119.2007年9月10日(月) 「鯰亭通信」を読む。

 いよいよ臨時国会が召集された。今朝シドニーから帰国したばかりの安倍首相にとっては、心身ともに疲れきったところで、正念場を迎えることになった。前日シドニーの記者会見で、来月末に期限切れとなるテロ対策特別措置法の延長に、職を賭して取り組むと強い決意を表明した。参議院選挙惨敗でも責任を取ろうとしなかった首相が、ねじれ国会の前途を憂慮したのか、中々潔い決断だと思ったが、「蛇の道は蛇」で、そう単純なものでもないらしい。各夕刊紙の論調や、TVキャスター、政治評論家の見方は、退路を断つ小泉流のやり方の二番煎じで、見え見えの手法と極めて評判が悪い。安倍首相ではもはや何をやっても賞味期限が切れたと見られているのだ。この先、テロ特措法の扱いは、対米関係も斟酌してどう取り扱うのか。興味が尽きない。

 今日高校の後輩である田渕守くんから、手紙に添えて、彼が中心になって発行している労働広報月刊紙「鯰亭通信」を郵送してきた。時折送ってくれる。相変わらず、腰が据わって正論と理念を、しっかりした論調と組版でまとめている。よくやっているなと感心する。田渕くんは共通の見解を有する同士と社内にサークルを結成して、働く者の立場から現場労働者の切実な声と、現場の実態を絶えることなく発信し続けている。同通信も今月号でもう135号になった。長い間、先頭に立って、会社の方針に対立する活動を継続しているので、彼に対する会社の評価と対応は厳しい。田渕くんも割り切って、以前から「生涯一現場労働者でありつづけよう」の姿勢を貫く考えを公言している。私は必ずしも全面的に彼の主張や、行動に賛成するものではないが、真面目で誠実な人柄と努力、そしてその考え方にかなり共鳴する点がある。会社勤めの傍ら、努力を積み重ねて「行政書士」「特定社会保険労務士」などの資格を取得するなど、そのポジティブな姿勢には敬服している。同僚のために筋の通った主張をしているだけに、会社から冷遇視されている田渕くんについ同情してしまう。好漢田渕くんのこれからの活躍を願ってやまない。

 9月7日付135号に目を通すと、瀬島龍三氏の死去に触れ、コメントを遠慮がちに書いている。田渕くんの父上もシベリア抑留者だったそうだが、そんなところからも「生涯一現場労働者」の道を選択したと書かれていた。シベリアについて黙して語らなかった瀬島氏の罪はやはり重い。

2007年9月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com