昨日からシルバーウィークとやらで5連休となり、予想通り交通機関はどこも大変混み合っているようだ。実際一昨日長男が出張帰りに泊まって昨日帰って行ったが、新幹線の予約が中々取れなかったとこぼしていたくらいだ。
昨日安保関連法案成立でもやもやし、先週は「平成27年9月関東・東北豪雨」で多くの被害に消沈し、加えてこの数日埼玉県熊谷市では短期間に6人を殺害した日系ペルー人殺人事件に愕然として、パッとしないニュースをいくつも聞かされすっきりしない中で、今日突如小躍りするような朗報が入ってきた。
昨日からイギリス各地で始まったラグビー・ワールドカップの緒戦、日本代表チーム対優勝候補で世界3位の南アフリカチーム‘スプリングボックス’戦が、日本時間今朝0時キックオフされ、日本はその南アを破る大金星を挙げたことを今朝起きてテレビで知り、俄かには信じられなかった。試合前はかなりの大差で負けるだろうと悲観的な予想を立てていたほどで、真夜中の生放送を観る気はなかった。だが、いざ勝ってみるとどんな勝ちゲームだったのか、勝負の流れを知りたくなり、早速正午のNHK・BSテレビ再放送を観戦して、やっと安保関連法案成立のやりきれない気持ちを払拭し溜飲を下げたところである。現地ブライトンで実況中継をしたのが、選りに選ってかつて自宅近くの旧NHK家族寮に住んでいた、湘南高ラグビー部の後輩、豊原謙二郎アナだったというのも奇縁である。
試合は逆転に次ぐ逆転の末、3点ビハインドのノーサイド2分前に得たペナルティ・キックのチャンスに、日本は引き分けに持ち込めるペナルティ・キックの3点を狙わず、逆転勝利に向けトライの5点を狙いに行った。相手ゴール前で南アが度々ミスを犯して何度もペナルティのチャンスを得たが、僅かにトライに結びつかず、それでもひたすら押しまくって前進した。そしてノーサイド寸前に左へオープン展開しウィングのヘスケス選手が左コーナーへ飛び込み作戦通り逆転トライとなってノーサイド。前半の劣勢を覆し34-32で難敵を破った。日本にとってはワールドカップで24年ぶりの勝利である。南アフリカのみならず、世界中のラグビーファンの度肝を抜くような予想外の日本の見事な逆転勝ちである。歴史的な勝利と言ってもいい。スタンドも日本チームの勝利に沸きに沸いていた。ロイター通信は日本の勝利はワールドカップ史上最大の番狂わせと報道し、他にもラグビー界のみならずスポーツ界最大の衝撃とか、ダークホース日本が優勝候補を破ったとか、ラグビーの本家イギリスの新聞各紙も揃って日本の大金星をトップ記事に取り上げ絶賛している。「ハリーポッター」の著者、J.K.ローリング氏も「こんな小説は書けない」とツィッターに投稿したほどである。
日本チーム勝利の陰には、選手個々の活躍、特に外国人選手の活躍は言うまでもないが、その裏には名将エディ・ジョーンズ・ヘッドコーチの力が与かって大きかったと思う。それにしても完敗すると半ば諦めていただけに、何とスカッとする勝ちっぷりだろうか。すぐ新聞各紙から号外が出たようだが。ウォーキング帰りにスポニチ紙を買ってみると、一面トップに「W杯奇跡 大金星 日本ラグビー」と取り扱い、ラグビー史上最大の奇跡が起きたと書いてある。ニュース番組でもラグビー様々である。
2020年東京オリンピック・パラリンピック開催に際して、このところ新国立競技場建設問題や、オリンピック・エンブレム問題など何かとすっきりしないケチが付き始めて、その前年2019年開催予定のラグビー・ワールドカップ日本大会も、当初予定していた新国立競技場を会場として使用することが出来なくなってしまった。その沈滞ムードを吹き飛ばす意味でも、今日の勝利は心強い。
他にももうひとつスポーツ面で嬉しいことがあった。昨日東京六大学野球秋季リーグ戦で最下位常連の東大が強豪法政大に逆転勝ちしたことである。東大は94連敗をしていた春季リーグ戦で漸く10年ぶりに法政を破って連敗を抜け出したばかりだったが、今季またしても法政に勝った。嬉しかったのは、東大勝利の立役者宮台くんが豊原アナと同じく高校後輩の2年生投手で、先発投手として法政打線を抑え、打者としても2点適時打を放って勝利に貢献したことである。
それほど騒ぎ立てることではないが、それでも有史以来の歴史的な日本ラグビー勝利の実況中継放送に関わったことや、滅多にない東大野球部の勝利に、いずれも高校の後輩らが彼らの存在感を示してくれたことは、先輩のひとりとしてはやはり嬉しいことである。