3755.2017年8月24日(木) 椎名誠著「家族のあしあと」を読んで

 椎名誠の「家族のあしあと」(集英社刊)を読んだ。椎名は幕張小時代のクラスメートの実弟である。6歳年長の兄研二くんは数年前に亡くなったが、彼とは5年生時に同クラスに相前後して転入した。彼は千葉市郊外の酒々井小から、私は同じ千葉県房州の勝山小から転校生同士として直ぐ親しい友だちになった。一緒に後楽園に巨人戦を観に行ったこともあるほど、お互いに野球好きだった。彼の家に何度も遊びに行ったので、弟である誠にも会っている筈だ。彼に弟がいたことは何となく覚えている。漠然とではあるが、家庭の雰囲気や周辺の環境も覚えている。

 椎名誠は最近ペンクラブの会合に姿を見せないので、話すことはなくなったが、私の処女作品「現代海外武者修行のすすめ」について、

 「さっそく読みました。いやはや面白い!!ものすごい冒険家ですね。映画を見ているようですっかり没入しました。いまの日本の若者すべてに読ませたいと思いました。私もハップンしています」と随分好意的な感想を送ってくれたこともある。

 事務所を移転してから連絡を取り合うことはなくなったが、お互いの故郷である幕張が懐かしく思えて、私は毎年開かれる幕張小のクラス会には必ず参加するようにしている。

 椎名誠は幕張に随分拘りと関心を持って多くの書物に幕張について書いている。最初に「犬の系譜」に書かれた情景描写に興味を惹かれ、その後「岳物語」を通読し、先月上記「家族のあしあと」が発刊され、懐かしい幕張描写が今度はどのように描かれているか興味を抱いて手に取ってみた。

 あちらこちらに「幕張」のシーンが現れる。ただ、どうしても分からないのは、彼の自宅の所在地が、私の理解とは方角違いであることだ。当時の椎名家は、千葉郡幕張町(その後千葉市に編入された)の北西部で国電の北側にあったと記憶しているが、椎名誠の著作では東部の花見川に近い場所のようなイメージなので、本書に従って外出した気分になると方向を見失ってしまう。

 椎名誠の作品で最も面白かったのは「さらば国分寺書店のオババ」と「哀愁の町に霧が降るのだ」(上)(下)だったが、ここにも兄研二が電車内で酔っ払って喧嘩するシーンが書かれている。その兄は酒の飲み過ぎで亡くなったので悔いはないと思うと諦めたようなことを言っていた。

 幕張小卒業後、兄研二くんとは進学した中学が分かれたので、その後はクラス会以外で彼と会うことはなくなってしまった。残念ながら椎名研二くんが彼岸へ旅立ったので、彼と幕張について話すことはなくなった。小学校時代は、子どもがあまり勉強をしない時代だったので、彼とも放課後暗くなるまで遊びまわっていたことをノスタルジックに思い出す。その点では、「家族のあしあと」は、野球をやったり、アサリを取ったり、遊び回った砂浜の埋立地のことなどもよく描かれている。懐古的にあのころはのびのびした佳き時代だったのだと思う。

 さて、またかと思うほど名代の嘘つき代議士が恥ずかしげもなく自らの主張を翻した。来月1日に行われる民進党代表選に立候補している前原誠司元外相が、ここへ来て従来の主張とは反対の主張をしたのである。これまでにも鉄面皮前原氏の裏切り行為については厳しい見方を取ってきたが、この期に及んでまたかという不信感が拭えない。

 彼は、これまで集団的自衛権行使を認めた安全保障関連法を容認していたが、今後は廃止を求めていくとこれまでの発言を翻したのだ。これに対して前原氏を支援するグループはどう思うのか。これで安保法については当初から反対していた枝野元官房長官と同じ立場を取ることになった。こんなのありかというのが、普通の人の感じではないだろうか。ひどい代表選になりそうだ。

2017年8月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com