今年は自然の猛威に襲われることが随分増えてきた。火山噴火、大雨、台風、竜巻、洪水等々、例年に比べて自然が与えた災害は深刻で惨々たるものである。台風もすでに上陸したものだけで21を数える。先の関東・東北豪雨の悲惨な被害から日時を経ずして、昨日から再び台風21号に付随して豪雨がやってきた。今朝方まで戸外では激しい風と雨の音が聞かれた。昼近くになって漸く晴れ間が見えてきた。
日本は地形的に自然災害に襲われる運命にあるが、せめてそれらの防止のために知恵を絞って欲しいと思っている。残念ながら、最近それに逆行するような動きがまたぞろ出てきた。それはまず川内原発で稼働がスタートしたことである。原発推進賛同者は世界最高の技術水準とか、故障が感知されたら稼働をストップさせるとか言っているが、絶対事故は起きないと言い切れるのかとの問いに対しては、誰も自信を持って明確に答えることが出来ない。つまり専門家ですら、最高水準の安全性を保つとか、事故は絶対発生しないなんてあり得ないということが分かっているからである。
しかし、原発再稼働を何とかして全原発に実施させたい政府、及び電力会社にとって、九州電力が同社川内原発2号機の原子炉を今月14日以降に起動し、再稼働させると原子力規制委員会に報告したことは今夏川内原発1号機の一里塚を越えて一安心したからであろう。これで東電福島第1原発事故を精査したうえで新規制基準を定めた後の再稼働は、川内原発の2基となる。いずれも現在噴煙を吐き出している桜島からそれほど遠い場所ではない。
一方で、今日福島原発事故で漏れた汚染水の処理に充分対応しなかったとして東電が書類送検された。これほど周囲で話題になっても、事故が起きればフォローが充分行き届かないことを示している。他方で、四国の伊方原発の再稼働については町民の賛成を受け町議会は今日原発GOサインを出した。これは町の財政的な面と町民の雇用を考え町の活性化と、原発の危険とを秤にかけた苦渋の選択だろう。
ともかく100%安全とは言えない新規制基準下の原発再稼働を、自然災害がいつ襲ってくるかも知れない環境下でやってしまおうというのである。しかも、今年は桜島、口永良部島、箱根、阿蘇山、小笠原諸島近海などで火山噴火が見られ、日本列島全体に地下のマグマの活発な活動が見られるのである。仮にもし再び原発が事故を起こして多くの犠牲者を生んだら、誰がどういう形で責任を取ってくれるのだろうか。