今朝2時過ぎ懸案の安保関連法案が、参議院本会議で採決の結果可決成立した。夜中にも拘わらず国会議事堂周辺には、法案反対デモに参加した多くの人々が取り巻いていた。学生時代の60年安保改定法案の強行可決に次ぐ、近代日本にとって画期的で忌わしい法案強行採決である。あの当時の虚しかった気持ちを思うと何とも言いようがない。安保関連法案がこれほど多くの国民に反対され、多くの憲法学者から法案の違憲性を指摘されているにも拘わらず、敢えて政府与党は強引に法案を成立させた。戦後70年にわたって堅持されてきた自由主義、民主主義、立憲主義の崩壊である。何とも無力感を憶える。
日本ペンクラブも本日早速浅田次郎会長名で「安保関連法案の審議やり直しを求める」との声明を発表した。外国からも多くの反応のコメントが出されている。アメリカが歓迎のコメントを出すのは当然である。イギリスは今後日本は海外で戦闘行為が出来るとコメントした。フランスAFPが法案は日本の憲法に違反していることと、最高裁で違憲の判決が出される可能性があると報道しているのが目を引いた。その通り法律家らが本法案の違憲性について訴訟を起こすことを検討しているようだが、判例として具体的な事象がないと受理されることは難しいのではないかと懸念されている。
60年安保改定に関わった岸信介首相と、今朝安保関連法案成立を強行したその孫の安倍晋三首相が、日本の政治史上、憲政史上に拭い難い汚点を残したことは間違いない。それは明治維新の陰の立役者、吉田松陰や高杉晋作らを生んだ長州の地が、90~150年の時を経て、今度は稀代の好戦的ならず者を生みだし、図らずも日本を迷わせることになる。
昨日菱山郁朗・元日本テレビ政治部長から、「安倍政治の『独走政治』を許すもの」と題した論文を送っていただいた。現場で長年取材しておられただけに岸、佐藤、安倍家系のヒストリーと業績に切れ味鋭く迫って説得力がある。菱山氏も強行採決に憤慨しておられる。
ついては、夕刻わが家の郵便受けに一枚の手書きコピーのチラシが入っていた。よく見ると面白いことが書かれている。「新党結成」「自由公明党」と書かれ、幟の絵が描いてある。新党結成の主旨と党規約が書かれている。そこには、「我等この党旗の元に結集し、ひたすら弱者をいたぶり、強者におもね、日々たゆまず独断・専横政治に邁進するものとする・・・党規約:1.権力欲、2.権力指向、3.権力ぼけ、4.権力おぼれ、5.権力いちず」と書かれている。今日付きである。多分公明党の安保関連法案賛成に反対の創価学会員が、公明党を批判するドブ板作戦を皮肉たっぷりに展開したのではないだろうか。つい笑ってしまう。
企画者も住所も書かれていない。冷やかしに過ぎないと思うが、昨日の今日早くも巷に与党を揶揄する空砲が飛んでくるとは、よほど頭に来ている人がいるということではないだろうか。
これから安保関連法案成立によって、いろいろ問題が表面化するだろう。公明党も支持母体の創価学会会員の支持を得られなくなっては、今後党としての活動が難しくなるのではないか。