日本全国を暴れまわっている台風5号の影響で、1日延びた全国高校野球開会式が今日甲子園で行われた。その台風5号は日本近海に出没してから今日で18日目になり、遅いスピードでまだ北陸、東北周辺を彷徨っている有様である。
その開会式で意外にも私のよく知る人物が登場したのである。着任後まだ間もない林芳正・文部科学大臣に代わって開会メッセージを代読した、文部科学副大臣の水落敏栄・参議院議員がその人である。
水落さんとは20年近くに亘って、ともに旧厚生省援護局の太平洋戦争戦没者遺骨収集事業でマリアナ海域の収骨作業に関わった。その点では、毎年2月になると1ヶ月間サイパン島で寝食をともにした間柄だった。帰国すると箱根で慰労会をやったこともある。頼まれてサイパンから来日された高等弁務官ご夫妻を箱根へ案内したこともある。15年前父の葬儀の後兄弟親戚家族と箱根に泊まった翌朝、ばったり旅館内で出会ったこともある。いろいろ接点や交流があったが、とにかく水落さんは前向きで、業務に真摯で熱心な人で全国の遺族からの信頼も厚かった。新潟商高卒業後、民間会社に一旦勤めた後日本遺族会に奉職し、今では同会会長であり、参議院議員になられてからは主に文教族として日本の教育に積極的に提言しておられる。年齢的には、水落さんの方が4学年若いが、割合気持ちが通じる仲だったので、仕事以外でも何かと相談し合ったことが忘れられない。
その水落さんが高校野球の開会式で大勢の関係者、選手、観客を前にあの広い甲子園球場でスピーチをされるとは、40年前の遺骨収集当時を思うと感慨を憶える。それでも久しぶりにお元気そうな姿を拝見して安堵した。益々のご活躍を祈っている。
さて、今ロンドンでは世界陸上選手権が開催されている。去る5日男子100m決勝レースが行われ、オリンピック3連覇を成し遂げ今大会を最後に引退すると公言していた、世界記録保持者であるジャマイカのウサイン・ボルト選手が、アメリカのジャスティン・ガトリン選手に敗れた。3着のボルト選手までが9秒台のハイ・レベルのレースだったが、勝ったガトリン選手が敗れたボルト選手に頭を下げ敬意を示したところ、スタンドから一斉にブーイングを浴びた。ガトリンはこれまで何度競っても5歳若いボルトに勝てなかった。それが漸く念願がかなったのである。ガトリンが拍手喝采を受けても当然という場面で思いがけない事態が起きたのである。
実は、ガトリン選手にはドーピング違反の前科が2度もあった。中でも2006年から4年間資格停止処分も受けていた。それを乗り越えて世界最速ランナーになった精神力と走力を保持した努力には、誰しも脱帽するところである。それがこともあろうにスタンドからガトリンに対してバッシングがあったのは、イギリスが伝統的にドーピングに厳しい姿勢で臨んできたことが大きい。だが、罪は罪として、それを贖ったガトリン選手の努力を思えば、勝利を祝福しても良さそうなものであるが、ロンドン市民はマスコミも含めてドーピングには厳しかった。偶々ネットを覗いてみたら元陸上選手だったタレントの武井壮が、2度もルールを犯したガトリンに対してクソミソである。彼の言い分は、いくら資格停止処分をクリアしたにせよ、その間練習は出来るし、ドーピングによって強い身体を造り上げた点を批判している。確かに禁止された薬物を飲用したことは、許されることではないが、これを罰として受け止め立ち直った選手をいつまでも厳しく立ち向かうというのも気の毒な気がする。日本人としてはどう考えるか。
今大会にロシア選手団は出場していない。ウェイトリフティング選手らに国がらみのドーピング疑惑がかけられ、潔白が証明された選手以外のロシア全競技選手には国際大会出場資格が与えられていないからである。正々堂々戦うのがスポーツであると思われているが、その一方で何とか監視の目を掻い潜っても違反行為を犯して栄誉を得ようとする姑息な行為があるのも事実である。嘆かわしい。
安倍政権の森友問題、加計学園獣医学部新設問題で、安倍首相の行為に意図的な疑惑隠しがあったのではないかとの疑念がどうも消えない。安倍政権の対応が、ロンドン市民にはどう映ることだろうか、興味のあるところである。