3066.2015年10月5日(月) 益々エスカレートするメディアの傲慢ぶり

 去る1日テレビ東京の報道番組「アンサー 潜入初! 飢餓の島で見た戦争」を観ていて森本智子アナの説明に疑問を抱いた。番組では、激戦の島・ガダルカナル島で戦没者遺骨収集に当たった民間団体の活動を丁寧にレポートしていたが、キャスター的立場の森本アナが、ガダルカナルだけではなく、遺骨収集全般について間違ったコメントをしていたことが引っかかる。森本アナの話は、戦争で犠牲となった戦没者の遺骨収集事業を民間に任せているが、これからは民間に任せるのではなく、国が積極的に事業に当たるべきだというような誤った印象を与えていた。これは大きな間違いで、国は旧厚生省が昭和27年から太平洋戦争戦没者遺骨収集事業を始めている。私が旅行会社に勤めていた当時、旧厚生省からこの国家的事業を受注し、10年以上に亘ってこの事業に深く関わることになった。お陰で旧トラック島(現ミクロネシア連邦チューク島)で拙著「南太平洋の剛腕投手」の主人公・ススム・アイザワ大酋長と出会うことが出来て、題材を得ることになりノンフィクションを執筆するチャンスももらった。中部太平洋諸島には毎年出かけ、パプア・ニューギニア、ガダルカナル、ニュー・ブリテン島ラバウル、ブーゲンビル等南洋の島々を始め、アジアの戦地、シベリアやサハリンなどにも度々出かけた。当時は、国以外はこの事業に関わることが出来ず、民間団体の遺骨収集は禁止されていたのである。この肝心な点で森本アナは事実関係を誤認している。

 戦没者遺骨収集事業についてテレビ放送で誤解を招くような発言をされたのは極めて遺憾である。事実誤認も甚だしいと言わざるを得ない。この点について直ぐテレビ東京に事実を伝え、話の内容を訂正するようメールを送った。これについてはFacebookにも書いた。しかし、朝日新聞と同様、同じメディアであるテレビ局も顧客を軽視しがちで、納得出来る返事はもらえないのではないかと過重な期待をせず返事を待ちたいと思っている。いま朝日新聞とバトル中であるが、場合によってはテレビ東京とも一戦交えなければならないかも知れない。

 それにしてもどうしてメディアというのは、顧客の声に耳を傾けようとしないのだろうか。メディア各社には、才走った傲岸不遜で小生意気な学生ばかりが、就職するせいだろうか。朝日の秋山耿太郎元社長に至っては、読者はお金で買えるとか、文句を言う読者にはとにかく頭を下げておけばいい、と社内緊急集会で話していたというから、その尊大さは並ではない。最近では読者にも頭を下げなくなって、その傲慢度はエスカレートするばかりである。こういう輩が言論の自由なんて口走るから、民主主義を信じない若者が続出するのだ。

 いずれにせよ、テレビ東京が何と言ってくるか、しばらく様子を見てみたい。

 さて、夜になって嬉しいニュースが入って来た。今年のノーベル医学・生理学賞に大村智・北里大学特別栄誉教授が選ばれた。日本人受賞者としては23人目である。昨年も3人の日本人化学者が受賞したが、近年科学界における日本人への評価は高まるばかりで日本人としては些か鼻が高い。それに比べて政治とジャーナリズムは益々劣化して、これからの日本にとって大きな心配の種である。

2015年10月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com