今や昔日の面影がなくなった民進党の党代表選挙が9月1日に行われる。その日は選りによって台風が襲来する「二百十日」に当たる。代表選も台風並みの波乱含みだろう。蓮舫代表がすっきりしない能書きを述べて無責任にも辞任を表明した後を引き継ぐ跡目争いである。
告示に際して立候補したのは、予想通り前原誠司・元外相と枝野幸男・元官房長官である。前原氏の人間性、行動など無責任な政治責任については、言いたいことが山ほどある。人間的にまったく信用出来ない。まず朝鮮国籍の女性から資金提供を受けたという選挙違反の前科があることと、2009年民主党政権成立に伴って国土交通相に就任した時、選挙公約で約束したとして自民党が建設を決めた八ッ場ダムに反対を唱えたが、大臣を辞めるやダム建設の動きが再燃しても一向に取り合おうとしなかった不誠実な態度、そして観光庁長官に同級生を任命したことなど公私混同も甚だしかった。いくら表面的に納得させるようなことを言っても人間的にとても信用出来ない。こういう人物が野党第1党の代表選に立候補しようとしているのだから、今以って民進党の浄化作用は信用出来るものではない。
前原、枝野両氏の主張は大分隔たりがある。野党共闘、原発、憲法改正などでは意見が対立しているようだ。どちらが代表になるにせよ、その後の民進党の歩む道は党内分裂の危機を孕んでいて険しい。自民党が地盤沈下している時でもあり、民進党にとっては盛り返す絶好の機会であるが、以前のようなフレッシュさと実行力が感じられない。これではまだ当分の間自民党をのさばらせることになるようだ。偶々世論調査を見ていて自民党が支持率を回復したことが書かれていた。現状は確かに自民党に大きなミステークがなければ、自民党には順風が吹いているようだ。いつになったら真剣に国民のことを考えてくれる政治家、政党が現れるのだろうか。前途は明るくない。
さて、今日の朝日夕刊に5段に亘って母校湘南高校の昭和24年甲子園初優勝に因んだ記事が掲載されていた。
「虚子から球児へ短冊がつなぐ縁」、「31回大会Vの湘南 プラカード係の女性と交流」との見出しの下に当時鎌倉市内に住んでいた俳人高浜虚子が、湘南の優勝を殊の外喜ばれお祝いに野球部の田中孝一主将に句を詠んで贈ったことに纏わるエピソードを採り上げている。その後湘南のプラカードを掲げて行進された女性と湘南との交流が続けられ、今甲子園で開催中の高校野球大会の間開かれている「高校野球特別展」でエピソードが復活したことを紹介している。
実は偶然にもこの記事と同じストーリーを私も3年前に上梓した拙著「南太平洋の剛腕投手」に採り上げ書いている。執筆していた時、これほどまでに母校の優勝を地元の多くの人々が喜んでくれたことを感慨深く思ったものである。こういう形でパンチの効いたエピソードをさりげなく紹介していただいたことを改めて嬉しく、また有難く思っている。
その高浜虚子が贈ってくれた名句とは、「秋風や 最美の力 唯盡す」というものである。