今日スペイン・バルセロナ市内の繁華街ランブラス通りを1台の車が人込みの中へ突っ込み13人が亡くなった。ランブラス通りは中々洒落た通りで市内でも多くの観光客が立ち寄る場所でもある。その人の中へ車が飛び込むとは、嫌でも数日前の白人至上主義のデモ騒ぎがあったアメリカのシャーロッツビルや、ロンドン橋事件、ニースなどを想い出す。意外にもこれまでスペインではこの種のテロ騒ぎはなかった。これからヨーロッパではもっと広域的にテロを警戒しなければならなくなるのだろうか。このバルセロナ事件とイスラム国(IS)との関係はまだはっきりしないようだが、ISが力を失ったと言われていただけに、彼らが再び勢力を盛り返したとしたらまた厄介なことになる。テレビで映し出されるバルセロナ市内の街頭風景を観ていると大分前のこととは言え、そこここに馴染みのある風情を漂わせていて懐かしい。いつになったらこういう狂信的なテロがなくなるのだろうか。
さて、来月ポーランドを旅行するので、同国の最新情報があれば出来る限り目を通すようにしている。その中で少々気になったニュースがある。去る7日付朝日朝刊に同社ウィーン支局長のワルシャワ通信「東欧民主化 根拠なき陰謀論」という気になる記事を読んだからである。
同記事によれば、7月にアメリカのトランプ大統領がヨーロッパ初訪問の際、ノーベル平和賞受賞者でもあるポーランドのレフ・ワレサ元大統領がゲストとしてアメリカ側から紹介された時、テレビ放映でその様子を知ったワルシャワ市内には大ブーイングが起きたそうである。なぜだろうかというのが、率直な疑問である。ワレサ元議長と言えば、自主労組「連帯」のリーダーであり、東欧社会主義世界に風穴を開け、世界を震撼させた革命を指揮したポーランドの現代の英雄である。そのワレサ元議長の行動によってポーランド民主化の扉は開いた。そのワレサ元議長が、今では現政権から敵視されているというのだから、俄かには信じがたい。
1980年代社会主義政権と民主派の対話により体制転換を実現した。だが、ワレサ氏主導のリベラルな政権は、対立した民族主義的な勢力から「過去が清算されず、旧体制のエリートが生き残った」と疑われた。そこにはどうも陰謀論が見え隠れするようで、ポーランド国内にはワレサ氏は秘密警察の協力者だったとのスパイ説まで囁かれているというから恨みは根深い。真実はどこにあるのか、世界平和に貢献したと見做されたからこそノーベル平和賞を授与されたのではないか。ワレサ元議長の行動と実績はそんなに薄っぺらなものだったのだろうか。私情としてはあくまで噂であって欲しい。ポーランドへ行ったらガイドさんにその辺りの噂の真偽について尋ねてみたいと思っている。