93.2007年8月15日(水) 終戦記念日に想う。

 62回目の終戦記念日である。国際的には正式な降伏日は9月2日となっている。わが国では玉音放送のあった今日8月15日が日本の終戦とされているが、敗戦については人によって受け止め方はマチマチのようだ。

1945年8月10日発行のスイスの号外に「日本降伏」との見出しが載ったそうである。すでに、このとき国内外の情報通は敗戦を承知していたのである。数日前TVで最後の特攻兵・中津留大尉戦死の事情を紹介していた。すでに敗戦を承知していた上官から終戦当日出撃命令を受け、出撃して散華された。まったく無駄な死であり、敗戦を承知したうえで部下を巻き込むような命を出した上官の罪は重い。

 翻って自分は終戦をどのように知り、そのときどう受け止めただろうか。所詮幼い国民学校1年生には、はっきりとした記憶はない。親から聞いたか、夏休みが終わり学校で先生から聞いたと思うが、その前後の様子はどうもはっきりしない。ただ、近所に頭の良い朝鮮人の「金田くん」という同級生がいて、戦争が終わったから国へ帰るんだと町の彼方此方でお喋りしていたのを聞いた母が、「金田くんは朝鮮へ帰れるので嬉しそうね」と言っていたのをいまでも思い出すことがある。私にとっては、これが終戦を無意識のうちに受け入れた現象とでも言えようか。

 正午から日本武道館で全国戦没者追悼式が挙行された。天皇、皇后が臨席される恒例の国家行事であるが、今年の遺族参列者のうち妻は僅かに2.2%となり、いよいよ高齢化が顕著になってきた。10年前には参列者のうち妻の割合は23.4%だった。これは、遺族会の全体の組織や、戦友会についても言えることで、先細りの戦友会のごときは、遂に涙を呑んで解散に追い込まれたところも多い。私自身長い間遺骨収集作業や、慰霊巡拝に関わって多くの関係者に接していたので、先行きに展望のない事情もよく分るし、遺族や戦友会の方々の切ない気持ちもよく理解できる。

 さて、昨年まであれほど問題視され話題になった、靖国神社参拝問題がイマイチすっきりしない。憲法改正を推し進めようとしているタカ派の安倍首相は、当然参拝すると見られていたが、記者団に曖昧な説明をした挙句結局参拝しなかった。お友達内閣の閣僚も右へ倣えとなった。首相は追悼式前、午前中に皇居千鳥が淵墓苑へ参拝された。20年ほど前に当時の厚生省から案内もあって、私も三笠宮殿下の近くに座り式典に出席させていただいたことがあるが、これは無名兵士の共同墓地である。首相の本心は、あくまでA級戦犯合祀の靖国参拝であろう。首相自身も参拝するのは自分の気持ちであると昨年まで散々言い放っていたのに、参議院選挙で大敗を喫した途端、矛を収めてしまった。参拝しない方がいいことは分りきっているのに、強情に参拝すると発言したり、参拝について行くとも行かないとも言わず、思わせぶりのパフォーマンスばかりで、結局参拝しなかった。

 どうも首相の足場が覚束ない。ぐらぐらするばかりで、やることなすことに終始一貫性が見られない。だから、哲学のない人はリーダーなどになるべきではないのだ。案の定、昨日あたりから防衛省内の人事がもめている。原爆容認発言で辞めた久間大臣の後任に就いたばかりの小池百合子防衛大臣と、守屋防衛次官との間がきな臭い。首相のリーダーシップは一体全体どうなっているのだ。

 時恰も今日の気温は、全国的に各地で過去最高気温を計測している。文福茶釜の館林なんか40℃を超えたそうである。首相の脳細胞が狂うと気象までおかしくなる。いやそうではない。気象状況が狂って首相の脳細胞がおかしくなったのだ。だが、納税者は笑っちゃいられない。

2007年8月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com