3054.2015年9月23日(水) フォルクスワーゲンの信じられない不祥事

 相変わらずラグビー・ワールドカップの大逆転勝利の沸々とした余韻が消えない。今日も各テレビ局では、あの手この手で19日の試合を振り返り、今晩の対スコットランド戦の予想や、相手国チームの特徴などをゲストとともに紹介している。さあ第2戦の結果はどうなるだろう。寝るのは遅くなりそうだ。

 さて、品質管理では厚い信頼があったドイツのフォルクスワーゲン社(VW)のディーゼル車排気ガス試験が、排気ガス量を減らす違法なソフトを不正に使用していたとアメリカ環境保護局(EPA)から発表された。ヨーロッパでも調査がされるようになり、この不正は世界的規模の不祥事になりそうだ。

 VWは大衆車から高級車、商業車まで傘下のアウディを含めて多くのブランドがあるが、ヨーロッパ市場ではVWのシェアは25%の最大手である。2014年度の販売台数を1千万台に乗せて首位のトヨタに急迫し、今年に入って1~6月期はトヨタを抜いてトップに躍り出たばかりだった。そのVWが、なぜこのようないずれ判明するであろう愚かで悪質な不正事件を犯したのか、理解に苦しむところだ。今回の不祥事は、VWがアメリカを始め、進出を狙っていた国々へのディーゼル車の不正で誤魔化すことにより、ディーゼル車販売を伸ばし、一気に車販売量トップ企業に昇りつめたかったのだろう。EPAによると対象車両は1100万台、リコール対象車は48万2千台に上ると言われ、その無料回収や修理に当てる費用として、7~9月期だけで約8700億円を特別損失に充当させるとされ、経営が大きく揺さぶられる事態となった。

 実は、わが家でもVW車を所有しているが、VWのディーゼル車は日本では販売されていないというので、ほっとしている。だが、今年6月に車検のために車をVW販売店へ運ぼうとしたところ、エンジンがかからずJAFの手を借りて車を販売店へ運んでもらったことがある。その原因は分からず仕舞いだったが、優秀品質のドイツ製品と言えども、無意識にせよ、故意にせよ、完璧な商品というのは中々ないということと、悪意さえあれば「良貨は悪貨に駆逐される」と思っている。

 今回の不正は、排気ガス・テストの時だけ排気ガス量を減らす違法なソフトウェアが使われていたというからタチが悪い。不正対象車が実際に走行した時の窒素酸化物の量が基準値の10~40倍だったという。ゲルマン紳士も信用出来なくなった。

 この事件は環境大国とものづくりを自認していたドイツ一国のみならず、ヨーロッパ全体に与えた衝撃も計り知れない。世界一になったばかりのVWが、不正をやってぐらついた信頼、株価への影響をどうやって取り戻すのか。この数年のVW社内の権力闘争が影響を及ぼしたとの外野の声も聞こえてくる。「勝って兜の緒を締めよ」とは名言であるが、兜の緒を意図的に緩めていたことに堅物のメルケル首相も呆れている。VWに情報公開の徹底を指示したようだ。

2015年9月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com