3059.2015年9月28日(月) こっそり施行されていた新税「出国税」

 昨日は旧暦で8月15日の十五夜に当たり、夜空に大きな月が見えたが、今日は満月である。庭先から東方を見ると夜空に旧暦満月を象徴する見事な月が見える。昨日は雲がかかり見えなくなってしまったが、今晩は真丸い月が輝いて見える。こういう満月を英語風には「スーパームーン」というそうだが、それではピンとこない。普段天体を考えたり、夜空を見上げることはあまりないが、見事なものである。昔の歌人の心情を思うとついしみじみとしてくる。

 さて、こんな税金があるとは知らなかった。7月から実施されるようになった「国外転出時課税制度」である。株式などの資産を1億円以上所有している人が海外に移り住む場合、株式を売却しなくても国外に出た時点で売却したと見なし、株式に含み益があれば所得税を課されるのだそうである。こういう人たちが国外に出る時「出国税」と呼ばれる税を課せられる新たな課税制度である。

 この他にも「国外財産調書制度」というシステムが昨年からスタートした。これも国外に所有する財産が5千万円を超えている人に対して財産の中身を税務署に詳しく報告するよう義務づける制度である。

 これらの新税制度施行に際し、裕福な資産家の対策と貯蓄術は、簡単に言えば日本から身を隠すことである。つまり両法律に対する最大の節税対策は、外国へ行き、そこで滞在の手続きをして、日本の厳しい税法から逃れることである。とりわけ多額の金融資産を所有している人の相続対策としては、相続人、被相続人ともども揃って税負担の軽い国へ行き、そこで生活することである。

 これまで税金逃れとして一部でとかくの噂があった「タックス・ヘブン」に似た節税対策と言える。しかし、こういう節税をこのまま放っておいて良いものだろうか。日本人として外国で株式投資を行って得た所得に対して税を課さないということに対して、一方で国内で同じような投資をして利益を得た人からは所得税を徴収するということは不平等ではないだろうか。外国にいる人は納税しないで済むということになる。些か不公平ではないだろうか。

 気になるのは、こういう一般国民が中身を知らない法律がいつの間にか施行され、それにより新たに税金を支払う人とそうでない人が現実に生まれるということである。そして今まで他人事と思っていた「タックス・ヘブン」なる地域へ税金逃れのために逃避する日本人が増えることである。どうしてこんな大事なことをもっと一般に広くPRすることを考えないのだろうか。裏に隠されたことでもあるのか、どうも一部の人間だけが知っているという事象が多過ぎるような気がしてならない。

2015年9月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com