キューバの英雄チェ・ゲバラ没後50年を記念して「写真家チェ・ゲバラが見た世界」という写真展が、9日から恵比寿ガーデンプレイスで開かれている。開催前夜の8日にプレ・ビューがあり、キューバ観光情報局の池上和徳氏よりお招きいただいていたが、急用で出られなくなってしまった。後で聞くとその場にはゲバラの子息でチェ・ゲバラ研究センター所長のカミーロ・ゲバラ氏も出席されたという。惜しいことに氏とお話する千載一遇のチャンスを逸してしまった。
写真展にはゲバラが撮影した写真が約240点展示されると聞いていたので、何とか見てみたいと思い、今日会場へ出かけた。確かにたくさんの写真が展示されていたが、あまりサイズが拡大された写真がないので、少々見にくかったというのが実感である。ゲバラは写真撮影に興味があり、趣味として撮影していたので、彼らしい興味に基づいて撮られた工場や遺跡、建設現場の写真などが随分多かった。革命後広島を訪れた時の写真もあるが、革命前に訪れたメキシコで撮った写真の中に、世界遺産チェチェン・イッツァや旧文部省教員海外視察団で近くを訪れたメキシコ市郊外のポポカペトロ山の風景が懐かしく感じられた。
今なおキューバ人の心に敬愛の念を呼び起こし、逝ってなお彼らから慕われるゲバラの存在感の強さに改めて敬服した次第である。
さて、このところアメリカと北朝鮮のお互いに相手国を罵る舌戦がヒートアップしていたが、金正恩委員長がしばらく愚かなアメリカの出方を見ると一歩退いた発言をしたことを受けて衝突のリスクはやや遠のいた。
ところが、アメリカ国内では別の問題が火花を散らしている。最近バージニア州シャーロッツビルで起きた衝突事件を巡って、人種差別を容認するかのようなトランプ大統領の発言が再び行われ、それをアメリカ軍幹部までが非難する異例の事態になっている。オバマ前大統領が非難し、同じ共和党のブッシュ親子元大統領も厳しい見方を示している。
このトランプ大統領の白人優位説的考え方では、どこまで行っても結局原点、つまり異民族排斥主義に立ち戻るように思う。他民族国家アメリカの矛盾が表面化し、白人至上主義に突き進むのか、或いは良識的に人種差別を容認しない平等の道を辿るのか、アメリカ国民の良識と将来像が見えて来る。ここはアメリカ国民の良識を期待したい。