2020年東京オリンピックで開催都市に提案権とやらが与えられている追加競技について、大会組織委員会は、野球・ソフトボール、空手、ローラースポーツ、スポーツクライミング、サーフィンの5競技18種目をIOCに提案することを決定した。野球・ソフトボールが追加競技の中では最も知名度があり、ファンが多いことや、2008年北京大会で実施されたことを考えると順当な選定と言えよう。
但し、日本で最も人気のあるスポーツで過去にも実施されたことから言えば、野球が選ばれたのは当然とも言えるが、オリンピックのような世界中から多くの選手が参加する最高レベルのスポーツ・イベントであることを考えれば、野球が世界的に平均して人気のある競技であるかどうかを考える必要があると思う。実際スポーツ評論家・玉木正之氏が、野球は外しても良かったのではないかと言っていた。その理由として、野球の世界的普及度が今一つということと、最も盛んなアメリカで最高レベルにあるメジャー・リーグがオリンピックにあまり協力的ではない点を指摘していた。実際過去のアメリカ・オリンピックチームの選手構成は必ずしも最高レベルの選手らで編成されていたわけではない。アメリカ、並びに大リーグ関係者にとっては、オリンピックと並行して行われるペナント・レースのスケジュールを優先するため、第一級の選手をオリンピックに出場させるわけにはいかなかったためである。
他の競技でも若者向きのローラースポーツ、スポーツクライミング、サーフィンなどが果たして競技種目として適当なのかどうか。いずれも日本国内ではそれほど知名度のある競技ではないし、競技会場などに問題がある。特に、サーフィンは海で行われるのが通常であるが、最初から最後まで安定した同条件の波に全選手が乗ることは不可能であり、そのため人工会場を建設するとなると、場所が限定されるうえに、建設費用がべらぼうにかかるようだ。更に大会終了後の再利用が難しく、その維持管理に別途費用がかかる点など負の遺産になりかねない。
前回1964年東京大会ではあまり表面化しなかった問題点が、2020年大会ではいろいろな局面で浮上し、これらを解決しなければならない点を考えると今後相当慎重に気を配る必要がありそうだ。
さて、今日の朝日夕刊の「時代のしるし―戦後70年」に作家・加賀乙彦氏の戦争観を取り上げていた。加賀氏は陸軍幼年学校に入学したくらい戦争に一家言を持つ人である。6月23日付本ブログにも書き込んだが、僭越だが、私は加賀氏の性急な人物評価や単刀直入に物事を切り捨てるご性格にやや疑問を抱いている。6月23日加賀氏と隣り合わせになった際会話を交わしたが、「書名は短いに限る」「一番売れた自作小説は『宣告』だ」「差別用語なんて気にしなくて好い」「『南太平洋の剛腕投手』の着想は良い」「私の名前乙彦のいわれを知らないのは、私の本を読んでいない証拠だ」等々、厳しかったり、煽てられたりして、今から考えれば大先輩から良いアドバイスをいただいたと思っているが、その時の会話の雰囲気からペンクラブの仲間には、「近藤さんが加賀さんに怒られた」と思われている。こんな大作家から教育的指導をいただいたのも、ひとつの勲章なのかもしれないと都合よく考えている。
だが、まだ加賀氏の小説を読んでいない。