5249.2021年9月25日(土) 小学校低学年の国語教育に「綴り方」を

 文化庁が「国語に関する世論調査」を発表した。その中で言葉の使われ方が、本来の意味とは異なって理解されている例が多いことが分った。

 私自身いくつか思い当たることがある。文化庁の調べで特に取り上げられた言葉は、「破天荒」、「がぜん」である。前者については、本来「誰も成し得なかったことをすること」の意味であり、私の海外武者修行についても僭越ながら拙著の中で度々紹介している。それが「豪快で大胆な様子」と理解されているようだ。また、後者については、「急に、突然」が「とても、断然」と理解されているケースがあるようだ。

 その原因として独断的に考えるなら、これらの言葉を、読書しながら目にして頭で考えて前後関係から意味を読みとることより、むしろ日常の話し言葉の中で触れることによって感覚的に判断しているからではないかと思う。

 本ブログに取り上げたこともあるが、テレビで若手タレントの話し言葉でしばしば耳にするのは、「メチャメチャ良い」とか、「メッチャきれい」と言う表現である。何でもかんでも「メッチャ」を「すごい」のように良い意味に使っていることである。本来なら「全然ダメ」の意味だが、その反対の意味で使用している。それにこの言葉の持つ声の響きが子供じみてやや下品な感じがしてならない。それを本来の意味を知らず、やたらに使いたがる若いタレントが多く、ある意味で次元が低いと感じている。

 これに対して文化庁のコメントが、「言葉は変化する。あくまで本来の意味や言い方との比較で、正しいか間違いではない。場面に応じて言葉を大事に使い、豊かなコミュニケーションをとってほしい」というものである。これではこの間違い用法を肯定しているようなものだ。文化庁は「間違いではない」と言っているが、間違いだとどうして言えないのか。言葉を大事に使っていないから豊かなコミュニケーションなぞ望む方が無理ではないか。

 文化庁も文部科学省も、日本語の基本である国語をどう考え、義務教育で国語をどう教えようというのか、よく分からない。文章を綴るということに、あまり細かい神経を使っていないようだ。我々が小学校低学年時には、国語教育は、「読み方」と「書き方」があり、それが「読み方」と「綴り方」となった。書くことをかなり熱心に教えてもらった。その後もテレビがない時代には、読むことと書くことを国語の授業で随分学んだものだ。それが、今ではテレビ時代からIT時代に入り、他人の文章をコペピして借用(盗用)するように自分で書くことから逃げる傾向がある。

 数年前のことであるが、前川喜平・元文科事務次官と話す機会があり、小学校教育で国語の授業に「読み方」に「綴り方」を加えて教えてはどうかとアドバイスしたことがあったが、まったく興味がなさそうだった。しっかりした文章を書ける小学生が見られるのは、あまり期待出来ないようだ。

2021年9月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5248.2021年9月24日(金) 5.15事件で倒れた犬養毅の言行

 一昨日夜NHK・BS3で「昭和の選択―犬養毅・軍と闘った憲政の神様」の再放送を観た。犬養は慶應義塾の出身であるが、巷の慶應ボーイのイメージとはやや異なる力強い正義感と信念の下に、昭和の初めの藩閥政府と軍部に抵抗し、政治に民主と自由を求めて闘った。残念ながら道半ばにして凶弾に倒れた尊敬する大先輩である。テレビで知らないことも随分知らされた。一旦は政界を引退し、八ガ岳山麓に別荘を買い求めて地元住民と気軽に交流していたが、時代の要請と政友会から強い要望があり政界へ復帰することになった。それが、犬養の運命を左右することになった。

 特に興味を惹かれたのは、慶應に入学して福沢諭吉に会って福沢の考えに感銘を受け、三田の慶應キャンパス内にある演説館で模擬国会演説会を行っていたということだった。重要文化財の演説館については、在学中あまり見学する機会はなかったが、1度だけ当時日本興業銀行調査部次長だった遠縁の藤田某が、慶應から招かれて講演を行ったので、その折に聴講し、見学したことがある。演説館内部はあまり広くはないが、当時の議会を彷彿させる構造と言われて、中々由緒のある魅力的な建築物である。

 何事にも信念を貫いた犬養は、現職首相のまま首相官邸に乗り込んだ海軍青年将校によって殺害された。その直前「話せばわかる」と今でも名言とされる言葉で、青年らを説得しようとしたが、彼らは犬養の言葉に聞く耳を持たなかった。これが5.15事件となり、日本史上クーデターとして今もなお宰相が生命の瀬戸際にありながら、説得力ある言葉として伝えられている。

 犬養ほどの強い信念を貫いた首相は、他に見当たらないのではないだろうか。安倍前首相や菅首相は、この犬養の爪の垢を煎じて飲んでみてはどうか。

 さて、今朝も妻が入院先からメールを送ってきた。入院以来ほとんど絶食状態だったらしいが、今日はランチに流動食が出て漸くお腹が満たされたという。相変わらず抗生剤の点滴を受けているが、幸いにも虫垂炎の炎症は和らいでいるようだ。漸く手術することに決まったらしい。出来るなら早く手術を済ませて退院して欲しいと願っている。明日も私物を届ける予定であるが、入院先の東京医療センターが近くにあり歩いても15分程度で行けるので、その点は大分助かる。

2021年9月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5247.2021年9月23日(木) ブラジルに奈良の大仏より大きい大仏が・・・。

 今日はお彼岸のお中日であるが、お墓参りには行けない。もう2年ほどお墓参りを失礼して、両親や先祖さんから冷たいと思われているかも知れない。ここは新型コロナウィルスに免じてお許しいただきたい。

 わが家のお墓は中野の真言宗・宝仙寺にある。ふとしたことから宗派は異なるが、ブラジルに大きな大仏が建立されていたことを昨日知った。日本でも話題になりそうな大仏だが、この情報は共同通信によって伝えられたが、これまでその存在はメディアで報道されたことはなかったのではないだろうか。

 ところが、昨夜共同通信で伝えられてから、ネットで九州の複数の新聞を主に報道されるようになった。何といっても驚くのは、大仏像の巨大さである。日本人僧侶らの支援で、エスピリトサント州イビラスの丘にある曹洞宗「白雲山禅光寺」の敷地内に建設され「イビラス大仏」と名付けられている。エスピリトサント州と言ってもほとんどの人が知らないような州で、リオ近くのブラジル南東部の大西洋岸に面した小さな州である。大仏は鉄筋コンクリート製で重さ350トンである。高さは台座を含む全長が約13mの鎌倉の大仏や、約18mの奈良・東大寺の大仏よりも大きく、高さは35mでリオのキリスト像30mより高い。コルコバードへケーブルカーで登った時、目の前のキリスト像のあまりの大きさに驚き、眼下のコパカバーナ海岸の絶景にも見とれたものである。

 さて、昨日フランス政府がオーストラリアの潜水艦建造契約の破棄に憤っていると取り上げたが、その様子がそのまま昨日開会した国連総会に表れたようだ。バイデン大統領の演説時に、4人まで座れる代表団席にフランス代表団は1人しか会場に姿を見せず、いわゆる「ふて寝外交」で、不満をアピールしたという。潜水艦の性能が、フランス製よりアメリカ製の方が遥かに勝れ、オーストラリアの要望に適っているようだが、フランスに言わせれば、契約の問題ではなく信頼関係の問題と言い、インド太平洋地域のパートナーに選ばれなかった不名誉に対する不信感も露わにしたのだ。

 国際問題では、もうひとつ難しい問題が浮上してきた。2016年に発足した環太平洋パートナーシップ(TPP)は、翌年アメリカが離脱した。これを一部変更して18年に発効した。TPPは日本とアメリカが進めた対中国経済包囲網だったが、そのアメリカがトランプ前大統領の一存で身勝手に離脱して、日本はアメリカが復帰するのをひたすら待望していた矢先に、先週中国がTPPへの加盟を申請してきた。そして昨日になって台湾も加盟を申請した。中国は台湾のTPP加盟は絶対容認出来ないと喚いているが、ここへ来て今年のTPP議長国日本の立場も難しくなってきた。さあ!どうする?

 こちらから「君子危うきに近寄らず」でいても、「火中の栗を拾う」立場に追い詰められた日本は、この難局をどう切り抜けるのか。

2021年9月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5246.2021年9月22日(水) 世界的株価下落と悪化する仏の対米英豪観

 昨日ニューヨーク株式市場のダウ平均株価が大きく値を下げたが、東京証券市場も日経平均株価が対先週660円も値下がりした。つい先日31年ぶりの株価高騰と大騒ぎされたが、それも徒花だった。その原因は中国の不動産大手・恒大集団の経営危機の不安から同社の株が買い叩かれ、それが世界市場へ広がって行ったようだ。

 中国第2の不動産会社・恒大集団はバブルを背景に銀行からの融資を受けてこれまで強気の投資を続け、有利子負債は10兆円近い。だが、住宅価格の高騰を抑止したい習近平指導部が、不動産会社の資産に対する負債比率を抑える規定を導入したことによって、同社でも借り入れが難しくなり資金繰りに窮する事態になった。中国では土地は基本的に国有のため、企業や個人は名義上所有出来ず、国から期限付きでその土地の使用権を買うことになる。従って恒大のマンションを購入しても土地は国のものであり、仮に恒大が破産しても所有者から土地を取り上げられるようなことはない。それでも疑問点は数多い。現状では恒大の債務不履行の可能性は不透明だが、世界経済への不安を大きく煽ったことは間違いない。

 一方で、中国を強大な競争相手国と見ているアメリカのバイデン大統領は、昨日国連総会で就任後初めて演説を行った。トランプ前大統領のアメリカ・ファーストや、パリ協定からの離脱、イスラエルの首都エルサレム承認など同盟国にも配慮することなく事を進める言動に比べて、バイデン氏はリベラルであり、同盟国重視を看板にしてきたが、このところ信頼感を失うような行動が目立っている。それはアフガニスタン撤退で大きく狂い始め、アメリカの威信も大きく低下した。国連のスピーチでもバイデン氏は20年間に亘るアフガンでの戦争を終結させたと強調したが、平和裏にアフガンを民主主義国家として成立させたわけではない。難しい問題を置き去りにして、過激なイスラム主義組織のタリバンに政権を明け渡して戦乱の地から逃げ出したと言った方が当たっているだろう。撤退後も無人機により誤爆をして罪もない多数のアフガン市民を殺害した無責任、非人道的後始末である。

 もうひとつ、先進国同士の同盟関係に不信感を増え付けるような出来事があった。それは、アメリカ、イギリス、オーストラリアによる新たな安全保障協力枠組み「AUKUS」で、フランスがオーストラリアと結んでいた潜水艦建造契約が破棄されたとして、フランス政府は米豪に対して憤慨し、説明を求めたことである。成約していた協約書は、実に7.2兆円の巨額というからフランスとしてはとても見過ごすわけには行くまい。国家間の契約をこれほど粗雑に、かつ不誠実に約束を不履行したことに対して、フランスはウソや偽善があったと憤り、両国駐在大使を直ちに本国へ召還した。こんなことは初めてである。近々マクロン大統領とバイデン大統領が電話で会談することになったが、落としどころはどうするのだろう。ことはそう簡単には収まらないだろう。トランプ前大統領に比較してよほどインテリジェンスが感じられるとみてバイデン氏には大きな期待を寄せていたが、現実を見誤りそうな様子では考え直さなければならないだろう。

 さて、昨日緊急入院した妻に薬や衣類を届けに出かけた。昨日別れてから採血をして抗生剤の点滴をしたようだ。今日も抗生剤点滴を行うようだが、まだ、手術をするかどうかは分からない。

2021年9月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5245.2021年9月21日(火) 妻が虫垂炎で緊急入院

 今夕空には雲がかかり今年は中秋の名月が見られないと諦めていたところ、次第に雲が消え7時過ぎにはまん丸い十五夜の月が顔を出した。一茶の句に「名月や 仏のやうに 膝をくみ」と言う名句があるが、今晩の月は仏のようにどっしり構えていた。

 昨朝から妻が下腹部に痛みを感じて、夜中に食べ物をもどしたと言って1日中お腹をさすりながら横になっていた。生憎昨日は連休でかかりつけの森内科医院も休んでいたので、今朝になって取り急ぎ森医院で診てもらったところ、盲腸炎の恐れがあるので東京医療センターのような大きな病院で精密検査をしてもらった方が良いとアドバイスをいただき、紹介状を書いていただき、そのまま東京医療センターへ向かった。昼頃妻から電話で手術の可能性があるので、家族として傍に待機するよう病院から要望されたと話があった。急いで東京医療センターへ向かい、MRI,IT,X線検査に立ち会い、結果的に外科医師から虫垂炎と診断された。ところが、虫垂周辺に患部が大分拡がっているので、直ぐ手術と言うわけには行かず、しばらく様子を診て、それによって手術をすると言われた。幸い病室に空きがあったので、急遽1週間ばかり入院することになった。思いがけない事態になり、慌ただしい1日となってしまった。コロナ禍の折センターでも感染に神経を使い、入院したら病室で面会出来ない。届け物もナース・センターに預けて手渡してもらうというシステムになっている。妻が入院した以上、普段家事、料理などは一切妻に任せているので、向う1週間は食事面で厳しい日々となるのではないだろうかと覚悟している。

 さて、アフガニスタンのタリバン暫定政権が、厳しい民主化抑制策を打ち出しているが、過日設置した「勧善懲悪省」が世界中で話題になっている。他のイスラム国の中でも、イラン、サウジアラビア、インドネシア・アチェ州に同名の官庁があるようだ。アフガンでも最近まで女性が働くことは僅かながら許されていたが、今では職場から追放され、男女共学の大学では男女学生の間にカーテンで仕切って男女が同室にいないような措置を取っているようだ。財政的に余裕のある人々は、何とかして母国アフガンから海外へ逃げ出そうとしている。

 ついては、最近こんな珍しい情報をネッ上に見つけた。モバイルで国際送金サービスを行っているレミトリー社という通信社が、今難民として移民したいと考えられる10か国をリストアップしていた。アジアでは日本以外には、タリバンの脱走ルートの入口になったカタールだけである。

1.カナダ、2.日本、3.スペイン、4.ドイツ、5.カタール、6.オーストラリア、7.スイス、8.ポルトガル、9.アメリカ、10.イギリス

 が、移民希望国順位である。どういうわけか、日本が評価されたのは、日本人の優しさと治安の良さが認められたのであろう。

 我々日本人は、日本の良さ、メリットにあまり気がついていないようだが、世界の人びとは日本人が考える以上に日本生活上のメリットを評価しているのである。日本人は、1度は外から日本を見てみる必要があるのではないかと思う。怪我の功名だろうか、タリバンのお蔭で、意外な事実を知ったことになる。

2021年9月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5244.2021年9月20日(月) 敬老の日、高齢化社会をどう生きるか。

 3日後の木曜日は秋分の日になるが、今日「敬老の日」はそのお彼岸の入りに当たる。昔から「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、そろそろ暑さともお別れである。今日は3連休の最後でもあり、旅行に対する自粛が求められている中で、テレビで観ると各地の行楽地へ出かけた帰りの車で高速道は大分渋滞していたようだ。東名高速の上り線では、一時59㎞の渋滞があった。

 私も「敬老の日」の恩恵に与る後期高齢者の端くれであるが、65歳以上の人口が総人口に占める割合(高齢化率)は、29.1%で過去最高となった。この高齢化率は世界でも最高で、2位のイタリア23.6%、3位のポルトガル23.1%を大きく引き離している。

 高齢者の就業率も毎年上昇して25%を超えたというから、4人の高齢者の内ひとりは働いている勘定になる。昔の会社員は概ね55歳が定年だったし、童謡の「船頭さん」にも♪村のわたしのせんどうさんは、ことし六十のおじいさん~♪と歌われているように、かつては50歳を超えると老齢と見られがちだった。母が50歳を過ぎたころに、50歳の女性が事件を起こして新聞に「50歳の老婆、逮捕」と載り、それを読んだ母が愕然としていたことを思い出す。

 それにつけても今日本は高齢化社会の真っ只中にいるということになる。この傾向は年々高まり、1971~74年生まれの第2次ベビーブーム世代が65歳以上となる2040年には、35.3%となる。この高齢化社会をどう生き抜いていくことが出来るか、高齢者のみならず若者1人ひとりにも問われているとも言える。

 さて、自民党総裁選立候補者4人が実行したいと考えている政策をそれぞれ語っているが、誰も政策実行に伴う経費の出どころと根拠についてはほとんど触れない。そこへ今朝の朝日の社説では、「自民党総裁選 財源論議から逃げるな」と当然の指摘を受けた。4氏が自らの政策に必要な財源の確保策をほとんど語っていないことが問題だとしている。新型コロナウィルス対策の費用を当面借金で賄うのはやむを得ないが、コロナ後も続けられる政策には当然、財源とセットで議論すべきだと指摘している。先進国で最大とされる借金国の日本が、漫然と借金を重ねるのは、次世代に対して無責任過ぎるとも警告している。

 その中で高市早苗・前総務相は、安倍前首相の支持を得ているせいもあり、「アベノミクス」を発展させるとの立場から「サナエノミクス」と名付け、災害対策などの国土強靭化に10年間で100兆円規模の投資を主張しているが、その財源の裏付けについてはまったく説明がない。何事もことを成すからには、きちんとその裏付けとして財政面で後々償えない問題が発生しないよう予め手を尽くしておくべきであると思う。

2021年9月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5243.2021年9月19日(日) 出版流通業界に新たな動き

 今朝の朝日を読んで出版界の流通機構に最近思いがけない変動が起きていることを改めて知った。すでに「選択」8月号には大手出版社の小学館、講談社、集英社が、大手商社・丸紅と出版流通の新会社を設立するとの話題が報じられて関心を持っていた。朝日に依れば、講談社がネット通販のアマゾンと問屋を通さず、直接取引を始めたとある。結局、これまでは[出版社⇒取次業社(問屋)⇒書店]のルートを経て読者の手へ届けられた書籍類が、中間の問屋を除くことになったというわけだ。長年に亘ってこの流れが守られてきた出版業界にとっては、無視出来ない事態であるが、デジタル時代に入ってITが従来の古い流通ルートの整備をしたというところなのかも知れない。これまで出版業界の2大取次会社だった日本出版販売(日販)とトーハンにとっては、少々危機感が薄かったかも分からないが、放っておくわけには行くまい。ここへ来て取次業者2社も出版業界のリーダーたる講談社が直接書店と取引することを深刻に受け止めているようだ。

 今後もアマゾンが積極的に関与して直接出版社から書籍を仕入れ、ネットで直販したらかかる費用が軽減される。ただ、資本力で劣る街の書店が大手出版社並みに仕入れることは難くなり、この傾向が出版業界にとって全面的にプラスということにはならないと思う。

 若者の読書離れもあって、近年書籍販売は漸減傾向にある。昨年の書籍・雑誌の販売は、約1兆2千億円でピーク時の半分以下だというから、ちょっと寂しい。これもIT化が進み、スマホなどを容易に操れるようになったせいで若者が読書よりスマホに熱中するようになり、本を読まず、ペンで文章を書く機会が少なくなり、これが現代人の読書量を低下させ、文章力を劣化させた原因ではないかと思っている。

 さて、昨日は柳条湖事件が勃発して、満州事変へ突き進み日中戦争に突入してから90年目の忘れてはならない1日となった。その爆発現場近くでその騒乱の様子を見た福岡市内に住む101歳の元ジャーナリストが、後世のために事実を話したいと当時の様子を証言した。

 1931年、この方が当時満鉄奉天(現瀋陽)駅近くに住んでいた11歳の秋の夜に、父親から列車に何か起こるかも知れないと叩き起こされた直後に、窓が真っ赤に染まり、間もなく大音響で家が揺れた。更に砲弾の音や、着弾による地響きが続いた。父親が事前になぜ何かが起きると知っていたのか。後日日本側の砲撃で壊滅した現場に行くと、格納庫に巨大な旅客機や爆撃機が放置されていた。この爆破事件を中国側が実行したなら、日本軍の攻撃を予期して飛行機を放置しておく筈がないと、少年は事件は日本側の仕業ではないかと疑ったという。当時はこの目撃談を自由に語れない空気があったが、人生の最後が近づいて来たことから、事実を伝えたいと心境を明かされた。

 この方ばかりではなく、同じように当時の日本は、敵国を陥れるため随分無茶で不条理なウソをでっち上げて、敵国民のみならず、日本国民をも騙し苦悩させたことだろう。

 他にもたくさんあったであろう偽りの話が、明かされないまま消えてしまうことに何ともやり切れない思いである。

2021年9月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5242.2021年9月18日(土) 財政支出削減に熱がない総裁候補者

 台風14号が昨日福岡県へ初めて上陸し、今日は瀬戸内から東海方面を通過して、明日には温帯低気圧になって関東にやってくる。今日は朝から小雨が降ったり止んだりでその隙間にウォーキングをしようと外へ出たら、ポツンと降って来たので止めた。

 さて、昨日自民党総裁選への立候補者が4人と決まり、早速昨晩から今日にかけて4人揃ってテレビ討論会を始めた。4人ともそれぞれの考えを公に発表しているが、コロナ禍の折気に留めて欲しい財政支出の抑制、及び赤字財政の減額について、誰も意見を述べなかったことが大変気になった。彼らが地味で目立たず、さりとて後顧に憂いを残しかねない負の遺産の積み残しには、関心がないということだろうか。

 特に、気になるのは、戦争体験のない戦後派4人が揃いも揃って防衛問題にやや前のめりなことである。とりわけ高市早苗・前総務相は、安倍前首相の後押しもあり、安倍氏の積極的な防衛、靖国神社参拝などを引き継ぐなどとして右翼的発言が目立つ。日本を守る責任と称して、中国の脅威を念頭に安全保障に力を入れ、国内総生産(GDP)の1%以内と抑えられている防衛費を2%、10兆円規模に増額し、憲法第9条の改正を考えていることが特に気がかりである。偶然にも今日は柳条湖事件をきっかけに満州事変が勃発した日である。その後中国戦線へエスカレもう90年になる。

 どうして防衛問題にこれほど熱中するのか。他国のことであるが、フィリピンでは米軍基地を閉鎖して今月で30年になる。戦後長らくクラーク空軍基地とスービック海軍基地をアメリカに提供していたフィリピンが、一時的に3万5千人もの基地労働者の職場を失っても基地返還を望んだのは、基地に潜む問題点を取り除きたかったからである。駐留米軍の引き起こす問題があまりにも多いからである。それは沖縄でも同様である。基地返還の結果、基地跡地にクルーズ船などが停泊し、若者たちが集うようになり、周辺は賑わい、今では12万6千人の雇用が創出された。

 ところが日本の米軍基地では、最近沖縄で発がん性が疑われる有機フッ素化合物(PFOS)を含む水が普天間飛行場から下水に放出されるような事件が起きたが、米軍に甘い防衛省は、飛行場内に残っている未処理の排水を引き取って処分すると言い、処分にかかる費用約9千2百万円は日本が負担するという。こんな理不尽なことがあるだろうか。これはほんのひとつの例に過ぎないが、米軍が沖縄に駐留することによって日本側に莫大な費用がかかっている。加えてアメリカ政府は、日本にこれまで思いやり予算と称した駐留経費の一部を負担させてきたが、これを更に増額させようと考えている。

 安倍路線を継承する高市氏では、恐らく日米地位協定について譲歩するだろう。防衛費を増やし、国家の借金を更に増やすことになる。他の3人が世襲議員であるのに引き比べて、松下政経塾を足場に自らの存在を築いてきた努力は評価するが、こういう右翼的政治家が進出してきた背景には、自民党内の事なかれ主義が影響しているだろうが、国民としては最も警戒しなければならない問題である。

 昨晩高校時代の友人が、この総裁選の内情について電話で貴重な意見を話してくれたが、先日菱山郁朗・元日本テレビ政治部長がメールで伝えてくれたように、今までの総裁選より遥かに興味深いものになりそうだ。

2021年9月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5241.2021年9月17日(金) いよいよ自民党次期総裁選始まる。

 昨日で菅義偉氏が首相に就任してちょうど1年が経った。その首相も残りあと2週間足らずで首相の職を辞することになる。外国では在任期間が決められている首脳が多いが、イギリスと同じように議院内閣制を採る日本の議会制度では、政治状況によって短期間で首相を去るケースが度々ある。長期政権を続けた安倍前首相以前は、外国からも目まぐるしく変わる日本の首相を揶揄する声がこれまでもしばしば聞かれたものだ。菅首相の後を継ぐ、第100代総理大臣には、誰が就任することになるだろうか。今日正式に総裁選立候補者の受付が始められ、4人が届け出た。

 それにしても菅首相の退任表明は唐突で、コロナ対策と並行して大任は果たせないので首相を辞めるというその選択は、理由が分かり難く、また無責任だったと思う。首相は直前まで、総裁選に出馬すると何度も語っていたにも拘わらず、突然前言を翻し出馬しないと公言した。外からは伺い知れない事情があったとは思うが、最大の原因は党内実力者の二階幹事長との確執で意見が食い違ったことと、党内事情があったと思われる。

 菅首相は、安倍政権が残した負の遺産への再調査を行わず、舞台から逃げ去ったと言っても好い。これから菅政権の業績については検証が行われるだろうが、首相という最も責任の重い立場にいながら国民との話し合いを避けていたことが、国民から厳しく非難された最大の原因である。

 それは、このところ野党の要求がありながら国会を開会しないことでも明確である。コロナ対策でも話し合うべき国会を休会にしたまま、4分の1以上の議員から開会要求が提出されても開会しないのは、憲法第53条に違反する行為ではないか。記者会見でも言い分だけを喋り、質問にはまともに応えようとせず、論点を逸らせたり、一方的に打ち切っていることである。公式記者会見においても出席者を指名して、厳しい質問で毎度窮地に追い込められた、中日新聞の望月衣塑子記者を排除したことでも分る。

 過去最長の幹事長在職5年余の二階俊博氏が、自民党内で若手を中心に不満の声が出ていたのを受けて、首相は二階氏を幹事長から外すことを本人に伝え、一応承諾を得たと伝えられた。しかし、二階幹事長は安定した自民党を確立し一強多弱にしたとの自負を抱いており、自ら幹事長職を辞める気持ちはなく、反って首相に対する反感、不満を別の形で表したのではないかと考える。

 いろいろ風評はあるが、これから29日の投票まで駆け引きが繰り返されるだろう。すべてとは言わないが、新総理総裁に選ばれた以上、少しでも納得出来る政策を実行して欲しいものである。

2021年9月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

5240.2021年9月16日(木) 自民党総裁選挙の立候補者は4人

 昨日自民党総裁選への立候補を取りやめた石破茂・元幹事長は、先に立候補を表明した3人の内、河野太郎・行政改革相を支持すると語った。一方、20人の推薦人を集めた野田聖子・幹事長代行が、明日告示の瀬戸際になって今日夕刻漸く立候補を表明した。石破氏が総裁選出馬をぎりぎりまで思慮した末に決断したのには、石破流の読みと決断があったのだろうが、どうも煮え切らないし、河野氏を支持するというのもすっきりしない。これまで過去4回も総裁選に出馬して、最も善戦した候補者である。それが今回に限って決断を伸ばしに伸ばした末に、不出馬の結論を出したのは、派閥の意見がまとまらなかったからではないかと推測する。

 岸田文雄・前政調会長、高市早苗・前総務相、河野氏ら3人の立候補者は、連日各メディアを回って売り込みに懸命であるが、明日からは野田氏もメディアに顔を出すことだろう。4人の考えには基本的にそれほど大きな差はない。経済、外交政策においてさして違いがないとすれば、彼らから知りたいのは、防衛政策と原発問題、それに安倍、菅政権が残した森友・加計問題と「桜を見る会」問題、公文書改ざん問題の追及を本音としてどう考えているかという点である。

 党内で影響力を持つ安倍前首相への配慮から、森友・加計、及び桜問題や公文書問題については4人とも完全に腰が引けている。最も党内をピリピリさせたのは、これまで「脱原発」を吹聴していた河野氏で、改めてこの点を問われると綺麗ごとのように「現実的なエネルギー政策」と言葉をすり替えて、既存の原発の再稼働は当面容認するとして、党内原発推進派に配慮したことである。これは一種の裏切りであるし、自らの信念に悖ることはないのだろうか。当然原発推進派は反発している。

 岸田氏は核燃料サイクルを維持する考えであり、高市氏は原子力の平和利用は必要と訴えている。本音はともかく、好いとこ取りの河野氏にとって総裁最有力候補者となった今では、首尾一貫した政策と哲学を打ち出すべき時であると思う。

 朝日新聞の直近の世論調査によると次の首相に「安倍、菅両氏の路線を引き継ぐ方がよい」が、28%だったのに対して、「引き継がない方がよい」が、58%だった。ということは、問題の解明を進めるべきで、脱原発にも道筋を示すべきである。この他にも靖国参拝や、自衛隊の抑止力整備など数々の問題が俎上に上っている。4人がしっかりとした考えの下に日本の総理、総裁として必要な政策をきちんと打ち出すことが出来るかどうかが問われていると言ってよい。

2021年9月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com