世絵、工芸品、書籍など多数寄贈された作品、そしてそれらを展示するために建てられた木製の建物と庭園が見事に調和した美術館として県内外から多くの見学者が訪れている。

 町立の美術館だけに、財政的にもそれほど楽ではない中で、町としてはシンボル的な建物でもあり、来年開館25周年を迎える機会に、那賀川町としては何とか改修費用を工面して町民が誇りとし、再び観光客を呼べるような施設に回復させたいと考えている。

 隈研吾氏設計の建築物は、自然の素材としてよく日本の木材とか、竹が使われる。ただ、これらの素材は厳しい自然に弱い点もあり、主に自然界の試練から逃れられる建物内部の建築資材として使用される。東京オリンピック招聘を機に改装されることになった東京信濃町の国立競技場も隈研吾氏の設計である。当初デザイナーが隈氏と発表された時には、これまでコンクリート製だった競技場に木材を使用することによって耐久性を懸念したことがあった。幸い国立は屋根の下の部分に木材を使用したので、直接風雨に晒されることがなく、大きく傷つくことはなかった。しかし、これとて間接的には風雨を受け止めているので、いずれ時が来れば寿命が尽きることだろう。

 屋久杉については、自然界の襲来に晒され食い止めることは出来なかったのも止むを得ない。しかし、建物に使用された木材などが直接自然界の脅威を浴びれば、痛むことも分かる。建物の建設については、財政的に余裕のない自治体は、著名なデザイナーの特殊な建築に捉われず、名より実を重視して耐用年数の長い建築物を建設するのが財政的にも助かるし、妥当なところではないだろうか。

 蛇足ながら、「那賀川町馬頭広重美術館」の「馬頭」の意味が分からず調べたら、「栃木県那須郡那賀川町馬頭」という地名から名付けられたそうだが、那賀川町までで充分で地区名まで付ける必要があるのだろうか疑問である。ただ、それほどこの美術館は土地の人びとにとって「おらが町」の自慢できる誇り高い「宝物」なのだろう。

2024年9月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com