NHKの「プレミアム10」という番組を偶に観ることがあるが、今日は「菅野美穂、インド・ヨガ聖地への旅」と題して1時間半に亘って、ガンジス上流の奥深い山村をじっくり見せてくれそうで、楽しみにしていた。夜10時から始まり先ほど見終わったばかりだが、予想していた以上に初物尽くめで興味深かった。リポーターの女優菅野美穂が飾らない生地のまま、取材したり、自分のヨガ修練ぶりを披露して中々良かった。
菅野は実際に日本でヨガを習っていて、コメントもあまりぶれることがなかったので、ヨガに関心のない人でも結構楽しめたのではないかと思う。
ガンジス川を遡ったヨガの聖地、リシケーシへの旅で、そこで観る、習う、交流する、食べるを気取らずにやっていた。すっと人々の中へ入っていけるのは、彼女の気さくな人柄のせいだろう。このリシケーシへはビートルズもやってきたようだが、特にジョン・レノンは気に入ったようで長らく滞在していたらしい。素朴な田園地帯だが、ガンジス川沿いに「アシュラム」と呼ばれるヨガの修行場所がある。外国人もやってきて居住しようというくらいだから、よほど心が洗われる静かな環境なんだろう。お坊さんらしき人々も、土地の人々も来る人を拒まず、食事まで提供してくれる。土地の人々との明るい交流もいいが、この地でヨガを定着させた始祖亡き後、ヨガを普及させるために活動した弟子、スワミ・チタチンダ師が92歳で病床に臥している。病床にあるチタチンダ師へひと目逢いたいと不意に思いついて訪問する。暫く待たされた後に、ベッドに横たわっていた師が菅野に会ってくれ、言葉を交わしてくれたことには驚いた。まったく、偉ぶらず、誰にでも会ってくれるところに、この方の人柄と品格を感じた。ヨガの経典「ギーター」第六章に、定義が書かれているが、その中に風のないところの灯火は揺るがないという言葉があるようだが、ヨガというのは心を平らにして生きていく静かなものなのだろう。
聖地も良し、人々も良し、レポーターも良し、の見ごたえのある好企画だった。