45.2007年6月28日(木) 「構想日本」フォーラムと世界遺産

  月例のフォーラムに参加した。「『美しい日本』について話そう」というテーマを、日本文化専攻の文化功労者、中西進氏と、日本の各界各層を分析した「犬と鬼」の作者で、東洋文化研究家、アレックス・カー氏の対談形式で行われた。いつもながら「構想日本」のセミナーはアカデミックで、濃密な内容で面白い。中西氏が安倍首相の著書「美しい国へ」について文化論ではないと論評。一般的にそれぞれの日本文化論は画一化していて、成熟しておらず、非生産的であると指摘された。カー氏は、文化と自然の破壊のスライドをパワーポイントで紹介しながら、京都や日本の古都の文化と伝統を守ることに汗を流していると説明された。伝統的な「もの」がなくなりつつあることを残念に思い、京都市内に会社を設立して町家の保存に力を入れているそうだ。更に、日本では先端技術を誤解している、美しさこそがパワーになると持論を述べた。両氏ともにほとんど意見が一致していたが、文化はその土地の風土に根ざしているかどうかが鍵で、その原点は教育だという点において、両氏は同感であると述べられた。    

 100年余り前に発掘されていたミイラが、エジプトの第18王朝ハトシェプスト女王のものだと判明した。ツタンカーメン王以来の大発見だという。つい疑ってしまうのだが、最新の科学技術でDNA検査に基づいて綿密に調査したので間違いあるまい。それにしても、いまから3500年前のエジプト王朝最盛期のファラオの遺体とあらば、世界中の考古学者は言うに及ばず、庶民にとっても大きな関心事である。私自身来世生まれ変わったら、考古学者になりたいと思っているくらいだから、人一倍興味がある。2度ばかりルクソールのハトシェプスト葬祭殿を訪れた時の驚きと陶酔感はいまもはっきり覚えている。

  今夕のニュースで、「石見銀山」の世界遺産登録が正式決定したと報じていた。登録されれば、観光的には潤うだろうが、先ほどカー氏によって世界遺産・熊野古道の登山道が一部パイプ製で修理されていると指摘されたばかりだ。おざなりの保存や対応では手に負えない面もいずれ出てくるので、事務局も喜んでばかりはいられない。社保庁を反面教師にして、しっかり管理してほしいものだ。

2007年6月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com