67.2007年7月20日(金) 柏崎刈羽原発の放射能漏れ

 先日の新潟県中越沖地震で被災した柏崎刈羽原子力発電所の核廃棄物処理放射能漏れが公になり、東電側の杜撰な管理体制と未熟な対応が、近隣住民に大きな不安を与え、波紋を投げかけている。排気筒から放射能物質が漏れた、核燃料プールから放射能水が海へ流れた、変電所火災が発生した、地震計データの一部が消失した、消火栓の水が出ない、等々人為ミスを含めて今日までに63件の不祥事が明らかになった。

 柏崎市長はついに安全が確認されるまで、核廃棄物処理施設の稼動停止を命じた。とにかく東電の対応がお粗末過ぎる。記者会見でも、会社側にあまり責任感や罪悪感が感じられず、反省しているのかどうか分らないようなヤリトリだった。

 すでに海外からも過去に例を見ないほどの核廃棄物が漏れたと指摘され、この種の対応ではとかくの噂があり、かつチェルノブイリ原発事故で前科のあるロシアTV辺りからも、もっと安全管理を徹底し、きちんと処理すべきだと揶揄される有様である。2年前には、国際原子力機構(IAEA)から、災害の際の放射能漏れの危険性と不安を指摘され、その際監視チームを立ち上げ常時警戒していると報告して漸く了承を得た苦い経験がある。にもかかわらず、指摘されたような安全策、防止策は果たして行なわれていたのかどうか、どうも機能していなかったように思えてならない。

 2002年8月に「JAPAN NOW観光情報協会」の視察に加わって、同原発を見学したことがある。原子力発電を考える良い機会と思い、群馬県吉岡風力発電所とともに見学して、原子力発電の必要性について多少自分なりに理解出来たと思っていた。その見学記も情報紙に書いた。その時、原発内で受けた説明と装置を見て特に感じたことは、ことが原子力であるだけにとにかく安全性重視を最優先すべきだということだった。説明した係員はその場で繰り返し、二重三重にチェックしているので放射能漏れは絶対ないと断言された。それが、帰ってからほんの1週間後に、放射能漏れを会社ぐるみで隠蔽していた事実が明らかになり、当時の社長が責任をとって辞任した。隠蔽事件はことがことだけに、東電は世間から厳しく糾弾され、今後このような事件は絶対起こさないと約束したはずであった。しかるに親方日の丸、隠蔽体質、お粗末な対応と説明責任の欠如は、一向に直っていなかったということになる。

 記者会見における責任者の自信のなさそうな話し方には、どう見ても反省とか誠意があまり感じられないのである。リスクマネジメントや危機管理は、真摯に反省することから始まり、現場の状況をとことん知り、対策としてケーススタディを想定したロールプレイをどれだけ行うかにかかっている。それが全然出来ていないことが分かった。

 当事者と関係者がみんな子どもなのである。学問的な頭は優秀なのだろうが、苦労知らずばかりで貴重な現場経験を上の空でやっているから臨場感が身についておらず、事故処理に関してとっさに臨機応変の対応がとれない。日ごろから想定した訓練や教育を行っていないことを露呈することになった。こんな人ばかりいたのでは、いくら大会社でも立ち行かなくなる。安倍内閣だって所詮同じではないだろうか。

 あ~あ、情けない。

2007年7月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com