3088.2015年10月27日(火) アメリカ艦船、南シナ海の中国・人工島へ

 今日昼間のニュースにはびっくりした。かねがね心配していた南シナ海に中国が造成中の人工島を認めないとしていたアメリカが、島の12海里内にイージス駆逐艦を進入させ、航行の自由を行動で示す作戦を実行した。

 前段の話として9月に行われた米中首脳会談で、オバマ大統領が習近平・中国国家主席に対して公海上に自国領を設けるような人工島は容認出来ないし、周辺諸国に不安の種を播き東アジアの安定に不利益であると説得し、人工島造成の翻意を促した。だが、習主席は、南シナ海の諸島は古くから中国の領土であるとのこれまでの主張を繰り返し、自らの考えを取り下げる気持ちはなく、従来の考えを繰り返したのみだった。これにオバマ大統領はいたく落胆し、以後2人の気持ちは離れるばかりだった。

 この中国の考えに愛想が尽きたオバマ大統領は、それらの島が公海上にあり中国の違法な領土拡張は許すことが出来ないとの考えから、軍幹部の意見を取り入れ、ついに行動に踏み切ったと理解することが出来る。

 もとより中国の人工島建設は、国際法上も海洋法上も筋が通らない。12海里問題はもちろんのこと、世界地図を俯瞰しても地理上からどう見てもこれらの島々が中国大陸と一衣帯水の領土とは思えない。これを自国領として一方的に主張することは、他人の所有物に手を出すことに問題がないと考えることとまったく変わらない。こんな理不尽な行為を中国が主張するとは、中国がドロボー国家であることを天下に晒しているのと同じだと考えざるを得ない。

 しかし、誇り高い中国としては、自国領土と考えている人工島内に米軍艦船が入域してくることは、国際世論は厳しかろうとともかくメンツをつぶされたような気になるだろう。各メディアが「中国の反発、必至」と報じるのも分かる。大きな戦争にまで発展することは当面ないと思うが、しばらく双方の駆け引きが行われ、島周辺で局地戦が始まることが心配である。そうなるとわが国にとっても他人事ではいられない心配もある。9月に法案成立した安全保障関連法案により、米軍の要請を受けて自衛隊が南シナ海に派遣される可能性が有りうると考えなければいけない。

 これでは米中対立から当分目が離せない。

2015年10月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com