昨日の日経新聞朝刊に日本共産党の不破哲三・前議長へのインタビュー記事が、9段扱いで大きく掲載されていた。私利私欲ばかりむき出して、実績を何ら残せない多くの未熟な国会議員が数多くいる中で不破氏は職務を全うし、国会議員の中でも格段の影響力を与え、その存在感は大きかった。34年間衆議院議員として活動し、共産党を牽引しつつ2003年に政界から引退した。その間党委員長も歴任した。87歳の今なお党の理論的支柱としてその影響力は強い。
かつての共産党は孤高の存在と言ってもよく、四角四面の正論と社会主義テーゼを主張するばかりで現実的な対応に疎くて、大衆とはややかけ離れた路線を歩んでいた感があった。近年民進党が野党連合の選挙協力を取りまとめ、これに図らずも共産党が合意したことは、昔の共産党を考えると昔日の感を憶える。自らの主義主張を貫くことに些かの揺らぎもなかった共産党が現実路線へ一歩踏み出したことは、共産党のそれまでの行動が頑なだっただけに、やや意外な感がしたものである。だが、共産党は変質したり、堕落したわけではなく、現在の安倍体制を倒すためのひとつの現実的な手段として、ひとまず妥協的な方策を取ったものと考えている。
実際党の綱領では、過去においては民主的な国造りのため民主主義革命を実現し、次いで段階的に社会主義革命に進むとしていたが、2004年に天皇制と自衛隊を容認する綱領改定によって柔軟性を示した。共産党は自らは今もその社会主義革命を目指す途上にいながらも、社会主義国に到達した国はひとつもないと見ているようだ。不破氏は旧ソ連も、中国もベトナムも社会主義国を達成し得ていないと見ている。
しかしながらそれではキューバについてはどうお考えになるのかと不破氏に尋ねてみたい。失礼ながら、不破氏はキューバの実態をあまりよくご存じないのではないかと考えている。私の見るところ、今日のキューバは完全ではないにせよ、かなり理想的な社会主義国に近づいていると思う。大変僭越ではあるが、本HP論稿・エッセイ欄に記載した拙稿「いまキューバが熱い!」をご高覧いただければ、少しは理解のお役に立てるのではないかと愚考している。何より不破氏には一度キューバを訪れて、カストロやゲバラが成し遂げた革命の実態と、社会主義的な社会体制を現地でよくよくご覧になってキューバの現実を少しでも知っていただきたいと思う。
不破氏は、かつて関係が断絶した中国共産党についても厳しい見方をしている。かつて中国共産党は日本をソ連修正主義と同列と決めつけたことがある。それに対して不破氏はその後社会主義を標榜する中国は、中国覇権主義と大国意識に憑りつかれているとして、再三中国に忠告したという。それはその通りだと思う。残念ながら中国は理想とする社会主義国家への道から大きく外れて、今や資本主義的疑似社会主義帝国、そして帝国主義国家への道を一歩一歩歩んでいるように思う。キューバとは乖離する一方である。
不破氏、及び日本共産党は大国であろうと毅然として言うべきは言うというあるべき姿勢を貫いている。日本共産党と党員は理想に沿った言動を忠実に行っており、更に不破氏の主張を伺っていると、やはり現時点では最も信頼できる政党は日本共産党ということに落ち着きそうである。