55.2007年7月8日(日) 内幸町ホール「小中陽太郎氏ドラマ作品」鑑賞会

 小中さんからお誘いをいただき、内幸町ホールへ出かけた。小中さんがNHK名古屋支局に勤めていた時に演出した時代風刺ドラマで、「しょうちゅうとゴム」と題する小田実作品である。1962年に放映されたもので、私はいままでに2回見る機会があったが、いずれもダイジェスト版だった。幸い今日は全編45分を見ることができたが、ダイジェスト版とは随分印象が違うと思った。その点ではダイジェスト版の編集は難しいと感じた。冒頭に小中さんの解説があった。製作の経緯や四日市石油コンビナートを時代背景に、農民や労働者が埋没していく姿を映し出したものだが、小田実に原作を依頼した過程、モダンダンスは「ウェストサイドストーリー」のパクリではないかと言われたこと、このフィルムの著作権問題など、面白おかしく話された。若き小田の肉声も聞くことが出来て懐かしかった。音楽が前衛作曲家高橋悠治によるもので、その高橋氏もその後の演奏とトークで私には分りにくい前衛音楽をピアノで、またコンピューター音楽で聞かせてくれた。高橋氏はNHK出身であるが、永年海外で学び前衛作曲家として活躍された経歴から、ピアノ曲も「光州1980年5月」と題して、韓国の社会的大事件に正面から取り組み音楽に取り上げるとか、コンピューター音楽にしても英語の声や発音をいろいろな音、響きにしたり、前衛音楽だけに私には少々異色であった。私と同じ年齢だが、やはり傑出した芸術家にはとてもついていけないとも実感した次第。会場は満席で小中さんのお人柄とお知り合いが多いせいか、終始和やかな雰囲気で参加できて良かったと思った。この後のワインバーの懇親会を含めて、かなり大勢の知り合いにお会いした。

 小中さんが最後にいま癌で闘病中の小田さんの病状に触れた。あまり具合が良くないとのことであった。外部の方とお会いできる状況にはないとの話に、小田さんに多大な影響を受けた私としては、暗澹たる気持ちである。

2007年7月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com