今日もテレビの報道番組ではラグビー大金星の余韻が消えない。NHKでは一週間前に放送したドキュメンタリー「アスリートの魂」を再放送して、南アフリカ戦で活躍したフルバックの五郎丸歩選手の独特のキック法が完成するまでを紹介していた。他にもラグビー界の元日本代表選手、吉田義人氏、堀越正巳氏らを招いて話を聞いている。
一般的にタレントの人たちはラグビーのルールをあまり知らないようだが、番組で解説されたおかげで、彼らのみならず多くの人たちにラグビーが知られるようになったのではないだろうか。第2戦スコットランド戦以降はさらに一般の関心を呼ぶようになると思うので、ラグビーをPRするまたとないチャンスではないかと思っている。
そんなラグビー旋風の陰で大きく伝えられることはなかったが、一昨日経済が行き詰ったギリシャで再び総選挙が行われ、前回7月に続いてチプラス前首相が党首を務める急進左翼進歩連合(シリザ)が勝った。前回の総選挙に勝ち政権交代を成し遂げたチプラス氏が、ギリシャ経済救済策にあまりにもギリシャにとって虫の好い言い分を主張したせいで、EU諸国から反発を買い、経済支援を受け難くしてしまった。今度は本心を引っ込めてEUの言い分を聞き入れ、ギリシャ国民に忍耐を強い、前回よりギリシャ国民にとって厳しい政策を掲げたうえで国民の支持を得ただけに、前回に比べてEUとの交渉はやり易くなるだろう。
だが、国内にチプラス氏は国民を裏切ったとの批判も根強く、加えて経済問題の他に難民・移民問題を抱え込むことになってしまい、前途は多難である。
さて、中国艦船5隻がアメリカ領海へ侵入したと報道された。アメリカ領海のベーリング海への領海侵入は意図的な行動なのだろうか。中国は先の安保関連法案成立についても「日本は軍事力を強化し、専守防衛政策を放棄するのではないかと国際社会の疑念を引き起こしている」とのコメントを公表した。いつもながらの中国流の都合の好いコメントである。毎年軍事費を大幅に増やし世界中から軍事力強化し、公海である南シナ海に岩礁を埋め立て自国領土として楔を打ち、国際社会から指摘、非難されているのは中国自身ではないか。自らは指摘され非難されると開き直って勝手な持論を押し付け、その一方で他国の政策については内政干渉しようとする。そんな中国にだけはとやかく言われたくない。敢えて言えば、中国の対応は二律背反ではないだろうか。
ロシアとの関係も近年では思わしくない。それは、日本というよりプーチン大統領の大国意識によるところが大きい。それは昨日の日ロ外相会談でも垣間見られる。昨日モスクワで行われた岸田外相・ラブロフ外相会談が行われたが、その後の共同記者会見で二人の言うことがまったく矛盾していた。岸田外相が北方領土問題について話し合ったと言及したが、ラブロフ外相はそのような話はなかったと語った。日ロのような両国の高官が記者会見で言うことがまったく正反対というのは理解出来ない。
どちらかと言えば、ロシア側に何らかの思惑があるように思えて仕方がない。ロシアは北方4島を自国領として日本へ返還する意思がなく、日本との北方領土返還交渉を避けたい気持ちが図らずも表れたようだ。
益々日本周辺は多事多難である。