159.2007年10月20日(土) なぜ紛争の火種は消えないのか?

 昨日パキスタンのカラチで、海外追放中で帰国したばかりのブット前首相のパレード中に連続自爆により130人以上の死者を出した。同時に、マニラでも爆発で8人が亡くなり、100人以上の重軽傷者を出した。イラク、イラン、アフガニスタン、パキスタン周辺では最近になって益々治安が不安定になってきた。そういえば、10日ほど前にイラン南東で拉致された日本人大学生の解放のメドがまだ立っていない。

 パキスタンでは、アフガン国境方面のトライバル・エリアでタリバンや、アル・カイーダの動きが怪しい。いまや上空をパキスタン国軍のヘリが昼夜を分かたず警戒飛行をしている。7月に首都イスラマバードの宗教寄宿学校の封鎖、武力弾圧事件以来パキスタン政府のやり方に対して、イスラム教徒の反感が根強い。そもそも海外へ逃げていたブット氏が、この時期に故国へ戻ってきたのも、求心力が低下傾向のムシャラフ大統領のブット派懐柔策の色あいが濃い。親米派のブット氏、ムシャラフ氏両者が手を組んだとて、所詮同床異夢だ。それよりパキスタン国内のイスラム教徒には、同じイスラム信者であっても政治的な一派と、政治活動と一線を画すイスラム教信者がいて、内ゲバではないが、後者は国家を混乱に陥れる政治と宗教のいさかいにうんざりしている。

 外国が当事国の争いに分け入って、調停し解決することが如何に難しいかは歴史が証明している。過去を振り返っても、むしろ争いに火に油を注ぎ込む結果になる場合が圧倒的に多い。それは、介入する国が自分たちは分っているつもりで都合のよい論理でことを解決しようとするからで、介入される国の真髄、本質、特殊性が充分理解出来ていないからである。アメリカがこれまで介入していずれも失敗しているのは、力と権力ばかり振り回し、その国の実情を汲み取り、理解しようとの気持ちに欠けていたからだ。

 その点では、アメリカよりむしろ日本の方がまだましで、相手国の実情に通じていると思われることが多い。しかし、日本の場合、最大の欠点は、分っていても行動しようとしないことだ。その理由ははっきりしている。意欲もなく勉強しようともしない過保護の世襲政治家が、いざその場に臨んでどう行動していいかまったく分らないからであり、一方で分っていながら、カッコばかりつけ、華々しい外交官生活を捨てたくない、顕示欲の強い外交官の「行動しようとしない」エゴにある。国民のため、世界の平和のために最も活動しなければならない連中が、揃いも揃ってみんな心根が腐りきっているからである。

 閑話休題。今日プロ野球セ・リーグのクライマックス・シリーズで、中日が巨人にストレート勝ちで日本シリーズへの出場権を獲得した。パ・リーグはペナント優勝の北海道日本ハムがクライマックス・シリーズも制したからいいが、どうもこの制度は腑に落ちない。巨人のリーグ優勝って、一体何だったのか? これで、もし中日が日本シリーズに勝ったら、今年の日本一の栄冠は、セ・リーグの2位チームが獲得するということになる。日本は政治と同様、スポーツの世界もこんがらがってどうもすっきりしなくなってきた。

2007年10月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com