今月4日からロンドンで開かれていた世界陸上選手権は今日閉会式を迎える。昨晩と今朝の2種目で銀メダル1つと銅メダル2つを獲得した。まず、今日早暁400mリレーで日本チームが3位に入り銅メダルを獲得した。今大会初のメダルである。昨年のリオ・オリンピックでも400mリレーで、堂々銀メダルを獲得して実力をつけてきたが、今大会は若干幸運も手伝った。
その幸運とは、優勝候補筆頭のジャマイカ・チームの途中棄権である。ジャマイカは4人のランナーが揃いも揃って100m9秒台である。しかもアンカーはこのレースを最後に陸上界から引退を宣言していたオリンピック100m3連覇の英雄ウサイン・ボルト選手である。だが、そのボルト選手がバトンを受けて走り出してまもなく脚に痙攣を感じたように走れなくなり、コース上に倒れ込んでしまった。ジャマイカは途中棄権とされ、4番手にいた日本チームは運良く3着でゴールへ駆け込んだ。リオ・オリンピックの銀メダルに続く栄誉である。
金メダルは地元イギリス、銀はアメリカが獲得したが、優勝を狙っていたであろうジャマイカにとっては不運だったという以外にない。同時に有終の美を飾ることが出来なかったボルト選手にとっても、不運に付きまとわれたロンドン大会だった。10年以上に亘って世界陸上界に君臨していたボルト選手は、今大会では100mで銀メダルに終わり、200mは不出場だったので結局金メダルを得ることなく、世界の陸上界から退場することになった。
もうひとつメダリストを生んだ競技は、男子50㎞競歩でリオ・オリンピック銅メダリストの荒井広宇選手が銀メダルを、小林快選手が銅メダルを獲得した他にも、もう1人の丸尾知司選手が5位に入賞した。
今回の2つの種目の3つのメダルはそれぞれ殊勲甲と言えよう。
それにしても日本はかつてのお家芸だった男女マラソンは惨敗したが、反面短距離と競歩が強くなったものである。400mリレーは、予選出場選手が2人も入れ替わる中で、決勝では日頃の実力を発揮してメダルを獲得出来たことは素晴らしい。また、競歩は近年急速に力をつけてきたが、これからもその活躍を期待したいものである。
今回の世界陸上は真夏の炎天下で行われ、暑さを避けるために夜間と明け方に開催の競技が多かったようだ。3年後の今ごろ開催される東京オリンピックの気温を考えるとぞっとする。すでに暑さ対策を検討しているようだが、高温に加えて湿度の高い日本の気象条件の中で、欲深いIOC(国際オリンピック委員会)は、何を考えているのか、FIFA(国際サッカー連盟)に横車を押されてよくもスポーツの祭典をこんな最悪の時期に行うものだと思う。