80.2007年8月2日(木) 長嶋茂雄さんの「私の履歴書」

 日経新聞は朝刊、夕刊ともに現代に訴えるストーリーの連載小説を掲載しているので、毎日楽しみに読んでいる。朝刊「世界を創った男」のチンギス・ハンにしろ、夕刊「地の日天の海」の織田信長にしろ、2人の主役はそれぞれある意味で現代にも通用する抜群の政権管理能力者だ。

 現代の著名人の業績を自己PRする「私の履歴書」も、人によっては参考になり、面白い連載ものである。特に、功成り名遂げた財界人なんかより、芸術家とか、スポーツ選手のように自分だけの力で名を成した人の履歴書の方が読んでいて断然興味深い。その点で、7月の長嶋茂雄・読売巨人軍終身名誉監督の手記を長嶋ファンとしては大いに期待していた。脳梗塞で倒れる前の長嶋さんの底抜けに明るい、独特の長嶋節を楽しみにしていた。実際長嶋さんがTV画面から消えた途端に世の中が暗く感じられたくらいである。

 ところが実際に連載が始まってみると、率直に言って実につまらない。あれだけ実績と特異なパフォーマンスでファンを唸らせ、書く材料に事欠かない、長嶋さんの履歴書がどうしてこんなに面白くないのだろうとがっかりするとともに、その理由を考えてみた。

 ひとつは、全盛期の脂が乗っているころの長嶋像を伝える情熱、方法が長嶋さんサイドにも欠けていたのではないか。だから、もう少し体調の回復を待って情熱が甦ってきた時に満を持して執筆したら良かったのではなかっただろうか。次いで、長嶋さんを取材したライターに、長嶋像を描写し、表現する能力が不足していた。長嶋さんが現役で活躍したころを良く知っていて、長嶋さんに負けず劣らず長嶋像を伝えることにもっと情熱を抱いているライターに執筆を依頼すべきだった。あまりに平板に過ぎた。この2点で、期待に添えなかった。最近の履歴書の中では、かなり低レベルの連載ものだったと思う。躍動感や、臨場感がまったく伝わらなかったのは致命的だった。以前連載された野村克也監督の「私の履歴書」が面白かっただけに、長嶋ファンとしては残念でならない。

 

2007年8月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com